JP3068156B2 - 軟磁性合金 - Google Patents
軟磁性合金Info
- Publication number
- JP3068156B2 JP3068156B2 JP02122299A JP12229990A JP3068156B2 JP 3068156 B2 JP3068156 B2 JP 3068156B2 JP 02122299 A JP02122299 A JP 02122299A JP 12229990 A JP12229990 A JP 12229990A JP 3068156 B2 JP3068156 B2 JP 3068156B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- alloy
- soft magnetic
- magnetic alloy
- magnetic
- heat treatment
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Classifications
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01F—MAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
- H01F1/00—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
- H01F1/01—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
- H01F1/03—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
- H01F1/12—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials
- H01F1/14—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials metals or alloys
- H01F1/147—Alloys characterised by their composition
- H01F1/153—Amorphous metallic alloys, e.g. glassy metals
- H01F1/15308—Amorphous metallic alloys, e.g. glassy metals based on Fe/Ni
Description
【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、軟磁性合金、特に高耐食性で低磁歪のFe基
軟磁性合金に関する。
軟磁性合金に関する。
<従来の技術> 軟磁性材料に求められる要求特性は、年々厳しくなっ
ている。
ている。
しかし、基本的には、高飽和磁化、高透磁率および低
鉄損であることが求められる。これらの要求特性を満足
するために、軟磁性材料は以下に示す特性を満足する必
要がある。
鉄損であることが求められる。これらの要求特性を満足
するために、軟磁性材料は以下に示す特性を満足する必
要がある。
(1)磁歪定数λsが小さいこと(λs=±5×10-6以
内にあること)。
内にあること)。
(2)結晶磁気異方性が小さいこと。
この2つの要求特性を満足しない限りにおいては、十
分な基本特性が得られないか、または用途によっては全
く使用できないものとなってしまう。
分な基本特性が得られないか、または用途によっては全
く使用できないものとなってしまう。
より詳述すると、磁気ヘッド等の使用時に応力が常に
かかる用途、あるいはコア自体の製造過程、あるいはコ
ア自体に応力が常に印加されたままの状態にある用途に
おいては、磁歪定数λsは、0ないし負、特に0〜−5
×10-6程度であることが必要である。
かかる用途、あるいはコア自体の製造過程、あるいはコ
ア自体に応力が常に印加されたままの状態にある用途に
おいては、磁歪定数λsは、0ないし負、特に0〜−5
×10-6程度であることが必要である。
Fe基合金軟磁性材料としては、純鉄、珪素鋼、センダ
スト合金、アモルファス合金等が知られており、高飽和
磁束密度であることが特徴である。
スト合金、アモルファス合金等が知られており、高飽和
磁束密度であることが特徴である。
これら軟磁性材料において、Fe基アモルファス合金が
その高飽和磁束密度、低損失の特徴により、広く使用さ
れるようになってきた。
その高飽和磁束密度、低損失の特徴により、広く使用さ
れるようになってきた。
しかしながら、Fe基アモルファス合金は高磁歪定数を
有するため、その用途が限定されていた。特に平滑チョ
ークコイル、磁気ヘッド等の応力がかかる用途に対して
は、透磁率や飽和磁束密度等の磁気特性が大きく劣化し
てしまうという根本的な問題が発生するために、用途拡
大がいま一歩進まない状況にある。
有するため、その用途が限定されていた。特に平滑チョ
ークコイル、磁気ヘッド等の応力がかかる用途に対して
は、透磁率や飽和磁束密度等の磁気特性が大きく劣化し
てしまうという根本的な問題が発生するために、用途拡
大がいま一歩進まない状況にある。
一方、アモルファス合金の中でもCo基アモルファス合
金のように、磁歪定数がほぼ零に近い合金がある。しか
しながら、この合金は飽和磁束密度が低く、かつ高価で
あるという欠点がある。このため、その用途は、磁気ヘ
ッド等の素材のコストが問題にならない分野に限定され
ていた。
金のように、磁歪定数がほぼ零に近い合金がある。しか
しながら、この合金は飽和磁束密度が低く、かつ高価で
あるという欠点がある。このため、その用途は、磁気ヘ
ッド等の素材のコストが問題にならない分野に限定され
ていた。
アモルファス合金のこのような問題を解決するため
に、欧州特許公開0271657号公報では、微結晶相からな
る軟磁性合金を提案している。この軟磁性合金は、まず
アモルファス合金を作製し、これに熱処理を施すことに
より微結晶相を形成するものである。
に、欧州特許公開0271657号公報では、微結晶相からな
る軟磁性合金を提案している。この軟磁性合金は、まず
アモルファス合金を作製し、これに熱処理を施すことに
より微結晶相を形成するものである。
この合金は、従来のFe基アモルファス合金の欠点をか
なり改善する発明である。特に、飽和磁歪定数が大きく
減少することは、好ましいことである。
なり改善する発明である。特に、飽和磁歪定数が大きく
減少することは、好ましいことである。
<発明が解決しようとする課題> しかしながら、この合金にしてもまだ特性が不十分で
ある。特に、磁歪定数が零か負の合金が作製できないこ
とに問題があり、従って、磁気ヘッド等の応力のかかる
用途には、現実的には使用できないという欠点がある。
ある。特に、磁歪定数が零か負の合金が作製できないこ
とに問題があり、従って、磁気ヘッド等の応力のかかる
用途には、現実的には使用できないという欠点がある。
前記公報には、ホウ素Bの含有量が約5%の近傍で磁
