JP3049149B2 - 耐マイグレーション性が優れた高力・高導電性銅合金及びその製造方法 - Google Patents
耐マイグレーション性が優れた高力・高導電性銅合金及びその製造方法Info
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Description
素子集積回路又は端子・コネクタ用の銅合金として好的
の耐マイグレーション性が優れた高力・高導電性銅合金
及びその製造方法に関する。
を含有する銅合金を加工して電子部品等の材料を製造す
ることは、特公昭52-620404号公報、特公昭55-014133号
公報及び特公昭55-014134号公報に記載されている。
Fe;1.5〜3.0重量%を含有し、本質的に残部Cuであ
る銅合金を800〜1020℃の温度で熱間加工し、更に、30
%以上の圧下率で冷間加工し、400〜550℃の温度で30分
間以上の時効焼鈍を行い、更に、200℃/1時間以下の
冷却速度で冷却する方法が示されている。この方法にお
いては、冷間圧延と時効焼鈍との組み合わせを3サイク
ル実施することが最も望ましいとあり、機械的性質及び
導電率もある程度の値が得られている。
ズに伴い、例えば、集積回路及び抵抗器等は電極数の増
加傾向と、プリント基盤への高密度で且つ薄型実装の必
要性とから、従来の電極間ピッチが1/10インチ(2.54m
m)から、1/20インチ(1.27mm)及び1/30インチ(0.846
mm)へと小さくなっている。
うに、端子・コネクタの極間ピッチが小さくなると、大
気中の湿気の結露又は水分の侵入によって、極間の水分
が付着した部分に銅イオンが溶出し、電極間電位で還元
される等の現象の繰り返しによりCuのマイグレーショ
ン現象が生じ、電極間を短絡してしまうという不具合が
生ずる。また、端子・コネクタの小型化又は多極化によ
る電流容量の増大により、電流密度が増加し、従来の導
電率が低い材料では発熱焼損等の不具合が生じる。
合金は溶解及び鋳造中に酸素を吸蔵しやすい。そこで、
この種の合金には、この吸蔵酸素を除去するために、P
を0.02〜0.1重量%添加する。しかし、このPは鋳塊中
に残留し、製品の導電率を低下させる。また、溶解及び
鋳造中に脱酸を行わない場合には、鋳塊の熱間圧延が困
難となる。更に、Pは銅合金の応力腐食割れ感受性を高
くするため、好ましくない。
のであって、高密度及び高実装化に伴うCuのマイグレ
ーションを防止でき、また処理工程を簡素化することが
できる耐マイグレーション性が優れた高力・高導電性銅
合金及びその製造方法を提供することを目的とする。
が優れた高力・高導電性導合金は、Fe;1.5〜3.0重量
%、Si;0.001〜0.1重量%、Zn;1.0〜5.0重量%
(1.0重量%を含まず)、及びMn;0.002〜0.2重量%
を含有すると共に、Cr,Ti及びZrから選択された
1種又は2種以上の元素を総量で0.001〜0.01重量%含
有し、残部がCu及び不可避的不純物からなることを特
徴とする。
た高力・高導電性銅合金の製造方法は、Fe;1.5〜3.0
重量%、Si;0.001〜0.1重量%、Zn;1.0〜5.0重量
%(1.0重量%を含まず)、Mn;0.002〜0.2重量%を
含有すると共に、Cr,Ti及びZrから選択された1
種又は2種以上の元素を総量で0.001〜0.01重量%含有
し、残部がCu及び不可避的不純物からなる銅合金の鋳
塊を800〜1050℃の温度で熱間圧延し、その後トータル
減面率が70%以上の冷間圧延を行い、550℃(但し、550
℃を含まず)〜600℃の温度で30分間以上の焼鈍を行っ
た後、冷却途中で450℃〜525℃の温度において30分間以
上の焼鈍を行うことを特徴とする。
れた高力・高導電性銅合金の成分添加理由及び組成限定
理由について説明する。
1.5重量%未満では、強度への寄与効果が小さく、逆に
Feが3.0重量を超えて含有されると、耐食性及び熱間
加工性が劣化する。従って、Feの含有量は1.5〜3.0重
量%とする。
に混入する酸素を脱酸し、また熱間圧延性を向上させる
作用がある。Si含有量が0.001重量%未満では、脱酸
及び熱間圧延性の向上効果は小さい。一方、Siが0.1
重量%超えて含有されても、その効果は飽和する。従っ
て、Si含有量は0.001〜0.1重量%とする。
ず) Znは電圧が印加された電気・電子部品の極間に水分の
侵入又は結露等が生じた場合に、Cuのマイグレーショ
ン現象を抑制し、漏洩電流を抑制するという重要な作用
をもつ元素であり、本発明において、必須元素である。
Zn含有量が1.0重量%以下では黄銅と同等の耐マイグ
レーション特性が得られず、逆に5.0重量%を超えた場
合は耐マイグレーション性は向上するものの、導電率が
低下するとか、応力腐食割れが起きやすくなる等の不都
合が生じる。従って、Zn含有量は1.0〜5.0重量%(1.
