JP2526134Y2 - 小型ジェット推進艇のデッキ構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） この考案は小型ジェット推進艇のデッキ機構に関す
る。

（従来の技術） 水上を滑走する小型舟艇としてジェット推進機を搭載
した小型ジェット推進艇がある。このジェット推進艇
は、第８図に示すように艇体１のデッキの前後方向中央
に跨座式のシート２があってその前方にハンドル３が設
けられ、シート２の左右はフートステップ部4,4とされ
ている。

一方、このような小型ジェット推進艇は、ライダーが
落水することを前提としているため落水時にはい上りや
すくすることを目的として艇尾形状もフートステップ4,
4と同一面とされている。

（考案が解決しようとする課題） 従来のデッキ構造であると、フートステップ部4,4は
低い位置にあるため常に水にひたされた状態におかれ、
ライダーの足は水漏れ状態となってしまい、水に漏れて
もよい服装でないと乗ることができない。またフートス
テップ部4,4および艇尾が低いので浮力が小さく、転覆
しやすい。さらにライダーが水に落ちたとき艇体１に乗
り移ろうとしても手掛りがないので乗りにくく、腕力だ
けに頼ることになって乗り込みが容易でない。

この考案は、艇体の浮力を増すと共にフートステップ
部をドライな状態におくことができ、かつ落水時に艇体
への乗り込みが容易であり、必要時に補機として船外機
の装着を可能とした小型ジェット推進艇のデッキ構造を
提供することを目的とするものである。

〔考案の構成〕

（課題を解決するための手段） 上記従来の技術が有する課題を解決するための手段と
してこの考案に係る小型ジェット推進艇のデッキ構造
は、エンジンの回転によりポンプユニットを駆動し、艇
尾側下部に配設したノズルから高圧水を噴射することに
より艇体を推進させるジェット推進機を有する小型ジェ
ット推進艇において、艇体１のフートステップ部4,4の
艇側5,5をフートステップ部4,4の上面より高く形成する
とともに艇尾にフートステップ部4,4より上方に立上る
トランサムボード６を前記ノズル11の上方にボード下端
のヒンジ７を介して開閉自在に設け、上記トランサムボ
ード６を開くと外方へヒンジ廻りに回動してボード上端
が下方に垂れ下がって前記ノズル11を覆う一方、上記ト
ランサムボード６に下方に展開可能な様子８を設け、前
記トランサムボード６を開いたとき、艇体１の艇尾部分
が所要幅切り欠かれてフートステップ部4,4が後方に開
口したものである。

（作用） 小型ジェット推進艇のデッキ構造は、上述したように
構成したので、落水時にトランサムボードを開くと、ト
ランサムボードは外方へ回動してボード上端が下方に垂
れ下がってトランサムボードの下方に梯子が展開され、
艇尾部分が所要幅切り欠かれてフートステップ部が後方
に開口するので、この開口およびトランサムボードの梯
子を利用し、トランサムボードに手あるいは足をかけて
スムーズかつ容易に登ることができ、艇体への乗り込み
が容易となる。

また、トランサムボードを開いたとき、トランサムボ
ードがジェット推進機のノズルを覆う一方、さらにトラ
ンサムボードを開いた状態で梯子を下方に展開可能に設
けたので、ジェット推進機のノズルからの噴流がトラン
サムボードで阻止され、乗り込みの妨げにならないのみ
ならず、上記ノズルを船尾に配設してトランサムボード
の高さを大きくできない船艇でも、梯子が水中深く展開
しているので、乗り込みがより一層容易となる。

さらに、艇体の後尾にトランサムボードが立上ってお
り、艇体のフートステップ部は艇側とトランサムボード
とで囲まれるので艇体の浮力が増すと同時にフートステ
ップ部の水漏れが防がれる。トランサムボードに船外機
をクランプして補機として使用することもできる。

（実施例） この考案に係る小型ジェット推進艇のデッキ構造の一
実施例を第１図ないし第７図を参照して説明する。第８
図に示す従来の小型ジェット推進艇のデッキ構造と共通
する部分には同一符号を付して説明を省略する。

第１図に示すように小型ジェット推進艇の艇体１の前
後方向中央にあるシート２の左右両側にフートステップ
部4,4があり、艇側5,5は後尾両側までフートステップ部
4,4の上面より高く形成されており、艇尾部分は切り欠
かれて開口しており、この切欠部分がトランサムボード
６で閉鎖されるようになっている。

第１図ないし第４図に示す実施例は、トランサムボー
ド６を開閉可能としたもので、第３図および第４図示の
ようにトランサムボード６の下端がヒンジ７により艇体
１に枢着され、艇体１の外方へ回動自在とされており、
トランサムボード６が開いて外方へヒンジ廻りに回動
し、トランサムボード６の上端が下方に垂れ下がるよう
になっている。

このトランサムボード６の内面側上端には、パイプ等
で矩形状に形成された足掛け用の梯子８の一辺がヒンジ
９により取付けられ、トランサムボード６を開いたと
き、梯子８は水中に深く垂れ下がり、艇体１上へはい上
る際に足を梯子８に掛け易く、簡単かつ容易に艇体１へ
乗り込むことができるようになっている。

図において10,10はトランサムボード６を立てたとき
その状態に固定するための固定具で、トランサムボード
６に左右方向へ突出するようスライド自在とされ、トラ
ンサムボード６を起して固定具10,10を艇体１の図示し
ない係合穴等へ係合させることによりトランサムボード
６が固定されるようになっている。なおこのトランサム
ボード６を固定したときその周囲から水が侵入しないよ
う適宜なシール材が設けられる。11はジェット推進機の
ノズルである。

