JP6284232B2 - TiAl基鋳造合金及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、発電用ガスタービンやジェットエンジン等のタービン動翼に用いて好適なTiAl基合金に関し、特に微細な結晶粒径を有し高温クリープ強度と常温延性に優れたTiAl基鋳造合金に関する。
近年、発電用ガスタービンやジェットエンジン等のタービン動翼に用いる材料として、軽量で耐熱性に優れるTiAl基合金が注目されている。特に、大型の回転動翼の場合、動翼の構成部材が軽量であるほど遠心応力が少なくなるので、最高到達回転数の向上や動翼の大面積化、さらには動翼が取り付けられるディスクへの負荷応力の低減を図ることができる。
このTiAl基合金は、高温強度に優れた金属間化合物相であるTiAl相やTiAl相を主体とする合金であり、上述の如く耐熱性に優れている。そして、TiAl基合金部材の製造方法として鋳造法を用いる場合、従来のTiAl基鋳造合金においては、高温クリープ強度を向上させるためには、組成、熱処理条件を調整してα2/γ完全ラメラ組織とすることが一般的である。その場合、高温クリープ強度は向上するが、常温の延性や靱性が低くなると言う問題があった。その最大の理由は結晶粒径(α2/γ完全ラメラ組織のコロニーサイズ)が粗大化するためである。鋳造材では鍛造材と異なり塑性加工によるひずみ効果や再結晶がないため、本質的に結晶粒径が粗大化することは避けられない。
この常温の延性や靱性が乏しいというTiAl基鋳造合金の問題を改善するためには結晶粒径の微細化が必須であることから、結晶粒径を微細化する試みとして、例えば以下の特許文献1−3の提案がある。特許文献1では、製造プロセスの過程で意図的に内部を酸化させることで形成するAl粒子を、粒径粗大化防止のピン留め効果として利用する方法を提案している。特許文献2では、Siを添加することで析出するシリサイドを同様にピン留め効果として利用する方法を提案している。特許文献3では、Bを添加することで析出するホウ化物を同様にピン留め効果として利用する方法を提案している。
特許第3694341号公報 特開平7−252562号公報 特公平7−76399号公報
しかしながら、特許文献1−3の技術では、いずれもいわば異物を強制的にTiAl基合金中に混入させる方法であることから、異物の混入量が少ないとその結晶粒微細化効果は生じず、また混入量が多くなると結晶粒径は微細化するものの、異物としての影響が大きくなり、かえって常温の延性や靱性を低下させる問題があった。
本発明は、TiAl基鋳造合金における上記した問題を解決したもので、異物に頼ることなくTiAl基鋳造合金の結晶粒を微細化することで、高温クリープ強度に優れるとともに、常温の延性や靱性が良好なTiAl基鋳造合金及びその製造方法の提供を目的とする。
本発明のTiAl基鋳造合金は、上記課題を解決するもので、Al:42〜44原子%、Nb:6.0〜9.0原子%、Cr:0.2〜3.5原子%、Si:0.3〜1.0原子%、C:0.3〜1.0原子%、残部:Ti及び不可避不純物からなると共に、次式によって求められる合金元素指数Pが−0.9〜1.5、好ましくは−0.9〜1.0の範囲であることを特徴とする。

P=(41−Al)/3+0.25Nb+0.8Cr−0.8Si−1.7C
本発明のTiAl基鋳造合金において、好ましくは、さらにα2相とγ相が積層された平均粒径30〜200μmのラメラ粒が密に配列してなる微細組織を有すると共に、β相が存在しない組織であるTiAl基鋳造合金である。
