JP3072671B2 - 回路遮断器 - Google Patents

回路遮断器

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JP3072671B2
JP3072671B2 JP4056234A JP5623492A JP3072671B2 JP 3072671 B2 JP3072671 B2 JP 3072671B2 JP 4056234 A JP4056234 A JP 4056234A JP 5623492 A JP5623492 A JP 5623492A JP 3072671 B2 JP3072671 B2 JP 3072671B2
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充洋 市野川
英雄 林
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Fuji Electric Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、各種機械の電気回路
の保護などに用いられる低圧の回路遮断器に関し、特に
その開閉機構に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の回路遮断器として、特公平1−
55742号公報に記載されたものが知られている。こ
の回路遮断器は、一端が回動自在に操作ハンドルに連結
され、上記操作ハンドルと共にトグルリンク機構を形成
するリンク、このリンクの他端に回動自在に設けられた
ローラ、回動自在に枢支され一方の回動端部に上記ロー
ラに対向して配置されたラッチ面を有し、且つ他方の回
動端部に固定接点に対向して配置された可動接点を有し
この可動接点が上記固定接点から開離する方向に付勢さ
れた可動子、この可動子に回動自在に枢支され、且つ回
動端に上記ラッチ面と対向して配置され上記ラッチ面方
向に常時付勢された係止部を有した係止レバー、及び所
定値以上の過電流が流れたとき上記係止レバーを作動さ
せる過電流過電流引外し装置を備え、常時は上記ローラ
が上記ラッチ面と上記係止部にて狭持されて上記操作ハ
ンドルの操作により上記両接点が接離され、所定値以上
の過電流が流れたとき、上記狭持を解くよう上記過電流
過電流引外し装置が上記係止レバーを作動して上記両接
点が開離されるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記回路遮
断器には次のような問題がある。 (1)可動子を開閉動作させるリンクがこの可動子を回
動自在に枢支する軸を挟んで可動接点と反対側の回動端
に連結されている。したがって、可動接点の固定接点か
らの開離距離は操作ハンドルの開閉操作による上記リン
クの変位と同程度に抑えられ、この面から遮断性能が制
約を受ける。
【0004】(2)可動子は操作ハンドルと共にトグル
リンク機構を形成するリンクに係止されてリセット状態
を保持するようになっている。そのため、ON操作時の
トグルリンク機構の反転に伴うリンクの振動で上記係止
が外れ、ミストリップが生じる危険が大きい。 この発明は、操作ハンドルの操作によるリンクの変位に
比べて大きな開離距離が得られるようにし、またON操
作時のリンクの振動の影響をうけにくくして、遮断性能
を向上させるとともに動作の安定を図った回路遮断器を
提供することを第1の目的とするものである。
【0005】また、上記回路遮断器においては、可動子
とこれを係止するリンクのローラとの係合は常時ばね付
勢された係止レバーで保持されており、トリップ時には
係止レバーが過電流過電流引外し装置によりばね力に抗
して回動させられて可動子の係止が解かれるようになっ
ている。その場合、ばね付勢に基づいて係止レバーに作
用するトルクはできるだけ小さくした方が過電流引外し
装置が負担するトリップ荷重が小さくなって好ましい。
しかし、このトルクが小さくなると可動子の係止が不十
分となりミストリップが生じやすくなる。
【0006】一方、ミストリップは回路遮断器のOFF
操作時よりもON操作時の方が生じやすい。それは、O
N操作時には遮断ばねに蓄勢するために可動子とローラ
との係合部にOFF操作時よりも大きな操作力が作用す
ること、及びON動作の瞬間に可動子が固定子に衝突し
て振動が発生することなどによる。これらを勘案する
