JP3978799B2 - 新規高分子化合物およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリビニルアミン系重合体から誘導された新規な高分子化合物に関するものである。詳しくは、従来のポリビニルアミンと同様の用途に使用でき、なおかつ従来のポリビニルアミンに比べて、調製時に副生したカルボン酸や、使用した塩等の不純物が少ないため、それによる効果も期待でき、また容易に水溶液に調製できるため、その状態での用途が期待できる新規な高分子化合物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリビニルアミンは機能性水溶性高分子として、現在多種の用途に向けて検討が進んでいる。さらに近年、工業的規模でもその前駆単量体であるN−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどのビニルアミド類の入手が可能になり、益々期待が高まっている。種々あるポリビニルアミン(共重合体)の合成方法のなかでビニルアミドを重合、加水分解して製造する方法は重合、加水分解が容易なことから工業的にもっとも適した方法であるといえる。すなわち、ビニルアミド重合体を酸、塩基で加水分解することにより容易にポリビニルアミンが得られる。特に塩基性条件下での加水分解の場合は、アミノ基が遊離基で得られるので好ましい。しかしこの方法は加水分解により、カルボン酸が副生し、塩となって共存するという欠点がある。このカルボン酸を除去する方法としては、酸性条件下、アルコールを共存させ、該カルボン酸をそのエステルにして留去する方法が知られているがこの場合ポリビニルアミンはそのカルボン酸の塩の形になってしまい、遊離塩基の形にするには、中和することが必要であり、しかもその場合、該塩が残存する。さらにこのような酸性条件下処理した場合、褐色に着色することが多く、用途によっては好ましくない。
【0003】
このほか、特開平6−298855号公報には、ポリビニルホルムアミドを熱分解し、ギ酸塩にする方法が示されている。さらに特開平6−298836号公報には、加水分解により生成したギ酸を酸化して炭酸ガスにして除去する方法が示されている。しかしこの方法は大スケールでの実施が難しく、触媒はコスト高である。
さらに塩等の不純物を含んだポリビニルアミンを希薄な水溶液にし、透析やイオン交換により塩を除去する方法も公知であるが、工業的にはコスト高である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これら従来のポリビニルアミン系重合体の調製において、本研究者らは上記のような状況に鑑み、鋭意検討した結果、塩基性条件下で加水分解したポリビニルホルムアミドの溶液に二酸化炭素を反応させると、より強い酸であるギ酸の存在下にも関わらず、ポリビニルアミンの炭酸塩及び/又はカルバミン酸塩を沈殿させることができ、その沈殿を適当な溶媒で洗浄することでギ酸や、加水分解に使用した過剰の塩等の共存物を除くことができ、さらにこれを容易に水溶液にできることを見いだした。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明の要旨は、構造単位全体の0.5〜100モル%が、ビニルアミン炭酸塩及び/又はビニルアミンカルバミン酸塩から誘導される構造単位である高分子化合物に関するものであり、またポリビニルアミン系重合体を水を含む溶媒中で二酸化炭素と反応させることにより高分子化合物を製造する方法にも関するものであり、更にビニルアミド類を含む単量体を重合して得られたポリビニルアミド系(共)重合体を、塩基性条件下加水分解したのち、加水分解によって生成したカルボン酸とポリビニルアミン(共)重合体を含む溶液中で二酸化炭素を反応させ、析出した高分子化合物を分離することを特徴とする高分子化合物の精製方法にも関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳しく述べる。
原料となるポリビニルアミン系重合体の製造法はN−ビニルフタルイミドの重合後の加水分解やポリアクリルアミドのホフマン反応などの製造法があるが、最も好ましいのは、ビニルアミド類の重合後、加水分解による方法である。この方法は分子量も数百から数百万まで任意の分子量にすることができ、加水分解条件を調整することでアミンの量も自由にコントロールできる。また共重合による改質も可能である。ビニルアミド類には、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルプロピオン酸アミドなどがあげられるが、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドが望ましい。
