JP3060571B2 - 4サイクルエンジンの動弁装置 - Google Patents

4サイクルエンジンの動弁装置

Info

Publication number
JP3060571B2
JP3060571B2 JP3079061A JP7906191A JP3060571B2 JP 3060571 B2 JP3060571 B2 JP 3060571B2 JP 3079061 A JP3079061 A JP 3079061A JP 7906191 A JP7906191 A JP 7906191A JP 3060571 B2 JP3060571 B2 JP 3060571B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pin
eccentric
bush
cam
rocker
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP3079061A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04311613A (ja
Inventor
忍 堤腰
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Suzuki Motor Co Ltd
Original Assignee
Suzuki Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Suzuki Motor Co Ltd filed Critical Suzuki Motor Co Ltd
Priority to JP3079061A priority Critical patent/JP3060571B2/ja
Publication of JPH04311613A publication Critical patent/JPH04311613A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3060571B2 publication Critical patent/JP3060571B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Valve-Gear Or Valve Arrangements (AREA)
  • Valve Device For Special Equipments (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】〔発明の目的〕
【0002】
【産業上の利用分野】この発明は、運転状況に応じて吸
・排気バルブのリフト量や開弁時期等を変化させること
ができる4サイクルエンジンの動弁装置に係り、特にエ
キセントリック大径部を構成する偏心ブッシュのロッカ
シャフトへの組付け等を容易にした4サイクルエンジン
の動弁装置に関する。
【0003】
【従来の技術】一般に、自動車および自動二輪車の車両
に搭載される4サイクルエンジンでは、燃焼室上方に吸
・排気バルブが配設されており、これらのバルブは動弁
装置によって駆動される。すなわち、上記動弁装置は、
エンジンのクランクシャフトに連動するカムシャフトを
備え、このカムシャフトに形成されたカムによって上記
吸・排気バルブを所定のタイミングで上下動させてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記4サイ
クルエンジンは、低回転数域から中・高回転数域にかけ
ての広い回転数域内で高い出力が得られること、つまり
パワーバンドが広帯域であることが望ましい。
【0005】しかし、従来の動弁装置では、バルブの開
閉タイミングおよびリフト量が固定されているため、特
定のエンジン回転数域においてピーク値を有する出力特
性しか得られず、したがって低回転数域の出力特性に重
点を置くか、もしくは中・高回転数域の出力特性に重点
を置くかの選択を余儀なくされる。
【0006】この発明は、上述の事情を考慮してなされ
たものであり、広い回転数域内でエンジン出力を向上さ
せることができると共に、偏心ブッシュの組付性および
偏心ブッシュの偏心方向に対する精度を向上させること
ができる4サイクルエンジンの動弁装置を提供すること
を目的とする。〔発明の構成〕
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、回動可能に
支持されるとともにエキセントリック大径部が形成され
たロッカシャフトと、このロッカシャフトに直接嵌挿さ
れた第1のロッカアームと、この第1のロッカアームの
