JP3064332B2 - フォトクロミック材料 - Google Patents

フォトクロミック材料

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JP3064332B2 JP2132981A JP13298190A JP3064332B2 JP 3064332 B2 JP3064332 B2 JP 3064332B2 JP 2132981 A JP2132981 A JP 2132981A JP 13298190 A JP13298190 A JP 13298190A JP 3064332 B2 JP3064332 B2 JP 3064332B2
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  • Nitrogen And Oxygen Or Sulfur-Condensed Heterocyclic Ring Systems (AREA)
  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、スピロオキサジン化合物からなるフォトク
ロミック材料に関するものであり、特に、印刷、光学機
器、記録材料、衣料、装飾等の材料として有用である。
[従来の技術] フォトクロミック化合物の代表的なものにスピロピラ
ン化合物があり、多くの化合物が知られている(ジー・
エイチ・ブラウン著、“フォトクロミズム”、ウィリー
インターサイエンス社、ニューヨーク(1971))。
しかしながら、スピロピラン化合物は、光発消色の繰
り返し使用における耐疲労性に問題があった。
そこで、耐疲労性の向上したフォトクロミック化合物
としてスピロオキサジン化合物が知られており、例えば
特開平1−163184号公報に下記の構造の化合物が知られ
ている。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、従来のスピロオキサジン化合物は、発
色種の色調が、赤紫〜青緑であり、色相の豊富さが不足
していた。さらに、青色系スピロオキサジン化合物では
耐久性良好なものが存在するが、赤紫〜紫系では耐久性
良好なものは存在しなかった。
本発明は、かかる従来技術の欠点を解消しようとする
ものであり、発消色の繰り返しの耐疲労性に優れ、かつ
色相の豊富なフォトクロミック材料を提供することを目
的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明は、上記目的を達成するために下記の構成を有
する。
「 下記一般式(A)で表されるスピロオキサジン化合
物からなることを特徴とするフォトクロミック材料。
(式中、α環は、窒素原子1個を含む五員環または六員
環、および、ベンゼン環、ナフタレン環またはピリジン
環と連結した窒素原子1個を含む五員環または六員環か
ら選ばれる1種であり、かつα環中の窒素原子は有機基
R1と結合して存在し、 で表される。
ここでR1は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20
のアルケニル基、炭素数7〜20のアラルキル基および炭
素数6〜20のアリール基から選ばれる置換基を表す。
R2は、ヒドロキシ基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素
数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜20のアルケニルオ
キシ基、炭素数7〜20のアラルコキシ基、炭素数6〜20
のアリーロキシ基、炭素数2〜20のアシルオキシ基、炭
素数2〜20のカルバモイルオキシ基、炭素数1〜20のア
ルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数7〜20
のアラルキル基、炭素数6〜20のアリール基、ハロゲン
基、シアノ基、炭素数1〜20のカルボン酸基、炭素数1
〜20のカルバモイル基、炭素数2〜20のアシル基、スル
ホン酸基、炭素数0〜20のスルファモイル基から選ばる
置換基を表す。nは0または1の整数を表す。
R3はビニル基、アリル基、アリルオキシ基、アクリル
基、アクリルオキシ基、メタクリル基、メタクリルオキ
シ基、N−(2−メタクリルオキシエチル)カルバモイ
ル基、N−メタクリルカルバモイル基、3,4−エポキシ
ブチル基から選ばれた少なくとも1つの置換基を有し、
かつベンゼン環の炭素と窒素で結合してなる炭素数2〜