【0007】
また該ビニルアミド類は単独重合であっても、他の単量体との共重合であっても、その性質を損なわない限り、問題はない。なお、本発明においては、「ポリビニルアミド」、「ポリビニルアミド系重合体」又は「ポリビニルアミド系(共)重合体」と言った場合は、特に断らない限り、ビニルアミド類の単独重合体及び共重合体の両方を示し、「ポリビニルアミン」、「ポリビニルアミン系重合体」又は「ポリビニルアミン系(共)重合体」と言った場合は、それら単独重合体及び共重合体の両方から誘導される重合体を示す。
【0008】
重合はバルク重合、沈殿重合、水溶液重合、乳化重合、懸濁重合等の方法が可能であるが、水溶液重合法や有機溶媒を用いた沈殿重合法が、調製するポリビニルアミンがさほど高分子量でない場合には簡便であり、分散剤等の夾雑物を持ち込まずにすむ点でも好ましい。
重合は通常ラジカル重合であるが、イオン重合法によっても良い。ラジカル重合の場合は通常のアゾ系開始剤や、過酸化物を用いたレドックス開始剤が使われるが、アゾ開始剤が称揚される。カチオン重合の場合はプロトン酸やルイス酸を開始剤に用いたカチオン重合が賞揚される
重合により得られる重合体の重量平均分子量は、通常500〜10,000,000程度、好ましくは500〜5,000,000である。
この重合後、アミド基を加水分解してポリビニルアミンとする。
【0009】
加水分解は、通常塩基性条件下、加水分解するのが好ましい。酸加水分解ではポリビニルアミンが塩になるので、中和や予備的な脱塩操作が必要になるため適さない。塩基性条件下での加水分解の場合、遊離のポリビニルアミンが生成するが、この遊離のポリビニルアミンは、その加水分解率や、ポリビニルアミンが共重合体の場合のビニルアミド類以外の単量体の量や性質にもよるが、通常、水、低級アルコール、又はそれらの混合溶媒に溶解するので、これらの溶媒を使用するのが好ましい。加水分解に用いる塩基としては強塩基が反応速度の点で好ましく、特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムが称揚されるが、これらに限定されるものではない。
【0010】
用いる塩基の量は希望の加水分解率にもよるが、通常ホルムアミド基に対し、5モル%から300モル%が称揚される。この場合、塩基を過剰量用いたほうが、加水分解率を上げたい場合や、加水分解の速度の点などで有利であるが、塩の含有量が増加するため、精製する際、後述する洗浄などによる塩等の不純物除去の工程が、洗浄工程を増やすことが必要になる等、複雑になるという欠点もある。
塩基性条件下で行われた加水分解後のポリビニルアミン溶液は、溶媒として用いた水、または水とアルコールの混合溶媒中に、ポリビニルアミン系重合体、加水分解によって生成したカルボン酸の塩、および加水分解に用いた過剰の塩基が含まれている。
【0011】
本発明では、ここに二酸化炭素を導入する。二酸化炭素の導入は、ガス状態で吹き込むか、ドライアイスを添加するのでも良い。吹き込み管等を用いずに気相部に二酸化炭素を導入しても良いが、吸収効率は低い。従って、予め水やアルコールに二酸化炭素を吹き込むか、或いはドライアイスを添加して、好ましくは飽和溶液としたものを使用するのが好ましい。また加圧した系で実施しても良いし、流通形式でも良い。通常、二酸化炭素は過剰量用いるのが良い。さらに加水分解に塩基を過剰量用いる場合は、それを中和するための分の二酸化炭素が必要である。
このような二酸化炭素の導入には、上記のような方法を単独で行っても良いが、複数組み合わせて行っても良い。たとえば、予め水に二酸化炭素を吹き込んだりドライアイスを添加して調製した飽和溶液に、さらに二酸化炭素を吹き込んだり、ドライアイスを添加する等の方法が挙げられる。
【0012】
