JP3068232B2 - アミノ基を有する共重合体及びその製造方法 - Google Patents

アミノ基を有する共重合体及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アミノ基を有する共重
合体及びその製造方法に関し、詳しくは高分子アミノ試
薬,機能性高分子の原料,接着剤の原料,ポリマーの相
溶化剤等に用い得る第一級アミノ基を有する新規な共重
合体とその効率のよい製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、側鎖に第一級アミノ基を有す
る高分子化合物は、そのアミノ基の高い反応活性のた
め、つまりアルデヒド,ケトン,アルキルハライド,イ
ソシアネート,チオイソシアネート,活性二重結合,エ
ポキシ化合物,シアナマイド,グアニジン,尿素,酸,
酸無水物,アシルハライド等の官能基と容易に反応する
ため、様々な産業分野で有効に利用されている。そのよ
うな第一級アミノ基を側鎖に有する高分子化合物として
は、今までに、ポリ−N−ビニルアセトアミド又はポリ
−N−ビニルホルムアミドの加水分解によるポリビニル
アミン、あるいはアリルアミンの塩酸塩の重合によるポ
リアリルアミン等が知られている。
【0003】しかしながら、これらの方法によって高分
子化合物を製造する場合、第一級アミノ基を有する重合
体又は共重合体は得られるものの、分子量が意図するほ
ど大きくならないことや、アミン又はアミン前駆体のモ
ノマーをラジカル重合するため、共重合相手のモノマー
の種類に制限がある等の制約があり、用途によっては十
分な性能が発揮し得ないことがある。
【0004】側鎖にアミノ基を有する共重合体の例とし
ては、特開平2−135214号公報や同2−1352
15号公報に、スチレン−無水マレイン酸共重合体をp
−アミノフェノールとエチルアミノエチルアミンの如き
第一級,二級混在のジアミンを用いてイミド化して得ら
れた共重合体を、潜在性のエポキシ硬化剤として用いる
ことが提案されている。この共重合体の場合も、側鎖に
エチルアミノ基を有しているが、一般に第二級アミノ基
は、第一級アミノ基に比べて官能基としての汎用性に乏
しく、この点で望ましいものではない。意図せずして、
部分的に側鎖に第一級アミノ基が導入されていると考え
られる例として、特開昭64−70595号公報,同6
4−85246号公報及び米国特許4,137,185 号明細書
に記載されている共重合体を挙げることができる。即ち
エチレン−プロピレン共重合体に無水マレイン酸をグラ
フトして得られる無水マレイン酸グラフトエチレン−プ
ロピレン共重合体に、ジエチレントリアミン,エチレン
ジアミン,ヘキサメチレンジアミンの如き少なくとも2
個の第一級アミノ基を有するポリアミンを反応させてイ
ミド化せしめるものである。しかし、この無水マレイン
酸グラフトエチレン−プロピレン共重合体の如き多官能
無水酸と多官能のポリアミンの反応では、通常、反応中
にもまた反応後においても、少なからず架橋反応が起こ
っていると考えられる。また、架橋反応が反応中に起こ
れば、反応混合物の粘度上昇、ひいてはゲル化まで進行
し、以後の反応継続が不能に陥ることもしばしば認めら
れる。それが故に、これらの先行技術においては、この
架橋反応による経時的な粘度上昇を防止する目的で、イ
ミド化反応後に存在する第一級アミンを、無水酢酸,n
−オクテニル無水コハク酸等でエンドキャップする工夫
がなされている。
【0005】更に、特開平2−36248号公報には、
不飽和酸無水物でグラフト変性されたポリオレフィンを
ジアミンと反応させることも示唆されているが、具体的
な製造方法,生成物については明示がなく、公知の方法
に従えば、本発明者らの経験では架橋,ゲル化が避けら
れず、本発明の意図とは全く別の生成物が得られる。無
水マレイン酸共重合体、又は無水マレイン酸グラフトエ
チレン−プロピレン共重合体と第一級ジアミンを反応さ
せる例としては、特開昭60−240749号公報,同
64−31864号公報, 同63−146928号公
報,同63−235365号公報,同63−19975
5号公報等に開示されているが、いずれも無溶剤の樹脂
中で無水酸基と2個の第一級アミノ基のイミド架橋を目
的とするものである。架橋反応を起こさせずに、第一級
のジアミンを用いてイミド化し、第一級アミノ基を側鎖
に形成せしめる方法として、架橋反応に伴うゲル化が実
質上無視し得る程度に、第一級アミノ基/無水コハク酸
基のモル比を高めてイミド化反応を行うことも理論的に
は考えられるが実際的ではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上の如く、置換又は
非置換の無水コハク酸基を官能基として有する多官能の
共重合体を、第一級のジアミンを用いて架橋反応を起こ
させずにイミド化し、遊離の第一級アミンが存在する形
で単離することは困難とされていた。本発明は、このよ
うな従来の問題点に着目してなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
