JP3577063B2 - 鉄筋コンクリート造建築物に於ける帳壁構造 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄筋コンクリート造壁式構造に於ける帳壁構造に関するものであり、新規な外断熱複合パネルを新規な壁式構造建築物に適用して、耐震、耐火性の外壁構造を提供するものであり、鉄筋コンクリート造壁式構造建築の技術分野に属するものである。
【０００２】
【従来の技術】
鉄筋コンクリート造の壁式構造やラーメン構造の建築物にあっては、外断熱工法として、断熱複合パネルをコンクリート壁などの躯体に型枠併用として配置し、壁コンクリートの打設によってコンクリート壁と一体化して外壁を形成しており、耐力壁部も耐力壁として計算されない非耐力壁部も、共に断熱複合パネルとコンクリート壁との一体化壁としていた。
即ち、鉄筋コンクリート造の壁式構造やラーメン構造の建築物にあっては、従来より断熱複合パネルを帳壁として単体で採用することはなかった。
また、鉄骨造建築物にあっては、従来よりパネルを鉄骨造躯体に帳壁として取付ける工法が採用されており、該工法に有利に適用出来る外断熱複合パネルとしては、本出願人等が特願平９−１５２６２８号として提案し、特許第２９９９９８０号として特許登録されている断熱複合パネルがある。
【０００３】
図１０は、特許第２９９９９８０号のパネルであって、該パネルは、鋼材の上枠、下枠及び両側枠から成る枠体の外面に、貫通孔を有する成形セメント板の３枚を並列接続した形態でＺクリップを介して止着し、枠体の内面には内装板（石膏ボード）を配置し、硬質ウレタンフォームの枠体内への注入充填発泡によって、セメント板、枠体、及び内装板を、硬質ウレタンフォーム断熱層によって一体化固定したものであり、鉄骨造建築物の帳壁パネルとして採用すれば、セメント板に対する断熱層の現場での吹付け作業も、内装面材の取付け作業も不要となり、建築工期の大幅な短縮化を可能とする、極めて有用な断熱複合パネルである。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
従来の鉄筋コンクリート造の建築物の施工は、耐力壁部と非耐力壁部を含む外壁全体に壁型枠の工事が必要であり、断熱複合パネルを用いた外断熱建築物は、内断熱建築物よりも、住環境面、耐久面等から優れていながら建築費、建築期間の面が普及の阻害要因となっていた。
【０００５】
また、従来の断熱複合パネル（図１０）にあっては、外壁として鉄骨造建築物躯体に取付ける際に、クレーン等で吊上げて配置するが、吊上げ時のパネル変形防止のため、また、製作時の硬質ウレタンフォームの注入発泡時の堰止めのために鋼材の側枠は必要不可欠であり、建築物としても、該側枠部が熱橋となって断熱機能を低下させるため、外断熱建築物としては該側枠に対する煩雑な熱橋阻止手段（図１０の緩衝体付設）を施す必要があった。
【０００６】
しかも、一体化された内装面材（石膏ボード）は、施工取扱中に欠損や汚染の損傷を受ける危険があり、特に、吸水によってカビを発生させることが多く、汚れた内装面材上にきれいな新規面材を貼着仕上げしても、カビの内部からの繁殖伝播によって、後日に新規面材表面へのカビ汚れの発現、及びアトピー等の健康上の問題があった。
従って、該断熱複合パネルは、鉄骨造建築物に於ける帳壁パネルとしては、外断熱機能付与、内装面材付与の面で画期的な利点を有する有用なパネルではあるが、鉄筋コンクリート造の壁式構造やラーメン構造建築物への採用には、上述の如き多くの問題があった。
【０００７】
即ち、本出願人が、先に開発に成功し、特願２００１−０２５１４２号として提案した、断熱複合パネルを単体で帳壁とする鉄筋コンクリート造壁式構造建築物に、該断熱パネル（図１０）を適用すれば、石膏ボード（内装面材）が床スラブ打設コンクリートに当接するため、コンクリートの配合水を吸水してカビを発生させる問題がある。
更に、断熱層の発泡凝固時の自己接着力によって、セメント板の枠体への係止部のＺクリップが一体化固定され、枠体、セメント板、及び内装面材相互も一体化固定されて複合パネル内での層間変位の吸収作用が生じないため、地震や強風時に建物に揺れが生じた際には、石膏ボード（内装面材）、特に石膏ボードの衝接連結部に亀裂の発生する問題がある。
更に、該断熱複合パネルで外壁を形成すれば、構造材としての枠体への耐火性能付与作業が煩雑であった。
【０００８】
本発明は、特許第２９９９９８０号の断熱複合パネル（図１０）の、上述の如き、種々の問題点を解決、又は改善した新規な構造の外断熱複合パネルを、鉄筋コンクリート造の壁式構造やラーメン構造建築物の帳壁外壁パネルとして採用し、鉄筋コンクリート造壁式構造建築物でありながら、非耐力壁部を壁型枠作業の不要な帳壁部とする新規な帳壁構造を提供し、耐震性及び耐火性を備えた、新規、且つ実用性の極めて高い鉄筋コンクリート造建築物の提供を可能とするものである。