本発明のTiAl基鋳造合金の製造方法は、上記課題を解決するもので、α2相とγ相が積層された平均粒径30〜200μmのラメラ粒が密に配列してなる微細組織を有すると共に、β相が存在しない組織を有するTiAl基鋳造合金を製造する方法であって、Al:42〜44原子%、Nb:6.0〜9.0原子%、Cr:0.2〜3.5原子%、Si:0.3〜1.0原子%、C:0.3〜1.0原子%、残部:Ti及び不可避不純物からなると共に、次式によって求められる合金元素指数Pが、−0.9〜1.5、好ましくは−0.9〜1.0の範囲内にあると共に、鋳造後のTiAl基鋳造合金素材を、1250〜1300℃の温度範囲で1〜30時間保持すると共に、3〜20[℃/分]の冷却速度で熱処理する工程とを備えたことを特徴とする。

P=(41−Al)/3+0.25Nb+0.8Cr−0.8Si−1.7C
本発明のTiAl基鋳造合金において、Tiは合金の基本的な構成元素である。
本発明のTiAl基鋳造合金において、Alは42〜44原子%の範囲では、鋳造後の凝固直後の高温ではβ相が存在するが、鋳造素材に対して行う熱処理後の最終的な状態でβは存在せず、α2/γの完全ラメラ組織となり、高温クリープ強度が良好となる。Alが42原子%に満たない場合は、α2相の比率が多くなりすぎるため、延性が低下する。Alが44原子%を超す場合は、α2相の比率が少なくなりすぎるため、高温強度が低下する。
Nbは、TiAl基鋳造合金の耐酸化性向上に寄与するもので、6.0〜9.0原子%がよい。Nbが6.0原子%に満たない場合は、耐酸化性向上が得られない。Nbが9.0原子%を超す場合は、熱処理後の最終的な状態でβ相が残留すると共に、重量が増加するため、特に航空機用では好ましくない。
Crは、TiAl基鋳造合金の鋳造後の凝固直後の高温におけるβ相形成に寄与するもので、0.2〜3.5原子%がよい。Crが3.5原子%を超す場合は、熱処理後の最終的な状態でもβ相が残留するため望ましくない。
Siは、TiAl基鋳造合金の高温クリープ強度向上に寄与するもので、0.3〜1.0原子%がよい。Siが0.3原子%に満たない場合は、高温クリープ強度向上が得られない。Siが1.0原子%を超す場合は、延性が低下する。
Cは、TiAl基鋳造合金の高温クリープ強度向上に寄与するもので、0.3〜1.0原子%がよい。Cが0.3原子%に満たない場合は、高温クリープ強度向上が得られない。Cが1.0原子%を超す場合は、延性が低下する。
本発明のTiAl基鋳造合金において、合金元素指数Pは−0.9〜1.5、好ましくは−0.9〜1.0の範囲が良い。合金元素指数Pが−0.9以下の場合は鋳造後の凝固直後の高温におけるβ相の効果が小さく、結晶粒が粗大化するため延性が低下する。合金元素指数Pが1.5原子%を超す場合は、熱処理後にβ相が残留する場合があるため、高温強度が低く使用可能温度が低くなる。
本発明のTiAl基鋳造合金において、ラメラ粒の結晶粒径が200μm以下となると、常温延性が確保されて好ましい。ラメラ粒の平均粒径を30μm未満とするためには多大な生産コストが発生するため工業製品としては現実的でない。又、平均粒径が200μmを超えると、室温延性、衝撃特性が低下する。
本発明のTiAl基鋳造合金の製造方法において、TiAl基鋳造合金素材を熱処理する際の保持温度はα単相域であり、その温度範囲は1250〜1300℃とする。1250℃未満の場合は、α+γ域のため、完全ラメラ組織が形成されない。1300℃を超す場合は、α+β域のため、冷却速度によってβ相が残留することがあり、クリープ強度が低下する。
本発明のTiAl基鋳造合金の製造方法において、TiAl基鋳造合金素材をα単相域での平衡温度領域内に保持する時間は、1〜30時間とする。保持時間が1時間未満の場合は、時間が短すぎα単相化しないことがある。保持時間が30時間を超す場合は、時間が長すぎ最終的なラメラ粒の結晶粒径が粗大化する。