技術の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねたところ、ス
チレンやオレフィンあるいはその誘導体に由来する反復
単位,ブタジエン等のジエン類に由来する反復単位及び
無水マレイン酸等の酸無水物がグラフト化した反復単位
を有する共重合体を、特定の第一級ジアミンの塩を反応
させてイミド化し、さらに塩基で脱酸することによっ
て、側鎖に第一級アミノ基を含有する新規な共重合体が
得られ、これが上記目的に適う性状を有するものである
ことを見出した。本発明はかかる知見に基いて完成した
ものである。
【0008】すなわち本発明は、分子内に一般式(I)
で表わされる反復単位A20〜99.8モル%,一般式
(II)で表わされる反復単位B50〜0モル%及び一般
式 (III)で表わされる反復単位C30〜0.2モル%
【0009】
【化3】
【0010】(式中、R1 ,R2 ,R5 ,R6 及びR7
は各々独立に水素原子,炭素数1〜10のアルキル基,
炭素数3〜8のシクロアルキル基,炭素数6〜10のア
リール基,炭素数2〜4のアルケニル基,炭素数1〜4
のアルコキシ基,炭素数1〜18のアルコキシカルボニ
ル基,炭素数1〜17のアルキルカルボキシル基,炭素
数1〜7のアルキル又はアリールカルボニル基,ハロゲ
ン原子あるいはニトリル基を示し、R3 及びR4 は各々
独立に水素原子,炭素数1〜4のアルキル基,炭素数2
〜4のアルケニル基あるいはハロゲン原子を示し、R8
は存在しないか又はメチレン基あるいはエチレン基を示
し、R9 及びR10は各々独立に水素原子、炭素数1〜6
のアルキル基あるいは炭素数6〜8のアリール基を示
し、R11は炭素数1〜12のアルキレン基,炭素数5〜
17のシクロアルキレン基,炭素数6〜12のアリーレ
ン基,炭素数7〜12のアリールアルキレン基あるいは
炭素数4〜30のポリオキシアルキレン基を示し、R12
は水素原子あるいは炭素数1〜10のアルキル基を示
す。また、nは1〜10の整数を示す。なお、R1 〜R
12はそれぞれ反復単位ごとに同一であっても異なっても
よい。)を含有する共重合体(アミノ基含有共重合体)
あるいはその塩を提供するものである。また、本発明
は、分子内に一般式(I)で表わされる反復単位A20
〜99.8モル%,一般式(II)で表わされる反復単位B
50〜0モル%及び一般式 (IV) で表わされる反復単位
C’30〜0.2モル%
【0011】
【化4】
【0012】(式中、R1 〜R10,R12及びnは前記と
同じである。)を含有する共重合体に、一般式(V) H2 N−R11−NH2 ・・・(V) (式中、R11は前記と同じである。)で表わされるジア
ミンの塩を反応させた後、塩基と接触させて脱酸するこ
とを特徴とする上記アミノ基含有共重合体あるいはその
塩の製造方法をも提供するものである。
【0013】本発明のアミノ基含有共重合体(その塩を
含む。以下同じ。)は、一般式(I)で表わされる反復
単位A,一般式(II)で表わされる反復単位B及び一般
式 (III)で表わされる反復単位Cを有する新規な共重合
体であり、これらのランダム,ブロックあるいはグラフ
ト共重合体である。この共重合体における各反復単位の
含有割合は、上述したように反復単位A,B,Cの合計
量に対して、反復単位A20〜99.8モル%、好ましく
は60〜99モル%、反復単位B50〜0モル%、好ま
しくは40〜0モル%、反復単位C30〜0.2モル%、
好ましくは20〜1モル%である。反復単位Cの割合
が、30モル%を超えると原料共重合体の入手が困難と
いう不都合があり、また0.2モル%未満では、本発明の
アミノ基含有共重合体の特徴が充分に発現しない。な
お、本発明のアミノ基含有共重合体は、基本的には上記
反復単位A,B,Cからなるものであるが、更に他の反
復単位を若干量含有することもできる。また、本発明の
アミノ基含有共重合体は、その分子量については特に制
限はないが、通常は粘度平均分子量3000〜5000
00である。これは、トルエン,キシレン,クメン,テ
トラリン,1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン,
ジメチルスルホキシド,アセトン,メチルエチルケトン
等の良溶媒に、アミノ基含有共重合体を10重量%で溶
解したときの粘度が10〜50000cpsの範囲であ
ることに相当する。本発明の共重合体は、反復単位Cの
側鎖にイミド基を介して第一級アミノ基を有する点に特
徴がある。また本発明の共重合体は、上記第一級アミノ
基が硫酸,ベンゼンスルホン酸,トルエンスルホン酸,
ナフタレンスルホン酸等のスルホン酸類、塩酸,フッ化
水素酸,臭化水素酸,ヨウ化水素酸等のハロゲノ酸、硝
酸、ホウ酸、リン酸等の酸と結合して塩を形成したもの
をも包含する。
【0014】ここで、反復単位Aは一般式(I)で表わ
されるものであるが、式中R1 及びR2 は各々独立に
(つまり、R1 とR2 は同じでも異なってもよい)水素
原子,炭素数1〜10のアルキル基(好ましくは炭素数
1〜4のアルキル基),炭素数3〜8のシクロアルキル
