JP3052678B2 - 能動型サスペンション - Google Patents

能動型サスペンション

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JP3052678B2
JP3052678B2 JP5190417A JP19041793A JP3052678B2 JP 3052678 B2 JP3052678 B2 JP 3052678B2 JP 5190417 A JP5190417 A JP 5190417A JP 19041793 A JP19041793 A JP 19041793A JP 3052678 B2 JP3052678 B2 JP 3052678B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、能動型サスペンショ
ンに関し、特に、旋回時に生じた車体のロールが復元す
る際に、乗員が感じる違和感を低減することのできる能
動型サスペンションに関する。
【0002】
【従来の技術】旋回時における車体ロールを制御する能
動型サスペンションとして、車体と各車輪との間に介挿
された流体圧シリンダおよびバネと、この流体圧シリン
ダの作動流体圧を指令値に応じて制御する圧力制御弁
と、車体の横加速度を求める横加速度検出又は推定手段
と、この横加速度検出又は推定手段の検出値又は推定値
に応じた指令値を出力する制御装置とを有しているもの
がある。
【0003】このような能動型サスペンションにおい
て、横加速度y″(右旋回時を正値とする)を横軸に、
流体シリンダの作動圧p(即ち、圧力制御弁の出力圧)
を縦軸にとった制御特性の一例は、図22に示すように
なっている。なお、この図において横軸はp=PN (中
立圧)に相当する。つまり、直進時等において横加速度
y″=0のときには左右両輪の作動圧pが共に所定中立
圧PN となり、横加速度の絶対値|y″|が所定値ac
(作動圧pがP0 (=最高制御圧PMAX −PN )または
−P0 となる時の横加速度の絶対値)以下である場合に
は、旋回に伴う横加速度|y″|の増大につれて、旋回
外輪側および内輪側の作動圧Pが共に同一変化率で、旋
回外輪側は増大し旋回内輪側は減少し、右旋回,左旋回
で対称に変化するようになっている。これにより、横加
速度の絶対値|y″|が所定値ac 以下の時に、車体に
ロールを生じさせない、所謂ロールゼロ制御が行われる
ようにしてある。
【0004】しかし、このような制御特性においては、
横加速度の絶対値|y″|が所定値ac を超える(例え
ば図22において|y″|=aとなる)と作動圧pはP
0 または−P0 に保持されるため、車体にロールが生じ
て車体と各車輪との間に介挿されたバネが、旋回外輪側
で縮み内輪側で延びる方向に変形する。その際に、外輪
側のバネには変形量に見合うエネルギー〔例えば、0≦
|y″|≦ac における各輪の出力直線の延長線と直線
|y″|=aとの交点が示す圧力(例えばPA)と、P
0 との差に相当する分のエネルギーEa 〕が蓄積され
る。
【0005】そして、この状態から旋回の収束に伴って
横加速度の絶対値|y″|が減少し、ロールした車体が
元に戻る際には、前記制御特性に基づき、横加速度の絶
対値|y″|がaからac となる時間で、前記外輪側に
蓄えられたエネルギー(例えばEa )が放出される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに横加速度の絶対値|y″|がaからac となる短い
時間でロールを戻すと、車体が元に戻る際に乗員に違和
感を与えるという問題点があった。本発明は、このよう
な従来技術の問題点に着目してなされたものであり、ロ
ールの戻りを緩やかにすることにより、旋回時にロール
した車体が元に戻る際に乗員が感じる違和感を低減する
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1は、図1に示すように、車体側部材と車輪
側部材との間に各輪別に介装された流体シリンダおよび
バネと、この各流体シリンダを指令値に応じて個別に制
御する制御弁と、車体の横方向の加速度を検出又は推定
する横加速度検出又は推定手段と、この横加速度検出又
は推定手段の横加速度検出又は推定値に基づいて前記各
制御弁に与える指令値を各輪別に演算する指令値演算手
段と、この指令値演算手段が演算した指令値を前記制御
弁に各々出力する指令値出力手段とを備えた能動型サス
ペンションにおいて、前記指令値演算手段が、車体ロー
ルの戻り時に、ロールによる前記バネの変形分を当該指
令値に対して補正するバネ変形補正手段を有することを
特徴とする能動型サスペンションを提供する。
【0008】請求項2は、請求項1におけるバネ変形補
正手段が、車体のロール時に外輪側のバネに蓄えられた
エネルギーを放出し、且つ内輪側のバネにエネルギーを
供給するものである能動型サスペンションを提供する。
請求項3は、請求項1または2におけるバネ変形補正手
段が、横加速度検出又は推定手段により検出又は推定さ
れた横加速度に応じて前記バネの変形分を補正するもの
である能動型サスペンションを提供する。
【0009】請求項4は、請求項1または2におけるバ
ネ変形補正手段が、ストローク検出手段を備え、このス
トローク検出手段の検出値に応じて前記バネの変形分を
補正するものである能動型サスペンションを提供する。
【0010】
【作用】請求項1の能動型サスペンションでは、車体ロ
ールの戻り時に、ロールによるバネの変形分をバネ変形
補正手段により補正するため、このバネ変形補正手段
を、旋回時に外輪側のバネに蓄えられたエネルギーを放
出するか、内輪側のバネにエネルギーを供給するものと
すれば、ロールの戻り時には、旋回外輪側のバネに蓄え
