JP2716942B2 - 小型滑走艇 - Google Patents

小型滑走艇

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JP2716942B2
JP2716942B2 JP6266250A JP26625094A JP2716942B2 JP 2716942 B2 JP2716942 B2 JP 2716942B2 JP 6266250 A JP6266250 A JP 6266250A JP 26625094 A JP26625094 A JP 26625094A JP 2716942 B2 JP2716942 B2 JP 2716942B2
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義則 山口
幸雄 飯川
喜規 積山
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Kawasaki Motors Ltd
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Kawasaki Jukogyo KK
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、船体デッキに搭乗員
のシートとフロアが設けられている小型滑走艇に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種小型滑走艇として、搭乗員
がシートにまたがって操縦するいわゆるスクータタイプ
がある(意匠登録第449793号公報参照)。このタ
イプでは、搭乗員が水中から船体に乗り込む場合がある
ので、その乗り込み動作を容易にするための工夫が必要
になる。その一例として、船体に梯子を取り付けたもの
がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このよう
に、小型滑走艇に別部品である梯子を取り付けるのは、
スペース的に困難な場合が多いうえに、部品点数がかな
増加する。
【0004】この発明は、以上のような点に鑑みてなさ
れたもので、その目的は、主に船体の形状を変更するこ
とで、水中の搭乗員が船体に乗り込めるようにすること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明では、船体デッキにおけるシー
トの後方に、フロアから凹入して搭乗員の胴体が載る幅
を有する凹部を設け、前記デッキにおけるシート台座の
上部に、シート台座から後方に延び、前記凹部よりも上
方に位置して、搭乗員が船体後方の水中から乗り込む際
に把持する手掛けを設けている。また、前記凹部の少な
くとも後部をハルとデッキの接合部により形成して、こ
の接合部の端部とデッキ側表面を覆う弾性材からなるリ
ヤバンパを取付け、このリヤバンパを、船体左右方向の
中央部に位置して前記凹部の底面を覆うセンタ部と、こ
のセンタ部に連なって船体左右方向両側に位置し前記凹
部の側面を覆うサイド部とに分割形成している。さら
に、前記左右のサイド部を、それぞれ前記左右の後部舷
側部材とともに、船体に共締めし、前記センタ部を、前
記左右のサイド部とともに、船体に共締めしている。
【0006】
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【作用及び効果】請求項1記載の発明によれば、船体デ
ッキにおけるシートの後方に、フロアから凹入して搭乗
員の胴体が乗る幅の凹部を設けているため、この凹部に
水中の搭乗員がその胴体を乗り上げることにより、前記
フロア上に乗り込める。また、前記デッキにおけるシー
ト台座の上部に、シート台座から後方に延び、前記凹部
よりも上方に位置する手掛けを設けているため、搭乗員
が船体後方の水中から乗り込む際に、前記手掛けを把持
して身体を引き上げることにより、前記凹部からフロア
上へ乗り込みやすくなる。すなわち、梯子を必要としな
いため、船体のスペースを圧迫することがなく、しか
も、船体への取付部品点数をさほど増加させない。さら
に、船体の滑走時には、船体が浮上することにより、船
体に対して喫水線が相対的に下がるので、前記凹部から
フロア上の水が後方に排出されるため、このフロアが乾
き易くなる。さらにまた、前記凹部の少なくとも後部が
