JP3048426B2 - ホルムアミド基を有する共重合体及びその製造方法 - Google Patents

ホルムアミド基を有する共重合体及びその製造方法

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JP3048426B2
JP3048426B2 JP3191596A JP19159691A JP3048426B2 JP 3048426 B2 JP3048426 B2 JP 3048426B2 JP 3191596 A JP3191596 A JP 3191596A JP 19159691 A JP19159691 A JP 19159691A JP 3048426 B2 JP3048426 B2 JP 3048426B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ホルムアミド基を有す
る共重合体及びその製造方法に関し、詳しくは、高分子
アミノ試薬,機能性高分子の原料,接着剤の原料,ポリ
マーの相溶化剤,樹脂改質剤等に使用でき、また加水分
解により第一級アミノ基を有する共重合体を与え得るホ
ルムアミド基を有する新規な共重合体及び加水分解によ
り得られる第一級アミノ基を有する新規な共重合体なら
びにそれらの効率のよい製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、側鎖に第一級アミノ基を有す
る高分子化合物は、そのアミノ基の高い反応活性のた
め、つまりアルデヒド,ケトン,アルキルハライド,イ
ソシアネート,チオイソシアネート,活性二重結合,エ
ポキシ化合物,シアナマイド,グアニジン,尿素,酸,
酸無水物,アシルハライド等の官能基と容易に反応する
ため、様々な産業分野で有効に利用されている。そのよ
うな第一級アミノ基を側鎖に有する高分子化合物として
は、今までに、ポリ−N−ビニルアセトアミド又はポリ
−N−ビニルホルムアミドの加水分解によるポリビニル
アミン、あるいはアリルアミンの塩酸塩の重合によるポ
リアリルアミン等が知られている。
【0003】しかしながら、これらの方法によって高分
子化合物を製造する場合、第一級アミノ基を有する重合
体又は共重合体は得られるものの、分子量が意図するほ
ど大きくならないことや、アミン又はアミン前駆体のモ
ノマーをラジカル重合するため、共重合相手のモノマー
の種類に制限がある等の制約があり、用途によっては十
分な性能が発揮し得ないことがある。
【0004】側鎖にアミノ基を有する共重合体の例とし
ては、特開平2−135214号公報や同2−1352
15号公報に、スチレン−無水マレイン酸共重合体をp
−アミノフェノールとエチルアミノエチルアミンの如き
第一級,二級混在のジアミンを用いてイミド化して得ら
れた共重合体を、潜在性のエポキシ硬化剤として用いる
ことが提案されている。この共重合体の場合も、側鎖に
エチルアミノ基を有しているが、この場合、得られる側
鎖官能基は第二級アミノ基であり、一般に第二級アミノ
基は第一級アミノ基に比べて官能基としての汎用性に乏
しく、この点で望ましいものではない。意図せずして、
部分的に側鎖に第一級アミノ基が導入されていると考え
られる例として、特開昭64−70595号公報,同6
4−85246号公報及び米国特許4,137,185 号明細書
に記載されている共重合体を挙げることができる。即ち
エチレン−プロピレン共重合体に無水マレイン酸をグラ
フトして得られる無水マレイン酸グラフトエチレン−プ
ロピレン共重合体に、ジエチレントリアミン,エチレン
ジアミン,ヘキサメチレンジアミンの如き少なくとも2
個の第一級アミノ基を有するポリアミンを反応させてイ
ミド化せしめるものである。しかし、この無水マレイン
酸グラフトエチレン−プロピレン共重合体の如き多官能
無水酸と多官能のポリアミンの反応では、通常、反応中
にもまた反応後においても、少なからず架橋反応が起こ
っていると考えられる。また、架橋反応が反応中に起こ
れば、反応混合物の粘度上昇、ひいてはゲル化まで進行
し、以後の反応継続が不能に陥ることもしばしば認めら
れる。それが故に、これらの先行技術においては、この
架橋反応による経時的な粘度上昇を防止する目的で、イ
ミド化反応後に存在する第一級アミンを、無水酢酸,n
−オクテニル無水コハク酸等でエンドキャップする工夫
が施されている。
【0005】更に、特開平2−36248号公報には、
不飽和酸無水物でグラフト変性されたポリオレフィンを
ジアミンと反応させることも示唆されているが、具体的
な製造方法,生成物については明示がなく、公知の方法
に従えば、本発明者らの経験では架橋,ゲル化が避けら
れない。
【0006】無水マレイン酸共重合体、又は無水マレイ
ン酸グラフトエチレン−プロピレン共重合体と第一級ジ
アミンを反応させる例としては、特開昭60−2407
49号公報,同64−31864号公報, 同63−14
6928号公報,同63−235365号公報,同63
−199755号公報等に開示されているが、いずれも
無溶剤の樹脂中で無水酸基と2個の第一級アミノ基のイ
ミド架橋を目的とするものである。架橋反応を起こさせ
ずに、第一級のジアミンを用いてイミド化し、第一級ア
ミノ基を側鎖に形成せしめる方法として、架橋反応に伴
うゲル化が実質上無視し得る程度に、第一級アミノ基/
無水コハク酸基のモル比を高めてイミド化反応を行うこ
とも理論的には考えられるが実際的ではない。そこで、
本発明者らは、かかる公知技術のもつ欠点を克服する改
良された製造方法及びこの方法によって得られた新規な
共重合体の提案を先に行った(特願平3−85736号
明細書参照)。ここで、本発明者らはジアミンと酸の部
分塩を無水コハク酸基含有共重合体と反応させた後、塩
基を作用させアミノ基を再生する方法を提案している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来から、置換又は非
置換の無水コハク酸基を官能基として有する多官能の共
重合体に、ジアミン類を作用させる高分子変性反応によ
り第一級アミノ基を側鎖に導入する際、架橋反応による
ゲル化を起こさせずに色相の良好な共重合体を得ること
は技術上困難とされていた。本発明は、このような従来
の問題点に着目してなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
技術の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねたところ、ス
チレンやオレフィンあるいはその誘導体に由来する反復
単位,ブタジエン等のジエン類に由来する反復単位及び
無水マレイン酸等の酸無水物がグラフト化した反復単位
を有する共重合体に、特定の第一級ジアミンの塩を、ホ
ルムアミド等のホルミル基含有化合物の存在下に反応さ
せてイミド化及び/又はアミド化し、これをさらに塩基
で脱酸するか、又は上記共重合体を第一級ジアミンとホ
ルムアミド等のホルミル基含有化合物を反応させて得ら
れる反応物でイミド化及び/又はアミド化することによ
り、ホルムアミド基を含有する新規な共重合体が得ら
れ、さらに、この新規な共重合体を加水分解すれば、上
記目的に適う性状のものが得られることを見出した。本
発明は、かかる知見に基いて完成したものである。
【0009】すなわち本発明は、分子内に一般式(I)
で表される反復単位A20〜99.8モル%,一般式(I
I)で表される反復単位B50〜0モル%,一般式(II
I)で表される反復単位C,一般式(IV)で表される反復
単位D及び一般式 (V)で表される反復単位Eの合計量
30〜0.2モル%(ただし、反復単位Cは0.2モル%以
上である。)
【0010】
【化5】
【0011】
【化6】
【0012】
【化7】