られたエネルギーを放出するか、旋回内輪側のバネにエ
ネルギーを供給するように補正された指令値を指令値演
算手段により各輪別に演算する。そして、この各指令値
が指令値出力手段により制御弁に各々出力される。ここ
で、制御弁として例えば圧力制御弁を用いた場合には、
これにより、ロールの戻り時に、旋回外輪側の流体シリ
ンダの作動圧が通常より小さくなるか、旋回内輪側の流
体シリンダの作動圧が通常より大きくなる。この制御に
よれば、各流体シリンダの作動圧が車体のロールを助長
する方向に補正されるため、その結果、ロールの戻りが
緩やかになる。この時、請求項2の能動型サスペンショ
ンのように、前記補正をロール時に旋回外輪側のバネに
蓄えられたエネルギーを放出すると同時に、旋回内輪側
のバネにエネルギーを供給するようにすれば、ロール中
心を変動させないで車体を元に戻すことができる。
【0011】このように旋回外輪のエネルギーと内輪の
エネルギーを補正するにあたり、請求項3の能動型サス
ペンションでは、例えば旋回収束に伴う横加速度の減少
に対する外輪の制御圧減少割合と内輪の増大割合を補正
することにより、ロール復帰までの時間を制御して、そ
の過渡特性の急激な変化を抑制する。一方、請求項4の
能動型サスペンションでは、サスペンションストローク
を検出して、ロール戻り時にこのストローク変化率を抑
制する方向に変化させれば、揺り返しを発生するような
復帰時に発生する逆方向へのロールスピードを低減する
ことができ、ロールの収束に伴う車体挙動の急激な変化
を抑制する。
【0012】
【実施例】以下、この発明の各実施例を図面に基づき説
明する。各実施例の能動型サスペンションは車体のロー
ル制御のみを行う場合を示す。先ず、この発明の第一実
施例を図2〜図8に基づき説明する。図2において、1
0はサスペンションアームである車体側部材を、11FL
〜11RRは前左〜後右車輪を、12は能動型サスペンシ
ョンを夫々示す。
【0013】能動型サスペンション12は、車体側部材
10と車輪11FL〜11RRの各車輪側部材14との間に
各々介装された流体シリンダとしての油圧シリンダ18
FL〜18RRと、この油圧シリンダ18FL〜18RRの作動
圧を個別に調整する圧力制御弁20FL〜20RRと、この
油圧系の油圧源22と、この油圧源22及び圧力制御弁
20FL〜20RR間に油圧配管22a,22bにより介挿
された蓄圧用のアキュムレータ24,24と、車体の横
方向に発生する加速度を検出する横加速度センサ26
と、この横加速度センサ26の検出信号に基づき圧力制
御弁20FL〜20RRの出力圧を個別に制御するコントロ
ーラ30とを有している。また、油圧シリンダ18FL〜
18RRの後述する圧力室Lの各々は、絞り弁32を介し
てバネ下振動吸収用のアキュムレータ34に接続されて
いる。さらに、油圧シリンダ18FL〜18RRの各々のバ
ネ上,バネ下相当間には、比較的低いバネ定数であって
車体の静荷重を支持するコイルスプリング36が配設さ
れている。
【0014】油圧シリンダ18FL〜18RRの各々はシリ
ンダチューブ18aを有し、このシリンダチューブ18
aには、ピストン18cにより隔設された下側の圧力室
Lが形成されている。そして、シリンダチューブ18a
の下端が車輪側部材14に取り付けられ、ピストンロッ
ド18bの上端が車体側部材10に取り付けられてい
る。また、圧力室Lの各々は、油圧配管38を介して圧
力制御弁20FL〜20RRの出力ポートに接続されてい
る。
【0015】また、圧力制御弁20FL〜20RRの各々
は、円筒状の弁ハウジングとこれに一体的に設けられた
比例ソレノイドとを有した、従来周知の3ポート比例電
磁減圧弁(例えば特開昭64−74111号参照)で形
成されている。そして、比例ソレノイドの励磁コイルに
供給する指令電流i(指令値)を調整することにより、
弁ハウジング内に収容されたポペットの移動距離、即ち
スプールの位置を制御し、供給ポート及び出力ポート又
は出力ポート及び戻りポートを介して油圧源22と油圧
シリンダ18FL〜18RRとの間で流通する作動油を制御
できるようになっている。
【0016】ここで、励磁コイルに加えられる指令電流
i(:iFL〜iRR)と圧力制御弁20FL(〜20RR)の
出力ポートから出力される制御圧pとの関係は、第3図
に示すようになっている。つまり、ノイズを考慮した最
小電流値iMIN のときには最低制御圧PNIM となり、こ
の状態から電流値iを増加させると、電流値iに比例し
て直線的に制御圧pが増加し、最大電流値iMAX のとき
には設定ライン圧に相当する最高制御圧PMAX となる。
N は中立指令電流,PN は中立制御圧である。
【0017】一方、車体には横加速度センサ26が固設
してある。この横加速度センサ26は、車体に作用する
横(車幅)方向の加速度を検知するもので、例えば磁気
的に浮かせたマスが慣性力によって変位したときの変位
量に対応した電圧信号gをコントローラ30に出力す
る。そして、その検出特性は図4に示すように、横加速
度y″=0のときに検出信号g=gN (所定の中立横G
検出値)となり、この状態から左旋回又は右旋回に移行
したときに横加速度y″に比例して増大又は減少する。
ここで、横加速度y″は右旋回時に正値,左旋回時に負
値とする。
【0018】更に、前記コントローラ30は図5に示す
ように、入力するアナログ量の横加速度y″に応じた検
出信号gをデジタル量に変換するA/D変換器70と、
演算処理用のマイクロコンピュータ72と、このマイク
ロコンピュータ72から出力されるデジタル量の電圧指
令値VFL〜VRRを個別にアナログ量に変換するD/A変
換器73A〜73Dと、このアナログ量の電圧指令値V
FL〜VRRを目標値として、圧力制御弁20FL〜20RRに
個別に出力する指令電流iFL〜iRRを、目標値に追随さ