【０００９】
【課題を解決するための手段、及び作用】
本発明帳壁構造は、例えば図１に示す如く、耐力壁Ｗｃ（図４）間の上下の床スラブＳ端縁間に、外断熱複合パネル１を取付金物Ｍを介して張設固定した帳壁構造であって、該パネル１は、鋼材から成る上枠４ａと下枠４ｂとを補強鋼材４ｃで連結した枠体４と、外面材としてのセメント板層２と、内面材としての断熱層３とを含み、セメント板層２は、上部及び下部を上枠４ａ及び下枠４ｂにＺクリップ７を介して取付け、断熱層３は、上枠４ａ及び下枠４ｂの内面をＺクリップ７を含めて耐水性を有する耐火材９で被覆して枠体４内面に合成樹脂を充填発泡一体化したものである（請求項１）。
【００１０】
尚、枠体４は、断熱層の充填発泡時の発泡圧に耐え、且つ充填剤の堰止め作用をすると共に、セメント板をも強固に保持する必要があるため、上下枠は、図７の如く、Ｚクリップ係止辺（水平辺）４Ｈと堰止め立上り辺４Ｆとを備えたアングル鋼材が好ましく、補強鋼材４ｃは上下枠と共に剛体枠を形成するため、上下枠間に複数本、平行に配置するのが好ましい。
【００１１】
この場合、耐火被覆材（耐火材）９は、耐火性、耐水性、断熱性、吸音性、遮音性に富み、且つ、鋏（ハサミ）やナイフで簡単に切断出来て被覆作業の容易な繊維系の不燃材料、例えば、カオウール（イソライト工業（株）商品名）等の採用が好適である。
この場合、断熱層３は吸水性が小さく、コンクリート付着性の高い慣用のプラスチック系材であれば良く、特許第２９９９９８０号パネル（図１０）に採用した硬質ウレタンフォームが採用出来、セメント板層２としても公知パネル（図１０）のセメント板の採用が可能である。
【００１２】
そして、本発明の帳壁構造にあっては、断熱層３の充填発泡固化によって耐火材９は、Ｚクリップや上下枠を被覆して寸法安定化しているため、断熱複合パネル１は、外面のセメント板層２による外側からの耐火機能と、断熱材層３を介した内側からの枠体への耐火機能を具備したため、断熱性、耐火性に優れた耐火建築物の帳壁外壁となる。
しかも、Ｚクリップ係止部は、耐火被覆材９によって被覆されて断熱層３によるセメント板層２との固定を免れ、Ｚクリップの変位吸収機能（地震等の大応力を受けた際の層間変位許容機能）の発揮が可能であるため、本発明の帳壁構造にあっては、地震時のセメント板層の亀裂、落下の抑制出来る耐震性の帳壁外壁となる。
【００１３】
そして、断熱複合パネル（帳壁パネル）１の補強鋼材４ｃは、強度面では従来の側枠の機能を奏して側枠を不要としたため、断熱複合パネル（帳壁パネル）１は、パネル１の建付け施工時にもパネル変形を生じない剛構造体でありながら従来パネル（図１０）の如き鋼材側枠が存在せず、従って、側枠への熱橋作用防止手段は不要である。
しかも、パネル１の内面は、従来のパネルの如き内装面板（石膏ボード）が存在せず、耐水性を有する耐火被覆材９と吸水性のない断熱層３が表出しているため、例えば、図１に示す如く、該パネルを鉄筋コンクリート建築に於ける帳壁パネルに採用しても、床スラブコンクリートＳからの吸水による帳壁パネル（断熱複合パネル）１の内表面でのカビ発生は抑制出来る。
【００１４】
従って、本発明帳壁構造は、耐力壁部と非耐力壁部とで外壁を形成する鉄筋コンクリート造建築物に於いて、非耐力壁部を断熱複合パネル（帳壁パネル）１のみでの形成を可能とし、非耐力壁部での壁コンクリート型枠工を不要として、使用資材面、施工期間面からも有利な建築物の提供を可能とし、耐久性、耐震性、耐火性、断熱性で従来のコンクリート壁＋断熱複合パネルの非耐力壁部と同等、又はそれ以上の外壁を提供する。
【００１５】
また、本発明帳壁構造にあっては、各複合パネル１相互の左右連結部２Ｇ、及び上下連結部２Ｇ´に耐火材９，２３，２３´を介在するのが好ましい。
この場合、帳壁パネル１の左右連結部２Ｇは、図３（Ｂ）の如く、耐火材２３として、例えば、ＳＣブランケット（新日鉄化学（株）商品名）等の不燃パッキング２３をセメント板層端縁間に介在させれば良く、上下連結部２Ｇ´は、図２（Ｂ）の如く、耐火材２３´として、例えば、フイブロックシート（積水化学（株）商品名）等の耐火シート２３´を介在させれば良い。
また、帳壁と耐力壁との左右連結部２Ｇでは、例えば図４（Ｂ）に示す如く、耐火材９として、カオウール等を採用すれば良い。
【００１６】
従って、帳壁部の各断熱複合パネル１相互の左右連結部２Ｇ、上下連結部２Ｇ´が耐火材で閉止されているため、外壁の外側からの火災に対しては、セメント板層２及び各目地２Ｇ，２Ｇ´の耐火材２３，２３´が好適に対処し、外壁の内側からの火災に対しては、パネル１の上下枠を被覆している耐火被覆材（耐火材）９が対処し、しかも、帳壁と耐力壁との連結部にあっても、目地２´Ｇの耐火材９が好適に対処することとなり、本発明帳壁構造は、耐力壁部の複合パネル１´（図４）を備えたコンクリート壁Ｗｃと相俟って、極めて有効な耐火外壁を提供する。