【0013】(式中、R1 ,R2 ,R5 ,R6 及びR7
は各々独立に水素原子,炭素数1〜10のアルキル基,
炭素数3〜8のシクロアルキル基,炭素数6〜10のア
リール基,炭素数2〜4のアルケニル基,炭素数1〜4
のアルコキシ基,炭素数1〜18のアルコキシカルボニ
ル基,炭素数1〜17のアルキルカルボキシル基,炭素
数1〜6のアルキルカルボニル基,炭素数6〜8のアリ
ールカルボニル基,ハロゲン原子あるいはニトリル基を
示し、R3 及びR4 は各々独立に水素原子,炭素数1〜
4のアルキル基,炭素数2〜4のアルケニル基あるいは
ハロゲン原子を示し、R8 は存在しないか、あるいはメ
チレン基又はエチレン基を示し、R9 及びR10は各々独
立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基あるいは炭素
数6〜8のアリール基を示し、R11は炭素数1〜12の
アルキレン基,炭素数5〜17のシクロアルキレン基,
炭素数6〜12のアリーレン基,炭素数7〜12のアリ
ールアルキレン基あるいは炭素数4〜30のポリオキシ
アルキレン基を示し、R12は水素原子あるいは炭素数1
〜10のアルキル基を示す。nは1〜10の整数を示
す。なお、R1 〜R12はそれぞれ反復単位毎に同一であ
っても異なってもよい。また、X1 及びX2は各々独立
にNH2 あるいはNH−CHOを示す。)を含有する共
重合体またはその塩を提供するものである。
【0014】また、本発明は、分子内に一般式(I)で
表される反復単位A20〜99.8モル%,一般式(II)
で表される反復単位B50〜0モル%及び一般式 (VI)
で表される反復単位C’30〜0.2モル%
【0015】
【化8】
【0016】(式中、R5 〜R10,R12及びnは前記と
同じである。)を含有する共重合体に、一般式(VII) H2 N−R11−NH2 ・・・(VII) (式中、R11は前記と同じである。)で表されるジアミ
ンの塩を、ホルムアミド,ギ酸及びそれらの誘導体から
選ばれた少なくとも1種のホルミル基含有化合物の存在
下で反応させた後、塩基と接触させて脱酸することを特
徴とする上記共重合体あるいはその塩の製造方法(方法
(a))を提供するものである。
【0017】さらに、本発明は、一般式(VII)で表され
るジアミンと、ホルムアミド,ギ酸及びそれらの誘導体
から選ばれた少なくとも1種のホルミル基含有化合物を
反応させて得られる生成物と、分子内に一般式(I)で
表される反復単位A20〜99.8モル%,一般式(II)
で表される反復単位B50〜0モル%及び一般式 (VI)
で表される反復単位C’30〜0.2モル%を含有する共
重合体を反応させることを特徴とする上記共重合体の製
造方法(方法(b))を提供し、上記共重合体を酸性条
件下で加水分解することを特徴とする、分子内に一般式
(I)で表される反復単位A20〜99.8モル%,一般
式(II)で表される反復単位B50〜0モル%,一般式
(IV)で表される反復単位D及び一般式 (V)で表され
る反復単位Eの合計量30〜0.2モル%(ただし、反復
単位Dは0.2モル%以上、X1 及びX2 は共にNH2
ある。)を含有する共重合体またはその塩の製造方法
(方法(c))ならびにその共重合体またはその塩を提
供するものである。
【0018】本発明のホルムアミド基を有する共重合体
(その塩を含む。以下同じ。)は、一般式(I)で表さ
れる反復単位A,一般式(II)で表される反復単位B,
一般式 (III)で表される反復単位C,一般式(IV)で表
される反復単位D及び一般式(V)で表される反復単位
Eを有する新規な共重合体(ただし、反復単位B,D及
びEについては、必須ではない。)であり、これらのラ
ンダム,ブロックあるいはグラフト共重合体である。こ
の共重合体における各反復単位の含有割合は、上述した
ように反復単位A,B,C,D,Eの合計量に対して、
反復単位Aは20〜99.8モル%,好ましくは60〜9
9モル%、反復単位Bは50〜0モル%,好ましくは4
0〜0モル%、反復単位C,D及びEの合計量は30〜
0.2モル%(ただし、反復単位Cは0.2モル%以上であ
る。また、反復単位D及びEは0であってもよい。)、
その反復単位C,D及びEの合計量のうち反復単位Cは
20〜1モル%が好ましく、反復単位D及びEは各々2
0モル%以下が好ましい。ここで、反復単位C,D及び
Eの合計量の割合が、30モル%を超えると得られる共
重合体の入手が困難という不都合があり、また0.2モル
%未満では、本発明のホルムアミド基を有する共重合体
の特徴が充分に発現しない。なお、本発明の共重合体
は、基本的には上記反復単位A,B,C,D,Eからな
るものであるが、更に他の反復単位を若干量含有するこ
ともできる。
【0019】また、本発明の共重合体は、その分子量に
ついては特に制限はないが、通常は粘度平均分子量30
00〜500000である。これは、トルエン,キシレ
ン,クメン,テトラリン,1,3−ジメチル−2−イミ
ダゾリジノン,ジメチルスルホキシド,アセトン,メチ
ルエチルケトン等の良溶媒に、ホルムアミド基含有共重
合体を10重量%で溶解したときの粘度が10〜500
00cpsの範囲であることに相当する。
【0020】本発明の共重合体は、反復単位Cの側鎖に
イミド基又はアミド基を介して、ホルムアミド基又は同
時に第一級アミノ基を有する点に特徴がある。また本発
明の共重合体は、上記第一級アミノ基が硫酸,ベンゼン
スルホン酸,トルエンスルホン酸,ナフタレンスルホン
酸等のスルホン酸類、塩酸,フッ化水素酸,臭化水素
酸,ヨウ化水素酸等のハロゲノ酸、硝酸、ホウ酸、リン
酸等の酸と結合して塩を形成したものをも包含する。
【0021】ここで、反復単位Aは一般式(I)で表さ
れるものであるが、式中R1 及びR 2 は各々独立に(つ
まり、R1 とR2 は同じでも異なってもよい)水素原
子,炭素数1〜10のアルキル基(好ましくは炭素数1
〜4のアルキル基),炭素数3〜8のシクロアルキル基
(好ましくは炭素数3〜6のシクロアルキル基),炭素
数6〜10のアリール基(好ましくは炭素数6〜9のア
リール基),炭素数2〜4のアルケニル基(ビニル基,
アリル基等),炭素数1〜4のアルコキシ基,炭素数1
〜18のアルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数1
〜8のアルコキシカルボニル基),炭素数1〜17のア
ルキルカルボキシル基(好ましくは炭素数1〜3のアル
キルカルボキシル基),炭素数1〜6のアルキルカルボ
ニル基(好ましくは炭素数1〜4のアルキルカルボニル
基),炭素数6〜8のアリールカルボニル基,ハロゲン
原子(好ましくは塩素,臭素)あるいはニトリル基を示
す。なお、R1 及びR2 は、それぞれ反復単位ごとに同
一であっても異なってもよい。即ち、上記一般式(I)
は、反復単位Aの一つがエチレン単位(R1 及びR2
共に水素)であり、また反復単位Aの他の一つがプロピ
レン単位(R1 が水素,R2 がメチル基)のような場合
も包含する。
【0022】また、反復単位Bは一般式(II)で表され
るものであるが、式中、R3 及びR 4 は各々独立に水素
原子,炭素数1〜4のアルキル基(メチル基,エチル基
等),炭素数2〜4のアルケニル基(ビニル基,アリル
基等)あるいはハロゲン原子(塩素,臭素等)を示す。
なお、R3 及びR4 は、それぞれ反復単位ごとに同一で
あっても異なってもよいことは、前述のR1 及びR2
場合と同様である。更に、反復単位Cは一般式 (III)で
表されるものであり、ここでR5 〜R7 は前記R1 ,R
2 と同様に、各々独立に水素原子,炭素数1〜10のア
ルキル基(好ましくは炭素数1〜4のアルキル基),炭
素数2〜4のアルケニル基(ビニル基,アリル基等),
炭素数3〜8のシクロアルキル基(好ましくは炭素数3
