JP3086466B2 - 耐熱電線 - Google Patents

耐熱電線

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中 石山
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昭和電線電纜株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、耐熱電線の改良に関し、くわしくは耐熱性
および高温における絶縁抵抗特性を向上させた耐熱電線
に関する。
(従来の技術) 従来より導体上にガラス繊維を巻回し、その上にガラ
ス繊維のほつれ防止と絶縁性の向上を計って有機系の塗
料を焼き付けてなる耐熱電線が用いられている。しかし
ながら、このような電線においてはガラス繊維の耐熱性
は優れるものの有機系塗料の耐熱性はたかだか200℃程
度であり、近年の原子力設備を初めとする300℃以上の
耐熱性の要求に対しては不充分であった。
そこで本出願人はポリボロシロキサン樹脂を初めとす
る耐熱性に優れる樹脂を主成分とする塗料をガラス繊維
の巻回層の上に設けた300℃程度の耐熱性を有する耐熱
電線をすでに提案している。(特開昭63−250011号、特
開昭57−36717号、特開昭59−8215号公報参照)。この
ような従来の耐熱電線のガラス繊維としては、シリカが
約50〜56%、アルミナが約10〜16%、酸化カルシウムが
15〜25%酸化ホウ素が約8〜13%を主成分とする組成比
のものが一般に用いられており、例えばJIS−R−3413
に規定されるECD450−1/0等がある。また、耐熱性を高
めるためにシリカの含有量が96重量%以上の高珪酸ガラ
スを耐熱繊維被覆線の導体の絶縁体として被覆すること
も知られているが(実開昭59−168915号参照。)、しか
しながらこれらの組成のガラス繊維を用いたポリボロシ
ロキサン樹脂系の従来の耐熱電線は、400℃以上の温度
での使用に対してはガラス繊維の機械的強度が著しく低
下し、また電線の電気特性も低下するため実用に供しな
いという問題があり、近年の技術開発に伴い400℃以上
の温度での使用を可能とする耐熱電線に対する要求が強
まっている。
(発明が解決しようとする課題) 以上の点に鑑みて、本発明は耐熱性をさらに向上させ
て400℃以上の温度での常用を可能とし、このような高
温における機械的強度や電気特性を大幅に改良した耐熱
電線を提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段) 本発明は即ち、導体上に直接あるいは他の絶縁層を介
してガラス繊維、またはガラス繊維からなるテープを巻
回してなる電線において、前記ガラス繊維のガラス組成
はシリカが60%以上でかつアルミナが20%以上であり、
またこのガラス繊維はポリボロシロキサン樹脂、ポリカ
ルボシラン樹脂、ポリシラスチレン樹脂、ポリチタノカ
ルボシラン樹脂、ポリシラザン樹脂からなる群から選ば
れた一種または二種以上の樹脂を溶剤に溶解または分散
させた塗料が含浸されていることを特徴とする耐熱電線
に関する。
本発明の耐熱電線は、ガラス繊維のガラス組成を特定
し、あわせて上記ポリボロシロキサン樹脂等よりなる群
より選ばれた樹脂を主成分とする塗料をこれに含浸させ
ることにより400℃以上の温度での常用を可能としてい
る。
本発明におけるガラス繊維は、ガラス組成がシリカが
60%以上でかつアルミナが20%以上のものを使用する。
シリカが60%未満あるいはアルミナ20%未満であるとガ
ラス繊維の引張り強度及び軟化点が低下しまた熱膨張係
数が高くなり、得られる耐熱電線の耐熱性や高温におけ
る絶縁抵抗が低下する。具体的には、シリカが65%、ア
ルミナが23%、酸化マグネシウムが11%、酸化ジルコニ
ウムが1%以下、酸化鉄が0.1%、その他酸化カルシウ
ム、酸化ホウ素等を微量配合したTグラス(日東紡株式