せる駆動回路74A〜74Dとを有している。
【0019】この内、マイクロコンピュータ72は、少
なくともインターフェイス回路76と演算処理装置78
とRAM,ROM等からなる記憶装置80とを含んで構
成され、インターフェイス回路76はI/Oポート等か
ら構成されている。また、演算処理装置78は、インタ
ーフェイス回路76を介して検出信号gを読み込み、こ
れらに基づき後述する演算その他の処理を行う。記憶装
置80は、演算処理装置78の処理の実行に必要な所定
プログラム及び固定データ等を予め記憶しているととも
に、演算処理装置78の処理結果を記憶する。
【0020】そして、マイクロコンピュータ72には、
図6および7に示すプログラムが記憶されている。な
お、このプログラム中の後述する係数KG は設定された
同じ絶対値のものであるが、左輪で正、右輪で負とな
る。図6のプログラムでは、ステップS1で横加速度セ
ンサ26の検出信号gを読み込み、ステップS2に移行
する。このステップS2では、ステップS1で読み込ん
だ検出信号gから中立横G検出値gN を差し引いて、横
加速度検出信号Δgを求める。次いでステップS3に移
行し、記憶装置80に予め格納している記憶テーブルを
参照する等して、検出信号Δgに対応した横加速度y″
を算出する。
【0021】次いでステップS4に移行し、各輪の圧力
指令値PFL〜PRRを図7に示すサブルーチンに従って設
定する。このプログラムにおけるフラグF1は、F1=
1の時、旋回収束中に伴う横加速度減少中であって作動
圧補正制御を行っていることを意味し、F1=0の時は
旋回により横加速度が増加中であって前記作動圧補正を
行っていないことを意味する。また、P0 =最高制御圧
MAX −中立圧PN である。
【0022】すなわち、ステップS41で前回および今
回の横加速度y″(n-1) ,y″(n)を読み込み、ステッ
プS42に移行する。ここで、前回の横加速度y″
(n-1) と今回の横加速度y″(n) とを比較して、横加速
度が増加の方向か減少の方向かを判断する。そして、横
加速度が増加の方向(すなわち、|y″(n) |−|y″
(n-1) |≧0)であれば、ステップS43に移行してフ
ラグF1を0とする。それからステップS44に移行し
て、圧力指令値P=KG ・y″(n) を算出してステップ
S45に移行する。
【0023】このステップS45では、圧力指令値の絶
対値|P|がP0 以下であるかどうかを判断し、|P|
≦P0 であればステップS46に移行してこのPを圧力
指令値に設定し、さらにステップS47に移行してこの
Pを圧力指令値として出力する。ステップS45で|P
|>P0 と判断された場合にはステップS48に移行し
てP0 を圧力指令値に設定し、さらにステップS47に
移行してP0 を圧力指令値Pとして出力する。
【0024】ステップS42で、横加速度が減少の方向
(すなわち、|y″(n) |−|y″ (n-1) |<0)であ
ると判断された場合には、ステップS49に移行してフ
ラグF1=1であるかどうか判断し、F1≠1の場合に
はステップS50に移行して前回の圧力指令値P(n-1)
を読み込み、ステップS51に移行してP(n-1) /y″
(n-1) をKGM(ゲイン)として算出し、これを記憶装置
80に記憶してからステップS52に移行する。ここで
フラグF1を1とし、ステップS53に移行して圧力指
令値P=KGM・y″(n) を算出してから、ステップS4
7に移行してこのPを圧力指令値として出力する。
【0025】ステップS49でフラグF1=1と判断さ
れた場合には、ステップS54に移行して記憶装置80
に記憶されているKGMを読み込み、ステップS53に移
行して圧力指令値P=KGM・y″(n) を算出してから、
ステップS47に移行してこのPを圧力指令値として出
力する。ステップS47で圧力指令値を出力したら、前
記図6のメインプログラムにリターンする。
【0026】この後、演算処理装置78は、図6のステ
ップS5に移行して、各輪の圧力指令値PFL〜PRRを達
成する電圧指令値VFL〜VRR(ステップS4で設定され
た圧力指令値PFL〜PRRに中立圧PN を加算した実際の
作動圧pに対応する値)を算出する。そして、ステップ
S6に移行して、電圧指令値VFL〜VRRをインターフェ
イス回路76を介してD/A変換器73A〜73Dに個
別に出力する。
【0027】次に、上記実施例の動作を説明する。な
お、ここでは車体が直進か旋回かによって行われる制御
と車体挙動についてのみ考慮する。車体のイグニッショ
ンスイッチがオン状態になると、コントローラ30が起
動し、所定のメインプログラム実行中に、図6に示すタ
イマ割込み処理を所定時間(例えば20msec)毎に実行
する。
【0028】いま、車体が平坦な凹凸の無い良路を一定
速度で直進走行しているものとする。この状態では旋回
に伴う横加速度を生じないので、横加速度センサ26の
検出信号gはその中立値gN であり、コントローラ30
によって演算される横加速度y″は零となる(図6のス
テップS1〜S3参照)。また、|y″(n) |−|y″
(n-1) |=0であるため、各圧力指令値PFL〜PRR=0
(作動圧p=PN )となる(図7のステップS41〜4
7参照)。したがって、電圧指令値VFL〜VRR=V
N (油圧シリンダ18FL〜18RRの作動圧pをPN とす
るための電圧値)が算出され(図6のステップS5参
照)、この中立電圧指令値VN がD/A変換器73A〜
73Dに夫々出力される。
【0029】そして、D/A変換器73A〜73Dによ
ってアナログ量に変換された電圧指令値VFL〜VRR(=
N )は、目標値として駆動回路74A〜74Dに夫々
出力され、この駆動回路74A〜74Dから目標値VN
に対応した中立指令電流iNが圧力制御弁20FL〜20R
