JP2001234292A - 高温強度に優れた低熱膨張Fe基耐熱合金 - Google Patents
高温強度に優れた低熱膨張Fe基耐熱合金Info
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Abstract
る。 【解決手段】 質量%にて、C:0.2以下、Si:
1.0以下、Mn:2.0以下、Cr:2.0〜8.
0、Al:1.0〜2.0、Ti:1.2〜2.5、N
b:3.0〜6.0、Ni:30〜35、Co:20〜
30を含有し、かつ質量%で、A値=(Al+Ti+N
b):6.2以上、質量%比でB値=3.44Al/
(3.44Al+1.94Ti+Nb):0.3〜0.
5、原子%比で、C値=(Al/Ti):1.1〜1.
8、D値=(Ti/Nb):0.4〜1.0の関係を有
し、残部は不純物を除き実質的にFeからなり、800
℃の高温引張強さが500MPa以上、30〜500℃
の平均熱膨張係数が12×10 -6/℃以下、800℃の
大気中で100hr加熱後の酸化増量が3.0g/m2
以下である合金。
Description
耐酸化性と強度に優れ、かつ低い熱膨張係数を必要とさ
れる耐熱合金に関するものである。特に、セラミックス
や超硬合金と接合して使用される複合材部品やガスター
ビン部材などに使用される低熱膨張の高強度耐熱合金に
関するものである。
昇に伴い、常温から高温までより高い耐力や引張強さを
備えた合金が要求される。同時に、例えばターボチャー
ジャーのセラミックロータと金属軸を接合するターボカ
ラーのように、セラミックスや超硬合金などの低熱膨張
材料と接合して使用される金属材料として、各種の部品
や部材間のクリアランスを常温から高温まで一定量に維
持するために熱膨張係数の低い材料が要求されている。
でありながら高温強度を兼ね備えた金属材料の要求がま
すます増加している。さらに、これらの用途には高温で
使用する際の耐酸化性の向上が要求されている。
昭53−6225号に記載の低熱膨張合金(質量%でN
i:30〜57、Cr:1.7〜8.3、Ti:1〜
2、Nb+0.5Ta:1.5〜5.0、Co:≦3
1、Al≦1.5、C:≦0.2、Mn:≦2.0.S
i:≦1.0、B:≦0.03、残部Fe)や、本願発
明者等が先に特開平6−228714号において開示し
た合金(質量%でC:0.2以下、Si:1.0以下、
Mn:2.0以下、Cr:4を越え10以下、Al:
1.0を超え2.0以下、Ti:0.3〜3.0、Nb
+0.5、Ta:1.5〜7で、Ni:20以上30未
満、Co:20〜35)などがある。
は、代表的なものとして、WASPALOY(Unit
ed Technologies社の商標)がある。こ
の合金は、厳しい高温強度や耐酸化性が要求されるジェ
ットエンジンの部品などに使用されている。
熱膨張材料との接合部材として使用される金属材料の場
合、高温で容易に塑性変形を起こすと、接合部材として
の機能が果たせない。そのため、かかる用途では低い熱
膨脹係数とともに、高温における高い引張強さと合わせ
て高い耐力が要求される。また、同時に高温で長時間使
用すると脆化相が析出して強度が低下するような材料
は、高温で使用できないことを考慮しなければならな
い。
号に記載される低熱膨張合金は、700℃を越えて90
0℃程度までの高温に長時間曝される場合、組織が不安
定化して高温強度が低下することが認められる。また、
Niとの割合に対するCoの含有量も少ないため熱膨脹
係数を上げ、高温強度を下げることが認められる。高温
強度については、Alの他にγ´相を形成するTi,N
bの総量が少ないことに起因すると解される。また、本
願発明者等が開示した特開平6−228714号に記載
される合金も、同様にNiが30%未満であるために高
温長時間使用されると基地組織が不安定化して高温強度
が低下することがある。したがって、上記用途に使用さ
れる金属材料として、上記既存合金は十分に満足されて
いるとは言えない。
Ni基耐熱合金は、良好な高温強度及び優れた耐酸化性
を示すが、オーステナイト系であるために熱膨脹係数が
高く、上記用途に使用するには不適当である。
5号記載の既存合金と同様の低い熱膨張係数を有しなが
ら、該合金よりも高温の組織安定性が良好で耐酸化性に
優れ、かつNi基耐熱合金に近い常温から高温まで強度
の高い低熱膨張の高強度Fe基耐熱合金を提供すること
を目的とする。特にガスタービン部材やセラミックスお
よび超硬合金との複合材等の部品に適した耐熱合金を提
供することにある。
題点を解決すべく、Fe−Co−Ni系合金を対象に実
験を行なった結果、高温強度をさらに上げるためには、
基地であるγ(オーステナイト)相と析出強化相である
γ′(ガンマプライム)相をより安定化させることが重
要であることを見出し、下記A,B,C,D値の概念を
導入することにより本発明に至った。
膨張の高強度Fe基耐熱合金は、質量%にて、C:0.
