JP3044893B2 - 硬貨処理装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、例えば駅務の自動券
売機に内部構成されるような硬貨処理装置に関し、さら
に詳しくは釣銭硬貨の返却処理性能を高めた硬貨処理装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、この種の硬貨処理装置は、装置
内部の硬貨収納部より所定金種の硬貨を例えば釣銭コン
ベア上に放出し、この放出された硬貨を該釣銭コンベア
を介して装置外部の受皿に放出処理している（例えば先
行出願の特願平３ー２２２０４６号参照）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、この種の釣銭
コンベアは釣銭を受皿に放出するまで一定時間駆動して
搬送しているが、この釣銭コンベア上に導かれた釣銭が
不安定に動いて硬貨立ちすると、コンベア上で転がって
逆転自走する場合があり、この逆転自送した場合には放
出が遅れたり、釣銭コンベアの後部に設置された回収箱
に入って回収されてしまい、このため釣銭未放出となる
ことがあった。

【０００４】そこでこの発明は、硬貨放出時に硬貨の起
立現象を防止する硬貨傾倒機能をコンベアに持たせて硬
貨を安定して確実に放出できるようにした硬貨処理装置
の提供を目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この発明は、装置内部の
硬貨収納部より繰出された硬貨をコンベアを介して装置
外部に放出処理する硬貨処理装置であって、前記コンベ
アの搬送動作を搬送途中で一時停止させる一時停止制御
手段を備えたことを特徴とする。

【０００６】また、この発明は装置内部の硬貨収納部よ
り繰出された硬貨をコンベアを介して装置外部に放出処
理する硬貨処理装置であって、前記コンベアの搬送動作
を搬送途中で一時停止させ、その後、再びコンベアを搬
送動作させる搬送・一時停止・搬送の間欠運転を実行す
ることを特徴とする。

【０００７】

【作用】この発明によれば、硬貨放出時には一時停止制
御手段がコンベアの搬送動作を搬送途中で一時停止させ
て、搬送途中の硬貨にコンベア停止作用による制止力を
付与する。また、これに続いて再びコンベアを搬送動作
させて搬送・一時停止・搬送の間欠運転による搬送変動
を生じさせた条件下で硬貨を搬送する。

【０００８】

【発明の効果】このため、コンベア上の硬貨は、起立硬
貨の傾倒動作に適したコンベア一時停止時に生じる制止
力が付与されて硬貨に反慣性力が生じ、コンベア上の硬
貨に仮に起立硬貨があっても、一時停止時の反慣性力が
働いて直ちに傾倒させる傾倒機能を働かせることができ
る。

【０００９】また、コンベアを搬送・一時停止・搬送の
間欠運転を行えば、コンベア一時停止時に生じる制止力
に加えて、一時停止後の再始動時に生じる始動力とによ
って、硬貨に制止力と始動力を間欠的に付与して傾倒促
進させる傾倒促進機能を働かせることができる。従っ
て、このコンベア上に導かれた硬貨が不安定な状態にあ
っても、全て起立解消されて常にコンベア搬送に適した
寝かせた状態で安定して搬送処理でき、例えば外部に受
皿があれば、その受皿に素早く確実に放出できる信頼性
の高い放出性能が得られる。

【００１０】

【実施例】この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳
述する。図１は自動券売機に内部構成される釣銭硬貨放
出処理装置を示し、この釣銭硬貨放出処理装置１１は、
前面の接客パネル１２に投入口１３と受皿１４とを上下
に連設し、投入口１３と連通する内方には搬入シュート
１５を介して接続した鑑別部１６を設け、この鑑別部１
６の後段に内部取込み通路１７と、外部返却通路１８と
を分岐接続し、鑑別部１６で真硬貨と判定された硬貨
は、その鑑別データに基づいて内部取込み通路１７を介
して後段に設けられた一旦保留部１９…に導かれ金種別
に保留される。さらに、この一旦保留部１９からは下方
の釣銭放出部２０に金種別に補給可能に接続され、この
釣銭放出部２０は各種硬貨毎に独立して設けられ、釣銭
放出時に所定の金種が釣銭コンベア２１を介して上方の
受皿１４へと放出される。また、釣銭放出部２０には、
内部の上方に設けられた硬貨補充部２２より釣銭の待機
量に応じて適宜補充される。

【００１１】さらに、鑑別部１６の後段に分岐接続した
内部取込み通路１７と外部返却通路１８との分岐位置に
は、ソレノイド２３により振分け操作されるフラッパ２
４を配設し、このフラッパ２４の振分け操作により鑑別
された硬貨を内部取込み通路１７側と外部返却通路１８
側とに振分け操作する。

【００１２】また、外部返却通路１８側の後段には、該
外部返却通路１８に内端を接続し、外端を上方の受皿１
４に接続した返却コンベア２５を配設し、鑑別部１６で
偽硬貨等の鑑別不良硬貨が発生した時に、その鑑別不良
硬貨を返却コンベア２５を介して上方の受皿１４へと放
出する。