Rに夫々供給される。これにより、圧力制御弁20FL〜
20RRは、油圧シリンダ18FL〜18RRの作動圧pを各
々中立圧PN (図3参照)に制御するので、油圧シリン
ダ18FL〜18RRの夫々は中立圧PN に応じた力を発生
させて、車体が所定車高値の中立な姿勢に保持される。
【0030】この定速直進状態から、例えば右旋回状態
に移行すると、車体右方向に慣性力が作用し、車体左側
が沈み込み、右側が浮き上がるロールを発生させようと
する。この右旋回時には、横加速度センサ26の検出信
号gは中立横G検出値gN よりも旋回速度等に応じた分
だけ大きい値であるので、コントローラ30では、横加
速度信号Δg>0となり、図6のステップS3でこのΔ
gに応じた正の横加速度y″が算出され、この横加速度
y″に基づいて各輪の圧力指令値PFL〜PRRが各々設定
される。
【0031】ここで、図8により、旋回外輪となる左輪
側の圧力指令値Pについて説明すると、横加速度y″が
ステップS41からS42,S43に至る増加状態にあ
って、所定値ac (P0 =KG ・ac 、最高制御圧P
MAX =P0 +PN )以下の時には、圧力指令値Pが、ス
テップS44で算出され且つS45〜S46で設定され
たP=KG ・y″で表される直線L1 に沿って増加する
ように制御される。これにより、左輪側の油圧シリンダ
18FL,18RLの作動圧pを中立圧PN から圧力指令値
P分だけ高くして、車体にロールは生じない。したがっ
て前記直線L1 はロールゼロ制御曲線である。
【0032】横加速度y″がステップS41からS4
2,S43に至る増加状態にあって所定値ac より大き
い時には、ステップS45からS48に至りS48にお
いてP 0 →Pとなり、当該旋回外輪となる左輪では作動
圧pがPMAX に保持されるから、更なる横加速度の増加
に伴って車体にロールが生じ、車体と左輪との間に介装
されたバネにエネルギー(例えばy″=aの時にEa
が蓄積される。
【0033】そして、この状態からステップS41から
S42,S49を経て横加速度y″が減少する場合に
は、ステップS50,S51で前回の横加速度y″
(n-1) と圧力指令値P(n-1) とからP(n-1) /y″
(n-1) をKGM(ゲイン)として算出し、以下ステップS
49からS50〜52またはS54を経て各々S53で
横加速度y″に比例した直線L3 (原点を通り、傾きK
GMの直線で、直線L1 ,L2 (P=P0 )より低圧側に
ある。)に沿って減少するように圧力指令値Pが制御さ
れ、左輪側の油圧シリンダ18FL,18RLの作動圧p
は、横加速度増加状態の時よりも低い圧力に制御され
る。
【0034】これにより、車体と左輪との間に介装され
たバネに蓄積されたエネルギーEaはy″がaから0と
なる間に放出されながら、ゆっくりとロールが戻る。ま
た、内輪となる右輪側の圧力指令値Pについては、前記
と同様に、横加速度y″が増加状態にあって所定値ac
以下の時には、圧力指令値がP=KG ・y″で表される
直線L11に沿って減少するように制御される。これによ
り、右輪側の油圧シリンダ18FR,18RRの作動圧pを
中立圧PN から圧力指令値P分だけ低くして、車体にロ
ールを生じさせないが、横加速度y″が増加状態にあっ
て所定値ac より大きい時には車体にロールが生じる。
【0035】そして、この状態から横加速度y″が減少
する場合には、前回の横加速度y″ (n-1) と圧力指令値
(n-1) とからP(n-1) /y″(n-1) をKGM(ゲイン)
として算出し、横加速度y″に比例した直線L31(原点
を通り、傾きKGMの直線で、直線L11,L21(P=−P
0 )より高圧側にある。)に沿って増加するように圧力
指令値Pが制御され、右輪側の油圧シリンダ18FR,1
8RRの作動圧pは、横加速度増加状態の時よりも高い圧
力に制御される。これにより、車体と右輪との間に介装
されたバネにエネルギーが供給されながらゆっくりとロ
ールが戻る。
【0036】このように、ロールの戻り時に、外輪側の
バネに蓄えられたエネルギーを横加速度の減少に応じて
放出し、且つ内輪側のバネにエネルギーを横加速度の減
少に応じて供給するように圧力指令値が補正されるた
め、従来のy″がaからac となる間でロールを戻す場
合と比べて長い時間をかけてゆっくりロールが戻るとと
もに、ロール中心を変動させないで車体を元に戻すこと
ができる。したがって、ロールの戻り時に過渡的な車体
挙動の急激な変動が抑制され、乗員に与える違和感を従
来と比べて低減することができる。
【0037】なお、この実施例では、横加速度センサ2
6,A/D変換器70,および図6のステップS1〜S
3の処理が横加速度検出手段を構成し、図6のステップ
S4〜5が指令値演算手段に対応し、図6のステップS
6およびD/A変換器73A〜73D,駆動回路74A
〜74Dが指令値出力手段を構成している。また、この
プログラムにおいて、ステップS49〜54が本発明の
バネ変形補正手段に相当する。ここで、横加速度y″が
減少状態にあって横加速度y″がa c 以下である場合に
も、ステップS49〜54によりKGMが算出されるが、
この時はKGM=KG となり、直線L1 またはL11に沿う
ように圧力指令値Pが制御される。すなわち、この場合
のステップS49〜54は本発明のバネ変形補正手段に
該当しないが、この場合にはバネに前述のエネルギー
(例えばy″=aの時にEa )が生じていないため補正
する必要もない。
【0038】次に、この発明の第二実施例について説明
する。この実施例においては、前記第一実施例における
図7のプログラムの代わりに、図9に示すプログラム
が、図6におけるステップS4のサブルーチンとしてマ
イクロコンピュータ72に記憶されており、それ以外は