〜6のシクロアルキル基),炭素数6〜10のアリール
基(好ましくは炭素数6〜9のアリール基),炭素数1
〜4のアルコキシ基,炭素数1〜18のアルコキシカル
ボニル基(好ましくは炭素数1〜8のアルコキシカルボ
ニル基),炭素数1〜17のアルキルカルボキシル基
(好ましくは炭素数1〜3のアルキルカルボキシル
基),炭素数1〜6のアルキルカルボニル基,炭素数6
〜8のアリールカルボニル基(好ましくは炭素数1〜4
のアルキルカルボニル基),ハロゲン原子(好ましくは
塩素,臭素)あるいはニトリル基を示す。また、R8
存在しない(即ち単なる結合を示す)か又はメチレン基
あるいはエチレン基を示し、R9 及びR10は各々独立に
水素原子、炭素数1〜6のアルキル基(好ましくは炭素
数1〜2のアルキル基)あるいは炭素数6〜8のアリー
ル基を示し、R11は炭素数1〜12のアルキレン基(好
ましくはメチレン,エチレン,プロピレン,テトラメチ
レン,ヘキサメチレン等の炭素数1〜8のアルキレン
基),炭素数5〜17のシクロアルキレン基(好ましく
はシクロヘキシレン,メチレンシクロヘキシルメチレン
等の炭素数6〜10のシクロアルキレン基),炭素数6
〜12のアリーレン基(好ましくはフェニレン,オキシ
ジフェニレン等),炭素数7〜12のアリールアルキレ
ン基(好ましくはキシリレン等の炭素数8〜10のアリ
ールアルキレン基)あるいは炭素数4〜30のポリオキ
シアルキレン基(ポリオキメチレン,ポリオキプロピレ
ンなどの炭素数4〜15のポリオキシアルキレン基)を
示し、R12は水素原子あるいは炭素数1〜10のアルキ
ル基(好ましくは炭素数1〜8のアルキル基)を示す。
これらのR5 〜R12は、それぞれ反復単位ごとに同一で
あっても異なってもよいことは、前述のR1 及びR2
場合と同様である。また、nは1〜10(好ましくは1
〜3)の整数を示す。ここでnが複数、つまり2以上の
ときは、nの数だけ存在する各R9 ,R10,R11は、同
じものでも異なるものでもよい。
【0023】本発明のアミノ基含有共重合体を製造する
には、特に制限はなく、様々な方法によることができる
が、前述した本発明の方法(a),(b)によれば、一
層効率よく製造することができる。まず、本発明の方法
の原料である反復単位A,B及びC’を含有する共重合
体は、一般式(I),(II)で表される反復単位を与え
るモノマーを、公知の手法によりラジカル重合又はイオ
ン重合した後、一般式(VI) を与えるモノマーを公知の
方法によりグラフト反応させることによって製造され
る。一般式(I)の反復単位Aを与えるモノマーの具体
例としては、様々なものがあるが、例えばエチレン,プ
ロピレン,1−ブテン,イソブチレン,1−オクテン等
のオレフィン、シクロペンテン,シクロヘキセン,シク
ロオクテン等の環状オレフィン、スチレン,α−メチル
スチレン,ビニルトルエン,p−t−ブチルスチレン等
のスチレン類(芳香族ビニル化合物)、酢酸ビニル,酪
酸ビニル,ステアリン酸ビニル等のビニルエステル類、
メチルビニルエーテル,エチルビニルエーテル等のビニ
ルエーテル類、塩化ビニル,塩化ビニリデン等のハロゲ
ノオレフィン、メチル(メタ)アクリレート,エチル
(メタ)アクリレート,ブチル(メタ)アクリレート,
ヘキシル(メタ)アクリレート,シクロヘキシル(メ
タ)アクリレート,デシル(メタ)アクリレート,オク
タデシル(メタ)アクリレート,メトキシエチル(メ
タ)アクリレート等のアクリル酸又はメタアクリル酸エ
ステル類、アクリロニトリル,メタクリロニトリル等の
ニトリル類、メチルビニルケトン,フェニルビニルケト
ン等のビニルケトン等があり、これらを単独であるいは
二種以上を組み合わせて使用することができる。これら
のうち、好ましいモノマーの例としては、エチレン,プ
ロピレン,スチレン,メチルビニルエーテル,イソブチ
レン,酢酸ビニル,(メタ)アクリル酸エステル類等を
挙げることができる。また、イソプレン,ブタジエンの
重合体の水素添加物も利用できる。一般式(II)の反復
単位Bを与えるモノマーの具体例としては、ブタジエ
ン,イソプレン,クロロプレン等の共役ジエンがあり、
これを単独あるいは二種以上を組み合わせて使用するこ
とができる。好ましいモノマーとしては、ブタジエン,
イソプレンを挙げることができる。一般式(VI)の反復
単位C’は、上記反復単位Aを与えるモノマーと反復単
位Bを与えるモノマーを、公知の方法により共重合し、
得られた共重合体を、公知の過酸化物又は開始剤等を用
いて、無水マレイン酸,無水メチルマレイン酸,1,2
−ジメチルマレイン酸,無水エチルマレイン酸,無水フ
ェニルマレイン酸,無水イタコン酸等の不飽和ジカルボ
ン酸無水物をグラフト反応することにより形成すること
ができる。好ましいグラフト化モノマーは無水マレイン
酸である。ここで、グラフト反応は無水マレイン酸等の
グラフト化モノマーが反復単位A又はBの部分に結合す
ることによって進行する。なお、この反復単位C’を含
む本発明に用いる原料共重合体として、上記不飽和ジカ
ルボン酸無水物がグラフトした重合体として市販されて
いる重合体(マレイン酸変性EPRやマレイン酸変性S
EBS等)を充当することも可能である。
【0024】以上より、本発明の方法の原料である反復
単位A,B及びC’を含有する共重合体を例示すれば、
ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリイソプレン及びそ
の水素添加物,ポリブタジエン及びその水素添加物,ク
ロロプレンゴム及びその水素添加物,ニトリルゴム及び
その水素添加物,エチレン−プロピレン共重合体,エチ
レン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体,スチレン
−イソプレン共重合体及びその水素添加物,スチレン−
ブタジエン共重合体及びその水素添加物等の重合体又は
共重合体(尚、共重合体にあっては、ランダム共重合
体,ブロック共重合体,交互共重合体のずれであっても
よい)に、無水マレイン酸,無水メチルマレイン酸,無
水エチルマレイン酸,無水イタコン酸等の不飽和ジカル
ボン酸の無水物をグラフト反応して得られる共重合体等
を挙げることができる。しかし、これらの例示に限定さ
れるべきものではない。
【0025】また、本発明の方法(a)によれば、上記
のようにして製造された反復単位A,B及びC’を含有
する共重合体を、ホルムアミド,ギ酸及びそれらの誘導
体から選ばれた少なくとも1種のホルミル基含有化合物
の存在下で、一般式(VII)で表される第一級ジアミンの
塩と反応させる。ここで用いるホルミル基含有化合物
は、上述したように、ホルムアミド,ギ酸あるいはそれ
らの誘導体であり、市販のものが利用できる。このホル
ムアミドの誘導体としては、N−メチルホルムアミド;
N−エチルホルムアミド;N−ブチルホルムアミド;
N,N−ジメチルホルムアミド;N,N−ジエチルホル
ムアミド;N−メチルホルムアニリド;N−エチルホル
ムアニリド等の窒素置換ホルムアミド等を挙げることが
できる。また、ギ酸の誘導体としては、ギ酸メチル,ギ
酸エチル,ギ酸プロピル,ギ酸ブチル等のギ酸エステ
ル、あるいはギ酸ナトリウム,ギ酸カリウム,ギ酸アン
モニウム等のギ酸の塩等を挙げることができる。
【0026】また、一般式(VII)で表されるジアミンの
具体例としては、エチレンジアミン;1,3−ジアミノ
プロパン;1,4−ジアミノブタン;1,5−ジアミノ
ペンタン;ヘキサメチレンジアミン;1,7−ジアミノ
ヘプタン;1,8−ジアミノオクタン;1,9−ジアミ
ノノナン;1,10−ジアミノデカン;2,2,5−ト
リメチルヘキサンジアミン;2,2,4−トリメチルヘ
キサンジアミン等の直鎖又は分岐の脂肪族のアルキレン
ジアミン類、イソホロンジアミン;1,3−ビス(アミ
