JP3064343B2 - フォトクロミック材料 - Google Patents

フォトクロミック材料

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JP3064343B2 JP2188267A JP18826790A JP3064343B2 JP 3064343 B2 JP3064343 B2 JP 3064343B2 JP 2188267 A JP2188267 A JP 2188267A JP 18826790 A JP18826790 A JP 18826790A JP 3064343 B2 JP3064343 B2 JP 3064343B2
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  • Nitrogen And Oxygen Or Sulfur-Condensed Heterocyclic Ring Systems (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、フォトクロミック材料に関するものであ
り、特に印刷、光学機器、記録材料、衣料、装飾用の材
料として好適に用いられる。
[従来の技術] 従来、耐疲労性に優れたフォトクロミック化合物とし
て、スピロオキサジン化合物が知られている。例えば、
特開平1−290681号公報に下記の構造の化合物が知られ
ている。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、従来のスピロオキサジン化合物は閉環
状態で可視部の光を吸収せず、したがってこれらの化合
物を開環させ着色させるためには紫外部の光を照射する
必要があった。また従来のスピロオキサジン化合物は閉
環状態では無色であるために、無色と有色の間での変化
を示すものしかなかった。
本発明はかかる従来技術の欠点を解決しようとするも
のあり、可視光の照射によっても閉環状態から開環状態
への異性化を起こし、その際任意の色(有色)から異な
る色(有色)へ、あるいは実質的に無色から有色への変
化を示し、かつ開環、閉環異性化の繰返し耐久性に優れ
たフォトクロミック材料を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] かかる課題を解決するために、本発明のフォトクロミ
ック材料は、下記の構成を有する。
「一般式(I)で示される化合物からなることを特徴と
するフォトクロミック材料。
[式中α環は、窒素原子1個を含む5員環または6員
環、およびベンゼン環またはナフタレン環またはピリジ
ン環に縮環した、窒素原子1個を含む5員環または6員
環から選ばれる1種であり、かつα環中の窒素原子のう
ち少なくとも1つは有機基R1と結合して存在し、 で表される。
ここでR1は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数7〜20
のアラルキル基および炭素数6〜19のアリール基から選
ばれた置換基を表す。
R2,R3はヒドロキシ基、アミノ基、炭素数1〜20のア
ルコキシ基,炭素数7〜15のアラルコキシ基、炭素数6
〜14のアリーロキシ基、炭素数1〜20のアシルオキシ
基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数7〜15のアラル
キル基、炭素数6〜14のアリール基、ハロゲノ基、シア
ノ基、カルボキシ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアシル
基および炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基から選
ばれた置換基を表し、R2には水素も含まれる。
Xは下式のいずれかの置換基を表す。
ここで、a,bのうちの1つは、一般式(I)で示され
る化合物のベンゾオキサジン環またはβ環に縮環したベ
ンゾオキサジン環を形成している芳香環上の炭素を示
し、Xはa,bのどちらの位置で結合していても良い。a,b
のうちの他の1つは水素、炭素数1〜20のアルキル基、
炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜19のアリール
基から選ばれた置換基を表す。R4は炭素数1〜20のアル
キル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜19の
アリール基から選ばれた置換基を表す。
mは0〜3の整数を、nは1または2を表す。
β環はベンゾオキサジン環に縮環した炭素数3〜18の
環を表す。ただし、β環が無い場合も含む。]」 本発明の一般式(I)におけるα環は、窒素原子1個
を含む5員環または窒素原子1個を含む6員環、および