【００１７】
また、本発明帳壁構造にあっては、複合パネル１のセメント板層２が外気導通用の通気層２ｈを備え、上下各パネル１を外気の上下導通可能に連結するのが好ましい。
この場合、例えば図２（Ｂ）に示す如く、上下連結部２Ｇ´は、貫通孔２ｈを有するセメント板２Ｐの、内側肉厚部Ｐｔに耐火シート２３´とシーリング２４を、外側肉厚部Ｐｔにはバッキング２４´を介してシーリング（シーリングゴム）２４を施し、連結部２Ｇで上下空気流ａを保証すれば良い。
【００１８】
従って、本発明は、断熱複合パネル（帳壁パネル）１のみで形成した帳壁外壁でありながら、耐震、耐火性を具備し、結露発生をも抑制した帳壁外壁を提供し、耐久面、防災面で優れた建物の提供が可能となり、しかも帳壁部での外壁の型枠組み作業の省略合理化により、鉄筋コンクリート造建築物での建築費の大幅な低減を可能とする。
【００１９】
また、断熱複合パネル１の外面材としてのセメント板層２は、複数枚の成形セメント板２Ｐを耐火材２３を介在して並列接続するのが好ましい。
外壁材としてのセメント板２Ｐは、押出成形体をローラー上を移動させてオートクレーブ室で養生させるが、衝撃によるひび割れや、養生の際の反りの発生等、製造面からは、幅は狭いほうが有利であり、従って、コスト面、品質面で有利な幅狭のセメント板を入手して複数枚を必要パネル幅に接続するのが有利であり、各セメント板２Ｐも図３（Ｃ）の如く、不燃パッキング２３を介在衝接すれば、隙間の防火対策も完全となる。
従って、本発明の耐震性、耐火性、及び断熱性を備えた高性能帳壁も所望のパネル幅での提供が可能となり、実用性が向上する。
【００２０】
また、セメント板層２として複数枚のセメント板２Ｐを並列接続する場合には、各成形セメント板２Ｐ相互の並列接続を、図３（Ｃ）の如く、一側端の突起２２と他側端の凹部２１との不燃パッキング２３を介在した当接接続とするのが好ましい。
尚、不燃パッキング２３は両面接着タイプが好ましく、例えば、ＳＣブランケット（新日鉄化学（株）商品名）の採用が可能である。
この場合、耐火性のセメント板２Ｐ相互の連結部２Ｇは、端縁相互の凹凸嵌合によってセメント板間に隙間のない連結となり、介在した耐火材と相俟って完全な耐火性が付与出来るため、建物外側からの火災にも合理的に対応出来、耐火性帳壁の形成に有効である。
【００２１】
また、セメント板層２と断熱層３との界面には、シート材８を介在し、断熱層３のセメント板層２との凝固接着を防止するのが好ましい。
この場合、シート材８は断熱層３のセメント板面に対する接着一体化を阻止出来れば良く、通常のクラフト紙の採用が可能である。
従って、断熱層３とセメント板層２との層間変位が可能となり、Ｚクリップの層間変位吸収機能も支障なく発揮出来るため、セメント板層が躯体の地震、 強風等の動きに追従して変位を吸収し、セメント板層の亀裂、脱落が抑制出来る。
そして、断熱層３の内側表面に衝接形態で張設した石膏ボード等の内装面板に於けるクラック発生も抑制出来る。
【００２２】
また、断熱複合パネルの枠４は、上枠４ａ及び下枠４ｂが等辺山形鋼であり、補強鋼材４ｃが、図６（Ａ）の如く、上枠４ａ及び下枠４ｂの立上り辺４Ｆの幅４Ｔ中間部を上下に連結固定するのが好ましい。
この場合、補強鋼材４ｃは、上枠４ａと下枠４ｂとを剛構造一体化出来、且つ、充填発泡断熱層３のパネル面からの浮上りが阻止出来れば良く、表面形状は、断熱層３を付着保持する平板形態、異形断面鋼材等、断熱層３と強固に一体化出来る形態であれば良いが、平鋼板が取付作業上も、断熱層保持上から、特に好ましい。
【００２３】
そして、この場合、複数枚の各セメント板２Ｐの幅２Ｗの中央部に補強鋼材４ｃを配置すれば、重量物としてのセメント板の保持もスムーズとなり、枠体の重量化が抑制出来る。
等辺山形鋼は、曲げ剛性に優れている上、入手も容易であり、且つアングルの一辺をセメント板止着当接面とし、他辺を断熱層３の堰止め型枠及びパネル取付端面と出来るので有利である。
しかも、補強鋼材４ｃが、図６（Ａ）の如く、断熱層３及び耐火被覆材９の層の中間部に位置するため、断熱層３及び耐火被覆材９の浮上りを好適に阻止出来る。
【００２４】
また、取付金物Ｍが、床スラブＳ前端部に埋設されたアンカー部Ｍａと、床スラブＳ前端から突出した支持部Ｍｓとから成り、複合パネル１の上下枠４ａ，４ｂを支持部Ｍｓに連結ピンＭＰを介して取付けるのが好ましい。
この場合、図１に示す如く、パネル１の下枠４ｂは、既設床コンクリートＳに埋設固定した取付金物Ｍの支持部（支持板）Ｍｓ条の連結ピンＭｓに挿入係止し、上枠４ａは、上階の床スラブ型枠内に組付けた取付金物Ｍの支持板Ｍｓから連結ピンＭＰを螺入固定した状態で上階の床スラブ型枠内にコンクリート打設して床スラブＳを固化形成すれば良い。
【００２５】
勿論、鉄筋コンクリート造建築物にあっては、上階床スラブと壁コンクリートとは同時打設であるので、この場合、複合パネル１のみの帳壁がコンクリート耐力壁と同時に形成出来、作業性が良い。