歪定数がほぼ零になる実施例が記載されている(例え
ば、Fe74Cu1Nb3Si17B5合金)。
歪定数がほぼ零になる実施例が記載されている(例え
ば、Fe74Cu1Nb3Si17B5合金)。
しかしながら、ホウ素Bの含有量が5%程度の合金が
アモルファス化し難いことは、一般的に広く知られてい
ることである。
アモルファス化し難いことは、一般的に広く知られてい
ることである。
また、このような合金は、金属材料を使用する上で基
本的な重要な耐食性が、著しく低いという欠点がある。
本的な重要な耐食性が、著しく低いという欠点がある。
本発明は、微結晶相を有する軟磁性合金であって、耐
食性が著しく向上し、しかも、磁歪定数が極めて小さ
く、特に磁歪定数がほぼ零に近いか、零から負の範囲に
存在し、高い実効透磁率をもつ軟磁性合金を提供するこ
とを目的とする。
食性が著しく向上し、しかも、磁歪定数が極めて小さ
く、特に磁歪定数がほぼ零に近いか、零から負の範囲に
存在し、高い実効透磁率をもつ軟磁性合金を提供するこ
とを目的とする。
<課題を解決するための手段> このような目的は、下記(1)〜(8)の本発明によ
り達成される。
り達成される。
(1)溶湯から急冷した後、熱処理して得られた軟磁性
合金であって、 微結晶相を有し、 下記式(I)で表わされる組成を有し、 100kHzでの実効透磁率が10000以上であることを特徴
とする軟磁性合金。
合金であって、 微結晶相を有し、 下記式(I)で表わされる組成を有し、 100kHzでの実効透磁率が10000以上であることを特徴
とする軟磁性合金。
[式(I)] (Fe1-aNia)100-x-y-z-p-qCuxSiyBzCrpM1 q 上記式(I)において、M1はVおよび/またはMnであ
り、 0≦a≦0.5、 0.1≦x≦5、 6≦y≦20、 6≦z≦20、 15≦y+z≦30、 1≦p≦10、 1≦q≦10かつ p≧3またはq≧2(ただし、M1としてVが含有される
とき、Vの含有量は2.5より大である。) (2)磁歪定数λsが−5×10-6〜+0.5×10-6である
上記(1)に記載の軟磁性合金。
り、 0≦a≦0.5、 0.1≦x≦5、 6≦y≦20、 6≦z≦20、 15≦y+z≦30、 1≦p≦10、 1≦q≦10かつ p≧3またはq≧2(ただし、M1としてVが含有される
とき、Vの含有量は2.5より大である。) (2)磁歪定数λsが−5×10-6〜+0.5×10-6である
上記(1)に記載の軟磁性合金。
(3)磁歪定数λsが−5×10-6〜0である上記(2)
に記載の軟磁性合金。
に記載の軟磁性合金。
(4)飽和磁束密度が10kG以上である上記(1)ないし
(3)のいずれかに記載の軟磁性合金。
(3)のいずれかに記載の軟磁性合金。
(5)溶湯から急冷した後、熱処理して得られた軟磁性
合金であって、 微結晶相を有し、下記式(II)で表される組成を有
し、 100kHzでの実効透磁率が10000以上であることを特徴
とする軟磁性合金。
合金であって、 微結晶相を有し、下記式(II)で表される組成を有
し、 100kHzでの実効透磁率が10000以上であることを特徴
とする軟磁性合金。
[式(II)] (Fe1-aNia)100-x-y-z-p-qCuxSiyBzCrpM1 qM2 r (上記式(II)においてM1はVおよび/またはMnであ
り、M2は、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、MoおよびWから選ばれ
た一種以上の元素であり、 0≦a≦0.5、 0.1≦x≦5、 0≦y≦20、 6≦z≦20、 15≦y+z≦30、 3≦p≦10、 2.5<q≦10、 0≦r≦10 である。) (6)磁歪定数λsが−5×10-6〜+0.5×10-6である
上記(5)に記載の軟磁性合金。
り、M2は、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、MoおよびWから選ばれ
た一種以上の元素であり、 0≦a≦0.5、 0.1≦x≦5、 0≦y≦20、 6≦z≦20、 15≦y+z≦30、 3≦p≦10、 2.5<q≦10、 0≦r≦10 である。) (6)磁歪定数λsが−5×10-6〜+0.5×10-6である
上記(5)に記載の軟磁性合金。
(7)磁歪定数λsが−5×10-6〜0である上記(6)
に記載の軟磁性合金。
に記載の軟磁性合金。
(8)飽和磁束密度が10kG以上である上記(5)ないし
(7)のいずれかに記載の軟磁性合金。
(7)のいずれかに記載の軟磁性合金。
<作用> 本発明の軟磁性合金は、 FeCuCr(V,Mn)SiB 系の組成を基本としている。
本発明の軟磁性合金は、上記合金を溶湯から急冷し
て、一旦アモルファス合金化し、これに熱処理を施すこ
とにより微結晶相を形成して得られるものである。
て、一旦アモルファス合金化し、これに熱処理を施すこ
とにより微結晶相を形成して得られるものである。
本発明では微結晶相を有する軟磁性合金に、所定量の
CrとVおよび/またはMnとを含有させたため、磁歪を小
さく、特に磁歪定数λsを−5×10-6〜0.5×10-6とほ
ぼ零から負の値とすることができるものであり、さらに
耐食性を著しく改善できるものである。
CrとVおよび/またはMnとを含有させたため、磁歪を小
さく、特に磁歪定数λsを−5×10-6〜0.5×10-6とほ
ぼ零から負の値とすることができるものであり、さらに
耐食性を著しく改善できるものである。
しかも、特に高周波での実効透磁率が高い。
また、特に高周波での飽和磁束密度もきわめて高い。
この場合、100kHzでの実効透磁率は10000以上、飽和
磁束密度は10kG以上である。
磁束密度は10kG以上である。
また、本発明の軟磁性合金は、各種磁心、例えばコモ
ンモードチョークコイル、音声帯域、トランス、漏電セ
ンサ(零相変流器)、電流トランスに好適である。
ンモードチョークコイル、音声帯域、トランス、漏電セ
ンサ(零相変流器)、電流トランスに好適である。
すなわち、磁歪が小さいので、例えば、ギャップ付磁
心、カットコア等に適用した場合、唸りが生じない。ま
た、ギャップ付磁心、カットコア等を形成するに際し樹
脂被覆を設ける場合、上記と同様に、樹脂の硬化収縮に
より磁気特性が劣化しない。
心、カットコア等に適用した場合、唸りが生じない。ま
た、ギャップ付磁心、カットコア等を形成するに際し樹
脂被覆を設ける場合、上記と同様に、樹脂の硬化収縮に
より磁気特性が劣化しない。
そして、高い磁気特性をもつ。
さらにまた、磁歪が小さいため磁気ヘッドに好適であ
ることは勿論である。
ることは勿論である。
なお、この出願の先願である特開平1−142049号公報
には、 Fe(Cu、Ag)SiBに、 M1として、V、Cr、Mnの1種以上3〜20%を添加した
合金が記載されている。
には、 Fe(Cu、Ag)SiBに、 M1として、V、Cr、Mnの1種以上3〜20%を添加した
合金が記載されている。
そして、その実施例2には、 Cu1Si14B8V7Cr1Ru2balFe を溶湯から急冷したのち熱処理して、微結晶を析出した
