以下、本発明にかかるオレフィン系重合体について具体的に説明する。本発明に係るオレフィン系重合体は、下記一般式(I)で表されることを特徴とするオレフィン系重合体であって、
〔上記一般式(I)中、POは炭素原子数2〜20のオレフィンに由来し、炭素および水素のみから構成されるオレフィン連鎖を示す。(なお、以下の説明では該オレフィン連鎖を「POセグメント」と呼ぶ場合がある。) gはアミド結合およびイミド結合から選ばれる結合を含んでなる部位を示し、Bは1つ以上のアミノ基を含んだ炭素原子数1〜20の炭化水素セグメントを示す。mは1以上の数を示す。〕
下記の要件[1]〜[3]を同時に満たすことを特徴とするオレフィン系重合体である。
[1] 極限粘度([η])の値が、0.01〜20(dl/g)の範囲にある。
[2] ゲル分率が10重量%未満である。
[3] オレフィン系重合体中のアミド結合およびイミド結合の総量[N-T](mmol/g)とアミノ基の量[N-A](mmol/g)の関係が下式(Eq-1)を満たすオレフィン系重合体である。
本発明に係わるオレフィン系重合体の一つの態様は、前記一般式(I)におけるアミノ基が、下記一般式(II)で表わされるのオレフィン系重合体である。
〔上記一般式(II)において、R1およびR2は、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、アシル基、スルフォニル基からなる群から選ばれ、相互に同一でも異なっていてもよい
*は、前記一般式(I)中の部位gに直結する炭素原子数1〜20の炭化水素セグメントン中の炭素原子を示す。〕
本発明に係わるオレフィン系重合体の好ましい態様は、前記一般式(II)におけるアミノ基において、R1およびR2がともに水素原子であるオレフィン系重合体である。
本発明に係るオレフィン系重合体は、極性基を有するオレフィン重合体を多価アミノ基含有化合物中で処理して製造されることを特徴とするオレフィン系重合体であって、多価アミノ基含有化合物に由来するアミノ基の総量[N-B](mol)とオレフィン重合体中に由来する極性基の総量[P-F](mmol)の関係が下式(Eq-2)を満たして製造されることを特徴とする、オレフィン系重合体である。
以下、本発明のオレフィン系共重合体について説明する。
(POセグメント)
本発明に用いられるPOセグメントは、炭素原子数2〜20のオレフィンに由来し、炭素および水素のみから構成されるオレフィン連鎖からなるセグメントである。
炭素原子数2〜20のオレフィンとしては、例えば直鎖状または分岐状のα-オレフィン、環状オレフィン、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、非共役ポリエンなどが挙げられる。
直鎖状または分岐状のα-オレフィンとして具体的には、例えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどの炭素原子数2〜20、好ましくは2〜10の直鎖状のα-オレフィン;例えば3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセンなどの好ましくは5〜20、より好ましくは5〜10の分岐状のα-オレフィンが挙げられる。
環状オレフィンとしては、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネン、テトラシクロドデセン、ビニルシクロヘキサンなどの炭素原子数3〜20、好ましくは5〜15のものが挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、およびα-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o,p-ジメチルスチレン、o-エチルスチレン、m-エチルスチレン、p-エチルスチレンなどのモノまたはポリアルキルスチレンが挙げられる。
共役ジエンとしては、例えば1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチルブタジエン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-オクタジエンなどの炭素原子数4〜20、好ましくは4〜10のものが挙げられる。
非共役ポリエンとしては、例えば1,4-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン(DMDT)、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5-ビニルノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペンル-2-ノルボルネン、2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,2-ノルボルナジエンなどの炭素原子数5〜20、好ましくは5〜10のものが挙げられる。
