JP3053195B2 - 被駆動船 - Google Patents

被駆動船

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、ジェット推進艇などにより駆動されて水
上での遊覧の基地として利用する被駆動船に関するもの
である。
〔従来の技術〕
従来、エンジン付きの小型船舶であって水上を滑走す
るようにした小型ジェット推進艇などの小型船舶が広く
用いられている。この推進艇は高速で水上を滑走し、種
々の運動を行なわせるものである。
〔発明が解決しようとする課題〕
この推進艇は小型で荷物などを乗せる余裕がないため
に、遠方へ航走する際には別の荷船などのような被駆動
船を曳航する必要が生じる。そしてこの被駆動船は、推
進艇の種々の運動に対して安定して曳航されることが必
要である。
ところが、両者を単にロープで連結すると被駆動船に
推進艇と同じ運動をさせることができず、急旋回や停止
時に被駆動船が推進艇に衝突するなどの問題がある。ま
た連結構造として、陸上のトレーラのような急旋回時や
急停止時のいわゆるジャックナイフ現象が生じるのを防
止するようにすることも必要である。
この発明はこのような従来の課題を解決するためにな
されたものであり、ジェット推進艇などにより安定して
駆動され、水上での遊覧の基地として利用することがで
きる被駆動船を提供することを目的とするものである。
〔課題を解決するための手段〕
この発明は、船尾に、船体後方に向かって開口する凹
部からなる押し船挿入部が船体長手方向の中心線上に設
けられ、この押し船挿入部の底部には、押し船挿入部の
前壁から後方に延びる底壁が形成されると共に、押し船
の押し船側水導入口に対応する被駆動船側水導入口が開
口されて、この被駆動船側水導入口の後端部が上記底壁
で閉じられて、この底壁が上記被駆動船側水導入口の後
端縁よりも後方に延びていると共に、この被駆動船側水
導入口に押し船側水導入口が周縁部分から空気を吸込ま
ないように密着しているものである。
上記構成では、押し船を被駆動船の凹部中に挿入した
状態で駆動することができるために、推進抵抗が小さい
状態で被駆動船を駆動することができる。また、押し船
挿入部の底部に形成した底壁に、押し船の押し船側水導
入口に対応する被駆動船側水導入口を開口すると共に、
被駆動船側水導入口に押し船側水導入口が周縁部分から
空気を吸込まないように密着しているために、押し船の
押し船側水導入口に確実に水を導くことができるととも
に、底壁の存在によって、推進抵抗が一層小さい状態で
被駆動船を駆動することができる。
〔実施例〕
第1図〜第3図において、被駆動船1は前部フロアー
1aと側部フロアー1cとにより平面形状がU字形のフロア
ーが形成され、両側部フロアー1c間には船幅方向中央部
に、船尾に開口する凹部からなる押し船挿入部18が形成
され、両側部フロアー1cの外側にはブルワーク15、内側
には立壁16が形成されている。このブルワーク15上には
手摺15aが設けられ、また前部フロアー1aの前側には船
首フロアー1dが形成されてここに物入れ11が形成されて
いる。前部フロアー1aには前部座席12が配置され、側部
フロアー1cには側部座席13、14がそれぞれ配置され、こ
の側部座席14の少なくとも一方が後述のように押し船運
転用の座席となる。またこの押し船挿入部18の前端部に
は押し船(駆動船)2を結合するための結合手段4が設
けられている。上記押し船挿入部18の底壁は、左右一対
の傾斜面から構成されて後面視(第3図参照、第17図、
第23図、第25図も同じ。)が略V形に形成され、この傾
斜面には、押し船2の底壁に形成された凸部2gが係合す
るよう下方に突出する左右一対の凸部18gが形成されて
いる。
上記押し船挿入部18には押し船2が挿入されてその前
端部で結合手段4により結合され、後部付近では締付け
ベルト19により締付けられている。この締付けベルト19
は押し船挿入部18に取付けられ、締め具19aにより締付
けることにより押し船2を押し船挿入部18中に固定させ
るようにしている。この押し船2の結合状態で、押し船
2の船尾部を除くほぼ全体の周縁部が押し船挿入部18に
沿い、かつ座席14上の人10が押し船2の操作ハンドル21
を握って押し船2を操船できるようにしている。
また押し船挿入部18の前端部には、ウインチ3が基台
30上に設置され、第4図〜第6図に示すように、ロープ
33の先端部のフック33aを押し船2の前端部の金具2aに
