JP3051560U - クリップ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 適度の挟持力を有し紙の挿入離脱を片手で容
易に行うことができ、掲示した場合はより強力に紙等を
挟持することができ、落下のおそれがなく、机上で使用
するクリップとしても掲示用具としても利用し易い製品
を提供したものである。 【解決手段】 両面に磁力を有する永久磁石４を背面板
２に固定する。背面板２と前面板１との間に曲面を有す
る強磁性体５を装着する。強磁性体５の凸状の曲面と永
久磁石４とを着脱自在に構成し、永久磁石４の一面側と
強磁性体５との間でシート状物を挟持する。永久磁石の
他面側を磁性壁面に吸着し、クリップを着脱自在に掲示
できるようにしたものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は手書きや印刷を施した紙等のシート状物を挟み、強力に挟持して掲示 できるクリップに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来のクリップとしては、例えばバネ力を利用してプラスチック又は金属枠に よって紙を挟持し、このクリップ本体を粘着剤又は磁石によって掲示したい壁面 に固定または着脱自在に仮固定する構造のもの、あるいは幅狭のフレーム内に対 向して設けたブラシ状の突起により紙を挟持し、フレームを粘着剤又は磁石によ って掲示したい壁面に固定または着脱自在に仮固定する構造のもの等がある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記のような従来のクリップはバネ力を利用したものはバネ力が大きいと挿入 抵抗か大きいため、紙が破れたり皺の入ることがあり、バネ力を弱くすると挟持 できる紙の枚数が少なくなる。また、ブラシ状突起を設けたものは挟持する力が 弱く、特に左右方向への抵抗力が弱い欠点があった。

【０００４】 本考案は上記のような従来の欠点を解消し、適度の挟持力を有し紙の挿入離脱 を片手で容易に行うことができ、掲示した場合はより強力に紙等を挟持すること ができ、落下のおそれがなく、机上で使用するクリップとしても掲示用具として も利用し易い製品を提供したものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記の課題を解決するために、前面板と背面板とを一体的に構成した フレームを透明又は不透明体で形成し、背面板の任意の１カ所又は複数カ所に嵌 合穴を設け、この嵌合穴に両面に磁極を有する永久磁石を固定し、前面板と背面 板との間に、前記永久磁石と着脱する強磁性体をシート状物挿入方向に正逆回転 自在に設けることによりクリップを構成し前記永久磁石と強磁性体との間にシー ト状物を挟持して磁性壁面に着脱自在にしたものである。さらに、強磁性体の落 下防止のために、前面板が背面板の永久磁石と対応する位置に強磁性体と係合す る開口部を設けることにより、より使用勝手の良い構造にすることができる。

【０００６】

【考案の実施の形態】

本考案によるクリップは両面に磁力を有する永久磁石を背面板に固定し、この 背面板と前面板との間に曲面を有する強磁性体を装着し、かつ、強磁性体の凸状 の曲面と前記永久磁石とを着脱自在に構成し、永久磁石の一面側と強磁性体との 間でシート状物を挟持すると共に永久磁石の他面側を磁性壁面に吸着し、着脱自 在に掲示できるようにしたものである。

【０００７】 前面板が背面板に固定した永久磁石と対応する位置に開口部を設け、この開口 部の外形を強磁性体の外形よりも小さくし、開口部と強磁性体とを係合するよう に構成し、強磁性体の落下防止とクリップ間隔の維持を行っている。

【０００８】 前面板と背面板とは連結部と共に一体成型される場合と前面板と背面板とを個 別に形成し、柱状、板状など任意の形状の接続部によって一体化する場合がある 。前面板、背面板及び接続部はプラスチックス、金属、木、厚紙など容易に変形 せず、クリップ用として所定の厚さと堅さを有する素材あるいは剛性を有する素 材であれば良く材質は問わない。前面板と背面板はかならずしも同一素材とは限 らず、異なった素材の物を接続したり、透明体で一体成型し、または前面板のみ 透明体にしたり、一部分のみ透明又は不透明にすることもできる。前面板及び背 面板の形状は円、三角形、多角形、具象物の形状など種々のものがあり特に限定 するものではない。前面板と背面板とは同一形状に限らず相似形や全く異なった 形状にすることもあり、素材、形状、模様、色彩を種々組み合わせることができ る。前面板及び背面板を剛性を有する素材で形成した場合は剛性のない素材を用 いたときよりも多くのシート状物を挟持することができる。

【０００９】 本考案の永久磁石はネオジウム系、サマリウム・コバルト系、フェライト系、 マンガン・アルミ系等が用いられ、両面に磁力を有する。永久磁石は必要に応じ た接着剤を用い背面板に設けた嵌合穴に嵌め込み固定する。嵌合穴は貫通し背面 板と同一の厚さの永久磁石を固定することが磁石の効率上、最も望ましい。しか し、背面板の前面側に薄肉部を残した凹状の嵌合穴に永久磁石を固定することも ある。この場合、薄肉部を介して強磁性体を吸着できるように強力な磁力のもの を使用する。薄肉部を有する構造の場合、前面板が透明体でもシート状物挟持前 に前面側から永久磁石が見えないため外観の良好な製品を提供できると共に有底 の嵌合穴に永久磁石を挿入固定するため加工も容易で作業効率を上げることがで きる。

