JPH10218936A - 新規高分子化合物およびその製造方法 - Google Patents

新規高分子化合物およびその製造方法

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JPH10218936A
JPH10218936A JP2296597A JP2296597A JPH10218936A JP H10218936 A JPH10218936 A JP H10218936A JP 2296597 A JP2296597 A JP 2296597A JP 2296597 A JP2296597 A JP 2296597A JP H10218936 A JPH10218936 A JP H10218936A
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洋 三上
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリビニルアミン類において、製造時に副生
するギ酸や、加水分解に使用した過剰の塩等の共存物を
含まず、さらに容易に水溶液にでき、従来のポリビニル
アミンと同様の用途に使用できるポリビニルアミン類を
提供する。 【解決手段】 全構造単位の0.5〜100モル%が、
ビニルアミン炭酸塩及び/又はビニルアミンカルバミン
酸塩から誘導される構造単位である高分子化合物、及び
ポリビニルアミン系重合体を、水を含む溶媒中で炭酸ガ
スと反応させることにより高分子化合物を製造する方
法、並びにビニルアミド類を含む単量体を重合して得ら
れた(共)重合体を、塩基性条件下加水分解したのち、
加水分解によって生成したカルボン酸とポリビニルアミ
ン(共)重合体を含む溶液中で炭酸ガスを反応させ、析
出した高分子化合物を分離することを特徴とする高分子
化合物の精製方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリビニルアミン
系重合体から誘導された新規な高分子化合物に関するも
のである。詳しくは、従来のポリビニルアミンと同様の
用途に使用でき、なおかつ従来のポリビニルアミンに比
べて、調製時に副生したカルボン酸や、使用した塩等の
不純物が少ないため、それによる効果も期待でき、また
容易に水溶液に調製できるため、その状態での用途が期
待できる新規な高分子化合物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリビニルアミンは機能性水溶性高分子
として、現在多種の用途に向けて検討が進んでいる。さ
らに近年、工業的規模でもその前駆単量体であるN−ビ
ニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどのビニ
ルアミド類の入手が可能になり、益々期待が高まってい
る。種々あるポリビニルアミン(共重合体)の合成方法
のなかでビニルアミドを重合、加水分解して製造する方
法は重合、加水分解が容易なことから工業的にもっとも
適した方法であるといえる。すなわち、ビニルアミド重
合体を酸、塩基で加水分解することにより容易にポリビ
ニルアミンが得られる。特に塩基性条件下での加水分解
の場合は、アミノ基が遊離基で得られるので好ましい。
しかしこの方法は加水分解により、カルボン酸が副生
し、塩となって共存するという欠点がある。このカルボ
ン酸を除去する方法としては、酸性条件下、アルコール
を共存させ、該カルボン酸をそのエステルにして留去す
る方法が知られているがこの場合ポリビニルアミンはそ
のカルボン酸の塩の形になってしまい、遊離塩基の形に
するには、中和することが必要であり、しかもその場
合、該塩が残存する。さらにこのような酸性条件下処理
した場合、褐色に着色することが多く、用途によっては
好ましくない。
【0003】このほか、特開平6−298855号公報
には、ポリビニルホルムアミドを熱分解し、ギ酸塩にす
る方法が示されている。さらに特開平6−298836
号公報には、加水分解により生成したギ酸を酸化して炭
酸ガスにして除去する方法が示されている。しかしこの