40の置換基を表す。
R4は、水素、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜20
のアルコキシ基、炭素数7〜20のアラルコキシ基、炭素
数6〜20のアリーロキシ基、炭素数2〜20のアシルオキ
シ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数7〜20のアラ
ルキル基および炭素数6〜20のアリール基から選ばれる
置換基を表す。
β環は、シクロヘキセン環、シクロオクテン環、シク
ロオクタジエン環、シクロデセン環、ノルボルネン環、
ビシクロ[2,2,2−]オクテン環、ジヒドロナフタレン
環、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェ
ナンスレン環、キノリン環、ジベンゾフラン環、ジベン
ゾナフトチオフェン環、ベンゾフラン環、インドール
環、ピリジン環、ピリミジン環から選ばれる一種であ
る。)」 一般式(A)で表されるスピロオキサジン化合物にお
いて、α環とは、窒素原子1個を含む五員環または六員
環、および、ベンゼン環、ナフタレン環またはピリジン
環と連結した窒素原子1個を含む五員環または六員環か
ら選ばれる1種である。その具体例としては、ピロリジ
ン環、ピロール環、ピペリジン環、テトラヒドロピリジ
ン環、ジヒドロピリジン環、インドリン環、ベンズイン
ドリン環、テトラヒドロキノリン環、アクリジン環、ベ
ンゾチアゾリン環、ベンゾオキサゾリン環、ピリドピロ
リジン環などが挙げられる。
このα環に含まれる窒素原子は、有機基R1と結合して
存在し、すなわち、 で表される形で存在する。R1は炭素数1〜20のアルキル
基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数7〜20のアラ
ルキル基および炭素数6〜20のアリール基から選ばれる
置換基を表す。R1の具体例としては、メチル基、エチル
基、オクタデジル基などの鎖状アルキル基、イソプロピ
ル基、2−メチルペンチル基などの分岐状アルキル基、
シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基な
どのシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、イソプロ
ペニル基、1,3−ブタジニル基などのアルケニル基、ベ
ンジル基、フェネチル基、(2−ナフチル)メチル基な
どのアラルキル基、フェニル基、1−ナフチル基などの
アリール基が挙げられる。
R1が置換されている場合、置換基の具体例としては、
ヒドロキシ基;アミノ基、ジベンジルアミノ基、(2−
メタクリロキシエチル)アミノ基などのアミノ基;メト
キシ基、tert−ブトキシ基などのアルコキシ基;ベンジ
ロキシ基、フェネチロキシ基などのアラルコキシ基;フ
ェノキシ基、2−ナフチロキシ基などのアリーロキシ
基;アセトキシ基、ベンゾイロキシ基、メタクリロキシ
基などのアシルオキシ基;N−フェニルカルバモイルオキ
シ基、N−(2−メタクリロキシエチル)カルバモイル
オキシ基などのカルバモイルオキシ基;メチル基、トリ
フルオロメチル基、グリシジル基などのアルキル基;ベ
ンジル基、フェネチル基などのアラルキル基;フェニル
基、1−ナフチル基などのアリール基;クロロ基、ブロ
モ基などのハロゲン基;シアノ基;カルボン酸基、カル
ボン酸ソーダ基、エトキシカルボニル基、(2,2,6,6−
テトラメチルピペリジノ)オキシカルボキシ基などのカ
ルボン酸基;ニトロ基;アクリル基、メタクリル基など
のアシル基;N−メチルカルバモイル基などのカルバモイ
ル基;スルホン酸ソーダ基、スルホン酸基などのスルホ
ン酸基;スルファモイル基が挙げられる。
α環が置換されている場合、その置換基としては、R1
における置換基と同様の置換基が好ましい例として挙げ
られる。
R2は、ヒドロキシ基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素
数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜20のアルケニルオ
キシ基、炭素数7〜20のアラルコキシ基、炭素数6〜20
のアリーロキシ基、炭素数2〜20のアシルオキシ基、炭
素数2〜20のカルバモイルオキシ基、炭素数1〜20のア
ルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数7〜20