両側に配置されて上記エキセントリック大径部に嵌挿さ
れた第2および第3のロッカアームと、上記第1、第2
および第3のロッカアームをそれぞれ駆動する第1、第
2および第3のカムと、を有し、上記第2および第3の
カムが同じカムプロフィールに形成され、上記第1のカ
ムのカムプロフィールが上記カムプロフィールと異なっ
て形成され、また、前記エキセントリック大径部は、上
記ロッカシャフトに偏心ブッシュを嵌合し、これらロッ
カシャフトと偏心ブッシュとに直径方向で相互に連通す
るようにそれぞれ穿設された各ピン挿入孔にブッシュピ
ンを挿入して上記偏心ブッシュを上記ロッカシャフトに
固定することにより構成され、上記偏心ブッシュは、そ
の厚肉頂部に上記ピン挿入孔を形成する一方、この厚肉
頂部のピン挿入孔に直径方向で対向する薄肉頂部には、
この厚肉頂部のピン挿入孔に挿入されたプッシュピンを
抜き出すためにこのブッシュピンよりも小径のピン抜き
孔を径方向に貫通させて穿設しており、上記偏心ブッシ
ュの軸方向端面には、上記ピン挿入孔に対応する位置に
凹部が形成されたことを特徴とするものである。
【0008】
【作用】したがって、この発明に係る4サイクルエンジ
ンの動弁装置では、ロッカシャフトを所定角度回転させ
てエキセントリック大径部を回転させることにより、上
記第2および第3ロッカアームのカムフロア面を第1ロ
ッカアームのカムフロア面に対し上下方向に相対的に位
置変化させる。第2および第3ロッカアームのカムフロ
ア面を第1ロッカアームのカムフロア面に対し下方へ位
置変化させたときには、第2および第3ロッカアームと
第2および第3カムとの当接が解除され、第1ロッカア
ームと第1カムとが当接して、4サイクルエンジンのバ
ルブはこの第1カムにより作動する。
【0009】また、第2および第3ロッカアームのカム
フロア面を第1ロッカアームのカムフロア面に対しほぼ
上方へまたは同一位置に位置変化させたときには、第1
ロッカアームと第1カムとの当接が解除され、第2およ
び第3ロッカアームと第2および第3カムとがそれぞれ
当接して、4サイクルエンジンのバルブはこの第2およ
び第3のカムにより作動する。このようにロッカシャフ
トを回動させることによるカムの選択によって、広い回
転数域に亘りエンジン出力を向上させることができる。
【0010】また、偏心ブッシュの組付時には、この偏
心ブッシュを第2および第3ロッカアーム内に嵌合さ
せ、第1ロッカアームを第2および第3ロッカアーム間
に挟んだ状態でロッカシャフトに装着し、その後、偏心
ブッシュおよびロッカシャフトのピン挿入孔にブッシュ
ピンを挿入している。さらに、偏心ブッシュの軸方向端
面のピン挿入孔に対応する位置に凹部が形成されている
ので、ブッシュピンの挿入時にこの凹部を目印として偏
心ブッシュの挿入孔位置を確認でき、ブッシュピンの挿
入を簡単に行なうことができるので、偏心ブッシュの組
付性を向上させることができる。
【0011】さらに、偏心ブッシュの端面の凹部は一体
成形され、偏心ブッシュの挿入孔は偏心ブッシュの製造
工程の後半に機械加工によって形成される。凹部が一体
成形されたので、その位置は高精度に設定される。ま
た、ピン挿入孔はこの凹部を基準に機械加工されるの
で、ピン挿入孔の位置精度が向上する。したがって、ブ
ッシュピンにてロッカシャフトに固定された偏心ブッシ
ュは、偏心方向に対する精度が向上する。そして、ロッ
カシャフトに組み付けられた偏心ブッシュをこのロッカ
シャフトから取り外す場合は、この偏心ブッシュの薄肉
頂部のピン抜き孔内にアイスピックのような工具を挿入
してブッシュピンをピン挿入孔から外方へ押し出すこと
により簡単かつ迅速に取り外すことができる。しかも、
このピン抜き孔はブッシュピンよりも小径であるので、
このピン抜き孔からブッシュピンが抜け落ちるのを防止
できる。このために、ロッカシャフトに偏心ブッシュを
外嵌した後、ブッシュピンをロッカシャフトと偏心ブッ
シュのピン挿入孔に挿入する際に、このブッシュピンが
挿入側と反対側のピン抜き孔からピンが抜け落ちないよ
うに注意しながら組付作業をする必要がないので、その
作業性を向上させることができる。また、偏心ブッシュ
の薄肉頂部は薄肉であるために厚肉頂部よりも強度が低
下するが、薄肉頂部にはブッシュピンが貫通しない、か
つブッシュピンよりも小径のピン抜き孔を形成するのみ
であるので、この薄肉頂部の強度低下を抑制することが
できる。
【0012】
【実施例】以下、この発明の一実施例を図面に基づいて
説明する。
【0013】図2は、この発明に係る4サイクルエンジ
ンの動弁装置の一実施例を示す斜視図、図3は図2の動
弁装置の平面図、図4および図5は図2の動弁装置の作