係止させ、被駆動船1の固定部17に取付けた係止具41を
介してこのロープ33をウインチ3に導き、ハンドル31で
ロープ33を巻き上げることにより押し船2を引き込んで
いる。この状態で押し船2の周縁部は押し船挿入部18の
凹部18aに嵌入され、この凹部18aに取付けたクッション
材23を介して圧着されている。この押し船挿入部18の凹
部18aの前壁(第6図にほぼ垂直に描かれた壁)が、押
し船2の最先端面が当接する当接面を形成している。
上記押し船2は、船底部から水を吸引して船尾からデ
ィフレクタを通して後方の所定方向に噴射させるように
したジェット推進艇で構成され、第7図および第8図に
示すように、このジェット推進艇の水導入口に対応する
水導入口20が上記押し船挿入部18に形成され、この水導
入口20の周縁部にはパッキン20aが取付けられてこの部
分から空気が吸込まれないようにしている。
第9図および第10図は、被駆動船1を沖合などで使用
する例を示し、左舷側の前部座席12と側部座席13,14と
を展開してベッドとして利用した例を示している。右舷
側は座席14を運転席用として利用するようにしている
が、右舷側も左舷側と同様に座席12,13,14を展開しても
よい。
第11図〜第13図は被駆動船1の他の使用例を示し、押
し船挿入部18の前側にポールホルダ51を設け、このポー
ルホルダ51にビーチパラソル5のポール50の下端部を挿
入してノブ52で固定し、これによって被駆動船1を沖合
で停泊させた際の座席12,13上の人用に日陰を作ってい
る。
第13図〜第15図は被駆動船1のさらに別の使用例を示
し、押し船挿入部18の後端開口部にはネット6を取付
け、押し船挿入部18中に子供用の遊び場を形成してい
る。このネット6は、周縁部のフック61を船尾板1eおよ
び船底板(押し船挿入部18の底壁)の穴1fに係止するこ
とにより容易に着脱できるようにしている。押し船挿入
部18の底部は喫水線90より下側に位置するために、被駆
動船1の喫水を調整することにより押し船挿入部18中を
プールとして利用することも可能である。
第16図〜第18図は被駆動船1のさらに別の使用例を示
し、上記両側の立壁16上に複数個の蓋7を設置して押し
船挿入部18上を覆っている。この蓋7は互いにヒンジ71
で連結され、仮想線に示すように折畳んだ状態で収納で
きるようにしている。このようにすると、被駆動船1を
沖合で停泊させた際にこの蓋7上をテーブルとして利用
することができる。
第19図〜第22図は被駆動船1のさらに別の使用例を示
し、両側の立壁16間にビーム8が取付けられ、このビー
ム8に対して船外機80が取付けられている。すなわち立
壁16には、第22図に示すように凹部16aが形成され、こ
の凹部16aにビーム8の両端部が嵌入されて押え部材16c
およびボルト16dで固定され、また船外機80はその下端
部のプロペラ81が上記水導入口20を貫通して船底下に突
出している。これによって被駆動船1を押し船2を使用
せずに単独で航走できるようにしている。
第23図〜第25図は被駆動船1に押し船2を連結させる
過程を示し、まず第23図に示すように押し船2を被駆動
船1に横付けし、ウインチ3からロープ33を伸ばしてそ
の先端部のフック33aを押し船2の前端部の金具2aに係
止させ、ウインチ3のハンドル31でロープ33を巻き上げ
ることにより係止具41(第4図、第5図参照)を介して
このロープ33をウインチに巻き込み、押し船2を第24図
の状態から第25図に示すように押し船挿入部18中に引込
む。
上記ウインチ3によって押し船2を一杯に引き込んだ
後、第1図〜第3図に示すように締付けベルト19により
押し船2を固定させる。この状態で押し船2の水導入口
が押し船挿入部の水導入口20と合致する。そして適宜の
人数の人が被駆動船1に乗るとともに、人10が第2図に
示すように側部座席14に腰掛けて操作ハンドル21を握っ
て操作することにより船底の水導入口20から水を吸引
し、船尾のディフレクタから水を後方の所定方向に噴射
させて推進および旋回を行なわせるようにしている。
この連結状態での航走では、押し船2はそのほぼ全体
が押し船挿入部18中に挿入されているために、接水面は
被駆動船1のみの船底板となり、押し船2の接水面はほ
とんどないために、全体としての接水面は小さくかつ滑
かとなり、このため推進抵抗が小さいという利点があ
る。また押し船2の操船者は被駆動船1に乗ったままで
よいために、押し船2に乗って操船する場合のように水