方法は大スケールでの実施が難しく、触媒はコスト高で
ある。さらに塩等の不純物を含んだポリビニルアミンを
希薄な水溶液にし、透析やイオン交換により塩を除去す
る方法も公知であるが、工業的にはコスト高である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これら従来のポリビニ
ルアミン系重合体の調製において、本研究者らは上記の
ような状況に鑑み、鋭意検討した結果、塩基性条件下で
加水分解したポリビニルホルムアミドの溶液に二酸化炭
素を反応させると、より強い酸であるギ酸の存在下にも
関わらず、ポリビニルアミンの炭酸塩及び/又はカルバ
ミン酸塩を沈殿させることができ、その沈殿を適当な溶
媒で洗浄することでギ酸や、加水分解に使用した過剰の
塩等の共存物を除くことができ、さらにこれを容易に水
溶液にできることを見いだした。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明の要旨
は、構造単位全体の0.5〜100モル%が、ビニルア
ミン炭酸塩及び/又はビニルアミンカルバミン酸塩から
誘導される構造単位である高分子化合物に関するもので
あり、またポリビニルアミン系重合体を水を含む溶媒中
で二酸化炭素と反応させることにより高分子化合物を製
造する方法にも関するものであり、更にビニルアミド類
を含む単量体を重合して得られたポリビニルアミド系
(共)重合体を、塩基性条件下加水分解したのち、加水
分解によって生成したカルボン酸とポリビニルアミン
(共)重合体を含む溶液中で二酸化炭素を反応させ、析
出した高分子化合物を分離することを特徴とする高分子
化合物の精製方法にも関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳しく述べ
る。原料となるポリビニルアミン系重合体の製造法はN
−ビニルフタルイミドの重合後の加水分解やポリアクリ
ルアミドのホフマン反応などの製造法があるが、最も好
ましいのは、ビニルアミド類の重合後、加水分解による
方法である。この方法は分子量も数百から数百万まで任
意の分子量にすることができ、加水分解条件を調整する
ことでアミンの量も自由にコントロールできる。また共
重合による改質も可能である。ビニルアミド類には、N
−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−
ビニルプロピオン酸アミドなどがあげられるが、N−ビ
ニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドが望まし
い。
【0007】また該ビニルアミド類は単独重合であって
も、他の単量体との共重合であっても、その性質を損な
わない限り、問題はない。なお、本発明においては、
「ポリビニルアミド」、「ポリビニルアミド系重合体」
又は「ポリビニルアミド系(共)重合体」と言った場合
は、特に断らない限り、ビニルアミド類の単独重合体及
び共重合体の両方を示し、「ポリビニルアミン」、「ポ
リビニルアミン系重合体」又は「ポリビニルアミン系
(共)重合体」と言った場合は、それら単独重合体及び
共重合体の両方から誘導される重合体を示す。
【0008】重合はバルク重合、沈殿重合、水溶液重
合、乳化重合、懸濁重合等の方法が可能であるが、水溶
液重合法や有機溶媒を用いた沈殿重合法が、調製するポ
リビニルアミンがさほど高分子量でない場合には簡便で
あり、分散剤等の夾雑物を持ち込まずにすむ点でも好ま
しい。重合は通常ラジカル重合であるが、イオン重合法
によっても良い。ラジカル重合の場合は通常のアゾ系開
始剤や、過酸化物を用いたレドックス開始剤が使われる
が、アゾ開始剤が称揚される。カチオン重合の場合はプ
ロトン酸やルイス酸を開始剤に用いたカチオン重合が賞
揚される重合により得られる重合体の重量平均分子量
は、通常500〜10,000,000程度、好ましく
は500〜5,000,000である。この重合後、ア
ミド基を加水分解してポリビニルアミンとする。
【0009】加水分解は、通常塩基性条件下、加水分解
するのが好ましい。酸加水分解ではポリビニルアミンが