例が記載されている。
例が記載されている。
表2には、この組成の合金のλsが、+1.1×10-6で
ある旨が記載されてい0る。
ある旨が記載されてい0る。
しかも、このものは100kHzでの実効透磁率が5000未満
となってしまい、実用に耐えない。
となってしまい、実用に耐えない。
さらに、薄帯の形成が困難で微結晶相の形成も困難で
ある。
ある。
一方、この公報の実施例1、2には、上記以外のCr+
(V、Mn)の添加の例はない。
(V、Mn)の添加の例はない。
これに対し、本発明では、上記含有量にてCr+(V、
Mn)を添加して、λs×106を−5〜+0.5とするもので
あり、しかも100kHzでの実効透磁率は10000以上、飽和
磁束密度10kG以上を得、良好な耐食性を示し、微結晶相
の生成も容易になしうるものである。
Mn)を添加して、λs×106を−5〜+0.5とするもので
あり、しかも100kHzでの実効透磁率は10000以上、飽和
磁束密度10kG以上を得、良好な耐食性を示し、微結晶相
の生成も容易になしうるものである。
なお、同公報の実施例3には、上記式(1)の組成を
有する合金のスパッタ膜を形成したのち熱処理したもの
が記載されているが、周知のとおり、溶湯からの急冷膜
とスパッタ膜では、得られる透磁率も、λsも全く異な
るものである。
有する合金のスパッタ膜を形成したのち熱処理したもの
が記載されているが、周知のとおり、溶湯からの急冷膜
とスパッタ膜では、得られる透磁率も、λsも全く異な
るものである。
<具体的構成> 以下、本発明の具体的構成を詳細に説明する。
本発明の軟磁性合金は、微結晶相を有し、下記式
(I)で表わされる組成を有する。
(I)で表わされる組成を有する。
[式(I)] (Fe1-aNia)100-x-y-z-p-qCuxSiyBzCrpM1 q ただし、上記式(I)においてM1はVおよび/または
Mnであり、 0≦a≦0.5、 0.1≦x≦5、 6≦y≦20、 6≦z≦20、 15≦y+z≦30、 1≦p≦10、 1≦q≦10 であるが、M1としてVが含まれるとき、V量は2.5より
大である。
Mnであり、 0≦a≦0.5、 0.1≦x≦5、 6≦y≦20、 6≦z≦20、 15≦y+z≦30、 1≦p≦10、 1≦q≦10 であるが、M1としてVが含まれるとき、V量は2.5より
大である。
Niが含有される場合、延性および展性が向上する。こ
のため、例えば後述する媒体撹拌ミルにて粉末化する際
に、扁平状化を行なうことができる。また、Niを含有す
ることにより耐食性も向上する。
のため、例えば後述する媒体撹拌ミルにて粉末化する際
に、扁平状化を行なうことができる。また、Niを含有す
ることにより耐食性も向上する。
aが上記範囲を超えると、飽和磁束密度の低下が生じ
る。なお、好ましくは0≦a≦0.1である。
る。なお、好ましくは0≦a≦0.1である。
Cuは、後述する熱処理により微結晶相を形成する際
に、必須の元素である。
に、必須の元素である。
Cuの含有量を表わすxが上記範囲未満であると微結晶
相の形成が困難となり、上記範囲を超えると合金溶湯の
急冷に際して薄帯化が困難となる。また、xが上記範囲
を外れると、磁気特性、特に透磁率が低下し、例えば、
コモンモードチョーク用巻磁心に適用した場合、良好な
実効透磁率が得られない。なお、好ましくは0.3≦x≦
2である。
相の形成が困難となり、上記範囲を超えると合金溶湯の
急冷に際して薄帯化が困難となる。また、xが上記範囲
を外れると、磁気特性、特に透磁率が低下し、例えば、
コモンモードチョーク用巻磁心に適用した場合、良好な
実効透磁率が得られない。なお、好ましくは0.3≦x≦
2である。
SiおよびBは合金をアモルファス化するために含有さ
れる。本発明では、上記式で表わされる組成の合金溶湯
を、単ロール法等で高速急冷することにより、あるいは
水アトマイズ法による高速急冷によりアモルファス合金
を製造し、このアモルファス合金に熱処理を施すことに
より微結晶相を形成するため、SiおよびBは、上記範囲
にて含有される必要がある。
れる。本発明では、上記式で表わされる組成の合金溶湯
を、単ロール法等で高速急冷することにより、あるいは
水アトマイズ法による高速急冷によりアモルファス合金
を製造し、このアモルファス合金に熱処理を施すことに
より微結晶相を形成するため、SiおよびBは、上記範囲
にて含有される必要がある。
Siの含有量を表わすy、Bの含有量を表わすzおよび
y+zが上記範囲を外れると、合金のアモルファス化が
困難となる。また、Bが上記範囲を超えると磁歪が増加
してしまう。
y+zが上記範囲を外れると、合金のアモルファス化が
困難となる。また、Bが上記範囲を超えると磁歪が増加
してしまう。
なお、好ましくは、8≦y≦20、6≦z≦16、特に7
≦z≦16、20≦y+z≦28である。
≦z≦16、20≦y+z≦28である。
SiおよびBの他、ガラス化元素としてC、Ge、P、G
a、Sb、In、BeおよびAsから選ばれる元素の1種以上が
含有されていてもよい。これらのガラス化元素は、Siお
よびBと共にアモルファス化を助長する作用を示し、ま
た、キュリー温度および磁歪の調整作用も有する。これ
らガラス化元素は、SiとBの含有量の合計、すなわちy
+zの30%以下を置換するように含有されることが好ま
しい。
a、Sb、In、BeおよびAsから選ばれる元素の1種以上が
含有されていてもよい。これらのガラス化元素は、Siお
よびBと共にアモルファス化を助長する作用を示し、ま
た、キュリー温度および磁歪の調整作用も有する。これ
らガラス化元素は、SiとBの含有量の合計、すなわちy
+zの30%以下を置換するように含有されることが好ま
しい。
これらのうち特にPは、耐食性を向上させ、かつアモ
ルファス化を助長させる元素として好ましい。
ルファス化を助長させる元素として好ましい。
CrおよびM1は、磁歪を減少させるためおよび耐食性を
向上させるために含有される。
向上させるために含有される。
また、M1は、後述する結晶化のための熱処理の際に、
処理温度の好適範囲を広げる作用も有する。
処理温度の好適範囲を広げる作用も有する。
CrおよびM1の含有量をそれぞれ表わすpおよびqが上
記範囲未満となると、微結晶相の形成が困難となる他、
十分な低磁歪および耐食性が得られない。
記範囲未満となると、微結晶相の形成が困難となる他、
十分な低磁歪および耐食性が得られない。
また、pおよびqが上記範囲を超えるとアモルファス
化が困難となる他、飽和磁束密度が低下する。
化が困難となる他、飽和磁束密度が低下する。
pおよびqについて詳細に説明すると、 さらに、1≦pかつ1≦qの条件下において、 3≦pまたは2≦q、好ましくは3.5≦pまたは2.5≦
qとする。
qとする。
ただし、この出願と同時継続出の出願では、M1がVの
みのとき、q≧2.5のものを対象としているので、本発
明では、Vの添加量は2.5より大とする。
みのとき、q≧2.5のものを対象としているので、本発
明では、Vの添加量は2.5より大とする。