上記オレフィン連鎖からなるPOセグメントは、これらのオレフィンおよび/または官能化ビニル化合物からなるセグメントであるが、好ましくはプロピレンまたは炭素原子数3〜20のオレフィンの単独重合体;エチレンと、炭素原子数3〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから得られる共重合体;プロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから得られる共重合体に由来するセグメントである。より好ましくは、プロピレンの単独共重合体、プロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから得られる共重合体に由来するセグメントである。上記POセグメントは、単独組成のセグメントであっても良く、異なった組成のオレフィン連鎖が複数存在するセグメントであっても良い。
上記POセグメントは、結晶性を有していてもいなくても良い。また、13C−NMR等を用いた測定によって明らかとなるその立体規則性は、アイソタクティック、シンジオタクティックのいずれであってもよい。
上記POセグメントの分子量は、その指標である極限粘度([η]:(dl/g))の値が、0.01〜20の範囲にある。好ましくは0.02〜15の範囲であり、より好ましくは0.05〜10の範囲である。
(gセグメント)
gセグメントはアミド結合、イミド結合から選ばれる結合を含んでなる部位を示し、POセグメントとBセグメントを結合する部位である。POセグメントとBセグメントは、アミド結合、イミド結合から選ばれる結合で直接結合していてもよく、POセグメントとアミド結合、イミド結合から選ばれる結合とが原子団を介して、Bセグメントと結合しても良い。このような原子団としては、炭素原子数1〜20の炭化水素基が挙げられ、直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、環状アルキル基、アリール基が挙げられる。また原子団は、ヘテロ原子を含んだ構造であっても良く、炭素原子数1〜20の範囲で構成される構造であれば、ヘテロ原子の種類は特に制限されないが、好ましくは、酸素原子、硫黄原子、窒素原子から選ばれる原子である。
本発明にかかるオレフィン系共重合体中には上記の2種類の結合部が存在してもかまわない。原子団としては、好ましくは直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、環状アルキル基またはアリール基を含んだ炭化水素基であり、直鎖状または分岐状のアルキル基として具体的には、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシルなどの炭素原子数1〜20、好ましくは1〜10の直鎖状アルキル基;例えばイソプロピル、イソブチル、メチルブチル、メチルペンチル、エチルペンチル、ジメチルペンチル、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセンなどの好ましくは3〜20、より好ましくは3〜10の分岐状アルキル基が挙げられる。環状アルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘプチル、ノルボルニル、5-メチル-2-ノルボルニル、テトラシクロドデシル、ビニルシクロヘキシルなどの炭素原子数3〜20、好ましくは5〜15のものが挙げられる。また上記直鎖状、分岐状または環状アルキル基が芳香族環を含有したものも好適に用いられる。
(Bセグメント)
本発明に用いられるBセグメントは、1つ以上のアミノ基を含んだ炭素原子数1〜20の炭化水素セグメントであり、下記一般式(II)で表わされる。
本発明に係わるオレフィン系重合体の一つの態様は、前記一般式(I)におけるアミノ基が、下記一般式(II)で表わされるのオレフィン系重合体である。
〔上記一般式(II)において、R1およびR2は、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、アシル基、スルフォニル基からなる群から選ばれ、相互に同一でも異なっていてもよい。*は、前記一般式(I)中の部位gに直結する炭素原子数1〜20の炭化水素セグメント中の炭素原子を示す。〕
上記一般式(II)において、R1およびR2は、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、アシル基、スルフォニル基からなる群から選ばれる。炭素数1〜20の炭化水素基としては、直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、環状アルキル基、アリール基が挙げられ、前述のgセグメントで述べられた炭素原子数1〜20の炭化水素基を例示することができる。好ましくは炭素数7〜20の炭化水素基を例示することができる。炭素数1〜20のアシル基としては、直鎖状アルキル、分岐状アルキル、環状アルキル、アリールを有するアシル基が挙げられる。炭素数1〜20のスルフォニル基としては、直鎖状アルキル、分岐状アルキル、環状アルキル、アリールを有するスルフォニル基が挙げられる。R1およびR2は、相互に同一でも異なっていてもよい。