塩になるので、中和や予備的な脱塩操作が必要になるた
め適さない。塩基性条件下での加水分解の場合、遊離の
ポリビニルアミンが生成するが、この遊離のポリビニル
アミンは、その加水分解率や、ポリビニルアミンが共重
合体の場合のビニルアミド類以外の単量体の量や性質に
もよるが、通常、水、低級アルコール、又はそれらの混
合溶媒に溶解するので、これらの溶媒を使用するのが好
ましい。加水分解に用いる塩基としては強塩基が反応速
度の点で好ましく、特に水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、水酸化リチウムが称揚されるが、これらに限定さ
れるものではない。
【0010】用いる塩基の量は希望の加水分解率にもよ
るが、通常ホルムアミド基に対し、5モル%から300
モル%が称揚される。この場合、塩基を過剰量用いたほ
うが、加水分解率を上げたい場合や、加水分解の速度の
点などで有利であるが、塩の含有量が増加するため、精
製する際、後述する洗浄などによる塩等の不純物除去の
工程が、洗浄工程を増やすことが必要になる等、複雑に
なるという欠点もある。塩基性条件下で行われた加水分
解後のポリビニルアミン溶液は、溶媒として用いた水、
または水とアルコールの混合溶媒中に、ポリビニルアミ
ン系重合体、加水分解によって生成したカルボン酸の
塩、および加水分解に用いた過剰の塩基が含まれてい
る。
【0011】本発明では、ここに二酸化炭素を導入す
る。二酸化炭素の導入は、ガス状態で吹き込むか、ドラ
イアイスを添加するのでも良い。吹き込み管等を用いず
に気相部に二酸化炭素を導入しても良いが、吸収効率は
低い。従って、予め水やアルコールに二酸化炭素を吹き
込むか、或いはドライアイスを添加して、好ましくは飽
和溶液としたものを使用するのが好ましい。また加圧し
た系で実施しても良いし、流通形式でも良い。通常、二
酸化炭素は過剰量用いるのが良い。さらに加水分解に塩
基を過剰量用いる場合は、それを中和するための分の二
酸化炭素が必要である。このような二酸化炭素の導入に
は、上記のような方法を単独で行っても良いが、複数組
み合わせて行っても良い。たとえば、予め水に二酸化炭
素を吹き込んだりドライアイスを添加して調製した飽和
溶液に、さらに二酸化炭素を吹き込んだり、ドライアイ
スを添加する等の方法が挙げられる。
【0012】この二酸化炭素との反応によって、高分子
化合物が沈殿となって糊状〜ゲル状に白色沈殿する。塩
等の存在によっては、析出し難いことがあるが、その場
合、より希釈条件で行うか、さもなければ水とアルコー
ルとの混合溶媒系で行うことで、析出性を改善できる。
水およびアルコールによる希釈はいかなる割合によって
も良いが、あまり少量では効果が少なく、あまり多量で
は希薄になりすぎて処理量が減ってしまう。通常は0.
1〜10倍容、好ましくは0.5〜5倍容の水もしくは
アルコールを用いる。アルコールは混合して用いてもよ
く、2種以上を用いても良い。アルコールの種類は水に
溶解するものであればその種類を問わないが、好ましく
は、炭素数1〜4の1価アルコールが用いられる。アル
コールのみを溶媒とした場合は、析出はより容易である
が、加水分解により生成したカルボン酸と加水分解に用
いた塩基との塩(たとえばギ酸ナトリウム、酢酸ナトリ
ウムなど)や、吹き込んだ炭酸と該塩基との塩(たとえ
ば炭酸ナトリウム)等の無機物の析出が多いという欠点
がある。
【0013】高分子化合物よりなる析出物は液相と分離
する。分離の方法は特に限定されないが、水のみの場合
や、混合溶媒でも水が多量の場合は析出物は糊状なので
濾過による分離は難しく、遠心沈降やデカンテーション
等が好ましい。また該析出物が付着性が高いことを利用
して、液相だけを反応器の槽底から抜き出すこともでき
る。また、水とアルコールの混合溶媒を用いた場合、付
着性が低い析出物が得られる場合があるので、その場合
は、スラリー状にして濾過等の方法で行うこともでき
る。さらに水とアルコールの混合溶媒による溶解、再沈
殿を繰り返すことで不純物を除くことができるので、重
合体の純度をあげたい場合には、重合後、水を加え、半
溶解状にしたのち、アルコールを追加して固体状で析出
