JP3081054B2 - 自動車のエアバッグ構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車のエアバッグ構
造に関し、特に、エアバッグユニットがインストルメン
トパネル内に配設された助手席用のエアバッグ構造に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、自動車に装備されるエアバッグ装
置といえば、運転席側においてステアリングホイール内
に取り付けられたものが一般的であったが、近年、助手
席側の乗員等の保護のためのエアバッグ装置の提案もな
されている。

【０００３】この助手席用のエアバッグ装置の構造とし
ては、例えば実開昭63-100353 号公報にも開示されてい
るように、車両衝突時にガスを発生させるインフレータ
と該ガスの充填により車両内に向けて展開するエアバッ
グとを収納したエアバッグケースと、このエアバッグケ
ースに取り付けられたエアバッグリッドとから構成され
るエアバッグユニットが、助手席前面部のインストルメ
ントパネル内に配設されたものが一般的である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記エアバッグリッド
は、エアバッグが膨張する際にこのエアバッグに押され
て回動しながら開いて、これによりエアバッグが車室内
に展開する際の開口が形成されるように構成されてい
る。したがってエアバッグリッドは、エアバッグケース
に対してしっかりと取り付けられることが要請される。

【０００５】一方、車室内側においてエアバッグリッド
とインストルメントパネルとの間に位置ずれが生じてい
ると見栄えが悪くなるので、エアバッグリッドのインス
トルメントパネルに対する位置合わせは精度良く行ない
たいという要請がある。従来、エアバッグケースに該エ
アバッグケースのインストルメントパネルに対する位置
決め部材を設けたものは知られているが、この場合、エ
アバッグリッドのインストルメントパネルに対する位置
合わせを精度良く行なうことは困難であった。

【０００６】そこでエアバッグリッドをエアバッグケー
スに対して多少動くように取り付けて、エアバッグリッ
ドのインストルメントパネルに対する位置合わせを行な
えるようにすることも考えられるが、このような方法は
上述したエアバッグリッドをエアバッグケースに対して
しっかりと取り付けるという要請と相反することにもな
る。

【０００７】本発明は、上記課題に鑑み、エアバッグリ
ッドのエアバッグケースへの取付けを堅固に行なうこと
ができ、かつ車室内におけるエアバッグリッドのインス
トルメントパネルに対する位置合わせを精度良く行なう
ことが可能な自動車のエアバッグ構造を提供することを
目的とするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項１の発明の自動車のエアバッグ構造は、エア
バッグを収納したエアバッグケースと該エアバッグケー
スに該エアバッグケースの開口を開閉可能とするように
取り付けられたエアバッグリッドとを備えてなるエアバ
ッグユニットが、インストルメントパネルに開設された
開口部よりインストルメントパネル内に配設された自動
車のエアバッグ構造において、前記エアバッグリッド
は、一端部が前記エアバッグケースに支持される支持端
部とされ他端部がエアバッグの膨張により前記支持端部
を支点として開放される開放端部とされるリッド基板
と、該リッド基板の前記支持端部近傍のみにおいて締結
部材により締結され前記リッド基板の車室内側表面を覆
うリッド表皮とから構成されている。該リッド表皮の車
幅方向両端部における前記リッド表皮とリッド基板との
締結部よりもリッド基板開放端部側の位置に設けられリ
ッド表皮裏面から対向するインストルメントパネルの開
口縁部に向かって突出する係合部と、前記インストルメ
ントパネルの開口縁部に前記係合部と対応して設けられ
該係合部に係合可能な被係合部とからなり、前記係合部
と被係合部とが互いに係合して前記リッド表皮をインス
トルメントパネルに対して位置決めする位置決め部材が
設けられて、前記リッド表皮は前記インストルメントパ
ネルに対して位置決めされて前記リッド基板に取り付け
られることを特徴とする。

【０００９】ここで、請求項２の発明では、上記請求項
１の発明において、更に、前記リッド表皮の車室内側表
面の一部を覆って該リッド表皮に対して位置決め固定さ
れ該リッド表皮および前記リッド基板と共に前記エアバ
ッグリッドを構成する第２のエアバッグリッドが設けら
れているものとする。

【００１０】また、請求項３の発明では、上記請求項１
の発明において、前記リッド基板の開放端部に前記エア
バッグケース側に向かって膨出した膨出部が形成されて
いるものとする。

