JP3084180U - 外壁用複合パネル - Google Patents

外壁用複合パネル

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JP3084180U JP2001005496U JP2001005496U JP3084180U JP 3084180 U JP3084180 U JP 3084180U JP 2001005496 U JP2001005496 U JP 2001005496U JP 2001005496 U JP2001005496 U JP 2001005496U JP 3084180 U JP3084180 U JP 3084180U
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征吉 丹
高光 櫻庭
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株式会社テスク
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表側のセメント板と裏側の断熱材とを一体化
層着した鉄筋コンクリート外断熱建物に用いる外壁用複
合パネルに於いて、複合パネルを壁コンクリート外枠に
用いた際に、打設コンクリート液が複合パネル連結部か
らセメント板側に漏出するのを防止する。 【解決手段】 複合パネルPの側端縁Eの一方に落ち込
み段差L1を、他方に突出段差L2,L2´を形成し、
複合パネルPの端縁Eを衝接連結する際に、落込み段差
L1と突出段差L2,L2´との相欠け継手により、連
結部には当接界面から成る継目面Bと、該継目面Bに続
く折曲継目面BEとを生じ、打設コンクリート4からの
コンクリート液流を継目面Bと折曲継目面BEとで阻止
する。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、鉄筋コンクリート造外断熱建築物の外壁用パネルに関するものであ り、コンクリート壁形成時に外側型枠として採用し、壁コンクリート打設により 、コンクリート壁と一体化されて外断熱壁を形成するための複合パネルであって 、鉄筋コンクリート造建築の分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より外壁用複合パネルを外側型枠に用いて壁コンクリート打設により壁コ ンクリートと一体化することは実用化されている。 図6は、従来の典型的は外壁用複合パネル及び使用方法の説明図であって、外 壁用複合パネルP0は、図6(A)に示す如く、セメント板1の幅W10と断熱 材2の幅W2とが同幅であり、両端縁では断熱材2の端縁2Eとセメント板1の 端縁1Eとが面一であり、且つ、セメント板1は、両端縁に目地用凹部12を形 成し、凹部12の前面には突部13を形成し、突部13は端縁1Eから目地用の 間隔d1で後退し、内面には多数の通気用条溝11を配置したものである。
【0003】 図6(B)に示す如く、該複合パネルP0を並列衝接して外型枠とし、内側型 板3とで型組みした壁型枠内に壁コンクリート4を打設すれば、断熱材2の直線 状衝接継目面Bに対する打設コンクリートの大きな液圧Fpが作用し、砂利等の 大きなものは継目面から侵入しないが、粒子の小さな砂及びコンクリート液は継 目面Bの界面を矢印F1の如く侵入し、一部は継目面Bを通過してセメント板1 の目地穴Gに直進到達してセメント板1の端縁1E間から漏出し、コンクリート 液の一部がセメント板表面を汚染し、目地穴G内ではセメント片Fcを形成する 。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
