JPH06238812A

JPH06238812A - プレキャストコンクリート版及びその製造方法

Info

Publication number: JPH06238812A
Application number: JP5029443A
Authority: JP
Inventors: Masahiro Sumino; 正博住野; Shigeyuki Sogo; 茂幸十河; Nobunori Takeda; 宣典竹田; Mitsuo Koyanagi; 光生小柳; Takeshi Kawachi; 武川地; Takashige Haga; 孝成芳賀; Atsushi Nakane; 淳中根; Masami Kurihara; 正美栗原
Original assignee: Obayashi Corp
Current assignee: Obayashi Corp
Priority date: 1993-02-18
Filing date: 1993-02-18
Publication date: 1994-08-30

Abstract

(57)【要約】【目的】塩分、ガス、水の浸透そのものを遮断すると
ともに、プレキャストコンクリート版同士を突合わせた
接合部からの塩分等の浸入をも防止できるプレキャスト
コンクリート版及びその製造方法を提供することを目的
とする。【構成】プレキャストコンクリート版１は、環境側に
対向する面及びコンクリート版１内部はコンクリートで
形成されたコンクリート部２となっており、後打ちコン
クリートとの打設面及び上下左右の側部の接合面は、ポ
リプロピレン等の有機合成繊維若しくはステンレス、炭
素繊維等によって形成された不繊布又は繊布からなる繊
維層３１と、そしてモルタル層２と繊維層３１の隙間を
満たすようにしてなる樹脂層３２とからなる樹脂・繊維
複合層３が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、内部に塩分、ガス、
水の浸透を遮断するための樹脂・繊維複合層を設けたプ
レキャストコンクリート版及びその製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】プレキャストコンクリート版は、コンク
リート建造物を構築する際に、それ自体を構造物の構造
材とする場合や、コンクリートを打設するために型枠と
して設置される外装部材とする場合などがある。

【０００３】コンクリートは大気中の二酸化炭素などの
影響によって、表面から損食を受ける。また、コンクリ
ート中のセメントは主として石灰石とＳｉＯ₂，Ａｌ₂
Ｏ₃，Ｆｅ₂Ｏ₃との石灰塩と、少量のアルカリ化合物
よりなるため、工場廃水、海水により浸食を受け、さら
には酸類の影響により中性化が起こりコンクリートその
ものが変質する。

【０００４】また、このコンクリートの損食、浸食及び
中性化の進行により間接的に、或いはコンクリート内部
に存在する毛細管空隙を浸透してきた水等により直接的
に内部の鉄筋が腐食される。

【０００５】この防止のため、例えば、躯体保護用捨て
型枠と後打ちされるコンクリートとの間にＦＲＰ材等か
らなる環境遮断層を設ける方法が提案されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、プレキ
ャストコンクリート版は、その端部を突合わせて接合し
て複数枚配設されるため、後打ちコンクリートとプレキ
ャストコンクリート版との打設面での遮断が成されてい
ても、その接合部から塩分、ガス、水等が浸透しコンク
リート構造材のコンクリート部分や鉄筋を浸食する問題
があった。これを防ぐため従来では接着剤でプレキャス
トコンクリート版同士を接合させ、その後シーリング材
でシールする方法が採られている。ところが、接着剤を
用いてコンクリート部分を完全に密着させることは困難
であり、シール材の施工は高度な技術が必要とされると
ともに、多大な労力と時間がかかり工期の遅延の原因と
もなっていた。また、シール材でのシーリングは接合部
表面の間隙を埋めるにすぎないため遮断性に限界があっ
た。

【０００７】この発明は上記の目的を解決するものであ
って、その目的は塩分、ガス、水の浸透そのものを遮断
することができ、さらにはプレキャストコンクリート版
の接合部からの塩分等の浸入をも防止できるプレキャス
トコンクリート版及びその製造方法を提供することを目
的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明は、端部を突合わせて順次接合されるプレ
キャストコンクリート版であって、内部をコンクリート
で形成し、該プレキャストコンクリート版の少なくとも
前記端部の表面に樹脂・繊維複合層を形成するものであ
る。

【０００９】また、プレキャストコンクリート版を形成
するための型枠内面に繊維を敷き込むとともに樹脂を配
設して樹脂・繊維複合層を形成し、次いでコンクリート
を打設しコンクリート部を形成させるものである。

