JPH0565815A - 4サイクルエンジンの動弁装置 - Google Patents

4サイクルエンジンの動弁装置

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Publication number
JPH0565815A
JPH0565815A JP22606591A JP22606591A JPH0565815A JP H0565815 A JPH0565815 A JP H0565815A JP 22606591 A JP22606591 A JP 22606591A JP 22606591 A JP22606591 A JP 22606591A JP H0565815 A JPH0565815 A JP H0565815A
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JP
Japan
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rocker arm
speed
cam
low
high speed
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JP22606591A
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English (en)
Inventor
Hideji Oda
秀治 小田
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Suzuki Motor Corp
Original Assignee
Suzuki Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】この発明は、ロッカシャフトの回転要求トルク
を増大させることなく、低速用ロッカアームと中高速用
ロッカアームとの姿勢変化量を拡大して、バルブリフト
カーブ設定の自由度を高めることができるようにしてい
る。 【構成】この発明は、回動可能に支持されるとともにエ
キセントリック大径部12,13が形成されたロッカシ
ャフト11と、このロッカシャフトに直接嵌装されて分
岐先端部7bが形成された低速用ロッカアーム7と、こ
の低速用ロッカアームの両側に配置されて上記エキセン
トリック大径部に嵌装された中高速用ロッカアーム8,
9と、上記低速用ロッカアームおよび中高速用ロッカア
ームのそれぞれを作動し、それぞれ異なったカムプロフ
ィールA,Bが形成された低速用カム3および中高速用
カム4,5とを有し、上記中高速用ロッカアームの先端
部8b,9bと上記低速用ロッカアームの分岐先端部と
が上下に重ね合され、このうち下方に位置した上記端部
のロッカアーム接触面20が、先端へ向い下方へ傾斜し
て形成されたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、運転状況に応じて吸
・排気バルブのリフト量や開弁時期等を変化させること
ができる4サイクルエンジンの動弁装置に係り、特にロ
ッカアーム先端部同士の接触面の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車および自動二輪車等の車
両に搭載される4サイクルエンジンでは、燃焼室上方に
吸・排気バルブが配設されており、これらのバルブは動
弁装置によって駆動される。すなわち、上記動弁装置
は、エンジンのクランクシャフトに連動するカムシャフ
トを備え、このカムシャフトに形成されたカムによって
上記吸・排気バルブを所定のタイミングで上下動させて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記4サイ
クルエンジンは、低回転数域から中・高回転数域にかけ
ての広い回転数域内で高い出力が得られること、つまり
パワーバンドが広帯域であることが望ましい。
【0004】しかし、従来の動弁装置では、バルブの開
閉タイミングおよびリフト量が固定されているため、特
定のエンジン回転数域でピーク値を有する出力特性しか
得られず、したがって低回転数域の出力特性に重点を置
くか、もしくは中・高回転数域の出力特性に重点を置く
かの選択を余儀なくされる。