2以下、Si:1.0以下、Mn:2.0以下、Cr:
2.0〜8.0、Al:1.0〜2.0、Ti:1.2
〜2.5、Nb:3.0〜6.0、Ni:30〜35、
Co:20〜30を含有し、かつ質量%で、A値=(A
l+Ti+Nb):6.2以上、質量%比で、B値=
3.44Al/(3.44Al+1.94Ti+N
b):0.3〜0.5、原子%比で、C値=(Al/T
i):1.1〜1.8、D値=(Ti/Nb):0.4
〜1.0の関係を有し、残部は不純物を除き実質的にF
eからなることを特徴とするものである。
の高強度Fe基耐熱合金は、質量%にて、(Mo+0.
5W):3.0以下のMoとWの1種または2種を含有
することことができ、さらに、第1グループとして、質
量%にて、B:0.02以下とZr:0.1以下の1種
または2種、第2グループとして、質量%にて、Y:
0.2以下とREM:0.2以下の1種または2種、第
3グループとして、質量%にて、Mg0.02%以下と
Ca0.02%以下の1種または2種、のいずれかの1
グループ若しくは2以上のグループを含むことができ
る。
の高強度Fe基耐熱合金は、800℃における高温引張
強さが500MPa以上で、30〜500℃の平均熱膨
張係数が12×10-6/℃以下で、800℃の大気中で
100hr加熱後の酸化増量が3.0g/m2 以下であ
ることを特徴とするものである。
Alからなる金属間化合物で、Alの他にTi、Nb、
Cr、Moなどの種々の強化元素が固溶した状態で存在
している。とくに、γ′相中でAl側に固溶して強化す
る元素は、TiおよびNbである。本発明の耐熱合金
は、上記のA,B,C,D値の概念を導入して、Al、
TiおよびNbの3元素の添加量を制御することによ
り、γ′相の安定化を達成した。
総量のA値を質量%で6.2以上とすることで、より高
い高温強度を得ることができた。また、添加3元素に占
めるAlの量比のB値は、Nbを基準として質量%比で
記述すると、B値=3.44Al/(3.44Al+
1.94Ti+Nb)で表わされる。このAl量比のB
値を0.3〜0.5の範囲内とし、かつAlとTiの関
係C値=Al/Tiを原子%比で1.2〜1.8とし、
TiとNbの関係D値=Ti/Nbを原子%比で0.4
〜1.0となるように制御することで、従来合金よりも
高温域までγ′相を安定化させて、より安定した組織と
良好な機械的性質が得られることを明らかにした。
は、γ′相を構成する元素の量を増加させることが有効
な手段であり、本発明合金はAl量を従来の低熱膨張耐
熱合金よりも高い1.0%を超える添加量とすることで
γ′相中の高いAl量比を得ることができた。一方、高
いAl量はγ′相の析出量が増えることに繋がり、熱間
加工性を害する方向に向うので、Alの他にγ′相を固
溶強化する効果の大きいTiやNbの最適な添加範囲を
見出すことで熱間加工性と高温強度を両立させることが
できた。
900℃までの高温で長時間保持した場合、γ′相が強
化に寄与しないη相に変態するために高温強度が低下す
る。そこで、本発明合金は、Al/Ti比のC値を制御
することによりη相への変態を抑制することができた。