基(好ましくは炭素数3〜6のシクロアルキル基),炭
素数6〜10のアリール基(好ましくは炭素数6〜9の
アリール基),炭素数2〜4のアルケニル基,炭素数1
〜4のアルコキシ基,炭素数1〜18のアルコキシカル
ボニル基(好ましくは炭素数1〜8のアルコキシカルボ
ニル基),炭素数1〜17のアルキルカルボキシル基
(好ましくは炭素数1〜3のアルキルカルボキシル
基),炭素数1〜7のアルキル又はアリールカルボニル
基(好ましくは炭素数1〜4のアルキルカルボニル
基),ハロゲン原子(好ましくは塩素,臭素)あるいは
ニトリル基を示す。なお、R1 及びR2 は、それぞれ反
復単位ごとに同一であっても異なってもよい。即ち、上
記一般式(I)は、反復単位Aの一つがエチレン単位
(R1 及びR2 が共に水素)であり、また反復単位Aの
他の一つがプロピレン単位(R1 が水素,R2 がメチル
基)のような場合も包含する。また、反復単位Bは一般
式(II)で表わされるものであるが、式中、R3 及びR
4 は各々独立に水素原子,炭素数1〜4のアルキル基
(メチル基,エチル基等),炭素数2〜4のアルケニル
基(ビニル基,アリル基等)あるいはハロゲン原子(塩
素,臭素等)を示す。なお、R3 及びR4は、それぞれ
反復単位ごとに同一であっても異なってもよいことは、
前述のR1 及びR2 の場合と同様である。更に、反復単
位Cは一般式 (III)で表わされるものであり、ここでR
5 〜R7 は前記R1 ,R2 と同様に、各々独立に水素原
子,炭素数1〜10のアルキル基(好ましくは炭素数1
〜4のアルキル基),炭素数3〜8のシクロアルキル基
(好ましくは炭素数3〜6のシクロアルキル基),炭素
数6〜10のアリール基(好ましくは炭素数6〜9のア
リール基),炭素数1〜4のアルコキシ基,炭素数1〜
18のアルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数1〜
8のアルコキシカルボニル基),炭素数1〜17のアル
キルカルボキシル基(好ましくは炭素数1〜3のアルキ
ルカルボキシル基),炭素数1〜7のアルキル又はアリ
ールカルボニル基(好ましくは炭素数1〜4のアルキル
カルボニル基),ハロゲン原子(好ましくは塩素,臭
素)あるいはニトリル基を示す。また、R8 は存在しな
い(即ち単なる結合を示す)か又はメチレン基あるいは
エチレン基を示し、R9 及びR10は各々独立に水素原
子、炭素数1〜6のアルキル基(好ましくは炭素数1〜
2のアルキル基)あるいは炭素数6〜8のアリール基を
示し、R11は炭素数1〜12のアルキレン基(好ましく
はメチレン,エチレン,プロピレン,テトラメチレン,
ヘキサメチレン等の炭素数1〜8のアルキレン基),炭
素数5〜17のシクロアルキレン基(好ましくはシクロ
ヘキシレン,メチレンシクロヘキシルメチレン等の炭素
数6〜10のシクロアルキレン基),炭素数6〜12の
アリーレン基(好ましくはフェニレン,オキシジフェニ
レン等),炭素数7〜12のアリールアルキレン基(好
ましくはキシリレン等の炭素数8〜10のアリールアル
キレン基)あるいは炭素数4〜30のポリオキシアルキ
レン基(ポリオキメチレン,ポリオキプロピレンなどの
炭素数4〜15のポリオキシアルキレン基)を示し、R
12は水素原子あるいは炭素数1〜10のアルキル基(好
ましくは炭素数1〜8のアルキル基)を示す。これらの
5 〜R12は、それぞれ反復単位ごとに同一であっても
異なってもよいことは、前述のR1 及びR2 の場合と同
様である。また、nは1〜10(好ましくは1〜3)の
整数を示す。ここでnが複数、つまり2以上のときは、
nの数だけ存在する各R9 ,R10,R11は、同じもので
も異なるものでもよい。
【0015】本発明のアミノ基含有共重合体を製造する
には、特に制限はなく、様々な方法によることができる
が、前述した本発明の方法によれば、一層効率よく製造
することができる。まず、本発明の方法の原料である反
復単位A,B及びC’を含有する共重合体は、一般式
(I),(II)で表わされる反復単位を与えるモノマー
を、公知の手法によりラジカル重合又はイオン重合した
後、一般式(IV) を与えるモノマーを公知の方法により
グラフト反応させることによって製造される。一般式
(I)の反復単位Aを与えるモノマーの具体例として
は、様々なものがあるが、例えばエチレン,プロピレ
ン,1−ブテン,イソブチレン等のオレフィン、シクロ
ペンテン,シクロヘキセン等の環状オレフィン、イソプ
レン,ブタジエンの重合物の部分水素添加物、スチレ
ン,α−メチルスチレン,ビニルトルエン,p−t−ブ
チルスチレン等のスチレン類(芳香族ビニル化合物)、
酢酸ビニル,酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル
ビニルエーテル,エチルビニルエーテル等のビニルエー
テル類、塩化ビニル,塩化ビニリデン等のハロゲノオレ
フィン、メチル(メタ)アクリレート,エチル(メタ)
アクリレート,ブチル(メタ)アクリレート,ヘキシル
(メタ)アクリレート,シクロヘキシル(メタ)アクリ