ハルとデッキの接合部で形成され、この接合部の端部と
デッキ側表面を覆う弾性材からなるリヤバンパを取付け
ているため、水中の搭乗員が前記凹部から船体上へ乗り
込む際に乗り込み性がよくなる。ここで、前記リヤバン
パを取付けるハル及びデッキの後部側は、前記凹部が設
けられて複雑な形状とされているが、前記リヤバンパ
は、船体左右方向の中央部に位置するセンタ部と、この
センタ部に連なる左右サイド部とに分割形成しているた
め、これらセンタ部および各サイド部を凹部の形状に正
確に合わせて成形できるので、船体に取付けたときの見
栄えが良好となる。さらにまた、前記各サイド部の左右
両側で船体の後部両側に各後部舷側部材を設けて、前記
センタ部、各サイド部、各後部舷側部材を共締めして前
記船体に取付けることにより、この船体側への取付けを
容易に行うことができる。
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図1に示した小型滑走艇は、底面(船底)の横
断面形状がほぼV字形とされたハル1とその上方のデッ
キ2とから構成される船体3内に、エンジン4と、この
エンジン4から延びるシャフト5で駆動される水ジェッ
ト推進機6とを備えている。また、前記船体3内には、
前記エンジン4からの排気を消音する水マフラー7を設
け、このマフラー7から延びるダクト8を船体外部に臨
む排気口9に連通させ、この排気口9から前記エンジン
4の排気を船体後方に排出するようにしている。なお、
前記ハル1とデッキ2は、それぞれ合成樹脂で成形さ
れ、これら両者をフランジ部(接合部)20において、
接着剤のような接合手段により接合一体化して前記船体
3を構成している。
【0016】また、前記デッキ2にはシート台座10を
形成し、このシート台座10上に搭乗員が着座するシー
ト11を装着し、さらに、図2に示すように、このシー
ト11の幅方向両側の下方に、搭乗員の足が置かれるフ
ロア12を形成している。また、デッキ2の上部にはハ
ンドルバー25を取り付けている。
【0017】図3に示すように、前記デッキ2における
シート11の後方側で幅方向中央部分に、前記各フロア
12から凹入して、搭乗員の胴体が乗る程度の幅とされ
た凹部13を設けている。凹部13は船体3の大きさに
よっても変更されるが、この例では搭乗員の胴体を乗せ
るために、図4に示すように凹部13の底面の幅W1は
300〜500mm程度の大きさが好ましく、凹部13
の上部開口の幅W2はW1よりも50〜150mm程度
大きいのが好ましい。
【0018】前記凹部13は、図4(背面図)に示すよ
うにその底部からフロア12までの高さH1を100m
m程度に設定することが好ましい。この高さとすること
により、水中の搭乗員が前記凹部13の両側方のフロア
後部12aに手を掛け、下向きに力を入れて船体3を押
し下げながら乗り込もうとするとき、腕を伸ばした状態
で前記凹部13に搭乗員の胴体を乗せ易くなって、乗り
込みやすくなる。なお、この図4は、後述するリヤバン
パを取り付けていない状態の船体後部を示している。
【0019】また、前記凹部13の底面13aは、燃料
満載状態の静止時で、かつ、前記船体3に搭乗員が乗船
していないときの吃水線Aとほぼ合致するように形成す
る。
【0020】さらに、前記凹部13は、図5に示すよう
に、その後部側の一部を前記ハル1とデッキ2を接合す
る前記フランジ部(接合部)20により形成し、このフ
ランジ部20の前方部分の一部も、ハル1とデッキ2を
重ね合わせて形成している。また、前記ハル1の後壁1
aには、図4に示すように、フランジ20の下方に位置
して前記エンジン4の排気口9を取り付けている。
【0021】さらに、図3に示すように前記シート台座
10の部には、シート台座10から後方に延び、前記
凹部13よりも上方に位置し、この凹部13から水中の
搭乗員が前記フロア12上に乗り込むときに把持する手
掛け14をボルト29のような取付手段で取付けてい
る。
【0022】また、前記凹部13とその左右両側のデッ
キ2上には、水中の搭乗員が前記凹部13から船体3に
乗り込む際に、乗り込み性がよくなるように軟質ゴムか
らなるリヤバンパ15を取付けている。
【0023】このリヤバンパ15は、図3に示すよう
に、前記凹部13の底面13aを覆うセンタ部16と、
このセンタ部16から船体左右両側方に延び、前記凹部
13の左右両側面13bおよびその側方のフロア12上