(第1課題) 従来の複合パネルP0を衝接連結して外側型枠とし、壁コンクリート4を打設 して外壁を形成する際には、複合パネルP0の精度上の問題も重なり、打設した 壁コンクリート4の矢印Fpの液圧によるコンクリート液のセメント板端縁1E 間への漏出が避けられず、パネル連結部の目地穴Gへ漏出したセメント液の清掃 は手間のかかる困難な作業である。若し、セメント板面への漏出コンクリート液 の除去が不完全であれば、目地穴Gでは固化してセメント片Fcとなり、目地仕 上げ前のセメント片Fcの除去は容易でない。しかも、コンクリート液の付着し たセメント板面はアルカリ成分に侵されて変色(白華現象)するため、セメント 板素地仕上げでは外壁の重大な欠陥となる。
【0005】 (第2課題) 図6(B)に示す如く、従来の複合パネルP0では、各パネルの幅方向への並 列衝接による連結に際し、セメント板端縁1E及び断熱材端縁2Eが共に当接す るが、パネルの製造技術面から複合パネルP0の精度には限界があり、特に押出 成形されたセメント板1の端縁1Eでは不揃いが生じやすい。 更に、パネル設置上の不陸問題等の施工精度上の問題も重なって、現実問題と して、各パネルをセメント板端縁1E相互が損傷しないように並列設置すれば、 建物の長さが設計値より延びてしまう(長さ20mmのパネル壁長で約15mm延び る)問題がある。 また、複合パネルの両端縁の精度は目地幅d(8mm)にも影響を与え、各目地 幅の相違が建物の品質低下を招来する。更に、セメント板1相互の厳密な当接作 業がセメント板端縁1Eの衝突破損を招くこともある。
【0006】 本考案は、新規な構造の外壁用複合パネルPを案出して、従来の外壁用複合パ ネルP0での上述の如き問題点の解決又は改善に成功したものであり、セメント 板1を外面に備えた外断熱複合パネルを外型枠に採用する鉄筋コンクリート造外 断熱建物の建築にあって、壁コンクリート液の複合パネル連結部からの漏出を防 止してコンクリート液によるセメント板の白華現象の危険のないセメント板素地 仕上げの可能な建築を可能とし、施工の合理化によるコストダウンを可能とする 実用性の極めて高い考案である。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用】
本考案は、例えば図1に示す如く、表側のセメント板1と裏側の断熱材2とを 含む複合パネルPであって、セメント板1が内面Sbに多数の通気用の条溝11 を備え、断熱材2がセメント板幅W1と少くとも同一の幅W2を備え、且つ、セ メント板端縁1E及び断熱材端縁2Eで形成するパネル端縁Eの一方に落ち込み 段差L1を、他方に突出段差L2,L2´を形成し、該パネルPの衝接連結によ って当接界面から成る継目面B及び該継目面Bに連なる折曲継目面BEが形成出 来るようにした外壁用複合パネルである(請求項1)。
【0008】 尚、折曲継目面BEの「折曲」の意は、断熱材端縁2Eの当接界面で形成され る継目面Bから折曲した形状を意味するものであって、図1(B)では垂直状の 継目面Bの内端から水平状に延びるセメント板内面Sb端部と断熱材内面Sd端 部との水平当接面が折曲継目面であり、図2(B)では厚さT3の断熱材切欠部 22と同一厚さのT3の断熱材突出部23との相欠け継ぎにより形成される水平 当接面が折曲継目面である。 また、「段差」は、複合パネルPの端縁Eでの表側(セメント板側)と裏側( 壁コンクリート固着面)での幅方向の出没差を意味し、図1(A),図2(A) ,図3(A)のL1が落ち込み(没入)段差であり、図1(A),図2(A)の L2、図3(A)のL2´が突出段差である。 また、「セメント板幅W1,W10と少くとも同一の幅W2」の意は、幅W2 が幅W10と同一の場合も、W2がW1より大の場合も含む意であり、図3の断 熱材幅W2がセメント板幅W10と同一のものも、図1及び図2の断熱材幅W2 がセメント板幅W1より大な物も含む意である。
【0009】 本考案は、外壁用複合パネルPを並列に衝接連結して外型枠とし、内側型板3 とで壁型枠を形成すれば、断熱材幅W2がセメント板幅W1より大な図1,図2 のものにあっては、断熱材2端縁2Eが当接すると共にセメント板1間に目地穴 Gが出来、断熱材幅W2がセメント板幅W10と同幅の図3のものにあっては、 断熱材端縁2E及びセメント板端縁1Eが共に当接するが、段差L1,L2,L 2´の存在によって、共に左右パネルPの連接部には、継目面Bと継目面Bに連 なる折曲継目面BEが形成出来る。