本発明のTiAl基鋳造合金の製造方法において、TiAl基鋳造合金素材をα単相域での平衡温度領域内に所定時間保持した後の冷却速度は、3〜20[℃/分]がよい。冷却速度が3[℃/分]未満の場合は、遅すぎて、ラメラ粒内のα2相とγ相の間隔が粗大化するため、クリープ強度が低下する。冷却速度が20[℃/分]を超す場合は、速すぎて、α2相の比率が多くなりすぎるため、延性が低下する。
本発明では、組成を従来のTiAl基鋳造合金の組成と大幅に変えることで、従来のTiAl基鋳造材ではなかった相変態過程(L→L+β→β→α+β→α→α+γ→α2+γ)を実現した。この効果により、先行技術において必要であった異物の混入に頼ることなくTiAl基鋳造材の結晶粒径の微細化を可能とした。具体的な効果は以下の通りである。まず、溶解、鋳造後の液相状態からの冷却過程においては高温域で存在するβ相の効果で粒径は微細化する。(2相が共存すると必然的に粒径は小さくなる)。また、鋳造後の熱処理工程において、α相域内で所定の時間保持して所定の冷却速度で冷却させることで、β相が消失するとともに、冷却後に高温強度の高いα2/γ完全ラメラ組織が得られる。つまり、熱処理後の最終的な状態で微細な結晶粒径(コロニーサイズ)のα2/γ完全ラメラ組織となるため、高温強度ならびに常温の延、靱性に優れたTiAl基鋳造材を得ることができる。
つまり、本発明では、従来のTiAl基鋳造合金では困難であった、常温延性と高温強度の両立を可能としたものである。
本発明のTiAl基鋳造合金を高周波溶解炉で溶解した後、鋳鉄製の金型鋳型に鋳造して作製したTiAl基合金鋳造品に関し、(A)は鋳造品正面の、(B)は鋳造品側面の、(C)は用いた鋳鉄製金型鋳型の外観写真である。 図2A、図2B、図2Cは、本発明のTiAl基合金鋳造品の反射電子像組織写真で、(A)は合金5、(B)は合金7、(C)は合金10、(D)は合金13、(E)は合金16を示している。 図3A、図3Bは、比較例として合金元素指数Pが−0.9以下のTiAl基合金鋳造品の反射電子像組織写真で、(A)は合金3、(B)は合金8、(C)は合金14、(D)は合金20を示している。 図4A、図4B、図4Cは、比較例として合金元素指数Pが1.5を超えるTiAl基合金鋳造品の反射電子像組織写真で、(A)は合金1、(B)は合金4、(C)は合金11、(D)は合金17、(E)は合金21を示している。 比較例として合金元素指数Pが−0.9〜1.5の範囲であるが、Al濃度が42.0at%未満、又は44.0at%超のTiAl基合金鋳造品の反射電子像組織写真で、(A)は合金2、(B)は合金19を示している。 図6A、図6Bは、比較例として合金元素指数Pが−0.9〜1.5で、C濃度が0.3at%未満、又は1.0at%超のTiAl基合金鋳造品の反射電子像組織写真で、(A)は合金6、(B)は合金9、(C)は合金18を示している。 比較例として合金元素指数Pが−0.9〜1.5の範囲であるが、Si濃度が0.3at%未満、又は1.0at%超のTiAl基合金鋳造品の反射電子像組織写真で、(A)は合金15、(B)は合金12を示している。 比較例として発明合金の合金10のTiAl基合金鋳造品において、熱処理条件の保持温度が1250℃未満、又は1300℃超の場合の反射電子像組織写真で、(A)は保持温度が1230℃、(B)は保持温度が1320℃のものを示している。 比較例として発明合金の合金10のTiAl基合金鋳造品において、熱処理条件の保持時間が1時間未満、又は30時間超の場合の反射電子像組織写真で、(A)は保持時間が0.5時間、(B)は保持時間が40時間のものを示している。 比較例として発明合金の合金10のTiAl基合金鋳造品において、熱処理条件の冷却速度が3[℃/分]未満、又は20[℃/分]超の場合の反射電子像組織写真で、(A)は冷却速度が2[℃/分]、(B)は冷却速度が30[℃/分]のものを示している。
[実施例1]