【００１０】若しくは、プレキャストコンクリート版を
形成するための型枠片面の表面に繊維を敷き込むととも
に樹脂を配設して樹脂・繊維複合層を形成し、次いでコ
ンクリートを打設しコンクリート部を形成させ、さらに
打設されたコンクリート部表面に繊維を敷き込むととも
に樹脂を配設してプレキャストコンクリート版の全面に
樹脂・繊維層を形成するものである。

【００１１】

【作用】プレキャストコンクリート版を形成するための
型枠内面に繊維を敷き込むとともに樹脂を配設して樹脂
・繊維複合層を形成し、次いでコンクリートを打設しコ
ンクリート部を形成させる。

【００１２】若しくは、プレキャストコンクリート版を
形成するための型枠片面の表面に繊維を敷き込むととも
に樹脂を配設して樹脂・繊維複合層を形成し、次いでコ
ンクリートを打設しコンクリート部を形成させ、さらに
打設されたコンクリート部表面に繊維を敷き込むととも
に樹脂を配設してプレキャストコンクリート版の全面に
樹脂・繊維層を形成する。

【００１３】

【実施例】以下、この発明の一実施例を図面を用いて詳
細に説明する。図１はプレキャストコンクリート版１の
斜視図である。

【００１４】プレキャストコンクリート版１は、図１
（Ａ）に示すように、外層材、地下遮水版若しくはＲＣ
構造物の躯体保護用捨て型枠などとして用いられるもの
である。そして、建て込まれた時環境側すなわち、大
気、海水若しくは地下水等のコンクリートに影響を及ぼ
すものに対向する面及びコンクリート版１内部はコンク
リートで形成されたコンクリート部２となっており、後
打ちコンクリートとの打設面、すなわち前記環境側と反
対側の面及び上下左右の側部の接合面は、面に平行な平
面内に敷き込まれたポリプロピレン、ポリエステル、ア
クリル等の有機合成繊維若しくはステンレス、炭素繊維
等によって形成された不繊布又は繊布からなる繊維層３
１と、そしてモルタル層２と繊維層３１の隙間を満たす
ようにしてなる樹脂層３２とからなる樹脂・繊維複合層
３が形成されている。

【００１５】この側面に形成された樹脂・繊維複合層３
はコンクリートに比べて弾力性、可撓性に優れておりプ
レキャストコンクリート版１を建込む際には、この樹脂
・繊維複合層３を突合わせて密着させることにより接合
部から塩分等が浸透するのを防止することができる。

【００１６】なお、コンクリート部２内は、ビニロン短
繊維や炭素の短繊維を混ぜ込んで、遮断性を向上させて
もよい、或いはＣＦメッシュ、アラミドメッシュ等を敷
き込んで強度を向上させてもよい。また、樹脂層３２
は、エポキシ樹脂だけでなく、タルク等のフィラー材若
しくは硅砂をまぜたものとしてもよい。

【００１７】以上の構成を有するプレキャストコンクリ
ート版１の製造方法を説明する。

【００１８】図１（Ｂ）に示すように、まず型枠５内の
内面に剥離剤を塗布するか、或いはテフロン、ポリエチ
レン、塩化ビニルのフィルムを若しくはシートを貼設し
て、後に塗布される樹脂が型枠５の型面に付着するのを
防止する。次いで、型枠５内面にエポキシ樹脂を吹き付
け等により塗布して樹脂層３２を形成するとともに、ポ
リプロピレン、ポリエステル、アクリル等の合成繊維、
或いはステンレス又は炭素等からなる織布又は不織布を
敷き込み繊維層３１を形成する。このとき両面テープ等
を用いることが好ましい。さらに、敷き込まれた繊維層
３１表面に樹脂を吹き付けて樹脂・繊維複合層３を形成
させる。

【００１９】その後、モルタルを打設してコンクリート
部２を形成する。この打設したモルタルの深さがコンク
リート部２の壁厚となる。

【００２０】次いで、蒸気養生などを実施し、ある程度
モルタルが強度を発現した後脱型する。この脱型の時期
は通常通り翌日には行うことができる。

【００２１】第２の実施例は、図２（Ａ）に示すよう
に、その要旨とするところは環境側のコンクリート面に
も樹脂・繊維複合層４を設けたことにある。塩分等の浸
透を防ぐための遮断層を二重に設けることによりプレキ
ャストコンクリート版１の躯体保護機能をさらに向上さ
せることができる。

