JP4020635B2 - 硬貨分離搬送機構および硬貨処理装置 - Google Patents

硬貨分離搬送機構および硬貨処理装置 Download PDF

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【0001】
【発明が属する技術分野】
この発明は、例えば金融機関のATMに内部構成されるような硬貨分離搬送機構に関し、さらに詳しくはベルト面上での硬貨の滞留現象を簡単な構成で的確に解消する硬貨分離搬送機構および硬貨処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種の硬貨分離搬送機構は、図9に示すように、硬貨91をベルト上面に載せて搬送する搬送ベルト92と、この搬送ベルト92の上面に1枚出し間隔を隔てて対設した逆転分離ローラ93とを備えて、該ローラ93とその下方に対向する搬送ベルト92との上下の対向面間に導かれた硬貨を1枚ずつ繰出している。図中、94は後部ガイドストッパ片、95はベルト下面支持用のガイドステーを示す。
【0003】
ところが、硬貨91…を1枚ずつ分離して繰出すときに、搬送ベルト92と逆転分離ローラ93との繰出し部間に複数枚の硬貨が詰って繰出し不能になることがあり、そのときは搬送ベルト92を逆回転させて硬貨詰りを解除している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、搬送ベルト92を逆回転しても、その場から硬貨が動かない場合があり、結果的に硬貨詰りが生じ、ベルトの上面に硬貨が滞留して装置がダウンする原因になっていた。
【0005】
このため、硬貨詰りに伴う硬貨の滞留を防止する機構として、ソレノイドを駆動源としてベルトを振動させるベルト振動機構、あるいはカムを用いてベルトを振動させる機構が知られているが、このようなベルト駆動機構は大掛かりな機構を要し、しかもその機構のために広い実装スペースを要して大型化やコスト高の原因となっていた。
【0006】
また、搬送ベルト自体の上面に硬貨詰り防止用の小さな突起部を分散配置しておき、これらの突起部によりベルト上面での複数の硬貨の分離作用に基づく硬貨詰りを防止したものが知られている。
【0007】
しかし、この場合は突起部を持たせた特殊なベルトの製作に手間がかかり、ベルト自体がコスト高になる問題を有していた。
【0008】
そこでこの発明は、硬貨の繰出しに際して、予め搬送ベルトの下面に刻設されている駆動用のベルト歯に着目し、このベルト歯に下方から突片を適度に押し当てることにより、ベルトに下方から直接振動を与えて硬貨の分離促進に伴う硬貨詰りの解消に適した1枚出し搬送作用が得られる硬貨分離搬送機構および硬貨処理装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、プーリ間に張設した搬送ベルトの上面に硬貨を載せて1枚ずつ分離搬送する硬貨分離搬送機構であって、前記搬送ベルトの下面搬送方向に刻設した一定ピッチ毎のベルト歯に、該ベルト歯のピッチ毎に間欠的に接触する振動付与片を対設し、前記振動付与片は、前記ベルト歯に接触したときの負荷抵抗の大きさに比例する前記ベルト歯との接触対応角度を、搬送ベルトの正回転時に接触する接触対応角度よりも逆回転時に接触する接触対応角度の方を大きく設定したことを特徴とする。
【0010】
ここでプーリとは、ベルト歯に噛合する噛合歯を外周面に有する搬送ベルト張設用の一方の駆動プーリと、同じく外周面に噛合歯を有する搬送ベルト張設用の他方の従動プーリとで構成し、この張設した状態で搬送ベルトを搬送するものである。
【0011】
前記搬送ベルトとは、プーリ間でループ状に張設される市販のタイミングベルトなどを用い、外周面は硬貨を平面的に載せて搬送可能な平ベルト面を有し、内周面は一定ピッチ毎に凹凸面を有する駆動用のベルト歯を刻設して構成することができる。
【0012】
前記硬貨とは、流通利用される硬貨であり、このほか同様な形状を有して遊技利用されるコインなどの適用も可能である。
【0013】
前記振動付与片とは、ベルト歯に接触して振動を付与可能な突起部で構成することができる。例えば、搬送ベルトの下面を支えるガイド部材の一部を振動付与片に兼用し、このガイド部材の一部を上向きに突出形成して構成することができる。
【0014】