したがって、トランサムボード６を利用して第２図に
示すように補機としての船外機12のクランプブラケット
13を係合して取付けることができる。

第５図ないし第７図示の実施例は、トランサムボード
６に船外機12を取付けるときジェット推進機のノズル11
の正面に船外機12が位置されるとジェット噴流の妨げと
なるため右または左にオフセットする必要があること、
およびジェット推進機が故障した場合に船外機12を中央
に位置させる必要があることにより、船外機12を左右方
向にスライドさせての取付位置の変更を容易にしたもの
である。そのため第６図示のようにトランサムボード６
の上端に滑り板14が、内側上部にＣ形断面のスライドガ
イド15がそれぞれ取付けられ、さらにトランサムボード
６の外面に滑り止め17が設けられている。

したがってトランサムボード６に船外機12のクランプ
ブラケット13を引掛けたときクランプブラケット13の上
部下面が滑り板14に当り、クランプスクリュー18が端部
のプレート１をスライドガイド15に嵌めるようにすれ
ば、船外機12はトランサムボード６にそって左右にスラ
イドさせることができ、任意の位置でクランプスクリュ
ー18を締めつければ船外機12をその位置で固定すること
ができる。その結果、ジェット推進機が故障した場合に
水上の不安定な状況下であっても船外機12を落したりす
ることなく容易に位置替え作業を行なうことができる。

なお第５図および第６図に示した構造は、前記第１図
ないし第４図示のトランサムボード６を開閉式としたも
のにも適用することができる。

また、第２図に示したように、トランサムボード６を
開閉可能な構造として、このトランサムボード６に足掛
け用梯子８を設ければ、落水時に梯子８への足掛けが容
易となり、小型ジェット推進艇への乗り込みが円滑かつ
スムーズに行なわれ、一層容易となる。さらに、トラン
サムボード６部に補機として船外機を取り付けることが
できるので、艇体の利用範囲が拡充される。

（考案の効果） 以上に述べたように本考案に係る小型ジェット推進艇
においては、艇体のフートステップ部の艇側をフートス
テップ部の上面より高く形成するとともに艇尾にフート
ステップ部より上方に立上るトランサムボードをジェッ
ト推進機のノズル上方にボード下端のヒンジを介して開
閉自在に設け、上記トランサムボードを開くと外方へヒ
ンジ廻りに回動してボード上端が下方に垂れ下がって前
記ノズルを覆う一方、トランサムボードの下方に展開可
能な足掛け用梯子を設け、前記トランサムボードを開い
たとき、艇体の艇尾部分が所要幅切り欠かれてフートス
テップ部の後方に開口した構成としたので、艇体のフー
トステップ部の周囲が艇体の艇側とトランサムボードで
囲まれており、艇体の浮力が増加する一方、フートステ
ップ部への水漏れを防止でき、ライダーの足が濡れて滑
ったり、着衣を濡らすことがなく、乗艇時の衣服の制約
が解消される。

また、落水時には、トランサムボードを開くと、トラ
ンサムボードは外方へヒンジ廻りに回動してボード上端
が下方へ垂れ下がり、ジェット推進機のノズルを覆う一
方、トランサムボードの梯子がさらに下方に展開されて
足掛けが容易となるとともに艇体の艇尾部分が所要幅切
り欠れてフートステップ部が後方に開口するので、ジェ
ット推進機のノズルからの噴流がトランサムボードで阻
止され、乗り込みの妨げとならず、フートステップ部の
後方開口およびトランサムボードの梯子を利用し、トラ
ンサムボードに手や足を掛けることで容易に登ることが
でき、艇体への乗り込みがより一層容易となる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す斜視図、第２図は第
１図と同一部分を断面表示した側面図、第３図は第２図
のＡ部を拡大し、艇体への乗り込み時の使用状態を示す
説明図、第４図は艇体への乗り込み時の使用状態を後方
から見た図、第５図はこの考案の他の実施例を示す斜視
図、第６図は第５図に示された船外機のクランプ部を拡
大して示す断面図、第７図は船外機をスライド自在に取
り付けるスライドガイドの正面図、第８図は従来の小型
ジェット推進艇を示す斜視図である。 １……艇体、２……シート、３……ハンドル、４……フ
ートステップ部、５……艇側、６……トランサムボー
ド、7,9……ヒンジ、８……梯子、11……ジェット推進
機のノズル。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】エンジンの回転によりポンプユニットを駆
   動し、艇尾側下部に配設したノズルから高圧水を噴射す
   ることにより艇体を推進させるジェット推進機を有する
   小型ジェット推進艇において、艇体１のフートステップ
   部4,4の艇側5,5をフートステップ部4,4の上面より高く
   形成するとともに艇尾にフートステップ部4,4より上方
   に立上るトランサムボード６を前記ノズル11の上方にボ
   ード下端のヒンジ７を介して開閉自在に設け、上記トラ
   ンサムボード６を開くと外方へヒンジ廻りに回動してボ
   ード上端が下方に垂れ下がって前記ノズル11を覆う一
   方、上記トランサムボード６に下方に展開可能な梯子８
   を設け、前記トランサムボード６を開いたとき、艇体１
   の艇尾部分が所要幅切り欠かれてフートステップ部4,4
   が後方に開口したことを特徴とする小型ジェット推進艇
   のデッキ構造。