JP3746339B2 - 液状ゴム、その液状ゴム組成物およびその組成物からなる加硫ゴム - Google Patents

液状ゴム、その液状ゴム組成物およびその組成物からなる加硫ゴム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、液状ゴム、その液状ゴム組成物およびその組成物からなる加硫ゴムに関し、さらに詳しくは、耐熱性、耐候性に優れた加硫ゴムを提供することができ、自動車部品、工業用部品、建築材料などの用途に広く使用できる液状ゴム、その液状組成物およびその組成物からなる加硫ゴムに関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム(以下、EPDMと称する場合がある)は、その分子構造の主鎖に不飽和結合を有さないため、汎用されているジエン系ゴムに比べ、耐候性、耐オゾン性、耐熱老化性に優れており、自動車用部品、電気・電子用ゴム部品、土木・建築用ゴム製品などに広く使用されている。
【0003】
通常、EPDMは、混練、成形、加硫の独立した三工程により加工されているため、大型の加工装置と大量の加工エネルギーを要する。この加工に高エネルギーを必要とする最も大きな原因は、原料ゴムが弾性のある固体で、加工しにくいことにある。そこで、加工エネルギーを節減できる新しい形態のEPDMとして考え出されたのが液状ゴムである。EPDMが液状で扱えれば、加工工程における機械化、連続化が容易となり、しかも、配管ライニング、止水シート、目地材、接着剤として用いる場合には、現場施工が可能となるメリットがある。
【0004】
しかしながら、従来のEPDMは、ウレタン、シリコーンとは異なり、化学反応性に乏しく、加硫(架橋)して加硫ゴムとするためには、硫黄加硫、過酸化物加硫によるしかなく、これまでの低分子量EPDMは、加硫速度が遅く、液状ゴムとして用いるには効率が悪いという問題がある。
【0005】
その問題に対して、ヒドロキシ基あるいはカルボキシル基を持つモノマーを、低分子量EPDMにグラフトさせ、ウレタン硬化させるなどの手法が考え出されたが、工程が増え、コストがかかるという問題点があった。
【0006】
したがって、本願発明者らは、加硫速度が速く、液状ゴムとして扱えるEPDMを開発すべく鋭意研究を重ねた結果、エチレンと、プロピレンと、特定の分岐鎖状ポリエン化合物とを共重合して得られ、かつ、エチレンとプロピレンとのモル比、ヨウ素価および極限粘度が特定の範囲にあるランダム共重合体ゴムが、加硫速度が速く、耐熱性、耐候性に優れた加硫ゴムを提供することができ、液状ゴムとして使用できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、耐熱性、耐候性に優れた加硫ゴムを供給することができ、しかも、従来のEPDMよりもさらに加硫速度の速い液状ゴム、その液状ゴム組成物およびその組成物からなる加硫ゴムを提供することを目的としている。
【0008】
【発明の概要】
本発明に係る液状ゴムは、
エチレンと、炭素原子数3〜20のα- オレフィンと、下記一般式[I]で表わされる少なくとも一種の分岐鎖状ポリエン化合物とからなるランダム共重合体ゴム(A)からなり、
該ランダム共重合体ゴム(A)は、
(i)エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとのモル比(エチレン/α- オレフィン)が40/60〜95/5の範囲にあり、
(ii)ヨウ素価が5〜50の範囲にあり、
(iii) 135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が、0.01〜0.80dl/gで表わされる範囲にあることを特徴としている。
【0009】
【化2】
Figure 0003746339
【0010】
[式[I]中、nは1〜5の整数であり、
1 は炭素原子数1〜5のアルキル基であり、
2 およびR3 は、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基である。]
また、本発明に係る液状ゴム組成物は、上記ランダム共重合体ゴム(A)と加硫剤とを含有してなることを特徴としている。
【0011】
さらに、本発明に係る加硫ゴムは、上記の本発明に係る液状ゴム組成物の加硫物であることを特徴としている。
【0012】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る液状ゴム、その液状ゴム組成物、およびその組成物からなる加硫ゴムについて具体的に説明する。
【0013】
本発明に係る液状ゴムは、特定のランダム共重合体ゴム(A)からなり、軟化剤を含有していてもよい。