この二酸化炭素との反応によって、高分子化合物が沈殿となって糊状〜ゲル状に白色沈殿する。塩等の存在によっては、析出し難いことがあるが、その場合、より希釈条件で行うか、さもなければ水とアルコールとの混合溶媒系で行うことで、析出性を改善できる。水およびアルコールによる希釈はいかなる割合によっても良いが、あまり少量では効果が少なく、あまり多量では希薄になりすぎて処理量が減ってしまう。通常は0.1〜10倍容、好ましくは0.5〜5倍容の水もしくはアルコールを用いる。アルコールは混合して用いてもよく、2種以上を用いても良い。アルコールの種類は水に溶解するものであればその種類を問わないが、好ましくは、炭素数1〜4の1価アルコールが用いられる。
アルコールのみを溶媒とした場合は、析出はより容易であるが、加水分解により生成したカルボン酸と加水分解に用いた塩基との塩(たとえばギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなど)や、吹き込んだ炭酸と該塩基との塩(たとえば炭酸ナトリウム)等の無機物の析出が多いという欠点がある。
【0013】
高分子化合物よりなる析出物は液相と分離する。分離の方法は特に限定されないが、水のみの場合や、混合溶媒でも水が多量の場合は析出物は糊状なので濾過による分離は難しく、遠心沈降やデカンテーション等が好ましい。また該析出物が付着性が高いことを利用して、液相だけを反応器の槽底から抜き出すこともできる。また、水とアルコールの混合溶媒を用いた場合、付着性が低い析出物が得られる場合があるので、その場合は、スラリー状にして濾過等の方法で行うこともできる。
さらに水とアルコールの混合溶媒による溶解、再沈殿を繰り返すことで不純物を除くことができるので、重合体の純度をあげたい場合には、重合後、水を加え、半溶解状にしたのち、アルコールを追加して固体状で析出させる作業を繰り返しても良い。
【0014】
分離した高分子化合物は、洗浄後、乾燥して固体で取り出してもよく、適当な溶媒に溶解して溶液にしても良い。水には緩慢ではあるが溶解するので、高分子を溶液化する場合の溶媒としては好ましいが、ゲル状物が残る場合があり、しかも溶解に時間を要する。水への溶解に際しては、加温条件下、たとえば60℃以上、好ましくは80℃以下にした場合は、容易にかつ速やかに溶解する。例えば、反応器の大きさにもよるが、得られた高分子化合物は、通常60℃で10倍容の水に10分から5時間で溶解する。この際、窒素などの不活性ガスを吹き込んでも良い。またこの加温条件下で溶解した場合は、再び室温に冷却しても、析出は起こらなかった。一方、塩酸等の酸性水溶液にはガスを放出して急速に溶解する。さらにアルカリ性液にも容易に溶解する。食塩等の塩水への溶解も容易であるが、これら酸性水溶液、アルカリ性水溶液、又は塩を含む水溶液を用いた場合は、高分子化合物以外の成分との分離がさらに必要と成る場合があるため、温水の使用が好ましい。
【0015】
このようにして得られた高分子化合物は、構造単位全体の0.5〜100モル%が、ビニルアミン炭酸塩及び/又はビニルカルバミン酸塩から誘導される構造単位である高分子化合物である。
該ビニルアミン炭酸塩から誘導される構造単位は、下記式
【化2】
で示されるものであり、またビニルアミンカルバミン酸塩から誘導される構造単位は、下記式
【0016】
【化3】
で示されるような分子内塩であるか、又は
【化4】
で示されるような分子間塩である場合もある。
【0017】
本発明においては、ビニルアミン炭酸塩及び/又はビニルアミンカルバミン酸塩から誘導される構造単位以外の単位が、下記構造単位(1)を0〜90モル%含む高分子化合物であるのが好ましい。
【化5】
−(CH2 −CH)− (1)
|
NHCOR
(式中、RはHまたはC1 〜C4 のアルキル基を表す)
本発明において、ポリビニルアミンに二酸化炭素を反応させて得られた高分子化合物は、全構造単位中0.5〜100%が、ビニルアミン炭酸塩、又はカルバミン酸塩から誘導される構造単位であるか、或いはそれらが混在した構造単位である高分子化合物である。
【0018】
すなわち、カルバミン酸は塩基性下では塩の形で存在するが、中性、酸性域では遊離では存在せず、容易に加水分解して炭酸塩となる。また例えば、カルバミン酸アンモニウムの例では、59℃で分解、昇華してアンモニアと二酸化炭素になることが知られており、その例からも明らかなように、本発明の高分子化合物も、低温でいるときはカルバミン酸塩の形をとっているが、このカルバミン酸塩を加熱すると、容易に炭酸塩になり、さらに加熱すると、二酸化炭素を放出し、遊離アミンになる。従って、本発明の高分子化合物の場合も、その存在条件によって容易に変化して、炭酸塩、カルバミン酸塩、又はこの両方の塩の混在する。本発明により得られる高分子化合物は、1N食塩水0.1g/dlの溶液として、25℃で測定した還元粘度が0.01から10dl/gであるのが好ましい。