【0005】この発明は、上述の事情を考慮してなされ
たものであり、広い回転数域内で出力を向上させること
ができると共に、ロッカシャフトの回転要求トルクを増
大させることなく、低速用ロッカアームと中高速用ロッ
カアームとの姿勢変化量を拡大して、バルブリフトカー
ブ設定の自由度を高めることができる4サイクルエンジ
ンの動弁装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、回動可能に
支持されるとともにエキセントリック大径部が形成され
たロッカシャフトと、このロッカシャフトに直接嵌装さ
れて分岐先端部が形成された低速用ロッカアームと、こ
の低速用ロッカアームの両側に配置されて上記エキセン
トリック大径部に嵌装された中高速用ロッカアームと、
上記低速用ロッカアームおよび中高速用ロッカアームの
それぞれを作動し、それぞれ異なったカムプロフィール
が形成された低速用カムおよび中高速用カムと、を有
し、上記中高速用ロッカアームの先端部と上記低速用ロ
ッカアームの分岐先端部とが上下に重ね合され、このう
ち下方に位置した上記端部のロッカアーム接触面が、先
端へ向い下方へ傾斜して形成されたことを特徴とするも
のである。
【0007】
【作用】したがって、この発明に係る4サイクルエンジ
ンの動弁装置によれば、ロッカシャフトを所定角度回転
させてエキセントリック大径部を回転させることによ
り、上記中高速用ロッカアームのカムフロア面を低速用
ロッカアームのカムフロア面に対し上下方向に相対的に
位置変化させる。中高速用ロッカアームのカムフロア面
を低速用ロッカアームのカムフロア面に対し下方へ位置
変化させたときには、中高速用ロッカアームと中高速用
カムとの当接が解除され、低速用ロッカアームと低速用
カムとが当接して、4サイクルエンジンのバルブはこの
低速用カムにより駆動する。
【0008】また、中高速用ロッカアームのカムフロア
面を低速用ロッカアームのカムフロア面に対しほぼ上方
へまたは同一位置に位置変化させたときには、低速用ロ
ッカアームと低速用カムとの当接が解除され、中高速用
ロッカアームと中高速用カムとがそれぞれ当接して、4
サイクルエンジンのバルブはこの中高速用カムにより作
動する。このようにロッカシャフトを回動させることに
よるカムの選択によって、広い回転数域に亘りエンジン
出力を向上させることができる。
【0009】さらに、低速用ロッカアームと中高速用ロ
ッカアームとの上下に重ね合された先端部のうち、下方
に位置した上記端部のロッカアーム接触面が先端へ向っ
て下方へ傾斜して形成されたので、ロッカシャフトの回
動によりロッカアームとカムとの当接状態を変更して低
速用カムと中高速用カムとの作動を切り換えるカムの作
動切換時に、ロッカシャフト回動要求トルクを増大させ
ることなく、低速用ロッカアームと中高速用ロッカアー
ムとの姿勢変化量を拡大できる。この結果、中高速用カ
ムの低速用カムに対するカムプロフィールの差を拡大で
きるので、これらそれぞれのカムにより決定されるバル
ブリフトカーブ設定の自由度を高めることができる。
【0010】
【実施例】以下、この発明の一実施例を図面に基づいて
説明する。
【0011】図2は、この発明に係る4サイクルエンジ
ンの動弁装置の一実施例を示す斜視図である。
【0012】この動弁装置は、エンジンの1つのシリン
ダにおける吸気側と排気側にそれぞれ配設される。した
がって、図2に示すバルブ1,2は吸気または排気を行
なうために配置されている。
【0013】この一実施例は、低速用カム3を備えると
ともに、この低速用カム3の一側方および他側方にそれ
ぞれ配置された中高速用カム4および5を備えたカムシ
ャフト6と、これらのカム3,4および5のそれぞれの
下方に位置された低速用ロッカアーム7、中高速用ロッ
カアーム8および9と、これらのロッカアーム7,8お
よび9の支持部7a,8aおよび9aが嵌挿され、かつ
図示しないシリンダヘッドのロッカシャフト軸受部によ
って回動自在に支承されたロッカシャフト11と、を有
して構成される。
【0014】低速用ロッカアーム7の先端は2方に分岐
し、これらの両分岐先端部7bは、図示しないエンジン
の燃焼室を開閉する上記吸・排気バルブ1および2のス
テム頭部にそれぞれ当接可能に構成される。また、低速