用を示す動作状態図である。
【0014】この動弁装置は、エンジンの1つのシリン
ダにおける吸気側と排気側にそれぞれ配設される。した
がって、図2〜図5に示すバルブ1,2は吸気または排
気を行なうために配置されている。
【0015】この一実施例は、第1カムとしての低速用
カム3、並びにこの低速用カム3の両側方にそれぞれ配
置された第2カムとしての中高速用カム4および第3カ
ムとしての同じく中高速用カム5を有したカムシャフト
6(図4、図5)と、カム3,4および5のそれぞれの
下方に位置された第1ロッカアームとしての低速用ロッ
カアーム7、第2ロッカアームとしての中高速用ロッカ
アーム8および第3ロッカアームとしての同じく中高速
用ロッカアーム9と、これらのロッカアーム7,8およ
び9の支持部7a,8aおよび9aが嵌挿され、かつ図
示しない軸受部によって回動自在に支承されたロッカシ
ャフト11と、を備えて構成される。
【0016】低速用ロッカアーム7の先端は2方に分岐
し、これらの両分岐先端部7bは、図示しないエンジン
の燃焼室を開閉する上記バルブ1および2のステム頭部
にそれぞれ当接している。また、低速用ロッカアーム7
の支持部7aは、ロッカシャフト11に直接嵌挿され
て、回動可能に設けられる。
【0017】中高速用ロッカアーム8の支持部8aは、
ロッカシャフト11よりも大径の偏心ブッシュ12を介
して、ロッカシャフト11に対し回動可能に嵌挿され
る。この偏心ブッシュ12は、図4に示す如く、軸心が
ロッカシャフト11の中心から偏心しており、ブッシュ
ピン10によってロッカシャフト11に着脱自在に固定
される。したがって、この偏心ブッシュ12は、ロッカ
シャフト11におけるエキセントリック大径部として機
能する。
【0018】図3に示す如く、中高速用ロッカアーム9
の支持部9aも、上記偏心ブッシュ12と同一の形状を
有しかつ同一方向に偏心する偏心ブッシュ13を介し
て、ロッカシャフト11に対し回動可能に嵌挿される。
この偏心ブッシュ13もブッシュピン10によりロッカ
シャフト11に着脱自在に固定され、エキセントリック
大径部として機能する。
【0019】図4および図5に示すように、中高速用ロ
ッカアーム8および9の各先端下面は、低速用ロッカア
ーム7の一方および他方の分岐先端部7bに、シム14
を介してそれぞれ当接される。このシム14は、縦断面
T字形状のシムであり、低速用ロッカアーム7の両分岐
先端部7bに上方から嵌装される。また、低速用ロッカ
アーム7の分岐先端部7bと中高速用ロッカアーム8お
よび9の先端部8bおよび9bとの接触点は、バルブ1
および2の略軸線上に設定される。
【0020】したがって、図4に示すように、低速用カ
ム3が低速用ロッカアーム7のカムフロア面7cを押下
して、その各先端先端部7bを下降させた場合(低速用
カム3の作動時)には、ロッカアーム8および9の各先
端部8bおよび9bは、分岐先端部7bとももに押下さ
れるには至らない。一方、図5に示すように中高速用カ
ム4および5が中高速用ロッカアーム8および9のカム
フロア面8cおよび9cをそれぞれ押下した場合(中高
速用カム4および5の作動時)には、これらのロッカア
ーム8および9の先端部8bおよび9bが低速用ロッカ
アーム7の各分岐先端部7bを押下することから、分岐
先端部7bは強制的に下降される。
【0021】上記カム3,4および5のうち、中高速用
カム4および5は同一のカムプロフィールを有し、また
低速用カム3はこれらの中高速用カム4および5のカム
プロフィールとは異なるカムプロフィールを有する。つ
まり、低速用カム3は、エンジンが低回転数域で運転さ
れているときに適したバルブリフト量および開閉弁時期
が得られるようにそのカムプロフィールが設定される。
また、中高速用カム4および5は、エンジンが中・高回
転数域で運転されているときに適したバルブリフト量お
よび開閉弁時期が得られるようにそのカムプロフィール
が設定される。
【0022】上記バルブリフト量は、バルブ1および2
のストローク長であり、カムリフト量に対応する。図1
0には、低速用カム3のカムプロフィールを実線A(カ
ムリフト量la)で示し、また中高速用カム4および5
のカムプロフィールを破線B(カムリフト量lb)で示
している。この図10から明らかなように、中高速用カ
ム4および5は、低速用カム3よりも大きなバルブリフ
ト量が得られるようにそのカムプロフィールが設定され
ている。
【0023】なお、図10の二点鎖線Cは、ロッカシャ
フト11を回動して偏心ブッシュ12および13の頂部
12aおよび13aを斜め前方へ位置させたとき(図
4)の中高速用カム4および5におけるカムプロフィー
