JP2008528781A - ビニルアルコール−n−ビニルアミン共重合体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
メタノール中においてビニルアルコール-N-ビニルホルムアミド共重合体をアルカリ金属水酸化物と加水分解反応させることを含む、93%より高い加水分解度で、高水溶性のビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体を製造する方法において、該方法は、水を添加することなく、N-ビニルホルムアミド単位1mol当たり、1.5molを越えるアルカリ金属水酸化物を用いて実施されることを特徴とする。この方法により得られる高水溶性のビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体及びその使用。
Description
(発明の分野)
本発明は、ビニルアルコール及びビニルアミン単位を含む共重合体、それらの製造方法、並びにいくつかの分野におけるそれらの使用に関する。
本発明は、ビニルアルコール及びビニルアミン単位を含む共重合体、それらの製造方法、並びにいくつかの分野におけるそれらの使用に関する。
(背景技術)
アミン含有重合体は、いくつかの機能を持っていることが知られている。アミン単位の量は、それを非常に多くの領域で有用なものにするいくつかの特徴を重合体に付与する。
プロトン化されていない場合の高い電子供与能と、プロトン化、すなわちカチオン化(cationicity)された場合のカチオン電荷のために、アミン含有共重合体は、典型的には中性又はアニオン性の他の共重合体と比較して、多くの種類の基質により良好に付着することが示されている。アミノ基の反応性及び酸塩基特性を変化させる能力が、粘度制御、エマルジョン安定性制御、重合体溶解性の変更(特に水における)、又は保存安定性があるが反応性の架橋又は基質反応系を調製するための多くの貴重な選択肢を提供する。
アミン含有重合体は、いくつかの機能を持っていることが知られている。アミン単位の量は、それを非常に多くの領域で有用なものにするいくつかの特徴を重合体に付与する。
プロトン化されていない場合の高い電子供与能と、プロトン化、すなわちカチオン化(cationicity)された場合のカチオン電荷のために、アミン含有共重合体は、典型的には中性又はアニオン性の他の共重合体と比較して、多くの種類の基質により良好に付着することが示されている。アミノ基の反応性及び酸塩基特性を変化させる能力が、粘度制御、エマルジョン安定性制御、重合体溶解性の変更(特に水における)、又は保存安定性があるが反応性の架橋又は基質反応系を調製するための多くの貴重な選択肢を提供する。
多くの目的のために、高価なアミン成分を希釈することによりコストを低減させるか、又は低レベルのカチオン又は反応性アミンが優れた性能を付与する用途に対しては、比較的低レベルのアミン官能性を含む水溶性重合体を調製することが所望されている。ある用途において特に魅力的な重合体は、低レベルのアミン官能性を有するビニルアルコール共重合体であろう。
ビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体の製造のためのいくつかの方法が、当該分野において記載されている。これらの方法の最後の工程は、対応するビニルアルコール-N-ビニルホルムアミド共重合体のホルムアミド基のアミノ基への転化を含む。
ビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体の製造のためのいくつかの方法が、当該分野において記載されている。これらの方法の最後の工程は、対応するビニルアルコール-N-ビニルホルムアミド共重合体のホルムアミド基のアミノ基への転化を含む。
欧州特許第339371号には、酸性又は塩基性条件下、メタノール中においてビニルアルコール-N-ビニルホルムアミド共重合体を加水分解することにより、ビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体を調製する方法が開示されている。その文献には、その方法が、水を添加することなく塩基性条件下で実施される場合、約85%の転化率が得られるが、少量の水を添加することにより93%まで上昇させることができることが記載されている。N-ビニルホルムアミド単位1mol当たり、0.7〜3molの包括的範囲のアルカリ金属水酸化物が引用されているが、実施例は、1−1.5molからなる、記載された好ましい範囲で実施されている。
工業的に関心のある高カチオン性の生成物を得るためには、85%より高い転化率が必要となる。よって、上述した文献における記載からすると、当業者は、水を添加しないで共重合体の加水分解を実施する手順は考えないものであり、とにかく、当業者は、好ましい範囲でさえ、その結果が工業的な使用では許容できないものであるため、好ましい範囲ではない1.5−3molは使用しないであろう。