図1は、本発明ならびに比較合金のTiAl基鋳造合金を用いて作製したTiAl基合金鋳造品に関する外観写真である。(A)は鋳造品正面の、(B)は鋳造品側面の、(C)は用いた鋳鉄製金型鋳型の外観写真である。溶解は表1の組成についてイットリアるつぼを用いた高周波溶解炉によって実施した。なお、カルシアるつぼを用いても同程度の酸素濃度の合金素材が得られる。原料は、スポンジTiに加えて、添加元素としてAl、Nb、Cr、Siの粒状原料、CはTiC粉末で添加した。溶解雰囲気はアルゴンガス中である。各原料が完全に溶解してから3分間経過後、(C)に示した鋳鉄製金型鋳型に溶湯を注ぎ込み、その中で凝固させることでTiAl基合金鋳造品を作製した。写真の鋳造品の重量は約700gであるが、押し湯切断後は約350gとなる。
表1は、上記方法により作製したTiAl基合金鋳造品について、熱処理試験後の組織観察の結果と、強度試験の試験結果を示すものである。
次に、表1に示した各合金1−21の熱処理条件の調査について、詳細を説明する。
鋳造品より切り出したTiAl基鋳造合金の小片について、熱処理条件のうち保持温度、保持時間、冷却速度の三条件を変化させた熱処理試験を実施した。次に、熱処理試験を実施したTiAl基鋳造合金の小片の断面について、走査型電子顕微鏡の反射電子像による組織観察を実施し、その組織の状態から適正熱処理条件を把握した。ここで、組織観察で適正と判断した組織は次の2要件を充足するものである。
(i)α2相とγ相が積層された平均粒径30〜200μmのラメラ粒が密に配列してなる微細組織であること。
(ii)β相が存在しない組織であること。
続いて、表1に示した各合金1−21の機械的特性の評価について、詳細を説明する。
各合金組成の鋳造品に関し、熱処理条件の調査後の残材について、熱処理試験で得られた各々の合金に適当な熱処理を実施した後、平行部直径が4mmの2つの試験片を加工し、以下の2種の強度試験を実施した。ここで、発明合金の熱処理条件については、上記熱処理条件の調査で適正と判断した組織(i)、(ii)が得られる熱処理条件とした。また、比較合金の熱処理条件については、類似組成の発明合金での適正条件とした。
実施した強度試験は870℃×225MPaのクリープ破断試験、ならびに室温の引張試験であり、前者については、破断時間の長短によって各合金の高温クリープ強度を比較した。また、後者については、伸びの大小によって各合金の常温延性を比較した。
続いて、表1に示した各合金1−21の反射電子像組織写真を、発明合金と比較合金に分けて説明する。
図2A、図2B、図2Cは、本発明のTiAl基鋳造合金の反射電子像組織写真で、(A)は合金5、(B)は合金7、(C)は合金10、(D)は合金13、(E)は合金16を示している。いずれもα2相、γ相よりなる完全ラメラ組織であり、α2相とγ相が積層された平均粒径30〜200μmの微細なラメラ粒が密に配列してなる微細組織を有している。また高温強度が低いβ相(反射電子像では白く見える)が存在しない。つまり、本発明のTiAl基鋳造合金は、以上の組織のため高温強度、常温延性ともに優れていると言える。
[比較例1]
図3A、図3Bは、比較例として合金元素指数Pが−0.9以下のTiAl基鋳造材の反射電子像組織写真で、(A)は合金3、(B)は合金8、(C)は合金14、(D)は合金20を示している。合金3では合金元素指数Pが−0.96であり、また合金8では−0.96であり、合金14では−1.01であり、合金20では−1.01である。図3の合金はいずれも合金元素指数Pが−0.9以下であることから、結晶粒径が200μmを超えて粗大化している。
[比較例2]
