JP2678083B2 - Ti―Al系軽量耐熱材料 - Google Patents

Ti―Al系軽量耐熱材料

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Description

【発明の詳細な説明】 【発明の目的】
(産業上の利用分野) 本発明は、Ti−Al系軽量耐熱材料に関し、さらに詳し
くは、各種機械構造物部品等の軽量化をはかると共にそ
の強度,室温延性,耐熱性および耐酸化性を改善するの
に利用されるTi−Al系軽量耐熱材料に関するものであ
る。 (従来の技術) エンジンバルブ,ピストン,ロッカーアーム等の高速
往復運動部品、あるいは、ガスタービンやジェットエン
ジンのタービンブレード,ターボチャージャーローター
等の高速回転部品は、近年、エンジン等の高性能化,エ
ンジンの高効率化等に伴なって、ますます軽量性,耐熱
性に優れていることが要求されており、これに応じてこ
れら部品用の材料の研究・開発が盛んに行われている。 現在、これら部品用の材料としては、Ni基の超合金が
主流で、その他にTi合金やセラミックス材料等が用いら
れているが、このNi基の合金は重量が重いという欠点が
有り、またセラミックス材料は靭性に劣り、上記部品の
材料としては信頼性に欠けるという難点がある。 そこで、近年、Ti−Al金属間化合物をベースとするTi
−Al系材料が注目されている。このTi−Al系材料は、軽
量性においてNi基合金よりも優れ、延性においてセラミ
ックス材料よりも優れているが、部品の使用温度域特に
800℃以上では、耐酸化性が悪くなるという欠点を有し
ており、このため、NbおよびSiを複合添加して耐酸化性
をより一層向上させたものも開発されている。 (発明が解決しようとする課題) このように、NbおよびSiを複合添加することにより、
耐酸化性をより一層向上させたTi−Al系軽量耐熱材料で
は、Ni基超合金である例えばインコネル713Cと同等の優
れた引張比強度(強度/比重)を有しているが、室温お
よび高温における延性がいまだ十分でなく、したがっ
て、NbおよびSiの複合添加により耐酸化性をより一層向
上させたTi−Al系の軽量耐熱材料においてその室温およ
び高温での延性をさらに向上させることが望まれるとい
う課題があった。 一方、Ti−Al系軽量耐熱材料において、常温延性を向
上させる元素としては、Mn,Cr等が提案されているが、
耐酸化性との両立性まで含めた組成について検討されて
いる例はなく、特に、TiAl−Si−Nb系材料の優れた耐酸
化性を損なうことなく常温および高温における強度なら
びに延性を改善する材料の開発が強く望まれていた。 (発明の目的) 本発明は、このような従来の課題にかんがみてなされ
たもので、NbおよびSiの複合添加により耐酸化性をより
一層向上させたTi−Al系の軽量耐熱材料において、室温
および高温の延性ならびにその強度をさらに向上させる
ことを目的としている。
【発明の構成】
(課題を解決するための手段) 本発明に係わるTi−Al系軽量耐熱材料は、重量%で、
Al:32〜36%、Si:0.1〜0.25未満%、Nb:0.1〜5.0%、C
r:0.1〜1.49未満%を含み、必要に応じてB:0.005〜0.20
0%を含み、同じく必要に応じてO:0.3%以下、N:0.2%
以下、C:0.3%以下であり、残部が実質的にTiより成る
構成としたことを特徴としており、このような発明の構
成を前述した従来の課題を解決するための手段としてい
る。 次に、本発明に係わるTi−Al系軽量耐熱材料の化学成
分組成(重量%)の限定理由について説明する。 Al:32〜36% AlはTiとともに金属間化合物TiAlおよびTi3Alを構成
する必須の元素であり、Al含有量が少なすぎるとTi3Al
の生成量が多くなりすぎて延性および靭性が低下すると
共に耐酸化性にも劣ったものとなり、反対にAl含有量が
多すぎるとTiAl単相化、またはAl3Ti生成量の増大をき
たして、延性および靭性が低下したものとなり、このよ
うなTiAl/Ti3Alの2相合金において高強度・高靭性を得
るためには合金中のTi3Alが5〜40体積%存在するよう
になすことが必要であり、このためAl含有量を32〜36%
の範囲とした。 Si:0.1〜0.25未満% SiはNbと共に複合添加することによってSi単独の場合