第一実施例と同じ構成になっている。なお、このプログ
ラム中の後述する係数KG は設定された同じ絶対値のも
のであるが、左輪で正、右輪で負となる。
【0039】すなわち、図6のステップS4において
は、図9に基づき以下の処理が行われる。このプログラ
ムにおけるフラグF1は、F1=1の時、旋回収束中に
伴う横加速度減少中であって作動圧補正制御を行ってい
ることを意味し、F1=0の時は旋回により横加速度が
増加中であって前記作動圧補正を行っていないことを意
味する。また、P0 =最高制御圧PMAX −中立圧PN
あり、bは0<b<acを満たす所定の横加速度しきい
値であり、P1 はP1 =KG ・bを満たす圧力値であ
る。
【0040】ステップS401で前回および今回の横加
速度y″(n-1) ,y″(n) と圧力値P0 とを読み込み、
ステップS402に移行する。ここで、前回の横加速度
y″ (n-1) と今回の横加速度y″(n) とを比較して、横
加速度が増加の方向か減少の方向かを判断する。そし
て、横加速度が増加の方向(すなわち、|y″(n) |−
|y″(n-1) |≧0)であれば、ステップS403に移
行し、フラグF1を0としてからステップS404に移
行し、圧力指令値P=KG ・y″(n) を算出してステッ
プS405に移行する。
【0041】このステップS405では、圧力指令値の
絶対値|P|がP0 以下であるかどうかを判断し、|P
|≦P0 であればステップS406に移行してこのPを
圧力指令値に設定し、さらにステップS407に移行し
てこのPを圧力指令値として出力する。ステップS40
5で|P|>P0 と判断された場合にはステップS40
8に移行してP0 を圧力指令値に設定し、さらにステッ
プS407に移行してP0 を圧力指令値Pとして出力す
る。
【0042】ステップS402で、横加速度が減少の方
向(すなわち、|y″(n) |−|y″(n-1) |<0)で
あると判断された場合には、ステップS409に移行し
て、記憶装置80に記憶された所定の横加速度しきい値
bと圧力値P1 とを読み込み、ステップS410に移行
する。ステップS410では、横加速度の絶対値|y″
|がb以下であるかを判断し、|y″|≦bであればス
テップS404に移行して前述のステップS404〜4
07を実行する。
【0043】ステップS410で|y″|>bと判断さ
れた場合には、ステップS411に移行してフラグF1
=1であるかどうか判断し、F1≠1の場合にはステッ
プS412に移行して前回の圧力指令値P(n-1) を読み
込み、ステップS413に移行して(P0 −P1 )/
(y″(n-1) −b)をKGM(ゲイン)として、P0
〔(P0 −P1 )/(y″(n-1) −b)〕y″(n-1)
切片Aとして算出し、これを記憶装置80に記憶する。
【0044】それから、ステップS414に移行してフ
ラグF1を1とし、さらにステップS415に移行して
圧力指令値P=KGM・y″(n) +Aを算出してから、ス
テップS407に移行してこのPを圧力指令値として出
力する。ステップS411でフラグF1=1と判断され
た場合には、ステップS416に移行して記憶装置80
に記憶されているKGMおよびAを読み込み、ステップS
415に移行して圧力指令値P=KGM・y″(n) +Aを
算出してから、ステップS407に移行してこのPを圧
力指令値として出力する。ステップS407でPを圧力
指令値として出力したら前記図6のメインプログラムに
リターンする。
【0045】次に、この実施例の動作のうちロールが戻
る時の制御分(第一実施例と異なる部分)のみを図10
に基づいて以下に示す。右旋回時の左輪(外輪)につい
ては、ロールの戻り時、すなわちac 以上となった横加
速度y″が減少する場合には、y″=bとなるまでの
間、ステップS401からS402,S409を経てス
テップS410でこの状態が判断されてステップS41
1に至り、ステップS412,413で(P0 −P1
/(y″(n -1) −b)をKGM(ゲイン)として、P0
〔(P0 −P1 )/(y″(n-1) −b)〕y″(n-1)
切片Aとして算出し、以下ステップS411からS41
2〜414またはS416を経て各々S415で二点
(b,P1 ),(a,P0 )を通り横加速度y″に比例
した直線L4 (切片がAで、傾きKGMの直線)に沿って
圧力指令値Pが減少するように制御される。
【0046】さらに横加速度y″が減少してy″≦bと
なると、ステップS410でこの状態が判断されてステ
ップS404に至り、ステップS404で算出され且つ
S405〜406で設定されたP=KG ・y″(n) で表
される直線L1 に沿って圧力指令値Pが減少するように
制御される。すなわち、左輪側の油圧シリンダ18FL,
18RLの作動圧pは、y″>bでは横加速度増加状態の
時よりも低い圧力に制御され、y″≦bでは横加速度増
加状態の時と同じに制御される。
【0047】これにより、車体と左輪との間に介装され
たバネに蓄積されたエネルギーEaはy″がaからbと
なる間に放出されて、y″=bの時に車体が元の姿勢に
戻る。また、内輪となる右輪側の圧力指令値について
は、ロールを戻す際に、図10から分かるように、y″
がaからbとなる間に横軸を挟んで前記直線L4 と対称
な直線L41に沿って圧力指令値Pが増加し、y″≦bに
おいてはL1 に戻るように制御され、右輪側の油圧シリ
ンダ18FR,18RRの作動圧pは、y″>bでは横加速
度増加状態の時よりも高い圧力に制御され、y″≦bで
は横加速度増加状態の時と同じに制御される。これによ
り、車体と右輪との間に介装されたバネにエネルギーが
供給されながらy″=bとなるまでにゆっくりとロール
が戻る。
【0048】このように、ロールの戻り時に、外輪側の