【0019】
本高分子化合物の用途としては従来ポリビニルアミンの用途としてあげられたものが該当するが、その効果を以下に例示する。すなわち、凝集剤やスケール防止剤のような水処理薬剤として用いる場合、ギ酸がないことによる装置類の腐食防止等の点で改良がなされ、共存塩がないための性能向上も期待できる。更にポリビニルアミンは製紙薬剤としても、填料の歩留まり向上、サイズ定着、紙力増強、さらにインクジェット用紙等に用いて染料、インクの定着剤等の用途が知られているが、本高分子化合物も同様の用途に用いることができ、ギ酸の除去による装置腐食の減少や塩の除去による性能向上効果がある。さらに染色工業においてセルロース繊維用の反応性染料定着やインクジェット染色のにじみ防止等の用途が知られているが、ギ酸の減少による副反応の防止効果等は顕著である。さらにアンカーコートや帯電防止、防曇、印刷性の改良、インクジェット等のインクののりをよくするために表面を親水化したりアニオン性インクを固定化するためにカチオン基を導入するなどの目的でフィルムにコーティングするという用途では、従来不純物が邪魔して透明性に問題があったが、本方法によれば塩が除去されているので、そのような用途に本発明のポリビニルアミン系の高分子化合物を用いることができる。また、スチレン、ポリオレフィン、ナイロン、ポリエステル等の高分子に練り込んで接着性を高めたり、着色性を改良するなどの樹脂改質の場合も、無機塩の含有量が極めて少ないため問題が少ない。さらに吸水ゲルでは吸水を妨害する塩の除去、ポリビニルアミンの金属の錯体形成能を生かした電子材料では不純物の除去の効果、排水中重金属捕捉剤においては精製による薬剤の悪臭の除去、繊維加工剤としての抗菌消臭、塗料インキ添加剤、セメント添加剤、原油粘度降下剤、水スラリー添加剤、混炭用分散剤、印刷被覆剤、切削泥水の粘度調節等の用途ではギ酸、アンモニア等の除去によるポリビニルアミン薬剤の悪臭防止効果がある。
【0020】
【実施例】
以下に実験例に従いより詳細に説明するが、本特許はこの範囲に限られるわけではない。
[実施例1]
N−ビニルホルムアミド30gに脱塩水を加えて100gとし、水溶液に2,2’−アミジノプロパン塩酸塩0.3gを加え、窒素気流下70℃で4時間撹拌した。途中1.5時間後に2,2’−アミジノプロパン塩酸塩0.15gを追加した。
その後塩酸ヒドロキシルアミン1gを加え、50℃で1時間加温処理をして、ポリN−ビニルホルムアミドの30%水溶液を得た。なおこの重合体を一部取り出して、1規定の食塩水に溶かし、還元粘度を測定したところ、0.8dl/gであった。
【0021】
続いて47%苛性ソーダ水溶液50.3gを加え、70℃で6時間撹拌下加熱して該重合体の加水分解を行い、ポリビニルアミンとした。
このポリビニルアミンの水溶液にドライアイス100gを投入した。さらに別途水200gにドライアイス50gを投入して飽和させた水溶液を加えた。重合体塩が沈殿したので、上澄みをデカンテーションで除去した。さらにドライアイスで飽和した水200gで2回洗浄後沈殿物を真空乾燥して重合体塩1を得た。重合体塩1は、重水に20重量%となるように溶解し、13C−NMRを測定した結果、ギ酸は含まないことが判明した。また重合体中のホルムアミド基のピークも検出されなかった。さらに灰分も認められなかったため、無機塩は含まれないことがわかった。
【0022】
また、元素分析値はC: 40.4% H:8.3% N:18.8%であり、ポリビニルアミンのホモポリマーの炭酸塩を想定して計算した値(理論値)のC:40.5% H8.16% N:18.9% O:32.4%とよく一致した。
さらにコロイド滴定値は14.4meq/gであり、ポリビニルアミンのホモポリマーの炭酸塩を想定して計算した値(理論値)の13.5meq/gと極めて近似した値であった。この結果から、この高分子化合物が、ギ酸などのカルボン酸や無機塩等を殆ど含まず、またホルムアミド基部分を殆ど含まないことがわかった。
【0023】
以上から、析出物は実質的に下記構造式で示されるポリビニルアミンのホモポリマーの炭酸塩
【化6】
であると推定される。なおこの結果は、本高分子化合物を測定のために、加熱乾燥しているため、カルバミン酸塩形の構造単位は存在し得ず、炭酸塩の形で存在しているものと考えられる。
