JP3047298B2 - 熱可塑性重合体組成物 - Google Patents

熱可塑性重合体組成物

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JP3047298B2
JP3047298B2 JP2266416A JP26641690A JP3047298B2 JP 3047298 B2 JP3047298 B2 JP 3047298B2 JP 2266416 A JP2266416 A JP 2266416A JP 26641690 A JP26641690 A JP 26641690A JP 3047298 B2 JP3047298 B2 JP 3047298B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、延伸シート、フィルム、未延伸シート、発
泡シート、多層構造体の少なくとも1層、各種成形用途
などに好適に用いられる耐衝撃性、剛性、光学特性、耐
薬品性、耐油性、延伸加工特性に優れた新規な熱可塑性
重合性組成物に関するものである。更に詳しくは、実質
的に非晶質な特定のポリエステルと、スチレン系誘導体
と脂肪族不飽和カルボン酸エステルとを主体とする共重
合体、およびスチレン系誘導体を主体とする少なくとも
1個のブロックと、共役ジエンを主体とする少なくとも
1個のブロックとよりなるブロック共重合体とを含む成
分よりなる混合組成物であり、その優れた上記特性のた
め、単独での使用はもちろん、他重合体の改質用材料と
しても使用できるものである。
[従来の技術] 従来より、ポリエステル樹脂、特に結晶性の高いポリ
エチレンテレフタレート(PET)や、ポリブチレンテレ
フタレート(PBT)などは汎用エンジニアリングプラス
チックとして知られており、耐熱性、耐候性、耐油性、
耐薬品性などに優れ、シート・フィルム用、その他に多
く使用されている。しかし、寸法安定性、耐衝撃性、成
形性などに問題があり、例えば、この重合体をそのまま
溶融、押出後、急冷することなく成形品として加工した
場合、特に肉厚部での結晶化が進み不均一で脆くしかも
不透明なのしか得られない。したがって成形品として使
用し難いものである。一方、溶融後、薄手のシート・フ
ィルムに押出、急冷したものは非晶状態で得られ、この
ものを延伸し、十分結晶化を進めたシート・フィルム
は、耐熱性があり、寸法安定性の良い製品として広く実
用化されている。
前者の欠点を改良する方法として、ガラスセンイ、カ
ーボンセンイ等で補強して使用されるのが現状である。
また、重合時に共重合し、結晶化度、結晶化速度をコン
トロールした共重合ポリエステルや、結晶化部分をセグ
メント化したものや、逆に非晶部分をセグメント化し、
取り入れた共重合ポリエステルにより、上記問題点の解
決や、溶融時の大幅な粘度低下を押さえる試みがなされ
ている。また、透明性の高い成形用のポリエステルとし
て、非晶質の共重合ポリエステルが知られている。しか
しこれらのものは、押出加工性、延伸性が悪く、軟化点
が低いため耐熱性が不足し、耐衝撃強度も十分とはいえ
ない。これらポリエステルの特性を大きく改質するには
ポリマーブレンドによる方法が多くなされている。
例えば、特開昭60−149654号公報には、例えばPETに
スチレン−不飽和カルボン酸(またはエステル)共重合
体をブレンドすることにより、PETの結晶化速度が速め
られ、その結果、成形サイクル等を改良し、耐熱性を向
上させ、且つ機械的特性に優れた組成物が得られること
が記載されている。また、特開昭63−304041号公報に
は、例えばPBTとスチレン系樹脂及び相溶化剤としてマ
クロモノマー法によるグラフトポリマーとからなる強度
が改良された樹脂組成物が記載されている。しかし、こ
れら方法は、結晶性の耐熱性重合体としてのポリエステ
ルの特性を改良したものであるため、透明性が要求され
る成形用途には不向きである。また、加工性の改良は十
分なされていないのが現状である。
また一方、ポリスチレン系重合体は、透明性、剛性
(弾性率)などに優れ、押出成形や射出成形などに多量
に使われている。しかしながら、一般に用いられる汎用
ポリスチレン(GPPS)などのスチレン系重合体は脆く、
耐衝撃性、成形性(2次成形性を含む)が十分とは言え
ないものである。
このためスチレン含有量が50重量%未満のスチレン−
ブタジエンブロック共重合体(SBBC)のような熱可塑性
エラストマーをGPPSにブレンドする方法や(例えば、特
公昭47−43618号公報、特公昭51−27701号公報など)、
又スチレン含有量が50重量%以上、特に60〜95重量%の
スチレン成分を含有する該ブロック共重合体を有するス
チレン系重合体などをGPPSにブレンドすることにより耐
衝撃強度を改良する方法が(例えば、特公昭52−16496
号公報、特公昭52−32774号公報、特公昭54−62251号公
報等)ある。しかし、これらの方法ではGPPSの剛性や、
耐熱性、透明性等が低下する欠点がある。特に前者の方
法においては、分散状態や、重合体の屈折率の差の関係
で透明性が大きく損なわれ、また、熱履歴によりゲル化
した異物が発生しやすいものである。また、後者の方法
においても組成物では透明性が仮に、比較的良くても
(しかしブレンドしないものより悪くなる上に)、更に
その加工法の差(例えば、押出延伸シートにおける押出
温度や、延伸温度の差)により成形品での透明性の良い
領域が狭くなり成形品の外観を悪化させるなど問題を有