また、Ti/Nb比のD値をある範囲に制御することに
より高い高温耐力が得られることの知見から(日立金属
技報No.3(1986))、Ti/Nb比のD値を制
御することにより、良好な機械的特性を得ることを考え
た。
ことを目的としている。Crは耐酸化性を高めるのに有
効であるが、熱膨張係数を大きくする。そこで、本発明
合金は熱膨張係数を下げる効果の大きいNi、Coと最
適なCrの添加範囲を見出すことで、低熱膨張特性と高
温耐酸化性の両立を図ることができた。
素の量ならびに量比を制御することで本発明者等は安定
した組織と良好な機械的性質を有する耐酸化性に優れた
低熱膨張の高強度耐熱合金を見出すことができた。
について述べる。Cは、TiやNbと結合して炭化物を
形成し、結晶粒の粗大化を防ぎ強度の向上に寄与する
が、0.2%を越える過度の添加はTiやNbの炭化物
を増し、析出強化元素として作用する基地のTiやNb
を減少させ、また合金の熱膨張係数を増大させるので、
Cは0.2%以下とする。望ましいCの範囲は0.1%
以下である。
粒微細化と粒界形状を改善し、粒界の強度を高めるLa
ves相の析出を促進させるので必須の添加元素であ
る。Laves相はFe2 (Nb,Ta)を基本組成と
し、SiはNb側に固溶して析出を促進させる。この粒
界強化の作用はSiを少量添加することにより効果が現
れる。しかし、1.0%を越える過度の添加は熱間加工
性と高温強度の低下を招くので、Siは1.0%以下に
限定する。より望ましいSiの範囲は0.2〜0.6%
の範囲である。
中に含まれるが、過度の添加は合金の熱膨張係数を増加
させるので好ましくない。したがって、Mnは2.0%
以下に限定する。より望ましくは1.0%以下である。
膜を形成し、耐酸化性を改善し高温強度を向上させる働
きがある。そのためにCrは最低2.0%を超える添加
を必要とするが、8.0%を超える過度の添加は、逆に
キュリー点を下げて、熱膨張係数を増加させる。このた
め、マトリックスを構成するFeとCoおよびNiの比
をいかに調整しても、十分な低熱膨張特性が得られなく
なる。したがって、Crは2.0%〜8.0%の範囲に
限定する。望ましいCrの範囲は2.2〜6.0%、よ
り望ましいCrの範囲は2.5〜4.5%である。
強度を高める析出強化型粒子であるγ′相を構成する元
素であり、本発明において最も重要な元素である。Al
は時効処理によって、(Ni,Co)3 (Al,Ti,
Nb)からなる組成の直径数10nm程度の微細なγ′
相を析出し、高温引張強度及び高温長時間のクリープ破
断強度を著しく向上させる。γ′相中のAlの濃度が低
下すると、700〜900℃程度の高温でγ′相が不安
定となり、六方晶のη(イータ)相や斜方晶のδ(デル
タ)相が析出し、高温強度が著しく低下する。したがっ
て、γ′相中での高いAl量比を得るためには、Alは
最低1.0%を超える添加を必要とする。
加しても、γ′相そのものが十分に強化されず、高温強
度は十分に高くはならない。また、2.0%を超える過
度の添加はγ′相を多量に析出させ、熱間加工性を低下
させるので、Alは1.0〜2.0%に限定する。
形成し、残りのTiとNbが下記に説明するようにAl