ノメチル)シクロヘキサン;ビス(4−アミノシクロヘ
キシル)メタン;ビスアミノメチルヘキサヒドロ−4,
7−メタンインダン;1,4−シクロヘキサンジアミ
ン;1,3−シクロヘキサンジアミン;2−メチルシク
ロヘキサンジアミン;4−メチルシクロヘキサンジアミ
ン;ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルシクロヘキシ
ル)メタン等の脂環式ジアミン類、m−キシリレンジア
ミン;p−キシリレンジアミン等のアリールアルキルジ
アミン、p−フェニレンジアミン;4,4' −ジアミノ
ジフェニルエーテル等のアリールジアミン、ポリオキシ
プロピレンジアミン;ポリオキシエチレンジアミン等の
ポリオキシアルキレンジアミンが例示できる。このう
ち、特に好ましいものは、脂肪族及び脂環式ジアミンで
ある。このジアミンは、部分中和塩(モノ塩)あるいは
完全中和塩(ジ塩)のいずれであってもよいが、部分中
和塩を用いた方法が反応効率が高く好ましい。上記ジア
ミンは、好ましくは酸の部分中和塩として用いられる
が、そのような酸としては、その酸強度としてカルボン
酸より大きいものを選択することが望ましい。具体例を
例示すれば、硫酸,ベンゼンスルホン酸,トルエンスル
ホン酸,ナフタレンスルホン酸等のスルホン酸類、塩
酸,フッ化水素酸,臭化水素酸,ヨウ化水素酸等のハロ
ゲノ酸、硝酸、ホウ酸、リン酸等がある。これらのうち
塩酸やトルエンスルホン酸が好ましい。
【0027】上記ジアミンの塩を製造するにあたって
は、上記ジアミンと上記酸のモル比は、ジアミンの全ア
ミノ基を基準にして酸の当量で50〜100%の中和度
に相当する塩の形で用いられる。50%未満の場合、イ
ミド化反応時に架橋,ゲル化が避けられない。又100
%を超えると、イミド化反応に長時間を要し経済的に不
利となる。好ましい範囲は50〜80%である。ジアミ
ンの塩は、相当するジアミンと相当する酸の中和反応に
より容易に調製することができる。例えば、酸のアルコ
ール溶液に、ジアミンを滴下し必要に応じ濃縮し、アル
コールで再結晶し、単離して原料として用いてもよい
し、前述したホルミル基含有化合物又は1,3−ジメチ
ル−2−イミダゾリジノン(DMI);N−メチル−2
−ピロリドン;ジメチルスルホキシド(DMSO);ジ
メチルスルホン;ジオキサン;1,2−ジメトキシエタ
ン;ヘキサメチレンリン酸−トリアミド;テトラメチル
尿素のような非プロトン性極性溶剤中でジアミンと酸の
部分中和塩を形成させて、そのまま反応に用いてもよ
い。なお、操作上、ホルミル基含有化合物中で塩を形成
させて、そのまま反応に用いる方が効率的で好ましい。
本発明の方法(a)では、その後、上述の如くして得ら
れた反応生成物を塩基と接触させて脱酸すればよい。
【0028】また、本発明の共重合体を得るための他の
方法としては、一般式(VII)で表されるジアミンと前述
のホルミル基含有化合物を反応させて得られる生成物を
反応試薬として用い、前記反復単位A,B,C’を含有
する共重合体とイミド化又は同時にアミド化反応させる
本発明の方法(b)が挙げられる。この反応試薬は、上
記ホルミル基含有化合物1モルに対して等倍モル以上、
好ましくは1.5〜5倍モルのジアミンを60〜180
℃、好ましくは80〜150℃で2〜5時間イミド化又
はアミド交換させて調製する。この反応においては、ギ
酸の場合は水、ギ酸エステルの場合はアルコールを、ホ
ルムアミド類の場合はアンモニア又はアミンを留去する
ことが好ましい。ここで得られた生成物を、そのまま次
のイミド化又はアミド化試薬として使用することもでき
るが、生成物中には、通常、未反応のジアミンが含まれ
ており、架橋,ゲル化の原因となる問題が生じる。そこ
で、生成物を減圧下で加熱し未反応のジアミンを留去す
るか、また高沸点ジアミンの場合は、一度塩酸等で中和
し再結晶することにより二塩酸塩として除去することが
好ましい。
【0029】本発明の方法(a),(b)は、上記反復
単位A,B及びC’を含有する共重合体に、一般式(VI
I)で表されるジアミンの塩とホルミル基含有化合物を反
応させるか、又は前記の共重合体に、ジアミンとホルミ
ル基含有化合物との反応生成物を反応させることによっ
て進行する。ここで、イミド化反応は、スクリュー押出
機等を用いて、無溶媒溶融状態で行うこともできるが、
局部反応を避け反応を均一ならしめる目的で、溶媒とし
てのホルミル基含有化合物の他に不活性溶媒を使用する
ことが望ましい。そのような目的で使用できる不活性溶
媒としては、ベンゼン,トルエン,キシレン,クメン,
シメン,エチルトルエン,プロピルベンゼン,ジエチル
ベンゼン等の芳香族炭化水素、メチルシクロペンタン,
シクロヘキサン,エチルシクロペンタン,メチルシクロ
ヘキサン,1,1−ジメチルシクロヘキサン,エチルシ
クロヘキサン等の脂環式炭化水素,ヘキサン,ヘプタ
ン,オクタン,デカン,メチルヘプタン,3−エチルヘ
キサン,トリメチルペンタン等の脂肪族炭化水素、1,
3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI),テト
ラメチル尿素,ジメチルスルホン,ジオキサン,1,2
−ジメトキシエタン,ヘキサメチレンリン酸トリアミ
ド,DMSO,N−メチル−2−ピロリドン等の非プロ
トン性極性溶媒が挙げられる。本発明の方法(a),
(b)では、極性のかなり異なった反応基質同士を反応
させることになるので、一般には非極性溶媒と極性溶媒
を同時に使用することが好ましい。
【0030】上記溶媒の使用量は、特に制限はなく状況
に応じて適宜選定すればよいが、通常は原料として使用
する反復単位A,B及びC’を含有する共重合体(即
ち、置換又は非置換無水コハク酸を官能基として有する
多官能性共重合体)に対し、重量比で0.3〜20倍、好
ましくは1倍〜10倍の範囲で定めればよい。0.3倍よ
り少ない場合は、希釈効果が十分でなく反応混合物が高
粘度になり困難をきたす場合がある。一方、20倍より
多くしても、使用量に相当する効果の向上は特に認めら
れず、経済的に不利である。上記不活性溶媒と溶媒とし
てのホルミル基含有化合物の比(不活性溶媒/ホルミル
基含有化合物)は、特に制限はないが、重量基準で40
/60〜100/0(なお、100/0は方法(b)の
場合である。)、好ましくは50/50〜95/5であ
る。本発明において、イミド化及びアミド化の反応基質
として、ジアミンと、ホルミル基含有化合物を反応させ
て得られる反応生成物を用いる場合は、溶媒としてのホ
ルミル基含有化合物の使用は必要ではないが、それ以外
(即ち方法(a))では必須(ただし、溶媒としてでは
なく、反応基質として必須)であり、希釈のための不活
性溶媒との混合溶媒の形で用いられる。その比率は、使
用原料の官能基の比率に応じてホルミル基含有化合物の
比率を増大させる方が基質の溶解性も良く、反応速度も
大きい傾向にある。
【0031】本発明の方法(a),(b)におけるイミ
ド化反応及びアミド化反応は、特に触媒を必要としない
が、使用する場合は、例えばトリメチルアミン,トリエ
チルアミン,トリブチルアミン,N,N−ジメチルアニ
リン,N,N−ジエチルアニリン,1,8−ジアザビシ
クロ(5.4.0)ウンデセン−7等の3級アミンが好
適である。
【0032】本発明の方法では、原料の共重合体、ジア
ミン又はその塩、及びホルミル基含有化合物の使用比率
は、使用する原料の種類や状況により異なり、一義的に
定めることはできないが、通常は原料共重合体中に含ま
れる置換又は無置換無水コハク酸基(即ち、反復単位
C')1モルに対し、ジアミンの未中和アミノ基又は未反
応アミノ基を基準にして、1.0〜10倍、好ましく1.0
5〜5.0倍である。1.0倍未満の場合、反応完結後もイ