用ロッカアーム7の支持部7aは、ロッカシャフト11
に直接嵌挿されて、回転可能に設けられる。
【0015】中高速用ロッカアーム8の支持部8aは、
ロッカシャフト11よりも大径の偏心ブッシュ12を介
して、ロッカシャフト11に対し回転可能に嵌挿され
る。この偏心ブッシュ12は、図4および図1に示す如
く、その軸心P,Qがロッカシャフト11の中心Oから
偏心しており、位置決め固定ピン10によってロッカシ
ャフト11に着脱自在に固定される。したがって、この
偏心ブッシュ12は、ロッカシャフト11におけるエキ
セントリック大径部として機能する。
【0016】図3に示す如く、中高速用ロッカシャフト
9の支持部9aも、上記偏心ブッシュ12と同一の形状
を有しかつ同一方向に偏心する偏心ブッシュ13を介し
て、ロッカシャフト11に対し回転可能に嵌挿される。
この偏心ブッシュ13も位置決め固定ピン10によりロ
ッカシャフト11に着脱自在に固定され、エキセントリ
ック大径部として機能する。
【0017】ここで、偏心ブッシュ12および13の軸
心Pは、厚肉頂部12aおよび13aが斜め内方へ位置
(図4)したエンジン低回転数域における軸心であり、
また、軸心Qは、厚肉頂部12aおよび13aが斜め外
方位置に位置(図1、図5)したエンジン中・高回転数
域における軸心である。
【0018】また、中高速用ロッカアーム8および9の
各先端部8bおよび9bの下面は、低速用ロッカアーム
7の一方および他方の分岐先端部7b上にそれぞれ当接
される。これらの低速用ロッカアーム7の分岐先端部7
bと中高速用ロッカアーム8および9の先端部8bおよ
び9bとの接触部分は、吸・排気バルブ1および2の略
軸線上に設定される。また、吸・排気バルブ1および2
のバルブステム頭部に有蓋円筒形状のシム14bが被冠
され、このシム14bに、低速用ロッカアーム7の分岐
先端部7b下面が当接する。このシム14bはバルブの
タペットクリアランス調整用に用いられる。
【0019】したがって、図4に示すように、低速用カ
ム3が低速用ロッカアーム7のカムフロア面7cを押下
して、その各分岐先端部7bを下降させた場合(低速用
カム3の作動時)、ロッカアーム8および9の各先端部
8bおよび9bは、重力によりこの分岐先端部7bに追
従して下降する。一方、図1および図5に示すように、
中高速用カム4および5が中高速用ロッカアーム8およ
び9のカムフロア面8cおよび9cをそれぞれ押下した
場合(中高速用カム4および5の作動時)には、これら
のロッカアーム8および9の先端部8bおよび9bが低
速用ロッカアーム7の各分岐先端部7bを押下すること
から、この分岐先端部7bが強制的に下降される。
【0020】また、前記カム3,4および5のうち、中
高速用カム4および5は同一のカムプロフィールを有
し、また低速用カム3はこれらの中高速用カム4および
5のカムプロフィールとは異なるカムプロフィールを有
する。つまり、低速用カム3は、エンジンが低回転数域
で運転されているときに適したバルブリフト量および開
閉タイミングが得られるようにそのカムプロフィールが
設定される。また、中高速用カム4および5は、エンジ
ンが中・高回転数域で運転されているときに適したバル
ブリフト量および開閉タイミングが得られるようにその
カムプロフィールが設定される。
【0021】上記バルブリフト量は、吸・排気バルブ1
および2のストローク長であり、カムプロフィールによ
って決定される。図6には、低速用カム3のカムプロフ
ィールにより決定されるバルブリフトカーブを実線A
(バルブリフト量la)で示し、また中高速用カム4お
よび5のカムプロフィールにより決定されるバルブリフ
トカーブを破線B(バルブリフト量lb)で示してい
る。この図6から明らかなように、中高速用カム4およ
び5は、低速用カム3よりも大きなバルブリフト量が得
られるようにそのカムプロフィールが設定されている。
ここで、バルブリフト量の差h(h=lb−la)は、
図1に示す低速用カム3と中高速用カム4および5との
カムプロフィールの差Hに対応する。
【0022】ところで、図2に示すように、ロッカシャ
フト11の回動は、エンジンからの油圧によって作動す
るロッカシャフト回動駆動源としての油圧シリンダ15
によってなされる。この油圧シリンダ15のピストン
(図示せず)にラック16が連結され、このラック16