とともにNi、Co等と結合し、γ′相を形成して合金
を強化する。Tiは時効処理によって、Ni、Co、A
l、Nbと共にγ′相を析出し、高温引張強度を著しく
向上させる。そのために必要なTi量は最低1.2%で
あるが、2.5%を越える過度の添加はγ′相を不安定
にするとともに、熱膨張係数の増加や熱間加工性の低下
を招くので、Tiは1.2〜2.5%に限定する。より
望ましい添加範囲は1.2〜2.0%である。
i、Co、Alとともにγ′相を析出し、熱問強度を著
しく向上させる。さらに一部のNbは直径数μm程度の
Laves相を粒界および粒内に析出させ、結晶粒を微
細化すると共に、粒界の強度を高める作用を持ち、高温
引張強度及びクリープ破断強度度を著しく向上させる作
用を持つ。したがって、Nbは、3.0〜6.0%の添
加とする。より望ましい添加範囲は3.5〜4.5%で
ある。
について見ると、これを増加すると、高温強度を著しく
高めることができ、Al、Ti、Nbの総量が6.2%
を越えると、時効処理時に多量の金属間化合物(δ相、
γ′相)を析出することでより高い高温強度が得られ
る。そこで、Al、Ti、Nbの総量のA値=(Al+
Ti+Nb)は6.2%以上とした。
めに、上記のAl単独での成分規定の他に、γ′相中で
Al側を構成するAl,TiおよびNbの3元素の添加
量に占めるAlの割合を厳密に制御することが必要であ
る。
基準とすると質量%比で、B値=3.44Al/(3.
44Al+1.94Ti+Nb)で表わされる。このA
l量比のB値が0.3よりも小さいと高温長時間加熱状
態で、γ′相が不安定になることで、十分な強度が得ら
れなくなる。一方、このAl量比のB値が0.5を超え
ると、γ′相は安定になるが、強化が十分にされないた
め、かえって高温強度が低下する。したがって、高温域
までγ′相を安定化させて、従来合金よりも高い強度を
得るためには、B値=3.44Al/(3.44Al+
1.94Ti+Nb)が0.3〜0.5の範囲内である
ことが必要である。より好適な範囲は0.35〜0.4
5である。
相を構成する上で重要である。Al/Ti比のC値が
1.1より小さいと、700℃以上の高温で長時間保持
した際に、γ′相が強化に寄与しない安定相であるη相
へ変態するために、高温強度が大きく低下する危険性が
ある。また、1.8を越えると、γ′相は安定にはなる
が、強化が十分にされないため、十分に強度を高めるこ
とができず、かえって高温強度が低下するようになる。
したがって、Al/Ti比のC値は1.1〜1.8とし
た。より好適な範囲は、1.3〜1.7である。
γ′相を構成する上で重要である。Ti/Nb比のD値
が0.4より小さいと、γ′相に固溶するNbの割合が
増加して耐力は上昇するが、冷間加工性と熱間加工性が
大きく低下するので好ましくない。また、Ti/Nb比
のD値が1.0を越えると耐力が大きく低下するために
高温で長時間使用する場合に材料が塑性変形しやすくな
り、高温においてセラミックスとの接合性が求められる
場合などに好ましくない。したがって、Ti/Nb比の
D値は0.4〜1.0とした。より好ましい範囲は0.