させる作業を繰り返しても良い。
【0014】分離した高分子化合物は、洗浄後、乾燥し
て固体で取り出してもよく、適当な溶媒に溶解して溶液
にしても良い。水には緩慢ではあるが溶解するので、高
分子を溶液化する場合の溶媒としては好ましいが、ゲル
状物が残る場合があり、しかも溶解に時間を要する。水
への溶解に際しては、加温条件下、たとえば60℃以
上、好ましくは80℃以下にした場合は、容易にかつ速
やかに溶解する。例えば、反応器の大きさにもよるが、
得られた高分子化合物は、通常60℃で10倍容の水に
10分から5時間で溶解する。この際、窒素などの不活
性ガスを吹き込んでも良い。またこの加温条件下で溶解
した場合は、再び室温に冷却しても、析出は起こらなか
った。一方、塩酸等の酸性水溶液にはガスを放出して急
速に溶解する。さらにアルカリ性液にも容易に溶解す
る。食塩等の塩水への溶解も容易であるが、これら酸性
水溶液、アルカリ性水溶液、又は塩を含む水溶液を用い
た場合は、高分子化合物以外の成分との分離がさらに必
要と成る場合があるため、温水の使用が好ましい。
【0015】このようにして得られた高分子化合物は、
構造単位全体の0.5〜100モル%が、ビニルアミン
炭酸塩及び/又はビニルカルバミン酸塩から誘導される
構造単位である高分子化合物である。該ビニルアミン炭
酸塩から誘導される構造単位は、下記式
【化2】 で示されるものであり、またビニルアミンカルバミン酸
塩から誘導される構造単位は、下記式
【0016】
【化3】 で示されるような分子内塩であるか、又は
【化4】 で示されるような分子間塩である場合もある。
【0017】本発明においては、ビニルアミン炭酸塩及
び/またはビニルアミンカルバミン酸塩から誘導される
構造単位以外の単位が、下記構造単位(1)を0〜90
モル%含む高分子化合物であるのが好ましい。
【化5】 (式中、RはHまたはC1〜C4のアルキル基を表す)本
発明において、ポリビニルアミンに二酸化炭素を反応さ
せて得られた高分子化合物は、全構造単位中0.5〜1
00%が、ビニルアミン炭酸塩、又はカルバミン酸塩か
ら誘導される構造単位であるか、或いはそれらが混在し
た構造単位である高分子化合物である。
【0018】すなわち、カルバミン酸は塩基性下では塩
の形で存在するが、中性、酸性域では遊離では存在せ
ず、容易に加水分解して炭酸塩となる。また例えば、カ
ルバミン酸アンモニウムの例では、59℃で分解、昇華
してアンモニアと二酸化炭素になることが知られてお
り、その例からも明らかなように、本発明の高分子化合
物も、低温でいるときはカルバミン酸塩の形をとってい
るが、このカルバミン酸塩を加熱すると、容易に炭酸塩
になり、さらに加熱すると、二酸化炭素を放出し、遊離
アミンになる。従って、本発明の高分子化合物の場合
も、その存在条件によって容易に変化して、炭酸塩、カ
ルバミン酸塩、又はこの両方の塩の混在する。本発明に
より得られる高分子化合物は、1N食塩水0.1g/d
lの溶液として、25℃で測定した還元粘度が0.01
から10dl/gであるのが好ましい。
【0019】本高分子化合物の用途としては従来ポリビ
ニルアミンの用途としてあげられたものが該当するが、
その効果を以下に例示する。すなわち、凝集剤やスケー
ル防止剤のような水処理薬剤として用いる場合、ギ酸が
ないことによる装置類の腐食防止等の点で改良がなさ
れ、共存塩がないための性能向上も期待できる。更にポ
リビニルアミンは製紙薬剤としても、填料の歩留まり向
上、サイズ定着、紙力増強、さらにインクジェット用紙
等に用いて染料、インクの定着剤等の用途が知られてい
るが、本高分子化合物も同様の用途に用いることがで
き、ギ酸の除去による装置腐食の減少や塩の除去による
性能向上効果がある。さらに染色工業においてセルロー
ス繊維用の反応性染料定着やインクジェット染色のにじ
み防止等の用途が知られているが、ギ酸の減少による副
反応の防止効果等は顕著である。さらにアンカーコート
や帯電防止、防曇、印刷性の改良、インクジェット等の
インクののりをよくするために表面を親水化したりアニ
オン性インクを固定化するためにカチオン基を導入する