バネに蓄えられたエネルギーを横加速度の減少に応じて
放出し、且つ内輪側のバネにエネルギーを横加速度の減
少に応じて供給するように圧力指令値が補正されるた
め、従来の場合と比べて長い時間をかけてゆっくりロー
ルが戻り、ロール中心を変動させないで車体を元に戻す
ことができるとともに、y″≦bの領域を不感帯に設定
することで、よりいっそう乗員に与える違和感を低減す
ることができる。
【0049】ここで、横加速度y″とエネルギーの放出
量との関係を、第一実施例の場合との比較において図1
1,12にグラフで示す。第一実施例を示す図11で
は、横加速度が0となるまでエネルギーの放出量は一定
であるため、図13に実線で示すように、横加速度の減
少によって放出されるエネルギーによって車体は徐々に
逆ロール方向に加速されて、直進走行に戻った時にこれ
が初速となってロールの揺り返しが避けられない場合が
ある。これに対して第二実施例では、図12のように、
横加速度が0となる手前(|y″|=b)までの間にエ
ネルギーを一定量で放出し終えることから、図13に破
線で示すように、直進走行に戻る前にロールスピードが
0となるため、揺り返しが生じ難い。
【0050】このプログラムにおいて、ステップS40
9〜416が本発明のバネ変性補正手段に相当する。こ
こで、横加速度y″が減少状態にあって横加速度y″が
c以下である場合にも、ステップS409〜416に
よりKGMおよびAが算出されるが、この時はKGM
G ,A=0となり、はじめから直線L1 に沿って圧力
指令値Pを減少させることになる。すなわち、この場合
のステップS409〜416は本発明のバネ変形補正手
段に該当しないが、この場合にはバネに前述のエネルギ
ー(例えばy″=aの時にEa )が生じていないため補
正する必要もない。
【0051】この発明の第三実施例を図14〜21に基
づき説明する。図14はこの実施例の概略構成図である
が、第一および第二実施例の構成を示す図2に各車輪用
の車高センサ27a〜27dが付け加えられており、各
車高センサ27a〜27dからの検出信号fFL〜fRR
コントローラ30aに出力する。その検出信号fは、図
15に示すように、ストロークSTが所定標準値ST0
の時にf=fN (所定の標準ストローク検出値)とな
る。
【0052】また、コントローラ30aは、図16に示
すように、第一および第二実施例のコントローラ30内
に、車高センサ27a〜27dから入力された検出信号
FL〜fRR用のA/D変換器70a〜70dを加えたも
のである。そして、マイクロコンピュータ72には、図
17および18に示すプログラムが記憶されている。先
ず、図17のフローチャートのステップS1で横加速度
センサ26の検出信号gを読み込み、ステップS2に移
行する。このステップS2では、ステップS1で読み込
んだ検出信号gから中立横G検出値gN を差し引いて、
横加速度検出信号Δgを求める。次いでステップS3に
移行し、記憶装置80に予め格納している記憶テーブル
を参照する等して、検出信号Δgに対応した横加速度
y″を算出する。
【0053】次いでステップS4に移行し、各車高セン
サ27a〜27dの検出信号fFL〜fRRを読み込み、ス
テップS5に移行する。このステップS5では、各車高
センサ27a〜27dの検出信号fFL〜fRRから標準ス
トローク検出値fN を差し引いて、各輪について車高検
出信号ΔfFL〜ΔfRRを求める。次いでステップS6に
移行し、記憶装置80に予め格納している記憶テーブル
を参照する等して、検出信号ΔfFL〜ΔfRRに対応した
ストロークSTFL〜STRRを算出する。
【0054】次いでステップS7に移行し、各輪の圧力
指令値PFL〜PRRを図18に示すサブルーチンに従って
設定する。このプログラムにおけるフラグF1は、F1
=1の時、旋回収束中に伴う横加速度減少中であって作
動圧補正制御を行っていることを意味し、F1=0の時
は旋回により横加速度が増加中であって前記作動圧補正
を行っていないことを意味する。
【0055】すなわち、ステップS71で前回および今
回の横加速度y″(n-1) ,y″(n)並びに今回のストロ
ークST(n) を読み込み、ステップS72に移行する。
ここで、前回の横加速度y″(n-1) と今回の横加速度
y″(n) とを比較して、横加速度が増加の方向か減少の
方向かを判断する。そして、横加速度が減少の方向(す
なわち、|y″(n) |−|y″(n-1) |<0)であれ
ば、ステップS73に移行してフラグF1=1かどうか
判断し、F1≠1であればステップS74に移行して、
ストロークST(n) を最大ロール時のストロークSTM
として記憶装置80に記憶してから、ステップS75に
移行してフラグF1=1とする。
【0056】ステップS73でフラグF1=1と判断さ
れた場合には、ステップS76に移行して標準ストロー
クST0 を読み込み、ステップS77に移行してST
(n) =ST0 かどうかを判断する。ST(n) ≠ST0
あればステップS78に移行して圧力補正値ΔP=K
(STM −ST(n) )を算出してステップS79に移行
する。ここで、Kは所定のゲインである。そして、ステ
ップS79で通常の圧力指令値Pr を読み込んでからス
テップS80に移行し、圧力指令値P=Pr +ΔPを出
力する。ここで、通常の圧力指令値Pr は、横加速度
y″に対してストロークSTが図19に示すように直線
的に変化するように、横加速度の増加に伴い外輪側につ
いては増加するように、内輪側については減少するよう
に制御するためのものであり、詳述しない個別の処理に
より演算され記憶装置80に更新記録されている。
【0057】ステップS77でST(n) =ST0 と判断
された場合およびステップS72で横加速度が増加の方
向(すなわち、|y″(n) |−|y″(n-1) |≧0)と