会社製商品名)等があり、これは従来のEガラスに比し
て、引張り強度が常温で約36%、高温で約40%、引張り
弾性率が約16%、また軟化点が約16%向上し、熱膨張係
数は約44%減少している。
また、本発明においては上述のガラス繊維を平織等に
よりテープ状に製織したガラステープを用いることもで
きる。具体的にはETG1313(サカイ産業株式会社製商品
名)などがある。
本発明におけるポリボロシロキサン樹脂、ポリカルボ
シラン樹脂、ポリシラスチレン樹脂、ポリチタノカルボ
シラン樹脂、およびポリシラザン樹脂は、主鎖にシラ
ン、チタン、硼素等の金属元素を有し、側鎖にメチル
基、フェニル基等の有機基が結合している耐熱性に優れ
たポリマーで、公知のもの使用することができる。これ
らの樹脂は単独あるいは二種以上を混合して用いること
ができる。
また、本発明に使用する塗料においては、得られる電
線の耐熱性や絶縁特性を向上させる目的で絶縁性無機充
填剤を配合することができる。これらの絶縁性無機充填
剤としては酸化マグネシウム、アルミナ、酸化ジルコニ
ウム、酸化カルシウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化クロ
ム、酸化チタン、シリカ、マイカ、タルク、チタン酸カ
リウム、酸化トリウム、酸化ウラン、ケイ酸ジルコニウ
ム等の酸化物系セラミックス、炭化ケイ素、炭化チタ
ン、炭化ジルコニウム、ホウ化チタン、ホウ化ジルコニ
ウム、窒化チタン、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒
化ケイ素、ケイ化モリブデン等の非酸化物系セラミック
ス、各種ガラス粉末などがあげられ、これらは単独ある
いは混合して使用することができる。これらの絶縁性無
機充填剤を塗料に添加する場合は、ガラス繊維への含浸
作業性や電気絶縁性の点から、前記樹脂分100重量部に
対して10〜25重量部が望ましい。
本発明における塗料は、上述の成分をキシレン、トル
エン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムア
ミド等の有機溶剤やシリコーンオイルに溶解または分散
させて攪拌するかあるいは、予め同様の溶剤に溶解また
は分散させた液状にしたものを混合し充分攪拌すること
により製造される。このような本発明における塗料は、
室温では有機系の塗料と同様の性状をしており取扱いや
すく含浸処理や塗布作業も容易である。そして含浸や塗
布後の焼成により側鎖の有機基が脱離し、最終的にはセ
ラミック化して優れた耐熱性を奏する。
なお、本発明の塗料においては上述の成分のほか、本
発明の効果を損なわない範囲でシリコーン樹脂その他の
添加剤を配合することができる。
本発明の耐熱電線は例えば次のようにして製造され
る。
即ち、耐熱性のNi線、Ag線、銅線、銅合金線あるいは
これらをめっきした導体上に直接あるいは他の絶縁被覆
を介して、上述の塗料を含浸させたガラス繊維またはガ
ラス繊維よりなるテープを巻回した後、あるいは含浸前
のガラス繊維を導体上に巻回したものを上述の塗料中に
含浸させた後、400℃程度の温度で焼成する。導体上に
他の絶縁被覆を介する場合は、上述の塗料と同様のもの
を塗布焼成した被覆層を設ければ耐熱性、電気特性上よ
り効果的である。
(実施例) 本発明の実施例について説明する。
実施例1 断面2×6.5mmのニッケルメッキ平角銅線にTグラス
(日東紡株式会社製商品名)を二重に横巻きした後、ポ
リボロシロキサン樹脂100重量部をN−メチル−2−ピ
ロリドン100重量部に溶解した塗料中に含浸した。次い
で400℃で5分乾燥焼成をして耐熱電線を製造した。ま
た塗料の含浸量は、乾燥焼成後の塗料成分量/Tグラス×
100=5(%)であった。得られた電線の初期および500
℃×24時間加熱後における絶縁抵抗値、絶縁破壊電圧値
(B.D.V)を箔巻法により測定した。結果を第1表に示
す。