などの目的でフィルムにコーティングするという用途で
は、従来不純物が邪魔して透明性に問題があったが、本
方法によれば塩が除去されているので、そのような用途
に本発明のポリビニルアミン系の高分子化合物を用いる
ことができる。また、スチレン、ポリオレフィン、ナイ
ロン、ポリエステル等の高分子に練り込んで接着性を高
めたり、着色性を改良するなどの樹脂改質の場合も、無
機塩の含有量が極めて少ないため問題が少ない。さらに
吸水ゲルでは吸水を妨害する塩の除去、ポリビニルアミ
ンの金属の錯体形成能を生かした電子材料では不純物の
除去の効果、排水中重金属捕捉剤においては精製による
薬剤の悪臭の除去、繊維加工剤としての抗菌消臭、塗料
インキ添加剤、セメント添加剤、原油粘度降下剤、水ス
ラリー添加剤、混炭用分散剤、印刷被覆剤、切削泥水の
粘度調節等の用途ではギ酸、アンモニア等の除去による
ポリビニルアミン薬剤の悪臭防止効果がある。
【0020】
【実施例】以下に実験例に従いより詳細に説明するが、
本特許はこの範囲に限られるわけではない。 [実施例1]N−ビニルホルムアミド30gに脱塩水を
加えて100gとし、水溶液に2,2’−アミジノプロ
パン塩酸塩0.3gを加え、窒素気流下70℃で4時間
撹拌した。途中1.5時間後に2,2’−アミジノプロ
パン塩酸塩0.15gを追加した。その後塩酸ヒドロキ
シルアミン1gを加え、50℃で1時間加温処理をし
て、ポリN−ビニルホルムアミドの30%水溶液を得
た。なおこの重合体を一部取り出して、1規定の食塩水
に溶かし、還元粘度を測定したところ、0.8dl/g
であった。
【0021】続いて47%苛性ソーダ水溶液50.3g
を加え、70℃で6時間撹拌下加熱して該重合体の加水
分解を行い、ポリビニルアミンとした。このポリビニル
アミンの水溶液にドライアイス100gを投入した。さ
らに別途水200gにドライアイス50gを投入して飽
和させた水溶液を加えた。重合体塩が沈殿したので、上
澄みをデカンテーションで除去した。さらにドライアイ
スで飽和した水200gで2回洗浄後沈殿物を真空乾燥
して重合体塩1を得た。重合体塩1は、重水に20重量
%となるように溶解し、13C−NMRを測定した結
果、ギ酸は含まないことが判明した。また重合体中のホ
ルムアミド基のピークも検出されなかった。さらに灰分
も認められなかったため、無機塩は含まれないことがわ
かった。
【0022】また、元素分析値はC: 40.4%
H:8.3% N:18.8%であり、ポリビニルアミ
ンのホモポリマーの炭酸塩を想定して計算した値(理論
値)のC:40.5% H8.16% N:18.9%
O:32.4%とよく一致した。さらにコロイド滴定
値は14.4meq/gであり、ポリビニルアミンのホ
モポリマーの炭酸塩を想定して計算した値(理論値)の
13.5meq/gと極めて近似した値であった。この
結果から、この高分子化合物が、ギ酸などのカルボン酸
や無機塩等を殆ど含まず、またホルムアミド基部分を殆
ど含まないことがわかった。
【0023】以上から、析出物は実質的に下記構造式で
示されるポリビニルアミンのホモポリマーの炭酸塩
【化6】 であると推定される。なおこの結果は、本高分子化合物
を測定のために、加熱乾燥しているため、カルバミン酸
塩形の構造単位は存在し得ず、炭酸塩の形で存在してい
るものと考えられる。
【0024】[実施例2]実施例1で、ポリビニルアミ
ン水溶液100gにメタノール100gを加え、ドライ
アイス100gと別途水200gにドライアイス50g
を投入して飽和させた溶液を加えた。重合体塩の沈殿が
生じたところでメタノールで3回洗浄し、沈殿物を真空
乾燥、粉砕して重合体塩2を得た。重合体塩2を重水に
20重量%となるように溶解し、13C−NMRを測定
した結果、ギ酸はビニルアミン構造単位に対し、20m
ol%しか存在せず、精製により約8割が除去されてい
ることがわかった。また、重合体中のホルムアミド基の
ピークも検出されず、灰分も認められなかった上、元素
分析値はC:35.6%、H:7.0%、N:15.1
%であり、炭酸塩の理論値とよく一致しており、また、
コロイド滴定値は14.3meq/gであり、炭酸塩の