本発明に係わるオレフィン系重合体の好ましい態様は、前記一般式(II)におけるアミノ基において、R1およびR2がともに水素原子であるオレフィン系重合体である。
Bセグメントとして具体的にはアミノ基含有直鎖状アルキル基、アミノ基含有分岐状アルキル基、アミノ基含有環状アルキル基、アミノ基含有アリール基等が挙げられる。アミノ基含有直鎖状アルキル基として具体的には、アミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アミノブチル基、アミノペンチル基、アミノヘキシル基、アミノオクチル基、アミノデシル基等のアミノ化アルキル基、ジアミノメチル基、ジアミノエチル基、ジアミノプロピル基、ジアミノブチル基、ジアミノペンチル基、ジアミノヘキシル基、ジアミノオクチル基、ジアミノデシル基、トリアミノメチル基、トリアミノエチル基、トリアミノプロピル基、トリアミノブチル基、トリアミノペンチル基、トリアミノヘキシル基、トリアミノオクチル基、トリアミノデシル基等の多価アミノ化アルキル基が挙げられる。
アミノ基含有分岐状アルキル基として具体的には、(アミノ)イソプロピル基、(アミノ)−2−ブチル基、(アミノ)メチルプロピル基、(アミノ)ジメチルエチル基、(アミノ)メチルブチル基、(アミノ)エチルプロピル基、(アミノ)ジメチルプロピル基、(アミノ)メチルペンチル基、(アミノ)エチルブチル基等のアミノ基含有分岐型アルキル基、ジ(アミノ)イソプロピル基、ジ(アミノ)−2−ブチル基、ジ(アミノ)メチルプロピル基、ジ(アミノ)ジメチルエチル基、ジ(アミノ)メチルブチル基、ジ(アミノ)エチルプロピル基、ジ(アミノ)ジメチルプロピル基、ジ(アミノ)メチルペンチル基、ジ(アミノ)エチルブチル基、トリ(アミノ)イソプロピル基、トリ(アミノ)−2−ブチル基、トリ(アミノ)メチルプロピル基、トリ(アミノ)ジメチルエチル基、トリ(アミノ)メチルブチル基、トリ(アミノ)エチルプロピル基、トリ(アミノ)ジメチルプロピル基、トリ(アミノ)メチルペンチル基、トリ(アミノ)エチルブチル基等の多価アミノ化分岐型アルキル基が挙げられる。
アミノ基含有環状アルキル基として具体的には、アミノシクロプロピル基、アミノシクロブチル基、アミノシクロペンチル基、アミノシクロヘキシル基、アミノシクロヘプチル基、アミノシクロオクチル基、アミノノルボルニル基およびそれらのアルキル基置換アミノ化シクロアルキル基、ジアミノシクロプロピル基、ジアミノシクロブチル基、ジアミノシクロペンチル基、ジアミノシクロヘキシル基、ジアミノシクロヘプチル基、ジアミノシクロオクチル基、ジアミノノルボルニル基、トリアミノシクロプロピル基、トリアミノシクロブチル基、トリアミノシクロペンチル基、トリアミノシクロヘキシル基、トリアミノシクロヘプチル基、トリアミノシクロオクチル基、トリアミノノルボルニル基およびそれらのアルキル基置換多価アミノ化シクロアルキル基が挙げられる。
アミノ基含有アリール基として具体的には、アミノベンゼン、アミノナフタレン、アミノアントラセンおよびそれらのアルキル置換アミノ化アリール基、ジアミノベンゼン、ジアミノナフタレン、ジアミノアントラセン、トリアミノベンゼン、トリアミノナフタレン、トリアミノアントラセンおよびそれらのアルキル置換多価アミノ化アリール基等が挙げられる。
上記アミノ基含有直鎖状アルキル基、アミノ基含有分岐状アルキル基、アミノ基含有環状アルキル基、アミノ基含有アリール基のアミノ基が、アルキル置換アミノ基、アシル置換アミノ基、スルホニル置換アミノ基であっても良く、例えばメチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノ、ペンチルアミノ、ヘキシルアミノ、オクチルアミノ、デシルアミノ、ドデシルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジペンチルアミノ、ジヘキシルアミノ、ジオクチルアミノ、ジデシルアミノ、ジドデシルアミノ、エチルメチルアミノ、メチルプロピルアミノ、メチルブチルアミノ、メチルペンチルアミノ等のアルキル置換アミノ基;メチルカルボニルアミノ、エチルカルボニルアミノ、プロピルカルボニルアミノ、ブチルカルボニルアミノ、ペンチルカルボニルアミノ、ヘキシルカルボニルアミノ、オクチルカルボニルアミノ、デシルカルボニルアミノ、ドデシルカルボニルアミノ、ジ(メチルカルボニル)アミノ、ジ(エチルカルボニル)アミノ、ジ(プロピルカルボニル)アミノ、ジ(ブチルカルボニル)アミノ、ジ(ペンチルカルボニル)アミノ、ジ(ヘキシルカルボニル)アミノ、ジ(オクチルカルボニル)アミノ、ジ(デシルカルボニル)アミノ、ジ(ドデシルカルボニル)アミノ、(エチルカルボニル)(メチルカルボニル)アミノ、(メチルカルボニル)(プロピルカルボニル)アミノ、(メチルカルボニル)(ブチルカルボニル)アミノ、(メチルカルボニル)(ペンチルカルボニル)アミノ等のアシル基置換アミノ基;メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ、プロピルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、ペンチルスルホニルアミノ、ヘキシルスルホニルアミノ、オクチルスルホニルアミノ、デシルスルホニルアミノ、ドデシルスルホニルアミノ、ジ(メチルスルホニル)アミノ、ジ(エチルスルホニル)アミノ、ジ(プロピルスルホニル)アミノ、ジ(ブチルスルホニル)アミノ、ジ(ペンチルスルホニル)アミノ、ジ(ヘキシルスルホニル)アミノ、ジ(オクチルスルホニル)アミノ、ジ(デシルスルホニル)アミノ、ジ(ドデシルスルホニル)アミノ、(エチルスルホニル)(メチルスルホニル)アミノ、(メチルスルホニル)(プロピルスルホニル)アミノ、(メチルスルホニル)(ブチルスルホニル)アミノ、(メチルスルホニル)(ペンチルスルホニル)アミノ等のスルホニル基置換アミノ基等が挙げられる。