【００１０】 強磁性体の材質は鉄、普通鋼、高クロム系ステンレススチール、パーマロイ、セ ンダスト、金属系磁石材料、酸化物磁石材料等が挙げられる。強磁性体は未着磁 であっても着磁したものであっても良いが、着磁した強磁性体を用いる場合、例 えば背面板に設けた永久磁石に両面二極を用いるなど、異極同士が容易に対応で きるように着磁することが望ましい。

【００１１】 前面板と背面板との間に設けた強磁性体は凸状の曲面が平面状の永久磁石に接 触し、シート状物挿入方向に回動自在に形成されている。しががって、その形状 は球形、卵形、円柱形、楕円球形、楕円柱形、四辺形を湾曲したものなど永久磁 石と接触する凸状曲面を有し、シート状物挿入方向に回動自在に装着できるもの であれば良い。

【００１２】 クリップを使用する場合、まず、メモ用紙等のシート状物を強磁性体の凸状曲 面と永久磁石との間に挿入すると強磁性体が回動し、シート状物を挿入方向に案 内するように移動する。挿入動作を止めると永久磁石の吸引力により強磁性体の 安定する位置で永久磁石と吸着しシート状物を挟持することができる。シート状 物を挿入挟持するときに強磁性体と永久磁石とが一瞬離れ、つぎの瞬間にはシー ト状物を介在して永久磁石の磁力で吸着される。

【００１３】 前面板に開口部を有する場合、前記のシート状物の挿入動作中に強磁性体が開 口部と係合し、永久磁石から離れても落下するおそれが全くない。開口部を設け ない場合も前面板と背面板との間隔が狭く、常に永久磁石の磁力が働いているの で、強磁性体と永久磁石とが一瞬離れても落下することは希である。また、机上 で実際に使用するときはクリップを横にして水平方向にシート状物を挿入するこ とが多く、強磁性体の落下を危惧する必要はない。

【００１４】 更にクリップに書類を挟むだけでなく、スチール製家具の壁面に永久磁石によ って吸着固定し掲示することもできる。クリップを壁面に固定すると、壁面側の 漏洩磁束が阻止され、ヨークを設けたときと同様の効果により磁束が増大し、強 磁性体を強力に吸着することができる。すなわち、机上でシート状物を挿入して いるときよりも強力にシート状物を挟持でき、多くのシート又は厚みのある物を 落下のおそれなく吊り下げることができる。

【００１５】

【実施例１】 図１〜図４に従って説明する。図１は断面図、図２は正面図、図３は背面図、 図４は使用状態の要部を断面した側面図である。

【００１６】 １は前面板、２は背面板で、前面板１及び連結部３と共にプラスチックスによ り一体成型されている。４は背面板２に設けた嵌合穴に固定した両面二極の永久 磁石、５は着磁されていない強磁性体で、長方形を湾曲した形状を有し、前面板 １と背面板２との間に設けられている。強磁性体５の凸状の湾曲面と永久磁石４ とが吸着することにより紙等のシート状物６を介在挟持することができる。強磁 性体５はシート状物６を挿入する方向に湾曲面が正逆回動するように配設されて いる。

【００１７】 本実施例のクリップを使用する場合、まず、メモ用紙等のシート状物を強磁性 体５の湾曲面と永久磁石４との間に挿入すると強磁性体５が回動し、シート状物 ６を挿入方向に案内するように移動し、挿入動作を止めると永久磁石４の吸引力 により強磁性体５の安定する位置に戻りシート状物６を挟持することができる。 即ち、書類を止めるクリップとして机上等で使用することができる。シート状物 ６を挿入挟持するときに強磁性体５と永久磁石４とが一瞬離れ、つぎの瞬間には シート状物６を介在して永久磁石４の磁力で吸着される。永久磁石４から一瞬離 れることから強磁性体５の落下する場合も考えられるが、机上で実際に使用する ときはクリップを横にして水平方向にシート状物６を挿入することが多く、強磁 性体５の落下を危惧する必要はない。

【００１８】 更にクリップに書類を挟むだけでなく、図４に示したようにスチール製家具の 壁面７に永久磁石４によって吸着固定し掲示することもできる。クリップを壁面 ７に固定すると、壁面７側の漏洩磁束が阻止され、ヨークを設けたときと同様の 効果により磁束が増大し、強磁性体５を強力に吸着することができる。

【００１９】 本実施例では前面板は全面を装飾面として色彩や模様を施すことができ、広告 面として社名や商品名を入れることもできる。また一体成型した前面板１、背面 板２及び連結部３は一部または全体を透明体で形成することにより、模様や広告 を清涼感あるものにしたり、背面板２に表示した模様や広告を前面板１を介して 見るようにするなど、不透明体では得られない効果を上げることもできる。