するものである。このようにブレンドによる改質には、
1つの特性(耐衝撃強度)を改良すれば他方の特性が犠
牲になる欠点がある。
また、上記欠点をスチレン系共重合体によって改良す
る方法として、ビカット軟化点が90℃以上のスチレン系
単量体とアクリル酸エステルとの共重合体と、SBBCとの
組成物が特公昭62−25701号公報に記載されている。こ
の方法においては、耐衝撃強度、延伸特性などのバラン
スはとれているものの、耐油性や、耐薬品性が十分とは
言えずその用途は限定されたものとなる。
また一方、スチレン系重合体以外の異種重合体とSBBC
系重合体との混合組成物により、種々の特性を改良する
方法として、例えば、特開昭56−115348号公報には、変
性SBBC(SBBCをジカルボン酸基で修飾し、極性基を有す
る化合物との親和性を高めたもの)を用いることによっ
て熱可塑性ポリエステル等との相溶性を改良することに
より、機械的特性が改良されることが記載されている。
これは、上記のごとくSBBCを変性しないとポリエステル
との相溶性はきわめて悪く、機械的特性の改良は期待で
きないものであり、また、この場合も透明性は十分改良
されたとは言い難いものである。更にまた、特開昭62−
34945号公報には、非晶質なポリエステルとSBBCとを組
み合わせることにより耐衝撃強度、透明性に優れ、また
延伸性等の加工性にも優れた樹脂組成物が得られること
が記載されている。しかし、この組成物は、非晶質ポリ
エステルと、低剛性のSBBCとの組み合わせのため、弾性
率が小さく、射出成形法、押出成形法などにより成形品
とした場合、肉厚の成形品とする必要があり、経済的に
不利なため、その用途が限定されたものになる。また、
押出中、リワーク中にSBBC中のゴム成分がゲル化しやす
く(特にブタジエン成分が50重量%以上のSBBCを用いた
場合)問題となる場合があり、またこれら両成分が比較
的相溶性化しにくいため、重合体同志の混練を十分にし
て使用しないと性能が十分発揮されない場合があった。
[発明が解決しようとする課題] 以上のような状況の中、本発明は、加工性(例えば、
広範囲での温度、倍率領域での延伸性、絞り成形性、押
出加工性など)、機械的強度、耐油性、耐薬品性に優れ
た剛性に富み透明な熱可塑性重合体組成物を提供するこ
とを目的になされたものである。
[課題を解決するための手段] 上記目的を達成するため本発明では、 (A)少なくとも1種の実質的に非晶質なポリエステル (B)スチレンまたはスチレン誘導体より選ばれる少
なくとも1種の単量体:95〜20重量%、 少なくとも1種の脂肪族不飽和カルボン酸エス
テルを主体とする単量体:5〜80重量%、 よりなり、ビカット軟化点が105℃以下の少なくとも1
種の共重合体 (C)i、スチレンまたはスチレン誘導体より選ばれる
少なくとも1種の単量体:95〜20重量%、 ii少なくとも1種の共役ジエンよりなる単量体:5
〜80重量%、 上記i、iiを主体成分としたi、iiそれぞれの重合体ブ
ロックを有するブロック共重合体 上記(A)、(B)、(C)の重量混合比が、 0.1≦A/(A+B)≦0.9 0.05≦C/(A+B+C)≦0.95 である上記(A)、(B)、(C)の各々重合体成分か
らなる熱可塑性重合体組成物、及び (A)少なくとも1種の実質的に非晶質なポリエステル (B)スチレンまたはスチレン誘導体よりも選ばれる
少なくとも1種の単量体:95〜20重量%、 少なくとも1種の脂肪族不飽和カルボン酸エス
テルを主体とする単量体:5〜80重量%、 よりなり、ビカット軟化点が105℃以下の少なくとも1
種の共重合体 (C)iスチレンまたはスチレン誘導体より選ばれる少
なくとも1種の単量体:95〜20重量%、 ii少なくとも1種の共役ジエンよりなる単量体:5
〜80重量%、 上記i、iiを主体成分としたi、iiそれぞれの重合体ブ
ロックを有するブロック共重合体 上記(A)、(B)、(C)の重量混合比が、 0.1≦A/(A+B)≦0.9 0.05≦C/(A+B+C)≦0.95 であって、上記(A)、(B)、(C)の各々重合体成
分の合計含有量が50重量%以上100重量%未満である熱
可塑性重合体組成物を採用した。
以下、本発明を詳細に説明する。
ポリエステル成分(A) 本発明にいう「実施的に非晶質な」ポリエステル成分
(A)とは、ホモ重合体、共重合体等の単独又はそれ等
の混合状態又は他種重合体との混合状態又は結晶状態に
影響を与える添加剤等を加えた場合も含めて使用した
(A)成分を、測定中に結晶化度が大幅に変化しない場
合は簡易的にはDSC法(10℃/分の昇温スピードで測
定)により測定した結晶化度(融解エネルギーを測定す
る事により、X線法等により固定した結晶化度の明確な
サンプルを標準にして求める。但し、DSC法で測定中に
結晶化が進行してその値が大幅に変化するものはX線法
で測定する。)の値が10%以下のものであり、好ましく
は5%以下、より好ましくは、上記DSC法による融点が
ほとんど見うけられないものである。
又、好ましくは使用する(A)成分原料として各々の
結晶化に最適の温度で充分アニールし平衡状態としたも
のを同様に測定した場合の値が10%以下のものである。
上記の結晶化度10%以下の範囲には、場合によって
は、成型品又はシート、フィルム状での実用にさしつか
えのない安定性を有する限り、急冷した非晶の性質を残
した状態で測定した値も含む。
一般に、結晶化度は(A)成分原料として充分アニー
ルし平衡状態とした時の値に支配はされるが、加工法に
