JP3081014B2 - ポリスチレン誘導体及びその製造方法 - Google Patents

ポリスチレン誘導体及びその製造方法

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JP3081014B2
JP3081014B2 JP03104188A JP10418891A JP3081014B2 JP 3081014 B2 JP3081014 B2 JP 3081014B2 JP 03104188 A JP03104188 A JP 03104188A JP 10418891 A JP10418891 A JP 10418891A JP 3081014 B2 JP3081014 B2 JP 3081014B2
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剛 遠藤
洋子 南部
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Asahi Denka Kogyo KK
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、末端にシリルオキシ基
を持つポリグリシジルエーテルでグラフトされたポリス
チレン誘導体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】本発明
者らは既にCsFを触媒として、アリールシリルエーテル
によるグリシジルエーテル型エポキシド類の開環反応が
進行し、高収率で位置選択的な付加生成物が得られるこ
とを見出している(特開平1−233288号公報、Tetrahed
ron Lett., 31(12), 1723 (1990))。
【0003】さらに触媒量のシリルエーテルとCsF によ
りグリシジルエーテルの重合が進行し、その際、高い分
子量規制能が見られ、分子量分布の狭いポリエーテルが
得られることを明らかにしている(特開平2−281030号
公報)。
【0004】エポキシ化合物の開環重合により得られる
ポリエーテルは、特殊ゴム、界面活性剤など、その用途
は広い。またポリエチレンオキシドを側鎖に持つ高分子
は、リチウム塩などのアルカリ金属塩を可溶化すること
ができ、高分子電解質への研究が盛んである。しかしな
がら、ポリエチレンオキシドはその高い結晶性のため
に、金属塩の移動度を十分に向上させることができな
い。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
の結果、高分子シリルエーテルを開始剤とするグリシジ
ルエーテルの重合により、結晶性のないポリグリシジル
エーテルをグラフト鎖とするポリスチレン誘導体が得ら
れることを見出し本発明に到達した。
【0006】すなわち本発明は、一般式(I)で示され
る、末端にシリルオキシ基を持つポリグリシジルエーテ
ルでグラフトされたポリスチレン誘導体を提供するもの
である。
【0007】
【化5】
【0008】(式中 Rは置換あるいは無置換のアルキル
基、n は2〜10000 の数、R'は同一又は異なる炭素原子
数1〜5のアルキル基、m は5〜100 の数を示す。)か
かる本発明のポリスチレン誘導体は、一般式(II)
【0009】
【化6】
【0010】(式中 Rは置換あるいは無置換のアルキル
基を示す。)で示されるエポキシ化合物を、 一般式
(III)
【0011】
【化7】
【0012】(式中 nは2〜10000 の数、R'は同一又
は異なる炭素原子数1〜5のアルキル基を示す。)で示
されるシリルエーテル化合物を多官能性開始剤として、
無機フッ化物塩触媒の存在下に重合させることにより得
られる。
【0013】一般式(II)で示されるエポキシ化合物と
しては、Rが炭素原子数1〜20のアルキル基、ハロゲン
置換アルキル基、またはオレフィン、ニトリル、エステ
ル、アミド、アミン、エーテルなどの置換基を持つアル
キル基であるグリシジルエーテルが挙げられる。好まし
くは Rとして炭素原子数1〜4の直鎖もしくは分岐型の
アルキル基を持つグリシジルエーテルが挙げられる。
【0014】一般式(III)で示される多官能性開始剤に
おいて、トリアルキルシリルオキシ基の置換位置は、オ
ルト、メタ、パラのいずれでもよい。このようなシリル
エーテル化合物としては、芳香核上にトリメチルシリル
オキシ基を持つnが2〜10000のポリスチレン誘導体が挙
げられる。この化合物は、ポリヒドロキシスチレン(例
えば丸善石油化学製マルカリンカーM)を、ヘキサメチル
ジシラザンあるいはトリメチルクロロシラン−ピリジン
によりトリメチルシリル化することにより容易に得られ
る。この化合物はまた、トリメチルシリルオキシスチレ
ンのラジカル重合によっても得られる。
【0015】本発明において、一般式(III)で示される
多官能性開始剤の使用量は、一般式(II)で示されるエ
ポキシ化合物に対して、0.001 〜0.5 当量、好ましくは
0.01〜0.2 当量程度が好ましい。
【0016】本発明で用いられる無機フッ化物塩触媒と
しては、アルカリ金属のフッ化物が挙げられ、例えばCs
F 、KFなどがある。無機フッ化物塩触媒の使用量は、一
般式(II)で示されるエポキシ化合物に対して、0.001
〜0.05当量が好ましく、さらに好ましくは0.005 〜0.02
当量である。
【0017】本発明の重合反応は、無溶媒中もしくはジ
オキサン、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF) 、ジ
メチルアセトアミド(DMAc)などの非プロトン性有機溶媒
中で行うことができる。有機溶媒の使用量は、一般式
(II)で示されるエポキシ化合物に対して 0.2〜5当量
程度が好ましい。本発明の重合反応は、脱気封管中、 1
15〜150 ℃で、5〜200 分行うことができる。
【0018】本発明の好ましい実施態様を次に述べる。
一般式(II)で示されるエポキシ化合物1当量を、ジオ
キサン溶媒中、0.01〜0.2 当量の一般式(III)で示され
る多官能性開始剤と 0.005〜0.02当量のCsF 触媒を用
い、脱気封管中、115 〜150 ℃で、5〜60分間重合させ
る。反応後、触媒を濾別し、未反応のエポキシ化合物及
び溶媒を減圧除去するとポリグリシジルエーテルでグラ
フトされたポリスチレン誘導体が得られる。
【0019】
【発明の効果】本発明は、グリシジルエーテル型のエポ
キシ化合物を、多官能性高分子開始剤で重合させて、新
規なポリスチレン誘導体を得るものである。本発明によ
り、結晶性のない末端にシリルオキシ基を持つ分岐型ポ
リグリシジルエーテルでグラフトされたポリスチレン誘
導体が得られる。エポキシ化合物と開始剤のモル比を変
化させれば容易に分子量も制御でき、オリゴマーも得ら
れる。こうして得られたポリスチレン誘導体は、高分子
電解質などへの応用が期待できる。
【0020】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳しく説明する
が、本発明は、これらの実施例に限定されるものではな
い。
【0021】実施例1 反応容器にポリヒドロキシスチレン(丸善石油化学
(株)製, 数平均分子量(以下Mnと略記する):700 )
5g(41.6meq.) とヘキサメチルジシラザン17.14 ml(83.