この発明によれば、搬送ベルトを駆動したとき、この搬送ベルトのベルト歯に接触可能な振動付与片が凹凸状のベルト歯の凸部に間欠的に当るため、該搬送ベルトは振動付与片の位置で上下方向に振動する。このため、振動する搬送ベルト面上では搭載された硬貨の全てに振動が付与され、搬送過程で硬貨が互いに振動して分散作用を促しながら搬送して硬貨詰りの発生要素を未然に抑制して搬送することができる。
【0015】
この結果、搬送ベルト面上で硬貨詰りによる滞留現象を発生させず、硬貨を1枚ずつ確実に繰出して後段へと搬送することができ、また硬貨詰りによる滞留を未然に防止できることから装置が不測にダウンする恐れがなくなり、機器を安定確実に稼動維持して信頼性の高い運用が図れる。
【0016】
上述の振動付与片としては、ベルト歯に突起部を対向させるだけで振動付与機構を構成できるため、特殊なベルトや大掛かりな機構を要せず、低コストに製作することができる。
【0017】
また、振動発生量は振動付与片の突出量とその突出角度に応じて、ベルト歯との接触抵抗度合いに比例した振動が得られる。このため、振動付与片の突出量と突出角度を予め最適な振動が得られる値に調整しておく。例えば、この振動付与片の突出量を増やせば接触抵抗が増して搬送ベルトの振動を強めることができ、逆に突出量を減らせば接触抵抗が減って振動を弱めることができる。
【0018】
さらに、振動付与片の突出する接触対応角度を、搬送ベルトの正回転時にベルト歯に接触する接触対応角度よりも逆回転時に接触する接触対応角度の方を大きく設定するので、その接触対応角度の大きい逆回転時の負荷抵抗が大となり、振動を強めることができる。したがって、仮に硬貨詰りが発生した場合には、搬送ベルトを逆回転させれば、硬貨詰りを効率よく解消するのに適した十分な振動を与えることができる。また、硬貨詰りを未然に防止するため搬送ベルトの大きさやベルト歯の大きさに適した接触対応角度に予め設定しておくものである。
【0019】
さらに、硬貨詰り発生時点で正回転と逆回転とを繰返して正逆方向の振動を繰返せば、より一層、硬貨の分離作用を促進して確実に硬貨詰りを解消することができる。
【0020】
ところで、硬貨詰りの発生に伴い搬送ベルト上で硬貨の滞留が生じ始めた場合は、その発生の有無を直ちに監視して対処できるように設定することができる。例えば、搬送ベルト上の硬貨の有無状態を一定時間検知することによって、硬貨の有無情報から滞留硬貨の発生か否かを監視することができる。さらに、搬送経路に沿って複数の検知センサを配設しておけば、これらの検知センサの信号から硬貨詰りおよび滞留発生状況を正確に取得することができる。したがって、これらの信号を検知した時点で、直ちに硬貨詰りおよび滞留の解除動作に移ることができる。
【0021】
このような硬貨分離搬送機構をATMなどの自動取引機の硬貨処理装置に内蔵した場合は、硬貨詰りによる滞留を未然に防止でき、また硬貨詰りに伴う滞留現象を簡単な構成で的確に解消して、信頼性の高い安定した取引利用が図れる。
【発明の実施の形態】
この発明の一実施の形態を以下図面に基づいて説明する。
図1は銀行等の金融機関に設置されるATMを示し、このATM11は装置本体の上部前面に、顧客に取引操作を表示案内するCRTおよびタッチパネルを備えた入力装置12と、通帳挿入口13と、カード挿入口14と、硬貨入出金口15と、紙幣入出金口16とを備えて、入金、出金、振込み、通帳記入、残高照会等の取引機能を有している。
【0022】
図2はATM11に内部構成される硬貨処理装置21を示し、この硬貨処理装置21は上方の一部に顧客が硬貨22を投入および取出し許容する硬貨入出金口15を有し、この硬貨入出金口15の内方に硬貨22を一括して受入れる凹形状のバケット(以下受皿と称す)23と、さらにその下方に硬貨取込み用のフィーダ24とを有し、硬貨入出金口15に投入された硬貨を受皿23およびフィーダ24を介して次段の硬貨識別部25へと一枚ずつ導き、硬貨識別部25に導かれた硬貨22は、ここで真偽および金種が識別された後、これより個別搬送路26を介して一方の一括一時保留部(図中下向き)27側と他方の金種別スタッカ(図中右方)28側とに分岐搬送される。
【0023】
一括一時保留部27側は、個別搬送路26より導かれた全硬貨をここで一括一時保留し、この保留硬貨の入金取引が確定すれば、一括一時保留部27から回収搬送路29を介して下方の一括スタッカ30に回収処理し、入金取消しの場合は保留された硬貨を返却搬送路31に導いて返却処理する。