のアラルキル基、炭素数6〜20のアリール基、ハロゲン
基、シアノ基、炭素数1〜20のカルボン酸基、炭素数1
〜20のカルバモイル基、炭素数2〜20のアシル基、スル
ホン酸基、炭素数0〜20のスルファモイル基から選ばれ
る置換基を表し、その具体例としては、前述したR1にお
ける置換基の具体例と同様の置換基が挙げられる。ま
た、nは0または1の整数を示す。
また、R3は、ビニル基、アリル基、アリルオキシ基、
アクリル基、アクリルオキシ基、メタクリル基、メタク
リルオキシ基、N−(2−メタクリルオキシエチル)カ
ルバモイル基、N−メタクリルカルバモイル基、3,4−
エポキシブチル基から選ばれた少なくとも1つの置換基
を有し、かつベンゼン環の炭素と窒素で結合してなる炭
素数2〜40の置換基を表す。具体的には、アミノ基;エ
チルアミノ基、ペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミ
ノ基、ドデシルアミノ基、ジエチルアミノ基などの炭素
数1〜40のアルキルアミノ基;フェニルアミノ基、2−
ナフチルアミノ基などの炭素数6〜40のアリールアミノ
基;ベンジルアミノ基、フェネチルアミノ基などの炭素
数7〜40のアラルキルアミノ基、ピロリジノ基、ピペリ
ジノ基、モルホリノ基、1,2,3,4−テトラヒドロイソキ
ノリル基などの炭素数3〜40の環状アミノ基であり、そ
の置換基としてビニル基、アリル基、アリルオキシ基、
アクリル基、アクリルオキシ基、メタクリル基、メタク
リルオキシ基、N−(2−メタクリルオキシエチル)カ
ルバモイル基、N−メタクリルカルバモイル基、3,4−
エポキシブチル基から選ばれた少なくとも1つの置換基
を少なくとも1つ有することが必要である。
R4は、水素、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜20
のアルコキシ基、炭素数7〜20のアラルコキシ基、炭素
数6〜20のアリーロキシ基、炭素数2〜20のアシルオキ
シ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数7〜20のアラ
ルキル基および炭素数6〜20のアリール基から選ばれる
置換基を表す。
一方、β環は、シクロヘキセン環、シクロオクテン
環、シクロオクタジエン環、シクロデセン環、ノルボル
ネン環、ビシクロ[2,2,2−]オクテン環、ジヒドロナ
フタレン環、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン
環、フェナンスレン環、キノリン環、ジベンゾフラン
環、ジベンゾナフトチオフェン環、ベンゾフラン環、イ
ンドール環、ピリジン環、ピリミジン環から選ばれる一
種である。
以上のスピロオキサジン化合物においては、R3がビニ
ル基、アリル基、アリルオキシ基、アクリル基、アクリ
ルオキシ基、メタクリル基、メタクリルオキシ基、N−
(2−メタクリルオキシエチル)カルバモイル基、N−
メタクリルカルバモイル基、3,4−エポキシブチル基か
ら選ばれた少なくとも1つの置換基を有し、かつベンゼ
ン環の炭素と窒素で結合することを特徴とする。かかる
置換基を有するため、無色状態での吸収が長波長化し、
そのため可視部の光によっても発色することが可能であ
る。さらに、R3がかかる位置に導入されているため、発
色状態の吸収が短波長シフトし、すなわち、種々の発色
種が可能となり、かつ発色性が向上する。
本発明の式(A)で表されるスピロオキサジン化合物
は、例えば次の製造方法によって製造される。
まず、第1の方法としては、一般式(I) で表されるメチレン化合物と一般式(II) で表されるニトロソ芳香族化合物およびR3Hで表される
アミン系化合物を反応させて式(A)で表される化合物
を製造する。
第2の方法においては、一般式(I)で表される化合
物と一般式(III) で表されるニトロソ芳香族化合物を反応させて式(A)
で表される化合物を製造する。
また、製造段階における精製方法としては、各種溶剤
による再結晶、シリカカラムなどによるカラムクロマト
分離、溶媒抽出、あるいは、活性炭処理などが好適な例
として挙げることができる。
本発明のフォトクロミック材料は、好ましくは、光学
的に透明な樹脂類と組合わせて用いられる。そのような
樹脂類としては、例えば、ジエチレングリコールビスア
リルカーボネートポリマー、(メタ)アクリル系ポリマ
ーおよびその共重合体、セルロース類、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポ
リエステル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレンおよ
びその共重合体、エポキシ樹脂、(ハロゲン化)ビスフ
ェノールAのジ(メタ)アクリレートポリマーおよびそ
の共重合体、(ハロゲン化)ビスフェノールAのウレタ
ン変性ジ(メタ)アクリレートポリマーおよびその共重
合体、ナイロン樹脂、ポリウレタンなどが挙げられる。
また、本発明のフォトクロミック材料には、これらの
樹脂類あるいは溶液などの中に単に化合物として含有さ
せた形で用いることもできるし、また、単独で重合し
て、あるいは、他の重合性化合物例えば、アクリル系モ
ノマー、スチレン系モノマー、酢酸ビニル系モノマーな
どと共重合したコポリマーの形で含有させて用いること
もできる。他モノマーと、あるいは単独で重合した場合
においては、光劣化に対する耐久性が非常に向上する。
また、一般式(A)で示されるスピロオキサジン化合
物は、R3以外の位置にも重合性官能基を含んでいてもよ
い。とくに耐光性向上の目的には、R3の有するビニル
基、アリル基、アリルオキシ基、アクリル基、アクリル
オキシ基、メタクリル基、メタクリルオキシ基、N−
(2−メタクリルオキシエチル)カルバモイル基、N−
メタクリルカルバモイル基、3,4−エポキシブチル基か
ら選ばれた少なくとも1つの置換基を用いて重合させた
ポリマー、あるいはコポリマーを用いることが好まし
い。
かかる耐光性向上の目的に好ましい具体的なR3として
は、4−アクリルオキシピペリジノ基、4−メタクリル
オキシピペリジノ基、4,4−ジメタクリルオキシピペリ
ジノ基、3−[N−(2−メタクリルオキシエチル)カ
ルバモイルオキシ]ピペリジノ基、2−メタクリルオキ
シメチルピペリジノ基、3−アリルオキシピペリジノ
基、4−メタクリルピペラジノ基、4−(2−メタクリ
ルオキシエチル)ピペラジノ基などが挙げられる。
本発明のフォトクロミック材料、あるいは他の樹脂類
と本発明フォトクロミック材料とを組合せた材料は、ポ
リマー溶液として、コーティング組成物として用いた
り、また、エマルジョン化を行ってスクリーン印刷、グ
ラビア印刷などの各種印刷手法によって種々の基板に適
用可能である。また、コーティング法としては種々の手
法、例えばディップコーティング、スピンコーティン
グ、ロールコーティングなどが採用できる。
他の樹脂と組合わせる場合、本発明のフォトクロミッ
ク材料の含有量は、目的および使用方法などによって決
められるべきものであるが、視覚に対する感度という観
点からは、他の樹脂重量の0.01〜20重量%が好ましい。
また、本発明のフォトクロミック材料の繰り返し耐久
性を向上せしめる見地から、使用時に酸素や水を遮断す
ることがとくに有効である。さらに、耐久性を向上させ
る目的から公知の添加剤、例えば、ニッケル塩に代表さ
れる一重項酸素クエンチャー、ヒンダードアミン系化合
物またはそのポリマーで代表される酸化防止剤、発色性
に影響を与えない紫外線吸収剤などが使用可能である。
本発明のフォトクロミック材料の用途としては、特
に、光による変色性を有する光学素子として好ましく使
用されることが可能である。光学素子としてはサングラ
スレンズ、スキー用ゴーグル、保護メガネレンズ、さら
には、カーテン、衣服、フロントガラス、サンルーフな
どの自動車用ウィンドー、玩具、化粧品、筆記具等が好
適な例として挙げられる。
[実施例] 次に、実施例を挙げて説明するが、本発明は、これら
に限定されるものではない。
実施例1 下記式(B)化合物の合成を行った。
1−ニトロソ−2−ナフトール17g、4−ヒドロキシ
ピペリジン30g、トリクロロエチレン100mlからなる溶液
を、還流するまで加熱した。1,3,3−トリメチル−2−
メチレンインドリン16gを還流している溶液中に30分間
かけて滴下した。滴下終了後、還流温度で2時間反応を
行なった。反応後、濃縮し、シリカゲルを支持担体、塩
化メチレンを展開溶媒としてカラムクロマト分離を行な
った。塩化メチレンを留去すると黄褐色の固体が得ら
れ、エタノールから再結晶し、式(B)のスピロオキサ
ジンの白色結晶を得た。
下記式(C)の化合物の合成を行った。
式(B)の化合物1.5g、トリエチルアミン1gおよび塩
化メチレン20mlよりなる溶液を撹拌しながら、メタクリ
ル酸クロライド1.1gを滴下した。滴下終了後、20分間撹
拌を続けた。アルミナを支持担体、塩化メチレンを展開
溶媒としてカラムクロマト分離を行った。塩化メチレン