と、係止レバーに作用させるトルクは、回路遮断器のO
N状態ではミストリップを生じない範囲でできるだけ小
さく、またトリップ荷重に関係のないOFF状態ではで
きるだけ大きくすることが望ましい。そこで、この発明
は、ばね付勢に基づいて係止レバーに作用するトルクを
回路遮断器の状態によって変化させ、トリップ荷重を増
やすことなくミストリップの危険を少なくした回路遮断
器を提供することを第2の目的とするものである。
【0007】更に、一般にこの種の回路遮断器は、トリ
ップ動作をすると操作ハンドルがON位置からOFF位
置に移行するため、操作ハンドルの停止位置からでは回
路遮断器がOFF状態なのかトリップ状態なのか見分け
がつかない。そこで、この発明は、操作ハンドルの停止
位置からOFF状態とトリップ状態とを判別することの
できる回路遮断器を提供することを第3の目的とするも
のである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るために、この発明の回路遮断器は、本体ケースに対し
て固定されたラッチピンと、一端にこのラッチピンと係
合するラッチ面を有するとともに他端に可動接触子を保
持し、前記ラッチピンを支点に回動して前記可動接触子
を開閉動作させるホルダと、このホルダに回動自在に支
持され常時は前記ラッチピンに被さってこのラッチピン
と前記ラッチ面との係合を保つとともに、過電流の発生
時には過電流引外し装置の作用により回動させられて前
記係合を解く係止レバーと、前記本体ケースに対して回
動自在に支持された操作ハンドルと、一端がこの操作ハ
ンドルに連結され、他端が前記ラッチ面と前記可動接触
子との間で前記ホルダに連結されたリンクと、前記可動
接触子がこれと対向する固定接触子から開離する方向に
前記ホルダを付勢する遮断ばねとを備えるものとする。
【0009】また、上記第2の目的を達成するために、
この発明は、上記回路遮断器において、ばね力に基づい
て係止レバーに作用するトルクがON状態よりもOFF
状態の方が大きくなるように構成するものとする。更
に、上記第3の目的を達成するために、この発明は、上
記回路遮断器において、本体ケースに対して固定され、
トリップ時に移動するホルダとリンクとの連結軸に干渉
してその移動を途中で停止させるとともに、リセット時
には前記操作ハンドルに作用する手動操作力に負けて弾
性変形し前記連結軸を通過させるトリップ表示ばねを設
けるものとする。
【0010】
【作用】この発明においては、操作ハンドルの動きをホ
ルダに伝えるリンクをホルダの回動支点となるラッチピ
ンとその反対側端部の可動接触子との間でホルダに連結
してある。したがって、ラッチピンからリンクの連結点
までの腕の長さよりラッチピンから可動接点までの腕の
長さの方が必然的に大きくなり、そのレバー比の分だけ
可動接点の変位がリンクの変位に対して拡大され、大き
な開離距離が得られる。
【0011】また、ラッチ面と本体ケースに固定したラ
ッチピンとを係合させて開閉機構をセット状態に保持す
るようにしているので、ON操作時のリンクの振動がホ
ルダの係止に直接影響せず、ミストリップの発生の危険
がない。その場合、係止レバーを付勢するばねによるト
ルクがON状態よりもOFF状態の方が大きくなるよう
に構成すれば、ON状態ではミストリップを生じさせな
い程度にトルクを抑えてトリップ荷重が過大になること
を防ぎながら、OFF状態ではトリップ荷重を考慮する
ことなくトルクを十分に大きくして、ON操作時のミス
トリップの危険を排除することができる。
【0012】上記回路遮断器において、トリップ時に係
止レバーがラッチピンから外れ、ラッチピンとホルダの
ラッチ面との係合が解かれると、ホルダが遮断ばねの力
により回動させられて可動接触子が開離するが、その
際、操作ハンドルとこれに連結されたリンクとの間に装
着されたリセットばねにより操作ハンドルがON位置か
らOFF位置に反転させられ、それに伴ってリンクとホ
ルダとの連結軸が一定の軌跡で移動する。
【0013】そこで、上記連結軸に干渉するトリップ表
示ばねを設け、その移動を途中で停止させて操作ハンド
ルをON位置とOFF位置の中間で停止させることによ
り、この操作ハンドルの停止位置からトリップ状態を判
定できるようにする。この状態からラッチピンとホルダ
のラッチ面との係合をリセットするには、操作ハンドル
をOFF位置まで手動で強制的に移動させる必要がある