に比べて耐酸化性をさらに向上させるのに有効な元素で
あり、Nbとの共存によってその効果が現われるのは0.1
%からである。しかし、0.25%以上含有させると珪素化
合物を生成して常温延性および靭性が低下する。以下の
理由で、本発明では、Si含有量を0.1〜0.25未満%とす
る。 Nb:0.1〜5.0% NbはSiと共に複合添加することによってNb単独の場合
に比べて耐酸化性をさらに向上させるのに有効な元素で
あり、Siとの共存によってその効果が現われるのは0.1
%からであり、Nbの含有量が増加するにつれて耐酸化性
が向上するが、その効果は5.0%でほぼ飽和する。従っ
て、本発明では、その上限値を5.0%とする。なお、Nb
を5.0%を超えて含有させると、このNbの比重が大きい
ことから、本来軽量性を特長とするTi−Al系材料の比重
が増大してその利点が減殺されてしまう。また、この他
にも,高価なNbの多量添加によって材料コストがいたず
らに高くなってしまう不具合も生ずる。そして、Nb含有
量のより望ましい範囲は、0.1〜3.0%である。 Cr:0.1〜1.49未満% CrはTiAlおよびTi3Alの両方に固溶するが、特にTiAl
の方に多量に固溶する元素である。そして、CrがTiAl中
に固溶すると固溶強化によって強度および延性が飛躍的
に向上する。このような効果が現われるのは、0.1%か
らであるが、1.49%以上であるとその効果はほぼ飽和
し、むしろ延性が低下すると共に耐酸化性の劣化に対す
る影響が大となる。従って、本発明では、0.1〜1.49未
満%の範囲とした。そして、このCr含有量のより望しい
範囲は0.1〜2.0%である。 B:0.005〜0.200% BはTiAl/Ti3Al2相合金の結晶粒を微細化し、高温延
性を改善する効果を有する。また、鋳造においては湯回
り性を改善する効果を有する。そして、これらの効果が
現われるのは0.005%からであるが、0.200%を超えると
硼化物であるTiB2が多量に析出して強度および延性を低
下させることになるので、添加するとしても0.005〜0.2
00%の範囲にする必要がある。 C:0.3%以下 CはTiAlおよびTi3Al中に固溶してこれを強化するこ
とにより強度を増大させる作用を有しているが、0.3%
を超えると延性を低下させるため有害となるので0.3%
以下とすることが望ましい。 O:0.3%以下 OはCと同様にTiAlおよびTi3Al中に固溶してこれを
強化することにより強度を増大させる作用を有している
が、0.3%を超えると延性を低下させるため有害となる
ので0.3%以下とすることが望ましい。 N:0.2%以下 NはC,Oと同様にTiAlおよびTi3Al中に固溶してこれを
強化することにより強度を増大させる作用を有している
が、0.2%を超えると延性を低下させるため有害となる
ので0.2%以下とすることが望ましい。 Ti:残部 TiはTiAl/Ti3Al2相合金においてTiAlおよびTi3Alを構
成する必須の元素であるので残部とした。 本発明に係わるTi−Al系軽量耐熱材料は上記の化学成
分組成を有するものであり、この材料においてはTiAl/T
i3Alの微細ラメラー組織を有している場合が最も特性が
良い。したがって、ラメラー間隔を広くしたりTi3Alを
球状化させたりするような高温熱処理は好ましくないと
いえる。 また、本発明に係わる軽量耐熱材料は溶解法によって
容易に得ることが可能であるが、粉末法によっても製造
が可能である。 さらにまた、本発明に係わる軽量耐熱材料は、従来の
材料に比べて延性が向上しているので、鋳造のみならず
鋳造によっても軽量な耐熱部材の製造が可能である。 (発明の作用) 本発明に係わるTi−Al系軽量耐熱材料は、重量%で、
Al:32〜36%、Si:0.1〜0.25未満%、Nb:0.1〜5.0%、C
r:0.1〜1.49未満%を含み、必要に応じてB:0.005〜0.20
0%を含み、同じく必要に応じてO:0.3%以下、N:0.2%
以下、C:0.3%以下であり、残部が実質的にTiより成る
構成とし、TiAl中にTi3Alが5〜40体積%含有するよう
にしたものであるから、高強度・高延性が得られ、Siお
よびNbの複合添加によって耐酸化性が著しく改善された
ものになると共に、Crの添加によってTiAlの室温延性お
よび室温から高温での強度が飛躍的に向上したTi−Al系