ミド化又はアミド化されずに残る無水コハク酸基が存在
することになり、方法(a)においては、脱酸工程で再
生される第一級アミノ基と該無水コハク酸基が反応して
アミド架橋によりゲル化を起こし、本発明の効果を覆す
こと恐れがある。一方、モル比が10倍を超える場合
は、イミド化又はアミド化の反応自体は速く進行する利
点はあるが、反応試薬を多量に要する経済的不利益を免
れない。
【0033】上記方法(a),(b)における反応温度
及び反応時間は、使用する溶媒及び触媒の有無によって
異なるが、通常100〜250℃、好ましくは110〜
200℃で1〜20時間である。反応温度は100℃未
満である場合には、反応に長時間を要するという不利益
があり、又250℃を超える場合には反応物の着色と導
入したホルムアミド基が熱分解を起こす恐れがある。そ
こで、上記反応を無触媒で行うか、比較的低い温度で行
うか又は原料に対し反応試薬のモル比を小さくして行う
場合は、反復単位C,Dの生成率が高く、反復単位Eの
生成率は実質上無視できる程小さくなる。一方、上記反
応を前記触媒を用いて行うか、高温で行うか又は原料に
対し反応試薬のモル比を大きくして行う場合は、反復単
位Eの生成率が増加する。
【0034】ホルムアミド基とアミノ基の比率について
は、イミド化又はアミド化試薬としてジアミンとホルミ
ル基含有化合物の反応生成物を用いた場合、実質上10
0%ホルムアミド基の共重合体が得られる。また、ジア
ミンの塩を用いた場合は、ホルムアミド基とアミノ基の
混在する共重合体が得られ、反応温度が高い程、また反
応時間が長い程ホルムアミド基の生成率が大きくなる。
かくして、上記反応条件下においては、(反復単位C+
反復単位D)/反復単位Eの比率は100/0〜30/
70、ホルムアミド基/アミノ基の比率は100/0〜
30/70の共重合体が得られる。なお、本発明の共重
合体の上記組成は、例えば、同位体炭素による核磁気共
鳴(13C−NMR)スペクトルの測定により得られるケ
ミカルシフト176〜180ppm付近に現れるイミド
環のカルボニル炭素(W),172〜174ppm付近
に現れるアミドのカルボニル炭素(Y)及び162pp
m付近に現れるホルムアミド基のカルボニル炭素(Z)
のピーク強度比によって知ることができる。
【0035】本発明の方法(a)においては、反応原料
の仕込順序等は特に制限はなく、様々な態様で行うこと
ができるが、通常は、ホルミル基含有化合物(あるいは
これを他の溶媒に溶かしたもの)に、前記ジアミンと酸
の塩の粉末か又は溶液を加えて溶解させた後、反復単位
A,B及びC’を含有する共重合体を徐々に加えるか、
あるいはその逆の順序がとられる。この間の仕込みは、
溶媒(あるいはホルミル基含有化合物)の還流下の加熱
下に行われてもよい。また本発明の方法(b)において
も、反応原料の仕込順序等は特に制限はなく、様々な態
様で行うことができるが、通常は、反復単位A,B及び
C’を含有する共重合体を溶媒に均一に溶解した後、前
記ジアミンとホルミル基含有化合物を反応させて得られ
る反応生成物を徐々に加えるか、あるいはその逆の順序
がとられる。この間の仕込みは、溶媒の還流下の加熱下
に行われてもよい。原料共重合体とジアミンの塩および
ホルミル基含有化合物、あるいはジアミンとホルミル基
含有化合物からの反応生成物とのイミド化又はアミド化
反応は、水の生成を伴いながら進行するので、生成した
水が用いた溶媒と共に共沸してくる。したがって、この
共沸する水をディーン・スターク分水器などにより反応
系外へ除去することにより、効率的に反応を進行させる
ことができる。イミド化又はアミド化反応の完結は、共
沸水がもはや認められなくなること、及び反応混合物を
一部採取して赤外吸収スペクトルの測定により1700
cm-1付近のイミドのカルボニルの吸収強度の増大がもは
や認められなくなったことで確認できる。
【0036】かくして得られた反応混合物中に、ホルム
アミド基又はホルムアミド基と第一級アミノ基が、イミ
ド結合又はイミド結合とアミド結合を介して結合された
本発明の共重合体の塩が含まれる。この反応混合物をそ
のままで、又は必要に応じメタノール,イソプロパノー
ル,イソブタノール,ヘキサン,水等の非溶媒に投入し
て粉末化した後、塩基の水溶液、又は必要に応じて塩基
のメタノール/水混合溶液と接触させることにより脱酸
し、遊離のアミンに変換することができる。脱酸に用い
られる塩基の具体例を挙げれば、水酸化ナトリウム,水
酸化カリウム,水酸化リチウム,炭酸ナトリウム,炭酸
カリウム,重炭酸ナトリウム,重炭酸カリウム,アンモ
ニア,メチルアミン,エチルアミン,トリメチルアミ
ン,トリエチルアミンなど水溶性塩基であればよい。そ
のうち、経済的な理由から、水酸化ナトリウム,炭酸ナ
トリウム,重炭酸ナトリウムが好ましい。なお、本発明
の方法(b)によれば、共重合体の塩は生成しないの
で、上述したような脱酸は不要である。
【0037】ホルムアミド基のみを含む共重合体の精製
は、得られた反応混合物を前記メタノール,イソプロパ
ノール,イソブタノール,ヘキサン,水等の非溶媒に投
入して得られた沈澱を粉末化して回収することにより容
易に実施できる。また、上記の如くして得られた共重合
体のホルムアミド基を第一級アミノ基へ変換する方法と
しては、特に制限はなく公知の方法によればよい。例え
ば、ホルムアミド基を含有する共重合体を適当な溶媒に
溶かす方法、又は分散状態で塩酸,フッ化水素酸等の鉱
酸水溶液で処理するか加水分解することにより、相当す
る第一級アミンの塩に変換できる。好ましくは、本発明
の方法(c)の如く、酸性条件下で加水分解する方法が
挙げられる。この方法(c)において、酸性条件は特に
制限はないが、通常はpH3以下が好ましく、またこの
加水分解には、塩酸,硫酸等の鉱酸等を用いることが好
ましい。なおここで得られた第一級アミン塩は、必要に
応じて上記と同様の方法にて遊離の第一級アミンに導く
ことができる。
【0038】
【作用】本発明においては、ホルミル基含有化合物の存
在下にジアミンの部分中和塩、又はジアミンとホルミル
基含有化合物を反応させて得られる反応物、すなわちジ
アミンの部分ホルムアミドをイミド化試薬として用いる
ことにより、ジアミンの片末端の反応性を抑制し、他末
端の第一級アミンが選択的にイミド化又はアミド化に関
与することから、架橋を起こすことなく円滑に目的の共
重合体が得られるものと推察される。また、ジアミンの
部分中和塩を用いた場合であっても、生成物にホルムア
ミド基が含有されることについては、ジアミンの塩が反
応中に溶媒として用いるホルミル基含有化合物とアミド
交換反応を起こすためと考えられる。本発明において
は、生成するホルムアミド基は第一級アミンの保護基と
して働いており、加熱下のイミド化反応時においても副
反応が避けるられるため、色相の良好なる共重合体が得
られる。得られたホルムアミド基を含む共重合体は、必
要に応じアミノ基に変換可能であり、また例えばポリマ
ー相溶化剤,樹脂改質剤等として用いられる場合には、
熱分解によってより活性な官能基に変化することが可能
である。
【0039】
【実施例】次に、本発明を実施例により更に詳しく説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。 参考例1 (エチレンジアミンのp−トルエンスルホン酸部分中和
塩の調製) 温度計,攪拌機,滴下ロート,還流冷却器を備えた内容
量1リットルのフラスコに、メタノール300mlとp
−トルエンスルホン酸・1水和物95g( 0.5モル)を
仕込み溶解した。氷浴で冷却しながら、エチレンジアミ
ン150g( 2.5モル)をメタノール300mlに溶解
した液を、温度が10〜20℃を保つような速度で滴下
した。滴下終了後、70℃に加熱し、次いで減圧にし