理論値とよく近似した値であった。従って重合体塩2も
重合体塩1と同様に、実質的にポリビニルアミンのホモ
ポリマーの炭酸塩であると推定される。
【0025】[実施例3]実施例2と同様にポリビニル
アミンの水溶液を処理し、ドライアイスを加えて沈殿を
生じさせた後、メタノールで洗浄し、さらに水100g
を添加して撹拌後、このメタノール投入による析出を2
度繰り返し、真空乾燥、粉砕を行って、重合体塩3を得
た。重合体塩3は重水に20重量%になるように溶解
し、13C−NMRを測定した結果、ギ酸はないことが
判明した。さらに灰分は認められなかった上、元素分析
値はC:40.9%、H:8.6%、N:18.6%で
あり、炭酸塩の理論値とよく一致しており、コロイド滴
定値は13.44meq/gであり、炭酸塩の理論値と
よく近似していた。従って、重合体塩3も重合体塩1と
同様に、実質的にポリビニルアミンのホモポリマーの炭
酸塩であると推定される。
【0026】[実施例4]上記実施例1ないし3のそれ
ぞれで得られた重合体塩1〜3は、ポリビニルアミン水
溶液に含まれていたギ酸および無機塩がはるかに減少し
ており、特に重合体塩1又は3の場合は実質的に全く含
まれていなかった。さらに、これら重合体塩1〜3は、
いずれも室温(25℃)の水(約4倍容)へ緩慢に溶解
し、1昼夜放置すると完全に溶解して水溶液となった。
また、60℃の加温下では30分ほどで溶解し、これら
の溶液はいずれも、冷却しても析出は見られなかった。
この重合体塩1〜3は、塩酸酸性の水溶液には急速にガ
スを発生しながら溶解し、ポリビニルアミン塩酸塩水溶
液となる。特に重合体塩1又は3の場合には、実質的に
ギ酸、無機塩分を含まないポリビニルアミン塩酸塩水溶
液が得られた。なおこの重合体塩1〜3は、メタノール
には溶解しなかった。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、ギ酸や塩類などの共存
物の含有量が極めて少ないポリビニルアミンを容易に調
製できる炭酸塩又はカルバミン酸塩、あるいはこれらの
混合塩を提供するものであり、これは加温条件下や、酸
性または塩基性条件下で容易に溶液を調製することが可
能であり、この溶液は従来のポリビニルアミンの用途と
同様の用途にそのまま使用できるものであるので、極め
て有用である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全構造単位の0.5〜100モル%が、
    ビニルアミン炭酸塩及び/又はビニルアミンカルバミン
    酸塩から誘導される構造単位である高分子化合物。
  2. 【請求項2】 下記構造単位(1)を0〜90モル%含
    むことを特徴とする請求項1の高分子化合物。 【化1】 (式中、RはHまたはC1〜C4のアルキル基を表す)
  3. 【請求項3】 1N食塩水0.1g/dlの溶液とし
    て、25℃で測定した還元粘度が0.01から10dl
    /gである請求項1又は2に記載の高分子化合物。
  4. 【請求項4】 ポリビニルアミン系重合体を、水を含む
    溶媒中で二酸化炭素と反応させることにより高分子化合
    物を製造する方法。
  5. 【請求項5】 ポリビニルアミン系重合体が、ポリビニ
    ルアミド系重合体を塩基性条件下、加水分解することに
    より得られることを特徴とする請求項4記載の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 ビニルアミド類を含む単量体を重合して
    得られた(共)重合体を、塩基性条件下加水分解したの
    ち、加水分解によって生成したカルボン酸とポリビニル
    アミン(共)重合体を含む溶液中で二酸化炭素を反応さ
    せることにより析出した高分子化合物を分離することを
    特徴とする高分子化合物の精製方法。
  7. 【請求項7】 ポリビニルアミン(共)重合体を含む溶
    液が、溶媒として水を含むことを特徴とする請求項6記
    載の精製方法。
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