6〜0.8である。
を構成し、FeとCoおよびNiの比は合金の熱膨張係
数と金属間化合物の析出形態に著しく影響を及ぼす。本
発明合金は、従来合金を超える最も高いレベルの高温強
度を付与するために、TiやNbやAlなどの析出強化
元素を多く含むが、同時に従来合金にないFe、Co、
Niの割合を見出して高い高温引張強さと低熱膨張係数
の両立を可能にしたものである。すなわち、本発明合金
のFeとCoとNiの量とその割合により、微細球状の
Laves相の析出量が多くなり、粒界強化に役立ち、
高温のクリープ破断強度強度が高められている。
γ′相が十分に析出し、析出したあとも基地が安定なオ
ーステナイト相となりうるだけの十分なNi量が必要で
ある。そのために必要なNi量は30%以上である。逆
に35%以上のNiは熱膨張係数を増加させ、Lave
s相の析出量を減少させるので、結晶粒の微細化や粒界
強化が困難となり、本発明の目的が達成できなくなる。
したがって、Niは30〜35%であることが重要であ
る。望ましいNiの範囲は30.5〜32.5%であ
る。
スを構成し、熱膨張係数の低下とLaves相の析出に
役立つ。さらに一部のCoはγ′相中で、Ni側に固溶
する。そのためにCoは20%以上の添加を必要とす
る。逆に30%を越えるCoの添加は熱膨張係数の増加
と、過度のLaves相析出にともなう高温強度の低下
をまねくので、Coは20〜30%の範囲とする。望ま
しいCoの範囲は22〜28%である。
加元素ではないが、両者のうちの1種または2種を添加
することで、マトリックスを強化することができ、高温
の強度をより高めることができる。しかし、両者はとも
に合金の熱膨張係数を高めるので過度の添加は好ましく
ない。両者は同属の元素であり、比重の面からはMo
が、耐酸化性においてはWが有利である。本発明におい
てMoやWを添加するときは、(Mo+0.5W)で
3.0%以下の添加とする。この量であれば、本発明合
金の熱膨張特性、耐酸化性、比重を特に害することなく
高温強度が向上する。
晶粒界に偏析して粒界強度を高め、熱間加工性とクリー
プ破断強度の向上に寄与する。その効果は極く微量の添
加から現れ、多量の添加は逆に合金の初期溶融温度を低
下させて熱間加工性を害するので、Bの場合は0.02
%以下に、Zrの場合は0.1%以下に限定する。
たは2種は、それぞれ単独および複合でCr2 O3 の密
着性を増して耐酸化性の改善に寄与するため、選択元素
として添加できる。YとREMの耐酸化性改善の効果は
ともにごく少量の添加から現れるが、過度の添加はYま
たはREMとNi,Fe,Coの金属間化合物を晶出
し、その共晶温度が合金の熱間加工温度よりも低くなる
ために、合金の熱間加工性を低下させる。したがって、
Yは0.2%以下、REMは0.2%以下の添加とす
る。
の1種または2種を添加することは、それぞれ単独およ
び複合で脱酸・脱硫効果を高めるとともに、合金の熱間
加工性と高温延性を高める効果をもつ。そのために、M
gは0.02%以下、Caは0.02%以下の範囲で添
加できる。
は、以下に示す範囲で含有するならば特性上とくに問題
とはならないが、いずれも極力低い方が望ましい。質量
%で、V≦1%、Cu≦1%、Re≦1%、Hf≦0.
2%、P≦0.01%、S≦0.005%、O≦0.0
05、N≦0.005%以上述べた元素の他は、残部F
eで構成される。
ついて述べる。高温強度が低いと、使用の際に材料が軟
化してしまうために、接合部材としての機能を果たさな
くなる。この機能を果たすために要求される強度とし
て、800℃における高温引張強さが500MPa以上
を規定した。
各部品や部材間のクリアランスを常温から高温まで一定
に保つことが困難になるので、合金はセラミックスなど
に近い低熱膨脹係数が要求される。そこで、30〜50
0℃の平均熱膨張係数を12×10-6/℃以下に規定し
た。
中で使用すると、形成する酸化層の密着性が不十分で酸
化層が剥離するために、各部品や部材間の接合が劣化
し、またクリアランスを常温から高温まで一定に保つこ
とが困難になる。そこで、緻密で密着性の良い酸化層を