判断された場合には、ステップS81に移行しΔP=
0,F1=0としてステップS79に移行し、通常の圧
力指令値Pr を読み込んでからステップS80に移行し
て圧力指令値P=Pr +ΔPを出力する。すなわち、通
常の圧力指令値Pr を圧力指令値Pとして出力する。ス
テップS80で圧力指令値Pを出力したら、前記図17
のメインプログラムにリターンする。
【0058】この後、演算処理装置78は、図17のス
テップS8に移行して、各輪の圧力指令値PFL〜PRR
達成する電圧指令値VFL〜VRR(ステップS7で設定さ
れた圧力指令値PFL〜PRRに中立圧PN を加算した実際
の作動圧pに対応する値)を算出する。そして、ステッ
プS9に移行して、電圧指令値VFL〜VRRをインターフ
ェイス回路76を介してD/A変換器73A〜73Dに
個別に出力する。
【0059】次に、この実施例の動作について説明す
る。直進時と旋回時前半においては、|y″(n) |−|
y″(n-1) |≧0であるため、ステップS71からS7
2,S81を経てS79に至り、ステップS80におい
て通常の圧力指令値Pr が圧力指令値として出力され
る。この時、油圧シリンダの作動圧pは通常の圧力指令
値Pr に基づいて、横加速度の増加に伴い外輪について
は増加し、内輪については減少するように制御され、こ
れにより図19に示すように、横加速度の増加に伴い車
体にロールが生じて内輪側のストロークが増加し、外輪
側のストロークが減少する。
【0060】そして、ステップS71からS72,S7
3に至るロールの戻り時には、ストロークST(n) が標
準ストロークST0 となるまでの間、ステップS74に
おいて|y″(n) |−|y″(n-1) |<0となった瞬間
のストロークST(n) が最大ロール時のストロークST
M として記憶された後に、ステップS73からS76を
経てS77でこの状態が判断されてS78〜S80に至
り、ここで横加速度の絶対値が小さくなりストロークS
(n) と標準ストロークST0 との差が小さくなるにつ
れて、圧力補正値ΔPの絶対値が大きくなるように制御
される。ストロークST(n) が標準ストロークST0
戻ると、ステップS77でこの状態が判断されてステッ
プS81を経てステップS79に至り、ここで設定され
た通常の圧力指令値Pr がステップS80において圧力
指令値Pとして出力される。
【0061】すなわち、通常の圧力指令値Pr に加算さ
れる圧力補正値ΔPは、ストロークST(n) に応じて図
20に示すように制御され、バネの変形を元に戻そうと
する力(通常の圧力指令値Pr )に抗する力(圧力補正
値P)が与えられる。これに伴い外輪側の油圧シリンダ
18の作動圧は横加速度増加状態の時よりも低い圧力に
制御され、内輪側の油圧シリンダ18の作動圧は横加速
度増加状態の時よりも高い圧力に制御される。すなわ
ち、外輪側においては圧力補正値ΔP分だけのエネルギ
ーが放出され、内輪側には圧力補正値ΔP分だけのエネ
ルギーが供給されるから、ロールの戻りはゆっくりとな
る。
【0062】これにより、図21に示すように、バネの
戻る方向への車体加速度の積分値を、すなわち前記車体
の逆方向へのロールスピードを、ロール加速度の収束
点、すなわち旋回から直進への移行時に0若しくは小さ
くすることができるため、旋回から直進となる際に揺り
返しを防止することができる。また、外輪と内輪の両側
についてこのような制御がなされているため、ロールの
中心を変動させないで車体を元に戻すことができる。こ
のようにして、ロールの戻り時に乗員が感じる違和感を
低減することができる。
【0063】なお、上記実施例では、横加速度センサ2
6,A/D変換器70,および図17のステップS1〜
S3の処理が横加速度検出手段を構成し、車高センサ2
7a〜27d,A/D変換器70a〜70d,および図
17のステップS4〜S6の処理がストローク検出手段
を構成し、図17のステップS7〜8が指令値演算手段
に対応し、図17のステップS9、およびD/A変換器
73A〜73D,駆動回路74A〜74Dが指令値出力
手段を構成している。また、このプログラムにおいて、
ステップS73〜80が本発明のバネ変形補正手段に相
当する。
【0064】以上、上記各実施例では、車体ロールの戻
り時に、圧力指令値が、バネ変形補正手段によりロール
時に外輪側のバネに蓄えられたエネルギーを放出し、且
つ内輪側のバネにエネルギーを供給するように補正され
ているが、本発明のバネ変形補正手段は、外輪側および
内輪側のいずれか一方のみを前記のように補正するもの
であってもよい。
【0065】また、本発明の横加速度を求める手段は、
前述したような横加速度センサを用いて慣性力を直接検
知する構造のものに限定されることなく、例えば車速と
操舵角とに基づき横加速度を推定する手段(例えば特開
昭62−293167号参照)であってもよい。また、
本発明は当然に、車体のピッチ制御,バウンス制御も合
わせて行う能動型サスペンションに適用することもでき
る。
【0066】さらに、本発明の流体シリンダは、前記実
施例の如く油圧シリンダを適用する場合に限定されるも
のではなく、例えば空気圧シリンダ等を用いる構成であ
ってもよいし、制御弁は流体シリンダの流量を制御する
ものであってもよい。
【0067】
【発明の効果】以上説明してきたように、請求項1の能
動型サスペンションでは、車体ロールの戻り時に、ロー
ルによるバネの変形分をバネ変形補正手段により補正す
るが、このバネ変形補正手段を、旋回時に外輪側のバネ
に蓄えられたエネルギーを放出するか、内輪側のバネに
エネルギーを供給するものとすれば、ロールの戻りが緩
やかになり、旋回時に生じる車体のロールが復元する際
に乗員に与える違和感を少なくできる。
【0068】請求項2の能動型サスペンションによれ