ベンゼン環,ナフタレン環またはピリジン環に縮環して
なる窒素原子1個を含む5員環または6員環から選ばれ
る1種であり、かつα環中の窒素原子のうち少なくとも
1つは有機基R1と結合して存在し、 で表される。
一般式(I)におけるα環の好ましい具体例として
は、ピロリジン環、ピロール環、ピペリジン環、テトラ
ヒドロピリジン環、ジヒドロピリジン環、インドリン
環、ベンズインドリン環、テトラヒドロキノリン環、ア
クリジン環、ベンゾチアゾリン環、ベンゾオキサゾリン
環、ピリドピリジン環などが挙げられる。
α環に含まれる窒素原子に結合した有機基R1は炭素数
1〜20のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基およ
び炭素数6〜19のアリール基から選ばれた置換基を表す
が、その好ましい具体例としては、メチル基、プロピル
基、オクタデシル基などの鎖状アルキル基;tert−ブチ
ル基、2−エチルヘキシル基などの分枝状アルキル基;
シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチルなど
のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、イソプロペ
ニル基、1,3−ブタジエニル基などのアルケニル基;ベ
ンジル基、フェネチル基、(2−ナフチル)メチル基な
どのアラルキル基;フェニル基、1−ナフチル基などの
アリール基などが挙げられる。
R1が置換されている場合、置換基の具体例としては、
ヒドロキシ基;アミノ基、ジベンジルアミノ基、(2−
メタクリロイルオキシエチル)アミノ基、ピペリジノ基
などのアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、tert−ブト
キシ基などのアルコキシ基;ベンジロキシ基、フェネチ
ロキシ基などのアラルコキシ基;フェノキシ基、2−ナ
フチロキシ基などのアリーロキシ基;ホルミルオキシ
基、アセトキシ基、ベンゾイロキシ基、メタクリロイル
オキシ基などのアシルオキシ基;N−フェニルカルバモイ
ルオキシ基、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)
カルバモイルオキシ基などのカルバモイルオキシ基;メ
チル基、イソプロピル基、トリフルオロメチル基、グリ
シジル基などのアルキル基;ベンジル基、(2−ナフチ
ル)メチル基などのアラルキル基;フェニル基、1−ナ
フチル基などのアリール基;クロロ基、ブロモ基などの
ハロゲノ基;シアノ基;カルボン酸基、カルボン酸ソー
ダ基などのカルボン酸基;エトキシカルボニル基、2,2,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニル
基などのアルコキシカルボニル基;ニトロ基;ホルミル
基、アセチル基、ベンゾイル基、(メタ)アクリロイル
基などのアシル基;N−メチルカルバモイル基、N−フェ
ニルカルバモイル基などのカルバモイル基;スルホン酸
ソーダ基、スルホン酸基などのスルホン酸基;スルファ
モイル基などが挙げられる。
α環が置換されている場合には、その置換基の好まし
い具体例としては、後述するR2,R3の具体例と同様の置
換基が挙げられる。
これらのα環のうち、合成の容易さ、可視光に対する
感受性の高さ、耐光性の高さという点からは、置換基を
有するインドリン環が特に好ましい。
R2,R3はヒドロキシ基、アミノ基、炭素数1〜20のア
ルコキシ基,炭素数7〜15のアラルコキシ基、炭素数6
〜14のアリーロキシ基、炭素数1〜20のアシルオキシ
基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数7〜15のアラル
キル基、炭素数6〜14のアリール基、ハロゲノ基、シア
ノ基、カルボキシ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアシル
基および炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基から選
ばれた置換基を表し、R2には水素も含まれるが、その好
ましい具体的な例としてはヒドロキシ基;アミノ基、ジ
エチルアミノ基、ピペリジノ基などのアミノ基;メトキ
シ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基などのアルコキシ
基;ベンジロキシ基、フェネチロキシ基などのアラルコ
キシ基;フェノキシ基、2−ナフチロキシ基などのアリ
ーロキシ基;ホルミルオキシ基、アセトキシ基、ベンゾ
イロキシ基、メタクリロイルオキシ基などのアシルオキ
シ基;メチル基、プロピル基、オクタデシル基などの鎖
状アルキル基;イソプロピル基、2−エチルヘキシル基