ルを示す。
【0024】ところで、図2に示すように、ロッカシャ
フト11の回動は、エンジンからの油圧によって作動す
る油圧シリンダ15によってなされる。この油圧シリン
ダ15のピストン(図示せず)にラック16が連結さ
れ、このラック16が、ロッカシャフト11の一端部に
形成されたピニオン17に噛み合される。また、油圧シ
リンダ15には、低速用油圧ポート18および中高速用
油圧ポート19がそれぞれ設けられ、それぞれのポート
18,19に選択的にエンジンからの油圧が導かれる。
【0025】エンジン回転数が低回転数域にあるときに
は、低速用油圧ポート18へ油圧が供給され、ラック1
6は引き戻され、ピニオン17は矢印O方向に回転され
て、偏心ブッシュ12および13は図4に示すように、
その頂部12aおよび13aが斜め前方へ位置するよう
回動する。また、エンジン回転数が中・高回転域にある
ときには、中高速用油圧ポート19へ油圧が供給され
て、ラック16は押し出され、ピニオン17は矢印P方
向へ回動されて、偏心ブッシュ12および13は図5に
示すように、その頂部12aおよび13aが斜め後方へ
位置するよう回動する。
【0026】さて、前述の偏心ブッシュ12および13
には、図1(A)〜(C)に示すように、それぞれの厚
肉頂部12aおよび13aにピン挿入孔21が貫通して
穿設される。また、図4、図5および図8に示すよう
に、ロッカシャフト11にもピン挿入孔22が穿設され
ると共に、中高速用ロッカアーム8および9の支持部8
aおよび9aにピンガイド孔23が貫通状態で穿設され
る。これら偏心ブッシュ12および13のピン挿入孔2
2並びにロッカシャフト11のピン挿入孔22に、中高
速用ロッカアーム8および9のピンガイド孔23を経て
ブッシュピン10が挿入されることにより、偏心ブッシ
ュ12および13がロッカシャフト11に固定される。
【0027】上記ピンガイド孔23は、中高速用ロッカ
アーム8および9の組付状態で、図4および図5の上方
に位置する。つまりピンガイド孔23は、偏心ブッシュ
12の厚肉頂部12aおよび偏心ブッシュ13の厚肉頂
部13aを斜め前方あるいは斜め後方に位置させるロッ
カシャフト11の回動両端位置において、ブッシュピン
10と対応しない位置に設定される。さらに、このピン
ガイド孔23は、図8に示すように、低速用ロッカアー
ム7、中高速用ロッカアーム8および9並びに偏心ブッ
シュ12および13の組付状態で、ブッシュピン10に
対し、ロッカシャフト11の軸方向に若干(約0.5〜
1.0mm)ずらして形成される。これにより、偏心ブ
ッシュ12の頂部12aおよび偏心ブッシュ13の頂部
13aを斜め前方あるいは斜め後方へ切り換える際に、
ブッシュピン10がピンガイド孔23と一致して抜け落
ちることがないよう構成される。
【0028】また、偏心ブッシュ12および13には、
図1(A)〜(C)に示すように、厚肉頂部12aおよ
び13aと反対位置にある薄肉頂部12bおよび13b
に、ピン抜き孔24が貫通して穿設される。これらのピ
ン抜き孔24は、ピン挿入孔21よりも小径に形成され
て、ブッシュピン10の離脱に際し利用される。
【0029】さらに、偏心ブッシュ12および13の軸
方向端面には、厚肉頂部12aおよび13aに対応する
位置に、凹部としての溝25が形成される。この溝25
は、厚肉頂部12aおよび13a並びに薄肉頂部12b
および13bと共に、一体に焼結成形される。さらに、
この溝25は、偏心ブッシュ12および13の内径部か
ら外径部に亘って形成され、側面部に角度θのテーパ2
6が設けられる。この角度θは、約45°に設定され
る。このような溝25は、ピン挿入孔21の製作時にお
いて加工用位置決め溝として機能し、さらに偏心ブッシ
ュ12および13をロッカシャフト11に組み付ける際
にマーカ溝として機能する。
【0030】つまり、ピン挿入孔21は、偏心ブッシュ
12および13の焼結成形後に、ドリル加工およびリー
マ加工によって形成される。このとき、図6および図7
に示すように、偏心ブッシュ12および13を加工用治
具27のV形溝28に押し当て、加工用スプリング29
にて付勢された加工用位置決め突起30を溝25に係合
させる。このように偏心ブッシュ12および13を加工
台31に設置して、矢印α方向からドリルおよびリーマ
加工を施してピン挿入孔21を穿設し、矢印β方向から
ドリル加工を施してピン抜き孔24を穿設する。したが
って、ピン挿入孔21の中心と溝25の中央位置とは、
図1(A)に示す同一の直線m上に、対応して形成され
る。
【0031】一方、偏心ブッシュ12および13の組付
に際しては、図9に示すように、まず組付用治具32に
