JP3049767B2

JP3049767B2 - 耐熱性に優れたＴｉ合金

Info

Publication number: JP3049767B2
Application number: JP2337270A
Authority: JP
Inventors: 廣一山田; 昭弘鈴木; 知人飯久保
Original assignee: Daido Steel Co Ltd
Current assignee: Daido Steel Co Ltd
Priority date: 1990-11-30
Filing date: 1990-11-30
Publication date: 2000-06-05
Anticipated expiration: 2015-06-05
Also published as: JPH04202729A

Description

【発明の詳細な説明】（産業上の利用分野）この発明は耐熱性に優れたTi合金に関する。

（発明の背景）自動車，航空機，産業用ガスタービン等において、燃
焼効率を高め、高性能化，低燃費化を図る上で燃焼温度
を高めることが必要であり、そこで高温での使用に耐え
る材料の研究，開発が行われている。

Ti合金は高温における比強度が高く、この種耐熱高強
度材料として有用なものである。第１表は、従来用いら
れているTi合金の代表的な例と耐用温度とを示したもの
である。

（課題を解決するための手段）本発明は、従来知られているTi合金よりも更に耐熱性
に優れたTi合金を提供すべく成されたもので、その発明
に係るTi合金の要旨は、重量基準でAl:4.5〜7.0％,Sn:
3.0〜5.0％,Zr:2.5〜6.0％,Mo:1.0％超〜7.0％,Si:0.05
〜0.5％,Nb:3％以下，残部実質的にTiから成ることにあ
る。

本発明は、α相領域を拡げるα安定化元素としてのA
l,α，β相両相の安定に影響しない（中性的元素）Sn,Z
r及びβ安定化元素としてのMoを添加するとともに、粒
界強化元素としてのSiを添加し、そしてα安定化元素並
びに中性的元素の各成分及びSiを上記範囲内に成分制御
し、とりわけβ安定化元素としてのMoを1.0％超〜7.0％
と比較的多量に添加・含有させることを特徴とするもの
であり、これによって耐熱性が600〜610℃程度まで向上
することを確認し得た。

本発明では、上記成分に加えて更にNbを３％以下の量
で含有させる。ここでNbは、Moと同様Ti合金におけるβ
相を安定化するものであり、かかるNbを特定量含有させ
ることにより耐熱性を高めることができる。

また本発明では更に、重量基準でAl:4.5〜7.0％,Sn:
3.0〜5.0％,Zr:2.5〜6.0％,Mo:1.0％超〜7.0％,Si:0.05
〜0.5％,Nb:3％以下を含有するとともに、Ta,W,Cr,V,N
i,Co,Fe,Mn,Cuの何れか１種又は２種以上を総計で５重
量％以下の量で且つそれらが 0.75％≦Mo＋Nb＋Ta＋Ｗ＋Cr＋Ｖ＋Ni＋Co＋Fe＋Mn＋Cu≦10％を満足する量で含有し、残部実質的にTiから成るように
Ti合金を組成することができる。

このTi合金の特徴は、Ta,W,Cr,V,Ni,Co,Fe,Mn,Cu等β
相を安定化する成分を所定量範囲でTi合金中に含有させ
るようにしたものであり、これによってTi合金の耐熱性
を効果的に向上させることができる。尚これら成分元素
をあまり多く含有させるとβ相が増え過ぎ、短時間での
高温強度は上昇するものの添加過多によってクリープ強
度が低下する。この悪影響を回避し得る範囲は10％以下
であることが確認されている。

本発明では、更に加えてC,Y,B,希土類元素,Sの１種或
いは２種以上を総計１％以下で含有させることができ
る。

これら成分元素は、結晶粒界に析出して粒界を強化
し、以ってクリープ特性を有効に改善する。

次に本発明における各成分の含有量限定理由について
詳述する。

Al:4.5〜7.0％ Alはα相の固溶強化元素である。但し4.5％未満では
強化不足となり、逆に7.0％より多いとTi₃Alが形成さ
れ、延性低下をもたらす。

Sn:3.0〜5.0％ Zr:2.5〜6.0％ Sn,Zrは、Alとともにα相の強化元素であり、それぞ
れ3.0％,2.5％以上で有効に働く。但し5.0％,6.0％を超
えると強化の程度が飽和してしまう。