などの分枝状アルキル基;シクロヘキシル基、ノルボル
ニル基、アダマンチル基などのシクロアルキル基;ビニ
ル基、アリル基、イソプロペニル基、1,3−ブタジエニ
ル基などのアルケニル基;ベンジル基、フェネチル基、
(2−ナフチル)メチル基などのアラルキル基、フェニ
ル基、1−ナフチル基などのアリール基;クロロ基、ブ
ロモ基などのハロゲノ基;シアノ基;カルボン酸基、カ
ルボン酸ソーダ基などのカルボン酸基;エトキシカルボ
ニル基、イソプロポキシカルボニル基、2,2,6,6−テト
ラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニル基などのア
ルコキシカルボニル基;ニトロ基;ホルミル基、アセチ
ル基、ベンゾイル基、(メタ)アクリロイル基などのア
シル基が挙げられ、R2は水素でもよい。
Xは下式のいずれかの置換基を表す。
ここで、a,bのうちの1つは、一般式(I)で示され
る化合物のベンゾオキサジン環またはβ環に縮環したベ
ンゾオキサジン環を形成している芳香環上の炭素を示
し、Xはa,bのどちらの位置で結合していても良い。a,b
のうちの他の1つは水素もしくは置換基を表す。R4は炭
素数1〜20のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル
基、炭素数6〜19のアリール基から選ばれた置換基を表
し、その具体例としては前述した、R1の具体例と同様の
置換基が好ましい例として挙げられる。
これらのXがさらに置換されている場合には、置換基
の具体例としては前述したR2、R3の具体例と同様な置換
基が好ましい例として挙げられる。
Xの導入位置としては、合成の容易さ、可視光に対す
る感受性の高さという点からは、下記式(II)によって
示される位置が望ましい。
一般式(I)において で表される環の具体例としては、ナフタレン環、フェナ
ントレン環、アントラセン環、ナフタセン環、アセトフ
ェナントリレン環、インデン環、フルオレン環、キノリ
ン環、キノキサリン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフ
ェン環、ジベンゾフラン環、クマリン環、クロマン環、
カルバゾール環、テトラヒドロナフタレン環、ジヒドロ
アントラセン環などが挙げられ、また、β環が無く、ベ
ンゼン環のみの場合も本発明に含まれる。
β環が置換されている場合には、その置換基の好まし
い具体例としては、R2,R3の具体例と同様の置換基が挙
げられる。
本発明の一般式(I)で示される化合物の製造方法の
一つとしては、下記一般式(A) で表されるヒドロキシ芳香族化合物を、2価銅イオン存
在下、亜硝酸を用いてニトロソ化して得られる化合物
と、XHで表されるエナミン系化合物、および下記一般式
(B) で表される2−メチレンインドリン化合物を反応させる
方法が挙げられる。XHと一般式(B)の化合物は同一で
あっても異種であっても良い。
また製造段階における精製方法としては、各種溶媒に
よる再結晶、シリカゲルなどによるカラムクロマトグラ
フィー、溶媒抽出、あるいは活性炭処理など好適な例と
して挙げることができる。
本発明のフォトクロミック材料は、好ましくは光学的
に透明な樹脂類と組合せて用いられる。そのような樹脂
類としては、例えばジエチレングリコールビスアリルカ
ーボネートポリマー;(メタ)アクリル系ポリマー;セ
ルロース類;ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、
ポリビニルブチラール、ポリスチレン、ポリエチレン、
ポリ(4−メチルペンテン)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩
化ビニリデン、ポリフッ化ビニルなどのオレフィン系ポ
リマー;ポリエチレンフタレートなどのポリエステル樹
脂;ポリカーボネート樹脂;エポキシ樹脂;ナイロン樹
脂;ポリウレタン樹脂;(ハロゲン化)ビスフェノール
Aのジ(メタ)アクリレートポリマー、(ハロゲン化)
ビスフェノールAのウレタン変性ジ(メタ)アクリセー
トポリマーなどが挙げられ、またこれらの樹脂の共重合
体やアロイも好適に用いられる。
また本発明の一般式(I)で示される化合物が(メ
タ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、グリシジル
基およびこれらの基を含む有機基などの重合性官能基を
有する場合には単独で重合して、あるいは他の重合性化
合物、例えばアクリル系モノマー、スチレン系モノマ
ー、酢酸ビニル系モノマー、エポキシモノマーなどと共
重合したコポリマーの形で含有させて用いることもでき
る。これらの重合性官能基は、合成上の容易さという点
からは、R1、X、β環上の置換基、およびα環上の置換