図4A、図4B、図4Cは、比較例として合金元素指数Pが1.5を超えるTiAl基鋳造材の反射電子像組織写真で、(A)は合金1、(B)は合金4、(C)は合金11、(D)は合金17、(E)は合金21を示している。合金1では合金元素指数Pが1.87であり、また合金4では1.62であり、合金11では1.81であり、合金17では1.89であり、合金21は1.68である。図4の合金はいずれも合金元素指数Pが1.5超であることから、β相(白い相)が存在している。
[比較例3]
図5は、比較例として合金元素指数Pが−0.9〜1.5の範囲内であるが、Al濃度が42.0at%未満、又は44.0at%超のTiAl基鋳造材の反射電子像組織写真で、(A)は合金2、(B)は合金19を示している。合金元素指数については、合金2では0.66であり、また合金19では0.52である。Al濃度については、合金2では41.0at%であり、また合金19では45.0at%である。合金2ではAl濃度が低いため、α2相(灰色の相)の比率が多すぎて、室温での伸びが小さい。合金19ではAl濃度が高いため、α2相の比率が少なすぎて、クリープ破断時間が短い。
[比較例4]
図6A、図6Bは、比較例として合金元素指数Pが−0.9〜1.5の範囲内であるが、C濃度が0.3at%未満、又は1.0at%超のTiAl基鋳造材の反射電子像組織写真で、(A)は合金6、(B)は合金9、(C)は合金18を示している。合金元素指数については、合金6では0.60であり、合金9では−0.31であり、また合金18では0.24である。C濃度については、合金6では0.2at%であり、合金9では1.2at%であり、また合金18では1.2at%である。合金6は合金元素指数Pが−0.9〜1.5の範囲内にあるため組織は良好であるが、C濃度が低いため、クリープ破断時間が短い。合金9、18は合金元素指数Pが−0.9〜1.5の範囲内にあるため組織は良好であるが、C濃度が高いため室温での伸びが小さい。
[比較例5]
図7は、比較例として合金元素指数Pが−0.9〜1.5の範囲内であるが、Si濃度が0.3at%未満、又は1.0at%超のTiAl基鋳造材の反射電子像組織写真で、(A)は合金15、(B)は合金12を示している。合金元素指数については、合金15では0.62であり、また合金12では−0.03である。Si濃度については、合金15では0.2at%であり、また合金12では1.2at%である。合金15は合金元素指数Pが−0.9〜1.5の範囲内であるため組織は良好であるが、Si濃度が低いため、クリープ破断時間が短い。合金12は合金元素指数Pが−0.9〜1.5の範囲内にあるため組織は良好であるが、Si濃度が高いため室温での伸びが小さい。なお、合金12で微細な白い析出物はSiに起因するシリサイドである。
[比較例6]
図8は、比較例として合金元素指数Pが−0.9〜1.5の範囲内の本発明合金であるが、熱処理条件の保持温度が1250℃未満、又は1300℃超の場合の反射電子像組織写真を示している。(A)は本発明合金の合金10で保持温度が1230℃の場合の、(B)は同様に本発明合金の合金10で保持温度が1320℃の場合の反射電子像組織写真である。(A)では熱処理条件の保持温度が1230℃と低い温度であるため、α単相化せず完全ラメラ組織が形成されていない。(B)では、熱処理条件の保持温度が1320℃と高い温度であるため、β相(白い相)が存在している。
[比較例7]
図9は、比較例として合金元素指数Pが−0.9〜1.5の範囲内の本発明合金であるが、熱処理条件の保持時間が1時間未満、又は30時間超の場合の反射電子像組織写真を示している。(A)は本発明合金の合金10で保持時間が0.5時間の場合の、(B)は同様に本発明合金の合金10で保持時間が40時間の場合の反射電子像組織写真である。(A)では熱処理条件の保持時間が0.5時間と短く、α単相化せず完全ラメラ組織が形成されていない。(B)では、熱処理条件の保持時間が40時間と長すぎ、結晶粒径が200μmを超えて粗大化している。