【0024】
金種別スタッカ28側は、個別搬送路26に接続した入金選別搬送路32を介して硬貨を一枚ずつ選別して金種別一時保留部33に取込んだ後、これより再利用可能に金種別に区画した金種別スタッカ28に収納待機している。そして、この金種別スタッカ28から硬貨を繰出す際は、指定金種の硬貨を金種別スタッカ28から金種別に落下放出させ、その下方に対設された出金搬送路34および既述した返却搬送路31を介して元の受皿23へと搬送して出金処理する。
【0025】
上述の硬貨入出金口15に配設される受皿23は、硬貨22を一括して受入れ取出し可能に上面を開放した凹形状を有し、この受皿23を180°反転させることにより、受入れた硬貨を下方のフィーダ24に一括して落下収納させる一括取込み構造を有している。
【0026】
ところで、このフィーダ24には、これより硬貨22を後段の硬貨識別部25に導いて識別および計数するために一枚ずつ分離して取込む硬貨分離搬送機構35を備えている。この硬貨分離搬送機構35は逆転分離ローラ36と、フィードベルト37と、振動付与片38とを組合せて構成される。
【0027】
先ず、逆転分離ローラ36は、図3にも示すように、フィードベルト37の繰出し位置に相当するベルト終端側の上面に1枚出し隙間を隔てて対設し、さらに繰出し方向とは逆向きに回転させてフィードベルト37上に重なって導かれた硬貨を崩して分散させる分離促進作用を有している。
【0028】
上述のフィードベルト37はループ状に配設され、その上面に硬貨22を載せて搬送可能な平ベルト面をベルト外周面に有し、ベルト内周面には搬送方向に一定ピッチ毎に凹凸面を有する駆動用のタイミングベルト歯(以下ベルト歯と称す)37aを有し、このベルト歯37aに噛合する噛合歯をプーリ外周面に有する一方の駆動プーリP1と他方の従動プーリP2間に張設している。また、このフィードベルト37は取込み方向を高く傾斜配設して、このフィーダ24内から硬貨を一枚ずつ取出し易くしている。
【0029】
さらに、フィードベルト37の上面は硬貨を載せて撓むことから、該ベルト37の下面側にはベルト搬送方向に沿って平板状のガイドステー39を配設しており、このガイドステー39の一部、あるいは他部材を取付けて上向きに傾斜突設させてなる振動付与片38を突設している。
【0030】
上述の振動付与片38はフィードベルト37のベルト歯37aに接触して該ベルト37の上面に搭載される硬貨22…に振動を与えるものであり、この振動付与片38の先端角部38aがフィードベルト37のベルト歯37aに軽く接触対応する突出長さに設定している。これにより、振動付与片38が凹凸状のベルト歯37aの凸部に間欠的に当るため、該フィードベルト37は振動付与片38との接触対応位置で振動を発生する。
【0031】
例えば、図4(A)に示すように、振動付与片38の先端角部38aがベルト歯37aの凹部に嵌り込んだ凹凸対応状態の位置では、互いに干渉せずフィードベルト37は正規の高さ位置にある。
【0032】
その直後に、図4(B)に示すように、フィードベルト37の駆動に伴って振動付与片38の先端角部38aとベルト歯37aの凸部とが互いに対応した凸部同士の対応状態となり、その振動付与片38の突出量だけフィードベルト37が上動変位する。
【0033】
さらに、この上動変位位置から、図4(C)に示すように、振動付与片38の先端角部38aがベルト歯37aの凸部を越えた時点で、フィードベルト37は瞬間的に下降し、このときに急激な振動を生じながら元の正規の高さ位置へと下動変位する。
【0034】
このようなフィードベルト37の上下動がベルト歯37aの凹凸ピッチ毎に繰返されて一定の振動が発生する。
【0035】
また、ベルト搬送方向に沿って、例えば45゜程度に上向きに傾斜突出させて設けると、フィードベルト37のベルト歯37aは振動付与片38の傾斜面上に沿って軽く押し当てられながら振動を発生し、このとき振動付与片38との接触抵抗が比較的小さく滑らかで細やかな振動を発生させることができる。
【0036】
このため、フィードベルト37面上では、搭載された硬貨22…の全てにベルト37を介して振動が付与され、搬送過程で硬貨22…が互いに振動して分散しながら搬送され、硬貨詰りの発生要素を未然に解消できる。
【0037】