偏心ブッシュ12および13、中高速用ロッカアーム8
および9、低速用ロッカアーム7並びに位置決めスプリ
ング33を装着し、ピンガイド孔23およびピン挿入孔
21にブッシュピン10を挿入する。次に、これらをシ
リンダヘッド34の所定位置に設置し、ロッカシャフト
11をスライドさせて、偏心ブッシュ12および13、
中高速用ロッカアーム8および9、低速用ロッカアーム
7、位置決めスプリング33並びにブッシュピン10を
ロッカシャフト11に移す。その後、ロッカシャフト1
1を微小回転させて、ブッシュピン10をロッカシャフ
ト11のピン挿入孔22に挿入することにより、偏心ブ
ッシュ12および13、中高速用ロッカアーム8および
9、並びに低速用ロッカアーム7等をロッカシャフト1
1に組み付ける。
【0032】この組付後には、図8に示すように、位置
決めスプリング33の付勢力によって、偏心ブッシュ1
2および13が中高速用ロッカアーム8および9に対し
相対的にスライドし、偏心ブッシュ12および13のピ
ン挿入孔21が中高速用ロッカアーム8および9のピン
ガイド孔23とずれて、ブッシュピン10の抜け落ちが
防止され、これにより組付が完了する。
【0033】上記組付において、組付用治具32に装着
された偏心ブッシュ12および13(図9)のピン挿入
孔21にピンガイド孔23を経てブッシュピン10を挿
入するには、このピン挿入孔21と溝25とが対応して
形成されているので、溝25を目印(マーカ)として偏
心ブッシュ12および13を回転させ、中高速用ロッカ
アーム8および9のピンガイド孔23の上方から、この
ピンガイド孔23およびピン挿入孔21にブッシュピン
10を挿入する。このように、偏心ブッシュ12および
13等の組付時には、溝25がマーカ溝として機能す
る。
【0034】次に、作用効果を説明する。
【0035】エンジンが低回転数域にあるときに、油圧
シリンダ15の作動によってロッカシャフト11が矢印
O方向に回動すると、偏心ブッシュ12および13のそ
れぞれの頂部12aおよび13aが斜め前方に位置する
(図4)。これにより、中高速用ロッカアーム8および
9のカムフロア面8cおよび9cが低速用ロッカアーム
7のカムフロア面7cに対し相対的に下方へ移動する。
したがって、中高速用カム4および5の周面と中高速用
ロッカアーム8および9のカムフロア面8cおよび9c
との間に隙間が形成されることになり、その結果、中高
速用カム4および5は空転する。
【0036】また、このとき、低速用ロッカアーム7
は、バルブスプリング20の付勢力によってロッカシャ
フト11の軸心を中心として常時上方へ押し上げられて
いるので、そのカムフロア面7cが低速用カム3の周面
と当接する。したがって、カムシャフト6が回転する
と、バルブ1および2は図10に示した低速用カム3の
リフト特性Aに基づいて上下動する。つまり、バルブ1
および2は、低エンジン回転数域に適したバルブのリフ
ト量を確保しつつ、燃焼室を開閉する。
【0037】他方、エンジンが中・高回転域にあるとき
に、油圧シリンダ15の作動によってロッカシャフト1
1が矢印P方向に回転すると、偏心ブッシュ12および
13のそれぞれ頂部12aおよび13aが斜め後方に位
置する(図5)。これにより、中高速用ロッカアーム8
および9のカムフロア面8cおよび9cが低速用ロッカ
アーム7のカムフロア面7cに対して相対的に略上方ま
たは同一位置まで移動し、このカムフロア面8cおよび
9cがそれぞれ中高速用カム4および5の周面に当接す
る。
【0038】ここで、図10に示したように、中高速用
カム4および5は低速用カム3よりもカムリフト量が大
きく形成されているので、図5に示す状態下でカムシャ
フト6が回転された場合、低速用カム3は空転し、一
方、中高速用カム4および5がそれぞれ中高速用ロッカ
アーム8および9を介して、図10のリフト特性Bに基
づきバルブ1および2を駆動する。この結果、バルブ1
および2は、エンジンの中・高回転数域に適したバルブ
リフト量を確保しつつ、燃焼室を開閉する。
【0039】上記実施例によれば、低速用カム3にエン
ジンの低回転数域に適したカムプロフィールが形成さ
れ、中高速用カム4および5にエンジンの中・高回転数
域に適したカムプロフィールが形成され、さらにロッカ
シャフト11の偏心ブッシュ12および13に中高速用
ロッカアーム8および9をそれぞれ回動自在に嵌挿し、
ロッカシャフト11に直接低速用ロッカアーム7を嵌挿
して、ロッカシャフト11の回動により、低速用カム3
と低速用ロッカアーム7との当接、中高速用カム4およ
び5と中高速用ロッカアーム8および9とのそれぞれの