よる影響をうけ、加工時の急冷法、延伸法、アニール
法、又は添加剤等によりその使用状態での結晶化度のレ
ベルが多少とも変化し得るからである。
つまり、一般の成型品、フィルム等を得る方法におけ
る結晶化スピードが非常に小さくて、かつその後の使用
条件下においても安定で問題がなければ、たとえ結晶化
がある特定の条件下で起こっても、即ち完全に非晶質な
重合体でなくても(A)成分原料として使い得るもので
ある。
上記の測定方法で、結晶性ポリエチレンテレフタレー
ト(一般にセンイ、フィルム、強化センイ、成型品等に
多く用いられ市販されているポリエステル)を測定する
と、原料として安定化した後、又、成型したフィルム状
で測定しても、その融点は245〜260℃と高く、且つ結晶
化度も35〜60%と高いレベルのものである。ポリエチレ
ンテレフタレート自体が結晶化しやすく、しかも、急冷
したものも不安定で、加熱、延伸等により結晶化が促進
されるので、充分アニールした状態でないとフィルム又
は成型品として変形、その他が生じ好ましくない。した
がって、これ等は後述の(B)成分、(C)成分と混合
して用いてももろく、白化した不透明のものしか得られ
ず好ましくない。従ってこれらのものは、本発明の目的
と異なり本発明の(A)成分から除外するものとする。
同様な理由でポリブチレンテレフタレートを用いる場合
も除外するものとする。又、一般に不飽和ポリエステル
として用いられているものも本発明とは異なるものであ
る。
本発明において、(A)成分を構成する単量体成分
は、酸成分としては、テレフタル酸またはその異性体
(イソフタル酸、フタル酸など)、またはこれらの誘導
体、脂肪族ジカルボン酸(例えば、アジピン酸、セバシ
ン酸等)又はその誘導体、ナフタレンジカルボン酸類な
どより選ばれる少なくとも1種が利用できる。
次にグリコール(アルコール)成分としては、例えば
エチレングリコール又はその誘導体(例えばポリエチレ
ングリコール等)、アルキレングリコール類(トリメチ
レングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメ
チレングリーコール…等)、シクロアルキルグリコール
類(例えばシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジ
メタノール等のシルロヘキサンジアルキルオール類
…)、ビスヒドロキシフェニルアルカン類(例えば、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−β
−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン…等)または
これらの水素添加物などより選ばれる少なくとも1種が
利用出来る。本発明で言う(A)成分は、これら両成分
を縮重合して得られるポリエステルの内、上述した実質
的に非晶質のもので、ホモ重合体でも、2種以上の酸成
分またはグリコール成分を共重合したものでも良い。ま
た必要によりオキシ酸を共重合してもよい。
これらの内、好ましい酸成分としては、テレフタル酸
を主成分とし、また必要によって、その他成分として、
例えばテレフタル酸の異性体、またはこれらの誘導体、
脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体、ナフタレンジカル
ボン酸類などより選ばれる少なくとも1種を30モル%以
下、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%
以下を含んでも良い。ナフタレンジカルボン酸類として
は、例えば2,6−、1,5−、2,7−、1,4−ナフタレンジカ
ルボン酸…などが挙げられ、好ましくは1,5−、1,4−ナ
フタレンジカルボン酸であり、より好ましくは1,4−ナ
フタレンジカルボン酸である。
また、好ましいグリコール成分としては、エチレング
リコールとシクロアルキルグリコール類とからなる混合
物を主体とし、混合割合は少なくとも一方を5モル%以
上含む他方との共重合体とする。より好ましくは一方を
10〜90モル%、更に好ましくは一方を20〜80モル%含む
他方との共重合体である。また、必要によっては、他の
共重合し得るアルコール成分(例えば、上記のアルコー
ル類)より選ばれる少なくとも一種を30モル%以下、好
ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下含
んでも良い。
好ましい組合せとしては、酸成分としてテレフタル酸
を主体として選び、場合によっては異性体(イソフタル
酸、フタル酸)を少量酸成分として、20モル%以下のレ
ベルで含んだものと、アルコール成分としてはエチレン
グリコール及びシクロヘキサンジメタノールを主体とし
た混合成分とを共重合したものである。
更に好ましくは、酸成分としてテレフタル酸を主体と
してものを選び、アルコール成分としてエチレングリコ
ールと1,4−シクロヘキサンジメタノールを主体とした
ものを選び、共重合したアルコール成分の内の主成分を
なす上記両者の比率は、エチレングリコールが60〜80モ
ル%、に対し1,4−シクロヘキサンジメタノールが40〜2
0モル%であり、好ましくは前者が64〜75モル%、後者
が36〜25モル%である。更に好ましくは前者が67〜73モ
ル%、後者が33〜27モル%である。重合度はその極限粘
度(フェノール/テトラクロロエタンの60/40重量%の
溶液を用いて、30℃で測定した値)の値で好ましくは0.