ランダム共重合体ゴム(A)
本発明に係る液状ゴムを構成するランダム共重合体ゴム(A)は、エチレンと、炭素原子数3〜20のα- オレフィンと、分岐鎖状ポリエン化合物とからなる。
【0014】
このような炭素原子数3〜20のα- オレフィンとしては、具体的には、
プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1- ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、9-メチル-1- デセン、11- メチル-1- ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどが挙げられる。中でも、炭素原子数3〜12、特にプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン等の炭素原子数3〜10のα- オレフィンが好ましく用いられる。
【0015】
これらのα- オレフィンは、単独であるいは2種以上組合わせて用いることができる。
また、分岐鎖状ポリエン化合物は、下記一般式[I]で表わされる。
【0016】
【化3】
Figure 0003746339
【0017】
式[I]中、nは1〜5の整数であり、R1 は炭素原子数1〜5のアルキル基であり、R2 およびR3 は、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基である。
【0018】
炭素原子数1〜5のアルキル基としては、具体的に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基などが挙げられる。
【0019】
このような分岐鎖状ポリエン化合物(以下、分岐鎖状ポリエン化合物[I]ともいう)としては、具体的に下記(1)〜(24)に例示するような化合物が挙げられる。中でも、(5)、(6)、(9)、(11)、(14)、(19)、(20)の分岐鎖状ポリエン化合物が好ましく用いられる。
(1)4-エチリデン-1,6- オクタジエン
(2)7-メチル-4- エチリデン-1,6- オクタジエン
(3)7-メチル-4- エチリデン-1,6- ノナジエン
(4)7-エチル-4- エチリデン-1,6- ノナジエン
(5)6,7-ジメチル-4- エチリデン-1,6- オクタジエン
(6)6,7-ジメチル-4- エチリデン-1,6- ノナジエン
(7)4-エチリデン-1,6- デカジエン
(8)7-メチル-4- エチリデン-1,6- デカジエン
(9)7-メチル-6- プロピル-4- エチリデン-1,6- オクタジエン
(10)4-エチリデン-1,7- ノナジエン
(11)8-メチル-4- エチリデン-1,7- ノナジエン(EMN)
(12)4-エチリデン-1,7- ウンデカジエン
(13)8-メチル-4- エチリデン-1,7- ウンデカジエン
(14)7,8-ジメチル-4- エチリデン-1,7- ノナジエン
(15)7,8-ジメチル-4- エチリデン-1,7- デカジエン
(16)7,8-ジメチル-4- エチリデン-1,7- ウンデカジエン
(17)8-メチル-7- エチル-4- エチリデン-1,7- ウンデカジエン
(18)7,8-ジエチル-4- エチリデン-1,7- デカジエン
(19)9-メチル-4- エチリデン-1,8- デカジエン
(20)8,9-ジメチル-4- エチリデン-1,8- デカジエン
(21)10- メチル-4- エチリデン-1,9- ウンデカジエン
(22)9,10- ジメチル-4- エチリデン-1,9- ウンデカジエン
(23)11- メチル-4- エチリデン-1,10-ドデカジエン
(24)10,11-ジメチル-4- エチリデン-1,10-ドデカジエン
これらは、単独であるいは2種以上組合わせて用いることができる。
【0020】
上記の分岐鎖状ポリエン化合物[I]は、トランス体およびシス体の混合物であってもよく、トランス体単独またはシス体単独であってもよい。
このような分岐鎖状ポリエン化合物は、本願出願人の出願に係る特願平7−170839号明細書に記載の方法によって調製することができる。
【0021】
すなわち、下記[I−a]で示される共役ジエンを有する化合物とエチレンとを、遷移金属化合物および有機アルミニウム化合物からなる触媒の存在下に反応させることにより製造することができる。
【0022】
【化4】
Figure 0003746339
【0023】
(式[I−a]中、n、R1 、R2 およびR3 は、それぞれ上述した一般式[I]におけるn、R1 、R2 およびR3 と同じである。)