Mo:1.0％超〜7.0％又は0.1〜7.0％ Moはβ相を固溶強化し、鍛造性，熱処理性，引張強度
を向上させる。とりわけ高引張強度,0.2％耐力を得るに
は2.5％以上とすることが望ましい。また拡散速度が遅
く、クリープ強度にも悪影響を与えない。但し下限値未
満では効果が少なく、逆に上限値を超過するとβ相の量
が増え、クリープ特性を低下させるようになる。

Si:0.05〜0.5％ Siは転位を固着し或いは化合物形成し、クリープ特性
を改善する。但し0.05％未満ではその効果が少なく、逆
に0.5％を超えると効果が飽和してしまう。

Ta,W,Cr,Ni,V,Co,Fe,Mn,Cu:総計で５％以下且つ 0.75％≦Mo＋Nb＋Ta＋Ｗ＋Cr＋Ｖ＋Ni＋Co＋Fe＋Mn＋Cu≦10％これらはMoと同様β相を安定化する元素であり、添加
によって鍛造性，熱処理性，引張強度を向上させる。但
し上記所定量より多く加えるとβ相の量が増え、却って
クリープ特性を低下させてしまう。

C,Y,B,希土類元素,S:総計で１％以下これらはSiと同様の働きを有する元素であるが、総計
で１％より多く加えると効果が飽和するばかりか化合物
の量が増え、延性低下の原因ともなる。

（実施例）次に本発明の特徴を更に明確にすべく、以下にその実
施例を詳述する。

プラズマ溶解により約10kg,直径約100mmの、第２表に
示す組成の鋳塊を製造後、1150℃で分塊し、その後1000
℃で鍛伸加工し、直径20mmの棒材を作成した。これをβ
トランザス温度直下で溶体化処理し、630℃で時効処理
し、供試材とした。その供試材について常温での引張試
験,600℃での引張試験,600℃でのクリープ試験を行った
ところ第３表の結果を得た。

この結果から分かるように、本発明例のものは比較例
のものに比べて600℃でのクリープ特性が同等ないし若
干良好であり、また常温から600℃までの引張特性が比
較例のものに比べて良好となっている。

以上本発明の実施例を詳述したが、これはあくまで本
発明の一具体例であり、本発明はその主旨を逸脱しない
範囲において、当業者の知識に基づき様々な変更を加え
た形態で構成可能である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献特開昭60−141841（ＪＰ，Ａ) 特開平１−242743（ＪＰ，Ａ) 特開平２−22435（ＪＰ，Ａ) 特開昭51−143512（ＪＰ，Ａ) 特開昭59−89744（ＪＰ，Ａ) 特開昭62−89834（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) C22C 14/00

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】重量基準で Al:4.5〜7.0％ Sn:3.0〜5.0％ Zr:2.5〜6.0％ Mo:1.0％超〜7.0％ Si:0.05〜0.5％ Nb:3％以下残部実質的にTiから成ることを特徴とする耐熱性に優れ
たTi合金。
【請求項２】重量基準で Al:4.5〜7.0％ Sn:3.0〜5.0％ Zr:2.5〜6.0％ Mo:1.0％超〜7.0％ Si:0.05〜0.5％ Nb:3％以下を含有するとともに、Ta,W,Cr,V,Ni,Co,Fe,Mn,Cuの何れ
か１種又は２種以上を総計で５重量％以下の量で且つそ
れらが 0.75％≦Mo＋Nb＋Ta＋Ｗ＋Cr＋Ｖ＋Ni＋Co＋Fe＋Mn＋Cu≦10％を満足する量で含有し、残部実質的にTiから成ることを
特徴とする耐熱性に優れたTi合金。
【請求項３】C,Y,B,希土類元素,Sの何れか１種又は２種
以上を総計１％以下の量で更に含有することを特徴とす
る請求項（１），（２）の何れかに記載の耐熱性に優れ
たTi合金。