に濡れるというおそれがない。
被駆動船1を沖合の所定の場所に移動させた後、上記
第23図〜第25図に示す過程と逆に押し船2を押し船挿入
部18から引き出し、押し船2を単独で航走させて遊ぶこ
とができる。また被駆動船1上の人は、船上から釣りを
したり、あるいは被駆動船1を基地として周辺で泳いだ
りすることができ、その出入りは押し船挿入部18の後部
開口部を利用すれば、非常に容易に行なうことができ
る。また第9図〜第10図に示すようにベッドを作り、第
11図〜第13図に示すようにビーチパラソルを設置し、第
13図〜第15図に示すようにネット6を設置して押し船挿
入部18中を子供の遊び場とし、第16図〜第18図に示すよ
うに押し船挿入部18上にテーブルを形成し、あるいは第
19図〜第21図に示すように船外機80を取付けて自走する
などの種々の楽しみ方をすることができる。
〔発明の効果〕
以上説明したように、この発明によれば、押し船を被
駆動船の凹部中に挿入した状態で駆動することができる
ために、推進抵抗が小さい状態で被駆動船を駆動するこ
とができる。また、押し船挿入部の底部に形成した底壁
に、押し船の押し船側水導入口に対応する被駆動船側水
導入口を開口すると共に、被駆動船側水導入口に押し船
側水導入口が周縁部分から空気を吸込まないように密着
しているために、押し船の押し船側水導入口に確実に水
を導くことができるとともに、底壁の存在によって、推
進抵抗が一層小さい状態で被駆動船を駆動することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の実施例を示す艇体全体の部分切欠き
側面図、第2図はその平面図、第3図はその背面図、第
4図は押し船結合部の拡大水平断面図、第5図および第
6図はそれぞれ第4図のV−V線およびVI−VI線断面
図、第7図は押し船取外し状態の第2図相当図、第8図
はその水取入れ部の斜視図、第9図は座席展開状態の第
2図相当図、第10図はその側面図、第11図は水上での使
用状態の1例を示す側面図、第12図はそのポール取付け
部の拡大側面図、第13図は押し船挿入部の利用例を示す
平面図、第14図はその背面図、第15図は第14図のネット
取付け部の水平断面図、第16図は押し船挿入部の他の利
用例を示す平面図、第17図はその背面図、第18図はその
蓋の結合部の断面図、第19図は押し船挿入部に船外機を
取付けた状態の平面図、第20図はその側面図、第21図は
その背面図、第22図はそのビーム取付け部の分解斜視
図、第23図〜第25図は被駆動船に押し船を結合させる過
程を示す平面説明図である。 1,100,101…被駆動船、1a…前部フロアー、1c…側部フ
ロアー、2…押し船(駆動船)、3…ウインチ、4…結
合手段、12…前部座席、13,14…側部座席、18,180,181
…押し船挿入部、20…水導入部(被駆動船側水導入
口)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−28088(JP,A) 特開 昭63−28787(JP,A) 特開 昭52−15083(JP,A) 特開 昭54−33490(JP,A) 特開 昭47−40789(JP,A) 特開 昭56−2283(JP,A) 特開 昭49−124794(JP,A) 実開 昭63−119198(JP,U) 実開 昭52−66097(JP,U) 特公 昭44−18143(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B63B 21/56 B63B 35/73 B63H 11/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】船尾に、船体後方に向かって開口する凹部
    からなる押し船挿入部が船体長手方向の中心線上に設け
    られ、この押し船挿入部の底部には、押し船挿入部の前
    壁から後方に延びる底壁が形成されると共に、押し船の
    押し船側水導入口に対応する被駆動船側水導入口が開口
    されて、この被駆動船側水導入口の後端部が上記底壁で
    閉じられて、この底壁が上記被駆動船側水導入口の後端
    縁よりも後方に延びていると共に、この被駆動船側水導
    入口に押し船側水導入口が周縁部分から空気を吸込まな
    いように密着していることを特徴とする被駆動船。
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