このような振動付与機能を持たせているため、フィードベルト37面上での硬貨詰りの発生を抑制でき、それゆえ硬貨の滞留現象が減少し、硬貨を1枚ずつ確実に繰出して後段の硬貨識別部25へと搬送することができる。
【0038】
また、振動発生量は、図5(A)に示すように、振動付与片38の突出量Lとその突出角度αに応じて、ベルト歯37aとの接触抵抗度合いに比例した振動が得られる。このため、振動付与片38の突出量Lと突出角度αを予め最適な振動が得られる値に調整しておく。
【0039】
例えば、この振動付与片38の突出量Lを増やせば接触抵抗が増してフィードベルト37の振動を強めることができ、逆に突出量Lを減らせば接触抵抗が減って振動を弱めることができる。
【0040】
さらに、図5(B)に示すように、振動付与片38が突出する接触対応角度を、フィードベルト37の正回転時に、そのベルト歯37aに接触する接触対応角度よりも逆回転時に接触するベルト歯37aとの接触対応角度βの方を大きく設定すれば、その接触対応角度の大きい逆回転時の負荷抵抗が大となり、振動を強めることができる。
【0041】
したがって、仮に硬貨詰りが発生した場合には、フィードベルト37を逆回転させれば、比較的大きな振動を連続して与えることができ、硬貨詰りを効率よく解消するのに適した十分な振動が得られる。また、この逆転分離ローラ36とフィードベルト37間の硬貨詰りを未然に防止するため、フィードベルト37の大きさやベルト歯37aの大きさに適した接触対応角度βに予め設定しておくものである。
【0042】
このようにフィードベルト37を正回転させて硬貨を繰出し方向にベルト搬送したときに、仮に硬貨詰りが発生しても、逆回転させて大きな振動を付与して硬貨詰りによる滞留を直ちに解消できることから硬貨処理装置21が不測にダウンする恐れがなくなり、ATM11を安定確実に稼動維持して信頼性の高い運用が図れる。
【0043】
さらに、硬貨詰り発生時点で、フィードベルト37の正回転と逆回転とを繰返して正逆方向の振動を繰返せば、より一層、硬貨22の分離作用を促進して確実に硬貨詰りを解消することができる。
【0044】
図6はフィードベルト37を逆回転した場合を示し、図6(A)に示すように、振動付与片38の先端角部38aにベルト歯37aの凸部が当ったとき、衝撃に近い比較的大きな振動が得られ、これよりベルト歯37aの凸部が先端角部38aを乗り越える如く接触対応して、フィードベルト37は上向きに急激に上動変位する。
【0045】
その後、図6(B)に示すように、振動付与片38の先端角部38aとベルト歯37aの凸部とが互いに対応した凸部同士の対応位置では、振動付与片38の突出量だけフィードベルト37が上動変位し、該ベルト37が最大に変位した弯曲状態を呈する。
【0046】
さらに、この上動変位位置から、図6(C)に示すように、振動付与片38の先端角部38aにベルト歯37aの凹部が嵌り込んだ凹凸対応位置では、フィードベルト37は正規の水平な位置に戻って下動する。
【0047】
このような急激な上下動がベルト歯37aの凹凸毎に繰返されて一定の大きな振動を発生させることができる。
【0048】
ところで、硬貨詰りの発生に伴いフィードベルト37上で硬貨22…の滞留が生じ始めた場合は、その発生の有無を直ちに監視して対処できるようにフィードベルト37の傾斜下部位置を検知する第1硬貨検知センサS1を配設している。また、フィードベルト37の後段に配設される硬貨識別部25にも繰出された硬貨の通過を検知確認する第2硬貨検知センサS2を配設している。
【0049】
このため、フィードベルト37上に導かれた硬貨を一定時間検知することによって、滞留硬貨の発生か否かを確認することができる。さらに、双方の検知センサS1、S2の検知信号から硬貨詰りおよび滞留発生状況を知ることができる。
【0050】
例えば、駆動モータMを駆動してフィードベルト37を駆動したとき、一定時間経過しても第2硬貨検知センサS2の位置に硬貨が到着せず、第1硬貨検知センサS1の位置で一定時間硬貨の存在を検知すれば、ON信号のままのため、滞留発生と判断することができる。したがって、滞留発生と検知した時点で、直ちに駆動モータMを逆転させるなどの硬貨詰りおよび滞留の解除動作に移ることができる。
【0051】
図中、40は回収カートリッジ、41は運用カートリッジ、42は出金硬貨識別部、43は返却口である。