本発明で用いられるランダム共重合体ゴム(A)は、上記のようなエチレン、α- オレフィンおよび分岐鎖状ポリエン化合物それぞれの単量体から誘導される構成単位が、ランダムに配列して結合し、分岐鎖状ポリエン化合物に起因する分岐構造を有するとともに、主鎖は、実質的に線状構造となっている。
【0024】
この共重合体ゴムが実質的に線状構造を有しており実質的にゲル状架橋重合体を含有しないことは、この共重合体ゴムが有機溶媒に溶解し、不溶分を実質的に含まないことにより確認することができる。たとえば極限粘度[η]を測定する際に、この共重合体ゴムが135℃中のデカリンに完全に溶解することにより確認することができる。
【0025】
また、このようなランダム共重合体ゴム(A)において、分岐鎖状ポリエン化合物から誘導される構成単位は、実質的に下記式[II]で示される構造を有している。
【0026】
【化5】
Figure 0003746339
【0027】
[式[II]中、n、R1 、R2 およびR3 は、それぞれ上述した一般式[I]におけるn、R1 、R2 およびR3 と同じである。]
なお、分岐鎖状ポリエン化合物から誘導される構成単位が上記構造を有していることは、この共重合体の13C−NMRスペクトルを測定することによって確認することができる。
【0028】
本発明で用いられるランダム共重合体ゴム(A)は、以下のような組成および特性を有する。
(i)このランダム共重合体ゴムは、エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとのモル比(エチレン/α- オレフィン)が40/60〜95/5、好ましくは50/50〜85/15、特に好ましくは55/45〜80/20の範囲にある。
【0029】
エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとのモル比が、上記のような範囲にあるランダム共重合体ゴム(A)からなる液状ゴムは、低温柔軟性と耐熱老化性とのバランスに優れた加硫ゴム製品を提供することが可能となる。
【0030】
(ii)このランダム共重合体ゴム(A)は、ヨウ素価が5〜50、好ましくは10〜45、特に好ましくは15〜40の範囲にある。
ヨウ素価が上記のような範囲にあるランダム共重合体ゴム(A)からなる液状ゴムは、加硫速度の速い。
【0031】
(iii) このランダム共重合体ゴム(A)は、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜0.80dl/g、好ましくは0.1〜0.75dl/g、さらに好ましくは0.3〜0.75dl/gの範囲にあることが望ましい。極限粘度[η]が上記のような範囲にあるランダム共重合体ゴム(A)からなる液状ゴムは、強度と加工性とのバランスに優れている。
【0032】
上記のようなランダム共重合体ゴム(A)は、エチレンと、炭素原子数3〜20のα- オレフィンと、上記一般式[I]で表わされる分岐鎖状ポリエン化合物とを、触媒の存在下に共重合させて得ることができる。
【0033】
このような触媒としては、バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、チタニウム(Ti)などの遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物(有機アルミニウムオキシ化合物)とからなるチーグラー型触媒が使用できる。
【0034】
本発明では、[a]可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒、あるいは[b]周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物またはイオン化イオン性化合物とからなる触媒が特に好ましく用いられる。
【0035】
本発明では、上記のような触媒[a](可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒)または触媒[b](周期律表第IV族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物またはイオン化イオン性化合物とからなる触媒)の存在下に、エチレンと、炭素原子数3〜20のα- オレフィンと、分岐鎖状ポリエン化合物とを、通常液相で共重合させる。
【0036】
この際、一般に炭化水素溶媒が用いれれるが、プロピレン等のα- オレフィンを溶媒として用いてもよい。
このような炭化水素溶媒としては、具体的には、
ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素およびそのハロゲン誘導体、
シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素およびそのハロゲン誘導体、
ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、およびクロロベンゼン等のハロゲン誘導体などが用いられる。
【0037】
これら溶媒は組み合わせて用いてもよい。
エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンと分岐鎖状ポリエン化合物との共重合は、バッチ法、あるいは連続法いずれの方法で行なってもよい。共重合を連続法で実施するに際しては、上記触媒は以下のような濃度で用いられる。
【0038】
本発明において、上記触媒[a]、すなわち可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒が用いられる場合には、
重合系内の可溶性バナジウム化合物の濃度は、通常、0.01〜5ミリモル/リットル(重合容積)、好ましくは0.05〜3ミリモル/リットルである。この可溶性バナジウム化合物は、重合系内に存在する可溶性バナジウム化合物の濃度の10倍以下、好ましくは1〜7倍、さらに好ましくは1〜5倍の濃度で供給されることが望ましい。
【0039】
また、有機アルミニウム化合物は、重合系内のバナジウム原子に対するアルミニウム原子の比(Al/V)で、2以上、好ましくは2〜50、さらに好ましくは3〜20の量で供給される。
【0040】
可溶性バナジウム化合物および有機アルミニウム化合物からなる触媒[a]は、通常、上述の炭化水素溶媒、および/または液状の炭素原子数3〜20のα- オレフィンおよび分岐鎖状ポリエン化合物で希釈されて供給される。この際、可溶性バナジウム化合物は上述した濃度に希釈されることが望ましく、また有機アルミニウム化合物は重合系内における濃度のたとえば50倍以下の任意の濃度に調整して重合系内に供給されることが望ましい。
【0041】
また、本発明においてメタロセン化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物またはイオン化イオン性化合物(イオン性イオン化化合物、イオン性化合物ともいう。)とからなる触媒[b]が用いられる場合には、
重合系内のメタロセン化合物の濃度は、通常、0.00005〜0.1ミリモル/リットル(重合容積)、好ましくは0.0001〜0.05ミリモル/リットルである。
【0042】
また、有機アルミニウムオキシ化合物は、重合系内のメタロセン化合物に対するアルミニウム原子の比(Al/遷移金属)で、1〜10000、好ましくは10〜5000の量で供給される。
【0043】
イオン化イオン性化合物の場合は、重合系内のメタロセン化合物に対するイオン化イオン性化合物のモル比(イオン化イオン性化合物/メタロセン化合物)で、0.5〜20、好ましくは1〜10の量で供給される。
【0044】
また、有機アルミニウム化合物が用いられる場合には、通常、約0〜5ミリモル/リットル(重合度積)、好ましくは約0〜2ミリモル/リットルとなるような量で用いられる。
【0045】
本発明において、可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒[a]の存在下に、エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンと分岐鎖状ポリエン化合物とを共重合させる場合には、共重合反応は、通常、温度が−50℃〜100℃、好ましくは−30℃〜80℃、さらに好ましくは−20℃〜60℃で、圧力が50kg/cm2 以下、好ましくは20kg/cm2 以下の条件下に行なわれる。ただし、圧力は0ではない。
【0046】
また、本発明において、メタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物またはイオン化イオン性化合物とからなる触媒[b]の存在下に、エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンと分岐鎖状ポリエン化合物とを共重合させる場合には、共重合反応は、通常、温度が−20℃〜150℃、好ましくは0℃〜120℃、さらに好ましくは0℃〜100℃で、圧力が80kg/cm2 以下、好ましくは50kg/cm2 以下の条件下に行なわれる。ただし、圧力は0ではない。
【0047】
また、反応時間(共重合が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なるが、通常、5分〜5時間、好ましくは10分〜3時間である。