【0010】 従って、外壁用複合パネルPを並列衝接して形成した外側枠と内側型板3との 壁型枠内にコンクリート4を流入充填すれば、壁コンクリート4によって、パネ ルPの断熱材外面Scに均等の大きなコンクリート液圧Fpが作用し、断熱材2 の衝接界面によって形成された継目面Bからは矢印F1のコンクリート液の流入 を生ずるが、F1のコンクリート液流入は当接界面から成る継目面Bでの抵抗に より徐々に弱まり、継目面Bの末端に連なる断熱材とセメント板、又は断熱材相 互の当接界面により形成された折曲継目面BEに到ったコンクリート液流F2は 、減少して折曲界面での抵抗により折曲継目面BEの末端までは到達しない。
【0011】 また、複合パネルPの精度及び複合パネル連接精度上から、例え、折曲継目面 BE末端にコンクリート液が到達しても、目地穴G内へ滲みるか滲みない程度と なり、コンクリート液によるセメント板外面Saの汚染はなく、セメント板表面 Saが変色(白華)する恐れもなく、従って、従来の壁コンクリート打設後のパ ネル連結部のセメント液洗浄除去作業も目地穴のセメント片Fcの除去作業も不 必要となって外壁の施工性が向上するばかりでなく、外壁のセメント板素地仕上 げも高品質となる。
【0012】 また、セメント板1の幅W1より断熱材2の幅W2が大であり、断熱材2端縁 2Eを衝接して複合パネルPを衝接連結した際に、各パネルPのセメント板端縁 1E間に目地穴Gが形成出来るようにするのが好ましい(請求項2)。 この場合は、複合パネルP相互の並列衝接に際しては、各セメント板1相互は 当接しないため、硬くてもろいセメント板端縁の衝突破損の恐れなく、複合パネ ルPの並列衝接作業が容易となり、セメント板間隔の若干の不揃いも目地間隔で 吸収出来、目地材充填で支障なく仕上げることが出来る。 従って、使用に際しては、パネル衝接界面に形成される継目面B及び折曲継目 面BEの存在によるコンクリート液のセメント板間への漏出阻止は勿論、セメン ト板相互の衝突による破損が防止出来てパネル相互の連結設置作業も容易となり 、従来の第1の問題点(第1課題)及び第2の問題点(第2課題)が一挙に解決 出来る。
【0013】 また、断熱材2の端縁2Eが平坦であって、セメント板1との一方の段差L1 が大であり、他方の段差L2が小とするのが好ましい(請求項3)。 この場合は、図1(A)及び図2(A)の如く、セメント板1の端縁1Eが平 坦面であることにより、複合パネルの搬送時や衝接施工時でのセメント板端縁の 破損が防止出来、目地穴Gも一定穴幅となるため、目地穴の掃除及び目地仕上げ が容易となる。
【0014】 また、断熱材2の端縁2Eの内面Sdが、一方には切欠部22を、他方には突 出部23を備え、断熱材2の切欠部22から突出部23に亘る内面Sdにセメン ト板1を層着した構造が好ましい(請求項4)。 この場合、図2に示す如く、継目面Bは勿論、折曲継目面BEも断熱材相互で 形成することとなるため、壁コンクリート4からのコンクリート液のパネル衝接 界面への侵入部から終端阻止部(折曲継目面)までの経路全てが断熱材界面で形 成され、コンクリート液の固化物による壁コンクリート4からセメント板1まで のつながり(ブリッジ)の発生の心配はなく、従って、外気にさらされるセメン ト板1と室内側の壁コンクリート4との冷橋(ヒートブリッジ)発生の危険がな い。 しかも、パネル相互の衝接作業も断熱材相互のみであるため、密接界面の形成 もスムーズに遂行出来る。 また、切欠部、突出部共断熱材部であるため、落ち込み段差L1、突出段差L 2の形状、寸法が自在に選択出来、段差L1,L2の形成が容易である。