て、メタノール及び未反応のエチレンジミアンを留去し
たところ、132.7gの白色固体が析出した。得られた
白色固体を取り出し、トルエン300mlでスラリー状
にして濾過し、更に100mlのトルエンで2回洗浄
し、得られた白色粉末を減圧乾燥した。収量は109.8
gであった。この白色粉末を、ブロモフェノールブルー
を指示薬として0.5規定の塩酸で滴定した中和当量及び
中和度を第1表に示す。
【0040】参考例2 (エチレンジアミンの塩酸部分中和塩の調製) 参考例1と同じ反応容器を用い、p−トルエンスルホン
酸に代えて、35%塩酸水溶液を用いる他は、参考例1
と同様の手順でエチレンジアミンの一塩酸塩の白色粉末
を得た。参考例1と同様にして得られた中和当量及び中
和度を第1表に示す。
【0041】参考例3 (ヘキサメチレンジアミンのp−トルエンスルホン酸部
分中和塩の調製) 参考例1と同じ反応容器を用い、ジメチルホルムアミド
(DMF)500ミリリットルにp−トルエンスルホン
酸1水和物95g(0.5モル)を室温で溶解した。次い
で、そこへヘキサメチレンジアミン52.2g(0.45モ
ル)を溶液の温度が20℃を越えないよう徐々に添加溶
解させヘキサメチレンジアミンのp−トルエンスルホン
酸部分中和塩のDMF溶液を調製した。固形分当たりの
中和当量及び中和度を第1表に示す。
【0042】参考例4,5 用いたジアミン及び酸の種類を変えたこと以外は、参考
例3と同様にして、ジアミンと酸の塩を調製した。得ら
れた塩の固形分当たりの中和当量及び中和度を第1表に
示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】参考例6 (エチレンジアミンとホルムアミドの反応生成物の調
製) 参考例1と同じ反応容器を用い、エチレンジアミン30
0g(5.0モル)にホルムアミド45g(1.0モル)を
室温で徐々に滴下し、その後、80〜120℃で加熱し
5時間反応させた。この間、アンモニアガスの発生が認
められた。反応終了後、61℃/88mmHgで未反応のエ
チレンジアミンを留去し、残渣物を得た。この残渣物の
中和滴定より得られた結果を、第2表に示す。
【0046】参考例7 (ヘキサメチレンジアミンとDMFの反応生成物の調
製) 参考例6と同様にして、ヘキサメチレンジアミンにDM
Fを滴下させ反応を行った。反応混合物を溶媒(エタノ
ール/水=7/3(容量比))に溶解し、35%塩酸で
中和後、濃縮し再結晶させた。濾別により、ヘキサメチ
レンジアミンの塩酸塩の針状結晶を除去し、濃縮残渣の
電位差滴定により得られた結果を第2表に示す。
【0047】参考例8 (1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンジアミ
ンとDMFの反応生成物の調製) 参考例7と同様にして、1,3−ビス(アミノメチル)
シクロヘキサンジアミンにDMFを滴下させ反応,濾別
を行った。電位差滴定により得られた結果を第2表に示
す。
【0048】参考例9 (m−キシリレンジアミンとギ酸の反応生成物の調製) m−キシリレンジアミン272g(2.0モル)とギ酸2
3g(0.5モル)をディーン・スターク分水器で水を留
去させながら120℃,10時間反応させた。得られた
反応物を参考例7と同様に処理し、目的の反応物を得
た。電位差滴定により得られた結果を第2表に示す。
【0049】
【表3】
【0050】参考例10 (無水マレイン酸グラフトポリプロピレンの調製:特公
昭56−9925号公報参考) 重量平均分子量(Mw)60000,数平均分子量(M
n)24000の結晶性ポリプロピレンの粉末100重
量部,無水マレイン酸12重量部及びジクミルパーオキ
シド4重量部を予め混合し、スクリュー径30mm,L
/D=28の押出機をバレル温度230℃に設定し、ス
クリュー回転数60rpmで押出反応を行い、吐出され
たグラフト化物を粉砕後、アセトンに浸漬して未反応無
水マレイン酸を抽出除去、乾燥して無水マレイン酸グラ
フト化ポリプロピレン樹脂(1)を得た。得られた無水
マレイン酸グラフト量は4.5重量%:ゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィー(GPC)による分子量は、ポ
リスチレン換算でMw=15000,Mn=6500で
あった。
【0051】参考例11 参考例10と同様の方法により、第3表に示す無水マレ
イン酸グラフト共重合体(2)〜(10)を得た。
【0052】
【表4】
【0053】実施例1 温度計,攪拌機,滴下ロート,ディーン・スターク分水
器を備えた内容量1リットルのフラスコにDMFを30
0ミリリットルと参考例10で調製した無水マレイン酸
グラフトポリプロピレン(1)120gを仕込んで加熱
し、140℃でキシレンの還流下に溶解した。次に、こ
のフラスコに、参考例1で調製したエチレンジアミンの
p−トルエンスルホン酸塩17.8gをDMF200ミリ
リットルに溶解したものを3時間かけて徐々に滴下し
た。この間、反応混合液はキシレンの還流温度下に保持
され、イミド化反応の結果、共沸してくる水はディーン
/スターク分水器で反応系外へ除去した。上記エチレン
ジアミンの塩の滴下開始より14時間反応を継続した
後、冷却し、反応混合物を5リットルのメタノール中へ
投入し、精製物を沈澱として回収した。この沈澱をトル
エン加熱下で溶解し、キャストフィルムを作製して赤外
線吸収スペクトルを測定したところ、1768,170
0cm-1のイミド環に基づく吸収、1660cm-1(シ
ョルダー)及び1530cm-1にホルムアミド基の吸収
の他に1122,1035,1010,685,570
cm-1にp−トルエンスルホン酸に基づく吸収が観測さ
れ、ホルムアミド基又は第一級アミノ基がp−トルエン
スルホン酸の形でイミド結合を介してポリプロピレンに
結合していることが確認された。さらに、この沈澱を炭
酸カリウム8.0gを含む水/メタノール(容量比1/
1)溶液に一夜浸漬後、濾別し、水及びメタノールで充
分洗浄後、乾燥した。得られた収量は、121.1gであ
った。得られた共重合体は、淡黄白色粉末で、100℃
でテトラリンに10重量%で溶解し、B型粘度計で粘度
を測定(100℃)したところ、180cpsであっ
た。また、キシレンキャストフィルムを作成してIRス
ペクトルを測定したところ、1122cm-1,1035
cm-1,1010cm-1,685cm-1,570cm-1
のp−トルエンスルホン酸に基づく吸収が消失してい
た。また、1768cm-1,1700cm-1にイミド環
の吸収、1660cm-1(ショルダー),1530cm
-1にはホルムアミド基の吸収があり、また、3400c
-1にはアミノ基に基づく吸収が観測された。一方、C
DCl3 中で測定した同位体炭素による核磁気共鳴(13
C−NMR)スペクトルでは、176〜180ppmに
はイミド環のカルボニル炭素のピークが強度比2.00
で、162ppmにはホルムアミド基のカルボニル炭素
のピークが強度比0.78で現れたが、172〜174p
pmのアミド基のカルボニル炭素の存在を示すピークは
現れなかった。これより、上記NMRスペクトルの測定
より、官能基比率(モル比)は((III)+(IV))/
(V)=100/0、−NH−CHO基/NH2 基=7
8/22と決定された。
【0054】実施例2 実施例1と同じ反応容器に、参考例3で調製したヘキサ
メチレンジアミンのp−トルエンスルホン酸塩10.8g
を含むDMF溶液50gを仕込み、80℃に加熱した。
上記反応容器に、参考例11で製造したスチレン−ブタ
ジエン共重合体の水素添加物である無水マレイン酸変性
物(2)(Mw=50000,Mn=48000,無水
マレイン酸グラフト量1%)60gをキシレン600ミ
リリットルに溶解して、滴下ロートより徐々に滴下し