【0048】
本発明では、エチレン、炭素原子数3〜20のα- オレフィンおよび分岐鎖状ポリエン化合物は、上述した特定組成のランダム共重合体ゴムが得られるような量で重合系に供給される。さらに共重合に際しては、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。
【0049】
上記のようにしてエチレン、炭素原子数3〜20のα- オレフィンおよび分岐鎖状ポリエン化合物を共重合させると、ランダム共重合体ゴムは通常これを含む重合液として得られる。この重合液は、常法により処理され、ランダム共重合体ゴムが得られる。
【0050】
ランダム共重合体ゴム(A)[不飽和性エチレン系共重合体]の上記のような調製方法は、本願出願人の出願に係る特願平7−69986号明細書に詳細に記載されている。
【0051】
液状ゴム組成物およびその組成物からなる加硫ゴム
本発明に係る液状ゴム組成物は、上記のようなランダム共重合体ゴム(A)と加硫剤(B)とを含有しており、加硫が可能である。
【0052】
このような加硫剤(B)としては、従来公知のイオウまたはイオウ系化合物が用いられる。
上記イオウおよびイオウ系化合物は、ランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜3重量部の割合で用いられる。
【0053】
加硫剤(B)としてイオウ系化合物を用いるときは、加硫促進剤の併用が好ましい。
加硫促進剤としては、従来公知の加硫促進剤を用いることができる。
【0054】
加硫促進剤は、ランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部の割合で用いられる。
本発明に係る液状ゴム組成物中に、SRF、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF、FT、MT等のカーボンブラック、微粉ケイ酸等のゴム補強剤、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー等の充填剤、および軟化剤を、本発明の目的を損なわない範囲内で含有させることができる。
【0055】
これらのゴム補強剤および充填剤の種類および配合量は、その用途に応じて適宜選択できるが、これらの配合量は、通常ランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して最大300重量部、好ましくは200重量部である。
【0056】
上記軟化剤としては、通常、ゴムに用いられる軟化剤が用いられる。なかでも石油系軟化剤が好ましく用いられ、特にプロセスオイルが好ましく用いられる。
軟化剤の配合量は、ランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、最大150重量部、好ましくは100重量部である。
【0057】
本発明に係る液状ゴム組成物は、たとえば以下の方法により調製される。すなわちバンバリーミキサーなどのミキサー類を用いて、上記ランダム共重合体ゴム(A)、さらには軟化剤を80〜150℃の温度で3〜10分間混練し、次いで、オープンロールなどのロール類を用いて、加硫剤(B)、必要に応じて加硫促進剤または加硫助剤を追加混合し、ロール温度40〜60℃で5〜30分間混練した後、混練物を押出し、リボン状またはシート状の配合ゴムに調製される。
【0058】
このように調製された配合ゴム(本発明に係る液状ゴム組成物)は、押出成形機、カレンダーロール、またはプレスにより意図する形状に成形され、成形と同時にまたは成形物を加硫槽内に導入し、120〜270℃の温度で1〜30分間加熱し、加硫ゴム(本発明に係る加硫ゴム)とする。このような加硫を行なう際に、金型を用いてもよいし、また金型を用いなくてもよい。金型を用いない場合には、成形、加硫の工程は通常、連続的に実施される。
【0059】
【発明の効果】
本発明に係る液状ゴムは、エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンと上述した分岐鎖状ポリエン化合物とからなり、エチレンとα- オレフィンとのモル比、ヨウ素価および極限粘度[η]が特定の範囲にあるランダム共重合体ゴム(A)からなるので、耐熱性、耐候性に優れた加硫ゴムを提供することができ、しかも、従来の低分子量EPDMよりもさらに加硫速度が速い。
【0060】
本発明に係る液状ゴム組成物は、上記のような効果を有する、本発明に係る液状ゴムを含有しているので、耐熱性、耐候性に優れた加硫ゴムを提供することができ、しかも、従来の低分子量EPDMよりもさらに加硫速度が速い。