【００２２】その製造方法は、図２（Ｂ）に示すよう
に、型枠５内の内面に剥離剤を塗布するか、或いはテフ
ロン、ポリエチレン、塩化ビニルのフィルムを若しくは
シートを貼設して、後に塗布される樹脂が型枠５の型面
に付着するのを防止する。次いで、型枠５内面にエポキ
シ樹脂を吹き付け等により塗布して樹脂層３２を形成す
るとともに、ポリプロピレン、ポリエステル、アクリル
等の合成繊維、或いはステンレス又は炭素等からなる織
布又は不織布を敷き込み繊維層３１を形成する。このと
き、敷き込まれる織布等は、型枠５の深さ寸法よりも長
く、敷き込んだときに型枠から余る程度の大きさのもの
を用いる。この余った繊維層３１ａは後に形成される環
境側の樹脂・繊維複合層４との結合に使用される。次い
で、敷き込まれた繊維層３１表面に樹脂を吹き付けて樹
脂・繊維複合層３を形成させる。

【００２３】その後、モルタルを打設してコンクリート
部２を形成するとともに、前記の余った繊維層３１ａを
打設されたコンクリート部２表面側に折り込んで脱泡ロ
ーラ等を用いてコンクリート面に圧着させて一体化を図
る。次いで、圧着された繊維層３１ａを含むコンクリー
ト部２の上面にエポキシ樹脂を吹き付けるとともに、圧
着された織布３１ａと重なるようにポリプロピレン等の
織布又は不織布を敷きこみ、次いでエポキシ樹脂等を吹
き付けて環境側の樹脂・繊維複合層４を形成する。

【００２４】次いで、蒸気養生などを実施し、ある程度
モルタルが強度を発現した後脱型する。この脱型の時期
は通常通り翌日には行うことができる。

【００２５】なお、環境側の樹脂・繊維複合層４を形成
させる工程においては、樹脂・繊維複合層４を予めＦＲ
Ｐ板として製作しておいて、余った繊維層３１ａをコン
クリート部２上面に圧着した後、このＦＲＰ板を設置し
てもよい。

【００２６】また、このようにして製作されたプレキャ
ストコンクリート版１は耐蝕性、耐水性に優れているた
め水、液薬と接する側の型枠として使用することにより
貯水層などの防蝕壁面が容易に建造できる。その際、目
地部分に美観向上のため養色樹脂を塗布するか、積層ラ
イニングを施すことが好ましい。

【００２７】

【発明の効果】塩分、ガス、水の浸透そのものを遮断す
ることができ、さらにはプレキャストコンクリート版同
士を突合わせた接合部からの塩分等の浸入をも防止でき
るさらには、プレキャストコンクリート工場での製造時に
既存設備が利用でき、現場製造時には型枠と締固め用具
があれば良く特別な設備を要せず経済的に実施できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明にかかるプレキャストキャストコンク
リート版の実施例の説明図である。

【図２】この発明にかかるプレキャストキャストコンク
リート版の第２実施例の説明図である。

【符号の説明】

１プレキャストコンクリート版２コンクリート部３樹脂・繊維複合層４樹脂・繊維複合層（環境側）５型枠

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者小柳光生東京都清瀬市下清戸４丁目640番地株式会社大林組技術研究所内 (72)発明者川地武東京都清瀬市下清戸４丁目640番地株式会社大林組技術研究所内 (72)発明者芳賀孝成東京都清瀬市下清戸４丁目640番地株式会社大林組技術研究所内 (72)発明者中根淳東京都清瀬市下清戸４丁目640番地株式会社大林組技術研究所内 (72)発明者栗原正美東京都清瀬市下清戸４丁目640番地株式会社大林組技術研究所内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】端部を突合わせて順次接合されるプレキ
ャストコンクリート版であって、内部をコンクリートで
形成し、該プレキャストコンクリート版の少なくとも前
記端部の表面に樹脂・繊維複合層を形成することを特徴
とするプレキャストコンクリート版。
【請求項２】プレキャストコンクリート版を形成する
ための型枠内面に繊維を敷き込むとともに樹脂を配設し
て樹脂・繊維複合層を形成し、次いでコンクリートを打
設しコンクリート部を形成させることを特徴とするプレ
キャストコンクリート版の製造方法。
【請求項３】プレキャストコンクリート版を形成する
ための型枠片面の表面に繊維を敷き込むとともに樹脂を
配設して樹脂・繊維複合層を形成し、次いでコンクリー
トを打設しコンクリート部を形成させ、さらに打設され
たコンクリート部表面に繊維を敷き込むとともに樹脂を
配設してプレキャストコンクリート版の全面に樹脂・繊
維層を形成することを特徴とするプレキャストコンクリ
ート版の製造方法。