【0015】 また、図2の如き断熱材相互のみで継目面B及び折曲継目面BEを形成する場 合には、断熱材2の切欠部22の段差L1が突出部23の段差L2より大であり 、切欠部22の厚さT3が突出部23の厚さT3と同一とするのが好ましい(請 求項5)。 この場合は、複合パネルP相互の衝接連結作業は断熱材のみの相欠け継ぎとな り、作業も切欠部22と突出部23とによって不陸を生ずることなく容易に、且 つ、継目面B及び折曲継目面BEを容易に密接海面に形成出来る。 尚、切欠部22及び突出部23の形成に際しては、作業性の面からはパネル厚 の中央(端縁Eの中央)での相欠け継ぎが理想であるが、継目面Bのコンクリー ト液流F1阻止の面からはB+BEの長さの維持が必要であり、BEを生ずる突 出部23は段差L2が大な程パネル損傷を生じ易くなるので、切欠部22及び突 出部23の厚さT3は小さくするのが好ましい。
【0016】 また、複合パネルは、セメント板1の端縁1Eが平坦面で中央に凹部12を備 えた形態とするのが好ましい(請求項6)。 この場合、複合パネルPは、セメント板1が端縁1Eの平坦形状によって端縁 での破損の危険がなく、しかも、目地穴が奥まで等幅となって目地穴の掃除及び 目地仕上げが容易になる利点に加え、目地穴G両側の凹部12の存在により、充 填目地材の保持が確実となって目地仕上げの耐久性向上も期待出来る。
【0017】 また、断熱材内面Sdがセメント板内面Sbの各条溝11に対応する凹溝21 を備え、凹溝21と条溝11とで通気孔Vを形成するのが好ましい(請求項7) 。 セメント板1は、必要強度及び重量の面から25mm以上に厚くするのは得策で なく、また条溝11は通気能を発揮させるためには15〜24mmが必要であるが 、上下パネルのセメント板間の横目地施工にあっても、シーリングバッカ−(図 示せず)を条溝11に成るべく干渉しないように設置するが、実際上、シーリン グバッカ−が条溝11有効深さを若干減少させている。 従って、本考案にあっては、断熱材2の内面Sdに凹溝21を設けて条溝11 と合致した通気孔Vを形成するため、セメント板1の厚みT1を増加せずに充分 な通機能を備えた通気孔Vが形成出来る。 尚、凹溝21の断面形状は、必ずしも矩形である必要はなく、成形時、又は後 加工時の形成手段に応じて適宜選定すれば良い。
【0018】 また、断熱材2が外面Scに水不透性シート20を備えているのが好ましい( 請求項8)。 複合パネルPの断熱材2は、壁コンクリート4の打設によって外面Scがコン クリート4と一体化するが、水不透性シート20の存在により、コンクリート液 の断熱材2内への浸透が阻止出来、従って、断熱材2の断熱性機能の低下が阻止 出来、断熱材採用の自由度が向上する。
【0019】
【考案の実施の形態】
〔例1(図1)〕 図1(A)に示す如く、セメント板1として、平坦な端縁1Eを備えた幅W1 が490mm、厚さT1が25mmで内面Sbには、深さh1が13mm、幅kが30 mmの条溝を、両端での間隔LEが45mm、中間部での間隔LMが20mmに配設し た形態で、上下方向長(図示せず)が2700mmに押出成形したセメント板を用 意する。 また、断熱材2として、幅W2が500mm、厚さT2が75mmで上下方向長が 2700mmの押出法ポリスチレンフォーム板を用意する。
【0020】 次いで、図示しない架台上に、セメント板1を内面(条溝11のある面)Sb を上にして載置し、接着剤(酢酸ビニル系)を塗布し、断熱材2を幅方向の一側 縁2Eをセメント板1より20mmずらして一側縁に段差L1(20mm)、他側縁 に段差L2(10mm)を形成して載置し、断熱材2に重石(おもし)を付加して 両者を接着一体化し、外壁用複合パネルPを形成する。 尚、セメント板1には、押出成形時に、両側端縁2E中央部に浅い円弧状の凹 部12を形成しておく。 また、セメント板1は、図6(A)に示す従来のセメント板(W=500mm) の両端を5mmカットして用いても良く、この場合は、端縁1Eのカットが寸法精 度を向上させるメリットがあり、同時に凹部12は浅い凹部12となる。