【００２０】

【実施例２】 図５〜図７は他実施例を示したものである。前面板８及び背面板２は三角形状 に形成されている。前面板８と背面板２とは同一の材質に限らず、一方をプラス チックス、他方を木製にする等、異なった材質を使用しても良く、また、前面板 ８のみ透明体にしたり、それぞれ異なった着色をして種々のデザインを選択する ことができる。９は前面板８に設けた楕円状開口部で、背面板２に嵌合固定した 永久磁石４と対応する位置に設けられている。１０は前面板８と背面板２を接続 した接続棒で、２個の角部に設けられている。１１は前面板８と背面板２との間 に配設した楕円球状の強磁性体で、背面板２に固定した永久磁石４と異極同士が 対応して吸着するように着磁されている。強磁性体１１は楕円状開口部９よりも 長径及び短径共若干大きく、シート状物挿入方向に正逆回動自在に設けられてい る。

【００２１】 強磁性体１１はシート状物を挿入すると回動しシート状物を案内すると同時に 、強磁性体１１は楕円状開口部９と係合し、挿入動作を止めると強磁性体１１は 安定した位置で永久磁石４と吸着してシート状物を挟持することができる。本実 施例の場合、強磁性体１１の幅を前面板８と背面板２との間隔と同一又は若干狭 くしたことにより、シート状物挿入動作時に楕円状開口部９と係合し強磁性体１ １の落下を防止し、同時にシート状物を介在して永久磁石４に吸着するために最 も適当なクリップ間隔を維持している。

【００２２】

【実施例３】 図８及び図９は第３の実施例を示したもので、前面板、背面板及び接続部を透 明な合成樹脂によって一体成型したものである。背面板１２の下方背面側には永 久磁石４用の嵌合穴を有する。この嵌合穴は貫通されておらず薄肉部１３を有す る。１４は前面板に設けた円形開口部で、背面板１２の永久磁石４装着位置と対 応する位置に設けられている。１５は球形の強磁性体で、薄肉部１３を介して永 久磁石４と吸着し、かつ開口部１４と係合している。

【００２３】 本実施例では前面板と背面板との間隔８ｍｍとし、強磁性体１１として鉄球の 直径１０ｍｍ、永久磁石４として両面二極の焼結磁石を用いている。このクリッ プをスチール製ロッカーの壁面に吸着し、平均厚み０．０８５ｍｍ、Ｂ５判のコ ピー用紙５枚を１枚づつ挿入した後、１枚づつ取り出したところ、壁面に固定し た状態で円滑かつ確実に出し入れできることが確認された。また、薄い紙でなく 小冊子状の厚い物についてもクリップ代相当の厚みを挟持することができる。前 面板及び背面板として剛性を有する材質を使用した場合はクリップ代よりも若干 厚みのあるシート状物を挟持することができる。

【００２４】

【実施例４】 実施例１〜３では１対の前面板と背面板に対して１対の強磁性体と永久磁石を 設けたが、図１０に示すように、複数個所でシート状物を挟持できるように１対 の前面板と背面板に複数の強磁性体と永久磁石を設けることもある。シート状物 挟持部を複数個所に設けたクリップは同時に複数のメモ等を並列して掲示できる ので、メモが重なっているための見落としを防止でき、また１対の強磁性体と永 久磁石では挟持しにくい広い面積のシート状物を複数の強磁性体と永久磁石で挟 持することができる。

【００２５】

【考案の効果】

本考案は上記のような構成及び作用を有するので、製造加工上、１個の永久磁 石を固定することによりシート状物を挟持すると同時にスチール製壁面等への掲 示機能を果すことができる。また、永久磁石と曲面部分で接触した強磁性体が回 動することによりシート状物を抵抗なく円滑に挿入または引き抜くことでき、片 手で操作できクリップとして使用しやすい。また、前面板及び背面板を装飾面又 は広告面として利用でき、特に透明体で形成することにより背面板前面側に表示 した模様等を清涼感のある表示にすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案によるクリップの実施例１を示した断面
図。

【図２】図１の正面図。

【図３】図１の背面図。

【図４】図１の使用状態の要部を断面した側面図。

【図５】本考案によるクリップの実施例２を示した断面
図。

【図６】図５の正面図。

【図７】図５の背面図。

【図８】本考案によるクリップの実施例３を示した断面
図。

【図９】図８の正面図。

【図１０】本考案によるクリップの実施例４を示した斜
視図。

【符号の説明】

１ 前面板 ２ 背面板 ４ 永久磁石 ５ 強磁性体 ８ 前面板 ９ 開口部 １１ 強磁性体

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 前面板と背面板とを一体的に構成したフ
   レームを透明又は不透明体で形成し、背面板の任意の１
   カ所又は複数カ所に嵌合穴を設け、この嵌合穴に、両面
   に磁極を有する永久磁石を固定し、前面板と背面板との
   間に、前記永久磁石と着脱する強磁性体をシート状物挿
   入方向に正逆回動自在に設け、永久磁石と強磁性体との
   間にシート状物を挟持して磁性壁面に着脱できるように
   したことを特徴とするクリップ。
2. 【請求項２】 前面板が背面板の永久磁石と対応する位
   置に強磁性体と係合する開口部を設け、強磁性体の落下
   防止用とした請求項１記載のクリップ。