【0052】
図7は硬貨分離搬送機構35の制御回路ブロック図を示し、CPU71はROM72に格納されたプログラムに沿って各回路装置を制御し、その制御データをRAM73で読出し可能に記憶する。
【0053】
上述のCPU71は、第1硬貨検知センサS1、第2硬貨検知センサS2、駆動モータMとを接続しており、このうち第1硬貨検知センサS1でフィードベルト37上の硬貨の有無を検知し、第2硬貨検知センサS2で繰出された硬貨の通過を検知し、これらの検知データに基づいてCPU71は制御処理する。また、駆動モータMはCPU71の制御信号に基づいてフィードベルト37を正逆転駆動し、また逆転分離ローラ36を逆転駆動する。
【0054】
また、CPU71には滞留の発生有無を判定するため、一定時間を計時するタイマ機能を有し、この時間情報に基づいて駆動モータMを正逆転制御してフィードベルト37の搬送方向を切換え、これに基づいて振動の大きさを切換える切換え機能を持たせている。
【0055】
このCPU71による切換え機能としては、フィードベルト37を一定時間逆転させた後、再び正回転させて戻す復帰制御するように設定することができるなどフィードベルト37を硬貨の分離促進に適した一定期間あるいは一定回数、正回転と逆回転とに駆動制御する。
【0056】
上述の駆動に際しては、単一の駆動モータMを駆動源に用いて駆動機構を構成してもよく、フィードベルト駆動用の駆動モータと逆転分離ローラ駆動用の駆動モータのように複数の駆動モータを組合せて駆動機構を構成してもよい。
【0057】
このように構成された硬貨分離搬送機構35の処理動作を図8のフローチャートを参照して説明する。
【0058】
硬貨入出金口15に投入された硬貨22が受皿23を介して下方のフィーダ部24に導かれたとき、CPU71は駆動モータMを駆動してフィードベルト37を繰出し方向に駆動し(ステップn1)、
また、これと同時に駆動モータMの駆動に連動する逆転分離ローラ36を逆回転させ、フィードベルト37上に搭載された硬貨22…はフィードベルト37の搬送に伴って繰出し側へと搬送され、逆転分離ローラ36とフィードベルト37との上下に対向する1枚出し分離位置で分散されてから1枚ずつ後段へと繰出される(ステップn2)。
【0059】
このとき、硬貨22は硬貨分離搬送機構35により、図4(A)(B)(C)に示すように、フィードベルト37の上下方向の振動作用を受けるため、フィードベルト37面上に搭載された多数枚の硬貨22…を分散させて均一にならすことができ、一枚ずつの取込みを容易にしている。
【0060】
そして、フィードベルト37上に受入れられた硬貨22がなくなるまで1枚出し動作を実行し、その後段に位置する硬貨識別部25で硬貨の金種と、真偽と、枚数との取込み確認情報を取得している(ステップn3)。
【0061】
また、仮に後段の硬貨識別部25の位置で硬貨の未検知状態を一定時間確認しても、前段のフィードベルト37上に残留硬貨の存在を検知したままであれば、CPU71は硬貨詰りによる滞留発生と判定する(ステップn4)。
【0062】
この滞留の発生を確認すると、CPU71はフィードベルト37を逆回転動作させる(ステップn5)。
【0063】
この逆回転動作によってフィードベルト37は、図6(A)(B)(C)に示すように、ベルト歯37aと先端角部38aとの接触負荷抵抗が増して大きな振動を発生させることができ、これに基づいて硬貨詰りを解除して滞留を崩すことができ、1枚出しに適した硬貨の分離作用が得られる。その一定時間経過後は、再びフィードベルト37を正回転させて第1ステップn1以降の繰出し処理を実行する(ステップn6)。
【0064】
上述のように、フィードベルトの内周面に凹凸状に刻設されている駆動用のベルト歯に振動付与片が間欠的に当って、該フィードベルトを上下方向に振動させるため、このフィードベルト面上に搭載された硬貨には振動が付与され、各硬貨は搬送過程で互いに振動して分散作用を受けながら搬送される。このため、硬貨詰りの発生要素を未然に抑制しながら硬貨を1枚ずつ後段へと搬送することができる。また、仮に硬貨詰りが発生してもフィードベルトを逆回転させて振動を増大させることができるため回転方向の切換えだけで硬貨詰りを解除することができる。また、硬貨詰りによる滞留を未然に防止できることから装置が不測にダウンする恐れがなくなり、ATMなどの機器を安定確実に稼動維持して信頼性の高い運用が図れる。