このようなp、qにより磁歪定数λsを+0.5×10-6
以下とすることができる。
以下とすることができる。
また、100kHzにおいて、10000以上、20000にも及ぶ実
効透磁率が得られる。さらに、10kG以上の飽和磁束密度
が得られる。
効透磁率が得られる。さらに、10kG以上の飽和磁束密度
が得られる。
なお、p+q≦15であることが好ましい。
以上に挙げた元素の他、本発明の軟磁性合金には、A
l、白金族元素、Sc、Y、希土類元素、Au、Zn、Snおよ
びReから選択される1種以上の元素が含有されていても
よい。
l、白金族元素、Sc、Y、希土類元素、Au、Zn、Snおよ
びReから選択される1種以上の元素が含有されていても
よい。
これらの元素が含有される場合、その含有量の合計
は、上記式で表わされる組成に対して10%以下であるこ
とが好ましい。
は、上記式で表わされる組成に対して10%以下であるこ
とが好ましい。
本発明は、微結晶相を有する軟磁性合金であって、下
記式(II)で表わされる組成を有する軟磁性合金も含
む。
記式(II)で表わされる組成を有する軟磁性合金も含
む。
[式(II)] (Fe1-aNia)100-x-y-z-p-qCuxSiyBzCrpM1 qM2 r 但し、上記式(II)においてM1はVおよび/またはMn
であり、M2は、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、MoおよびWから選
ばれた一種以上の元素であり、 0≦a≦0.5、 0.1≦x≦5、 0≦y≦20、 6≦z≦20、 15≦y+z≦30、 0.5≦p≦10、 0.5≦q≦10、 0≦r≦10 である。
であり、M2は、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、MoおよびWから選
ばれた一種以上の元素であり、 0≦a≦0.5、 0.1≦x≦5、 0≦y≦20、 6≦z≦20、 15≦y+z≦30、 0.5≦p≦10、 0.5≦q≦10、 0≦r≦10 である。
上記式(II)で表わされる組成を有する軟磁性合金
は、Fe−Cu−Si−B−M2合金にCrおよびM1を添加するこ
とにより、磁歪を低下させ、しかも耐食性を向上させた
ものである。
は、Fe−Cu−Si−B−M2合金にCrおよびM1を添加するこ
とにより、磁歪を低下させ、しかも耐食性を向上させた
ものである。
上記式(II)で表わされる組成を有する軟磁性合金に
おいて、a、x、y,z、y+z、pおよびqの範囲の限
定理由および各元素を置換してもよい元素、さらにその
他含有されてもよい元素は、上記式(I)で表わされる
軟磁性合金と同様である。
おいて、a、x、y,z、y+z、pおよびqの範囲の限
定理由および各元素を置換してもよい元素、さらにその
他含有されてもよい元素は、上記式(I)で表わされる
軟磁性合金と同様である。
なお、上記式(II)において、p+q+r≦15である
ことが好ましい。
ことが好ましい。
本発明の軟磁性合金は、微結晶相の占める割合が50%
以上であることが好ましく、軟磁性合金が微結晶相で構
成されている場合、特に高い磁気特性が得られる。な
お、軟磁性合金の微結晶相以外の部分は、実質的にアモ
ルファスで構成される。
以上であることが好ましく、軟磁性合金が微結晶相で構
成されている場合、特に高い磁気特性が得られる。な
お、軟磁性合金の微結晶相以外の部分は、実質的にアモ
ルファスで構成される。
本発明において良好な磁気特性を得るためには、微結
晶の平均粒径を好ましくは1000Å以下、より好ましくは
500Å以下、さらに好ましくは200Å以下、特に好ましく
は50〜200Åとすることがよい。この場合の平均粒径
は、各結晶粒の最大径の平均とする。平均粒径は透過型
電子顕微鏡により測定することができる。
晶の平均粒径を好ましくは1000Å以下、より好ましくは
500Å以下、さらに好ましくは200Å以下、特に好ましく
は50〜200Åとすることがよい。この場合の平均粒径
は、各結晶粒の最大径の平均とする。平均粒径は透過型
電子顕微鏡により測定することができる。
なお、本発明の軟磁性合金には、磁気特性に悪影響を
与えない限り、N、O、S等の不可避的不純物が含有さ
れていてもよい。
与えない限り、N、O、S等の不可避的不純物が含有さ
れていてもよい。
本発明の軟磁性合金は、上記の組成と結晶構造を有し
た上で薄板、あるいは場合によっては粉体として得られ
るが、その磁歪定数λsは−5×10-6以上+0.5×10-6
以下、特に好ましくは−5×10-6以上0以下、さらに好
ましくは−5×10-6以上0未満である。
た上で薄板、あるいは場合によっては粉体として得られ
るが、その磁歪定数λsは−5×10-6以上+0.5×10-6
以下、特に好ましくは−5×10-6以上0以下、さらに好
ましくは−5×10-6以上0未満である。
また、その100kHz、2 mOeにおける実効透過率は10000
以上、特に10000〜20000である。
以上、特に10000〜20000である。
そして、飽和磁束密度は10kG以上、特に10〜15kGであ
る。
る。
これらCrおよびM1の添加量p、qと、磁気特性との関
係を第1図に示す。
係を第1図に示す。
同図に示される例において、100kHzの実効透磁率μ=
10000以上の範囲を示す破線で囲まれた領域であって、
上記のp、qおよびλsをもつ範囲が本発明の合金範囲
である。
10000以上の範囲を示す破線で囲まれた領域であって、
上記のp、qおよびλsをもつ範囲が本発明の合金範囲
である。
次に、本発明の軟磁性合金の製造方法を説明する。
本発明の軟磁性合金は、片ロール法、双ロール法等の
通常の液体急冷法によって製造されたアモルファス合金
薄帯、あるいは場合によっては溶湯から水アトマイズ法
により製造されたアモルファス合金粉末に、熱処理を施
して微結晶相を形成することにより得られる。
通常の液体急冷法によって製造されたアモルファス合金
薄帯、あるいは場合によっては溶湯から水アトマイズ法
により製造されたアモルファス合金粉末に、熱処理を施
して微結晶相を形成することにより得られる。
液体急冷法により製造されるアモルファス合金薄帯の
厚さは、5〜50μm、特に15〜25μmであることが好ま
しい。
厚さは、5〜50μm、特に15〜25μmであることが好ま
しい。
厚さが上記範囲を外れるアモルファス合金薄帯は、製
造が困難である。
造が困難である。
液体急冷法や水アトマイズ法により作製された合金薄
帯あるいは合金粉末に施される熱処理は、真空中、ある
いは窒素、水素、Ar等の不活性ガス雰囲気中で行なうこ
とが好ましいが、空気中で行なってもよい。
帯あるいは合金粉末に施される熱処理は、真空中、ある
いは窒素、水素、Ar等の不活性ガス雰囲気中で行なうこ
とが好ましいが、空気中で行なってもよい。
熱処理の温度および時間は、熱処理される合金の組
成、形状、寸法などによっても変わるが、450〜700℃に
て5分間〜24時間であることが好ましい。
成、形状、寸法などによっても変わるが、450〜700℃に