が、ロッカシャフト11の一端部に形成されたピニオン
17に噛み合される。また、油圧シリンダ15には、低
速用油圧ポート18および高速用油圧ポート19がそれ
ぞれ設けられ、それぞれのポート18,19に選択的に
エンジンからの油圧が導かれる。
【0023】エンジン回転数が低回転数域にあるときに
は、低速用油圧ポート18へ油圧が供給され、ラック1
6は引き戻され、ピニオン17は矢印M方向(図2)に
回転されて、偏心ブッシュ12および13は図4に示す
ように、その厚肉頂部12aおよび13aが斜め内方へ
位置するよう回動する。また、エンジン回転数が中・高
回転域にあるときには、中高速用油圧ポート19へ油圧
が供給されて、ラック16は押し出され、ピニオン17
は矢印N方向(図2)へ回動されて、偏心ブッシュ12
および13は図1および図5に示すように、その厚肉頂
部12aおよび13aが斜め外方へ位置するよう回動す
る。このように、ロッカシャフト11は、油圧シリンダ
15、ラック16およびピニオン17の作動により、偏
心ブッシュ12および13の軸心P,Qが常時ロッカシ
ャフト11の上半側を移動するよう構成される。
【0024】さて、図1に示すように、中高速用ロッカ
アーム8および9の先端部8bおよび9bよりも下方に
位置した低速用ロッカアーム7の分岐先端部7bには、
その上面にロッカアーム接触面20が形成される。この
ロッカアーム接触面20上に、中高速用ロッカアーム8
および9の先端部8bおよび9bが直接接触して載置さ
れる。このロッカアーム接触面20は、分岐先端部7b
の先端へ向い下方へ傾斜する湾曲面として構成される。
つまり、図1に示すように、中高速用ロッカアーム8お
よび9をエンジン低速回転時における位置(図1の二点
鎖線で表示)からエンジン中高速回転時における位置
(図1の実線で表示)まで移動させるべく、ロッカシャ
フト11を矢印N方向へ回動させたとき、偏心ブッシュ
12および13の厚肉頂部12aおよび13aは、斜め
前方位置(このときの偏心ブッシュ12および13の軸
心P)から思案点CPを通過して斜め後方位置(このと
きの偏心ブッシュ12および13の軸心Q)へ移動す
る。この厚肉頂部12aおよび13aが斜め前方位置か
ら思案点CPへ至るまでの間に中高速用ロッカアーム8
bおよび9bが移動する範囲において、低速用ロッカア
ーム7の分岐先端部7bにおける上記ロッカアーム接触
面20は、曲率Rの湾曲面に形成されている。
【0025】一般に、低速用カム3により決定されるバ
ルブリフトカーブ(バルブリフト量、バルブタイミン
グ)A(図6)と、中高速用カム4および5により決定
されるバルブリフトカーブB(図6)とは、それぞれの
エンジン回転数に最適となるよう決定するのが望まし
い。そのためには、それぞれのバルブリフトカーブA,
Bのバルブリフト量la,lbの差h(h=la−l
b)を大きくすることが要求される。この差hは、低速
用カム3と中高速用カム4および5とのそれぞれのカム
プロフィールの差Hに対応するので、バルブリフト量の
差hを大きく設定するにはカムプロフィールの差Hを大
きく設定する必要がある。
【0026】カムプロフィールの差Hを大きく設定する
には、中高速用ロッカアーム8および9が低速用ロッカ
アーム7に対して変位する姿勢変位量Kを大きくしなけ
ればならない。何故なら、カムプロフィールの差Hと中
高速用ロッカアーム8および9の姿勢変位量Kとの間に
はK>Hなる制約があるからであり、その理由は次の通
りである。つまり、エンジン低速回転域においては、図
1の二点鎖線に示すように、中高速用ロッカアーム8お
よび9が低速用ロッカアーム7に対し相対的に下方へ変
位し、低速用カム3が低速用ロッカアーム7のカムフロ
ア面7cに当接して低速用カム3が作動するが、このと
き中高速用カム4および5が中高速用ロッカアーム8お
よび9のカムフロア面8cおよび9cに当接してはなら
ないから、上記制約K>Hがあるのである。
【0027】そこで、中高速用ロッカアーム8および9
の低速用ロッカアーム7に対する姿勢変化量Kを大きく
する手段として、低速用ロッカアーム7の分岐先端部7
bにおけるロッカアーム接触面20を、偏心ブッシュ1
2および13の厚肉頂部12aおよび13aが斜め前方
から思案点CPへ至るまでの範囲において、分岐先端部