を覆う2つのサイド部17,17とに分割形成してい
る。また、前記センタ部16と各サイド部17の後部側
には、断面概略円形状の覆い部16a,17aをそれぞ
れ一体に形成する。そして、これら各覆い部16a,1
7aで前記凹部13の後縁に位置する前記フランジ20
を覆うことにより、水中の搭乗員が前記凹部13から船
体上に乗り込むときの乗り込み性がよくなる。
【0024】また、前記各サイド部17の外側方で船体
3の後部両側部分には、この船体3を岸壁から保護する
ために、硬質ゴムのような、前記リヤバンパ15の材料
よりも硬質の材料からなる後部舷側部材18,18を取
付ける。これら各後部舷側部材18の側壁および後部壁
にも、断面概略円形状の覆い部18aをそれぞれ一体形
成している。ここで、前記リヤバンパ15および後部舷
側部材18のデッキ2への取付部は、デッキ2の他の面
よりも凹入しており、これによって、リヤバンパ15お
よび後部舷側部材18の上面がデッキ12の他の部分の
上面と面一になるように設定されている。
【0025】前記各後部舷側部材18の側壁で覆い部1
8aの内面側には、図6に示すように、前後2つのボル
ト21をその頭を埋め込んだ状態で支持している。ま
た、前記各後部舷側部材18における前記サイド部17
と対向する後部内側には、このサイド部17の外表面を
後部舷側部材18の外表面と面一状に接合するために、
一段凹入した取付部18bを一体に形成するとともに、
この取付部18bの後壁にはボルト孔18cを設けてい
る。
【0026】また、前記各サイド部17の後部側に設け
た覆い部17aの内面には、2つのボルト21をその頭
を埋め込んだ状態で支持するとともに、前記各サイド部
17の前記センタ部18と対向する内面側には、このセ
ンタ部18の外表面をサイド部17の外表面と面一状に
接合するために、一段凹入した取付部17bを一体形成
して、この取付部17bの後壁にボルト孔17cを設け
ている。
【0027】さらに、前記センタ部16に設けた覆い部
16aの内面には複数のボルト21をその頭を埋め込ん
だ状態で支持している。また、図5に示すように、前記
センタ部16の覆い部16aの内面には、その取付時に
船体3のフランジ20の外面側に当接して、前記覆い部
16aの外形を円味のある形状に保持するための突部1
6bを一体形成している。
【0028】図6の前記各後部舷側部材18の取り付け
にあたっては、そのボルト21を前記ハル1とデッキ2
の左右両側のフランジ部20に設けた挿通孔30に挿通
させ、ワッシャ22を介して袋ナット23で締めつける
ことにより、左右の後部舷側部材18を船体3の後部両
側に固定する。
【0029】また、前記各サイド部17の船体外端側に
設けたボルト21を後部舷側部材18の取付部18bに
設けたボルト孔18cを通して船体後部のフランジ部2
0に設けた挿通孔31に挿通させ、ワッシャ22を介し
て袋ナット23で締めつけることにより、左右のサイド
部17を前記後部舷側部材18と一緒に船体3の後部に
固定する。すなわち、前記左右のサイド部17は、それ
ぞれ前記左右の後部舷側部材18とともに、船体3に共
締めされる。前記サイド部17の船体中央側に設けたボ
ルト21は、フランジ部20に設けたボルト孔32に直
接挿通し、図示しないワッシャおよびナットを用いて固
定する。
【0030】さらに、前記センタ部16の側部に設けた
各ボルト21を、前記サイド部17の取付部17bに設
けたボルト孔17cを通して、船体後部のフランジ部2
0に設けた挿通孔33に挿通させ、ワッシャ22を介し
てナット23で締めつけることにより、前記センタ部1
6を前記サイド部17と一緒に船体3の後部に固定す
る。すなわち、前記センタ部16は、前記左右のサイド
部17とともに、船体3に共締めされる。前記センタ部
16の船体中央に設けたボルト21は、フランジ部20
に設けたボルト孔34に直接挿通し、図示しないワッシ
ャおよびナットを用いて固定する。
【0031】以上のように、前記リヤバンパ15をセン
タ部16と各サイド部17との3つの部材に分割形成
し、また、これら各サイド部17の左右両側で船体3の
後部両側に固定される各後部舷側部材18を設けて、こ
れら各者を共締めして前記船体3に取付けることによ
り、この船体3側への取付けを容易に行うことができ
る。
【0032】次に、以上の構成による作用について説明