【００１３】この場合、受皿１４は利用客の硬貨の取扱
い操作性を考慮して、その硬貨の取扱いに最適な高さ位
置に設けた投入口１３の直ぐ下側に連設している。これ
により、利用客は取引き時にそのままの立姿勢で硬貨投
入操作と硬貨取出し操作を行うことができ、またこのと
きの受皿１４は立姿勢のままて目視できる高さ位置とな
るため、釣銭硬貨や返却硬貨の取忘れも確実に低減でき
る。

【００１４】ところで、上述の釣銭コンベア２１は下部
ベルト２１ａと上部ベルト２１ｂとから構成され、この
うち下部ベルト２１ａは長尺のＬ形状を有し、このＬ形
状の水平搬送部分が釣銭放出部２０の下方に対応して、
釣銭放出部２０から落下放出された硬貨Ｃを載せて水平
方向に搬送し、これより立上がらせた傾斜搬送部分が上
方の受皿１４に接続され、この傾斜搬送部分に沿って上
部ベルト２１ｂが傾斜対設され、この傾斜対設部間で硬
貨を挟持搬送して上方の受皿１４へと導くように構成し
ている。

【００１５】この場合、釣銭コンベア２１の立上がり部
の直前には、図２にも示すように、傾倒ガイドローラ２
６と、傾倒ガイド部２７，２７とを備えて立上がり搬入
部での硬貨詰りを未然に防止している。

【００１６】傾倒ガイドローラ２６は、軸方向の中央部
を大径に両端部を小径にして軸方向の中央部を境にして
両側にテーパ面２６ａ，２６ａを有する両円錐形状に設
け、このローラ２６を釣銭コンベア２１の立上がり部の
前段に横架して、ここに起立状態で導かれた硬貨Ｃをテ
ーパ面２６ａに衝突させて傾倒させ、またこのテーパ面
２６ａに沿って起立硬貨の向きを外向きに変えることで
容易に傾倒させる。さらに、該ローラ２６と下部ベルト
２１ａとの上下間で硬貨を一枚ずつ搬入させるように規
制している。

【００１７】また、傾倒ガイド部２７は、釣銭コンベア
２１の立上がり部直前の両側ガイド部分をテーパ面２６
ａ，２６ａに略平行して傾斜形成して設け、不測に下部
ベルト２１ａの端縁部に沿って起立硬貨Ｃが導かれた場
合は、この傾倒ガイド部２７の位置で外向きに変位許容
されて傾倒動作される。このように、傾倒ガイドローラ
２６と、傾倒ガイド部２７，２７とで、不測に起立した
硬貨Ｃを倒して、硬貨を一枚ずつ上下部のベルト２１
ａ，２１ｂ面間に搬入ガイドする。

【００１８】一方、下部ベルト２１ａの内端部側には硬
貨回収箱２８を備えて、取引中止時に該下部ベルト２１
ａを逆転させて、釣銭放出部２０から落下放出された硬
貨Ｃを回収処理し、また回収直前位置には起立硬貨を傾
倒させるための硬貨倒しガイド板２９を配設して、ここ
に導かれた起立硬貨Ｃおよび釣銭放出時に逆向きに転が
って導かれた起立硬貨Ｃを傾倒させる。図中、Ｓは投入
検知センサ、Ｍ１は釣銭コンベアモータ、Ｍ２は返却コ
ンベアモータである。

【００１９】図３は釣銭硬貨放出処理装置の制御回路ブ
ロック図を示し、ＣＰＵ３１はＲＯＭ３２に格納された
プログラムに沿って各回路装置を制御し、その制御デー
タをＲＡＭ３３で読出し可能に記憶する。

【００２０】またＣＰＵ３１は、釣銭放出毎に釣銭コン
ベアモータＭ１を駆動制御して、釣銭コンベア２１の搬
送動作を搬送途中で一時停止させて搬送・一時停止・搬
送の間欠運転による搬送変動を生じさせた条件下で釣銭
硬貨を搬送処理する。これにより、釣銭放出時の硬貨Ｃ
は一時停止時に生じる制止力が付与されて硬貨に反慣性
力を生じさせ、起立硬貨の場合は反慣性力が、より一層
働いて直ちに傾倒させる傾倒機能を有している。また、
一時停止後の再始動時に生じる始動力によって、硬貨に
搬送変動を付与して傾倒促進させる傾倒促進機能も得ら
れる。このため、釣銭コンベア２１上に導かれた釣銭硬
貨は、全て起立解消されて常に硬貨の搬送に適した傾倒
状態で搬送することができる。