【0061】
さらに、本発明に係る加硫ゴムは、本発明に係る液状ゴム組成物の加硫物であるので、耐熱性、耐候性に優れている。
したがって、本発明に係る液状ゴム、液状ゴム組成物および加硫ゴムは、グラスランチャンネルのコーナー材、ブーツ類、パッキン類等の自動車部品、配管ライニング、パッキン、O−リング、ダイヤフラムなどシール材等の工業用部品、止水シート、目地材、接着剤等の建築材料などの用途に好適である。
【0062】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例におけるランダム共重合体ゴムおよび加硫ゴムの評価試験方法は、以下のとおりである。
(1)引張試験
加硫ゴムシートを打抜いてJIS K 6301に記載されている3号形ダンベル試験片を調製し、該試験片を用いて同JIS K 6301第3項に規定される方法に従い、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張り試験を行ない、引張破断点応力(TB)および引張破断点伸び(EB)を測定した。
(2)硬さ試験
硬さ試験は、JIS K 6301に準拠して、スプリング硬さHS(JIS A硬度)を測定した。
(3)永久伸び試験
永久伸び試験は、JIS K 6301に準拠して、永久伸び(PS)を測定した。なお、保持した長さは、伸び100%に相当する長さとした。
【0063】
また、実施例、比較例で用いたランダム共重合体ゴムは、第1表に示す通りである。
【0064】
【表1】
Figure 0003746339
【0065】
【実施例1】
第1表に示した共重合体Aと第2表に示す各成分とを第2表に示す割合で配合し、未加硫の配合ゴムを得た。
【0066】
すなわち、共重合体A、亜鉛華、ステアリン酸、HAFカーボンブラック、加硫剤および加硫促進剤を、1リットル容量のニーディングミキサーで10分間混練した。
【0067】
次いで、上記のようにして得られた混練物から、8ton 射出成形機[東芝機械(株)製;品番 IS−22P]を用いて、2mm厚の加硫ゴムシートを得た。
この射出成形の際、射出成形機のスクリュー、バレル、ノズルの各温度をそれぞれ40℃に、金型温度を200℃に制御した。加硫時間は、2分であった。
【0068】
【表2】
Figure 0003746339
【0069】
得られた加硫ゴムシートについて、引張試験、硬さ試験および永久伸び試験を、上記方法に従って、行なった。
結果を第3表に示す。
【0070】
【実施例2】
実施例1において、共重合体Aの代わりに上記第1表に示す共重合体Bを用いた以外は、実施例1と同様に行なった。
【0071】
結果を第3表に示す。
【0072】
【実施例3】
実施例1において、共重合体Aの代わりに上記第1表に示す共重合体Cを用いた以外は、実施例1と同様に行なった。
【0073】
結果を第3表に示す。
【0074】
【比較例1】
実施例1において、共重合体Aの代わりに上記第1表に示す共重合体Dを用いた以外は、実施例1と同様に行なった。実施例1と同じ加硫時間(2分)では、まともなサンプルが得られなかった。
【0075】
【比較例2】
比較例1において、加硫時間を4分に変更した以外は、比較例1と同様に行なった。
【0076】
結果を第3表に示す。
【0077】
【表3】
Figure 0003746339

Claims (1)

  1. エチレンと、炭素原子数3〜20のα- オレフィンと、下記一般式[I]で表わされる少なくとも一種の分岐鎖状ポリエン化合物とからなり、
    (i)エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとのモル比(エチレン/α- オレフィン)が40/60〜95/5の範囲にあり、
    (ii)ヨウ素価が5〜50の範囲にあり、
    (iii) 135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が、0.01〜0.80dl/gで表わされる範囲にあるランダム共重合体ゴム(A)と、
    加硫剤(B)とを含有してなる液状ゴム組成物の加硫物であることを特徴とする加硫ゴム
    Figure 0003746339
    [式[I]中、nは1〜5の整数であり、
    1は炭素原子数1〜5のアルキル基であり、
    2およびR3は、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基である]。
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