て5分間〜24時間であることが好ましい。
本発明によれば、このような温度範囲のほぼ全域に亙
って良好な磁気特性、特に高い透磁率が得られる。
って良好な磁気特性、特に高い透磁率が得られる。
熱処理温度が上記範囲未満であると、微結晶相を形成
することが困難となり、上記範囲を超えると結晶粒が粗
大となり、いずれも高い磁気特性を有する軟磁性粉末が
得られない。
することが困難となり、上記範囲を超えると結晶粒が粗
大となり、いずれも高い磁気特性を有する軟磁性粉末が
得られない。
熱処理時間が上記範囲未満であると均一な加熱を行な
うことが困難となり、また、上記範囲を超えると結晶粒
が粗大化し、いずれも高い磁気特性の軟磁性合金が得ら
れない。
うことが困難となり、また、上記範囲を超えると結晶粒
が粗大化し、いずれも高い磁気特性の軟磁性合金が得ら
れない。
なお、より好ましい熱処理温度および熱処理時間は、
450〜650℃、特に500〜600℃にて5分間〜6時間であ
る。
450〜650℃、特に500〜600℃にて5分間〜6時間であ
る。
なお、この熱処理は、磁場中にて行なわれてもよい。
本発明の軟磁性合金の好ましい適用例は、巻磁心であ
る。
る。
本発明が適用された巻磁心は、本発明の軟磁性合金の
薄帯の巻回体である。
薄帯の巻回体である。
巻磁心の形状および寸法に特に制限はなく、形状は、
トロイダル状、レーストラック状等の各種形状から目的
に応じて選択すればよく、また、寸法は、例えば、外径
3〜1000mm程度、内径2〜500mm程度、高さ1〜100mm程
度である。
トロイダル状、レーストラック状等の各種形状から目的
に応じて選択すればよく、また、寸法は、例えば、外径
3〜1000mm程度、内径2〜500mm程度、高さ1〜100mm程
度である。
また、巻磁心は、耐圧性が要求される場合には層間絶
縁を施すことが好ましい。
縁を施すことが好ましい。
層間絶縁方法に特に制限はなく、ポリイミド、ポリエ
ステル等の有機フィルムを層間に挟む方法、アルミナ、
マグネシア等の無機粉末の塗布層を層間に介在させる方
法などの通常の方法で行なえばよい。
ステル等の有機フィルムを層間に挟む方法、アルミナ、
マグネシア等の無機粉末の塗布層を層間に介在させる方
法などの通常の方法で行なえばよい。
このような巻磁心の製造方法に特に制限はないが、上
記式で表わされる合金の溶湯を液体急冷法によりアモル
ファス合金薄帯とし、このアモルファス合金薄帯を巻回
した後、上記した熱処理により微結晶相を形成すること
が好ましい。
記式で表わされる合金の溶湯を液体急冷法によりアモル
ファス合金薄帯とし、このアモルファス合金薄帯を巻回
した後、上記した熱処理により微結晶相を形成すること
が好ましい。
なお、熱処理は、基本的には不活性雰囲気で実施する
ことが好ましいが、空気中等の酸化性雰囲気にても可能
である。この場合薄帯表面に薄い酸化膜が形成されるた
め層間絶縁効果が得られ、特に高周波領域で使用するコ
モンモードチョーク用磁心に適用する場合、周波数特性
が改善される効果がある。
ことが好ましいが、空気中等の酸化性雰囲気にても可能
である。この場合薄帯表面に薄い酸化膜が形成されるた
め層間絶縁効果が得られ、特に高周波領域で使用するコ
モンモードチョーク用磁心に適用する場合、周波数特性
が改善される効果がある。
磁心の磁気特性を制御するためには、磁場中にて熱処
理することが好ましい。巻磁心の磁束方向(薄帯の長さ
方向)に磁場を印加しながら熱処理すると、高角形特性
の巻磁心を得ることができる。一方、巻磁心の磁束方向
と直角方向(薄帯の幅方向)に磁場を印加しながら熱処
理すると、恒透磁率特性を有する高透磁率巻磁心を作製
することができる。
理することが好ましい。巻磁心の磁束方向(薄帯の長さ
方向)に磁場を印加しながら熱処理すると、高角形特性
の巻磁心を得ることができる。一方、巻磁心の磁束方向
と直角方向(薄帯の幅方向)に磁場を印加しながら熱処
理すると、恒透磁率特性を有する高透磁率巻磁心を作製
することができる。
なお、このようにして得られた軟磁性薄帯の巻回体を
カットコアやギャップ付コアとする場合、エポキシ樹脂
等の熱硬化性樹脂に含浸後、熱硬化して被覆を形成し、
次いで切断あるいはギャップ形成を行なう。
カットコアやギャップ付コアとする場合、エポキシ樹脂
等の熱硬化性樹脂に含浸後、熱硬化して被覆を形成し、
次いで切断あるいはギャップ形成を行なう。
なお、本発明の軟磁性合金は、薄板を積層した磁気ヘ
ッド等にも好適である。
ッド等にも好適である。
<実施例> 以下、具体的実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に
説明する。
説明する。
[実施例1] 下記表1に示す組成を有する原料合金溶湯を片ロール
法により高速急冷し、アモルファス合金薄帯を作製し
た。
法により高速急冷し、アモルファス合金薄帯を作製し
た。
これらのアモルファス合金薄帯に、N2ガス中で500〜5
50℃にて1時間熱処理を施して微結晶相を形成し、軟磁
性薄帯サンプルを得た。これらの軟磁性薄帯サンプルの
厚さは22μm、幅は3mmであった。なお、これらのサン
プルを透過型電子顕微鏡により観察した結果、平均粒径
1000Å以下の結晶粒からなる微結晶相を有していた。
50℃にて1時間熱処理を施して微結晶相を形成し、軟磁
性薄帯サンプルを得た。これらの軟磁性薄帯サンプルの
厚さは22μm、幅は3mmであった。なお、これらのサン
プルを透過型電子顕微鏡により観察した結果、平均粒径
1000Å以下の結晶粒からなる微結晶相を有していた。
これらのサンプルに対し、磁歪定数λs100kHzでの2 m
Oeの実効透磁率μおよび飽和磁束密度の測定、耐食性の
評価および応力印加による保磁力Hcの変化率の測定を行
なった。
Oeの実効透磁率μおよび飽和磁束密度の測定、耐食性の
評価および応力印加による保磁力Hcの変化率の測定を行
なった。
耐食性は、各サンプルを5%食塩水に24時間浸漬した
後の表面状態を、下記の基準で評価した。
後の表面状態を、下記の基準で評価した。
○:変化なし △:部分的に発錆 ×:発錆面積大 ××:全面に発錆 保磁力Hcの変化率は、以下のようにして測定した。
上記各薄帯サンプルを外径14mm、内径10mm、高さ3mm
のトロイダル状に巻回し、終端を固定して巻磁心とし
た。この巻磁心の保磁力Hc0を測定した。
のトロイダル状に巻回し、終端を固定して巻磁心とし
た。この巻磁心の保磁力Hc0を測定した。
次いで、これらの巻磁心に500gの重りを載せて応力を
印加し、このときの巻磁心の保磁力Hc1を測定した。表
1に示す保磁力の変化率は、Hc1/Hc0である。
印加し、このときの巻磁心の保磁力Hc1を測定した。表
1に示す保磁力の変化率は、Hc1/Hc0である。
表1に示される結果から、所定量CrおよびVを含有す
る本発明の軟磁性合金は、磁歪定数λsが小さく、磁気
特性が良好で、かつ応力による磁気特性劣化がなく、耐
食性が良好であることが明らかである。
る本発明の軟磁性合金は、磁歪定数λsが小さく、磁気