0重量%は含まず)とする。望ましくは、Zn含有量は
1.5重量%以上である。
を強化して熱間加工性を向上させる。Mnの添加量が0.
002重量%未満では、その効果が少ない。一方、Mn含
有量が0.2重量%を超えると、導電率が低下すると共
に、はんだ濡れ性の劣化が著しくなる。従って、Mnの
含有量は0.002〜0.2重量%とする。
重量% Cr,Ti及びZrはいずれも鋳塊の粒界を強化し、熱
間加工性を向上させる作用がある。これらの元素は相互
に置換可能であり、その1種又は2種以上を選択して添
加すれば良い。しかし、これらの添加元素の含有量が、
総量で、0.001重量%未満の場合には、その添加効果が
得られない。また、これらの元素が総量で0.01重量%を
超えて含有されると、熱間加工性と鋳塊の鋳肌が悪くな
る。従って、Cr,Ti及びZrのいずれか1種又は2
種以上の元素の総含有量は0.001〜0.01重量%とする。
銅合金の製造方法について説明する。本発明方法におい
ては、、Fe;1.5〜3.0重量%、Si;0.001〜0.1重量
%、Zn;1.0〜5.0重量%(1.0重量%を含有せず)、
及びMn;0.002〜0.2重量%を含有すると共に、Cr,
Ti及びZrから選択された1種又は2種以上の元素を
総量で0.001〜0.01重量%含有し、残部がCu及び不可
避不純物からなる銅合金の鋳塊を800〜1050℃の温度で
熱間圧延し、その後のトータル減面率を70%以上とする
冷間圧延を行い、550℃(但し、550℃を含まず)〜600
℃の温度で30分間以上の焼鈍を実施した後、冷却途中の
450〜525℃の温度において、30分間以上の焼鈍を行う。
有し、残部Cuからなる銅合金の処理工程は、基本的に
は400〜550℃の温度で30分間以上の焼鈍と、30%以上の
圧下率の冷間圧延を2サイクル以上、理想的には3サイ
クル行うことが必須であり、従って、これらの工程を考
えると焼鈍はコイル状態でベル型炉材で行われるので、
焼鈍時の密着防止対策、更に焼鈍後は酸化スケールの除
去工程が2〜3回必要となっている。
00℃の温度での焼鈍は1回であり、焼鈍前の密着防止対
策と焼鈍後の酸化スケールの除去は夫々1回で済む。こ
のため、工程の短縮化を図ることができる。
Cuは0.002〜0.2重量%含有されていても、導電率55%
IACSを満足するので許容される。
優れた高力・高導電性銅合金及びその製造方法の実施例
について説明する。
示す化学成分の合金を溶解し、この溶湯を傾注式の鋳鉄
製の鋳型に鋳込み、厚さ50mm、幅80mm、長さ180mmの鋳
塊を製造した。
2mm面削し、900℃の温度で熱間圧延を開始して、厚さ10
mmの熱間圧延板を得、これを700℃の温度から水中に投
入して急冷した。この熱間圧延材の表面の酸化スケール
を酸洗い除去し、2分割した。そのうちの一つについて
は、以後、本発明方法を適用し、残りのものについて
は、比較例方法を適用した。
は、冷間圧延ロールで厚さ10mmから厚さ0.5まmmまで加
工したが、耳割れ等は生じなかった。この材料を脱脂
後、窒素ガス炉中で575℃の温度で2時間焼鈍した後、
冷却の途中で500℃に達した時に、更に4時間焼鈍を行
って冷却し、下記表2に示す結果を得た。
て厚さ2.5mmとし、この材料を490℃の温度で2時間焼鈍
を行い、酸洗いした後、冷間圧延して厚さ1mmとし、次
いで、この材料を440℃の温度で2時間の焼鈍を行い、
更に酸洗いした後、冷間圧延して厚さ0.5mmとし、この
材料を440℃の温度で2時間焼鈍した。得られた材料の
種々の特性を下記表2に示す。
方向に平行であり、試験片の形状はJIS13号Bとし
た。耐マイグレーション性の評価試験は、図1に示すよ
うに、厚さが0.5mm、幅が3mm、長さが80mmの試験片を2
枚1組とし、直流電圧14Vを印加した状態で水道水中に
浸漬し、5分間浸漬→5分間乾燥のサイクルを繰り返し
て、50サイクルに至るまでの間の最大の漏洩電流値を高
感度レコーダで測定することにより行った。