上記アミノ基の置換基は、例示されたアルキル基、アシル基、スルホニル基から選ばれる異なった種類の置換基であっても良い。
Bセグメントとして好ましくは、アミノ基含有直鎖状アルキル基、アミノ基含有分岐状アルキル基が用いられ、より好ましくは、アミノエチル基、アミノプロピル基、アミノブチル基、アミノペンチル基、アミノヘキシル基、アミノオクチル基等が用いられる。
本発明におけるオレフィン系重合体中の、結合部gを含んだBセグメント(g-B)は、上記POセグメント中および/またはPOセグメント末端に存在し、POセグメントに対して1単位部位以上が存在する。
本発明におけるオレフィン系重合体は、その指標であるデカリン溶液で測定した極限粘度([η])の値が、0.01〜20(dl/g)の範囲にある。好ましくは0.02〜15の範囲であり、より好ましくは0.05〜10の範囲である。
本発明におけるオレフィン系重合体中のゲル分率は、10重量%未満である。ゲル分率が多いと成型加工性の低下や、製品品質の低下を招き、工業的に好ましくない。好ましくはゲル分率が7重量%未満、更に好ましくは5重量%未満である。
本発明におけるオレフィン系重合体中のアミド結合およびイミド結合の総量[N-T](mmol/g)とアミノ基の量[N-A](mmol/g)の関係は下式 (Eq-1)を満たすことを特徴としている。
アミド結合およびイミド結合の総量[N-T]に対するアミノ基の量[N-A]が多いほど、オレフィン系重合体中の官能部位の割合が多くなり、極性物質との親和性向上に効果がある。オレフィン系重合体中のアミド結合およびイミド結合の総量[N-T](mmol/g)とアミノ基の量[N-A](mmol/g)の関係は、好ましくは下式(Eq-1’)を満たし、更に好ましくは下式(Eq-1”)を満たす。
(POセグメント製造法)
次に、本発明に用いるPOセグメントであるオレフィン重合体(PO1)の製造方法について説明する。
まず、オレフィン重合体の製造に用いられるオレフィン重合触媒について説明する。オレフィン重合体(PO1)の製造に用いられるオレフィン重合触媒は、従来公知のいずれの触媒であってもよい。従来公知の触媒としては、例えばマグネシウム担持型チタン触媒、メタロセン触媒などが挙げられ、例えば国際公開特許WO01/53369あるいはWO01/27124中に記載の触媒が好適に用いられる。
オレフィン重合体(PO1)の製造は、溶液重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施することができる。マグネシウム担持型チタン触媒系を用いる場合、重合系内においては、固体状チタン触媒成分(a)またはその予備重合触媒は、重合容積1リットル当りチタン原子に換算して、通常は約0.0001〜50ミリモル、好ましくは約0.001〜10ミリモルの量で用いられる。有機金属化合物触媒成分(b)は、該触媒成分(b)中の金属原子が、重合系中の固体状チタン触媒成分(a)中のチタン原子1モルに対し、通常1〜2000モル、好ましくは2〜1000モルの量で用いられる。電子供与体(ED)は、有機金属化合物触媒成分(b)の金属原子1モルに対し、通常0.001モル〜10モル、好ましくは0.01モル〜5モルの量で用いられる。
重合工程における、水素濃度はモノマー1モルに対して0〜0.01モル、好ましくは0〜0.005モル、より好ましくは0〜0.001モルの量であることが好ましい。
重合温度は、通常、70℃以上、好ましくは80〜150℃、より好ましくは85〜140℃、特に好ましくは90〜130℃の範囲であり、圧力は、通常、常圧〜10MPa、好ましくは常圧〜5MPaに設定される。重合は回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができ、2段以上に分けて行う場合は、反応条件は同じであっても異なっていてもよい。
触媒としてメタロセン系触媒を用いてオレフィン重合体(PO1)を製造する場合には、重合系内のメタロセン化合物(c)の濃度は、重合容積1リットル当り、通常0.00005〜0.1ミリモル、好ましくは0.0001〜0.05ミリモルの量で用いられる。有機アルミニウムオキシ化合物(d)は、メタロセン化合物(c)中の遷移金属原子(M)に対するアルミニウム原子(Al)のモル比(Al/M)で、5〜1000、好ましくは10〜400となるような量で用いられる。また有機アルミニウム化合物(e)が用いられる場合には、メタロセン化合物(c)中の遷移金属原子1モルに対して、通常約1〜300モル、好ましくは約2〜200モルとなるような量で用いられる。