50〜1.2であり、より好ましくは0.65〜1.0程度である。
その下限未満は強度が低くなるレベルであり、上限を超
えると押出成形性、分散性が悪くなるレベルである。
又、単独では結晶化度が10%を越えるが、混合すると、
結晶化がおさえられ、(A)成分全体としての結晶化度
が10%以下となる他種のポリエステル或いは他の樹脂を
50体積%を越えない量混合してもかまわない。好ましく
は30体積%以下である。又、添加剤でそのようにしても
かまわないものとする。
共重合体(B)組成 本発明において、(B)成分の1部を構成するスチレ
ンまたスチレン系誘導体(以下スチレン系成分と記
す)とは、例えばスチレン、α−アルキル置換スチレン
例えば、α−メチルスチレン等、核アルキル置換スチレ
ン、核ハロゲン置換スチレンなどから目的に応じて少な
くとも1種選べば良い。これらの内、好ましいものはス
チレン、またはα−メチルスチレンであり、より好まし
くはスチレンである。(B)成分中のスチレン系成分
の含有量は、95〜20重量%にする必要がある。該スチレ
ン系成分が、20重量%未満では、スチレン系成分の
特性である剛性が弱くなり、また加工性も低下し好まし
くない、更に、本発明の重合体組成物の耐熱性を高め、
また(C)成分との相溶性を高める観点からは、該スチ
レン系成分を95〜40重量%にすることが好ましく、よ
り好ましくは、95〜50重量%、更に好ましくは85〜60重
量%にすることである。また、該スチレン系成分が、
この上限をこえた場合、脂肪族不飽和カルボン酸エステ
ル(以下、カルボン酸成分と記す)としての効果
(例えば、耐溶媒性、耐候性、(A)成分との混合性、
さらに第4成分を添加した場合の第4成分との混合性や
反応性などの改良等)が低くなり、好ましくない。
また、(B)成分の他の1部を構成するカルボン酸成
分とは、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステ
ル類、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等のα,β−
不飽和ジカルボン酸のモノまたはジエステル類などから
目的に応じて少なくとも1種選べば良い。これらの内、
好ましいものは、上記のエステル類を構成するアルコー
ル成分が、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキ
シル、オクチル…等の炭素数がC2〜C12の直鎖状また
は、側鎖を有するアルコールよりなり、好ましくはC2
C10、より好ましくはC3〜C8、更に好ましくはC4〜C8
同様のアルコールよりなるエステルである。また、カル
ボン酸成分をなす酸成分として好ましくはアクリル
酸、メタクリル酸系のものであり、より好ましくは前者
である。また、必要によっては上記に加え、更にアクリ
ル酸、メタクリル酸、マレイン酸(またはこの無水物)
等の脂肪族不飽和カルボン酸または、これらのメチルエ
スエルを10重量%以下、好ましくは5重量%以下含むも
のでも良い。
(B)成分は、これらカルボン酸成分と該スチレン
系成分との共重合体であり、これらは少なくとも1種
の互いの単量体からなる共重合体である。更に、必要に
より少なくとも2種のカルボン酸成分とスチレン系成
分との共重合体でも良いし、また上記から選ばれる共
重合体の混合物でも良い。
また、本発明の重合体組成物の耐溶媒性、耐ストレス
クラック性、成形性、混合性等を改良する観点から、
(B)成分中のカルボン酸成分を、上記カルボン酸エ
ステルと、該カルボン酸との2種の混合体、その内で
も、該カルボン酸基の少なくとも1部がメタルイオン
(Na+、Li+、K+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Mg2+、Zn2+、F
e2+、Fe3+、…等)でイオン結合した構造の混合物にし
ても良い。その場合、イオン結合を有するカルボン酸単
量体相当単位の比率は、(B)成分中で、10モル%以
下、好ましくは、5〜0.001モル%、より好ましくは、
3〜0.05モル%である。イオン結合導入の方法は、例え
ば重合前に塩の型で、または重合後に中和の型で、また
は重合後のカルボン酸エステルをケン化した後導入する
などの公知の方法で行なえば良く、これらに限定されな
いものとする。また、その場合イオン結合を有する単量
体相当単位の比率が、上記上限を越えると溶融時の流
れ、特に加工性、混合性、耐水性が悪化し好ましくな
い。
上述の単量体よりなる(B)成分は、1種用いても良
いし、2種以上混合しても良いが、1種の場合は、単独
で、2種以上混合した場合は混合状態で、ASTM D−15
25に準じて測定したビカット軟化点(以下VSPと略す:
荷重1kg,昇温速度2℃/分)が、105℃以下、好ましく
は100℃以下、より好ましくは95℃以下、更に好ましく
は90℃以下であるものを選定するのが好ましい。またそ
の下限は特に定めないが、一般には25℃以上、好ましく
は30℃以上、より好ましくは40℃以上程度のものが良
い。但し少量混合(例えば10〜50重量%、好ましくは10
〜30重量%)する場合は、この限りではなく、可塑剤的
改質効果、例えば相溶化剤、伸び、衝撃、耐折等の改良
剤として使いうる。VSPの上限は、本発明の効果の1つ
である重合体組成物の型物成形性、シート成形性、2次
成形性、また延伸改良効果が薄れる領域である。また好
ましい下限は一般に、(B)成分の取り扱いに支障をき
たす点、特に多量に使用した時にベトツキ等が発生する
領域であり、これらに対する対策をほどこした場合はこ
の限りでない。しかし、最終重合体組成物で好ましくは
上記下限以上にするのが良い。