が、そのためにはトリップ表示ばねが連結軸を介して作
用する操作ハンドルの手動操作力に負けて弾性変形し連
結軸を通過させるようにする。
【0014】
【実施例】以下、図1〜図17に基づいてこの発明の実
施例を説明する。実施例1 まず、図1〜図4はこの発明の実施例1を示すものであ
る。ここで、図1はON状態、図2はOFF状態、図3
はトリップした瞬間の状態をそれぞれ示す回路遮断器の
縦断面図、また図4は図1における要部構成部品の分解
斜視図である。これらの図において、モールド樹脂から
なる本体ケース1には操作ハンドル2が軸3により回動
自在に支持され、その腕部2aの連結穴5(図4)には
コの字形リンク4の一方の脚4aが挿入されている。ま
た、リンク4の他方の脚4bはU形断面のホルダ6のほ
ぼ中央に設けられた連結穴7(図4)に挿入されてい
る。ホルダ6の一端には逆台形溝形状のラッチ面6a
(図3,図4)が形成され、他端にはV状の溝6b(図
4)が形成されている。
【0015】ホルダ6の連結穴7に挿入されたリンク4
の脚4bは同時に係止レバー8の支点穴8c(図4)に
も挿入され、これにより係止レバー8はホルダ6の内側
で回動自在に支持されている。ホルダ6の溝6bには可
動接触子9の両側の腕9a(図4)が嵌め込まれ、この
可動接触子9にはホルダ6のU曲げ部の窓穴10を通し
て引張コイルばねからなる遮断ばね11の一端が掛けら
れている。遮断ばね11の他端は本体ケース1に固定さ
れたピン12に掛けられ、この遮断ばね11により可動
接触子9はホルダ6側に引張られて脱落しないように保
持されている。S字状に屈曲した可動接触子9の先端に
は可動接点13が取り付けられている。
【0016】リンク4の脚4aには捩じりばねからなる
リセットばね14が挿入され、このリセットばね14の
一端14aは操作ハンドル2のボス部2bの外周に、ま
た他端14bはリンク4の脚4bに掛けられている。リ
セットばね14はリンク4の脚4bを介して脚4aを中
心にホルダ6を図1の反時計方向に回動させるように作
用しており、この作用を受けてホルダ6のラッチ面6a
は本体ケース1に固定されたラッチピン15に向かって
押し付けられている。
【0017】そして、図1及び図2に示すように、ラッ
チ面6aは常時(ON時及びOFF時)はラッチピン1
5に係合し、このラッチピン15に緩く嵌め込まれたロ
ーラ16には、係止レバー8の先端に折り曲げ形成され
た係止部8aがホルダ6の内側で被さっている。また、
係止レバー8はホルダ6との間に設けられた引張コイル
ばねからなる戻しばね17によりラッチピン15側に引
き付けられている。
【0018】係止レバー8の先端付近の一側にはフック
8bが一体に設けられており、このフック8bには過電
流引外し装置18のアーマチュア19に一体形成された
引外し腕19aが係合するようになっている。アーマチ
ュア19はL形のヨーク20にピン21を介して回動自
在に支持され、引外しコイル22に過電流が流れると復
帰ばね23に抗して接極子24に吸引される。引外しコ
イル22の一端は本体ケース1に固定された固定接触子
25に接続され、他端は負荷側の端子板26に接続され
ている。固定接触子25には可動接点13に対向して固
定接点27が取り付けられている。可動接触子9は可撓
導体28を介して電源側の端子板29に接続されてい
る。
【0019】このような構成において、図2のOFF状
態から操作ハンドル2の把手2cを遮断ばね11に抗し
て反対側に倒すと、ホルダ6は腕部2aからリンク4を
介して力を受け、ラッチピン15を支点にして反時計方
向に回動して可動接点13を固定接点27に接触させ
る。その間に、遮断ばね11は引き伸ばされて蓄勢す
る。可動接点13が固定接点27に当たると、可動接触
子9は遮断ばね11に抗して図の時計方向に僅かに回動
させられ適度の接触圧力が与えられる。上記過程で操作
ハンドル2の腕部2aとリンク4とで形成されるトグル
リンク機構がデッドポイントを越えると、操作ハンドル
2に対する遮断ばね11の力が反転し、操作ハンドル2
は図1のON状態に保持される。この状態で、電流は端
子板29−可撓導体28−可動接触子9−可動接点13
−固定接点27−固定接触子25−引外しコイル22−
端子板26の経路で流れる。
【0020】図1のON状態において、ホルダ6は遮断
ばね11からリンク4の脚4bを中心に図の時計方向の
力を受け、ラッチ面6a(図4)はラッチピン15から