[比較例8]
図10は、比較例として合金元素指数Pが−0.9〜1.5の範囲内の本発明合金であるが、熱処理条件の冷却速度が3[℃/分]未満、又は20[℃/分]超の場合の反射電子像組織写真を示している。(A)は本発明合金の合金10で冷却速度が2[℃/分]の場合の、(B)は同様に本発明合金の合金10で冷却速度が30[℃/分]の場合の反射電子像組織写真である。(A)は熱処理条件の冷却速度が2[℃/分]と遅く、ラメラ間隔が大きすぎて、クリープ強度が低下する。(B)は、熱処理条件の冷却速度が30[℃/分]と早すぎて、α2相(灰色の相)の比率が多すぎる。またこれにより、室温での延性が低下する。
なお、上記の実施の形態は本発明の説明のために示したもので、本発明の権利範囲を制限するものではない。本発明の権利範囲は、本明細書での開示範囲、ならびにこの開示を基礎として当業者に自明な範囲を含むものである。
本発明のTiAl基鋳造合金は、発電用ガスタービンや航空機用ジェットエンジンの動翼として使用するのに好適である。
本発明のTiAl基鋳造合金を用いると、軽量であり、しかも高温強度と常温の延性や耐衝撃性に優れた動翼が得られる。この動翼を発電用ガスタービンや航空機用ジェットエンジンに用いることで、信頼性を維持しつつ、エネルギ−効率の向上による二酸化炭素排出量の削減や、燃料消費量の削減に貢献することが可能となる。

Claims (5)

  1. Al:42〜44原子%、Nb:6.0〜9.0原子%、Cr:0.2〜3.5原子%、Si:0.3〜1.0原子%、C:0.3〜1.0原子%、残部:Ti及び不可避不純物からなると共に、次式によって求められる合金元素指数Pが、−0.9〜1.5の組成範囲であることを特徴とするTiAl基鋳造合金。

    P=(41−Al)/3+0.25Nb+0.8Cr−0.8Si−1.7C
  2. 請求項1に記載のTiAl基鋳造合金であって、α2相とγ相が積層された平均粒径30〜200μmのラメラ粒が密に配列してなる微細組織を有すると共に、β相が存在しない組織を有することを特徴とするTiAl基鋳造合金。
  3. α2相とγ相が積層された平均粒径30〜200μmのラメラ粒が密に配列してなる微細組織を有すると共に、β相が存在しない組織を有するTiAl基鋳造合金を製造する方法であって、
    Al:42〜44原子%、Nb:6.0〜9.0原子%、Cr:0.2〜3.5原子%、Si:0.3〜1.0原子%、C:0.3〜1.0原子%、残部:Ti及び不可避不純物からなると共に、次式によって求められる合金元素指数Pが、−0.9〜1.5の組成範囲であるTiAl基鋳造合金素材を、1250〜1300℃の温度範囲で1〜30時間保持すると共に、3〜20[℃/分]の冷却速度で熱処理する工程とを備えたことを特徴とするTiAl基鋳造合金の製造方法。

    P=(41−Al)/3+0.25Nb+0.8Cr−0.8Si−1.7C
  4. 前記TiAl基鋳造合金素材は、溶解、鋳造後の液相状態からの冷却過程、ならびに前記熱処理工程では、L→L+β→β→α+β→α→α+γ→α2+γ変態を生じさせることを特徴とする請求項3に記載のTiAl基鋳造合金の製造方法。
  5. 請求項1又は2に記載のTiAl基鋳造合金をイットリアるつぼ又はカルシアるつぼ中で溶解し、金型鋳型に鋳造して製造することを特徴とする請求項3又は4に記載のTiAl基鋳造合金の製造方法
JP2014110547A 2014-05-28 2014-05-28 TiAl基鋳造合金及びその製造方法 Active JP6284232B2 (ja)

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