93%よりも高い転化率で、ビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体を得るための、それ以降に開示された別のビニルアルコール-N-ビニルホルムアミド共重合体の加水分解法は、反応媒体に水を添加するか(特開2002-145953号、特開2002-161110号、特開2002-069124号)、又は溶媒として水中で(欧州特許出願公開第1178056号、欧州特許出願公開第216387号)実施される。さらに、特開2002-145953号においては、加水分解の実施のためには水の存在が必須であると記載されている。
しかしながら、最終生成物の水安定性のために、反応混合物中に水が存在すると、精製及び分離工程中に生成物が損失するおそれがある。さらに、得られた共重合体を乾燥させるために、乾燥プロセスの高いエネルギー消費が必要となる。
しかしながら、最終生成物の水安定性のために、反応混合物中に水が存在すると、精製及び分離工程中に生成物が損失するおそれがある。さらに、得られた共重合体を乾燥させるために、乾燥プロセスの高いエネルギー消費が必要となる。
(発明の概要)
本発明が解決しようとする課題は、高転化率及び高収率で進行する、高カチオン性ビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体の低コストでの製造方法を提供することにある。
解決手段は、驚くべきことに、本発明者が、水を添加しないで、N-ビニルホルムアミド単位1mol当たり、1.5molを越えるアルカリ金属水酸化物を使用して、ビニルアルコール-N-ビニルアミド共重合体の加水分解を実施すると、改善された特性を有するビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体が、93%を越える高転化率及び高収率で得られることを見出したことに基づく。水の添加がないため、その水溶解性による共重合体の損失が回避される。よって、当該方法の収率はかなり増加し、乾燥プロセス中のエネルギー消費の低下が示唆され、生成物をより経済的なものにする。しかして、85%より高い転化率を得るために反応媒体に水を添加する必要があるという先行技術によって確立されていた技術的な先入観が克服される。
本発明が解決しようとする課題は、高転化率及び高収率で進行する、高カチオン性ビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体の低コストでの製造方法を提供することにある。
解決手段は、驚くべきことに、本発明者が、水を添加しないで、N-ビニルホルムアミド単位1mol当たり、1.5molを越えるアルカリ金属水酸化物を使用して、ビニルアルコール-N-ビニルアミド共重合体の加水分解を実施すると、改善された特性を有するビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体が、93%を越える高転化率及び高収率で得られることを見出したことに基づく。水の添加がないため、その水溶解性による共重合体の損失が回避される。よって、当該方法の収率はかなり増加し、乾燥プロセス中のエネルギー消費の低下が示唆され、生成物をより経済的なものにする。しかして、85%より高い転化率を得るために反応媒体に水を添加する必要があるという先行技術によって確立されていた技術的な先入観が克服される。
従って、本発明の第1の態様は、93%より高い転化率で、メタノール中において式(II)のビニルアルコール-N-ビニルホルムアミド共重合体をアルカリ金属水酸化物と加水分解反応させることを含む式(I)の高水溶性ビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体の製造方法であって、水を添加することなく、N-ビニルホルムアミド単位1mol当たり、1.5molを越えるアルカリ金属水酸化物を用いて実施される方法に関する。
上述した式において、m+nは75−99mol%であり、x+yは1−25mol%である。
この方法により得られるビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体は、水を添加して実施される方法で得られる従来の類似した共重合体と比較して、冷水中での水溶解度が高く、カチオン性度も高い。また、いくつかの基質、特に木材、ガラス及びアルミニウムに対する良好な付着性、並びに高反応性、高塩及び苛性安定性も有する。よって、本発明の第2の態様は、ここに記載する方法により得られうるビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体に関する。
本発明の共重合体は、この種の共重合体の一般的用途に特に適している。
本発明の共重合体は、この種の共重合体の一般的用途に特に適している。
本発明の第3の態様では、本発明は、紙製品を製造するための添加剤としての、本発明共重合体の使用に関する。
第4の態様では、本発明は、水性乳化(エマルジョン)重合における安定剤又は保護コロイドとしての、本発明の共重合体の使用に関する。
第5の態様では、本発明は、排水処理における凝集剤としての、本発明の共重合体の使用に関する。