外れようとするが、ラッチピン15には係止レバー8の
係止部8aが被さっているためホルダ6は移動できず図
示状態に保たれている。一方、係止レバー8はラッチピ
ン15から反力を受けるが、係止部8aに作用するその
力は作用線が係止レバー8の回動支点となるリンク4の
脚4bを通るように設定されているため回動力とはなら
ず、係止部8aがラッチピン15から外れることはな
い。
【0021】図1のON状態において、上記電流経路に
過負荷電流あるいは短絡電流が流れて過電流引外し装置
18が動作すると、吸引されたアーマチュア19は図の
時計方向に回動し、引外し腕19aを介して係止レバー
8を脚4bの回りに同じ方向に回動させる。これによ
り、係止部8aはラッチピン15から外れ、拘束を解か
れたホルダ6は遮断ばね11の作用によりラッチ面6a
がラッチピン15から外れ、円弧状の端部6cがラッチ
ピン15の下にもぐり込んで、反対端の角部6dが本体
ケース1の内壁面に当接するまで回動する(トリップ動
作)。図3はその瞬間を示すもので、これにより可動接
点13は固定接点27から急速開離し電流遮断が実行さ
れる。なお、ホルダ6の端面6cの外側にはラッチピン
15を緩く挟んで円弧状のくちばし状部6eが設けられ
ているが、これはトリップ動作時におけるホルダ6の上
記回動を案内するためのもので必ずしも必要ない。
【0022】上記トリップ動作によりホルダ6が図3の
状態まで回動すると、それまでに蓄勢していたリセット
ばね14は原形に復そうとして操作ハンドル2を図の時
計方向(OFF方向)に回動させる。そして、腕部2a
とリンク4とからなるトグルリンク機構がデッドポイン
トを越えると、今度は遮断ばね11が角部6dと本体ケ
ース1との当接点を支点にホルダ6を図の反時計方向に
引張り上げ、ラッチ面6aを再びラッチピン15に係合
させる(リセット動作)。その時点には引外しコイル2
2の励磁が解かれてアーマチュア19、したがって係止
レバー8は復帰しており、全体として図2のOFF状態
と同じ状態に戻る。
【0023】図示構成においては、操作ハンドル2の動
きをホルダ6に伝えるリンク4は、ホルダ6の回動支点
となるラッチピン15とその反対側端部の可動接触子9
との間でホルダ6に連結されている。したがって、図2
において、ラッチピン15からリンクの連結点(脚4
b)までの腕の長さrよりもラッチピン15から可動接
点13までの腕の長さRの方が大きくなり、そのレバー
比R/rの分だけ可動接点13の変位がリンク4の変位
に対して拡大され、それだけ大きな開離距離が得られて
いる。
【0024】また、ラッチ面6aはリンク4ではなく本
体ケース1に固定されたラッチピン15に係合している
ので、操作ハンドル2のON操作時におけるリンク4の
振動がホルダ6の係止に直接影響せず、ラッチ面6aが
不用意にラッチピン15から外れてミストリップが発生
する危険がない。更に、図示実施例では遮断ばね11の
一端がホルダ6に回動自在に保持された可動接触子9に
掛けられ、この可動接触子9を介してホルダ6に遮断ば
ね11のばね力が作用するようになっているので、遮断
ばね11が可動接触子9の接触ばねとしての機能を併せ
持ち、ホルダ6と可動接触子9との間の別途の接触ばね
が必要ない。
【0025】実施例2 次に、図5〜図7はこの発明の実施例2を示し、図7は
回路遮断器のON状態の縦断面図、図6は図5における
要部構成部品の分解斜視図、図7の(A)は図5の操作
機構部分のON状態の拡大図、同(B)は同じくOFF
状態の拡大図である。実施例2と実施例1の主要な相違
点は、操作ハンドル2のON、OFF操作の向きが逆に
なっている点、及び戻しばね17が捩じりばねにより構
成されている点である。なお、実施例2では、この発明
の目的、効果と直接関係ないが、組立作業の便のために
左右2枚のフレーム30(図では片側のみ示してある)
を設け、操作ハンドル2を支持させる軸3、遮断ばね1
1を掛けるピン12、ラッチピン15をこのフレーム3
0に固定する構成としている。
【0026】戻しばね17はつる巻き部がリンク4の脚
4aに挿入され、その一端17aは操作ハンドル2のボ
ス部2bの外周に掛けられている。また、図6に示すよ
うに、係止レバー8にはその回動軸となるリンク4の脚
4bが通る支点穴8cを挟んで係止部8aと反対側の端
部にばね掛け部8dが設けられ、これに戻しばね17の