メタロセン系触媒は、メタロセンが可溶な溶媒中で溶液状態として用いてもよく、無機化合物あるいは樹脂組成物を単体として用いた、担持触媒として用いてもよい。
メタロセン系触媒を用いた場合の重合温度は、通常温度が−20〜150℃、好ましくは0〜120℃、さらに好ましくは0〜100℃の範囲であり、重合圧力は0を超えて8MPa、好ましくは0を超えて5MPaの範囲である。
オレフィン重合体(PO1)の製造は、バッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を、反応条件を変えて2段以上に分けて行うこともできる。オレフィン重合では、オレフィンの単独重合体を製造してもよく、官能化ビニル化合物を含んだオレフィン類から選ばれる2種類以上のオレフィンからランダム共重合体を製造してもよい。
官能化ビニル化合物としては、炭素原子数2〜20の官能基含有のビニル化合物が挙げられ、直鎖状、分岐状、環状の官能化ビニル化合物が挙げられる。官能化ビニル化合物の例として、水酸基含有オレフィン、ハロゲン化オレフィン、アクリル酸、プロピオン酸、3−ブテン酸、4−ペンテン酸、5−ヘキセン酸、6−ヘプテン酸、7−オクテン酸、8−ノネン酸、9−デセン酸、10−ウンデセン酸、11−ドデセン酸などの不飽和カルボン酸類、アリルアミン、5−ヘキセンアミン、6−ヘプテンアミンなどの不飽和アミン類、(2,7−オクタジエニル)コハク酸無水物、ペンタプロペニルコハク酸無水物および上記不飽和カルボン酸類にある化合物の例示において、カルボン酸基をカルボン酸無水物基に置き換えた化合物などの不飽和酸無水物類、上記不飽和カルボン酸類にある化合物の例示において、カルボン酸基をカルボン酸ハライド基に置き換えた化合物などの不飽和カルボン酸ハライド類、4−エポキシ−1−ブテン、5−エポキシ−1−ペンテン、6−エポキシ−1−ヘキセン、7−エポキシ−1−ヘプテン、8−エポキシ−1−オクテン、9−エポキシ−1−ノネン、10−エポキシ−1−デセン、11−エポキシ−1−ウンデセンなどの不飽和エポキシ化合物類、アミノ化ビニル、アリルアミン、ブチルアミン、メチルアリルアミン、ペンチルアミン、エチルアリルアミン、ヘキシルアミン、エチルメチルアリルアミン、ヘプチルアミン、ジエチルアリルアミン、ブチルジメチルアリルアミン、アミルジメチルアリルアミン、ウンデセニルアミン、ドデセニルアミン、ノルボルニルアミン等の直鎖状、分岐状、環状のアミノ化オレフィン化合物類、イソシアネート基含有オレフィン化合物類等が挙げられる。またアルデヒド化オレフィン化合物類、酸ハロゲン化オレフィン化合物類、シラノール基含有オレフィン化合物類、スルホン酸基含有オレフィン化合物類等も用いることができる。また、ニトロ基、ニトリル基、アミド基含有オレフィン化合物類も用いることができる。
上記水酸基含有オレフィンとしては、水酸基含有のオレフィン系化合物であれば特に制限は無いが、例えば末端水酸化オレフィン化合物が挙げられる。
末端水酸化オレフィン化合物として具体的には、例えばビニルアルコール、アリルアルコール、水酸化−1−ブテン、水酸化−1−ペンテン、水酸化−1−ヘキセン、水酸化−1−オクテン、水酸化−1−デセン、水酸化−1−ドデセン、水酸化−1−テトラデセン、水酸化−1−ヘキサデセン、水酸化−1−オクタデセン、水酸化−1−エイコセンなどの炭素原子数2〜20、好ましくは2〜10の直鎖状の水酸化α-オレフィン;例えば水酸化−3−メチル−1−ブテン、水酸化−4−メチル−1−ペンテン、水酸化−3−メチル−1−ペンテン、水酸化−3−エチル−1−ペンテン、水酸化−4,4−ジメチル−1−ペンテン、水酸化−4−メチル−1−ヘキセン、水酸化−4,4−ジメチル−1−ヘキセン、水酸化−4−エチル−1−ヘキセン、水酸化−3−エチル−1−ヘキセンなどの好ましくは5〜20、より好ましくは5〜10の分岐状の水酸化α-オレフィンが挙げられる。
上記ハロゲン化オレフィンとして具体的には、例えば塩素、臭素、よう素等周期律表第17族原子を有する、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化−1−ブテン、ハロゲン化−1−ペンテン、ハロゲン化−1−ヘキセン、ハロゲン化−1−オクテン、ハロゲン化−1−デセン、ハロゲン化−1−ドデセン、ハロゲン化−1−テトラデセン、ハロゲン化−1−ヘキサデセン、ハロゲン化−1−オクタデセン、ハロゲン化−1−エイコセンなどの炭素原子数2〜20、好ましくは2〜10の直鎖状のハロゲン化α-オレフィン;例えばハロゲン化−3−メチル−1−ブテン、ハロゲン化−4−メチル−1−ペンテン、ハロゲン化−3−メチル−1−ペンテン、ハロゲン化−3−エチル−1−ペンテン、ハロゲン化−4,4−ジメチル−1−ペンテン、ハロゲン化−4−メチル−1−ヘキセン、ハロゲン化−4,4−ジメチル−1−ヘキセン、ハロゲン化−4−エチル−1−ヘキセン、ハロゲン化−3−エチル−1−ヘキセンなどの好ましくは5〜20、より好ましくは5〜10の分岐状のハロゲン化α-オレフィンが挙げられる。