第6の態様では、本発明は、ヘアケア製品のための添加剤としての、本発明の共重合体の使用に関する。
最後に、第7の態様では、本発明は、染料及びインキの固定剤としての、本発明の共重合体の使用に関する。
第4の態様では、本発明は、水性乳化(エマルジョン)重合における安定剤又は保護コロイドとしての、本発明の共重合体の使用に関する。
第5の態様では、本発明は、排水処理における凝集剤としての、本発明の共重合体の使用に関する。
第6の態様では、本発明は、ヘアケア製品のための添加剤としての、本発明の共重合体の使用に関する。
最後に、第7の態様では、本発明は、染料及びインキの固定剤としての、本発明の共重合体の使用に関する。
(発明の詳細な説明)
ビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体は、加水分解されていない酢酸エステルとして、いくつかのビニルアルコール単位、すなわち酢酸ビニル単位を有していてもよいことが理解される。加えて、共重合体は、加水分解されていないホルムアミドとして、いくつかのビニルアミド、すなわちN-ビニルホルムアミド単位を、転化率に応じて有していてよい。
好ましくは、式(I)のビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体は、約8000〜200000、より好ましくは14000〜160000の範囲の平均分子量を有している。
ビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体は、加水分解されていない酢酸エステルとして、いくつかのビニルアルコール単位、すなわち酢酸ビニル単位を有していてもよいことが理解される。加えて、共重合体は、加水分解されていないホルムアミドとして、いくつかのビニルアミド、すなわちN-ビニルホルムアミド単位を、転化率に応じて有していてよい。
好ましくは、式(I)のビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体は、約8000〜200000、より好ましくは14000〜160000の範囲の平均分子量を有している。
式(I)の好ましい実施態様では、m+nは81−97mol%であり、x+yは3−19mol%である。より好ましい実施態様では、m+nは88−94mol%であり、x+yは6−12mol%である。
ビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体の転化率は93%より高い。好ましくはそれは95%より高い。さらに好ましくは98%より高い。
ビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体の転化率は93%より高い。好ましくはそれは95%より高い。さらに好ましくは98%より高い。
好ましくは、ビニルアルコール-N-ビニルホルムアミド共重合体の、対応するビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体への転化は、メタノール中において水酸化ナトリウムと反応させることにより実施される。出発ビニルアルコール-N-ビニルホルムアミド共重合体中に存在し得るアセテート単位は、本質的に、本発明の方法の反応条件下で加水分解されるであろう。ビニルアルコール-N-ビニルホルムアミド共重合体は、メタノールに懸濁される。スラリーは、通常、メタノール中に20−65重量%の共重合体粒子を含有していてもよい。メタノール中にアルカリ金属水酸化物が入った溶液を、出発共重合体のN-ビニルホルムアミド単位1mol当たり、1.5molを越える量の共重合体のスラリーに添加しなければならない。好ましくは、アルカリ金属水酸化物の量は、N-ビニルホルムアミド単位1mol当たり、少なくとも1.7molである。アルカリ金属水酸化物のより好ましい量は、N-ビニルホルムアミド単位1mol当たり2−3molの間からなるが、N-ビニルホルムアミド単位1mol当たり3molを越えて使用するのが適切である。また好ましくは、アルカリ金属水酸化物は水酸化ナトリウムである。
好ましくは、反応は、40℃と還流温度の間の温度で実施される。限定するものでないが、加水分解反応時間は、通常約2〜8時間である。
ビニルアルコール-N-ビニルホルムアミド共重合体及びビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体の双方が溶解しない溶媒を使用すると、副生成物(塩生成物)を濾過し、反応の実施に使用される溶媒で洗浄することにより除去することを可能にする。
水中で実施される方法により得られる加水分解度と同じ加水分解度で、類似したビニルアルコール-N-ビニルホルムアミド共重合体と比較した場合の、本発明の方法により得られた共重合体の高溶解性と粒子径の異なった分布は、本発明の方法が、従来の既知の共重合体に対して異なった特徴を示す生成物を生じていることの明瞭なヒントとなる。