鉤形に折り曲げられた他端17bが掛けられている。そ
の結果、図7から分かるように、係止レバー8は戻しば
ね17から支点軸4bの回りに反時計方向のトルクを受
け、係止部8aがローラ16に引き付けられている。
【0027】このような構成において、図5及び図7
(A)のON状態から操作ハンドル2の把手2cを反時
計方向に倒すと、操作ハンドル2の腕部2aとリンク4
とからなるトグルリンク機構がデッドポイントを越えた
時点で、ホルダ6は引張状態にあった遮断ばね11に引
き上げられてラッチピン15を支点に時計方向に回動
し、角部6dがフレーム30のストッパ部30aに当た
った位置で停止する。これにより可動接点13は固定接
点27から開離する。図7(B)はそのようなOFF状
態を示している。
【0028】ここで、図7(A)のON状態と(B)の
OFF状態とを比較してみると、係止レバー8の戻しば
ね17の開き角度はA(ON状態)の方がB(OFF状
態)よりも大きくなっており、捩じりばねである戻しば
ね17のばね力は開き角度が小さいOFF状態の方がO
N状態よりも大きくなっている。しかも、上記ばね力の
作用点から脚4bの中心までの腕の長さはL1 (ON状
態)の方がL2 (OFF状態)よりも小さくなってい
る。
【0029】したがって、戻しばね17のばね力に基づ
いて係止レバー8に作用する反時計方向のトルク(ばね
力と腕の長さとの積)はON状態よりもOFF状態の方
が大きくなっている。その結果、引外し荷重(過電流過
電流引外し装置18で係止レバー8を時計方向に回動さ
せるトルク)が過大にならないように、ON状態でのリ
セットばね14のトルクをミストリップが生じない限度
でできるだけ小さく設定したとしても、OFF状態では
それよりも大きな、例えば2倍以上のトルクを係止レバ
ー8に作用させることができ、ミストリップの生じやす
いON操作の過程で係止レバー8を十分にローラ16側
に引き付けてミストリップを防止することができる。そ
の他の動作、作用については実施例1と同じなので説明
を省略する。
【0030】実施例3 図8〜図10はこの発明の実施例3を示し、図8は回路
遮断器のON状態の縦断面図、図9は図8における要部
構成部品の分解斜視図、図10の(A)は図8の操作機
構部分のON状態の拡大図、同(B)は同じくOFF状
態の拡大図である。実施例3も実施例2と同様に係止レ
バー8に作用するトルクをON状態よりもOFF状態の
方が大きくなるように構成したもので、実施例3との相
違点は戻しばねとして引張ばねを用いた点である。
【0031】すなわち、この場合はリンク4の一部にば
ね掛け穴4cが設けられ、これに引張ばねからなる戻し
ばね17の一端17aが掛けられ、またその他端17b
は係止レバー8の溝8eに掛けられている。ここで、図
10の(A)のON状態と(B)のOFF状態とを比較
すると、戻しばね17の引張長さはA(ON状態)より
もB(OFF状態)の方がやや短いがその影響は少な
く、ばね力の作用点から脚4bの中心までの腕の長さL
2 (OFF状態)がL1 (ON状態)よりも大きいた
め、これらの積であるトルクは結果としてOFF状態の
方がON状態よりも大きくなるように設定されている。
これにより、戻しばね17に基づいて係止レバー8に作
用するトルクは実施例2における場合と同様、OFF状
態の方がON状態よりも大きくなり、ON操作時のミス
トリップの発生が抑えられる。その他の動作、作用は実
施例1及び実施例2と同じなので説明を省略する。
【0032】実施例4 図11〜図16はこの発明の実施例4を示し、図11は
回路遮断器のON状態の縦断面図、図12は図11にお
ける要部構成部品の分解斜視図、図13は図11におけ
る操作機構部分のON状態の拡大図、図14は同じくト
リップ表示状態の拡大図、図15は同じくリセット操作
過程の拡大図、図16は同じくOFF状態の拡大図であ
る。
【0033】まず、図11及び図12において、この回
路遮断器の構成は図5及び図6の実施例2のものに類似
しているが、次の2つの点で相違している。第1の相違
点は操作ハンドル2とリンク4との間に、実施例2の戻
しばね17と逆向きにリセットばね14が設けられてい
る点である。リセットばね14は戻しばね17と同じく
捩じりばねからなり、かつ係止レバー8の戻しばねを兼
ねているが、操作ハンドル2を図11の反時計方向(O
FF方向)に常時付勢しており、その作用は実施例2と