基として含まれることが好ましい。単独で重合、あるい
は他のモノマーと共重合した場合においては、光劣化に
対する耐久性が非常に向上する。
本発明のフォトクロミック材料、あるいは他の樹脂類
と本発明のフォトクロミック材料を組合せて成る材料
は、ポリマー溶液としてコーティング組成物として用い
たり、またエマルジョン化を行ってスクリーン印刷、グ
ラビア印刷などの各種印刷手法によって種々の基板に適
用可能である。またコーティング法としては種々の手
法、例えばディップコーティング、スピンコーティン
グ、ロールコーティングなどが採用できる。
他の樹脂と組合せる場合、本発明のフォトクロミック
材料の含有量は、目的および使用方法などによって決め
られるべきものであるが、視覚に対する感度という観点
からは、他の樹脂重量の0.01〜20重量%が好ましい。
また本発明のフォトクロミック材料の繰返し耐久性を
向上させる見地から、使用時に酸素や水を遮断すること
が特に有効である。更に、耐久性を向上させる目的から
公知の添加剤、例えばニッケル塩に代表される一重項酸
素クエンチャー、ヒンダートアミン系化合物またはその
ポリマーで代表される酸化防止剤、紫外線吸収剤などが
使用可能である。本発明のフォトクロミック材料は従来
のスピロオキサジン化合物と異なり、可視部の光でも開
環異性化が可能であることから、紫外線吸収剤を併用し
ても、開環異性化の反応性が低下することが全く無いか
あるいは少なくてすむという利点を有する。
本発明のフォトクロミック材料の用途としては、特
に、光による変色性を有する光学素子としての使用が挙
げられる。光学素子としてはサングラスレンズ、スキー
用ゴーグル、保護メガネレンズ、さらにはカーテン、衣
服、フロントガラス、サンルーフなどの自動車用ウイン
ドー、玩具、化粧品、筆記具などが好適な例として挙げ
られる。
[実施例] 次に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限
定されるものではない。
実施例1 2−ナフトールのニトロソ化 エタノール50ml/氷酢酸50ml/水50mlの混合物に2−ナ
フトール14.4gを溶解する。これに酢酸ナトリウムを適
量加えて、pHを4.2に調整する。別の容器に水300mlを入
れ、これに無水硫酸銅9.6gを溶解した後、さらに亜硝酸
ナトリウム10.4gを加え溶解する。先の2−ナフトール
溶液を激しく撹拌しているところへ、この水溶液を30分
かけて滴下する。この間、酢酸ナトリウムを適宜加えて
pHを4.2に保つ。滴下終了後、さらに10分撹拌を続けた
後、沈殿物をろ過して集め、水で洗浄した後、乾燥して
褐色のニトロソ化物18.6gを得た。
下記式(C)の化合物の合成 実施例1−の方法で得た2−ナフトールのニトロソ
化物4.1gと、1,3,3−トリメチル−2−メチレンインド
リン6.9gを、100mlの無水エタノール中、還流温度で6
時間反応させた。この反応混合物を熱時ろ過して不溶物
を除去した後、溶媒を留去した。これをシリカゲルを支
持担体、1,2−ジクロロエタンおよび酢酸エチル/石油
エーテル混合溶媒を展開溶媒としてそれぞれ1回ずつカ
ラムクロマトグラフィーによる分離を行い、さらにn−
ヘキサンおよびエタノール/水混合溶媒からそれぞれ1
回ずつ再結晶して精製し、式(C)の化合物の黄緑色結
晶を得た。
分析結果 式(C)の化合物の分析結果を示す。
(元素分析値) 実測値(%) 計算値(%) C 81.5 81.7 H 6.7 6.7 N 8.3 8.4 (融点)104〜105℃ また、式(C)の化合物の赤外線吸収スペクトルを第
1図に、1H該磁気共鳴スペクトルを第2図に示した。
応用例 ポリメチルメタクリレートの50%トルエン溶液に、式
(C)の化合物を0.2重量%の濃度で溶解した。この溶
液をスライドガラス上に塗布したのち、加熱によりトル
エンを除去しフィルムを作製した。該フィルムに紫外線
を照射したところ黄色から緑色となり、さらに紫外光の
照射を続けると青色となった。該フィルムの可視吸収ス
ペクトルを測定したところ、開環体のλmaxは616nmであ
った。
また該フィルムは室温において、例えばガラス窓越し
の日光、蛍光灯の光、白熱灯の光、回折格子照射分光装
置(JASCO CRM−FA)による430nmの単色光などの可視
光の照射によっても変色させることが可能であった。
これらの方法により変色させたフィルムは、紫外光や
可視光の照射を止めると、室温において速やかにもとの
黄色にもどった。またこの黄色のフィルムに紫外光や可
視光を照射すると再び変色し、これらの変化は何度でも
繰返させることが可能であった。
実施例2 下記式(D)の化合物の合成 実施例1−の方法で得た2−ナフトールのニトロソ
化物2.0gと、1−(N−モルホリノ)シクロヘキセン1.