また、上記(B)成分をなす共重合体は、その分子量
の尺度として、(B)成分の濃度10重量%のトルエン溶
液の25℃における溶液粘度(キヤノン・フェンス粘度管
No.200で測定)で5〜100cps、好ましくは10〜80cps、
より好ましくは15〜60cpsである(5、10、50、100cps
はそれぞれ重量平均分子量で約7.6万、15万、41万、56
万とする)。これらの上限は加工性、混合性より制限さ
れる。また下限は共重合体自身の強度、加工性、分散性
などより制限される。
(B)成分の製造方法は、ラジカル熱重合による、溶
媒を一部用いたマス重合によりランダム重合するのが一
般的であるが、これらに限定されるものではない。ま
た、第3成分として公知のゴム類を重合前、後に添加す
ることによりグラフト化または均一化、マトリックス取
り込み化等の処方を取り入れることによるハイインパク
ト処方を加えると、より好ましい場合もあり(B)成分
は、これらも包括した共重合体またはその組成物とす
る。
ブロック共重合体(C)組成 また、本発明の重合体組成物に用いられる(C)成分
とは、スチレンまたはスチレン系誘導体(スチレン系成
分i)を主成分とする少なくとも1つのブロックと、共
役ジエンiiを主成分とする少なくとも1つのブロックと
が線状または、非線状(分枝型)に配列したものを言
う。(C)成分を構成するスチレン系成分iとは、例え
ばスチレン、α−アルキル置換スチレン例えば、α−メ
チルスチレン等、核アルキル置換スチレン、核ハロゲン
置換スチレンなどから目的に応じて少なくとも1種選べ
ば良い。これらのうち好ましいのは、スチレン、α−メ
チルスチレン等であり、より好ましくはスチレンであ
る。また、共役ジエンiiは、共役2重結合を有するオレ
フィン類で例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3
−ブタジエン、1,3−ペタンジエン、1,3,−ヘキサジエ
ン等であり、目的に応じて少なくとも1種選べば良い。
これらのうち好ましいものは、1,3−ブタジエン、2−
メチル−1,3−ブタジエン等である。
また、(C)成分中の共役ジエンii由来の2重結合の
1部または全部を水素添加したものや、その1部を無水
マレイン酸等の不飽和カルボン酸等で修飾したブロック
共重合体等を単独または混合して用いても良い。また、
上記の各グループのものの分子構造中の少なくとも1部
分に、ランダム構造の部分を含むもの、または他の共重
合し得る単量体を含むものでも良い。
(C)成分を構成するスチレン系成分iと共役ジエン
iiとの比率は、前者樹脂が95〜20重量%であり、好まし
くは90〜30重量%であり、さらに好ましくは、85〜50重
量%である。上記の上限を越えると、ゴム成分の補強効
果、例えば耐衝撃性、加工性に欠けて好ましくない。ま
た、下限未満では剛性、耐熱性、樹脂の熱安定性(ゲル
の発生)が低下し好ましくない。
スチレン系成分iを主体とする重合体ブロックとは数
平均分子量にして好ましくは0.5×104以上、より好まし
くは0.7×104〜10×104、更に好ましくは1.0×104〜8
×104程度である。
この下限は(C)成分の硬さ、強度が低下する又は
(C)成分としての性質が損なわれてくるため好ましく
なく、又上限はゴム成分の効果を発揮するため、又は加
工性上の問題でのレベルである。又共役ジエンiiを主体
とする重合体ブロックの分子量(ブタジエン換算で)は
好ましくは1,000〜20×104、より好ましくは5,000〜10
×104、更に好ましくは1×104〜10×104程度であり、
共重合体全体としては2×104〜100×104、好ましくは
2×104〜50×104、より好ましくは3×104〜40×104
度である(いずれも数平均分子量で表わす)。
分子量の測定方法は、ほぼその仕込み比率と触媒量と
で決定されるのがイオン重合法での特徴であり、簡易に
もとめられる。
次に各ブロックの結合の仕方はその製法とのからみに
なるが、基本的にはスチレン系成分iを主体とするブロ
ックセグメントを:S、共役ジエンiiを主体とするブロッ
クセグメントを:Dとすると、その1つのグループは (D−S)n+1,(D−S)−D,S−(D−S) (但しn=1〜10) で表わされれる基本構造を有する線状のブロック共重合
体であり、その製法は炭化水素系溶媒中で有機リチウム
系等の重合開始剤を用いてブロック共重合する手段によ
るものである。
又、次のグループは[(D−S)m+2X,[(S−
D)m+2X,[(S−D)−S]m+2X,[(D−S)
−D]m+2Xのごとき分枝型の基本構造を有する非線状
ブロック共重合体などである(但しn=1〜10、m=1
〜10、Xは多官能性開始剤の残基を表わす、例えば開始
剤はSiCl4,SnCl4多官能有機リチウム化合物、ポリエポ
キシド、ポリイソシアナート、ポリアルデヒド、ポリケ
トン、テトラアリルSn等)。
上記の内で好ましい態様は線状ブロック共重合体では
n=1〜5、好ましくはn=1〜3、より好ましくはn
=1〜2である。
又非線状ブロック共重合体の場合はm=1〜5、n=
1〜5、好ましくはm=1〜3でn=1〜3、より好ま
しくはm=1〜2、n=1〜2である。
これ等の製法は例えば特公昭36−129086号公報、同43
−14979号公報、同48−2423号公報、同48−4106号公
報、同49−36957号公報、同51−27701号公報等である
が、本願では前述の特定の範囲のものを使用するものと
する。
熱可塑性重合体組成物 本発明の熱可塑性重合体組成物においては、上述した
重合体(A)、(B)、(C)よりなる3成分が主体と
して用いられ、(A+B)組成物と(C)成分との混合