含有量が少ないNo.10.12.13及び15の合金に
比して漏洩電流値が小さく、黄銅と同等の漏洩電流値を
示す。No.11の合金は漏洩電流は小さく優れいている
が、導電率が劣る。また、Zn含有による機械的性質の
劣化は認められない。
の組成の合金を、本発明方法と比較例方法により調整し
た場合の得られた材料の特性を示す。
の製造方法に比して、処理工程が容易で且つ従来法より
も優れた導電率を有している。
イグレーション性が優れた効力・高導電性銅合金及びそ
の製造方法によれば、薄型化及び小型化に伴うCuのマ
イグレーション現象を抑制することができ、また導電性
率が優れた材料を提供できる。また、本発明の製造方法
は簡略化されるため、省資源、省エネルギ及びコスト低
減等の効果があり、本発明はこれらの分野に著しい貢献
をなす。
式図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 Fe;1.5〜3.0重量%、Si;0.001〜
0.1重量%、Zn;1.0〜5.0重量%(1.0重量%を含ま
ず)、及びMn;0.002〜0.2重量%を含有すると共に、
Cr,Ti及びZrから選択された1種又は2種以上の
元素を総量で0.001〜0.01重量%含有し、残部がCu及
び不可避的不純物からなることを特徴とする耐マイグレ
ーション性が優れた高力・高導電性銅合金。 - 【請求項2】 Fe;1.5〜3.0重量%、Si;0.001〜
0.1重量%、Zn;1.0〜5.0重量%(1.0重量%を含ま
ず)、Mn;0.002〜0.2重量%を含有すると共に、C
r,Ti及びZrから選択された1種又は2種以上の元
素を総量で0.001〜0.01重量%含有し、残部がCu及び
不可避的不純物からなる銅合金の鋳塊を800〜1050℃の
温度で熱間圧延し、その後トータル減面率が70%以上の
冷間圧延を行い、550℃(但し、550℃を含まず)〜600
℃の温度で30分間以上の焼鈍を行った後、冷却途中で45
0℃〜525℃の温度において30分間以上の焼鈍を行うこと
を特徴とする耐マイグレーション性が優れた高力・高導
電性銅合金の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4053932A JP3049149B2 (ja) | 1992-03-12 | 1992-03-12 | 耐マイグレーション性が優れた高力・高導電性銅合金及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4053932A JP3049149B2 (ja) | 1992-03-12 | 1992-03-12 | 耐マイグレーション性が優れた高力・高導電性銅合金及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05345940A JPH05345940A (ja) | 1993-12-27 |
JP3049149B2 true JP3049149B2 (ja) | 2000-06-05 |
Family
ID=12956515
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP4053932A Expired - Lifetime JP3049149B2 (ja) | 1992-03-12 | 1992-03-12 | 耐マイグレーション性が優れた高力・高導電性銅合金及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3049149B2 (ja) |
-
1992
- 1992-03-12 JP JP4053932A patent/JP3049149B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05345940A (ja) | 1993-12-27 |
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