【0021】 上記で得られた複合パネルPを用いて外断熱鉄筋コンクリート造建築物の外壁 を形成する際には、図1(B)に示す如く、各複合パネルPを、断熱材端縁2E 相互の衝接、及びセメント板段差L2と断熱材内面Sd端面との当接により並列 連結して壁コンクリート4の外側型枠とし、内側型板3とで外壁型枠とし、壁コ ンクリート4を打設すれば、打設コンクリート液圧Fpが断熱材外面Sc全体に 負荷され、パネル当接界面、即ち、断熱材端縁2Eの当接界面である継目面Bか ら矢印F1のコンクリート液流が侵入するが、該コンクリート液流F1は継目面 Bでの抵抗により徐々に減衰し、断熱材内面Sdの端部とセメント板1内面Sb の突出面段差L2とで出来た折曲継目面BEへのセメント液流の直角屈折流F2 は、折曲点での抵抗増加により折曲継目面BEの末端までには阻止される。
【0022】 また、複合パネルPの並列連結の精度によっては、コンクリート液流F2が若 干目地穴G内へ滲み出る場合があるが、例え、コンクリート液が目地穴G内へ滲 み出しても目地穴Gの奥から下方へ垂れる程度であって、もはやコンクリート液 を掃除せねばならない程の量ではなく、従来の如く、漏出コンクリート液がセメ ント板1の表面を汚染することも、目地穴G内でコンクリート片Fを形成する こともない。 従って、例1の複合パネルP(図1)を採用して壁コンクリート一体化外壁を 形成する場合は、従来のセメント板目地の掃除も、セメント板表面の変色(白華 現象)補修作業も必要なく、セメント板素地仕上げ外壁の形成が可能となる。
【0023】 また、目地穴Gは、奥まで等幅であり、セメント板端縁の凹部12によって目 地中央部に凹部が存在するため、目地穴Gの必要に応じた掃除が簡単であると共 に、充填目地材(図示せず)も、凹部の存在によって保持固定が確実となり、耐 久性向上が期待出来る。 しかも、セメント板端縁1E間には段差L1(20mm)−段差L2(10mm) の間隔が存在する形態に各複合パネルPが衝接連結されるため、セメント板1の 幅精度不良やパネル相互の上下方向不陸によって、例え目地穴Gに若干の上下方 向歪があっても、パネル衝接時のセメント板端縁の衝突損傷等は避けることが出 来、各パネルの並列連結作業が容易であり、目地材充填も支障なく遂行出来る。
【0024】 〔例2(図2)〕 例1と同一のセメント板1を使用し、断熱材2は形状のみ例1の断熱材2と相 違するものである。即ち、図2(A)に示す如く、断熱材2は、壁コンクリート 4と当接一体化する外面Scは500mmの幅W2を備え、内面Sdは、一側には 厚さT3が10mmで段差L1の長さが20mmの直角形態の切欠部22を、他側に は、厚さT3が10mmで段差L2が10mmの断面正方形態の突出部23を備えた 構造であって、切欠部22及び突出部23によって形成した490mm幅となった 内面Sdに、幅W1が490mm、厚さT1が25mmの例1のセメント板1と同一 のセメント板1を例1同様に層着一体化した複合パネルである。
【0025】 得られた複合パネルPを用いて外断熱鉄筋コンクリート造建築物の外壁を形成 する際には、図2(B)に示す如く、各複合パネルPをセメント板外面Sa及び 断熱材外面Scが面一となるように、断熱材端縁2Eを衝接し、断熱材端縁2E の当接による継目面B、及び断熱材2の突出部23と切欠部22の当接による継 目面Bとは直角の折曲面BEを当接界面として連結して壁コンクリート外側枠と し、内側型板3とで壁コンクリート枠を型組みし、型枠内への必要配筋施工後、 壁コンクリート4を型枠内に打設充填する。
【0026】 打設壁コンクリート4は、充填時に流動性を有して複合パネルPの断熱材外面 Sc前面にコンクリート液圧Fpを生じてパネル連結継目、即ち、断熱材端縁2 Eの当接界面の継目面Bからはコンクリート液流F1が侵入するが、コンクリー ト液流F1は、当接界面(継目面)Bを徐々に減衰進入し、継目面Bに連続する 折曲継目面BEへの折曲点での抵抗増加によって急激に減少し、折曲継目面BE の末端までには阻止出来る。 また、パネル連結精度に起因して、例えコンクリート液が目地穴G(幅10mm )内に到達しても、該少量の滲み出したコンクリート液は、目地穴G内の断熱材 面(切欠部22と突出部23とで形成された面)を垂れ下がる程度に止まり、コ ンクリート液がセメント板端縁1Eに到達して固化することは避けられる。