を留去すると、淡黄色の固体が得られた。該固体をメタ
ノール水溶液から再結晶し、式(C)の化合物の白色結
晶を得た。
式(C)の化合物の分析結果を示す。
(元素分析値) 実測値(%) 計算値(%) C 74.8 75.2 H 6.6 6.7 N 8.6 8.5 (融 点)186〜188℃ (NMR)NMRスペクトルを第1図に示した。
応用例として、式(C)の化合物0.1gを、ポリビニ
ルブチラールの10%ブタノール溶液に溶解した塗液を、
2枚のガラス板に塗布した。乾燥後、2枚のガラス板の
樹脂面を合わせ、加熱した。
このようにして作製したフォトクロミック性を有する
合わせガラスは、紫外線の照射を受けると、紫色に発色
し、紫外線照射を止め暗所に放置すると速やかに元の無
色に戻った。この発消色は何度も繰り返すことができ
た。
実施例2 1−オクタデシル−2,3,3−トリメチルインドレニ
ウムアイオダイドの合成を行った。2,3,3−トリメチル
インドレニン15.3gとヨードオクタデカン50gを70mlのト
リクロロエチレンに溶解し、20時間還流した。反応後、
濃縮し放置しておくと、結晶が析出して来た。ろ過し、
トルエンで洗浄すると、1−オクタデシル−2,3,3−ト
リメチルインドレニウムアイオダイドの白色結晶17.17g
を得た。融点は92〜95℃だった。
式(D)の化合物の合成を行った。
1−ニトロソ−2−ナフトール6.2gをトリクロルエチ
レン56ml中に懸濁させ、4−ヒドロキシピペリジン9.6g
を加え、ナフトールが完全に溶解するまで、窒素を流し
ながら還流条件で沸騰させ、撹拌した。
1−オクタデシル−2,3,3−トリメチルインドレニウ
ムアイオダイド17.0gとトリエチルアミン4.1gをエタノ
ール32mlに溶解し、40℃で30分以上撹拌反応させ、初め
の沸騰還流している溶液に45分位かけて滴下した。
滴下終了後、さらに15時間還流温度で反応を行った。
反応後、濃縮し、シリカゲルを支持担体、クロロホル
ム:酢酸エチル=5:5の混合液を展開溶媒としてカラム
クロマト分離を行い、さらに、シリカゲルを支持担体、
クロロホロム:酢酸エチル=9:1の混合液を展開溶媒と
して再度カラムクロマト分離を行った。展開溶媒を留去
し、エタノールと水の混合溶液で再結晶を行い、式
(D)の化合物の水色結晶を得た。
式(E)の化合物の合成を行った。
式(B)の化合物の代わりに、式(D)の化合物を用
いる他は、実施例1のと同様にして行い、式(E)の
化合物の白色結晶を得た。
式(E)の化合物の分析結果を示す。
(融 点)113〜114.5℃ (元素分析値) 実測値(%) 計算値(%) C 78.6 78.7 H 5.7 5.7 N 6.6 6.6 (NMR)NMRスペクトルを第2図に示した。
応用例としてポリマーを合成した。
トルエン30mlを75℃に加熱した溶液を撹拌し、そこに
式(E)の化合物2g、n−ブチルメタクリレート10g、
ドデシルメタクリレート11g、ジメチルアミノエチルメ
タクリレート1g、アゾビスイソブチロニトリル0.2gおよ
びトルエン30mlよりなる溶液を1時間かけて滴下した。
滴下終了後、2時間撹拌を続けた。このようにして得た
ポリマー溶液をガラス板上に塗布し、乾燥しフォトクロ
ミック性を有するガラス板を作製した。この板をポリマ
ー(I)とした。ポリマー(I)は445nmの光によって
も紫色に発色した。
同様にして、式(E)の化合物の代わりに式(C)の
化合物を用いて、ポリマー(II)を作製した。ポリマー
(II)も445nmの光によって紫色に変色した。
比較例1 下記式(F)の化合物の合成を行った。
1−(2−メタクリルオキシエチル)−3,3−ジメチ
ル−2−メチレンインドリン10g、1−ニトロソ−2−
ナフトール8gとハイドロキノン0.1gを100mlの無水エタ
ノールに溶解し、2時間還流温度で反応を行った。反応
後、濃縮し、シリカゲルを支持担体、トリクロロエチレ
ンを展開溶媒としてカラムクロマト分離を行った。トリ
クロロエチレンを留去するとピンク色の固体が得られ、
メタノールから再結晶し、式(F)の化合物の白色結晶
を得た。
式(F)の化合物の分析結果 (元素分析値) 実測値(%) 計算値(%) C 76.2 76.1 H 6.5 6.1 N 6.5 6.6 応用例として、式(E)の化合物の代わりに、式
(F)の化合物を用いた以外は、実施例2のと同様に
してポリマー(III)を作成した。
比較例2 下記式(G)の化合物の合成を行った。
4−ヒドロキシピペリジンの代わりに、ピペリジンを