【００１１】さらに、請求項４の発明では、上記請求項
１の発明において、更に、前記リッド表皮の車室内側表
面に該リッド表皮の前記リッド基板への締結部を覆うよ
うに固定された第２のエアバッグリッドが設けられてい
るものとする。

【００１２】

【作用および効果】上記請求項１の発明の自動車のエア
バッグ構造は、エアバッグリッドを、各々別体で形成さ
れたリッド基板とリッド表皮とから構成すると共に、こ
のリッド基板とリッド表皮との結合をリッド基板支持端
部近傍のみにおける締結部材による締結とする一方、リ
ッド表皮およびインストルメントパネルの開口縁部の両
者間に係合部と被係合部からなる位置決め部材を設けた
ものである。

【００１３】これにより、車室内におけるエアバッグリ
ッドのインストルメントパネルに対する位置合わせは、
リッド表皮をインストルメントパネルに位置決めするこ
とにより行なわれるので、エアバッグリッドのインスト
ルメントパネルに対する位置合わせを精度良く行なうこ
とが可能となり、これにより見栄えの向上を図ることが
できる。また、エアバッグリッドのエアバッグケースへ
の取付けは、リッド基板をエアバッグケースにしっかり
と取り付けることにより、堅固に行なうことが可能とな
る。

【００１４】さらに、上記リッド表皮の上記リッド基板
への締結部を該リッド基板の上記エアバッグケースへの
支持端部近傍のみに設けているので、上記リッド表皮の
上記リッド基板に対する相対的位置関係の自由度が高ま
り、これによりエアバッグリッドのインストルメントパ
ネルへの位置合せをより一層容易にかつ精度良く行える
という効果を奏する。

【００１５】上述のように請求項１の発明の自動車のエ
アバッグ構造によれば、エアバッグリッドのエアバッグ
ケースへの取付けを堅固に行なうことができ、かつ車室
内におけるエアバッグリッドのインストルメントパネル
に対する位置合わせを精度良く行なえ、これにより見栄
えの向上を図れる効果を奏する。

【００１６】また、上記請求項２の発明の自動車のエア
バッグ構造は、上記請求項１記載の発明の構成に併せ
て、上記リッド表皮の車室内側表面の一部を覆って該リ
ッド表皮に対して位置決め固定され該リッド表皮および
リッド基板と共にエアバッグリッドを構成する第２のエ
アバッグリッドを設けているので、上記請求項１記載の
発明の効果に併せて、例えばインストルメントパネルを
上下で異なる色彩にするなどのデザイン要求に対する構
成の自由度の向上が図れると共に、第２のエアバッグリ
ッドを上記エアバッグリッドとは別にインストルメント
パネルに対して位置合わせする必要がないので、各エア
バッグリッドのインストルメントパネルに対する位置合
わせを容易に行なえるという効果を奏する。

【００１７】さらに、上記請求項３の発明の自動車のエ
アバッグ構造によれば、上記請求項１記載の発明の構成
に併せて、上記リッド基板の開放端部に上記エアバッグ
ケース側に向かって膨出した膨出部を形成しているの
で、上記請求項１記載の発明の効果に併せて、上記エア
バッグが車室内に展開する際に、該エアバッグが上記リ
ッド表皮の端部と接触して損傷することを防止できると
いう効果を奏する。

【００１８】また、上記請求項４の発明の自動車のエア
バッグ構造によれば、上記請求項１記載の発明の構成に
併せて、上記リッド表皮の上記リッド基板への締結部を
車室内側より覆う第２のエアバッグリッドを設けている
ので、上記請求項１記載の発明の効果に併せて、車室内
における上記エアバッグリッドの見栄えを一層向上させ
ることができるという効果を奏する。

【００１９】

【実施例】以下、添付図面に基づいて本発明による自動
車のエアバッグ構造の実施例を説明する。

【００２０】図１は本発明の一実施例による自動車のエ
アバッグ構造の概略構成を示す縦断面図（図２における
I-I 線断面図に相当）、図２は本実施例におけるリッド
部の背面図、および図３は本実施例におけるリッド表皮
がインストルメントパネルに対して位置決めされた状態
を示す図（図２におけるIII-III 線断面図に相当）であ
る。