レート,デシル(メタ)アクリレート,オクタデシル
(メタ)アクリレート,メトキシエチル(メタ)アクリ
レート等のアクリル酸又はメタアクリル酸エステル類、
アクリロニトリル,メタクリロニトリル等のニトリル
類、メチルビニルケトン,フェニルビニルケトン等のビ
ニルケトン等があり、これらを単独であるいは二種以上
を組み合わせて使用することができる。 これらのう
ち、好ましいモノマーの例としては、エチレン,プロピ
レン,スチレン,メチルビニルエーテル,酢酸ビニル,
エチルアクリレート等を挙げることができる。一般式
(II)の反復単位Bを与えるモノマーの具体例として
は、ブタジエン,イソプレン,クロロプレン等の共役ジ
エンがあり、これを単独あるいは二種以上を組み合わせ
て使用することができる。好ましいモノマーとしては、
ブタジエン, イソプレンを挙げることができる。一般式
(IV)の反復単位C’は、上記反復単位Aを与えるモノ
マーと反復単位Bを与えるモノマーを、公知の方法によ
り共重合し、得られた共重合体を、公知の過酸化物又は
開始剤等を用いて、無水マレイン酸,無水メチルマレイ
ン酸,1,2−ジメチルマレイン酸,無水エチルマレイ
ン酸,無水フェニルマレイン酸,無水イタコン酸等の不
飽和ジカルボン酸無水物をグラフト反応することにより
形成することができる。好ましいグラフト化モノマーは
無水マレイン酸である。ここで、グラフト反応は無水マ
レイン酸等のグラフト化モノマーが反復単位A又はBの
部分に結合することによって進行する。なお、この反復
単位C’を含む本発明に用いる原料共重合体として、上
記不飽和ジカルボン酸無水物がグラフトした重合体とし
て市販されている重合体(マレイン酸変性EPRやマレ
イン酸変性SEBS等)を充当することも可能である。
【0016】以上より、本発明の方法の原料である反復
単位A,B及びC’を含有する共重合体を例示すれば、
ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリイソプレン及びそ
の水素添加物,ポリブタジエン及びその水素添加物,ク
ロロプレンゴム及びその水素添加物,ニトリルゴム及び
その水素添加物,エチレン−プロピレン共重合体,スチ
レン−イソプレン共重合体及びその水素添加物,スチレ
ン−ブタジエン共重合体及びその水素添加物等の重合体
又は共重合体(尚、共重合体にあっては、ランダム共重
合体,ブロック共重合体,交互共重合体のずれであって
もよい)に、無水マレイン酸,無水メチルマレイン酸,
無水エチルマレイン酸,無水イタコン酸等の不飽和ジカ
ルボン酸の無水物をグラフト反応して得られる共重合体
等を挙げることができる。しかし、これらの例示に限定
されるべきものではない。
【0017】本発明の方法によれば、上記のようにして
製造された反復単位A,B及びC’を含有する共重合体
を、一般式(V)で表わされる第一級ジアミンの塩と反
応させる。ここで、一般式(V)で表わされるジアミン
の具体例としては、エチレンジアミン;1,3−ジアミ
ノプロパン;1,4−ジアミノブタン;1,5−ジアミ
ノペンタン;ヘキサメチレンジアミン;1,7−ジアミ
ノヘプタン;1,8−ジアミノオクタン;1,9−ジア
ミノノナン;1,10−ジアミノデカン;2,2,5−
トリメチルヘキサンジアミン;2,2,4−トリメチル
ヘキサンジアミン等の直鎖又は分岐の脂肪族のアルキレ
ンジアミン類、イソホロンジアミン;1,3−ビス(ア
ミノメチル)シクロヘキサン;ビス(4−アミノシクロ
ヘキシル)メタン;ビスアミノメチルヘキサヒドロ−
4,7−メタンインダン;1,4−シクロヘキサンジア
ミン;1,3−シクロヘキサンジアミン;2−メチルシ
クロヘキサンジアミン;4−メチルシクロヘキサンジア
ミン;ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルシクロヘキ
シル)メタン等の脂環式ジアミン類、m−キシリレンジ
アミン;p−キシリレンジアミン等のアリールアルキル
ジアミン、p−フェニレンジアミン;4,4’−ジアミ
ノジフェニルエーテル等のアリールジアミン、ポリオキ
シプロピレンジアミン;ポリオキシエチレンジアミン等
のポリオキシアルキレンジアミンが例示できる。このう
ち、特に好ましいものは、脂肪族及び脂環式ジアミンで
ある。本発明の方法では、上記ジアミンの塩が用いら
れ、ジアミンの部分中和塩(モノ塩)あるいは完全中和
塩(ジ塩)のいずれであってもよいが、部分中和塩を用
いた方が反応効率が高く好ましい。上記ジアミンは、好
ましくは酸の部分中和塩として用いられるが、そのよう
な酸としては、その酸強度としてカルボン酸より大きい
もの選択することが望ましい。具体例を例示すれば、硫
酸,ベンゼンスルホン酸,トルエンスルホン酸,ナフタ
レンスルホン酸等のスルホン酸類、塩酸,フッ化水素
酸,臭化水素酸,ヨウ化水素酸等のハロゲノ酸、硝酸、
ホウ酸、リン酸等がある。これらのうち塩酸やトルエン
スルホン酸が好ましい。ジアミンの塩を製造するにあた
っては、上記ジアミンと上記酸のモル比は、ジアミンの
全アミノ基を基準にして酸の当量で50〜100%の中