用いる他は実施例1のと同様にして行い、式(G)の
化合物の白色結晶を得た。
式(G)の化合物の分析結果を示す。
(融 点)226℃ (元素分析値) 実測値(%) 計算値(%) C 78.9 78.8 H 6.9 7.1 N 10.2 10.2 (NMR)NMRスペクトルを第3図に示した。
応用例として、式(E)の化合物を除く他は実施例
2のと同様にしてポリマー溶液を作成した。このよう
にして得たポリマー溶液に、式(G)の化合物1.3gを加
え、溶解させた溶液をガラス板上に塗布し、乾燥しフォ
トクロミック性を有するガラス板を作製した。この板を
ポリマー(IV)とした。
ポリマー(I)〜(IV)についてカーボンアークフェ
ードメーターにて、20時間紫外線照射を行い耐光性テス
トを行った。耐光性能を次のようにA〜Eランクに分け
た。
Aランク…テスト前とテスト後でまったく発色性に差が
ないレベル。
Bランク…テスト後、やや発色性が低下したレベル。
Cランク…テスト後、発色性が半減したレベル。
Dランク…テスト後、やや発色するレベル。
Eランク…テスト後、発色性がなくなるレベル。
実施例3 下記式(H)の化合物の合成を行った。
1,3,3−トリメチル−2−メチレンインドリンの代わ
りに、1,3,3−トリメチル−2−メチレン−4,7−ジクロ
ロインドリンを用いる他は実施例1と同様にして行い、
式(H)の化合物の白色結晶を得た。
式(H)の化合物の分析結果を示す。
(融 点)174〜175℃ (元素分析値) 実測値(%) 計算値(%) C 65.3 66.0 H 5.6 5.5 N 7.3 7.4 (NMR)全体のNMRスペクトルを第4図に示した。
応用例として、酢酸エチル30mlを75℃に加熱した溶
液を撹拌し、そこに(H)の化合物1.3g、ヒドロキシエ
チルメタクリレート1.0g、アクリル酸アミド0.1g、オク
チルメタクリレート12.0g、アゾビスイソブチロニトリ
ル0.1gおよび酢酸エチル20mlよりなる溶液を1時間かけ
て滴下した。滴下終了後、2時間撹拌を続けた。このよ
うにして得たポリマー溶液をガラス板上に塗布し、乾燥
しフォトクロミックガラス板を作製した。このガラス板
は紫外線の照射により、赤色になり、紫外線照射を止め
暗所に放置すると速やかに元の無色に戻った。この発消
色は何度も繰り返すことができた。
また、このフォトクロミックガラス板は445nmの光に
よっても赤色に発色した。
実施例4 式(J)の化合物の合成を行った。
1,3,3−トリメチル−2−メチレンインドリンの代わ
りに1−ベンジル−2−メチレン−3,3−ジメチルピペ
リジン、4−ヒドロキシピペリジンの代わりに3−ヒド
ロキシピペリジンを用いる他は実施例1と同様にして行
い、式(J)の化合物の乳白色結晶を得た。
式(J)の化合物の分析結果を示す。
(元素分析値) 実測値(%) 計算値(%) C 75.9 76.0 H 7.0 7.3 N 7.6 7.8 応用例として、式(H)の化合物の代わりに式
(J)の化合物を用いる他は、実施例3のと同様にし
てフォトクロミックガラス板を作製した。このガラス板
は紫外線の照射により、赤色になり、紫外線照射を止め
暗所に放置すると速やかに元の無色に戻った。この発消
色は何度も繰り返すことができた。
実施例5 式(K)の化合物の合成 1−ニトロソ−2−ナフトールの代わりに1−ニトロ
ソ−2−ヒドロキシジベンゾフラン、1,3,3−トリメチ
ル−2−メチレンインドリンの代わりに1−オクタデシ
ル−3,3−ジメチル−2−メチレンインドリンを用いる
他は、実施例1のと同様にして行い、式(K)の化合
物のオレンジ色結晶を得た。
下記式(L)の化合物の合成を行った。
式(B)の化合物の代わりに、式(K)の化合物を用
いる他は、実施例1のと同様にして行い、式(L)の
化合物の淡黄色結晶を得た。
式(L)の化合物の分析結果を示す。
(元素分析値) 実測値(%) 計算値(%) C 77.1 77.6 H 8.8 8.7 N 5.5 5.4 実施例6 式(M)の化合物の合成を行った。
式(B)の化合物1.5g、エピブロモヒドリン1.2g、炭
酸カリウム2.0gおよび乾燥アセトン60mlを還流温度で48
時間反応を行った。反応終了後、実施例1のと同様に
して精製し、式(M)の化合物の白色結晶を得た。
式(M)の化合物の分析結果を示す。
(元素分析値) 実測値(%) 計算値(%) C 74.4 74.5 H 6.5 6.8 N 8.8 8.7 応用例として、式(M)の化合物の0.1重量%アセ