実施例2〜3 塗料の含浸量がそれぞれ25%、40%となるように条件
を調整して乾燥焼成を行い、その他は実施例1と同様に
して電線を製造し同様に試験した。結果を第1表に示
す。
比較例1 断面2×6.5mmのニッケルメッキ平角銅線にTグラス
(日東紡株式会社製商品名)を二重に横巻きして電線を
製造した。得られた電線について実施例1と同様に試験
した。結果を第1表に示す。
比較例2 断面2×6.5mmのニッケルメッキ平角銅線に、JIS−R
−3413に規定されるECD450−1/0のガラス繊維にを二重
に横巻きし、その他は実施例1と同様にして電線を製造
し同様に試験した。結果を第1表に示す。
実施例4 ポリボロシロキサン樹脂100重量部をN−メチル−2
−ピロリドン100重量部に溶解した塗料中に、ETG1313
(サカイ産業株式会社製商品名)を含浸して含浸量が15
%となるように条件を調整して乾燥焼成を行った。得ら
れたガラステープを断面2×6.5mmのニッケルメッキ平
角銅線に1/2ラップ巻きして耐熱電線を製造した。この
電線の初期および500℃×20時間加熱後における絶縁抵
抗値(500V−1分値)、絶縁破壊電圧値(B.D.V)を箔
巻法により測定し、また500℃×4時間加熱後に500℃の
温度中で熱間絶縁抵抗値を測定した。結果を第2表に示
す。
実施例5〜6 ポリボロシロキサン樹脂とN−メチル−2−ピロリド
ンとを1:1の割合で混合した混合物100重量部に対して酸
化マグネシウムおよびマイカを合計20重量部添加してミ
キサーで攪拌した塗料に、ETG1313(サカイ産業株式会
社製商品名)を含浸して含浸量が15%(実施例5)、5
%(実施例6)となるように条件を調整して乾燥焼成を
行った。得られたガラステープを実施例4と同様の導体
上に1/2ラップ巻きして耐熱電線を製造した。得られた
電線を用いて実施例4と同様にして試験した。結果を第
2表に示す。
(発明の効果) 以上本発明の耐熱電線は、500℃の高温において充分
使用可能な耐熱性と電気特性を有しており、従来の耐熱
電線よりも大幅に特性を向上している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−250011(JP,A) 特開 昭57−36717(JP,A) 特開 昭59−8215(JP,A) 特開 平1−239709(JP,A) 実開 昭59−168915(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 7/29 H01B 3/46 H01B 3/48

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導体上に直接あるいは他の絶縁層を介して
    ガラス繊維を巻回してなる電線において、前記ガラス繊
    維のガラス組成はシリカが60%以上でかつアルミナが20
    %以上であり、またこのガラス繊維はポリボロシロキサ
    ン樹脂、ポリカルボシラン樹脂、ポリシラスチレン樹
    脂、ポリチタノカルボシラン樹脂、ポリシラザン樹脂か
    らなる群から選ばれた一種または二種以上の樹脂を溶剤
    に溶解または分散させた塗料が含浸されていることを特
    徴とする耐熱電線。
  2. 【請求項2】導体上に直接あるいは他の絶縁層を介して
    ガラス繊維からなるガラステープを巻回してなる電線に
    おいて、前記ガラス繊維のガラス組成はシリカが60%以
    上でかつアルミナが20%以上であり、またこのガラス繊
    維はポリボロシロキサン樹脂、ポリカルボシラン樹脂、
    ポリシラスチレン樹脂、ポリチタノカルボシラン樹脂、
    ポリシラザン樹脂からなる群から選ばれた一種または二
    種以上の樹脂を溶剤に溶解または分散させた塗料が含浸
    されていることを特徴とする耐熱電線。
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