しかも、鉄筋コンクリート造建築物でありながら、強度上必要な耐力壁部以外は複合パネル１のみの帳壁とするため、耐力壁部以外の外壁の型枠工の省略合理化により、建築費の大幅なコストダウンも可能となる。
【００２６】
また、本発明帳壁構造にあっては、複合パネル１は、下端面Ｆｂが床スラブＳの表面Ｓｆより下方に位置するように張設するのが好ましい。
この場合、建築工事中又は建物耐用中に、例え上下パネル連結部（目地部）２Ｇ´から雨水等が侵入しても、床スラブ表面Ｓｆ上への水の侵入は阻止出来、建物の外部から内部への水の浸入は完全に阻止出来る。
従って、本発明の帳壁構造は、図４の如く、耐力壁と連接形態となるが、コンクリート壁の耐力壁と相俟って、雨水の床スラブＳ上への侵入の恐れのない外壁が提供出来る。
【００２７】
また、複合パネル１の断熱層３は、表面３ｆに条片下地材５を平行に埋設露出保持しているのが好ましい。
この場合、「埋設露出」は、埋設されてはいるが、表面が断熱層表面３ｆから露見出来る形態も、表面が断熱層表面３ｆから突出している形態も含む意味である。
また、条片下地材５は、縦方向（上下方向）配置でも横方向配置でも良く、配置間隔は、適用面材に応じて決定すれば良い。
そして、条片下地材５は、断熱層３への埋設によって断熱機能を低下させないことと、下地材に釘打ち等で止着した面板を保持することが必要機能であるため、なるべく細幅で、断熱層中の占有体積が少ないものが良く、アンカー部５０を備えた溝型材５（図５）や、断面台形のプラスチック条片（図示せず）等が採用可能である。
【００２８】
従って該パネルは、必要な時、場所で、断熱層３に内装面板（図示せず）の下地材５を介した張設が可能であるため、パネル下地材に所定の内装面板を予め止着して帳壁パネルとして施工することも可能ではあるが、鉄筋コンクリート造建物の帳壁に採用する場合に予め内装面材を止着すれば、図１の如く、床スラブコンクリート打設がパネル内面に当接してコンクリート混合水がパネル内面に汚れやカビの発生を生ずるため、内装面板を取付けてない複合パネル１を外壁として張設後、下地材５上へ必要内装面板を止着することにより、きれいな内装仕上げの合理的作業が可能となる。
【００２９】
また、複合パネル１の条片下地材５は、表面５ｆが断熱層表面３ｆから突出しているのが特に好ましい。
この場合、内装面板（図示せず）を条片下地材５に取付ければ、内装面板と断熱層表面３ｆとの間には下地材５の突出による空隙空気層が存在し、内装面板と断熱層３との音の共振現象が阻止出来、遮音性が高まる。
【００３０】
また、複合パネル１の条片下地材５は、上下方向配置であって、上端５ｔがパネル上端面Ｆｔから間隔Ｄ１を有して床スラブ下面Ｓｂの下方位置を、下端５ｂがパネル下端面Ｆｂから間隔Ｄ２を有して床スラブ表面Ｓｆの上方位置を占めているのが好ましい。
この場合の間隔Ｄ１，Ｄ２は、それぞれ対象建物への施工性を勘案して設定すれば良く、例えば、パネルを図１に示す如く、鉄筋コンクリート造建物の帳壁パネルとして採用するため、Ｄ１は、下地材上端５ｔが上階床スラブＳの型枠下端より下方で、型枠組付け作業に干渉しない位置とし、Ｄ２は、下地材下端５ｂが下方床スラブ上面Ｓｆより若干上方で、床スラブ表面Ｓｆの不陸に対処出来る位置とするものである。
【００３１】
従って、本発明は、鉄筋コンクリート造建築の帳壁構造であるが、図１に示す如く、パネル下端面Ｆｂは、雨水の床スラブ上面Ｓｆへの侵入を阻止するため、床スラブ上面Ｓｆより若干（標準１０ｍｍ）下方位置としても、突出下地材５の下端５ｂと床スラブ上面Ｓｆとは間隙ｄｂが存在することとなり、床スラブ上面Ｓｆの不陸面への対処取付が可能となる。
また、突出下地材５の上端５ｔも、上階床スラブ型枠組みでの型枠との干渉を避けることが可能であり、断熱複合パネル１の上端部の型枠組付け作業が容易となる。
【００３２】
更に、内装工事に於ける電気配線は、床から取出して上下方向に配向するのが普通であるが、条片下地材５が上下方向配置であるため、下地材５に対する電気配線のための切欠きが不要となり、電気配線工が容易となる。
しかも、下地材５を断熱層表面３ｆから突出させておくことにより、断熱層３と下地材に張設した内装面板とのスペースが電気配線スペースとなり、断熱層３に対する電気配線施工での切欠が最小限に抑制出来る。
【００３３】
【発明の実施の形態】
〔断熱複合パネル１（図５）〕
〔セメント板層（図３）〕
図３（Ａ）に示す如く、セメント板層２は、３枚の成形セメント板２Ｐの並列接続で構成する。
各成形セメント板２Ｐは、幅２Ｗが５９０ｍｍで長さＬ１が２８８０ｍｍ、厚さ２Ｔが６０ｍｍであり、１側端には突起２２を、他側端には凹部２１を備え、長さ方向の貫通孔２ｈを備えている。
【００３４】