形成し良好な耐酸化性を示す数値として、800℃の大
気中で100hr加熱後の酸化増量を3.0g/m2 以
下とした。
ることが望ましい。インゴット重量が200〜300k
g以下の場合は、真空の1回溶解のみでも良好な特性が
得られるが、それより大きな重量のインゴットを製造す
る場合は、エレクトロスラグ再溶解や真空アーク再溶解
等の組織改善効果の高い再溶解によるインゴットの製造
がより望ましい。
と同様の熱間加工プロセスによって熱間成形が可能であ
る。さらに必要に応じて冷間の成形を加えて目的とする
製品形状に仕上げることができる。固溶化処理は、La
ves相が残存あるいは析出するとともにγ′相が十分
に固溶する温度範囲で行なう。固溶化処理の好ましい温
度は850〜1100℃である。固溶化処理に先立つ熱
間加工が、固溶化処理を代用できる場合は固溶化処理を
省略してもよい。時効処理は、γ′相が基地と十分整合
し数10nm程度の微細析出粒子として析出する温度で
実施する。時効処理の望ましい温度範囲は600〜85
0℃である。
誘導溶解炉により溶解して10kgのインゴットにし
た。No.1〜9は本発明合金、No.11は前記特開
平6−228714号に記載の従来合金である。比較合
金のNo.21、22は前記特開昭53−6225号に
記載の合金、No.23はNo.22に類似するCr無
添加の合金、No.24はNiべ−スのWASPALO
Yに相当する成分の合金である。また、表2には併せて
前記A,B,C,D値の計算値を示す。
して30mm角の試料とした。その後、すべての合金を
980℃×1hr保持後水冷する固溶化処理を施した。
時効処理は、No.1〜9、11、21〜23の合金
は、720℃×8hr保持後、55℃/hrの冷却速度
で620℃まで冷却し、引続き8h保持後空冷の熱処理
を実施した。No.24合金は、843℃×4hr保持
後空冷した後、さらに760℃×16hr保持後空冷す
る2段時効処理を施した。
張試験、熱膨張測定、及び高温耐酸化試験を行った。高
温引張試験は、800℃においてASTMの試験方法に
基づき、平行部直径6.35mm、標点間距離25.4
mmの引張試験片で実施し、引張強さ及び0.2%耐力
を測定した。熱膨張係数の測定は示差熱膨張測定装置に
より30℃から500℃および800℃までの平均熱膨
張係数を測定した。耐酸化試験は、直径10mm、長さ
20mmの丸棒試験片を、大気中雰囲気で800℃×1
00hrの加熱を行った後、酸化増量値を測定して耐酸
化性を評価した。表3に機械的性質を示す。
本発明の合金No.1〜9の引張強さは1400MPa
台で、1200〜1300MPa台の従来合金No.1
1や比較合金No.21〜24に比して高い強度を有し
ている。耐力についても同様である。
明合金は代表的なNi基耐熱合金の比較合金No.24
(WASPALOY)には劣るものの、低熱膨張のFe
基耐熱合金の中では非常に優れた引張強さと耐力比(耐
力/引張強さ)を有する。
合金No.1〜9はいずれも500MPa以上の引張強
さを示しており、良好な高温引張強さを有している。こ
の値は、Ni基の比較合金No.24(WASPALO
Y)より低いが、Fe基合金としては、従来の低膨張合
金では得られなかった強度である。この中でも、A値が
最も高い合金No.6は最も高い高温引張り強さを有す
る。一方、A値が高くてもB値,C値が高めの合金N
o.2やNo.7は、強度がNo.6に比較してやや低
くなる。また、発明合金の中でもCr量の少ないNo.
2、No.3、No.8は低めの高温引張り強さを示
す。上記の事実から、Crが高温引張り強さの向上に効
果があることが判る。これに対し、比較合金No.21
〜23の高温引張り強さは、約200〜270MPaで
ある。このように本発明合金が良好な高温引張強さを示
すのは、化学成分の他にA,B,C,Dの規定値をすべ
て満足しているためである。従来合金No.11はTi
量の他にA値が、比較合金No.21はA値、C値が、
No.22はA値が、No.23はB値、C値が低いた
めに、いずれも高温引張り強さが低くなっている。
No.1〜9は、従来合金No.11、比較合金No.