特性が良好で、かつ応力による磁気特性劣化がなく、耐
食性が良好であることが明らかである。
なお、下記組成の合金溶湯を、片ロール法により高速
急冷したところアモルファス化せず、また、薄帯状とも
ならなかった。また、急冷後の下記組成の合金に、上記
と同様な熱処理を施して保磁力を測定したところ、保磁
力が5 Oeを超えていた。
急冷したところアモルファス化せず、また、薄帯状とも
ならなかった。また、急冷後の下記組成の合金に、上記
と同様な熱処理を施して保磁力を測定したところ、保磁
力が5 Oeを超えていた。
Cu0.5Cr4V5Si20B4Febal. Cu1Nb3Si20B4Febal. [実施例2] 下記表2に示す組成の合金溶湯を用い、実施例1と同
様にして軟磁性薄帯サンプルを得た。
様にして軟磁性薄帯サンプルを得た。
これらのサンプルを透過型電子顕微鏡により観察した
結果、平均粒径1000Å以下の結晶粒からなる微結晶相を
有していた。
結果、平均粒径1000Å以下の結晶粒からなる微結晶相を
有していた。
これらのサンプルに対し、実施例1と同様な測定およ
び評価を行なった。
び評価を行なった。
結果を表2に示す。
表2に示される結果から、CrとVとを共に含有するこ
とにより初めて低磁歪、高磁気特性および高耐食性が実
現し、Nbのみ、あるいはNbおよびCrを含有するだけで
は、このような特性は得られないことがわかる。
とにより初めて低磁歪、高磁気特性および高耐食性が実
現し、Nbのみ、あるいはNbおよびCrを含有するだけで
は、このような特性は得られないことがわかる。
なお、下記組成の合金溶湯を、片ロール法により高速
急冷したところアモルファス化せず、また、薄帯状とも
ならなかった。また、急冷後の下記組成の合金に、上記
と同様な熱処理を施して保磁力を測定したところ、保磁
力が5 Oeを超えていた。
急冷したところアモルファス化せず、また、薄帯状とも
ならなかった。また、急冷後の下記組成の合金に、上記
と同様な熱処理を施して保磁力を測定したところ、保磁
力が5 Oeを超えていた。
Cu1Nb3Cr3Si20.5B5Febal. [実施例3] 下記表3に示す組成の合金溶湯を用い、実施例1と同
様にして軟磁性薄帯サンプルを得た。
様にして軟磁性薄帯サンプルを得た。
これらのサンプルを透過型電子顕微鏡により観察した
結果、平均粒径1000Å以下の結晶粒からなる微結晶相を
有していた。
結果、平均粒径1000Å以下の結晶粒からなる微結晶相を
有していた。
これらのサンプルに対し、実施例1と同様な測定およ
び評価を行なった。
び評価を行なった。
結果を表3に示す。
なお、下記組成の合金溶湯を、片ロール法により高速
急冷して得られたアモルファス合金薄帯に実施例1と同
様な熱処理を施したところ、平均粒径1000Å以下の結晶
粒からなる微結晶相は観察されず、また、保磁力は5 Oe
を超えていた。
急冷して得られたアモルファス合金薄帯に実施例1と同
様な熱処理を施したところ、平均粒径1000Å以下の結晶
粒からなる微結晶相は観察されず、また、保磁力は5 Oe
を超えていた。
Cu0.7V4Si13.5B9Febal. Cu0.7Cr3Si13.5B9Febal. この結果から、微結晶を形成するためには、Crおよび
Vを共に含有する必要があることがわかる。
Vを共に含有する必要があることがわかる。
[実施例4] 実施例1のサンプルNo.5作製に用いたアモルファス合
金薄帯を巻回した。得られた巻回体をエポキシ樹脂に含
浸した後、熱硬化を行なった。さらに、実施例1と同様
な熱処理を施して微結晶相を形成し、外径14mm、内径10
mm、高さ3mmの巻磁心を得た。
金薄帯を巻回した。得られた巻回体をエポキシ樹脂に含
浸した後、熱硬化を行なった。さらに、実施例1と同様
な熱処理を施して微結晶相を形成し、外径14mm、内径10
mm、高さ3mmの巻磁心を得た。
次いで、この巻磁心にギャップ長0.8mmのギャップを
形成し、さらに巻線を施した。これをスイッチング電源
用平滑チョークコイルとして用いたところ、ギャップ形
成部の唸りは認められなかった。
形成し、さらに巻線を施した。これをスイッチング電源
用平滑チョークコイルとして用いたところ、ギャップ形
成部の唸りは認められなかった。
なお、この巻磁心の1kHzでの透磁率は250であり、保
磁力は0.2 Oe、飽和磁束密度は10kGであった。
磁力は0.2 Oe、飽和磁束密度は10kGであった。
また、この巻磁心を構成する合金薄帯を透過型電子顕
微鏡により観察した結果、平均粒径1000Å以下の結晶粒
からなる微結晶相だけから構成されていた。
微鏡により観察した結果、平均粒径1000Å以下の結晶粒
からなる微結晶相だけから構成されていた。
[実施例5] Cu0.5Cr3.5V4.5Si13.5B11Febal.の組成を有する合金
溶湯を片ロール法により高速急冷し、アモルファス合金
薄帯を作成した。
溶湯を片ロール法により高速急冷し、アモルファス合金
薄帯を作成した。
このアモルファス合金薄帯の巻回体を作製した。この
巻回体の形状は、外径14mm、内径8mm、高さ10mmのトロ
イダル形状とした。
巻回体の形状は、外径14mm、内径8mm、高さ10mmのトロ
イダル形状とした。
この巻回体をN2ガス雰囲気中にて575℃にて1時間熱
処理し、巻磁心を得た。熱処理後に薄帯のX線回折を行
なったところ、結晶を表わすピークが明瞭に観察され
た。微結晶相の確認のために透過型電子顕微鏡にてその
組織を観察したところ、平均粒径1000Å以下の結晶粒か
ら構成されていた。
処理し、巻磁心を得た。熱処理後に薄帯のX線回折を行
なったところ、結晶を表わすピークが明瞭に観察され
た。微結晶相の確認のために透過型電子顕微鏡にてその
組織を観察したところ、平均粒径1000Å以下の結晶粒か
ら構成されていた。
得られた巻磁心について、ノイズフィルター用コモン
モードチョークコイルに適用する場合の基本特性である
実効透磁率μを測定したところ、測定周波数100kHz、測
定磁界2 mOeにて、μ=19,000であった。
モードチョークコイルに適用する場合の基本特性である
実効透磁率μを測定したところ、測定周波数100kHz、測
定磁界2 mOeにて、μ=19,000であった。
この値は、従来のFe基アモルファス合金では達成でき
ない値であり、よく調整されたCo基アモルファス合金で
ようやく得られる値である。
ない値であり、よく調整されたCo基アモルファス合金で
ようやく得られる値である。
また、この巻磁心の飽和磁束密度Bsは12kGであった。
この値は、一般的なCo基アモルファス合金のそれの3倍
程度である。
この値は、一般的なCo基アモルファス合金のそれの3倍
程度である。
なお、比較のために、Mn−Znフェライト磁心とFe基ア
モルファス合金を用いた巻磁心についても同様な測定を
行なった。上記の本発明合金を用いた巻磁心の測定結果
と、これらの磁心の測定結果とを下記表4に示す。
モルファス合金を用いた巻磁心についても同様な測定を
行なった。上記の本発明合金を用いた巻磁心の測定結果
と、これらの磁心の測定結果とを下記表4に示す。