和度に相当する塩の形で用いられる。50%未満の場
合、イミド化反応時に架橋,ゲル化が避けられない。又
100%を超えると、イミド化反応に長時間を要し経済
的に不利となる。好ましい範囲は50〜80%である。
ジアミンの塩は、相当するジアミンと相当する酸の中和
反応により容易に調製することができる。例えば、酸の
アルコール溶液に、ジアミンを滴下し必要に応じ濃縮
し、アルコールで再結晶して単離して原料として用いて
もよいし、又1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン
(DMI);N−メチル−2−ピロリドン;ジメチルス
ルホキシド(DMSO);ジメチルスルホン;ジオキサ
ン;1,2−ジメトキシエタン;ヘキサメチレンリン酸
−トリアミド;テトラメチル尿素のような非プロトン性
極性溶剤中でジアミンと酸の部分中和塩を形成させて、
そのまま反応に用いてもよい。操作上、後者の方が簡便
で好ましい。
【0018】本発明の方法は、上記反復単位A,B及び
C’を含有する共重合体に、一般式(V)で表わされる
ジアミンの塩を反応(イミド化反応)させることによっ
て進行する。ここで、イミド化反応は、スクリュー押出
機等を用いて、無溶剤溶融状態で行うこともできるが、
反応を均一ならしめる目的で不活性溶媒を使用すること
が望ましい。そのような目的で使用できる溶媒として
は、ベンゼン,トルエン,キシレン,クメン,シメン,
エチルトルエン,プロピルベンゼン,ジエチルベンゼン
等の芳香族炭化水素、メチルシクロペンタン,シクロヘ
キサン,エチルシクロペンタン,メチルシクロヘキサ
ン,1,1−ジメチルシクロヘキサン,エチルシクロヘ
キサン等の脂環式炭化水素,ヘキサン,ヘプタン,オク
タン,デカン,メチルヘプタン,3−エチルヘキサン,
トリメチルペンタン等の脂肪族炭化水素、DMI,テト
ラメチル尿素,ジメチルスルホン,ジオキサン,1,2
−ジメトキシエタン,ヘキサメチレンリン酸トリアミ
ド,DMSO,N−メチル−2−ピロリドン等の非プロ
トン性極性溶媒が挙げられる。本発明の方法では、極性
のかなり異なった反応基質同士を反応させることになる
ので、一般には非極性溶媒と極性溶媒を同時に使用する
ことが好ましい。
【0019】上記溶媒の使用量は、特に制限はなく状況
に応じて適宜選定すればよいが、通常は原料として使用
する反復単位A,B及びC’を含有する共重合体(即
ち、置換又は非置換無水コハク酸基がグラフトした多官
能性共重合体)に対し、重量比で0.3〜20倍、好まし
くは1倍〜10倍の範囲で定めればよい。0.3倍より少
ない場合は、希釈効果が十分でなく反応混合物が高粘度
になり困難をきたす場合がある。一方、20倍よりも多
くしても、使用量に相当する効果の向上は特に認められ
ず、経済的に不利である。
【0020】本発明の方法におけるイミド化反応は、特
に触媒を必要としないが、使用する場合は、トリメチル
アミン,トリエチルアミン,トリブチルアミン,N,N
−ジメチルアニリン,N,N−ジエチルアニリン,1,
8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7など
の3級アミンが好適である。
【0021】本発明の方法では、原料の共重合体とジア
ミンの塩の使用比率は、使用する原料の種類や状況によ
り異なり、一義的に定めることはできないが、通常は原
料共重合体中にグラフトしている置換又は非置換無水コ
ハク酸基1モルに対し、ジアミンの未中和アミノ基準で
1.0〜10倍、好ましく1.05〜5.0倍である。1.0倍
未満の場合、反応完結後もイミド化されずに残る無水コ
ハク酸基が存在することになり、本発明の後工程である
脱酸工程で再生される第一級アミノ基と該無水コハク酸
基が反応してアミド架橋によりゲル化を起こし、本発明
の効果を覆すこと恐れがある。一方、モル比が10倍を
超える場合は、イミド化の反応自体は速く進行する利点
はあるが、反応試薬を多量に要する経済的不利益を免れ
ない。
【0022】本発明の方法において、反応温度及び反応
時間は、使用する溶媒及び触媒の有無によって異なる
が、通常100〜300℃、好ましくは130〜260
℃で1〜20時間である。反応温度は100℃未満であ
る場合には、反応に長時間を要するという不利益があ
り、又300℃を超える場合には反応物の着色と共重合
体の熱分解による物性の低下をきたすようになる。
【0023】本発明の方法において、反応原料の仕込順
序等は特に制限はなく、様々な態様で行うことができる
が、通常は、反復単位A,B及びC’を含有する共重合
体を、前記溶媒に均一に溶解した後、前記ジアミンと酸
の塩の粉末か又は溶液を徐々に加えるか、あるいはその
逆の順序がとられる。この間の仕込みは、溶媒の還流下
の加熱下に行われてもよい。原料共重合体とジアミンの
塩とのイミド化反応は、水の生成を伴いながら進行する
ので、生成した水が用いた溶媒と共に共沸してくる。し
たがって、この共沸する水をディーン・スターク分水器
などにより反応系外へ除去することにより、効率的に反
応を進行させることができる。イミド化反応の完結は、