【００２１】図示した本実施例による自動車のエアバッ
グ構造は、エアバッグユニット２が助手席前面部のイン
ストルメントパネル４内に配設されてなる助手席用のエ
アバッグ装置に本発明を適用したものである。図１に示
すように上記エアバッグユニット２は、車両衝突時にガ
スを発生するインフレータ６と該ガスの充填により車室
内に向けて展開するエアバッグ８とを収納したエアバッ
グケース10と、該エアバッグケース10の車室内側開放面
を覆うリッド部12とを備えてなる。

【００２２】図２，図３にも示すように上記リッド部12
は、金属等により形成されるリッド基板14と合成樹脂等
により形成され該リッド基板14の車室内側表面を覆うリ
ッド表皮16とからなる第１のエアバッグリッド18と、こ
の第１のエアバッグリッド18の車室内側表面の上側部分
を覆う第２のエアバッグリッド20とから構成されてい
る。

【００２３】図１に示すように、上記リッド基板14の上
記エアバッグケース10への支持端部（上端部）14a はボ
ルト、ナット（図示略）によりエアバッグケース10の上
面部に締結固定されており、その開放端部（下端部）4b
は断面Ｌ字状の連結部材22を介してエアバッグケース10
の車室内側下端部に連結されている。この連結部材は、
合成樹脂等により形成され、エアバッグ８の展開時に所
定以上の荷重が加えられると破断するように構成されて
いる。すなわち、インフレータ６から発生されたガスに
よりエアバッグ８が膨張すると、上記連結部材22はその
圧力により破断し、これにより上記リッド部12は、上記
リッド基板14の支持端部14a を支点として上方へ片開き
開放する。そして車室内に展開したエアバッグ８は図６
に示すように乗員を拘束してその安全を確保する。ここ
で図６は本実施例におけるエアバッグの展開状態を示す
図である。

【００２４】また、上記リッド基板14の開放端部14b に
は、エアバッグケース10側に向かって膨出した膨出部24
が形成されている。この膨出部24により、エアバッグ８
が車室内へ展開する際に、該エアバッグ８がリッド表皮
16の開放端部16a と接触して損傷することが防止され
る。

【００２５】図４および図５は本実施例におけるリッド
部の要部構成を示す断面図であり、図４は図２のIV-IV
線断面図に、図５は図２におけるV-V 線断面図に相当す
る。図２，図４，および図５に示すように、上記リッド
表皮16は、第２のエアバッグリッド20と共に、リッド基
板14の上記支持端部14a 近傍のみにおいて複数組の締結
部材としてのボルト、ナット26により締結固定されてい
る。このようにリッド表皮16のリッド基板14への締結部
を該リッド基板14の支持端部14a 近傍のみに設けること
により、リッド表皮16のリッド基板14に対する相対的位
置関係の自由度が増しリッド表皮16のインストルメント
パネル４に対する位置合わせ（これについては後述す
る。）を一層容易にかつ精度良く行なうことが可能とな
る。

【００２６】上述のように構成されたエアバッグユニッ
ト２は、インストルメントパネル４に開設された開口部
28より該インストルメントパネル４内に入れられ、上記
エアバッグケース10は、ステアリング支持メンバ等の車
体部材（図示略）に固定される。また、図３に示すよう
に上記開口部４の車幅方向両端部には、車室内側に向か
って凸設された複数個の係合部としての位置決めボス30
が設けられており、一方、図２にも示すように上記リッ
ド表皮16のエアバッグケース10側面には、上記位置決め
ボス３０と対応する位置に複数個の被係合部としての位
置決め孔３２が穿設されている。上記リッド表皮16は、
その位置決め孔32内にインストルメントパネル４の位置
決めボス30を嵌合させることにより、インストルメント
パネル４に対して精度良く位置決めされる。

【００２７】なお、上記第２のエアバッグリッド20は、
上記リッド表皮16に対して位置決めされるので、リッド
表皮16がインストルメントパネル４に対して位置決めさ
れれば、おのずとインストルメントパネル４に対して位
置決めされることになる。また、この第２のエアバッグ
リッド20は、第１のエアバッグリッド18のリッド表皮16
とリッド基板14との締結部を車室内側より覆うように取
り付けられており、さらに、第１のエアバッグリッド18
とは質感、色彩等の異なる構成とすることもできるた
め、この第２のエアバッグリッド20を設けることにより
車室内における見栄えの向上を図ることができる。