[実施例6] Cu0.5CrpVqSi13.5B9Febal.合金薄帯の磁歪定数λs、
実効透磁率μ、および飽和磁束密度Bsを測定した。な
お、実効透磁率は、測定周波数100kHz、測定磁界2 mOe
で測定した。
実効透磁率μ、および飽和磁束密度Bsを測定した。な
お、実効透磁率は、測定周波数100kHz、測定磁界2 mOe
で測定した。
結果を第1図に示す。
第1図に示される結果から、本発明の軟磁性合金は磁
歪が小さく、しかも磁気特性が良好であることが明らか
である。
歪が小さく、しかも磁気特性が良好であることが明らか
である。
なお、上記各実施例のCrおよびVを含有する合金組成
に、さらにNbを添加した組成を有する軟磁性合金を作製
し、上記実施例と同様な測定を行なったところ、上記と
ほぼ同等の結果が得られた。
に、さらにNbを添加した組成を有する軟磁性合金を作製
し、上記実施例と同様な測定を行なったところ、上記と
ほぼ同等の結果が得られた。
以上の実施例から本発明の効果が明らかである。
<発明の効果> 本発明では、CrとVおよび/またはMnとを含有する新
規組成により、低磁歪、高磁気特性かつ高耐食性の軟磁
性合金が実現する。
規組成により、低磁歪、高磁気特性かつ高耐食性の軟磁
性合金が実現する。
第1図は、本発明の軟磁性合金組成におけるCrおよびV
の含有量と、磁歪定数λs、飽和磁束密度Bsおよび実効
透磁率μとの関係を示すグラフである。
の含有量と、磁歪定数λs、飽和磁束密度Bsおよび実効
透磁率μとの関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長 勤 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭64−31922(JP,A) 特開 昭64−68446(JP,A) 特開 昭64−79342(JP,A) 特開 平1−287250(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 45/02 C21D 6/00 C22C 38/00 303 H01F 1/14
Claims (8)
- 【請求項1】溶湯から急冷した後、熱処理して得られた
軟磁性合金であって、 微結晶相を有し、 下記式(I)で表わされる組成を有し、 100kHzでの実効透磁率が10000以上であることを特徴と
する軟磁性合金。 [式(I)] (Fe1-aNia)100-x-y-z-p-qCuxSiyBzCrpM1 q 上記式(I)において、M1はVおよび/またはMnであ
り、 0≦a≦0.5、 0.1≦x≦5、 6≦y≦20、 6≦z≦20、 15≦y+z≦30、 1≦p≦10、 1≦q≦10かつ p≧3またはq≧2(ただし、M1としてVが含有される
とき、Vの含有量は2.5より大である。) - 【請求項2】磁歪定数λsが−5×10-6〜+0.5×10-6
である請求項1に記載の軟磁性合金。 - 【請求項3】磁歪定数λsが−5×10-6〜0である請求
項2に記載の軟磁性合金。 - 【請求項4】飽和磁束密度が10kG以上である請求項1な
いし3のいずれかに記載の軟磁性合金。 - 【請求項5】溶湯から急冷した後、熱処理して得られた
軟磁性合金であって、 微結晶相を有し、下記式(II)で表される組成を有し、 100kHzでの実効透磁率が10000以上であることを特徴と
する軟磁性合金。 [式(II)] (Fe1-aNia)100-x-y-z-p-qCuxSiyBzCrpM1 qM2 r (上記式(II)においてM1はVおよび/またはMnであ
り、M2は、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、MoおよびWから選ばれ
た一種以上の元素であり、 0≦a≦0.5、 0.1≦x≦5、 0≦y≦20、 6≦z≦20、 15≦y+z≦30、 3≦p≦10、 2.5<q≦10、 0≦r≦10 である。) - 【請求項6】磁歪定数λsが−5×10-6〜+0.5×10-6
である請求項5に記載の軟磁性合金。 - 【請求項7】磁歪定数λsが−5×10-6〜0である請求
項6に記載の軟磁性合金。 - 【請求項8】飽和磁束密度が10kG以上である請求項5な
いし7のいずれかに記載の軟磁性合金。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
EP19900110109 EP0400550B1 (en) | 1989-05-27 | 1990-05-28 | Soft magnetic alloy, method for making, magnetic core, magnetic shield and compressed powder core using the same |
DE1990615881 DE69015881T2 (de) | 1989-05-27 | 1990-05-28 | Weichmagnetische Legierung, Herstellungsverfahren, Magnetkern, magnetischer Schirm und gepresster Magnetkern damit. |
US07/926,389 US5252148A (en) | 1989-05-27 | 1992-08-10 | Soft magnetic alloy, method for making, magnetic core, magnetic shield and compressed powder core using the same |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13354089 | 1989-05-27 | ||
JP1-133540 | 1989-05-27 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0375343A JPH0375343A (ja) | 1991-03-29 |
JP3068156B2 true JP3068156B2 (ja) | 2000-07-24 |
Family
ID=15107202
Family Applications (3)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP02098905A Expired - Lifetime JP3059187B2 (ja) | 1989-05-27 | 1990-04-13 | 軟磁性合金、その製造方法および磁心 |
JP02098906A Expired - Lifetime JP3068155B2 (ja) | 1989-05-27 | 1990-04-13 | 軟磁性合金およびその製造方法 |
JP02122299A Expired - Lifetime JP3068156B2 (ja) | 1989-05-27 | 1990-05-11 | 軟磁性合金 |