共沸水がもはや認められなくなること、及び反応混合物
を一部採取して赤外吸収スペクトルの測定により170
0cm-1付近のイミドのカルボニルの吸収強度の増大が
もはや認められなくなったことで確認できる。
【0024】かくして得られた反応混合物中に、第一級
アミノ基がイミド結合を介して結合された本発明の共重
合体の塩が含まれる。この反応混合物をそのままで、又
は必要に応じメタノール,イソプロパノール,イソブタ
ノール,ヘキサン等の非溶媒に投入して粉末化した後、
塩基の水溶液、又は必要に応じて塩基のメタノール/水
混合溶液と接触させることにより脱酸し、遊離のアミン
に変換することができる。脱酸に用いられる塩基の具体
例を挙げれば、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水
酸化リチウム,炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,重炭酸
ナトリウム,重炭酸カリウム,アンモニア,メチルアミ
ン,エチルアミン,トリメチルアミン,トリエチルアミ
ンなど水溶性塩基であればよい。そのうち、経済的な理
由から、水酸化ナトリウム,炭酸ナトリウム,重炭酸ナ
トリウムが好ましい。
【0025】
【作用】上記の方法によれば、ジアミンの塩、特に部分
中和塩をイミド化試薬として用いることにより、ジアミ
ンの片末端の反応性を抑制し、残された片末端の第一級
アミノ基が選択的に無水コハク酸あるいはその誘導体残
基とイミド化反応する結果、架橋を起さずに円滑に本発
明の共重合体が得られるものと推察される。なお、一般
的なアミノ基の一時的な保護法として、例えば、アミン
類を酸化反応においてβ−アミノアルコールを酸で中和
した後、酸化してα−アミノ酸を合成する方法、ニトロ
化に際し、芳香族アミンを硫酸で中和して行い、芳香族
ニトロアミンを得る方法等が公知であるが、これらは反
応基質のアミノ基を全て保護しておき、酸化,ニトロ化
等の厳しい反応条件からアミノ基を保護することを目的
とするものであり、本発明が意図しているところの部分
的に中和し、未中和部分のアミノ基を反応基質として利
用することとは本質的に異なる。
【0026】
【実施例】次に、本発明を実施例により更に詳しく説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。 参考例1 (エチレンジアミンのp−トルエンスルホン酸部分中和
塩の調製)温度計,攪拌機,滴下ロート,還流冷却器を
備えた内容量1リットルのフラスコに、メタノール30
0mlとp−トルエンスルホン酸・1水和物95g( 0.
5モル)を仕込み溶解した。氷浴で冷却しながら、エチ
レンジアミン150g( 2.5モル)をメタノール300
mlに溶解した液を、温度が10〜20℃を保つような
速度で滴下した。滴下終了後、70℃に加熱し、次いで
減圧にして、メタノール及び未反応のエチレンジミアン
を留去したところ、132.7gの白色固体が析出した。
得られた白色固体を取り出し、トルエン300mlでス
ラリー状にして濾過し、更に100mlのトルエンで2
回洗浄し、得られた白色粉末を減圧乾燥した。収量は1
09.8gであった。この白色粉末を、ブロモフェノール
ブルーを指示薬として0.5規定の塩酸で滴下したとこ
ろ、4.21×10-3eq/gであり、エチレンジアミン
のp−トルエンスルホン酸の一中和塩であることが確認
された。
【0027】参考例2 (エチレンジアミンの塩酸部分中和塩の調製)参考例1
と同じ反応容器を用い、p−トルエンスルホン酸に代え
て、35%塩酸水溶液を用いる他は、参考例1と同様の
手順でエチレンジアミンの一塩酸塩の白色粉末を得た。
中和当量は10.15×10-3eq/gであった。
【0028】参考例3 (ヘキサメチレンジアミンのp−トルエンスルホン酸部
分中和塩の調製)温度計,攪拌機,滴下ロート,ディー
ン・スターク分水器を備えた内容量1リットルのフラス
コに1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DM
I)500ml,p−トルエンスルホン酸・1水和物95
g( 0.5モル)を仕込み溶解した。フラスコ内温が70
〜80℃を保つように、ヘキサメチレンジアミン52.2
g(0.45モル)を、トルエン100mlに溶解した溶
液を徐々に滴下した。滴下終了後、110℃に加熱し、
共沸してくる水をトルエンと共に留去した。冷却後、固
形分当りの中和当量を測定したところ、2.83×10-3
eq/gであり、ヘキサメチルジアミンのアミノ基のう
ち56.2%が塩を形成していることが分かった。
【0029】参考例4 用いたジアミン及び酸の種類を変えたこと以外は、参考
例3と同様にして、ジアミンと酸の塩を調製した。得ら
れた塩を第1表に示す。
【0030】
【表1】
【0031】参考例5 (無水マレイン酸グラフトポリプロピレンの調製)特公
昭56−9925号公報記載の方法を参考にして製造し
た。重量平均分子量(Mw)60000,数平均分子量
(Mn)24000の結晶性ポリプロピレンの粉末10