ビニルアルコール-N-ビニルホルムアミド共重合体及びビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体の双方が溶解しない溶媒を使用すると、副生成物(塩生成物)を濾過し、反応の実施に使用される溶媒で洗浄することにより除去することを可能にする。
水中で実施される方法により得られる加水分解度と同じ加水分解度で、類似したビニルアルコール-N-ビニルホルムアミド共重合体と比較した場合の、本発明の方法により得られた共重合体の高溶解性と粒子径の異なった分布は、本発明の方法が、従来の既知の共重合体に対して異なった特徴を示す生成物を生じていることの明瞭なヒントとなる。
出発ビニルアルコール-N-ビニルホルムアミド共重合体は、欧州特許出願公開第339371号に開示されているようにして、対応する酢酸ビニル-N-ビニルホルムアミド共重合体を加水分解することにより得ることができる。得られたビニルアルコール-N-ビニルホルムアミド共重合体のN-ビニルホルムアミド単位の割合は、1H-NMR分析(400MHz;5%のD2O溶液、溶媒飽和法)により決定することができる。
本発明の共重合体は、紙又はプラスチックフィルムに塗布されるコーティング、又は製紙工業における添加剤として使用することができる。
本発明の共重合体は、また、排水処理における凝集剤、又は水性乳化重合における安定剤又は保護コロイドとして使用することもできる。
本発明の共重合体は、また、排水処理における凝集剤、又は水性乳化重合における安定剤又は保護コロイドとして使用することもできる。
本発明の共重合体は、ヘアケア製品、ヘアスプレー、スタイリングゲル、及びスタイリングムースを含む毛髪のセット用組成物;シャンプー用組成物;毛髪用コンディショナー及びダメージを受けた毛髪をトリートメントするための処方物を含む毛髪のコンディショニング用組成物等の成分として、特に適している。本発明の水溶性重合体を含有する毛髪のセット用組成物は優れており、長時間にわたる毛髪のセット能力(毛髪を所望のスタイルに維持する能力)を有している。またそれらは優れた水分保持効果を示す。
加えて、本発明の共重合体は、反応性染料を用いて染色された綿繊維の染料固定において特に効果的な染料固定剤として、又は紙、フィルム、織物等のインクジェットプリント用のインキ固定剤として使用することができる。また、補助的インクジェット染色としても適している。
加えて、本発明の共重合体は、反応性染料を用いて染色された綿繊維の染料固定において特に効果的な染料固定剤として、又は紙、フィルム、織物等のインクジェットプリント用のインキ固定剤として使用することができる。また、補助的インクジェット染色としても適している。
明細書と請求の範囲を通して、「含む」なる用語及びその用語の変形、例えば「含んでいる」は、他の技術的特徴、添加剤、成分又は工程を除外することを意図しているものではない。要約の内容はここに援用する。本発明のさらなる目的、利点及び特徴は、明細書を読めば当業者には明らかになるであろうし、又は本発明の実施により知見されるであろう。以下の実施例は、例証のために提供するものであって、本発明を限定することを意図したものではない。
次の実施例及び比較例は、水を添加するか又は添加せずに、ビニルアルコール-N-ビニルホルムアミド共重合体をビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体に加水分解する場合の違いを例証するものである。
実施例1:水を添加しないビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体の製造
水平攪拌機及び還流コンデンサーを備えた130Lのパイロットジャケット付き反応器に、38Lのメタノールと14.2kgのビニルアルコール-N-ビニルホルムアミド共重合体(10.3mol%のN-ビニルホルムアミド単位;ブルックフィールド粘度計により測定した共重合体の4重量%水溶液の粘度:16.4cps)を室温で添加した。ジャケット温度制御と撹拌下でスラリーを50℃で加熱した。ついで、24.8kgの触媒溶液(メタノールに9.9重量%の水酸化ナトリウム、N-ビニルホルムアミド単位1mol当たり2mol)を添加し、スラリーを50℃で7時間保持した。その後、室温まで冷却し、濾過した。共重合体をメタノールで洗浄し、真空下、約80℃で4時間乾燥させた。1H-NMR分析(400MHz;5%のD2O溶液、溶媒飽和法)によれば、生成物は、99%のN-ビニルホルムアミドが加水分解していることが示された。共重合体の色調を、Pt-Coスケールにより1重量%の水溶液で測定して、20の値であることが示された。
実施例1:水を添加しないビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体の製造