Family Applications Before (2)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP02098905A Expired - Lifetime JP3059187B2 (ja) | 1989-05-27 | 1990-04-13 | 軟磁性合金、その製造方法および磁心 |
JP02098906A Expired - Lifetime JP3068155B2 (ja) | 1989-05-27 | 1990-04-13 | 軟磁性合金およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (3) | JP3059187B2 (ja) |
Families Citing this family (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3121641B2 (ja) * | 1991-09-30 | 2001-01-09 | 株式会社東芝 | スイッチング電源 |
US5252144A (en) * | 1991-11-04 | 1993-10-12 | Allied Signal Inc. | Heat treatment process and soft magnetic alloys produced thereby |
JPH05329980A (ja) * | 1992-06-01 | 1993-12-14 | Kobe Steel Ltd | 密着性および制振性に優れた複合型制振材の製造方法 |
US5351033A (en) * | 1992-10-01 | 1994-09-27 | Sensormatic Electronics Corporation | Semi-hard magnetic elements and method of making same |
JPH06181113A (ja) * | 1992-12-14 | 1994-06-28 | Toshiba Corp | Fe基恒透磁率磁心 |
JP4750471B2 (ja) * | 2005-05-26 | 2011-08-17 | 株式会社豊田中央研究所 | 低磁歪体及びこれを用いた圧粉磁芯 |
JP4971886B2 (ja) * | 2007-06-28 | 2012-07-11 | 株式会社神戸製鋼所 | 軟磁性粉体、軟磁性成形体およびそれらの製造方法 |
JP4906102B2 (ja) * | 2007-07-02 | 2012-03-28 | 信越ポリマー株式会社 | 保持治具 |
JP2009156425A (ja) * | 2007-12-27 | 2009-07-16 | Aisin Aw Co Ltd | 自動変速機 |
JP6327835B2 (ja) * | 2013-11-05 | 2018-05-23 | 株式会社トーキン | 積層磁性体、積層磁心およびその製造方法 |
JP6898057B2 (ja) * | 2015-07-31 | 2021-07-07 | 株式会社トーキン | 圧粉磁心 |
CN108242501B (zh) * | 2016-12-27 | 2022-02-22 | 有研稀土新材料股份有限公司 | 磁致伸缩器件及其制备方法 |
CN110225804B (zh) * | 2017-01-27 | 2022-09-27 | 杰富意钢铁株式会社 | 软磁性铁粉的制造方法 |
CN112760565B (zh) * | 2020-12-24 | 2022-04-12 | 南京达迈科技实业有限公司 | 一种蜂鸣器用Fe-Ni-Mo合金及其制备方法 |
-
1990
- 1990-04-13 JP JP02098905A patent/JP3059187B2/ja not_active Expired - Lifetime
- 1990-04-13 JP JP02098906A patent/JP3068155B2/ja not_active Expired - Lifetime
- 1990-05-11 JP JP02122299A patent/JP3068156B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0375341A (ja) | 1991-03-29 |
JPH0375343A (ja) | 1991-03-29 |
JP3068155B2 (ja) | 2000-07-24 |
JP3059187B2 (ja) | 2000-07-04 |
JPH0375342A (ja) | 1991-03-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5069731A (en) | Low-frequency transformer | |
US5160379A (en) | Fe-base soft magnetic alloy and method of producing same | |
JP3233313B2 (ja) | パルス減衰特性に優れたナノ結晶合金の製造方法 | |
JPH044393B2 (ja) | ||
JP3068156B2 (ja) | 軟磁性合金 | |
JP2573606B2 (ja) | 磁心およびその製造方法 | |
JP3357386B2 (ja) | 軟磁性合金およびその製造方法ならびに磁心 | |
JPH05335154A (ja) | 磁心及びその製造方法 | |
JP2848667B2 (ja) | 極薄軟磁性合金薄帯の製造方法 | |
JPH0544165B2 (ja) | ||
WO1992009714A1 (en) | Iron-base soft magnetic alloy | |
US5658397A (en) | Iron-based amorphous alloy thin strip and transformers made therefrom | |
JPH08153614A (ja) | 磁 心 | |
JP3233289B2 (ja) | 超微結晶合金薄帯及び粉末並びにこれを用いた磁心 | |
JP2823204B2 (ja) | 軟磁性合金 | |
JP3322407B2 (ja) | Fe基軟磁性合金 | |
JPH02258957A (ja) | Fe基軟磁性合金 | |
JP3374981B2 (ja) | 短パルス特性に優れたナノ結晶軟磁性合金および磁心 | |
JP2934471B2 (ja) | 超微結晶磁性合金およびその製法 | |
JPH0927413A (ja) | チョークコイル用磁心およびその製造方法 | |
JP2945122B2 (ja) | Fe基軟磁性合金およびその製造方法 | |
JPH0754108A (ja) | 恒透磁率性を有する磁性合金とその製造方法、およびそれを用いた磁心 | |
JP3032260B2 (ja) | Fe基軟磁性合金およびその製造方法 | |
JPH0478114A (ja) | 複合磁心 | |
JP3638291B2 (ja) | 低損失磁心 |