た。滴下終了後、反応混合物を一部採取してIRスペク
トルを調べたところ、1780cm-1の無水コハク酸環
に基づく吸収は完全に消失していた。加熱,昇温を続
け、共沸してくる水をディーン・スターク分水器で連続
的に除去しながら、水が生成しなくなるまで8時間,1
40℃で反応を継続した。反応終了後、減圧下で反応混
合物を400ミリリットルまで濃縮し、炭酸ソーダ6.0
gを含む水/メタノール(容量比1/1)溶液5リット
ル中へ投入し、生成物を沈澱として回収した。この沈澱
を、メタノールで洗浄,乾燥し、目的の共重合体59.1
gを得た。得られた共重合体は、淡黄白色粉末でキシレ
ンに可溶であり、キシレンに10重量%で溶解し、B型
粘度計で粘度を測定(25℃)したところ、790cp
sであった。また、キシレンキャストフィルムを作成し
て赤外吸収スペクトルを測定したところ、1775cm
-1,1702cm-1にイミド環の吸収、1665cm-1
(ショルダー),1529cm-1にはホルムアミド基の
吸収、3420cm-1にはアミノ基に基づく吸収(痕
跡)が観測された。一方、CDCl3 中で測定した13
−NMRスペクトルでは、176〜180ppmにはイ
ミド環のカルボニル炭素のピークが強度比2.00で、1
62ppmにはホルムアミド基のカルボニル炭素のピー
クが強度比0.65で現れた。これより、上記NMRスペ
クトルの測定より、官能基比率は((III)+(IV))/
(V)=100/0、−NH−CHO基/NH2 基=6
5/35と決定された。
【0055】実施例3 実施例1と同じ反応容器に、参考例11で調製した無水
マレイン酸グラフトエチレン−プロピレン共重合体
(3)90g,クメン500ミリリットルを仕込み溶解
した。上記溶液を153℃に加熱し、クメンの還流下で
参考例2で調製したヘキサエチレンジアミンの塩酸塩1
7.7gをDMF80ミリリットルに溶解し滴下した。共
沸してくる水をディーン・スターク分水器で連続的に除
去しながら、水が生成しなくなるまで9時間反応を継続
した。反応終了後、減圧下で反応混合物を炭酸ソーダ1
0gを含む水/メタノール(容量比1/1)溶液5リッ
トル中へ投入し、生成物を沈澱として回収した。この沈
澱を、メタノールで洗浄,乾燥し、目的の共重合体89.
7gを得た。得られた共重合体は、白色粉末でキシレン
に可溶であり、キシレンに10重量%で溶解し、B型粘
度計で粘度を測定(25℃)したところ、350cps
であった。また、キシレンキャストフィルムを作成して
赤外吸収スペクトルを測定したところ、1775c
-1,1700cm-1にイミド環の吸収、1670cm
-1(ショルダー),1529cm-1にはホルムアミド基
の吸収が観測された。また、3435cm-1にはアミノ
基に基づく吸収が観測された。一方、CDCl3 中で測
定した13C−NMRスペクトルでは、176〜180p
pmにはイミド環のカルボニル炭素のピークが強度比2.
00で、162ppmにはホルムアミド基のカルボニル
炭素のピークが強度比1.09で、172〜174ppm
にはアミド基のカルボニル炭素のピークが強度比0.22
で現れた。これより、上記NMRスペクトルの測定よ
り、官能基比率は((III)+(IV))/(V)=82/
18、−NH−CHO基/NH2 基=89/11と決定
された。
【0056】実施例4 無水マレイン酸グラフトポリプロピレン共重合体の代わ
りに参考例11の無水マレイン酸グラフトポリエチレン
(6)120gを使用し、エチレンジアミンのp−トル
エンスルホン酸塩の代わりに参考例6のエチレンジアミ
ンとホルムアミドの反応物45.5gを用いた以外は、実
施例1と同様に反応を行った。その結果、目的の共重合
体134.3gを得た。得られた共重合体は、白色粉末で
テトラリン/DMIに可溶であり、テトラリン/DMI
(容量比1/1)に10重量%で溶解し、B型粘度計で
粘度を測定(100℃)したところ、45cpsであっ
た。また、IRスペクトル(KBr錠剤法)を測定した
ところ、1780cm-1,1772cm-1にイミド環の
吸収、1670cm-1(ショルダー),1532cm-1
にはホルムアミド基の吸収が観測された。一方、CDC
3 中で測定した13C−NMRスペクトルでは、176
〜180ppmにはイミド環のカルボニル炭素のピーク
が強度比2.00で、162ppmにはホルムアミド基の
カルボニル炭素のピークが強度比0.85で現れた。これ
より、上記NMRスペクトルの測定より、官能基比率は
((III)+(IV))/(V)=100/0、−NH−C
HO基/NH2 基=85/15と決定された。
【0057】実施例5〜10 ジアミンの塩として、あるいはジアミンとホルミル基含
有化合物との反応生成物として、参考例1〜9で得たも
のを用い、原料共重合体として第4表に記載の共重合体
を用いて、実施例1〜4と同様に実施した。結果を第4
表に示す。得られた共重合体の粘度についても同様に測
定し、その結果を第4表に示す。
【0058】
【表5】
【0059】
【表6】
【0060】
【表7】
【0061】
【表8】
【0062】
【表9】
【0063】
【表10】
【0064】
【表11】
【0065】実施例11 実施例3で得られた共重合体13.0gをメタノール10
0ミリリットルに溶解し、35%塩酸50gを加え均一
に混合分散した後、室温で2日間放置した。反応混合物
を減圧で濃縮しイソプロパノール500ミリリットル中
へ投入し沈澱を得た。得られた沈澱を炭酸ソーダ5.0g
を含む水/イソプロパノール(容量比1/1)溶液30
0ミリリットルに浸漬した。一夜浸漬後、沈澱を濾別
し、さらに水及びイソプロパノールで充分洗浄後、乾燥
した。収量は12.1gであった。得られた共重合体は、
淡黄白色粉末でトルエンに10重量%で溶解し、25℃
で粘度を測定した結果395cpsであった。また、ト
ルエンキャストフィルムを作成してIRスペクトルを測
定したところ、1772cm-1,1700cm-1にイミ
ド環の吸収,1666cm-1(ショルダー),1530
cm-1にはアミド基の吸収があり、3430cm-1には
アミノ基に基づく吸収が観測された。一方、CDCl3
中で測定した13C−NMRスペクトルでは、176〜1
80ppmにはイミド環のカルボニル炭素のピークが強
度比2.00で、162ppmにはホルムアミド基のカル
ボニル炭素のピークが無く、172〜174ppmのア
ミドのカルボニル炭素のピークが強度比0.20で現れ
た。これより、上記NMRスペクトルの測定より、官能
基比率は(IV)/(V)=83/17,−NH−CHO
基/NH2 基=0/100と決定された。
【0066】比較例1 実施例1において、エチレンジアミンのp−トルエンス
ルホン酸塩に代えてエチレンジアミン5.0gを用い、ま
たDMFに代えてキシレン200ミリリットルを用いた
他は、実施例1と同様の原料を用いて反応を試みたが、
エチレンジアミンのp−トルエンスルホン酸塩17.8g
をDMF200ミリリットルに溶解したものをエチレン
ジアミン溶液の1/5量滴下した段階で、直ちに反応混
合物が高粘度となって攪拌不能に陥り、ついには一体化
した塊状となり、以後の反応続行は不可能であった。こ
の塊状反応混合物の一部を採取し、メタノールで洗浄
後、乾燥して得られたものは、熱時においてもキシレン
に溶解せず、上記実施例1で得た生成物とは明らかに異
なり、架橋体が生成したものと判断された。
【0067】比較例2 実施例1と同じ反応容器に、キシレン800ミリリット
ル及びエチレンジアミン16.5gを仕込み100℃に加
熱した。次いで、参考例10で得られた無水マレイン酸
グラフトポリプロピレン120gを粉末のまま添加し、
加熱,昇温を続けたが、共沸水の留出が始まると、直ち
に反応混合物が高粘度となって攪拌不能に陥り、ついに