【0027】 従って、得られた外壁にあっては、壁コンクリート4とセメント板1とのコン クリート液の固化による接続が避けられ、外気にさらされるセメント板1から室 内側の壁コンクリート4への冷橋(ヒートブリッジ)が避けられ、高品質の外断 熱外壁となる。 勿論、各パネルのセメント板間には幅10mm(L1−L2)の目地穴が存在す る形態であるため、例1のパネルと同様に、セメント板端縁1Eを損傷すること なくパネル相互の連結が施工出来、若干の不陸があってもパネル連結施工が容易 に遂行出来る。
【0028】 〔例3(図3)〕 図3(A)に示す如く、例1に対してセメント板1の形状、寸法、層着形態を 変更するものである。即ち、セメント板1の幅W10は500mmで断熱材幅W2 (500mm)と同寸であり、端縁1Eは、従来例(図6)同様に、凹部12及び 突部13を形成し、突部先端は端縁1Eより後退した形状である。 また、セメント板1と断熱材2とは、一側縁に10mmの落ち込み段差L1を、 他側縁にも10mmの突出段差L2´を形成して例1同様に一体化層着する。
【0029】 得られた複合パネルPを例1同様に用いて外断熱鉄筋コンクリート造建築物の 外壁を形成すれば、図3(B)に示す如く、パネル連結部には、断熱材端縁2E 相互が当接形成する継目面B、及び落ち込み段差L1の断熱材内面Sd端部と突 出段差L2´のセメント板内面Sb端部とが当接形成する折曲継目面BEが形成 出来、該継目面Bと折曲継目面BEの存在により、壁コンクリート4打設時のコ ンクリート液流F1は、例1及び例2のパネル採用時と同様に、徐々に減少して 折曲継目面BEでは微弱な液流F2となり、折曲継目面BEの端部への到達は避 けられる。
【0030】 また、例え、パネル相互の連結部精度に起因してコンクリート液が折曲継目面 BEを透過してセメント板端縁1E間に滲み出しても目地穴G内に従来例の如き コンクリート片Fcを形成する程には到らず、コンクリート液がセメント板1外 面を汚染することはなく、セメント板素地仕上げの外壁の形成が可能となる。 従って、例3の複合パネルを使用すれば、各複合パネル相互の当接連結作業が 、セメント板端縁1Eの損傷を生じたり、各パネル精度に起因する建物の壁方向 延びの問題はあるものの、打設コンクリート4によるセメント板外面の汚染変色 (白華現象)は避けられ、例3の複合パネルの使用により、少くとも従来パネル の重大な問題点である第1課題は完全に解決出来る。
【0031】 〔その他(図4,図5)〕 図4に示す如く、例1乃至例3の各タイプの複合パネルPに於いて、断熱材の 内面Sdには深さh2が10mmで幅kがセメント板条溝11と同長(30mm)の 凹溝21を条溝11に対向配置し、深さVHが23mm(h1+h2)の通気孔V を形成するのが有利である。 セメント板1の厚さは強度及び重量の面から最適値が決定出来、また条溝11 の厚さも自然換気効果面から15〜24mmが好ましく、更には、セメント板の横 目地にもシーリングバッカー(図示せず)を介在する必要があり、現在、最適設 計品として賞用されている25mm厚のセメント板では条溝11の深さh1が13 mmであり、通気層機能を阻害しない横目地形成は、薄いシーリングバッカーの精 密な接着作業を要し、困難な作業であった。
【0032】 従って、図4に示す如く、セメント板条溝11と断熱材凹溝21との合体で充 分な深さ(h1+h2)の通気孔Vを形成すれば、セメント板と断熱材との積層 形態の外断熱複合パネルに於いて、セメント板1の不必要な重量増大を招くこと なく、且つ、断熱材2の断熱機能の低下も招くことなく、横目地のシーリングバ ッカーの接着作業が容易で充分な自然換気能を奏する通気層の形成が可能となり 、本願の例1乃至例3の複合パネルに図4の通気孔Vを適用すれば、建築施工作 業の容易な高品質の外断熱鉄筋コンクリート造建物の提供が可能となる。