オレフィン重合体(PO1)は、上記のようにして得られたオレフィン重合体を公知の方法である熱減成法(例えば特開平3−62804号公報記載の方法)によって得られるオレフィン重合体であってもよく、酸変性されたオレフィン重合体であっても良い。
酸変性オレフィン重合体は、該変性剤として不飽和基を含有する酸または酸無水物基を用い、ラジカル発生剤の存在下でオレフィン重合体にグラフトしたものである。酸変性オレフィン重合体の製造は公知の方法で行なうことが出来る(例えば特開平6−207064号公報、特開2002−167412号公報等に記載の方法)。
オレフィン重合体が炭素−炭素二重結合を有するオレフィン重合体である場合は、その二重結合を、公知の熱反応やラジカル反応等を利用して、不飽和基を有する極性化合物で変性することによって得られるオレフィン重合体であってもよい。
オレフィン重合体(PO1)は、該重合体中に、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、酸ハロゲン基、酸無水物基、アミノ基、イソシアネート基、シラノール基、ニトロ基、ニトリル基、スルホン酸基およびエポキシ基から選ばれる極性基を有していても良く、上記酸変性されたオレフィン重合体であってもよい。また、該官能基含有オレフィン重合体を、公知技術(例えば、新実験化学講座;1978年発行(丸善)、有機化学(モリソン・ボイド著);第5版 1989年発行(東京化学同人)等に記載の方法)を用いて変性し、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、イミノ着から選ばれる極性基に変性することも出来、上記酸変性されたオレフィン重合体をカルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、イミノ基から選ばれる極性基に変性することも出来る。
オレフィン重合体(PO1)中の極性基の割合は、オレフィン重合体(PO1)の重量に対して、0.01〜10重量%の範囲であり、好ましくは0.1〜8重量%の範囲である。オレフィン重合体(PO1)中の極性基は、本発明であるオレフィン系重合体を製造するために必要な要素の一つである。オレフィン重合体(PO1)中の上記極性基の割合が少ないと、その効果を発現させることが困難であり、その用途を限定してしまう。
(オレフィン系重合体の製造)
本発明のオレフィン系重合体の製造は、オレフィン重合体(PO1)を多価アミノ基含有化合物と処理することで行なわれ、その方法は通常公知の方法を採用することが出来る。例えば溶液法、懸濁法、溶融混錬法等が挙げられる。ただし、本発明に係るオレフィン系重合体中のゲル分率を低減させるには、上記方法の中で、溶液法、懸濁法が好適に用いられる。多価アミノ基含有化合物は、前述のgセグメントとBセグメントの要件を満たすものであれば特に制限無く用いることができる。
具体的には、ジアミノメタン、ジアミノエタン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、ジアミノオクタン、ジアミノデカン、トリアミノメタン、トリアミノエタン、トリアミノプロパン、トリアミノブタン、トリアミノペンタン、トリアミノヘキサン、トリアミノオクタン、トリアミノデカン、テトラアミノメタン、テトラアミノエタン、テトラアミノプロパン、テトラアミノブタン、テトラアミノペンタン、テトラアミノヘキサン、テトラアミノオクタン、テトラアミノデカン、ジアミノシクロプロパン、ジアミノシクロブタン、ジアミノシクロペンタン、ジアミノシクロヘキサン、ジアミノシクロヘプタン、ジアミノシクロオクタン、ジアミノノルボルナン、ジアミノベンゼン、ジアミノナフタレン、ジアミノアントラセン、トリアミノシクロプロパン、トリアミノシクロブタン、トリアミノシクロペンタン、トリアミノシクロヘキサン、トリアミノシクロヘプタン、トリアミノシクロオクタン、トリアミノノルボルナン、トリアミノベンゼン、トリアミノナフタレン、トリアミノアントラセン、テトラアミノシクロブタン、テトラアミノシクロペンタン、テトラアミノシクロヘキサン、テトラアミノシクロヘプタン、テトラアミノシクロオクタン、テトラアミノノルボルナン、テトラアミノベンゼン、テトラアミノナフタレン、テトラアミノアントラセン等の多価アミノ基含有化合物を例示できる。
多価アミノ基含有化合物として、ジアミノエタン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、ジアミノオクタンを好適に用いることができる。
多価アミノ基含有化合物に由来するアミノ基の総量[N-B](mol)とオレフィン重合体(PO1)に由来する極性基の総量[P-F](mmol)の関係は、下式(Eq-2)を満たす。
オレフィン重合体(PO1)に対して、多価アミノ基含有化合物の使用量が多い方がゲル分率低減に有効である。より好ましくは、下式(Eq-2’)を満たし、更に好ましくは下式(Eq-2”)を満たす。