【００２８】上述した本実施例による自動車のエアバッ
グ構造によれば、第１のエアバッグリッド18がリッド基
板14とリッド表皮16とにより構成されており、またイン
ストルメントパネル４に対する位置合わせは、リッド表
皮16をインストルメントパネル４に対して位置決めする
ことにより行なう構成としているので、この第１のエア
バッグリッド18のエアバッグケース10に対する取付けが
堅固に行なえると共に、そのインストルメントパネル４
に対する位置合せを精度良く行うことが可能となる。

【００２９】以上、本発明による自動車のエアバッグ構
造の一実施例を説明したが、本発明による自動車のエア
バッグ構造はかかる態様に限定されるものではない。

【００３０】例えば上記実施例では、第２のエアバッグ
リッド20を備えた構成としているが、この第２のエアバ
ッグリッド20がない構成とすることも可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例による自動車のエアバッグ構
造の概略構成を示す図２におけるI-I 線断面図

【図２】上記実施例におけるリッド部の背面図

【図３】上記実施例におけるリッド表皮がインストルメ
ントパネルに対して位置決めされた状態を示す図２にお
けるIII-III 線断面図

【図４】上記実施例におけるリッド部の要部構成を示す
図２におけるIV-IV 線断面図

【図５】上記実施例におけるリッド部の要部構成を示す
図２におけるV-V 線断面図

【図６】上記実施例におけるエアバッグの展開状態を示
す図

【符号の説明】

２ エアバッグユニット ４ インストルメントパネル ８ エアバッグ 10 エアバッグケース 12 リッド部 14 リッド基板 16 リッド表皮 18 第１のエアバッグリッド 20 第２のエアバッグリッド

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 平１−81156（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B60R 21/16 - 21/32 B60K 37/00

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エアバッグを収納したエアバッグケース
   と該エアバッグケースに該エアバッグケースの開口を開
   閉可能とするように取り付けられたエアバッグリッドと
   を備えてなるエアバッグユニットが、インストルメント
   パネルに開設された開口部よりインストルメントパネル
   内に配設された自動車のエアバッグ構造において、 前記エアバッグリッドは、一端部が前記エアバッグケー
   スに支持される支持端部とされ他端部がエアバッグの膨
   張により前記支持端部を支点として開放される開放端部
   とされるリッド基板と、該リッド基板の前記支持端部近
   傍のみにおいて締結部材により締結され前記リッド基板
   の車室内側表面を覆うリッド表皮とから構成され、 該リッド表皮の車幅方向両端部における前記リッド表皮
   とリッド基板との締結部よりもリッド基板開放端部側の
   位置に設けられリッド表皮裏面から対向するインストル
   メントパネルの開口縁部に向かって突出する係合部と、
   前記インストルメントパネルの開口縁部に前記係合部と
   対応して設けられ該係合部に係合可能な被係合部とから
   なり、前記係合部と被係合部とが互いに係合して前記リ
   ッド表皮をインストルメントパネルに対して位置決めす
   る位置決め部材が設けられて、前記リッド表皮は前記イ
   ンストルメントパネルに対して位置決めされて前記リッ
   ド基板に取り付けられることを特徴とする自動車のエア
   バッグ構造。
2. 【請求項２】 前記リッド表皮の車室内側表面の一部を
   覆って該リッド表皮に対して位置決め固定され該リッド
   表皮および前記リッド基板と共に前記エアバッグリッド
   を構成する第２のエアバッグリッドが設けられているこ
   とを特徴とする請求項１記載の自動車のエアバッグ構
   造。
3. 【請求項３】 前記リッド基板の開放端部に前記エアバ
   ッグケース側に向かって膨出した膨出部が形成されてい
   ることを特徴とする請求項１記載の自動車のエアバッグ
   構造。
4. 【請求項４】 前記リッド表皮の車室内側表面に該リッ
   ド表皮の前記リッド基板への締結部を覆うように固定さ
   れた第２のエアバッグリッドが設けられていることを特
   徴とする請求項１記載の自動車のエアバッグ構造。