0重量部,無水マレイン酸12重量部及びジクミルパー
オキシド4重量部を予め混合し、スクリュー径30m
m,L/D=28の押出機をバレル温度230℃に設定
し、スクリュー回転数60rpmで押出反応を行い、吐
出されたグラフト化物を粉砕後、アセトンに浸漬して未
反応無水マレイン酸を抽出除去、乾燥して、無水マレイ
ン酸グラフト化ポリプロピレン樹脂(A)を得た。この
ものの無水マレイン酸グラフト量は4.5重量%、ゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分
子量は、ポリスチレン換算でMw=15000,Mn=
6500であった。
【0032】参考例6 参考例5と同様の方法により第2表に示す無水マレイン
酸グラフト共重合体B〜Iを得た。
【0033】
【表2】
【0034】実施例1 温度計,攪拌機,滴下ロート,ディーン・スターク分水
器を備えた内容量1リットルのフラスコに、キシレン6
00ml及び参考例5で製造した無水マレイン酸グラフ
トポリプロピレン120gを仕込んで加熱し、140℃
でキシレンの還流下に溶解した。次に、このフラスコ
に、参考例1で調製したエチレンジアミンのp−トルエ
ンスルホン酸塩17.8gを1,3−ジメチル−2−イミ
ダゾリジノン(DMI)200mlに溶解したものを3
時間かけて徐々に滴下した。この間、反応混合物はキシ
レンの還流温度下に保持され、イミド化反応の結果、共
沸してくる水はディーン・スターク分水器で反応系外へ
除去した。上記エチレンジアミンの塩の滴下開始より1
7時間反応を継続した後、冷却し、反応混合物を5リッ
トルのメタノール中へ投入し、生成物を沈澱として回収
した。この沈澱をトルエン加熱下で溶解し、キャストフ
ィルムを作製して赤外吸収スペクトルを測定したとこ
ろ、1770,1700cm-1のイミド環に基づく吸収
の他に、1122,1035,1010,685,57
0cm-1にp−トルエンスルホン酸に基づく吸収が観測
され、第一級アミノ基がp−トルエンスルホン酸の形
で、イミド結合を介してポリプロピレンに結合している
ことが確認された。この沈澱を、更に炭酸カリウム8.0
gを含む水/メタノール(容量比1/1)溶液に一夜浸
漬後、濾別し、水及びメタノールで充分洗浄後、乾燥し
た。収量は120.4gであった。得られた本発明の共重
合体は、熱時トルエン,キシレンに可溶であり、キャス
トフィルムを作製して、赤外吸収スペクトルを測定した
ところ、1122,1035,1010,685,57
0cm-1のp−トルエンスルホン酸に基づく吸収は完全
に消失しており、3350cm-1にアミノ基に基づく吸
収、1770cm-1,1700cm-1にイミド環に基づ
く吸収が観測された。得られた本発明の共重合体を、1
00℃でテトラリンに10重量%で溶解し、同温度でB
型粘度計にて粘度を測定したところ165cpsであっ
た。
【0035】実施例2 実施例1と同じ反応容器に、参考例3で調製したヘキサ
メチレンジアミンのp−トルエンスルホン酸塩10.8g
を含むDMI溶液50g及びDMI150mlを仕込
み、80℃に加熱した。上記反応容器に、参考例6で製
造したスチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物の無
水マレイン酸変性物(B)(Mw=50000,Mn=
48000,無水マレイン酸グラフト量1%)60gを
キシレン600mlに溶解して、滴下ロートより徐々に
滴下した。滴下終了後、反応混合物を一部採取して赤外
吸収スペクトルを調べたところ、1780cm-1の無水
コハク酸環に基づく吸収は完全に消失していた。加熱,
昇温を続け、140℃付近よりキシレンの還流と共に水
が共沸してくるので、これディーン・スターク分水器に
より連続的に反応系外へ除去した。140℃で8時間反
応を続け、もはや新たな水の生成が認められなくなった
時点で反応を終了し、反応混合物を減圧下で400ml
まで濃縮し、更に炭酸ソーダ6.0gを含む水/メタノー
ル(容量比1/1)溶液5リットル中へ投入し、沈澱を
得た。得られた沈澱を水及びメタノールで充分洗浄後、
乾燥した。収量は59.1gであった。得られた本発明の
共重合体は、トルエン,キシレンに可溶であり、赤外吸
収スペクトルで、3400cm-1にアミノ基に基づく吸
収、1780cm-1及び1700cm-1にイミド環に基
づく吸収が認められ、本発明の目的の共重合体が得られ
たことが確認された。得られた共重合体をキシレンに1
0重量%で溶解し、25℃でB型粘度を測定したとこ
ろ、830cpsであった。
【0036】実施例3〜9 ジアミンの塩として参考例1〜4の塩を用い、原料の共
重合体として参考例5に記載の無水マレイン酸変性物を
用いた以外は、実施例2と同様にして行った。結果を第
3表−1に示す。得られた共重合体の粘度を実施例2と
同様に測定し、その結果を第3表−2に示す。
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】比較例1 実施例1において、エチレンジアミンのp−トルエンス