2 mmol) を加え、よく攪拌しながら90℃ないし100 ℃で
3時間加熱した後、過剰量のヘキサメチルジシラザンを
減圧留去して7.71g のポリ(トリメチルシリルオキシス
チレン)を得た。
【0022】<分析結果>1 H-NMR(CCl4) (δ,ppm) : 0.22(s,9H,Me3Si), 1.0-2.0(br,3H,CH2CH), 6.1-6.8(b
r,4H,Ar) IR(KBr)(cm-1) :1605, 1250, 840 GPC 分析(溶媒;テトラヒドロフラン): 数平均分子量(Mn、ポリスチレン換算):1020 分子量分布(D=Mw/Mn) :1.73 実施例2 反応容器にポリヒドロキシスチレン(Mn:2900)5g(4
1.6meq.) とヘキサメチルジシラザン17.14 ml(83.2 mmo
l) を加え、よく攪拌しながら110 ℃で 5.5時間加熱攪
拌した後、実施例1と同様に操作して7.97g のポリ(ト
リメチルシリルオキシスチレン)を得た。
【0023】<分析結果>1 H-NMR及びIR:実施例1と同じ GPC 分析(溶媒;テトラヒドロフラン) Mn:4240、
D:1.91 実施例3 重合管にCsF 456mg(3mmol)を量りこみ減圧下加熱乾燥し
たのち、グリシジルメチルエーテル26.9ml(0.3 mol) 、
実施例1で合成したポリ(トリメチルシリルオキシスチ
レン)1.15g(6mmol)及びジオキサン27mlを加えたの
ち、重合管を脱気封管し、130 ℃で30分間重合させた。
反応後、反応液を濾過して触媒を除き、さらに未反応の
グリシジルメチルエーテル及びジオキサンを減圧除去し
た結果、21.2gのポリメチルグリシジルエーテルでグラ
フトされたポリスチレン誘導体を得た。 <分析結果>1 H-NMR(CCl4) (δ,ppm) : 0.06(s,Me3Si), 1.0-2.0(br,CH2CH), 3.3-3.7(m,CH2CHC
H2O,CH3O), 6.1-6.8(br,Ar) GPC 分析(溶媒;テトラヒドロフラン) Mn:4710、
D:1.731 H-NMR分析の結果より末端にトリメチルシリルオキシ基
を持つポリメチルグリシジルエーテルの構造を確認し
た。また、図1に実施例1及び実施例3で得られた反応
液より触媒を濾別し、濾液をテトラヒドロフランに溶解
させGPC 分析を行った結果を示す。図1から明らかなよ
うにGPC 分析よりグラフト重合の進行が確認された。
【0024】実施例4 実施例3と同様にして実施例2で得られたポリ(トリメ
チルシリルオキシスチレン)を用い、実施例3と同様に
して重合を行い、15.0gのポリメチルグリシジルエーテ
ルでグラフトされたポリスチレン誘導体を得た。
【0025】<分析結果>1 H-NMR(CCl4):実施例3と同様 GPC 分析(溶媒;テトラヒドロフラン) Mn:7580、
D:2.35
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1及び実施例3で得られた反応液より触
媒を濾別し、濾液をテトラヒドロフランに溶解させGPC
分析を行った結果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 65/00 - 65/48 C08F 8/42,30/08 CA(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I)で示される、末端にシリル
    オキシ基を持つポリグリシジルエーテルでグラフトされ
    たポリスチレン誘導体。 【化1】 (式中 Rは置換あるいは無置換のアルキル基、n は2〜
    10000 の数、R'は同一又は異なる炭素原子数1〜5のア
    ルキル基、m は5〜100 の数を示す。)
  2. 【請求項2】 一般式(II) 【化2】 (式中 Rは置換あるいは無置換のアルキル基を示す。)
    で示されるエポキシ化合物を、 一般式(III) 【化3】 (式中 nは2〜10000 の数、R'は同一又は異なる炭素原
    子数1〜5のアルキル基を示す。)で示されるシリルエ
    ーテル化合物を多官能性開始剤として、無機フッ化物塩
    触媒の存在下に重合させることを特徴とする、一般式
    (I)で示される末端にシリルオキシ基を持つポリグリ
    シジルエーテルでグラフトされたポリスチレン誘導体の
    製造方法。 【化4】 (式中 n,R, R' は上記と同じ意味を示し、m は5〜10
    0 の数を示す。)
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