21〜23よりも高く、耐力比(耐力/引張強さ)で見
ても、No.21〜23よりはるかに高い。以上のよう
に本発明合金は、常温から高温まで高い強度を有する。
す。
500℃において、9.4〜11.4×10-6/℃、3
0〜800℃において、約14.8×10-6/℃で、従
来合金No.11、比較合金No.21、22とほぼ同
等の低熱膨張を示している。この値はNi基のNo.2
4より低い値である。また比較合金No.23はCrを
含有しないので、熱膨脹係数は低いが下記の耐酸化性に
おいて著しく劣る。
rを無添加としたNo.23合金は、熱膨張係数は低い
ものの、Cr無添加であるために耐酸化性が低下する。
本発明合金は、従来合金No.11、比較合金No.2
1〜23と比較して同等以上の耐酸化性を有し、従来の
Niべ−ス合金の代表であるNo.24合金(WASP
ALOY)と比較してもより高い耐酸化性を有する。
張耐熱合金と同等の熱膨脹係数を有しながら、それら合
金より常温から高温まで高い強度を有するFe基耐熱合
金である。また、高温耐酸化性においても従来合金やN
i基耐熱合金より優れる。
ミックス接合部品および超硬合金接合部品等の用途に使
用すれば、従来合金では得られなかった高い高温強度、
高い高温耐酸化性ならびに低熱膨張特性を同時に満足す
ることができ、常温から高温まで高強度で、かつ各種の
部材や部品間に設けられたクリアランスを常温から高温
まで一定量に維持することが必要な構造用材料への長時
間の適応が可能となる。また、セラミックスや超硬合金
のような低熱膨張材料との接合に際し高強度で信頼性の
高い接合が長時間にわたり得られる。さらに、これらの
用途以外の部品への適用に際しても、発明合金が有する
高温強度、耐酸化性および熱膨張特性の特色を生かした
部品ならば、いずれも良好な特性が得られる。
8)
MPa以上で、30〜500℃の平均熱膨張係数が12
×10-6/℃以下で、800℃の大気中で100hr加
熱後の酸化増量が3.0g/m2 以下であることを特徴
とする請求項1から3のいずれかに記載の高温強度に優
れた低熱膨張Fe基耐熱合金。 ─────────────────────────────────────────────────────
Claims (4)
- 【請求項1】 質量%にて、C:0.2以下、Si:
1.0以下、Mn:2.0以下、Cr:2.0〜8.
0、Al:1.0〜2.0、Ti:1.2〜2.5、N
b:3.0〜6.0、Ni:30〜35、Co:20〜
30を含有し、かつ質量%で、 A値=(Al+Ti+Nb):6.2以上、 質量%比で B値=3.44Al/(3.44Al+1.94Ti+
Nb):0.3〜0.5、 原子%比で、 C値=(Al/Ti):1.1〜1.8、 D値=(Ti/Nb):0.4〜1.0の関係を有し、
残部は不純物を除き実質的にFeからなることを特徴と
する耐酸化性に優れた低熱膨張の高強度Fe基耐熱合
金。 - 【請求項2】 さらに、質量%にて、(Mo+0.5
W):3.0以下のMoとWの1種または2種を含有す
ることを特徴とする請求項1に記載の耐酸化性に優れた
低熱膨張の高強度Fe基耐熱合金。 - 【請求項3】 さらに、第1グループとして、 質量%にて、B:0.02以下とZr:0.1以下の1
種または2種、第2グループとして、 質量%にて、Y:0.2以下とREM:0.2以下の1
種または2種、第3グループとして、質量%にて、Mg
0.02%以下とCa0.02%以下の1種または2
種、のいずれかの1グループ若しくは2以上のグループ
を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の耐酸化
性に優れた低熱膨張の高強度Fe基耐熱合金。 - 【請求項4】 800℃における高温引張強さが500
MPa以上で、30〜500℃の平均熱膨張係数が12
×10-6/℃以下で、800℃の大気中で100hr加
熱後の酸化増量が3.0g/m2 以下であることを特徴
とする請求項1から3のいずれかに記載の耐酸化性に優
れた低熱膨張の高強度Fe基耐熱合金。
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