トン溶液に、紫外線を照射すると無色から紫色になり、
この変化は可逆で何回でも繰り返し行えた。
[発明の効果] 本発明のフォトクロミック材料は、可視部の光によっ
ても発色することが可能であり、かつ発色種の吸収を短
波長化することが可能となり、赤色に発色するものも実
現できた。
また、本発明のフォトクロミック材料は、ポリマー化
することにより、光劣化に対する極めて優れた耐久性を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例1により得られた結晶についてのNMR
スペクトルチャートを示す。 第2図は、実施例2により得られた結晶についてのNMR
スペクトルチャートを示す。 第3図は、比較例2により得られた結晶についてのNMR
スペクトルチャートを示す。 第4図は、実施例3により得られた結晶についてのNMR
スペクトルチャートを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09K 9/00 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(A)で表されるスピロオキサ
    ジン化合物からなることを特徴とするフォトクロミック
    材料。 (式中、α環は、窒素原子1個を含む五員環または六員
    環、および、ベンゼン環、ナフタレン環またはピリジン
    環と連結した窒素原子1個を含む五員環または六員環か
    ら選ばれる1種であり、かつα環中の窒素原子は有機基
    R1と結合して存在し、 で表される。 ここでR1は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20の
    アルケニル基、炭素数7〜20のアラルキル基および炭素
    数6〜20のアリール基から選ばれる置換基を表す。 R2は、ヒドロキシ基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数
    1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜20のアルケニルオキ
    シ基、炭素数7〜20のアラルコキシ基、炭素数6〜20の
    アリーロキシ基、炭素数2〜20のアシルオキシ基、炭素
    数2〜20のカルバモイルオキシ基、炭素数1〜20のアル
    キル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数7〜20の
    アラルキル基、炭素数6〜20のアリール基、ハロゲン
    基、シアノ基、炭素数1〜20のカルボン酸基、炭素数1
    〜20のカルバモイル基、炭素数2〜20のアシル基、スル
    ホン酸基、炭素数0〜20のスルファモイル基から選ばれ
    る置換基を表す。nは0または1の整数を表す。 R3はビニル基、アリル基、アリルオキシ基、アクリル
    基、アクリルオキシ基、メタクリル基、メタクリルオキ
    シ基、N−(2−メタクリルオキシエチル)カルバモイ
    ル基、N−メタクリルカルバモイル基、3,4−エポキシ
    ブチル基から選ばれた少なくとも1つの置換基を有し、
    かつベンゼン環の炭素と窒素で結合してなる炭素数2〜
    40の置換基を表す。 R4は、水素、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜20の
    アルコキシ基、炭素数7〜20のアラルコキシ基、炭素数
    6〜20のアリーロキシ基、炭素数2〜20のアシルオキシ
    基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数7〜20のアラル
    キル基および炭素数6〜20のアリール基から選ばれる置
    換基を表す。 β環は、シクロヘキセン環、シクロオクテン環、シクロ
    オクタジエン環、シクロデセン環、ノルボルネン環、ビ
    シクロ[2,2,2−]オクテン環、ジヒドロナフタレン
    環、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェ
    ナンスレン環、キノリン環、ジベンゾフラン環、ジベン
    ゾナフトチオフェン環、ベンゾフラン環、インドール
    環、ピリジン環、ピリミジン環から選ばれる一種であ
    る。)
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