比によりそれぞれ特徴のある重合体組成物が得られる。
本発明の熱可塑性重合体組成物の混合割合は、先ず、
(A+B)組成物中の(A)成分は、重量混合比で 0.10≦A/(A+B)≦0.90、 好ましくは 0.10≦A/(A+B)≦0.85、 より好ましくは 0.15≦A/(A+B)≦0.80、 更に好ましくは 0.20≦A/(A+B)≦0.70、 にするのが良い。これらの下限は、(A)成分の効果
(例えば、耐油性、耐薬品性、耐候性、機械的強度)が
低下する領域である。また上限は、重合体組成物の延伸
性等の加工性の改良効果が薄れ、また(C)成分との混
合性も低下する領域である。
また、(C)成分の混合割合は、重量混合比で該(A
+B)組成物に対し、 0.05≦C/(A+B+C)≦0.95、 好ましくは 0.05≦C/(A+B+C)≦0.90、 より好ましくは 0.07≦C/(A+B+C)≦0.75、 である。
これらの内、(A+B)組成物を主体とし、(C)成
分を少量加えた該熱可塑性重合体組成物(C/(A+B+
C)≦0.50の上記組成物)は、高い剛性の組成物で尚且
つ耐衝撃強度の改良がなされた透明な組成物であり、高
い剛性を生かして主に延伸シート・フィルム、多層シー
トの任意の1層、インジェクション成形などの型物成形
用などに特に好適に用いられる。この場合、剛性が高い
ため、シート、成形品の肉厚を薄くすることも可能で工
業的意義も大きいものである。(C)成分の下限は、こ
の耐衝撃性改良効果が薄れる領域である。また、(C)
成分を主体とし、(A+B)組成物を少量加えた該熱可
塑性重合体組成物(C/(A+B+C)>0.50の上記組成
物)は、耐衝撃強度に優れ、且つ(C)成分の耐油性、
剛性、加工性を改良した組成物として2次成形用延伸、
未延伸シート、収縮性延伸フィルム、インジェクション
成形などのうち、比較的軟質の成形用途に特に好適に用
いられる。(C)成分の上限は、これら加工性、剛性、
耐油性などの改良効果が薄れる領域である。また、溶融
押出時にゲルが発生しやすくなる領域である。
本発明において上述のごとく諸特性に優れた重合体組
成物が減られるのは、(B)成分の特性、すなわち、常
温ではスチレン系樹脂の特徴である剛性と、カルボン酸
基としての他の極性樹脂との混合性、条件によっては反
応性を示し、更に、該カルボン酸基を特定のエステル成
分とすることで常温から100℃程度の比較的低温領域で
急激に軟化する特性を利用し、更に、該重合体と、比較
的混合性の良い特殊なポリエステル(A)とブロック共
重合体(C)とを組み合わせることによって始めて可能
となるものである。特に本発明の熱可塑性重合体組成物
の良好な耐油性、耐衝撃性、延伸性にバランスのとれた
特性は、これら3成分の相乗効果によって初めて発揮さ
れるものである。したがって、例えば後述する比較例
1、比−5、6のように、(A)成分または(B)成分
のいずれかが欠けた組成では良好な耐油性を発揮するこ
とは困難で、耐衝撃強度と剛性のバランスに欠けるもの
であり、比−4のごとく(C)成分が欠けた場合は耐油
性が比較的良好でも耐衝撃強度が低下する傾向にある、
また、比7〜10に示したように(A)成分と(C)成分
に(B)成分以外のスチレン系樹脂を混合した場合は、
本発明の優れた延伸性、耐衝撃強度等の特性は得られな
い。同様に比較例2に示したように、(B)成分と
(C)成分に(A)成分と異なるPET,PBTなどの一般的
な結晶性ポリエステルを加えた場合も本発明のような優
れた特性の組成物を得ることは不可能である。このよう
に本発明は使用する樹脂を厳選することによって始めて
可能となるものである。
これらの特性を高度にバランスさせるには、更に好ま
しくは、前者の組成(0.10≦C/(A+B+C)≦0.50)
で、延伸シート・フィルム、インジェクション成形等に
使用するものである。尚、用途はこれらに限定されるも
のでない。
また、本発明の所定の(A)成分、(B)成分、
(C)成分の他に後述のごとく第4の成分、またはそれ
以上の成分として、石油樹脂、スチレン系重合体、他の
極性官能基を有したホモ重合体または共重合体を50重量
%を上回らない範囲で混合しても良く、この上限は好ま
しくは40重量%、より好ましくは同様に30重量%であ
る。第4の成分、またはそれ以上の成分とは例えば上述
の(A)成分、(B)成分、(C)成分以外の重合体、
例えばGPPS、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン
−アクリロニトリル共重合体、スチレンまたはα−メチ
ルスチレンとアクリル酸またはメタクリル酸(または、
これらのメチルエステル)、無水マレイン酸等との自由
な組み合わせの共重合体、これら共重合体の反応環化
物、またはこれらに更に(B)成分を構成するエステル
系成分を共重合したもの等、ポリエステル(PET,PBT
などの(A)成分とは異なるもの)、ポリカーボネー
ト、各種エンジニアリングプラスチック類等から少なく
とも1種自由に選べば良い。また、特に該重合体組成物
よりVSPの高い樹脂を混合する場合でも、10〜40重量
%、好ましくは15〜30重量%の範囲であれば、適当な物
を選定して用いても良いものとする。これらに、例えば
上述の第4の成分、またはそれ以上の成分を使用した場
合、耐熱性、剛性が加わって好ましい場合もある、ま
た、一般の可塑剤、防曇剤、帯電防止剤、各種安定剤、
その他公知の一般的添加剤等を適時使用してもかまわな
い。
また、他樹脂(例えばスチレン系重合体、ポリカーボ
ネート等)の改質剤として該熱可塑性重合体組成物を少
量(50重量%未満)添加しても良い。
また、混合方法はドライブレンドによる方法、混練能