7gを、70mlの無水エタノール中、還流温度で3時間反応
させた。これに還流を続けながら、1,3,3−トリメチル
−2−メチレンインドリン1.7gを10mlの無水エタノール
に溶かした溶液を30分かけて滴下し、さらに7時間還流
を行った。この反応混合物を熱時ろ過して不溶物を除去
した後、溶媒を留去した。これのカラムクロマトグラフ
ィーによる分離精製を、シリカゲルを支持担体とし、ク
ロロホルムを展開溶媒として1回、酢酸エチル/石油エ
ーテル混合溶媒を展開溶媒として2回行い、式(D)の
化合物の白褐色結晶を得た。
分析結果 式(D)の化合物の分析結果を示す。
(元素分析値) 実測値(%) 計算値(%) C 78.1 77.9 H 7.0 7.1 N 8.2 8.5 応用例 式(C)の化合物の代りに式(D)の化合物を用いる
他は実施例1−と同様にして、式(D)の化合物を含
有する淡黄色フィルムを作製した。該フィルムは室温に
おいて、可視光または紫外光の照射によって変色し、可
視光または紫外光の照射を止めると、速やかにもとの淡
黄色にもどった。この変化は何度でも繰返させることが
可能であった。
実施例3 下記式(E)の化合物の合成 1−(N−モルホリノ)シクロヘキセンの代わりに1
−(4−ヒドロキシピペリジノ)シクロヘキセン1.8gを
用い、1,3,3−トリメチル−2−メチレンインドリンの
代わりに1,3,3−トリメチル−2−メチレン−4,6−ジク
ロロインドリン2.4gを用いる他は、実施例2−と同様
にして式(E)の化合物を得た。
下記式(F)の化合物の合成 式(E)の化合物2.9g、トリエチルアミン4.0gおよび
塩化メチレン50mlよりなる溶液を室温で撹拌していると
ころへ、メタクリル酸クロライド2.0gおよび塩化メチレ
ン10mlよりなる溶液を20分間かけて滴下した。滴下終了
後、さらに30分間撹拌を続けた。反応終了後、シリカゲ
ルを支持担体、酢酸エチル/石油エーテル混合溶媒を展
開溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行
い分離精製し、式(F)の化合物を得た。
分析結果 式(F)の化合物の分析結果を示す。
(元素分析値) 実測値(%) 計算値(%) C 68.4 68.7 H 5.8 6.1 N 7.6 7.3 Cl 12.0 12.3 応用例 式(F)の化合物1当量とメチルメタクリレート50当
量を、アソビスイソブチロニトリルを重合開始剤として
通常のラジカル重合法によって重合させ、再沈殿法によ
って精製し共重合体を得た。この共重合体を溶媒に溶か
したものをスライドガラス上に塗布した後乾燥し、黄色
のフィルムを得た。該フィルムに可視光または紫外光を
照射すると変色し、照射を止めると元の色に戻った。こ
の変化は何度も繰返し行えた。
実施例4 6−ブロモ−2−ナフトールのニトロソ化2−ナフ
トールの代わりに6−ブロモ−2−ナフトール22.3gを
用いる他は実施例1−と同様にして、6−ブロモ−2
−ナフトールのニトロソ化物を得た。
下記式(G)の化合物の合成 2−ナフトールのニトロソ化物の代わりに、実施例4
−の方法で得た6−ブロモ−2−ナフトールのニトロ
ソ化物5.7gを用い、1,3,3−トリメチル−2−メチレン
インドリンの代わりに1−(6−ヒドロキシヘキシル)
−2−メチレン−3,3−ジメチルインドリン10.4gを用い
る他は実施例1−と同様にして、式(G)の化合物を
合成した。
下記式(H)の化合物の合成 式(E)の化合物の代わりに式(G)の化合物3.8gを
用い、トリエチルアミン、メタクリル酸クロライド、塩
化メチレンをそれぞれ実施例3−の2倍量用いる他は
実施例3−と同様にして式(H)の化合物を合成し
た。
分析結果 式(H)の化合物の分析結果を示す。
(元素分析値) 実測値(%) 計算値(%) C 70.7 70.4 H 6.7 6.8 N 4.6 4.7 Br 8.8 9.0 応用例 式(H)の化合物1当量とスチレン50当量、およびア
ゾビスブチロニトリルをガラス製のアンプルに入れ、加