ば、前記補正をロール時に旋回外輪側のバネに蓄えられ
たエネルギーを放出すると同時に、旋回内輪側のバネに
エネルギーを供給するようにするため、ロールの戻りが
緩やかになるとともに、ロール中心を変動させないで車
体を元に戻すことができるため、ロールした車体が車体
を元に戻す際に乗員に与える違和感をよりいっそう少な
くできる。
【0069】請求項3の能動型サスペンションによれ
ば、旋回外輪のエネルギーと内輪のエネルギーを補正す
るにあたり、例えば旋回収束に伴う横加速度の減少に対
する外輪の制御圧減少割合と内輪の増大割合を補正する
ことにより、ロールの戻りが緩やかになり、旋回時に生
じる車体のロールが復元する際に乗員に与える違和感を
少なくできる。
【0070】請求項4の能動型サスペンションによれ
ば、旋回外輪のエネルギーと内輪のエネルギーを補正す
るにあたり、サスペンションストロークを検出して、ロ
ール戻り時にこのストローク変化率を抑制する方向に変
化させれば、ロールの戻り時に揺り返しが生じ難くな
り、旋回時に生じる車体のロールが復元する際に乗員に
与える違和感を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクレーム対応図である。
【図2】本発明の第一および第二実施例を示す概略構成
図である。
【図3】圧力制御弁の出力特性を示すグラフである。
【図4】横加速度センサの検出特性を示すグラフであ
る。
【図5】図4のコントローラの一例を示すブロック図で
ある。
【図6】第一および第二実施例に関し、コントローラに
おいて実行される処理手順の一例を示すフローチャート
である。
【図7】第一実施例に関し、図6のフローチャートのス
テップS4に相当するサブルーチンのフローチャートで
ある。
【図8】第一実施例における圧力指令値の制御特性図で
ある。
【図9】第二実施例に関し、図6のフローチャートのス
テップS4に相当するサブルーチンのフローチャートで
ある。
【図10】第一実施例における圧力指令値の制御特性図
である。
【図11】第一実施例における、ロールの戻り時の横加
速度y″とエネルギーの放出量との関係を示すグラフで
ある。
【図12】第二実施例における、ロールの戻り時の横加
速度y″とエネルギーの放出量との関係を示すグラフで
ある。
【図13】第一および第二実施例に関して、ロールの戻
り時のロール加速度とロールスピードとの関係を示すグ
ラフである。
【図14】本発明の第三実施例を示す概略構成図であ
る。
【図15】車高センサセンサの検出特性を示すグラフで
ある。
【図16】図14のコントローラの一例を示すブロック
図である。
【図17】第三実施例に関し、コントローラにおいて実
行される処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図18】第三実施例に関し、図17のフローチャート
のステップS7に相当するサブルーチンの概略フローチ
ャートである。
【図19】第三実施例における、横加速度y″とストロ
ークSTとの関係を示すグラフである。
【図20】第三実施例における、圧力補正値ΔPと「ス
トロークST(n) −標準ストロークST0 」との関係を
示すグラフである。
【図21】第三実施例に関して、ロールの戻り時のロー
ル加速度とロールスピードとの関係を示すグラフであ
る。
【図22】従来の作動圧の制御特性図である。
【符号の説明】
10 車体側部材 12 能動型サスペンション 14 車体側部材 18FL〜18RR 前左〜後右油圧シリンダ(流体シリンダ) 20FL〜20RR 前左〜後右圧力制御弁 26 横加速度センサ(横加速度検出手段) 27a〜27d 車高センサ(ストローク検出手段) 36 コイルスプリング(バネ) 70 A/D変換器(横加速度検出手段) 70a〜70d A/D変換器(ストローク検出手段) 73A〜73D A/D変換器(指令値出力手段) 74A〜74D 駆動回路(指令値出力手段)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体側部材と車輪側部材との間に各輪別
    に介装された流体シリンダおよびバネと、この各流体シ
    リンダを指令値に応じて個別に制御する制御弁と、車体
    の横方向の加速度を検出又は推定する横加速度検出又は
    推定手段と、この横加速度検出又は推定手段の横加速度
    検出又は推定値に基づいて前記各制御弁に与える指令値
    を各輪別に演算する指令値演算手段と、この指令値演算
    手段が演算した指令値を前記制御弁に各々出力する指令
    値出力手段とを備えた能動型サスペンションにおいて、 前記指令値演算手段が、車体ロールの戻り時に、ロール
    による前記バネの変形分を当該指令値に対して補正する
    バネ変形補正手段を有することを特徴とする能動型サス
    ペンション。
  2. 【請求項2】 前記バネ変形補正手段は、車体のロール
    時に旋回外輪側のバネに蓄えられたエネルギーを放出
    し、且つ旋回内輪側のバネにエネルギーを供給するもの
    である請求項1記載の能動型サスペンション。
  3. 【請求項3】 前記バネ変形補正手段は、横加速度検出
    又は推定手段により検出又は推定された横加速度に応じ
    て前記バネの変形分を補正するものである請求項1また
    は2に記載の能動型サスペンション。
  4. 【請求項4】 前記バネ変形補正手段は、ストローク検
    出手段を備え、このストローク検出手段の検出値に応じ
    て前記バネの変形分を補正するものである請求項1また
    は2に記載の能動型サスペンション。
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