本発明のオレフィン系重合体の製造は、多価アミノ基含有化合物を溶媒としてオレフィン系重合体(PO1)を溶解または懸濁し、処理することで行なうことが出来る。必要に応じて溶剤を用いても良い。溶剤は特に制限無く用いることが出来、ヘキサン、ヘプタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤等が好適に用いられる。製造は0℃〜400℃の範囲で行なわれ、好ましくは50℃〜200℃である。反応時間は1分〜24時間、好ましくは5分〜10時間である。また、反応を促進させるために公知の化合物である、いわゆる酸触媒や脱水触媒等の触媒作用を有する化合物を用いてもかまわない。上記方法の中で好ましくは、多価アミノ基含有化合物を溶媒としてオレフィン系重合体(PO1)を溶解または懸濁して処理する方法が用いられる。
溶融混錬法はすなわち、ラボプラストミルや一軸もしくはニ軸以上の多軸混錬機のような、混錬機、混錬押出し機、攪拌機等を用いて行われる。例えばオレフィン系重合体(PO1)に多価アミノ基含有化合物を高速攪拌機などにより均一混合した後、十分な混錬能力のある一軸あるいは他軸の押出し機で溶融混錬する方法が一般的である。混錬温度は通常50℃〜400℃程度の範囲で、好ましくは100℃〜350℃程度の範囲である。混錬時間は通常0.1秒〜5時間程度の範囲で、好ましくは1秒〜1時間程度の範囲である。溶融混錬時、変性剤またはラジカル開始剤のような化合物を添加してもよい。溶融混錬時、粘度調製や反応効率向上のため例えばトルエン、キシレン等の有機溶剤を添加して行っても良い。また、溶融混錬は、0.01mmHg〜常温大気圧の範囲で行なっても良い。減圧下で溶融混錬することは、未反応変性剤や添加溶剤の除去に効果がある。
本発明のオレフィン系重合体は、単独のPOセグメントが多価アミノ基含有化合物を介して環化していても良く、また複数のPOセグメントが多価アミノ基含有化合物を介して結合していても良い。
本発明のオレフィン系重合体は、目的に応じて、各種エラストマー、顔料、染料、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維等の補強材、タルク、炭酸カルシウム等の充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、難燃剤などを添加することが出来る。更に導電性カーボンなどを添加して、帯電防止効果を強化させることも可能である。
(用途)
本発明に係るオレフィン系重合体は、オレフィン連鎖からなるPOセグメントとがアミノ基を有しているオレフィン系重合体である。本発明に係るオレフィン系重合体は、オレフィン重合体に由来する物性と、極性基であるアミノ基に由来する物性を兼ね備えた重合体である。本発明に係るオレフィン系重合体は、特に制限無く各種用途に使用する事が出来る。例えば、接着用樹脂、建材・土木用成形体や自動車用内外装材またはガソリンタンク、電気電子部品、帯電防止剤、医療用成形体、雑貨成形体、フィルム・シートなどの成形体、磁気記録用素材、改質剤、構造制御材等に好適に用いられる。
本発明におけるオレフィン系重合体は、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲において、各種の添加剤、例えば軟化剤、安定剤、充填剤、酸化防止剤、結晶核剤などを配合することができる。
本発明に係る接着用樹脂は、粘着性、耐熱クリープ性、流動性に優れた特徴を有する、前記した本発明に係るオレフィン系共重合体を含んでなるホットメルト接着剤のような接着剤として、好適に用いられる。
本発明に係るホットメルト接着剤組成物は、前記オレフィン系重合体と、粘着性付与樹脂とを含有している。粘着性付与樹脂は、ベースポリマーであるオレフィン系重合体の溶融時の粘度を調整し、ホットタック性やヌレ性を向上させるために配合されるものである。この粘着性付与剤樹脂は、オレフィン系共重合体に配合して、加熱時に、オレフィン系共重合体のホットタックやヌレをよくすることができるものであれば、特に限定されない。
粘着性付与樹脂として具体的には、脂環族系水添タッキファイヤー、ロジン、変性ロジンまたはこれらのエステル化物、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族成分と芳香族成分の共重合石油樹脂、低分子量スチレン系樹脂、イソプレン系樹脂、アルキル、フェノール樹脂、テルペン樹脂、クマロン・インデン樹脂などが好適な粘着性付与剤として例示される。本発明では、これらの粘着性付与剤は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明に係るホットメルト接着剤組成物は、上記オレフィン系重合体と粘着性付与樹脂とを含み、オレフィン系重合体と粘着性付与樹脂との合計量100重量部に対して、オレフィン系重合体を10〜90重量部、好ましくは20〜85重量部、より好ましくは30〜80重量部、粘着性付与樹脂を90〜10重量部、好ましくは80〜15重量部、より好ましくは70〜20重量部の量で含んでいる。
本発明のホットメルト接着剤組成物は、上記オレフィン系重合体と粘着性付与樹脂、および必要に応じて、前記各種の添加剤を、所定の配合割合でブラベンダーなどの混合機に供給し、加熱して溶融混合して、これを所望の形状、例えば粒状、フレーク状、棒状などに成形することによって調製することができる。