軽量耐熱材料となる。さらに、Bを添加することによっ
て結晶粒が微細化され、Cr添加の効果と相まって高温に
おける延性が改善されるだけでなく、鋳造性も改善され
る。さらにまた、上記各元素を添加することで、合金の
融点が低下するので、鋳造性が改善されるという作用が
もたらされる。 (実施例) 原料として、スポンジTi,粒状Alおよびその他の添加
元素として純金属を用い、プラズマ・スカル溶解炉によ
りAr雰囲気中で第1表に示す化学成分組成の合金を溶製
し、それぞれ約5kgのインゴットに鋳造した。 次に、各インゴットから鋳造のままの状態で引張試験
片および耐酸化試験片を切り出して、室温および高温の
引張試験、ならびに耐酸化試験を行った。 これらのうち、引張試験は室温,700および900℃で行
い、また、耐酸化試験は第2表に示すように900℃まで
の繰返し加熱・冷却による酸化増量を測定することによ
って行った。 これらの引張試験および耐酸化試験の結果を第1表に
あわせて示す。 第1表に示すように、従来のTi−Al系材料であるNo.
3,No.7では酸化増量が著しく大きいものとなっており、
耐酸化性があまり良くないと共に、Crを添加していない
No.5,No.8は強度,延性があまり良くないものになって
おり、また、Crを添加せずにMnを添加したNo.6は耐酸化
性,延性は良いが、強度があまりよくないものとなって
いる。さらに、Si,Nbを添加していないNo.4は耐酸化性
が著しく劣っており、Siを含まないNo.9およびCr含有量
が多すぎるNo.10は耐酸化性に劣ったものになってい
る。 これに対して、本発明に係わるTi−Al系軽量耐熱材料
であるNo.1,No.2ではいずれも耐酸化性が良くなってい
ると同時に室温および高温での強度ならびに延性が共に
優れたものとなっている。 このように、本発明に係わるTi−Al系軽量耐熱材料
は、耐酸化性ならびに室温および高温における強度,延
性が優れたものとなっており、高温において使用されか
つイナーシャの少ないことが望まれる高速往復運動部品
やタイムラグの少ないことが要求される高速回転運動部
品などの素材として適したものであることが認められ
た。
【発明の効果】
本発明に係わるTi−Al系軽量耐熱材料は、重量%で、
Al:32〜36%、Si:0.1〜0.25未満%、Nb:0.1〜5.0%、C
r:0.1〜1.49未満%を含み、必要の応じてB:0.005〜0.20
0%を含み、残部実質的にTiより成るものであるから、
耐熱性に優れていると共に、室温および高温強度ならび
に延性に著しく優れたものであって、とくに高温で使用
される高速往復運動部品や高速回転部品の素材として適
したものであり、しかも軽量であって単なる部品の軽量
化にとどまらずイナーシャやタイムラグの少ない部品を
提供することができるようになるという著しく優れた効
果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
第1図は耐酸化試験に用いた加熱・冷却パターンを示す
説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯久保 知人 愛知県名古屋市熱田区一番1丁目20―34 (72)発明者 野田 俊治 愛知県知多郡阿久比町大字福住字高根台 16―3 (56)参考文献 特開 平3−226538(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、Al:32〜36%、Si:0.1〜0.25未
    満%、Nb:0.1〜5.0%、Cr:0.1〜1.49未満%を含み、残
    部が実質的にTiより成ることを特徴とするTi−Al系軽量
    耐熱材料。
  2. 【請求項2】重量%で、Al:32〜36%、Si:0.1〜0.25未
    満%、Nb:0.1〜5.0%、Cr:0.1〜1.49未満%、B:0.005〜
    0.200%を含み、残部が実質的にTiより成ることを特徴
    とするTi−Al系軽量耐熱材料。
  3. 【請求項3】重量%で、O:0.3%以下、N:0.2%以下、C:
    0.3%以下であることを特徴とする請求項第1項または
    第2項に記載のTi−Al系軽量耐熱材料。
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