7bの先端へ向い、下方へ傾斜した曲率Rの湾曲面に構
成しているのである。
【0028】このとき、ロッカシャフト11の回動要求
トルクは図8に示す曲線になり、ロッカシャフト回動角
0°が偏心ブッシュ12および13の斜め前方位置(中
高速用ロッカアーム8および9のエンジン低速回転時に
おける位置)であり、ロッカシャフト回転角140°が
偏心ブッシュ12および13の斜め後方位置(中高速用
ロッカアーム8および9のエンジン中高速回転時におけ
る位置)である。ロッカシャフト回動角125〜130
°が、偏心ブッシュ12および13の思案点(CP)位
置である。低速用ロッカアーム7における分岐先端部7
bのロッカアーム接触面20を上述のように構成する
と、偏心ブッシュ12および13の斜め前方位置から思
案点CPへ至るまでの間、ロッカシャフト11の回動要
求トルクが図8に示すように上に凸になるが、思案点に
おける最大値を超えることはない。
【0029】次に、作用効果を説明する。
【0030】エンジンが低回転数域にあるときに、油圧
シリンダ15の作動によってロッカシャフト11が図2
の矢印M方向に回動すると、偏心ブッシュ12および1
3のそれぞれの厚肉頂部12aおよび13aが斜め内方
に位置する(図4)。これにより、中高速用ロッカアー
ム8および9のカムフロア面8cおよび9cが低速用ロ
ッカアーム7のカムフロア面7cに対し相対的に下方へ
移動する。したがって、中高速用カム4および5の周面
と中高速用ロッカアーム8および9のカムフロア面8c
および9cとの間に隙間が形成されることになり、その
結果、中高速用カム4および5は空転する。
【0031】また、このとき、低速用ロッカアーム7
は、バルブスプリング21の付勢力によってロッカシャ
フト11の軸心Oを中心として常時上方へ押し上げられ
ているので、そのカムフロア面7cが低速用カム3の周
面と当接する。したがって、カムシャフト6が回転する
と、吸・排気バルブ1および2は図6に示した低速用カ
ム3のリフト特性Aに基づいて上下動する。つまり、バ
ルブ1および2は、エンジン低回転数域に適したバルブ
リフト量を確保しつつ、燃焼室を開閉する。
【0032】一方、エンジンが中・高回転域にあるとき
に、油圧シリンダ15の作動によってロッカシャフト1
1が図2の矢印N方向に回転すると、偏心ブッシュ12
および13のそれぞれ厚肉頂部12aおよび13aが斜
め外方に位置する(図1および図5)。これにより、中
高速用ロッカアーム8および9のカムフロア面8cおよ
び9cが低速用ロッカアーム7のカムフロア面7cに対
して相対的に略上方または同一位置まで移動し、このカ
ムフロア面8cおよび9cがそれぞれ中高速用カム4お
よび5の周面に当接する。
【0033】ここで、図6に示したように、中高速用カ
ム4および5は低速用カム3よりもカムリフト量が大き
く形成されているので、図1および図5に示す状態下で
カムシャフト6が回転された場合、低速用カム3は空転
し、一方、中高速用カム4および5がそれぞれ中高速用
ロッカアーム8および9を介して、図6のリフト特性B
に基づき吸・排気バルブ1および2を駆動する。この結
果、吸・排気バルブ1および2は、エンジンの中・高回
転数域に適したバルブリフト量を確保しつつ、燃焼室を
開閉する。
【0034】上記実施例によれば、低速用カム3にエン
ジンの低回転数域に適したカムプロフィールが形成さ
れ、中高速用カム4および5にエンジンの中・高回転数
域に適したカムプロフィールが形成され、さらにロッカ
シャフト11の偏心ブッシュ12および13に中高速用
ロッカアーム8および9をそれぞれ回動自在に嵌挿し、
ロッカシャフト11に直接低速用ロッカアーム7を嵌挿
して、ロッカシャフト11の回動により、低速用カム3
と低速用ロッカアーム7との当接、中高速用カム4およ
び5と中高速用ロッカアーム8および9とのそれぞれの
当接を選択できるので、バルブ1および2を低速用カム
3あるいは中高速用カム4,5にて選択的に駆動させる
ことができる。したがって、エンジンの低回転数域から
中・高回転数域にかけての広い回転数域で、4サイクル
エンジンの出力を向上させることができる。
【0035】また、低速用カム3、中高速用カム4およ
び5の選択を偏心ブッシュ12および13の回動によっ