力の高いミキサーで充分混練した後ペレタイズする方法
など、公知の方法で行なえば良くこれらに限定されるも
のでない。好ましくは、後者の方法で十分混練すること
で、必要によっては数回繰り返して混練しても良い。
更に好ましくは、(B)成分と(C)成分とをミキサ
ーで予備混練し、ペレタイズしたものと(A)成分を混
練能力の高いミキサーで十分混練する方法である。ま
た、必要によって加える第4成分(上述の樹脂、添加剤
等)は、その効果が最大になる方法で適時混練すれば良
い。
本発明の樹脂組成物は、押出成形した未延伸状または
延伸した成形用シート、収縮性フィルム、多層よりなる
該成形用シートの自由な少なくとも1層として利用でき
る。また別に、射出成形、発泡体などに使用できる、そ
の内でも特に、押出成形による1軸または2軸に延伸し
たシート・フィルム用に好ましくは用いられるが、これ
に限定されるものではない。
また、本発明の熱可塑性重合体組成物は、ゲル化しに
くいため、押出、延伸、成形(2次成形を含む)時のス
クラップやトリムを有効に回収することが可能である。
[実施例] 以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、これ
に限定されるものではない。
評価方法は以下の通りである。
1)Hazeは、ASTM D−1003に準じて、厚み0.3mmの急
冷したコンプレッションシートで測定した。
2)曲げ弾性率は、ASTM D−790に準じて測定した。
(射出成形サンプル使用) 3)Izod強度は、耐衝撃強度の代用特性として、ASTM
D−256(ノッチ付)に準じ測定した(射出成形サンプ
ル使用)。
4)耐油性は、試験片に歪みをかけずにサラダオイルに
浸漬し、23℃の室内で2週間放置した後のサンプルの引
張強度(ASTM D−82に準じて測定)変化率より以下の
基準で評価した(射出成形サンプル使用)。
◎:引張強度変化率が5%未満 ○: 〃 5%以上15%未満……合格レベ
ル △: 〃 15%以上30%未満 ×: 〃 30%以上 5)延伸性とは200μのシートをバッチ式2軸延伸機で
2軸に延伸した時の、延伸性をチェックしたものであ
る。温度範囲とは、破れることなく、延伸比が2×2倍
(タテ/ヨコ)以上に延伸出来る点(下限温度)から、
5×5倍(タテ/ヨコ)まで、破れを発生することなし
に延伸可能な点(上限温度)までの温度範囲である。ま
た、均一性とは延伸されたシートの有効部分(エッジ部
を除く)の厚みムラの発生の程度を表し、以下の基準で
評価した。
◎:全面均一(厚みムラ±10%未満)に延伸出来た場
合 ○:±10〜±20%の厚みムラを有する場合 △:±20〜±40%の厚みムラを有する場合 ×:±40%以上の厚みムラを有する場合 実施例1 実質的に非晶質な(A)成分として下記の樹脂(PEST
−1)を用いた。
また、スチレン系成分としてスチレン、α−メチル
スチレンと、カルボン酸成分としてエチルアクリレー
ト、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレ
ートとを、また必要によりアクリル酸、アクリル酸亜鉛
をそれぞれ選定し、エチルベンゼン、その他の適当な溶
媒で希釈して熱ラジカル重合により(B)成分を得た。
このものの特徴と第1表に示す。
また、スチレンと、共役ジエンiiとして1,3−ブタジ
エン、2−メチル−1,3−ブタジエンより第2表のごと
く(C)成分を得た。重合方法は、n−ヘキサン中でブ
チルリチウムを重合開始剤として、また同様に前述のカ
ップリング重合した非線状ブロック共重合体を公知の方
法で得た。
以上の(A)成分と(B)成分、(C)成分との調合
方法は、(B)成分と(C)成分をそれぞれ所望の混合
比でドライブレンドした後、[L/D=24]の30φmm径の
スクリュウを有する押出機で予備溶融混合しペレットと
した。該ペレットと(A)成分をそれぞれ所望の混合比
でドライブレンドした後、混練りミキシングヘッドを有
し、[L/D=46]の65φmm径のスクリュウを有する押出
機で溶融混合しペレットとした。これらのペレットを目
的により、インジェクションまたはコンプレクションし
て試験片とした。
尚、実験No.11は、比較例2で使用したPETを(A)成
分と予備混練した後、上記と同様の方法で(B)、
(C)混合成分と混練した。実験No.12は、比較例1で
使用したAS樹脂を(B)、(C)成分と共に予備混練し
た後、上記と同様に調整したものを用いた。これらの特
徴を第3表に示す。
・PEST−1酸成分としてテレフタール酸、グリコール成
分として、エチレングリコール:70モル%、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノール:30モル%の割合で用い、縮重合
した、極限粘度:0.76、VSP:82℃、m.p:DSC法でなしの共
重合ポリエステル。
比較例1 また、(A)、(B)、(C)成分単独、これら2種
の組み合わせ、および(B)成分の代りに以下の重合体
を用いた3成分の組み合わせ組成物から、実施例1と同
様の方法により試験片を得た。これらの特徴を第4表に
示す。
・SMAA:スチレン−メタクリル酸共重合体(スチレン成
分=92重量%、重量平均分子量(w)=24万、VSP=1
25℃、MFR=1.0g/10min.) ・MS:スチレン−メチルメタクリレート共重合体(スチ
レン成分=70重量%、VSP=108℃、MFR=3.5g/10min.) ・AS:スチレン−アクリロニトリル共重合体(スチレン
成分=75重量%、VSP=109℃、MFR=4.3g/10min.) ・GPPS:汎用ポリスチレン(w=25万、w/n=2.