ルホン酸塩に代えて、エチレンジアミン5.0gを用いた
他は、実施例1と同じ原料を用いて反応を試みたが、エ
チレンジアミン溶液の約1/5量を滴下した段階で、反
応混合物が高粘度となって攪拌不能に陥り、以後の反応
は不可能であった。この反応混合物を一部採取し、メタ
ノールで洗浄,乾燥したが、このものは、熱時において
もキシレンに溶解せず、実施例1で得た生成物とは明ら
かに異なり、架橋体が生成したものと判断された。
【0041】比較例2 実施例1と同じ反応容器に、キシレン800ml及びエ
チレンジアミン16.5gを仕込み100℃に加熱した。
次いで参考例5で得られた無水マレイン酸グラフトポリ
プロピレン120gを粉末のままで添加した。続いて加
熱,昇温を続けたが、共沸水の留出が始まると直ちに反
応混合物が高粘度となって攪拌不能に陥り、以後の反応
は不可能であった。反応混合物を一部採取し、メタノー
ル洗浄後、乾燥したものも、やはり熱キシレンに不溶で
あった。
【0042】比較例3 実施例2において、ヘキサメチレンジアミンのp−トル
エンスルホン酸塩に代えてヘキサメチレンジアミン4.5
gを用いた他は、実施例2と同様の反応を試みたが、ス
チレン−ブタジエン共重合体の水素添加物のマレイン化
物(B)の溶液の滴下終了後、加熱昇温する過程で、共
沸水の留出が始まると直ちに、反応混合物が高粘度とな
って攪拌不能に陥り、ついには一体化した塊状となり、
以後の反応続行は不可能であった。この反応混合物を一
部採取し、メタノールで洗浄,乾燥したものは、熱時に
おいてもキシレンに不溶で、実施例2で得た生成物とは
異なる架橋体が生成したもと判断された。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、各種高分子の側鎖にイ
ミド基を介して、第一級アミノ基を導入することがで
き、高分子アミノ試薬,機能性高分子の原料接着剤の原
料,ポリマー相溶化剤など幅広い用途に利用できる新規
な共重合体を提供し得る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−244606(JP,A) 特開 昭52−47093(JP,A) 特開 平1−315405(JP,A) 特表 平5−500085(JP,A) 特表 平5−500690(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 8/32

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子内に一般式(I)で表わされる反復
    単位A20〜99.8モル%,一般式(II)で表わされる
    反復単位B50〜0モル%及び一般式 (III)で表わされ
    る反復単位C30〜0.2モル% 【化1】 (式中、R1 ,R2 ,R5 ,R6及びR7 は各々独立に
    水素原子,炭素数1〜10のアルキル基,炭素数3〜8
    のシクロアルキル基,炭素数6〜10のアリール基,炭
    素数2〜4のアルケニル基,炭素数1〜4のアルコキシ
    基,炭素数1〜18のアルコキシカルボニル基,炭素数
    1〜17のアルキルカルボキシル基,炭素数1〜7のア
    ルキル又はアリールカルボニル基,ハロゲン原子あるい
    はニトリル基を示し、R3 及びR4 は各々独立に水素原
    子,炭素数1〜4のアルキル基,炭素数2〜4のアルケ
    ニル基あるいはハロゲン原子を示し、R8は存在しない
    か又はメチレン基あるいはエチレン基を示し、R9 及び
    10は各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基
    あるいは炭素数6〜8のアリール基を示し、R11は炭素
    数1〜12のアルキレン基,炭素数5〜17のシクロア
    ルキレン基,炭素数6〜12のアリーレン基,炭素数7
    〜12のアリールアルキレン基あるいは炭素数4〜30
    のポリオキシアルキレン基を示し、R12は水素原子ある
    いは炭素数1〜10のアルキル基を示す。また、nは1
    〜10の整数を示す。なお、R1 〜R12はそれぞれ反復
    単位ごとに同一であっても異なってもよい。)を含有す
    る共重合体あるいはその塩。
  2. 【請求項2】 分子内に一般式(I)で表わされる反復
    単位A20〜99.8モル%,一般式(II)で表わされる
    反復単位B50〜0モル%及び一般式 (IV) で表わされ
    る反復単位C’30〜0.2モル% 【化2】 (式中、R1 〜R10,R12及びnは前記と同じであ
    る。)を含有する共重合体に、一般式(V) H2 N−R11−NH2 ・・・(V) (式中、R11は前記と同じである。)で表わされるジア
    ミンの塩を反応させた後、塩基と接触させて脱酸するこ
    とを特徴とする請求項1記載の共重合体あるいはその塩
    の製造方法。
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