て行なっているので、カム3,4,5の選択時に各部に
大きなストレスが生ずることがない。このため、カム
3,4,5をスムーズに選択することができる。
【0036】さらに、低速用ロッカアーム7の分岐先端
部7bにおけるロッカアーム接触面20が、偏心ブッシ
ュ12および13の厚肉頂部12aおよび13aが斜め
前方にある位置から思案点CPへ至る範囲において、分
岐先端部7bの先端へ向い下方へ傾斜した湾曲面に構成
されたので、ロッカシャフト11の回動要求トルクを増
大させることがなく、低速用ロッカアーム7と中高速用
ロッカアーム8および9との姿勢変化量Kを拡大でき
る。この結果、中高速用カム4および5の低速用カム3
に対するカムプロフィールの差Hを拡大できるので、そ
れぞれのカムにより決定されるバルブリフトカーブ設定
の自由度を高めることができる。しかも、ロッカシャフ
ト回動要求トルクが過大とならないので、油圧シリンダ
15の大型化を招くこともない。
【0037】図9はこの発明の他の実施例における4サ
イクルエンジンの動弁装置の図1に対応した側面図であ
る。
【0038】この他の実施例では、低速用ロッカアーム
7の分岐先端部7b1 の上面がその先端へ向い下方へ傾
斜し、この傾斜面22にシム14aが嵌合される。この
シム14aの上面も、分岐先端部7b1 の先端へ向い下
方へ傾斜した平坦面として構成される。この傾斜角度α
は、バルブ1,2の軸線に垂直な平面(S)に対する角
度として設定される。上記シム14aの上面が、中高速
用ロッカアーム8および9の先端部8bおよび9bに接
触するロッカアーム接触面23として構成される。
【0039】このようにロッカアーム接触面23が、バ
ルブ1,2の軸線に対する垂直平面Sに対し角度αだけ
傾斜して形成されたので、中高速用ロッカアーム8およ
び9をエンジン低速回転時における位置(図9の二点鎖
線表示)からエンジン中高速回転時における位置(図9
の実線表示)へと移動させたときの、低速用ロッカアー
ム7に対する姿勢変化量K1 を拡大できる。この結果、
中高速用カム4および5の低速用カム3に対するカムプ
ロフィールの差を拡大でき、バルブリフトカーブの設定
の自由度を高めることができる。
【0040】図10は、この発明のさらに他の実施例に
おける4サイクルエンジンの動弁装置の図1に対応した
部分側面図である。
【0041】このさらに他の実施例では、低速用ロッカ
アーム7の分岐先端部7b2 の上面25は、バルブ1,
2の軸線に対し垂直に形成され、この上面25にシム2
4が嵌合される。このシム24の頭部上面は半球形状に
形成されて、ロッカアーム接触面26として構成され
る。したがって、中高速用ロッカアーム8および9がエ
ンジン低速回転時における位置(図10の二点鎖線表
示)からエンジン中高回転時における位置(図10の実
線表示)へ移動する間に低速用ロッカアーム7に対する
姿勢変化量K2 を大きくでき、この結果、中高速用カム
4および5の低速用カム3に対するカムプロフィールの
差を拡大できるので、バルブリフトカーブ設定の自由度
を高めることができる。
【0042】なお、上記各実施例では、中高速用カム4
および5のカムプロフィールが図6の破線Bに示すもの
である場合につき述べたが、この中高速用カム4および
5のカムプロフィールを図7の破線B′に示すものとし
て、エンジンの中・高回転時におけるバルブ1および2
のリフトを変更してもよい。
【0043】また、上記各実施例では、ロッカシャフト
11の回転駆動源として油圧シリンダ15を用いる場合
につき説明したが、この回転駆動源としてモータを用
い、プーリおよびベルト等の動力伝達手段によってロッ
カシャフト11を回転駆動させるようにしてもよい。
【0044】
【発明の効果】以上のように、この発明に係る4サイク
ルエンジンの動弁装置によれば、回動可能に支持された
ロッカシャフトにエキセントリック大径部が形成され、
一対の中高速用ロッカアームがこのエキセントリック大
径部に嵌挿されると共に、低速用ロッカアームが一対の
中高速用ロッカアームの間に配置されて直接ロッカシャ
フトに嵌挿されたことから、ロッカシャフトの回動によ
る上記カムの選択によって、広い回転数域に亘りエンジ
ン出力を向上させることができる。
【0045】また、中高速用ロッカアームの先端部と低