【0024】
[実施例2]
実施例1で、ポリビニルアミン水溶液100gにメタノール100gを加え、ドライアイス100gと別途水200gにドライアイス50gを投入して飽和させた溶液を加えた。重合体塩の沈殿が生じたところでメタノールで3回洗浄し、沈殿物を真空乾燥、粉砕して重合体塩2を得た。
重合体塩2を重水に20重量%となるように溶解し、13C−NMRを測定した結果、ギ酸はビニルアミン構造単位に対し、20mol%しか存在せず、精製により約8割が除去されていることがわかった。また、重合体中のホルムアミド基のピークも検出されず、灰分も認められなかった上、元素分析値はC:35.6%、H:7.0%、N:15.1%であり、炭酸塩の理論値とよく一致しており、また、コロイド滴定値は14.3meq/gであり、炭酸塩の理論値とよく近似した値であった。
従って重合体塩2も重合体塩1と同様に、実質的にポリビニルアミンのホモポリマーの炭酸塩であると推定される。
【0025】
[実施例3]
実施例2と同様にポリビニルアミンの水溶液を処理し、ドライアイスを加えて沈殿を生じさせた後、メタノールで洗浄し、さらに水100gを添加して撹拌後、このメタノール投入による析出を2度繰り返し、真空乾燥、粉砕を行って、重合体塩3を得た。
重合体塩3は重水に20重量%になるように溶解し、13C−NMRを測定した結果、ギ酸はないことが判明した。さらに灰分は認められなかった上、元素分析値はC:40.9%、H:8.6%、N:18.6%であり、炭酸塩の理論値とよく一致しており、コロイド滴定値は13.44meq/gであり、炭酸塩の理論値とよく近似していた。
従って、重合体塩3も重合体塩1と同様に、実質的にポリビニルアミンのホモポリマーの炭酸塩であると推定される。
【0026】
[実施例4]
上記実施例1ないし3のそれぞれで得られた重合体塩1〜3は、ポリビニルアミン水溶液に含まれていたギ酸および無機塩がはるかに減少しており、特に重合体塩1又は3の場合は実質的に全く含まれていなかった。
さらに、これら重合体塩1〜3は、いずれも室温(25℃)の水(約4倍容)へ緩慢に溶解し、1昼夜放置すると完全に溶解して水溶液となった。また、60℃の加温下では30分ほどで溶解し、これらの溶液はいずれも、冷却しても析出は見られなかった。
この重合体塩1〜3は、塩酸酸性の水溶液には急速にガスを発生しながら溶解し、ポリビニルアミン塩酸塩水溶液となる。特に重合体塩1又は3の場合には、実質的にギ酸、無機塩分を含まないポリビニルアミン塩酸塩水溶液が得られた。なおこの重合体塩1〜3は、メタノールには溶解しなかった。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、ギ酸や塩類などの共存物の含有量が極めて少ないポリビニルアミンを容易に調製できる炭酸塩又はカルバミン酸塩、あるいはこれらの混合塩を提供するものであり、これは加温条件下や、酸性または塩基性条件下で容易に溶液を調製することが可能であり、この溶液は従来のポリビニルアミンの用途と同様の用途にそのまま使用できるものであるので、極めて有用である。
Claims (7)
- 全構造単位の0.5〜100モル%が、ビニルアミン炭酸塩及び/又はビニルアミンカルバミン酸塩から誘導される構造単位であり、それ以外の構造単位が、主としてビニルアミド及び/又はビニルアミンから誘導される構造単位である高分子化合物。
- 1N食塩水0.1g/dlの溶液として、25℃で測定した還元粘度が0.01〜10dl/gである請求項1又は2に記載の高分子化合物。
- ポリビニルアミン系重合体を、水を含む溶媒中で二酸化炭素と反応させることにより請求項1記載の高分子化合物を製造する方法。
- ポリビニルアミン系重合体が、ポリビニルアミド系重合体を塩基性条件下、加水分解することにより得られることを特徴とする請求項4記載の製造方法。
- ビニルアミド類を含む単量体を重合して得られた(共)重合体を、塩基性条件下加水分解したのち、加水分解によって生成したカルボン酸とポリビニルアミン(共)重合体を含む溶液中で二酸化炭素を反応させることにより析出した高分子化合物を分離することを特徴とする請求項1記載の高分子化合物の精製方法。
- ポリビニルアミン(共)重合体を含む溶液が、溶媒として水を含むことを特徴とする請求項6記載の精製方法。
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