当接を選択できるので、バルブ1および2を低速用カム
3あるいは中高速用カム4,5にて選択的に駆動させる
ことができる。したがって、エンジンの低回転数域から
中・高回転数域にかけての広い回転数域で、4サイクル
エンジンの出力を向上させることができる。
【0040】また、低速用カム3、中高速用カム4およ
び5の選択を偏心ブッシュ12および13の回動によっ
て行なっているので、カム3,4,5の選択時に各部に
大きなストレスが生ずることがない。このため、カム
3,4,5をスムーズに選択することができる。
【0041】さらに、偏心ブッシュ12および13の端
面の溝25は、厚肉頂部12aおよび13a等と共に一
体成形され、偏心ブッシュ12および13のピン挿入孔
21は、偏心ブッシュ12および13の製造工程の後半
に、ドリル加工およびリーマ加工によって形成される。
溝25が一体成形されたので、その位置は高精度に設定
される。また、ピン挿入孔21はこの溝25を基準にド
リル加工等されるので、ピン挿入孔21の位置精度が向
上する。したがって、ブッシュピン10にてロッカシャ
フト11に固定された偏心ブッシュの、偏心方向に対す
る精度を向上させることができる。
【0042】また、偏心ブッシュ12および13の組付
時には、これら偏心ブッシュ12および13を中高速用
ロッカアーム8および9内に嵌合させ、低速用ロッカア
ーム7を中高速用ロッカアーム8および9間に挟んだ状
態でロッカシャフト11に装着し、次に、偏心ブッシュ
12および13のピン挿入孔21並びに中高速用ロッカ
アーム8および9のピンガイド孔23にブッシュピン1
0を挿入し、その後ロッカシャフトを微小回転して、ブ
ッシュピン10をピン挿入孔21および中高速用ロッカ
アーム8および9のピン挿入孔22に配置している。こ
の実施例では、偏心ブッシュ12および13の端面でピ
ン挿入孔21に対応する位置に溝25が形成されている
ので、ブッシュピン10の挿入時に、この溝25を目印
として偏心ブッシュ12および13のピン挿入孔21の
位置を確認できる。この結果、ブッシュピン10の挿入
を簡単に行なうことができ、偏心ブッシュ12および1
3の組付性を向上させることができる。
【0043】また、低速用ロッカアーム7、中高速用ロ
ッカアーム8および9等の組付後には、偏心ブッシュ1
2および13の溝25がオイル溜りとして機能するの
で、偏心ブッシュ12および13に嵌合する中高速用ロ
ッカアーム8および9の支持部8aおよび9aに、潤滑
オイルを良好に供給できる。
【0044】さらに、偏心ブッシュ12および13の組
付時にブッシュピン10を、中高速用ロッカアーム8お
よび9のピンガイド孔23を通して、ロッカシャフト1
1のピン挿入孔22並びに偏心ブッシュ12および13
のピン挿入孔21に挿入するので、偏心ブッシュ12お
よび13の組付を容易に実施できる。
【0045】また、偏心ブッシュ12および13は、そ
のピン挿入孔21によりブッシュピン10と面接触する
ので、ブッシュピン10から偏心ブッシュ12および1
3に作用する面圧が小さくなる。このため、偏心ブッシ
ュ12および13の材質硬度を高くする必要がなく、そ
の材質選定の自由度を大きくできる。
【0046】なお、上記実施例では、中高速用カム4お
よび5のカムプロフィールが図10の破線Bに示すもの
である場合につき述べたが、この中高速用カム4および
5のカムプロフィールを図11の破線B′あるいは図1
2の破線B″に示すものとして、エンジンの中・高回転
時におけるバルブ1および2のリフトを変更してもよ
い。
【0047】また、上記実施例では、ロッカシャフト1
1の回転駆動源として油圧シリンダ15を用いる場合に
つき説明したが、この回転駆動源としてモータを用い、
プーリおよびベルト等の動力伝達手段によってロッカシ
ャフト11を回転駆動させるようにしてもよい。
【0048】
【発明の効果】以上のように、この発明に係る4サイク
ルエンジンの動弁装置によれば、回動可能に支持された
ロッカシャフトにエキセントリック大径部が形成され、
第2および第3ロッカアームがこのエキセントリック大
径部に嵌挿されると共に、第1ロッカアームが第2およ
び第3ロッカアームの間に配置されて直接ロッカシャフ
トに嵌挿されたことから、ロッカシャフトの回動による
上記カムの選択によって、広い回転数域に亘りエンジン
出力を向上させることができる。
【0049】また上記エキセントリック大径部がロッカ
シャフトに偏心ブッシュを嵌合し、これらロッカシャフ
トと偏心ブッシュとに直径方向で相互に連通するように
穿設されたピン挿入孔にブッシュピンを挿入して上記偏
心ブッシュを上記ロッカシャフトに固定することにより