速用ロッカアームの分岐先端部とが上下に重ね合され、
このうち下方に位置した上記端部のロッカアーム接触面
が先端へ向い下方へ傾斜して形成されたことから、ロッ
カシャフト回動要求トルクを増大させることなく、低速
用ロッカアームと中高速用ロッカアームとの姿勢変化量
を拡大して、バルブリフトカーブ設定の自由度を高める
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図5の動弁装置を拡大して示す側面図。
【図2】この発明に係る4サイクルエンジンの動弁装置
の一実施例を示す斜視図。
【図3】図2の動弁装置の平面図。
【図4】図2の動弁装置の低速用カム作動状態を示す動
作状態図。
【図5】図2の動弁装置の中高速用カムの作動状態を示
す動作状態図。
【図6】図1および図2等に示すカムのカムプロフィー
ルを示す図。
【図7】図6に示すカムプロフィールの変形例を示すグ
ラフ。
【図8】図2の動弁装置におけるロッカシャフト回動要
求トルクとロッカシャフト回動角との関係を示すグラ
フ。
【図9】この発明の他の実施例における4サイクルエン
ジンの動弁装置の図1に対応した側面図。
【図10】この発明のさらに他の実施例における4サイ
クルエンジンの動弁装置の図1に対応した部分側面図。
【符号の説明】
1,2 吸・排気バルブ 3 低速用カム 4,5 中高速用カム 7 低速用ロッカアーム 7b 分岐先端部 8,9 中高速用ロッカアーム 8b,9b 先端部 11 ロッカシャフト 12,13 偏心ブッシュ 15 油圧シリンダ 20,23,26 ロッカアーム接触面 A 低速用カムのカムプロフィール B 中高速用カムのカムプロフィール

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回動可能に支持されるとともにエキセン
    トリック大径部が形成されたロッカシャフトと、このロ
    ッカシャフトに直接嵌装されて分岐先端部が形成された
    低速用ロッカアームと、この低速用ロッカアームの両側
    に配置されて上記エキセントリック大径部に嵌装された
    中高速用ロッカアームと、上記低速用ロッカアームおよ
    び中高速用ロッカアームのそれぞれを作動し、それぞれ
    異なったカムプロフィールが形成された低速用カムおよ
    び中高速用カムと、を有し、上記中高速用ロッカアーム
    の先端部と上記低速用ロッカアームの分岐先端部とが上
    下に重ね合され、このうち下方に位置した上記端部のロ
    ッカアーム接触面が、先端へ向い下方へ傾斜して形成さ
    れたことを特徴とする4サイクルエンジンの動弁装置。
  2. 【請求項2】 上記ロッカアーム接触面は、先端へ向い
    下方へ傾斜する湾曲面として形成された請求項1記載の
    4サイクルエンジンの動弁装置。
  3. 【請求項3】 上記ロッカアーム接触面は、先端へ向い
    下方へ傾斜する平坦面として形成された請求項1記載の
    4サイクルエンジンの動弁装置。
  4. 【請求項4】 上記ロッカアーム接触面は、上記下方に
    位置した端部に嵌装されたシムの頭部上面であり、この
    シムの頭部上面が半球面形状に形成された請求項1記載
    の4サイクルエンジンの動弁装置。
JP22606591A 1991-09-05 1991-09-05 4サイクルエンジンの動弁装置 Pending JPH0565815A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06307219A (ja) * 1993-04-28 1994-11-01 Toyota Motor Corp 内燃機関の可変動弁機構
JPH08100613A (ja) * 1994-09-30 1996-04-16 Unisia Jecs Corp エンジンの弁作動装置
JPH08270422A (ja) * 1995-03-31 1996-10-15 Nissan Motor Co Ltd 内燃機関の可変動弁装置
JP2019027319A (ja) * 2017-07-27 2019-02-21 株式会社オティックス 内燃機関の可変動弁機構

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