これら成形セメント板２Ｐの並列接続は、各凹部２１の底に、図３（Ｃ）の如く、両面接着性不燃パッキング２３として厚さ１２．５ｍｍのＳＣブランケット（新日鉄化学（株）商品名）を充填して各突起２２を不燃パッキング２３に当接すると共に、セメント板２Ｐの内側の板厚部Ｐｔ端縁間にも両面接着性を有する断熱材２５を充填して接続する。
尚、各成形セメント板２Ｐの連結部（目地幅）２Ｇ（標準：１０ｍｍ）表面は、パネル張設後の目地仕上げ時に、図３（Ｃ）の如く、バッカ−２４´を介して耐火性シーリング２４を施す。
【００３５】
〔枠体４（図５、図７）〕
一辺４Ｔが７５ｍｍで厚さ６ｍｍの等辺山形鋼（アングル鋼）から成る長さ１７７０ｍｍの上枠４ａ及び下枠４ｂ間に、幅５０ｍｍで厚さ６ｍｍの平鋼板４ｃを、３枚の各成形セメント板２Ｐの幅２Ｗの中央部に位置するように、且つ、上面が上下枠の立上り辺４Ｆの上端より４０ｍｍ下方となるように溶接固定する。
また、上枠４ａには、各平鋼板４ｃの両側に１対の取付孔Ｈ２（ネジ孔）と、両端部の吊上げ時のアイボルト（図示せず）締着用孔Ｈ３とを設け、下枠４ｂには、上枠４ａの取付孔Ｈ２の対応位置に取付孔Ｈ１（ピン孔）を、両端部にはボルト締着孔Ｈ４を設ける。
【００３６】
〔仕切板６（図８、図９）〕
仕切板６は、断熱複合パネル１を同時に複数枚製作する際に、下地材５を保持して枠体４に取付け、断熱層３を充填発泡するための型枠である。
即ち、仕切板６は、厚さ２４ｍｍの構造用材６ａの上面に離型用のポリエチレン板６ｂを貼ったものであり、両側には、該仕切板６を切断した型枠機能を奏するための立上り辺（側板）６Ｓを固定したものである。
また、仕切板６の上面には、幅Ｗ５の条片下地材５用の溝６Ｇを配設し、図９（Ｂ）の如く、先端にアンカー部５０を有する断面コ字状鋼板の下地材５を、表面５ｆを溝６Ｇの底面に当接し、下地材５が仕切板６から落下しない程度に両面接着テープ小片等で仮保持する。
【００３７】
〔断熱複合パネルの製作（図５、図６、図７）〕
成形用プレス台ＢＰ上に成形セメント板２Ｐを３枚並列接続してセメント板層２として載置し、セメント板２Ｐの上部及び下部には、図６（Ｂ）の如く、内側の板厚部Ｐｔにボルト挿入孔ＨＰを穿孔して貫通孔２ｈの内側に平ナット７ａを当接し、Ｚクリップ７のボルト挿入用長孔（幅１２ｍｍ、長さ３０ｍｍ）にボルト７ｃを挿入して図７（Ｂ）の矢印Ｒの如く、Ｚクリップを回動可能に仮固定する。次いで、図７（Ａ）の如く、セメント板層２上に載置した枠体４の上枠４ａ及び下枠４ｂの水平辺４ＨにＺクリップを回動係止してボルト７ｃを締着し、Ｚクリップ７は大応力を受ければ長孔によって変位可能に固定する。
【００３８】
また、セメント板層２上にはクラフト紙８（図７）を布設し、図５、図６に示す如く、上枠４ａ及び下枠４ｂの断熱層側、及びＺクリップ部に柔軟性のある繊維系の耐火被覆材９、即ち、耐火、耐水、断熱、吸音、遮音機能に優れ、ハサミやナイフで簡単に切断出来るブランケット状の繊維系不燃材（商品名、カオウール、イソライト工業（株）製）を被覆する。
この場合、平鋼板４ｃの基部の包み込みは、耐火被覆材に切れ目を入れると容易であり、上下枠から延出したＺクリップ７は、耐火被覆材９に図１の如く、突出部９´を付設すればよい。
【００３９】
また、枠体４上には、下地材５を仮保持した仕切板６を、図９（Ａ）の如く、下地材５が枠体４内に突出する形態に、且つ、仕切板側板（立上り辺）６Ｓが枠体４の側枠形態となるように載置し、図８に示す如く、上枠４ａ及び下枠４ｂ端でコーナー金具１２の、１片１２Ｓを仕切板側板（立上り辺）６Ｓに、他片１２Ｌを上枠４ａ、下枠４ｂに当接して、各コーナー金具１２の長孔Ｈ５を介して仕切板６と上下枠４ａ，４ｂとを固定する。
【００４０】
尚、仕切板側板６Ｓと金具１２との固定は、側枠６Ｓの外面に座金を配置して慣用のボルト締着し、上下枠４ａ，４ｂと金具１２との固定は、上枠のアイボルト用のネジ孔Ｈ３及び下枠４ｂのボルト取付孔（ネジ孔）Ｈ４を介してボルト締着し、第１段目の複合断熱パネル成形型Ｄｐとする。
次いで、同様の成形型Ｄｐを図９（Ｃ）の如く、順次複数段プレス台Ｂｐ上に重ねてプレス体Ｔｐで型締めし、各成形型中の上枠４ａ（下枠４ｂ）の取付孔Ｈ２（Ｈ１）から発泡ウレタン樹脂を注入充填し、発泡硬化する。
【００４１】
断熱層３としての硬質ウレタンフォームが硬化冷却した後、プレス体Ｔｐを開放して各成形型Ｄｐのコーナー金具１２を取外して仕切板６を取外せば、硬質ウレタンフォーム（断熱層）３が平鋼板４ｃ、クラフト紙８及び耐火被覆材９と一体化固着した断熱複合パネル１が得られる。
尚、仕切板６の取外しに際しては、側板６Ｓの内面及び仕切板内面が離型板としてのポリエチレン板６ｂを備えているため容易に離型する。
また、条片下地材５も、仕切板の溝６Ｇの深さｔ１で突出し、深さｔ２で断熱層３中に埋設し、アンカー部５０で強固に保持される。
【００４２】
〔帳壁の形成（図１、図２）〕
上述の実施形態で得られる断熱複合パネル１は、本発明者が特願２００１−０２５１４２号として先に提案した新規な鉄筋コンクリート造外断熱建築物に適用すれば、極めて有効なものである。
即ち、図１に示す如く、断熱複合パネル１の下端を、コンクリート床スラブＳ前端に固定した取付金物Ｍの支持板Ｍｓから上方に突出した連結ピン（取付ピン）ＭＰにパネル下枠４ｂの取付孔Ｈ１を挿通して、パネル下端面Ｆｂが床スラブ表面Ｓｆより下方で、雨水のパネル下端から床スラブ表面Ｓｆへの侵入を阻止するように取付け、図１（Ｂ）に示すごとく、上階の床スラブ型枠内に組付けた取付金物Ｍの支持板Ｍｓに、上方から連結ピンＭＰをパネル上枠４ａの取付孔（ネジ孔）Ｈ２に螺入してパネル上枠４ａを連結ピンＭＰによって係止する。
【００４３】
断熱複合パネル１の横方向連結は、図３（Ｂ）に示す如く、各セメント板層２の端縁に存在する凹部２１と突起２２とを、幅３３ｍｍ、厚さ１２．５ｍｍの両面接着性不燃パッキング（耐火材）２３を介在衝接し、同時にセメント板間隙２Ｇの内側は肉厚Ｐｔに対応した充填材（断熱材）２５で閉止し、外装仕上げにより、セメント板表面側からはバッカ−２４´を介して耐火シーリング２４により目地２Ｇを閉止する。
また、図４の如く、パネル１と耐力壁パネル（複合パネル）１´との連結は、パネル１の側縁を、凹部２１又は突起２２を切落して平坦にして、両パネル１，１´の断熱層３間に耐火被覆材（耐火材）９を介在し、帳壁部としての断熱複合パネル１を耐力壁複合パネル１´と共に、立設維持して床スラブ型枠と耐力壁型枠（図示せず）とにコンクリート打設する。
【００４４】
パネル１の帳壁化に際し、条片下地材５は、下端では、パネル下端Ｆｂと間隔Ｄ２を、上端では、パネル上端と間隔Ｄ１を有するため、下地材５は、下方床スラブＳの表面Ｓｆに不陸があっても間隙ｄｂの存在によって対処出来、上階床スラブ型枠の組立て時にも間隔Ｄ１の存在により下地材５の干渉なしに型枠組み作業が容易に実施出来る。
そして、上階床スラブ型枠内へのコンクリート打設に際しても、耐火被覆材９及び断熱層３がコンクリート付着性大で吸水性小であるため、図１（Ａ）の如く、パネル１の上部内面が床スラブＳと隙間なく一体化し、コンクリート打設によって断熱層表面３ｆにコンクリート配合水が流出付着しても、床スラブ型枠解体後の断熱層表面３ｆでのカビの発生はない。
【００４５】
従って、打設コンクリートが固化すれば、図４の如く、耐力壁部では複合パネル１´の断熱層３が耐力壁と一体化し、帳壁部では帳壁用の断熱複合パネル１のみがパネル上部で床スラブＳと一体化固定された帳壁となる。
そして、床スラブＳ及び耐力壁コンクリートＷｃの固化後に、各帳壁パネル１間、及び帳壁パネル１と耐力壁パネル１´間の断熱層の隙間には現場発泡の注入断熱材２６を付与し、断熱層３の連続性を保つ。
【００４６】
また、下階の帳壁と上階の帳壁との連結、即ち、下階のパネル１と上階のパネル１との横目地（上下連結部）２Ｇ´にあっては、図２（Ｂ）に示す如く、上枠４ａと下枠４ｂ間に充填材（断熱材）２５を介在させ、充填材２５の前面を２ｍｍ厚の耐火シート（フイブロック）２３´で閉止し、セメント板２Ｐの内側肉厚Ｐｔに対応したシーリング２４で閉止する。
そして、外装仕上げにより、セメント板２Ｐの横目地（上下連結部）２Ｇ´の表面側には、貫通孔２ｈの空気流ａの貫通を阻害しないように、バッカ−２４´を介在して耐火シーリング２４により目地閉止する。
【００４７】
そして、内装工事に際しては、断熱層表面３ｆからｔ１突出した下地材表面５ｆに石膏ボード（内装面板）を張設しても、石膏ボードに対する複合パネル１側からのカビの伝播による汚染は生じない。
また、下地材５の突出によって形成される断熱層表面３ｆと石膏ボード間の空隙層は電気配線スペースとして利用出来、配線工事に伴う断熱層の欠損は最小限に抑制出来る。
しかも、石膏ボードと断熱層表面３ｆとの空隙層は、石膏ボードと断熱層３との音の共振現象を抑制するため、共振現象による遮音性低下は阻止出来る。
【００４８】
従って、本発明帳壁構造にあっては、帳壁パネル（断熱複合パネル）１が、クラフト紙８によってセメント板層２と断熱層３との一体化固着が阻止してあるため、地震、強風等の作用を受けても、断熱層３はセメント板層２と層間変位が可能となり、断熱層内面に張設した内装面板の衝接端縁での亀裂や欠損が最小限に抑制出来る。
しかも、上枠、下枠及びＺクリップ部等が耐火被覆材９で保護されてＺクリップも断熱層３による一体化固定を免れているため、Ｚクリップによるセメント板層２と枠体４との層間変位吸収も可能であって、地震時のセメント板層２の変位を吸収することにより、セメント板層２の亀裂の発生や欠損も防止出来て好適な耐震外壁となる。
【００４９】
その上、帳壁パネル（断熱複合パネル）１相互の左右連結部２Ｇ、及びパネル１内のセメント板２Ｐの接続目地２Ｇも不燃パッキング２３を備え、帳壁パネル１と耐力壁パネル１´間連結部２´Ｇも耐火材９を備え、各上下パネル１間の連結部２Ｇ´も耐火シート（耐火材）２３´を備えているため、該帳壁構造は、目地２Ｇ，２Ｇ´，２´Ｇの不燃パッキング２３、耐火シート２３´及び耐火材９による外側からの火災にも、パネル１の枠体４の内側の耐火被覆材９による内側からの火災にも対処した防火外壁とも成る。