熱することによって重合させたところ黄色透明な樹脂を
得た。該樹脂に可視光または紫外光を照射すると変色
し、照射を止めると元の色に戻った。この変化は何度も
繰返し行えた。
実施例5 フェノールのニトロソ化 氷酢酸80ml/水135mlの混合物にフェノール25.3gを溶
解する。これに酢酸ナトリウムを適量加えて、pHを4.2
に調整する。別の容器に水1350mlを入れ、これに無水硫
酸銅21.5gを溶解した後、さらに亜硝酸ナトリウム46.4g
を加え溶解する。先のフェノール溶液を激しく撹拌して
いるところへ、この水溶液を30分かけて滴下する。滴下
終了後、室温で3日間放置した後、沈殿物をろ過して集
め、水で洗浄した後、乾燥して黒色のニトロソ化物を得
た。
下記式(I)の化合物の合成 実施例5−の方法で得たフェノールのニトロソ化物
3.1gと、1,3,3−トリメチル−2−メチレンベンズ
[g]インドリン8.9gを、100mlのキシレン中、還流温
度で6時間反応させた。この反応混合物を熱時ろ過して
不溶物を除去した後、溶媒を留去した。これをシリカゲ
ルを支持担体、1,2−ジクロロエタンおよび酢酸エチル
/石油エーテル混合溶媒を展開溶媒としてそれぞれ1回
ずつカラムクロマトグラフィーによる分離精製を行い、
式(I)の化合物を得た。
分析結果 式(I)の化合物の分析結果を示す。
(元素分析値) 実測値(%) 計算値(%) C 82.7 83.0 H 6.1 6.4 N 7.3 7.6 応用例 式(C)の化合物の代りに式(I)の化合物を用いる
他は実施例1−と同様にして、式(I)の化合物を含
有するフィルムを作製した。
該フィルムは室温において、可視光または紫外光の照
射によって変色し、可視光または紫外光の照射を止める
と、速やかにもとの色にもどった。この変化は何度でも
繰返させることが可能であった。
実施例6 p−ニトロフェノールのニトロソ化 氷酢酸90ml/水150mlの混合物にp−ニトロフェノール
41.7gを溶解する。これに酢酸ナトリウムを適量加え
て、pHを4.2に調整する。別の容器に水1500mlを入れ、
これに無水硫酸銅23.9gを溶解した後、さらに亜硫酸ナ
トリウム51.8gを加え溶解する。先のフェノール溶液に
この水溶液を加え、60℃で12時間反応させる。室温まで
冷却後、沈殿物をろ過して集め、水で洗浄した後、乾燥
して黒色のニトロソ化物を得た。
下記式(J)の化合物の合成 フェノールのニトロソ化物の代わりに、実施例6−
の方法で得たp−ニトロフェノールのニトロソ代物3.9g
を用い、1,3,3−トリメチル−2−メチレンベンズ
[g]インドリンの代わりに1,3,3−トリメチル−2−
メチレンインドリン6.9g用いる他は、実施例5−と同
様にして、式(J)の化合物を得た。
分析結果 式(J)の化合物の分析結果を示す。
(元素分析値) 実測値(%) 計算値(%) C 81.3 72.9 H 6.2 6.1 N 11.0 11.3 応用例 式(C)の化合物の代りに式(J)の化合物を用いる
他は実施例1−と同様にして、式(J)の化合物を含
有するフィルムを作製した。
該フィルムは室温において、可視光または紫外光の照
射によって変色し、可視または紫外光の照射を止める
と、速やかにもとの色にもどった。この変化は何度でも
繰返させることが可能であった。
比較例1 式(C)の化合物の代りに下記式(K)の化合物を用
いる他は実施例1−と同様にして、式(K)の化合物
を含有するフィルムを作製した。
該フィルムは無色透明であり、これに室温において、
回折格子照射分光装置(JASCO CRM−FA)による430nm
の単色光を照射しても、なんら変化を示さなかった。該
フィルムは紫外光の照射を行うと青色に着色した。
[発明の効果] 本発明のフォトクロミック材料は可視部の光によって
も開環異性化させることが可能であり、その際、任意の
色(有色)から異なる色(有色)へ、あるいは実質的に
無色から有色への変化を示した。
また本発明のフォトクロミック材料は、優れた開環、