は一体化した塊状となり、以後の反応続行は不可能であ
った。この塊状反応混合物の一部を採取し、メタノール
で洗浄後、乾燥して得られたものは、熱時においてもキ
シレンに溶解せず、上記実施例1で得た生成物とは明ら
かに異なり、架橋体が生成したものと判断された。
【0068】比較例3 実施例2において、エチレンジアミンのp−トルエンス
ルホン酸塩に代えてヘキサエチレンジアミン4.5gを用
い、またDMFに代えてキシレン150ミリリットルを
用いた他は、実施例2と同様の原料を用いて反応を試み
たが、スチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物であ
る無水マレイン酸変性物(2)(Mw=50000,M
n=48000,無水マレイン酸グラフト量1%)60
gをキシレン600ミリリットルに溶解したものの滴下
終了後、加熱,昇温する過程で共沸水の留出が始まる
と、直ちに反応混合物が高粘度となって攪拌不能に陥
り、ついには一体化した塊状となり、以後の反応続行は
不可能であった。この塊状反応混合物の一部を採取し、
メタノールで洗浄後、乾燥して得られたものは、熱時に
おいてもキシレンに溶解せず、上記実施例2で得た生成
物とは明らかに異なり、架橋体が生成したものと判断さ
れた。
【0069】比較例4 実施例1において、DMFに代えてDMI200ミリリ
ットルを用いた他は、実施例1と同様の原料を用いて反
応を試みた。得られた共重合体は、茶褐色粉末でキシレ
ンに可溶で、テトラリンに10重量%で溶解し、100
℃で粘度を測定した結果165cpsであった。また、
キシレンキャストフィルムを作成してIRスペクトルを
測定したところ、1770cm-1,1700cm-1にイ
ミド環の吸収,3350cm-1にはアミノ基に基づく吸
収が観測された。
【0070】
【発明の効果】本発明によれば、各種高分子の側鎖にイ
ミド基又はアミド基を介して、ホルムアミド基又はホル
ムアミド基と第一級アミノ基を導入することができ、高
分子アミノ試薬,機能性高分子の原料接着剤の原料,ポ
リマー相溶化剤,樹脂改質剤など幅広い用途に利用で
き、且つ、加水分解により活性な第一級アミノ基を与え
ることができる新規な共重合体を提供し得る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菊田 学 京都府綴喜郡田辺町大字草内小字八田16 −19 (56)参考文献 特開 平4−296308(JP,A) 特開 昭64−70595(JP,A) 特開 昭48−47591(JP,A) 特開 平4−296309(JP,A) 特開 平1−113408(JP,A) 特開 平2−135215(JP,A) 特開 平2−135214(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 8/48 C08F 8/30

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子内に一般式(I)で表される反復単
    位A20〜99.8モル%,一般式(II)で表される反復
    単位B50〜0モル%,一般式(III)で表される反復単
    位C,一般式(IV)で表される反復単位D及び一般式
    (V)で表される反復単位Eの合計量30〜0.2モル%
    (ただし、反復単位Cは0.2モル%以上である。) 【化1】 【化2】 【化3】 (式中、R1 ,R2 ,R5 ,R6及びR7 は各々独立に
    水素原子,炭素数1〜10のアルキル基,炭素数3〜8
    のシクロアルキル基,炭素数6〜10のアリール基,炭
    素数2〜4のアルケニル基,炭素数1〜4のアルコキシ
    基,炭素数1〜18のアルコキシカルボニル基,炭素数
    1〜17のアルキルカルボキシル基,炭素数1〜6のア
    ルキルカルボニル基,炭素数6〜8のアリールカルボニ
    ル基,ハロゲン原子あるいはニトリル基を示し、R3
    びR4 は各々独立に水素原子,炭素数1〜4のアルキル
    基,炭素数2〜4のアルケニル基あるいはハロゲン原子
    を示し、R8 は存在しないか、あるいはメチレン基又は
    エチレン基を示し、R9 及びR10は各々独立に水素原
    子、炭素数1〜6のアルキル基あるいは炭素数6〜8の
    アリール基を示し、R11は炭素数1〜12のアルキレン
    基,炭素数5〜17のシクロアルキレン基,炭素数6〜
    12のアリーレン基,炭素数7〜12のアリールアルキ
    レン基あるいは炭素数4〜30のポリオキシアルキレン
    基を示し、R12は水素原子あるいは炭素数1〜10のア
    ルキル基を示す。nは1〜10の整数を示す。なお、R
    1 〜R12はそれぞれ反復単位毎に同一であっても異なっ
    てもよい。また、X1 及びX2 は各々独立にNH2 ある
    いはNH−CHOを示す。)を含有する共重合体または
    その塩。
  2. 【請求項2】 分子内に一般式(I)で表される反復単
    位A20〜99.8モル%,一般式(II)で表される反復
    単位B50〜0モル%及び一般式(VI) で表される反復
    単位C’30〜0.2モル% 【化4】 (式中、R5 〜R10,R12及びnは前記と同じであ
    る。)を含有する共重合体に、一般式(VII) H2 N−R11−NH2 ・・・(VII) (式中、R11は前記と同じである。)で表されるジアミ
    ンの塩を、ホルムアミド,ギ酸及びそれらの誘導体から
    選ばれた少なくとも1種のホルミル基含有化合物の存在
    下で反応させた後、塩基と接触させて脱酸することを特
    徴とする請求項1記載の共重合体あるいはその塩の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 一般式(VII)で表されるジアミンと、ホ
    ルムアミド,ギ酸及びそれらの誘導体から選ばれた少な
    くとも1種のホルミル基含有化合物を反応させて得られ
    る生成物と、分子内に一般式(I)で表される反復単位
    A20〜99.8モル%,一般式(II)で表される反復単
    位B50〜0モル%及び一般式 (VI) で表される反復単
    位C’30〜0.2モル%を含有する共重合体を反応させ
    ることを特徴とする請求項1記載の共重合体の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の共重合体を酸性条件下で
    加水分解することを特徴とする、分子内に一般式(I)
    で表される反復単位A20〜99.8モル%,一般式(I
    I)で表される反復単位B50〜0モル%,一般式(I
    V)で表される反復単位D及び一般式 (V)で表される
    反復単位Eの合計量30〜0.2モル%(ただし、反復単
    位Dは0.2モル%以上であり、X1 及びX2 は共にNH
    2 である。)を含有する共重合体またはその塩の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の共重合体を酸性条件下で
    加水分解して得られる、分子内に一般式(I)で表され
    る反復単位A20〜99.8モル%,一般式(II)で表さ
    れる反復単位B50〜0モル%,一般式(IV)で表され
    る反復単位D及び一般式 (V)で表される反復単位Eの
    合計量30〜0.2モル%(ただし、反復単位Dは0.2モ
    ル%以上であり、X1 及びX2 は共にNH2 である。)
    を含有する共重合体またはその塩。
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