【0033】 また、本願の例1乃至例3の各複合パネルPには、図5に示す如く、断熱材2 の外面に水不透性シート20を張着するのが有効である。 水不透性シート20が複合パネルPの断熱材外面Sc(裏側外面)にあれば、 壁コンクリート4の打設時に複合パネル断熱材2の外面Scにコンクリート液圧 Fpが作用しても、コンクリート液及び水分の断熱材2中への浸透が阻止出来、 従って、断熱材2のコンクリート液及び水分吸収による断熱性能低下が防げる。
【0034】
【考案の効果】
複合パネルPが端縁Eの一方に落込み段差L1を、他方に突出段差L2,L2 ´を備えているため、鉄筋コンクリート造建築物の外壁の外側型枠として該複合 パネル相互を衝接連結すれば、各パネルPの連結部にあっては、断熱材端縁2E の当接界面から成る継目面B、及び各パネルP側端の段差L1,L2,L2´の 当接界面から成る該継目面Bに連なる折曲継目面BEが形成出来、壁コンクリー ト4を打設すれば、打設壁コンクリート4のパネル連結部からのコンクリート液 の継目面Bへの侵入も折曲継目面BEによって好適に阻止出来、セメント板端縁 1E間への漏出は阻止出来て、従来の困難な作業であった、目地穴Gへの漏出コ ンクリート液の除去掃除、及びセメント板面のコンクリート液汚染除去作業が不 要となり、施工性が向上するのは勿論、セメント板素地仕上げの外壁形成も可能 となる。
【0035】 また、セメント板幅W1より断熱材幅W2を大とするので、複合パネルPの衝 接連結作業は、セメント板端縁1E相互が当接しないため、セメント板端縁1E 相互の衝突破損の心配なく容易に実施出来ると共に、セメント板1に精度上の問 題(精度不良)があっても、各セメント板端縁1E間の間隔(目地穴G)での寸 法誤差吸収によりパネルPの相互連結作業は支障なく実施出来、従って、複合パ ネルを用いた壁外枠の形成作業も容易となる。
【0036】 また、複合パネル側端縁Eでの相欠け接合用の段差L1,L2を断熱材2の切 欠部22と突出部23とで形成するため、パネルPの連結部での継目面B及び折 曲継目面BEは共に断熱材当接により形成出来、従って、継目面B,BEによる 壁コンクリート4からのコンクリート液の複合パネル連結部からの漏出が阻止出 来るのは勿論、例え、少量のコンクリート液の折曲継目面BEからの滲み出しが あっても、滲み出しコンクリート液の固化による壁コンクリート4とセメント板 1との冷橋(ヒートブリッジ)を生ずる心配はなく、セメント板1がコンクリー ト液で汚染されることも、冷橋による断熱性能低下もない、高品質の外断熱建物 が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の例1の複合パネル図であって、(A)
は横断説明図、(B)は使用状態横断説明図である。
【図2】本考案の例2の複合パネル図であって、(A)
は横断説明図、(B)は使用状態横断説明図である。
【図3】本考案の例3の複合パネル図であって、(A)
は横断説明図、(B)は使用状態横断説明図である。
【図4】本考案複合パネルの通気層部の改良例の部分横
断説明図である。
【図5】本考案複合パネルの断熱材の改良例の部分横断
説明図である。
【図6】従来の複合パネル図であって、(A)は横断説
明図、(B)は使用状態横断説明図である。
【符号の説明】
1:セメント板、 1E:セメント板端縁、
2:断熱材、2E:断熱材端縁、 3:内側型板、
4:壁コンクリート、11:条溝、
12:凹部、 20:水不透性シート、
21:凹溝、 22:切欠部、 2
3:突出部、B:継目面、 BE:折曲継目
面、 G:目地穴、L1:段差(落ち込み段
差)、 L2,L2´:段差(突出段差)、S
a:セメント板外面、 Sb:セメント板内面、S
c:断熱材外面、 Sd:断熱材内面、T1:
セメント板厚、 T2:断熱材厚、 T3:突出部
(切欠部)厚、V:通気孔、 W1,W10:セメン
ト板幅、 W2:断熱材幅、

Claims (8)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表側のセメント板(1)と裏側の断熱材
    (2)とを含む複合パネル(P)であって、セメント板
    (1)が内面(Sb)に多数の通気用の条溝(11)を
    備え、断熱材(2)がセメント板幅(W1,W10)と
    少くとも同一の幅(W2)を備え、且つ、セメント板端
    縁(1E)及び断熱材端縁(2E)で形成するパネル端
    縁(E)の一方に落ち込み段差(L1)を、他方に突出
    段差(L2,L2´)を形成し、該パネル(P)の衝接
    連結によって当接界面から成る継目面(B)及び該継目
    面(B)に連なる折曲継目面(BE)が形成出来るよう
    にした、外壁用複合パネル。
  2. 【請求項2】 セメント板(1)の幅(W1)より断熱
    材(2)の幅(W2)が大であり、断熱材(2)端縁
    (2E)を衝接して複合パネル(P)を衝接連結した際
    に、各パネル(P)のセメント板端縁(1E)間に目地
    穴(G)が形成出来るようにした、請求項1の外壁用複
    合パネル。
  3. 【請求項3】 断熱材(2)の端縁(2E)が平坦であ
    って、セメント板(1)との一方の段差(L1)が大で
    あり、他方の段差(L2)が小である請求項1又は2の
    外壁用複合パネル。
  4. 【請求項4】 断熱材(2)の端縁(2E)の内面(S
    d)が、一方には切欠部(22)を、他方には突出部
    (23)を備え、断熱材(2)の切欠部(22)から突
    出部(23)に亘る内面(Sd)にセメント板(1)を
    層着した請求項1又は2の外壁用複合パネル。
  5. 【請求項5】 断熱材(2)の切欠部(22)の段差
    (L1)が突出部(23)の段差(L2)より大であ
    り、切欠部(22)の厚さ(T3)が突出部(23)の
    厚さ(T3)と同一である請求項4の外壁用複合パネ
    ル。
  6. 【請求項6】 セメント板(1)の端縁(1E)が平坦
    面で中央に凹部(12)を備えている、請求項1乃至5
    のいずれか1項の外壁用複合パネル。
  7. 【請求項7】 断熱材内面(Sd)がセメント板内面
    (Sb)の各条溝(11)に対応する凹溝(21)を備
    え、凹溝(21)と条溝(11)とで通気孔(V)を形
    成した、請求項1乃至6のいずれか1項の外壁用複合パ
    ネル。
  8. 【請求項8】 断熱材(2)が外面(Sc)に水不透性
    シート(20)を備えた請求項1乃至7のいずれか1項
    の外壁用複合パネル。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005120786A (ja) * 2003-10-20 2005-05-12 Tesuku:Kk 通気性外壁に於ける額縁構造
JP2006241821A (ja) * 2005-03-03 2006-09-14 Hikari Jo プレキャストコンクリート体にプレストレスを導入した外断熱建築物
JP2006328805A (ja) * 2005-05-26 2006-12-07 Jsd:Kk プレキャストコンクリート体を用いる外断熱プレストレスト建物の構築方法
CN100587181C (zh) * 2006-08-10 2010-02-03 株式会社天实库 木造建筑物外铺装隔热外壁结构
CN101144321B (zh) * 2006-09-14 2010-06-16 株式会社天实库 用于覆盖建筑物的外壁的通气性隔热复合镶板

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