【００５０】
〔その他〕
実施態様例にあっては、耐力壁パネル１´に従来の複合パネル１´を採用したため、図４に示す如く、帳壁パネル１と耐力壁パネル１´を断熱層３の連続性を保てば、外壁の外面では各セメント板２Ｐ，２Ｐ´の厚みの差によって段差が生じたが、耐力壁パネルにも帳壁パネル１と同一パネルを用いれば、外壁の外面が平坦面となるため、帳壁パネル１の床スラブ型枠への組付け保持が耐力壁パネルから連続した横端太で実施出来、従って、帳壁パネル（断熱複合パネル）１の建付け作業が合理化出来る。
【００５１】
また、帳壁パネル１に於いて、複数の縦設平鋼板４ｃ相互を横方向に複数本の鋼板、鋼棒等で固定すれば、断熱層３の一体化把持、及び浮上り阻止がより確実となる。
また、帳壁パネル１の下枠４ｂの適所にセメント板２Ｐ支持片を延設すれば、セメント板２Ｐの枠体４による保持が確実と成る。
また、パネル枠体４の上枠４ａと下枠４ｂを連続した補強鋼材４ｃに平鋼板のブレース材を配置すれば、強度面及び断熱層３の浮上り防止面から有利である。
【００５２】
【発明の効果】
本発明の帳壁にあっては、帳壁パネル（断熱複合パネル）１のセメント板層２を枠体４に係止しているＺクリップが耐火被覆材９によって保護されているため、地震によって止着力以上の応力が作用すれば、Ｚクリップの滑動変位で吸収出来、セメント板層２の欠損を抑制し、耐震性を発揮する。
その上、Ｚクリップを保護する耐火被覆材９が枠体内周部を被覆しているため、室内側からの火災に対しても枠体構造部としての上枠４ａ、下枠４ｂを防護する。
【００５３】
更に、鋼材の枠体４には側枠が存在しないため、側枠からの熱橋作用がなく、従来の如き、側枠に対する煩雑な熱橋防止手段が不要となる。
更に、パネル１の上部を床スラブ型枠に組込んだ取付金物Ｍに係止してコンクリート打設することにより、帳壁パネル（断熱複合パネル）１の上部内面が打設床コンクリートと当接するが、耐火被覆材９は耐水性であり、同じく耐水性でコンクリート付着力の大な断熱層３と耐火被覆材９とが床スラブＳのコンクリートと当接一体化しても、腐蝕やカビ発生の恐れなく、帳壁部内面への内装仕上げが支障なく施工出来る。
【００５４】
従って、本発明は、鉄筋コンクリート造の壁式構造建築物やラーメン構造建築物に於いて、非耐力壁部を新規な帳壁パネル（断熱複合パネル）１のみの床スラブＳへの固定で達成出来、非耐力壁部での壁型枠工事が不要となり、建築資材面、建築工数面、建築期間面での画期的合理化を実現しながら、耐震、耐火の外断熱鉄筋コンクリート造建築物の提供を可能とする。
【００５５】
また、本発明帳壁構造にあっては、各複合パネル（帳壁パネル）１相互の左右連結部２Ｇ、及び上下連結部２Ｇ´が耐火材９，２３，２３´で閉止されているため、建物の外部からの火災に対しても、セメント板層２及び各目地幅２Ｇ，２Ｇ´での耐火材により防火機能を発揮し、帳壁パネル１の内面での耐火被覆材９の防火機能と相俟って、好適な耐火建築外壁を提供する。
【００５６】
また、複合パネル１のセメント板層２が外気導通用の通気層２ｈを備えて、上下各パネル１を外気の上下導通可能に連結しているため、耐震性、耐火性と共に、結露防止性も備えた帳壁となり、耐久面、防災面で優れた建築物の提供が可能となる。
従って、帳壁部での外壁型枠組み作業の省略合理化と相俟って、耐久性、防災性の機能面とカビ発生抑制による環境面で優れた鉄筋コンクリート造建築物の建築費低減が可能となる。
【００５７】
また、帳壁パネル１は、断熱層３が枠体内への充填発泡成形層であるにかかわらず、断熱層３とセメント板層２との界面での一体化を阻止したため、セメント板層２と断熱層３との層間変位が可能であって、地震や強風時の建物躯体及び帳壁パネル１の揺動時にもセメント板層２と断熱層３との揺動量差は層間すべりで吸収出来、断熱層３の内面に衝接形態で張設した石膏ボード（内装面板）の衝接端縁でのクラック、亀裂の発生が最小限に抑制出来る。
【００５８】
また、本発明の帳壁構造は、新規な帳壁パネル（断熱複合パネル）１を、帳壁部の床スラブ前端に埋設した取付金物Ｍの支持部Ｍｓに、パネル上枠４ａ、下枠４ｂを連結ピンＭＰを介して取付けるだけで、帳壁パネル（断熱複合パネル）１のみで非耐力壁部を構成するため、外壁としての充分な強度、断熱性、耐震性、耐火性を備えた外断熱壁でありながら、従来の非耐力壁部での型枠工が省略出来、鉄筋コンクリート造外断熱の建築物の建築費の大幅低減を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明帳壁構造説明図であって、（Ａ）は側面図、（Ｂ）は床スラブ型枠へのパネルの組付け状態説明図である。