2、VSP=106℃、MFR=2.2g/10min.) * MFRはメルトフローレートのことで、JIS K−7210
(200℃、5kgf条件)に準じて測定した。
第3表、第4表の結果、実施例1の実験No.1〜12の組
成物は、透明性、剛性、耐衝撃強度、耐油性のバランス
に優れ、また延伸加工性も良好であることがわかる。ま
た、実験No.11〜12は第4成分として上述のAS,PET(比
較例2で用いたのと同様)を加えた例である。これらも
同様に諸特性のバランスがとれたものである。一方、第
4表中の比較例1の比−1は(A)成分のみの例で、透
明性、剛性、耐油性に優れるものの延伸加工性に劣り、
耐衝撃強度も十分なレベルとは言えない。比−2は、
(B)成分のみのブランクで、耐衝撃強度に劣る。比−
3は、(C)成分のみのブランクで、弾性率、耐油性に
劣る。また延伸加工性も低いレベルである。また、比−
4は、(A)成分と(B)成分とを組み合わせた例であ
る。この物は耐衝撃強度が不十分で、また透明性(Haz
e)もやや劣る。比−5は(A)成分と(C)成分とを
組み合わせた例で、耐衝撃強度には優れるものの、耐油
性が不十分であり、さらに弾性率もやや低い組成物とな
る。比−6は(B)成分と(C)成分との組合せで、耐
衝撃強度が低く、また耐油性も十分でない。以上より、
諸特性において満足すべき結果を与えるには、本発明の
熱可塑性重合体を構成する(A)、(B)、(C)の3
成分の混合が不可欠なことがわかる。また、比−7、8
は、VSPが105℃以上のスチレン−メタクリル酸系共重合
体を用いた例で、本発明の(B)成分とは異なるもので
ある。これらは、透明性、耐衝撃強度、延伸加工性に劣
る。更に、比−7はゲルの発生しやすいものである。ま
た比−9は、(B)成分を代りにスチレン−アクリロニ
トリル共重合体を、比−10は汎用ポリスチレンを用いた
例である。これらの場合も、透明性、耐衝撃強度、延伸
加工性が劣る。
このように本発明の効果を発揮させるには(B)成分
として単に、ポリスチレンや本発明の(B)成分以外の
スチレン系共重合体を加えるのでは不十分で、(B)成
分は厳選した共重合体とする必要があることが分かる。
このようにすべての特性を満足するのは本発明の組成物
のみである。
実施例2・比較例2 (A)成分として以下の樹脂(PEST−2,3,4)を用い
たほかは実施例1と同様におこなった(実施例2)。こ
れらの特徴を第5表に示す。
・PEST−2 酸成分として、テレフタール酸:95モル
%、イソフタール酸:5モル%、グリコール成分として、
エチレングリコール:60モル%、1,4−ブタンジオール:1
0モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール:30モルの
割合で用い、縮重合した、極限粘度:0.80、VSP:80℃、
m.p:DSC法でなしの共重合ポリエステル。
・PEST−3 酸成分としてテレフタール酸、グリコール
成分として、エチレングリコール:65モル%、1,4−シク
ロヘキサンジメタノール:35モル%の割合で用い、縮重
合した、極限粘度:0.77、VSP:84℃、m.p:DSC法でほとん
どなしの共重合ポリエステル。
・PEST−4 酸成分としてテレフタール酸、グリコール
成分として、エチレングリコール:75モル%、1,4−シク
ロヘキサンジメタノール:25モル%の割合で用い、縮重
合した、極限粘度:0.75、VSP:80℃、m.p:200℃のところ
に僅かに認められ、結晶化度として2〜3%の共重合ポ
リエステル。
また、比較例2として、(A)成分の代りにPET,PBT
を用いたほかは、実施例2と同様におこなった、結果を
第5表に示す。
・PET ポリエチレンテレフタレート(極限粘度:0.70、
mp:245℃、結晶化度:40%) ・PBT ポリブチレンテレフタレート(極限粘度:0.72、
mp:225℃、結晶化度:42%) 以上の結果、実施例2の実験No.13〜15の組成物も実
施例1と同様、透明性、剛性、耐油性、耐衝撃強度のバ
ランスに優れ、また延伸加工性も良好であることがわか
る。一方、比較例2、比−11、12は、(A)成分の代り
に結晶性のPET,PBTを用いた例で、いずれも耐衝撃強度
が低く、また成形品も表面が荒れて不均一で、白っぽい
ものである為、光学特性も悪く延伸性も悪いものであっ
た。このように本発明の優れた特性を持つ樹脂組成物を
得るためには、上述の(B)成分のみならず(A)成分
も厳選する必要があることが分かる。
[発明の効果] 本発明の熱可塑性重合体組成物は、光学特性、剛性、
耐油性に優れ、耐衝撃性、成形性を改良した、いずれの
特性にも優れたものである。
また、本発明の熱可塑性重合体組成物を用いたシート
・フィルム、その他の成形品等も成形加工性に優れ、光
学特性、剛性、耐油性、耐衝撃強度性に優れており、そ
の工業的意義は大きい。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)少なくとも1種の実質的に非晶質な
    ポリエステル (B)スチレンまたはスチレン誘導体より選ばれる少
    なくとも1種の単量体:95〜20重量%、 少なくとも1種の脂肪族不飽和カルボン酸エステルを
    主体とする単量体:5〜80重量%、 よりなり、ビカット軟化点が105℃以下の少なくとも1
    種の共重合体 (C)iスチレンまたはスチレン誘導体より選ばれる少
    なくとも1種の単量体:95〜20重量%、 ii少なくとも1種の共役ジエンよりなる単量体:5〜80重
    量%、 上記i、iiを主体成分としたi、iiそれぞれの重合体ブ
    ロックを有するブロック共重合体 上記(A)、(B)、(C)の重量混合比が、 0.1≦A/(A+B)≦0.9 0.05≦C/(A+B+C)≦0.95 である上記(A)、(B)、(C)の各々重合体成分か
    らなる熱可塑性重合体組成物
  2. 【請求項2】(A)少なくとも1種の実質的に非晶質な
    ポリエステル (B)スチレンまたはスチレン誘導体より選ばれる少
    なくとも1種の単量体:95〜20重量%、 少なくとも1種の脂肪族不飽和カルボン酸エステルを
    主体とする単量体:5〜80重量%、 よりなり、ビカット軟化点が105℃以下の少なくとも1
    種の共重合体 (C)iスチレンまたはスチレン誘導体より選ばれる少
    なくとも1種の単量体:95〜20重量%、 ii少なくとも1種の共役ジエンよりなる単量体:5〜80重
    量%、 上記i、iiを主体成分としたi、iiそれぞれの重合体ブ
    ロックを有するブロック共重合体 上記(A)、(B)、(C)の重量混合比が、 0.1≦A/(A+B)≦0.9 0.05≦C/(A+B+C)≦0.95 であって、上記(A)、(B)、(C)の各々重合体成
    分の合計含有量が50重量%以上100重量%未満である熱
    可塑性重合体組成物。
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