【００２１】このように構成された釣銭硬貨放出処理装
置１１の放出処理動作を図４のフローチャートを参照し
て説明する。今、釣銭放出指令信号がＣＰＵ３１に入力
されると、ＣＰＵ３１は釣銭放出部２０から所定金種の
釣銭を所定枚数だけ下方の釣銭コンベア２１の下部ベル
ト２１ａ上に落下放出させる（ステップｎ１）。

【００２２】このとき、適正額が放出されると、ＣＰＵ
３１は釣銭コンベアモータＭ１を一定時間駆動して、下
部ベルト２１ａ上の釣銭硬貨を放出方向に搬送処理し始
め（ステップｎ２）、この放出された硬貨Ｃが下部ベル
ト２１ａ上で起立して転動するのを防止するために、Ｃ
ＰＵ３１はこの搬送動作途中で釣銭コンベアモータＭ１
を一時停止させ、その後、再び駆動して下部ベルト２１
ａを搬送駆動・一時停止・搬送駆動の間欠運転を実行す
る。

【００２３】この間欠運転により、一時停止時の制止力
と搬送始動時の始動力が下部ベルト２１ａの水平搬送部
分上に載った釣銭硬貨Ｃに付与され、仮に釣銭硬貨Ｃが
不測に硬貨立ちしても、この硬貨には下部ベルト２１ａ
からの反慣性力が伝わって、直ちに傾倒動作して、硬貨
の搬送に適した傾倒状態に寝かせられて搬送され、これ
より硬貨は下部ベルト２１ａの立上がり部に導かれ、こ
の位置で傾倒ガイドローラ２６と、傾倒ガイド部２７，
２７との傾倒作用および同時搬入防止作用を受けながら
上下部のベルト２１ａ，２１ｂ面間に挟持されて上部の
受皿１４へと放出される（ステップｎ３〜ｎ４）。

【００２４】また、釣銭放出動作中に異常放出と判定さ
れた場合、例えば釣銭放出部２０から過剰落下放出した
と判定した場合は、ＣＰＵ３１が直ちに回収指令を出力
して、釣銭コンベアモータＭ１を一定時間逆転駆動し
て、下部ベルト２１ａ上の硬貨Ｃを回収方向に後退させ
て硬貨回収箱２８に回収処理する。そして、回収処理後
は、再び最初から釣銭放出動作を実行させる（ステップ
ｎ６〜ｎ９）。

【００２５】このとき、再釣銭放出時にＣＰＵ３１が釣
銭放出部２０から連続異常放出したと判定した場合は、
搬送以前の釣銭放出部２０での異常と判定して装置をダ
ウンする（ステップｎ１０）。

【００２６】上述のように、釣銭コンベア上の釣銭硬貨
は、起立硬貨の傾倒動作に適した該コンベア一時停止時
に生じる制止力が付与されて硬貨に反慣性力が生じ、こ
のためコンベア上の釣銭硬貨に仮に起立硬貨があって
も、一時停止時の反慣性力が働いて直ちに傾倒させるこ
とができる。

【００２７】また、釣銭コンベアを搬送・一時停止・搬
送の間欠運転を行えば、コンベア一時停止時に生じる制
止力に加えて、一時停止後の再始動時に生じる始動力と
によって、硬貨に制止力と始動力を間欠的に付与して傾
倒促進させることができる。従って、この釣銭コンベア
上に導かれた釣銭硬貨が不安定な状態にあっても、全て
起立解消されて常にコンベア搬送に適した寝かせた状態
で安定して搬送処理でき、受皿に素早く確実に放出でき
る信頼性の高い放出性能が得られる。

【００２８】この発明と、上述の一実施例の構成との対
応において、この発明の釣銭硬貨収納部は、硬貨放出部
２０に対応し、以下同様に、一時停止制御手段は、ＣＰ
Ｕ３１に対応するも、この発明は上述の一実施例の構成
のみに限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明の釣銭硬貨放出処理装置の概略構成
図。

【図２】 この発明の釣銭コンベアの放出動作を示す要
部平面図。

【図３】 この発明の釣銭硬貨放出処理装置の制御回路
ブロック図。

【図４】 この発明の釣銭硬貨放出処理装置の放出処理
動作を示すフローチャート。

【符号の説明】

１１…釣銭硬貨放出処理装置 １４…受 皿 ２０…釣銭放出部 ２１…釣銭コンベア ３１…ＣＰＵ Ｃ…硬 貨

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】装置内部の硬貨収納部より繰出された硬貨
   をコンベアを介して装置外部に放出処理する硬貨処理装
   置であって、 前記コンベアの搬送動作を搬送途中で一時停止させる一
   時停止制御手段を備えたことを特徴とする硬貨処理装
   置。
2. 【請求項２】コンベアの搬送動作を搬送途中で一時停止
   させ、 その後、再びコンベアを搬送動作させる搬送・一時停止
   ・搬送の間欠運転を実行することを特徴とする請求項１
   に記載の硬貨処理装置 。