は反対で図1の実施例1と同じとなっている。リセット
ばね14はつる巻き部がリンク4の脚4aに挿入され、
その一端14aは操作ハンドル2のボス部2bの外周
に、また他端14bは係止レバー8のばね掛け部8d
(図12)に掛けられている。係止レバー8はリセット
ばね14から図11の反時計方向に力を受け、係止部8
aがローラ16に引き付けられている。
【0034】次に、第2の相違点は実施例4ではトリッ
プ表示ばね31が設けられている点である。トリップ表
示ばね31は図12に示すように捩じりばねからなり、
つる巻き部が操作ハンドル2を支持する軸3に挿入され
ている。このトリップ表示ばね31の一端は鉤形に折り
曲げられてフレーム30の穴32に係止され、他端は後
述するトリップ動作時にリンク4の脚4aを逃げるよう
にP点でく字状に屈曲された上で更にその先が山形に屈
曲され、先端に傾斜面31bを形成している。また、ト
リップ表示ばね31は上記P点でフレーム30に設けら
れた突起33に当接し変形量が制限されている。
【0035】実施例4の構成は上記2点を除いては実施
例2と実質的に同じである。それでは、以下にそのトリ
ップ動作及びリセット動作について図13〜図16を参
照しながら説明する。いま、図11及び図13のON状
態で過電流が流れ、すでに述べた過電流引外し装置18
の動作により係止レバー8が時計方向に回動させられる
と、ホルダ6は遮断ばね11の作用により上方に引き上
げられ、実施例2でも述べたように角部6dがフレーム
30のストッパ部30aに当たって停止する。一方、操
作ハンドル2の腕部2aとリンク4とはリセットばね1
4の作用により図のく字状から逆く字状になろうとす
る。その結果、リンク4の脚4bは左方に移動してフレ
ーム30のガイド面30bに当接し、更にこれに沿って
上方に移動しようとする。
【0036】ところが、脚4bは図14に示す位置まで
来ると、これに干渉するように突出するトリップ表示ば
ね31の先端傾斜面31aに当接し、腕部2aとリンク
4とがわずかに逆く字状になった図示位置で停止する。
このとき、操作ハンドル2の把手2cはON位置とOF
F位置の中間に位置し、回路遮断器がトリップ状態であ
ることを表示する。ちなみに、トリップ表示ばね31が
なければ脚4bはフレーム30のストッパ部30cに当
たるまで上昇し、把手2cはOFF位置まで反転する。
【0037】図14の状態からリセットするには、操作
ハンドル2を手動操作によりにOFF位置まで反転させ
る。それにより脚4bはガイド面30bに沿って強制的
に引き上げられ、これに負けたトリップ表示ばね31は
図15に示すようにP点を支点に弾性変形し脚4bを通
過させる。トリップ表示ばね31を押し退けた脚4b
は、図16に示すようにフレーム30のストッパ部30
cに当たって停止する。そのとき、操作ハンドル2はO
FF位置まで達している。また、その間に、リセットば
ね14の作用により逆く字状になった腕2aとリンク1
4とによりホルダ6は角部6dを支点に反時計方向に引
き上げられ、ラッチ面6aがラッチピン15に再び係合
してリセットが完了する。
【0038】以上述べた通り、実施例4の構成によれ
ば、トリップ動作時にホルダ6とリンク14とを連結す
る脚4bがトリップ表示ばね31に妨げられて移動の途
中で停止し、操作ハンドル2が一気にOFF位置まで反
転せずにON位置とOFF位置の中間で停止するので、
把手2cの停止位置からトリップが発生したことを確実
に知ることができる。また、その状態から操作ハンドル
2にOFF方向の手動操作力を加えれば、トリップ表示
ばね31がその力に負けて脚4bを通過させリセットが
行われる。
【0039】図17はトリップ表示ばねの異なる実施態
様を示すものである。この場合はトリップ表示ばね31
は板ばねから図示形状に形成されており、L形断面の基
部で穴34に挿入されたフレーム30の突起30dのか
しめ加工によりに固定され、自由端にリンク4の脚4b
に干渉する斜面31aが折り曲げ形成されている。その
作用は捩じりばねの場合と全く同様なので、動作の説明
は省略する。
【0040】
【発明の効果】この発明によれば、操作ハンドルの動き
を拡大して可動接触子に与えることができるため、同一
の操作ストロークで従来よりも大きい可動接点の開離距
離が得られ、小形で遮断容量の大きい回路遮断器が構成
できる。また、操作ハンドルの振動がホルダの係止部分