本発明に係る成形体は、強度や透明性などの物性バランスが優れる前記した本発明に係るオレフィン系重合体と、本発明以外の熱可塑性樹脂とを含んでなる重合体組成物として、建材・土木用成形体、自動車用内外装材またはガソリンタンク、電気電子部品、医療用成形体、雑貨成形体などの成形体として、好適に用いられる。
これらのオレフィン系重合体は通常単独で用いてもよいし、水酸化マグネシウムなどの無機充填材またはビニルトリメトキシシランなどの架橋剤と併用して用いることができる。本発明においては、水酸化マグネシウムなどの無機充填材、ビニルトリメトキシシランなどの架橋剤と併用して用いることもできる。
また前記のようなオレフィン系重合体と磁性粉を混練することにより、優れた磁気記録用素材を得ることができる。この場合、オレフィン系重合体と磁性粉との配合比率(オレフィン系共重合体/磁性粉:重量比)は、99/1〜10/90であることが好ましい。また、これらはプラスチックマグネットとして文房具などに好ましく用いることができる。
本発明に係る医療・衛生用成形体は、使用する用途に応じて、例えば上記オレフィン系重合体などの製造方法と同様にしてカレンダー成形、押出成形、射出成形、ブロー成形、プレス成形、スタンピング成形などによって製造することができる。このようにして得られる医療・衛生用成形体は、シート、フィルム、中空成形体などである。また、得られるシート、フィルムなどを用いて、さらに不織布積層体などの成形体を得ることもできる。
フィラメントは、例えば溶融した組成物を、紡糸口金を通して押出すことにより製造することができる。
本発明では必要に応じて、無機フィラーを添加して使用することもできる。これらの添加量は、接着性樹脂100重量部に対して、前記オレフィン系重合体は通常5〜50重量部、好ましくは5〜20重量部であり、無機フィラーは通常10〜60重量部、好ましくは20〜40重量部であることが望ましい。
本発明に係るフィルムまたはシートは、組成の異なる2層以上の層から成る多層構造のフィルムまたはシートであって、これらの層のうち少なくとも1層が前記した本発明に係るオレフィン系重合体から成る層であり、外観、機械強度特性に優れたフィルムまたはシートとして好適に用いられる。オレフィン系重合体を用いて得られるフィルムまたはシートは、特に透明性、耐熱性、防雲性に優れるため、農業用、ラップ用として好ましい。
本発明のフィルムおよびシートを成形する方法としては、具体的には、押出成形、射出成形、インフレーション成形、ブロー成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、プレス成形、真空成形、カレンダー成形、発泡成形などが挙げられる。
本発明に係る改質剤は、前記した本発明に係るオレフィン系重合体を含んで成る改質剤であり、樹脂用、ゴム用、ワックス用、潤滑用、セメント用またはインキ・塗料等の顔料分散材用の改質剤、義歯材料用、封止剤等に好適に用いられる。
本発明に係る各種改質剤用の改質剤は、上記オレフィン系重合体と、樹脂、ゴム、潤滑油用基材、ワックス、セメントまたはインキ・塗料とを含むオレフィン系重合体組成物であってもよい。
本発明に係る構造制御材は、本発明に係るオレフィン系重合体の親水性効果を利用するものであり、液晶ゲル、半導体封止材、セラミックバインダー、水系エマルジョン、窒化アルミニウム配合フィルム等の構造制御材として、好適に用いられる。
熱可塑性樹脂の配合量は特に限定されないが、熱可塑性樹脂100重量部に対し、上記オレフィン系重合体を、通常0.01〜150重量部、必要に応じて充填剤を0.01〜300重量部、好ましくはオレフィン系重合体を0.1〜20重量部、充填剤を0.1〜40重量部、さらに好ましくはオレフィン系重合体を0.5〜10重量部、充填剤を0.5〜20重量部の量で用いることが好ましい。
本発明のオレフィン系重合体を含んで成る材料は、該オレフィン系重合体中のアミノ基の効果により、帯電が抑制される効果が発現されうるものであり、好ましくは、該オレフィン系重合体と樹脂、ゴム、潤滑油用基材、ワックス、またはインキ・塗料とを含むオレフィン系重合体組成物において、その効果がより発現されるものである。
以下に、実施例を挙げて本発明をより詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
〔参考例1〕
極限粘度([η])が7.2dl/gのプロピレン重合体と、無水マレイン酸3.5重量部と有機過酸化物(2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert- ブチルパーオキシ)ヘキシン-3)0.1重量部を添加して一軸押出機(サーモ20mmφ)に投入し、樹脂温度250℃で溶融混練し、ストランド状に押し出して水冷し、ペレット化して、無水マレイン酸グラフト変性プロピレン重合体を得た。
得られた変性プロピレン重合体の極限粘度([η])は0.45dl/gであった。変性プロピレン重合体中の無水マレイン酸基含量は、IR測定から、3.0重量部であることを確認した。
〔参考例2〕
参考例1同様にして、極限粘度([η])は0.89dl/g、変性プロピレン重合体中の無水マレイン酸基含量が0.5重量部である、無水マレイン酸グラフト変性プロピレン重合体を得た。