【図２】本発明帳壁構造の説明図であって、（Ａ）は一部切欠斜視図、（Ｂ）は（Ａ）のＢ−Ｂ線断面図である。
【図３】本発明の各複合パネル１の左右連結部の説明図であって、（Ａ）は図２（Ａ）の３Ａ−３Ａ線断面図、（Ｂ）は（Ａ）のＢ部拡大図、（Ｃ）は（Ａ）のＣ部拡大図である。
【図４】本発明の説明図であって、（Ａ）は帳壁部と耐力壁部との連結部の横断図、（Ｂ）は（Ａ）のＢ部拡大図である。
【図５】本発明に用いる断熱複合パネルの一部切欠斜視図である。
【図６】断熱複合パネルの説明図であって、（Ａ）は図５のＡ−Ａ線断面図、（Ｂ）は図５のＢ−Ｂ線断面図、（Ｃ）はＺクリップ取付部の部分斜視図である。
【図７】断熱複合パネルの説明斜視図であって、（Ａ）は枠体４とセメント板層２との取付状態を、（Ｂ）及び（Ｃ）はそれぞれＺクリップ取付状態を示す図である。
【図８】仕切板の説明斜視図であって、（Ａ）は全体を、（Ｂ）は使用コーナー金具を、（Ｃ）はコーナー金具取付状態を示す図である。
【図９】断熱複合パネルの製作説明図であって、（Ａ）は型セット状態の断面図、（Ｂ）は（Ａ）のＢ部拡大図、（Ｃ）は型セットの積層状態図である。
【図１０】従来例図であって、（Ａ）は全体斜視図、（Ｂ）は（Ａ）のＢ−Ｂ線断面図、（Ｃ）は（Ａ）のＣ−Ｃ断面図である。
【符号の説明】
１：断熱複合パネル（帳壁パネル）、 ２：セメント板層、
２Ｇ，２Ｇ´，２´Ｇ：連結部（連結目地幅、目地）
２ｈ：通気層（貫通孔）、 ２Ｐ：セメント板、
３：断熱層、
４：枠体、 ４ａ：上枠、 ４ｂ：下枠、
５：下地材（条片下地材）、 ９：耐火被覆材（耐火材）、２１：凹部、 ２２：突起、
２３：不燃パッキング（耐火材）、 ２３´：耐火シート（耐火材）、２４：シーリング（耐火シーリング）、 ２４´：バッカ−、
２５：充填材（断熱材）、 ２６：注入断熱材

Claims (12)

1. 耐力壁（Ｗｃ）間の上下の床スラブ（Ｓ）端縁間に、外断熱複合パネル（１）を取付金物（Ｍ）を介して張設固定した帳壁構造であって、該パネル（１）は、鋼材から成る上枠（４ａ）と下枠（４ｂ）とを補強鋼材（４ｃ）で連結した枠体（４）と、外面材としてのセメント板層（２）と、内面材としての断熱層（３）とを含み、セメント板層（２）は、上部及び下部を上枠（４ａ）及び下枠（４ｂ）にＺクリップ（７）を介して取付け、断熱層（３）は、上枠（４ａ）及び下枠（４ｂ）の内面をＺクリップ（７）を含めて耐水性を有する耐火材（９）で被覆して枠体（４）内面に合成樹脂を充填発泡一体化したものである、鉄筋コンクリート造建築物に於ける帳壁構造。
2. 各複合パネル（１）相互の左右連結部（２Ｇ）、及び上下連結部（２Ｇ´）に耐火材（９，２３，２３´）を介在した、請求項１の帳壁構造。
3. 複合パネル（１）のセメント板層（２）が外気導通用の通気層（２ｈ）を備え、上下各パネル（１）を外気の上下導通可能に連結した請求項１又は２の帳壁構造。
4. 複合パネル（１）のセメント板層（２）は、複数枚の成形セメント板（２Ｐ）を耐火材（２３）を介在して並列接続した、請求項１乃至３のいずれか１項の帳壁構造。
5. 各成形セメント板（２Ｐ）相互の並列接続が、一側端縁の突起（２２）と他側端縁の凹部（２１）との耐火材（２３）を介在した衝合接続である請求項４の帳壁構造。
6. セメント板層（２）と断熱層（３）との界面には、シート材（８）を介在し、断熱層（３）のセメント板層（２）との凝固接着を防止した請求項１乃至５のいずれか１項の帳壁構造。
7. 上枠（４ａ）及び下枠（４ｂ）が等辺山形鋼であって、補強鋼材（４ｃ）が上枠（４ａ）及び下枠（４ｂ）の各立上り片（４Ｆ）の幅（４Ｔ）中間部を上下に連結固定した請求項１乃至６のいずれか１項の帳壁構造。
8. 取付金物（Ｍ）が、床スラブ（Ｓ）前端部に埋設されたアンカー部（Ｍａ）と、床スラブ（Ｓ）前端から突出した支持部（Ｍｓ）とから成り、複合パネル（１）の上下枠（４ａ，４ｂ）を支持部（Ｍｓ）に連結ピン（ＭＰ）を介して取付けた請求項１乃至７のいずれか１項の帳壁構造。
9. 複合パネル（１）は、下端面（Ｆｂ）が床スラブ（Ｓ）の表面（Ｓｆ）より下方に位置している、請求項１乃至８のいずれか１項の帳壁構造。
10. 複合パネル（１）の断熱層（３）は、表面（３ｆ）に条片下地材（５）を平行に埋設露出保持している、請求項１乃至９のいずれか１項の帳壁構造。
11. 複合パネル（１）の条片下地材（５）は、表面（５ｆ）が断熱材表面（３ｆ）から突出している請求項１０の帳壁構造。
12. 複合パネル（１）の条片下地材（５）は、上下方向配置であって、上端（５ｔ）が、パネル上端面（Ｆｔ）から間隔（Ｄ１）を有して床スラブ下面（Ｓｂ）の下方位置を、下端（５ｂ）がパネル下端面（Ｆｂ）から間隔（Ｄ２）を有して床スラブ表面（Ｓｆ）の上方位置を占めている請求項１１の帳壁構造。

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