に直接及ばないため、ON操作時にミストリップする危
険がない。その場合、係止レバーに作用するトルクをO
FF状態の方がON状態よりも大きくなるように構成す
ることにより、OFF状態からON状態への移行過程で
係止レバーのラッチピン側への押付け力を増し、引外し
荷重を増加させることなくON操作時のミストリップを
防止できる。また、トリップ表示ばねを設け、トリップ
時にホルダとリンクとの連結軸の移動を途中で停止させ
ることにより、操作ハンドルをON位置とOFF位置の
中間に停止させ、トリップの発生が一目で分かるように
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1を示す回路遮断器のON状
態の縦断面図である。
【図2】同じくOFF状態の縦断面図である。
【図3】同じくトリップ動作をした瞬間の縦断面図であ
る。
【図4】図1の回路遮断器の要部構成部品の分解斜視図
である。
【図5】この発明の実施例2を示す回路遮断器のON状
態の縦断面図である。
【図6】図5の回路遮断器の要部構成部品の分解斜視図
である。
【図7】図5における操作機構部の拡大図で(A)はO
N状態、(B)はOFF状態である。
【図8】この発明の実施例3を示す回路遮断器のON状
態の縦断面図である。
【図9】図8の回路遮断器の要部構成部品の分解斜視図
である。
【図10】図8における操作機構部の拡大図で(A)は
ON状態、(B)はOFF状態である。
【図11】この発明の実施例4を示す回路遮断器のON
状態の縦断面図である。
【図12】図11の回路遮断器の要部構成部品の分解斜
視図である。
【図13】図11における操作機構部のON状態の拡大
図である。
【図14】図11における操作機構部のトリップ表示状
態の拡大図である。
【図15】図11における操作機構部のリセット操作過
程の拡大図である。
【図16】図11における操作機構部のOFF状態の拡
大図である。
【図17】図12におけるトリップ表示ばねの異なる実
施態様を示す要部斜視図である。
【符号の説明】
1 本体ケース 2 操作ハンドル 4 リンク 6 ホルダ 6a ラッチ面 8 係止レバー 9 可動接触子 11 遮断ばね 15 ラッチピン 16 ローラ 18 過電流引外し装置 31 トリップ表示ばね
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−4867(JP,A) 実開 平2−59554(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01H 73/38

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】本体ケースに対して固定されたラッチピン
    と、 一端にこのラッチピンと係合するラッチ面を有するとと
    もに他端に可動接触子を保持し、前記ラッチピンを支点
    に回動して前記可動接触子を開閉動作させるホルダと、 このホルダに回動自在に支持され常時はばね力を受けて
    前記ラッチピンに被さりこのラッチピンと前記ラッチ面
    との係合を保つとともに、過電流の発生時には過電流引
    外し装置の作用により前記ばね力に抗して回動させられ
    前記係合を解く係止レバーと、 前記本体ケースに対して回動自在に支持された操作ハン
    ドルと、 一端がこの操作ハンドルに連結され、他端が前記ラッチ
    面と前記可動接触子との間で前記ホルダに連結されたリ
    ンクと、 前記可動接触子がこれと対向する固定接触子から開離す
    る方向に前記ホルダを付勢する遮断ばねとを備えたこと
    を特徴とする回路遮断器。
  2. 【請求項2】ばね力に基づいて係止レバーに作用するト
    ルクがON状態よりもOFF状態の方が大きくなるよう
    に構成したことを特徴とする請求項1記載の回路遮断
    器。
  3. 【請求項3】本体ケースに対して固定されトリップ時に
    移動するホルダとリンクとの連結軸に干渉してその移動
    を途中で停止させるとともに、リセット時には前記操作
    ハンドルに作用する手動操作力に負けて弾性変形し前記
    連結軸を通過させるトリップ表示ばねを設けたことを特
    徴とする請求項1記載の回路遮断器。
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