閉環異性化の繰返し耐久性を有していた。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例1で得られた式(C)の化合物の赤外
吸収スペクトルを示す図面である。 第2図は、実施例1で得られた式(C)の化合物の1H核
磁気共鳴スペクトルを示す図面である。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09K 9/00 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I)で示される化合物からなるこ
    とを特徴とするフォトクロミック材料。 [式中α環は、窒素原子1個を含む5員環または6員
    環、およびベンゼン環またはナフタレン環またはピリジ
    ン環に縮環した、窒素原子1個を含む5員環または6員
    環から選ばれる1種であり、かつα環中の窒素原子のう
    ち少なくとも1つは有機基R1と結合して存在し、 で表わされる。 ここでR1は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数7〜20の
    アラルキル基および炭素数6〜19のアリール基から選ば
    れた置換基を表す。 R2,R3はヒドロキシ基、アミノ基、炭素数1〜20のアル
    コキシ基,炭素数7〜15のアラルコキシ基、炭素数6〜
    14のアリーロキシ基、炭素数1〜20のアシルオキシ基、
    炭素数1〜20のアルキル基、炭素数7〜15のアラルキル
    基、炭素数6〜14のアリール基、ハロゲノ基、シアノ
    基、カルボキシ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアシル基
    および炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基から選ば
    れた置換基を表し、R2には水素も含まれる。 Xは下式のいずれかの置換基を表す。 ここで、a,bのうちの1つは、一般式(I)で示される
    化合物のベンゾオキサジン環またはβ環に縮環したベン
    ゾオキサジン環を形成している芳香環上の炭素を示し、
    Xはa,bのどちらの位置で結合していても良い。a,bのう
    ちの他の1つは水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素
    数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜19のアリール基か
    ら選ばれた置換基を表す。R4は炭素数1〜20のアルキル
    基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜19のアリ
    ール基から選ばれた置換基を表す。 mは0〜3の整数を、nは1または2を表す。β環はベ
    ンゾオキサジン環に縮環した炭素数3〜18の環を表し、
    ただし、β環が無い場合も含む。]
  2. 【請求項2】Xが下式のいずれかの置換基を表すことを
    特徴とする請求項1記載のフォトクロミック材料。 ここで、aは、一般式(I)で示される化合物のベンゾ
    オキサジン環またはβ環に縮環したベンゾオキサジン環
    を形成している芳香環上の炭素を示す。bは水素、炭素
    数1〜20のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基、
    炭素数6〜19のアリール基から選ばれた置換基を表す。
    R4は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数7〜20のアラル
    キル基、炭素数6〜19のアリール基から選ばれた置換基
    を表す。
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