する。まず、静止状態の船体3に対して、搭乗員が水中
から図3のデッキ2のフロア12上に乗り込むときに
は、シート11の下の手掛け14を片手で把持し、もう
一方の手をデッキ2における凹部13の側方の高いフロ
ア12上に乗せて、身体を引き上げ、凹部13に一旦胴
体を乗せたのち、さらに身体を引き上げて膝を凹部13
に乗せることにより、この凹部13から乗り込める。
【0033】手掛け14を把持しない場合、両手を凹部
13の両側方のフロア12上に乗せて腕を下方へ伸ばす
ことにより身体を引き上げて、凹部13から乗り込むこ
とができる。また、前記船体3の滑走時には、船体3が
浮上することにより、船体3に対して喫水線Aが相対的
に下がるので、前記凹部13からフロア12上の水が後
方に排出されるため、このフロア12が乾き易くなって
乗り心地が良い。
【0034】また、水中の搭乗員が前記フロア12上に
乗り込むとき、前記凹部13の底面13aは、燃料満載
時で、かつ、前記船体3に搭乗員が乗船していないとき
の吃水線Aとほぼ合致するように低く形成されているた
め、前記凹部13に胴体を乗せて前記フロア12上へ乗
り込みやすくなる。
【0035】また、船体後部のフランジ部20の下方で
フランジ部20よりも前方に、前記エンジン4の排気口
9を配置しているため、この排気口9から排出される排
気は、円滑に後方に流れる。
【0036】さらに、前記凹部13の底部上面とその左
右両側部分のデッキ2上には、軟質ゴムのような弾性材
からなるリヤバンパ15が、センタ部16と両サイド部
17とに分割されて取付けられているため、これらセン
タ部16と各サイド部17を凹部13の形状に合わせて
成形できて、取付けたときの見栄えを良好としながら、
水中の搭乗員が船体3上に乗り込むとき、乗り込み性が
良くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係る小型滑走艇の全体を
示す側面図である。
【図2】同デッキの平面図である。
【図3】同小型滑走艇の後部の斜視図である。
【図4】同小型滑走艇の背面図である。
【図5】図3のV−V線方向から見た断面図である。
【図6】リヤバンパの左半分を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1…ハル、2…デッキ、3…船体、4…エンジン、9…
排気口、11…シート、12…フロア、13…凹部、1
4…手掛け、15…リヤバンパ、16…センタ部、17
…サイド部、20…フランジ部(接合部)、A…吃水
線。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−74492(JP,A) 特開 平2−3598(JP,A) 実開 平2−144897(JP,U) 実開 平3−88997(JP,U) 実開 平2−86894(JP,U) 実開 平2−105090(JP,U)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 船体デッキにおけるシート台座の上に、
    搭乗員のシートが装着され、その両側の下方に位置して
    前記デッキに搭乗員の足を支えるフロアが設けられ、 前記シートの後方に前記フロアから凹入し、搭乗員の胴
    体が乗る幅を有する凹部が設けられ、 前記シート台座の上部に、シート台座から後方に延び、
    前記凹部よりも上方に位置して、搭乗員が船体後方の水
    中から乗り込む際に把持する手掛けが設けられ 前記凹部の少なくとも後部は、ハルとデッキの接合部に
    より形成されて、この接合部の端部とデッキ側表面とを
    覆う弾性材からなるリヤバンパが取付けられており、こ
    のリヤバンパは、船体左右方向の中央部に位置して前記
    凹部の底面を覆うセンタ部と、このセンタ部に連なって
    船体左右方向両側に位置し前記凹部の側面を覆う2つの
    サイド部とに分割形成され、 前記各サイド部の外側方で船体の後部左右方向両側に、
    各後部舷側部材が設けられ、 前記左右のサイド部は、それぞれ前記左右の後部舷側部
    材とともに、船体に共締めされ、 前記センタ部は、前記左右のサイド部とともに、船体に
    共締めされ ている小型滑走艇。
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