水平攪拌機及び還流コンデンサーを備えた130Lのパイロットジャケット付き反応器に、38Lのメタノールと14.2kgのビニルアルコール-N-ビニルホルムアミド共重合体(10.3mol%のN-ビニルホルムアミド単位;ブルックフィールド粘度計により測定した共重合体の4重量%水溶液の粘度:16.4cps)を室温で添加した。ジャケット温度制御と撹拌下でスラリーを50℃で加熱した。ついで、24.8kgの触媒溶液(メタノールに9.9重量%の水酸化ナトリウム、N-ビニルホルムアミド単位1mol当たり2mol)を添加し、スラリーを50℃で7時間保持した。その後、室温まで冷却し、濾過した。共重合体をメタノールで洗浄し、真空下、約80℃で4時間乾燥させた。1H-NMR分析(400MHz;5%のD2O溶液、溶媒飽和法)によれば、生成物は、99%のN-ビニルホルムアミドが加水分解していることが示された。共重合体の色調を、Pt-Coスケールにより1重量%の水溶液で測定して、20の値であることが示された。
実施例2:水を添加しないビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体の製造
シグマ社(sigma)設計の2枚の混合羽根を有する2Lの研究室用ジャケット付きニーダー(kneader)、ダブル・シグマ型(type Double sigma)に、405.2gのメタノールと150gのビニルアルコール-N-ビニルホルムアミド共重合体(9.2mol%のN-ビニルホルムアミド単位;ブルックフィールド粘度計により測定した共重合体の4重量%水溶液の粘度:16.6cps)を室温で添加した。ジャケット温度制御と撹拌下で、スラリーを66℃で加熱した。ついで、撹拌を継続しながら、194.8gの触媒溶液(メタノールに10.4重量%の水酸化ナトリウム、N-ビニルホルムアミド単位1mol当たり1.7mol)をニーダーに添加した。さらに、スラリーを66℃で5時間攪拌し、ついで室温まで冷却し、濾過した。母液を収集した。共重合体をメタノールで洗浄し、真空下、約63℃で24時間乾燥させた。その後、得られた乾燥共重合体を2.0mmふるいを用い、Retsch SK100ミルで粉砕した。
シグマ社(sigma)設計の2枚の混合羽根を有する2Lの研究室用ジャケット付きニーダー(kneader)、ダブル・シグマ型(type Double sigma)に、405.2gのメタノールと150gのビニルアルコール-N-ビニルホルムアミド共重合体(9.2mol%のN-ビニルホルムアミド単位;ブルックフィールド粘度計により測定した共重合体の4重量%水溶液の粘度:16.6cps)を室温で添加した。ジャケット温度制御と撹拌下で、スラリーを66℃で加熱した。ついで、撹拌を継続しながら、194.8gの触媒溶液(メタノールに10.4重量%の水酸化ナトリウム、N-ビニルホルムアミド単位1mol当たり1.7mol)をニーダーに添加した。さらに、スラリーを66℃で5時間攪拌し、ついで室温まで冷却し、濾過した。母液を収集した。共重合体をメタノールで洗浄し、真空下、約63℃で24時間乾燥させた。その後、得られた乾燥共重合体を2.0mmふるいを用い、Retsch SK100ミルで粉砕した。
比較例:水添加を伴うビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体の製造
ビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体を、水を添加することを除き、実施例2のようにして調製した。よって、それは、150gのビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体、345.2gのメタノール、及び405.2gのメタノールの代わりに60gの水(すなわちメタノールに基づき11重量%の水)から調製した。
ビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体を、水を添加することを除き、実施例2のようにして調製した。よって、それは、150gのビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体、345.2gのメタノール、及び405.2gのメタノールの代わりに60gの水(すなわちメタノールに基づき11重量%の水)から調製した。
最終生成物の比較
1H-NMR分析(400MHz;5%のD2O溶液、溶媒飽和法)によると、双方のサンプルは98.5%より高いN-ビニルホルムアミド加水分解度を示した。
実施例2と比較例の共重合体の色調を、Pt-Coスケールにより1重量%の水溶液で測定した。双方のサンプルは30以下の値であることが示された。
1H-NMR分析(400MHz;5%のD2O溶液、溶媒飽和法)によると、双方のサンプルは98.5%より高いN-ビニルホルムアミド加水分解度を示した。
実施例2と比較例の共重合体の色調を、Pt-Coスケールにより1重量%の水溶液で測定した。双方のサンプルは30以下の値であることが示された。
A.水中に4重量%での共重合体溶解度試験
96gの水に、4gのビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体を添加した。サンプルを室温(約20℃)で1時間、激しく攪拌し(500rpm)、ついで濾過して、溶解していない共重合体を除去した。共重合体の濃度を測定するために、蒸発乾固させた。