【0065】
この発明の構成と、上述の一実施の形態の構成との対応において、
この発明の駆動手段は、実施の形態の駆動モータMに対応し、
以下同様に、
ガイド部材は、ガイドステー39に対応し、
監視手段は、第1硬貨検知センサS1に対応し、
判定手段、切換え手段、復帰手段および制御手段は、CPU71に対応するも、この発明は請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、上述の実施の形態の構成のみに限定されるものではない。
【発明の効果】
この発明によれば、搬送ベルトのベルト歯に振動付与片が当るように構成するだけで適切な振動付与機能を得ることができるため、特殊なベルトや大掛かりな機構を要せず、低コストに製作することができる。したがって、このような硬貨分離搬送機構をATMなどの自動取引機の硬貨処理装置に内蔵した場合は、硬貨詰りによる滞留を未然に防止でき、また簡単な構成で硬貨詰りに伴う滞留の発生を的確に解消して信頼性の高い安定した取引利用が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ATMの外観斜視図。
【図2】 硬貨処理装置の概略構成図。
【図3】 硬貨分離搬送機構の要部側面図。
【図4】 フィードベルト正転時の振動発生状態を示す説明図。
【図5】 ベルト歯と振動付与片の正転時と逆転時の接触状態を示す要部拡大側面図。
【図6】 フィードベルト逆転時の振動発生状態を示す説明図。
【図7】 硬貨分離搬送機構の制御回路ブロック図。
【図8】 硬貨分離搬送機構の処理動作を示すフローチャート。
【図9】 従来の硬貨分離搬送装置の滞留発生状態を示す側面図。
【符号の説明】
11…ATM
21…硬貨処理装置
22…硬貨
35…硬貨分離搬送機構
37…フィードベルト
37a…ベルト歯
38…振動付与片
71…CPU

Claims (6)

  1. プーリ間に張設した搬送ベルトの上面に硬貨を載せて1枚ずつ分離搬送する硬貨分離搬送機構であって、
    前記搬送ベルトの下面搬送方向に刻設した一定ピッチ毎のベルト歯に、該ベルト歯のピッチ毎に間欠的に接触する振動付与片を対設し
    前記振動付与片は、前記ベルト歯に接触したときの負荷抵抗の大きさに比例する前記ベルト歯との接触対応角度を、搬送ベルトの正回転時に接触する接触対応角度よりも逆回転時に接触する接触対応角度の方を大きく設定したことを特徴とする
    硬貨分離搬送機構。
  2. ローラとベルトを上下に対設し、その対設面間より複数枚の硬貨を1枚ずつ分離して搬送する硬貨分離搬送機構であって、
    上面を硬貨の搭載面に設け、下面搬送方向を凹凸のベルト歯に設けた搬送ベルトと、
    前記搬送ベルトのベルト歯に噛合して該搬送ベルトを張設する一対のプーリと、
    前記プーリを駆動する駆動手段と、
    前記搬送ベルトの下面を支えるガイド部材と、
    前記ガイド部材の一部より突出して、前記ベルト歯の凸部に間欠的に接触対応させる振動付与片とを備え
    前記振動付与片は、前記ベルト歯に接触したときの負荷抵抗の大きさに比例する前記ベルト歯との接触対応角度を、搬送ベルトの正回転時に接触する接触対応角度よりも逆回転時に接触する接触対応角度の方を大きく設定したことを特徴とする
    硬貨分離搬送機構。
  3. 前記搬送ベルト上の硬貨の有無を監視する監視手段と、
    前記監視手段の監視結果に基づいて硬貨の有無を判定する判定手段と、
    前記判定手段が硬貨の残留有りを判定したとき、前記搬送ベルトの回転方向を正回転方向から逆回転方向に切換える切換え手段を備えたことを特徴とする
    請求項1または2記載の硬貨分離搬送機構。
  4. 前記切換え手段は、前記搬送ベルトを逆回転させた後、一定時間経過後に正回転させる回転方向復帰手段を備えたことを特徴とする
    請求項記載の硬貨分離搬送機構。
  5. 前記切換え手段は、前記搬送ベルトを一定期間あるいは一定回数、正回転と逆回転とに駆動制御する制御手段を備えた
    請求項記載の硬貨分離搬送機構。
  6. 請求項1、2、3、4または5記載の硬貨分離搬送機構を備えた
    硬貨処理装置。
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