構成され、上記偏心ブッシュの端面には、上記ピン挿入
孔に対応する位置に凹部が形成されたことから、偏心ブ
ッシュの組付性および偏心ブッシュの偏心方向に対する
精度を向上させることができる。そして、ロッカシャフ
トに組み付けられた偏心ブッシュをこのロッカシャフト
から取り外す場合は、この偏心ブッシュの薄肉頂部のピ
ン抜き孔内にアイスピックのような工具を挿入してブッ
シュピンをピン挿入孔から外方へ押し出すことにより簡
単かつ迅速に取り外すことができる。しかも、このピン
抜き孔はブッシュピンよりも小径であるので、このピン
抜き孔からブッシュピンが抜け落ちるのを防止できる。
このために、ロッカシャフトに偏心ブッシュを外嵌した
後、ブッシュピンをロッカシャフトと偏心ブッシュのピ
ン挿入孔に挿入する際に、このブッシュピンが挿入側と
反対側のピン抜き孔からピンが抜け落ちないように注意
しながら組付作業をする必要がないので、その作業性を
向上させることができる。また、偏心ブッシュの薄肉頂
部は薄肉であるために厚肉頂部よりも強度が低下する
が、薄肉頂部にはブッシュピンが貫通しない、かつブッ
シュピンよりも小径のピン抜き孔を形成するのみである
ので、この薄肉頂部の強度低下を抑制することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は図2の偏心ブッシュの平面図、(B)
は(A)のIB矢視図、(C)は(B)のIC−IC線
に沿う断面図。
【図2】この発明に係る4サイクルエンジンの動弁装置
の一実施例を示す斜視図。
【図3】図2の動弁装置の平面図。
【図4】図2の動弁装置の低速用カム作動状態を示す動
作状態図。
【図5】図2の動弁装置の中高速用カム作動状態を示す
動作状態図。
【図6】図1の偏心ブッシュにピン挿入孔およびピン抜
き孔を穿設加工する状態を示す図。
【図7】図6のVII −VII 線に沿う断面図。
【図8】図3のVIII−VIII線に沿う断面図。
【図9】図2の偏心ブッシュ、中高速用ロッカアーム、
低速用ロッカアームおよびブッシュピンを組み付ける作
業状態を示す図。
【図10】図2のカムのカムプロフィールを示す図。
【図11】図10に示すカムプロフィールの第1変形例
を示す図。
【図12】図10に示すカムプロフィールの第2変形例
を示す図。
【符号の説明】
1,2 バルブ 3 低速用カム 4,5 中高速用カム 7 低速用ロッカアーム 7a 低速用ロッカアームの支持部 8,9 中高速用ロッカアーム 8a,9a 中高速用ロッカアームの支持部 10 ブッシュピン 11 ロッカシャフト 12,13 偏心ブッシュ 21 偏心ブッシュのピン挿入孔 22 ロッカシャフトのピン挿入孔 23 中高速用ロッカアームのピンガイド孔 25 溝 A 低速用カムのカムプロフィール B 中高速用カムのカムプロィール m 直線

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回動可能に支持されるとともにエキセン
    トリック大径部が形成されたロッカシャフトと、このロ
    ッカシャフトに直接嵌挿された第1のロッカアームと、
    この第1のロッカアームの両側に配置されて上記エキセ
    ントリック大径部に嵌挿された第2および第3のロッカ
    アームと、上記第1、第2および第3のロッカアームを
    それぞれ駆動する第1、第2および第3のカムと、を有
    し、上記第2および第3のカムが同じカムプロフィール
    に形成され、上記第1のカムのカムプロフィールが上記
    カムプロフィールと異なって形成され、また、前記エキ
    セントリック大径部は、上記ロッカシャフトに偏心ブッ
    シュを嵌合し、これらロッカシャフトと偏心ブッシュと
    に直径方向で相互に連通するようにそれぞれ穿設された
    各ピン挿入孔にブッシュピンを挿入して上記偏心ブッシ
    ュを上記ロッカシャフトに固定することにより構成さ
    れ、上記偏心ブッシュは、その厚肉頂部に上記ピン挿入
    孔を形成する一方、この厚肉頂部のピン挿入孔に直径方
    向で対向する薄肉頂部には、この厚肉頂部のピン挿入孔
    に挿入されたプッシュピンを抜き出すためにこのブッシ
    ュピンよりも小径のピン抜き孔を径方向に貫通させて穿
    設しており、上記偏心ブッシュの軸方向端面には、上記
    ピン挿入孔に対応する位置に凹部が形成されたことを特
    徴とする4サイクルエンジンの動弁装置。