実施例2の共重合体と比較例の共重合体について得られた溶解した共重合体の重量パーセントは、それぞれ78.3重量%及び54.8重量%であった。よって、驚くべきことに、実施例2の共重合体は、比較例の共重合体よりも、冷水中において極めて良好な溶解度を示した。
96gの水に、4gのビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体を添加した。サンプルを室温(約20℃)で1時間、激しく攪拌し(500rpm)、ついで濾過して、溶解していない共重合体を除去した。共重合体の濃度を測定するために、蒸発乾固させた。
実施例2の共重合体と比較例の共重合体について得られた溶解した共重合体の重量パーセントは、それぞれ78.3重量%及び54.8重量%であった。よって、驚くべきことに、実施例2の共重合体は、比較例の共重合体よりも、冷水中において極めて良好な溶解度を示した。
さらに、2つ共重合体の分布粒径を、標準的なふるいセットを用いて共重合体サンプルをスクリーニングし、各ふるいに保持された生成物を計量することにより、測定した。標準的な200×25mmふるいを具備するRetschのシーブシェーカー(Retsch Sieve Shaker)AS200ディジットを使用し、この粒径分析を実施した。結果を次の表に示す:
B.製造過程中の生成物の損失の測定
実施例2及び比較例の双方から収集された母液を蒸発させることにより得られた乾燥残渣を、1H-NMR分析(400MHz;5%のD2O溶液、溶媒飽和法)により測定した。実施例2の残渣のスペクトルには、共重合体が存在しないことがはっきりと示された。これに対して、比較例のスペクトルには、共重合体の存在が示された。
これらの結果は、最終生成物が高水溶性であるため、加水分解を実施するための水の添加が収量損失を意味することを示している。
実施例2及び比較例の双方から収集された母液を蒸発させることにより得られた乾燥残渣を、1H-NMR分析(400MHz;5%のD2O溶液、溶媒飽和法)により測定した。実施例2の残渣のスペクトルには、共重合体が存在しないことがはっきりと示された。これに対して、比較例のスペクトルには、共重合体の存在が示された。
これらの結果は、最終生成物が高水溶性であるため、加水分解を実施するための水の添加が収量損失を意味することを示している。
Claims (18)
- ビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体が、8000〜200000の範囲の平均分子量を有する請求項1に記載の方法。
- ビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体が、14000〜160000の範囲の平均分子量を有する請求項2に記載の方法。
- 式(I)中、m+nが81−97mol%であり、x+yが3−19mol%である請求項1ないし3のいずれか一項に記載の方法。
- 式(I)中、m+nが88−94mol%であり、x+yが6−12mol%である請求項4に記載の方法。
- 転化率が95%より高い請求項1ないし5のいずれか一項に記載の方法。
- 転化率が98%より高い請求項6に記載の方法。
- 加水分解が、N-ビニルホルムアミド単位1mol当たり少なくとも1.7molのアルカリ金属水酸化物を用いて実施される請求項1ないし7のいずれか一項に記載の方法。
- 加水分解が、N-ビニルホルムアミド単位1mol当たり2−3molの比率のアルカリ金属水酸化物を用いて実施される請求項8に記載の方法。
- 加水分解が、N-ビニルホルムアミド単位1mol当たり少なくとも3molのアルカリ金属水酸化物を用いて実施される請求項8に記載の方法。
- アルカリ金属水酸化物が水酸化ナトリウムである請求項1ないし10のいずれか一項に記載の方法。
- 反応が、40℃と還流温度の間の温度で実施される請求項1ないし11のいずれか一項に記載の方法。
- 請求項1ないし12のいずれか一項に記載の方法により得られうるビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体。
- 紙製品を製造するための添加剤としての、請求項13に記載のビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体の使用。
- 水性乳化重合における安定剤又は保護コロイドとしての、請求項13に記載のビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体の使用。
- 排水処理における凝集剤としての、請求項13に記載のビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体の使用。
- ヘアケア製品のための添加剤としての、請求項13に記載のビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体の使用。
- 染料及びインキの固定剤としての、請求項13に記載のビニルアルコール-N-ビニルアミン共重合体の使用。
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