JP3079061A 1991-04-11 1991-04-11 4サイクルエンジンの動弁装置 Expired - Fee Related JP3060571B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3079061A JP3060571B2 (ja) 1991-04-11 1991-04-11 4サイクルエンジンの動弁装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3079061A JP3060571B2 (ja) 1991-04-11 1991-04-11 4サイクルエンジンの動弁装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04311613A JPH04311613A (ja) 1992-11-04
JP3060571B2 true JP3060571B2 (ja) 2000-07-10

Family

ID=13679376

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3079061A Expired - Fee Related JP3060571B2 (ja) 1991-04-11 1991-04-11 4サイクルエンジンの動弁装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3060571B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106948897A (zh) * 2017-02-20 2017-07-14 浙江大学 一种可变气门数的发动机配气机构

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04311613A (ja) 1992-11-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5111781A (en) Valve actuating mechanism in four-stroke cycle engine
US5333579A (en) Control device for controlling intake and exhaust valves of internal combustion engine
JPH068604B2 (ja) 内燃機関の弁作動状態切換装置
JP3060571B2 (ja) 4サイクルエンジンの動弁装置
US6644254B2 (en) Valve train for internal combustion engine
JP2864398B2 (ja) 4サイクルエンジンの動弁装置
JPH0755283Y2 (ja) 4サイクルエンジンの動弁装置
FR2707339A1 (fr) Came, en particulier pour commander une soupape de changement de charge.
JP3060592B2 (ja) 4サイクルエンジンの動弁装置
JP2905896B2 (ja) 4サイクルエンジンの動弁装置
JPH0755285Y2 (ja) 4サイクルエンジンの動弁装置
JP2827419B2 (ja) 4サイクルエンジンの動弁装置
CN100460632C (zh) 制造叶片转子的方法及装置
JPH0755284Y2 (ja) 4サイクルエンジンの動弁装置
JP2929706B2 (ja) 4サイクルエンジンの動弁装置
JPH08483Y2 (ja) 4サイクルエンジンの動弁装置
JPH0622088Y2 (ja) 内燃機関の動弁装置
KR100368766B1 (ko) 가변밸브타이밍이 형성된 캠샤프트 스프로켓의 윤활구조
JPH03286109A (ja) 4サイクルエンジンの動弁装置
JPH0755286Y2 (ja) 4サイクルエンジンの動弁装置
JP2541499B2 (ja) 可変バルブタイミング機構
JP3082285B2 (ja) 4サイクルエンジンの動弁装置
JPH0565815A (ja) 4サイクルエンジンの動弁装置
JP2857910B2 (ja) 4サイクルエンジンの動弁装置
JPH0744724Y2 (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313532

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090428

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100428

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees