JP3043600B2 - 液晶表示素子用シール材組成物及びそれを用いた液晶表示素子 - Google Patents

液晶表示素子用シール材組成物及びそれを用いた液晶表示素子

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JP3043600B2 JP7184334A JP18433495A JP3043600B2 JP 3043600 B2 JP3043600 B2 JP 3043600B2 JP 7184334 A JP7184334 A JP 7184334A JP 18433495 A JP18433495 A JP 18433495A JP 3043600 B2 JP3043600 B2 JP 3043600B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液晶表示素子用シー
ル材組成物及びそれを用いた液晶表示素子に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、軽量、薄型、低消費電力等の特徴
から液晶表示素子が広く普及している。液晶表示素子
は、ガラス、あるいはプラスチックの基板で液晶を挟み
込んだ構造をしており、液晶が外部に漏れ出さないよう
に周囲を接着剤により封止しており、一般にこれを液晶
表示素子用シール材(略して液晶シール材)と呼んでい
る。
【0003】現在、この液晶シール材には広くエポキシ
樹脂が用いられているが、液晶表示素子の信頼性、例え
ば耐湿熱性等の向上のために、より優れた液晶シール材
が求められている。エポキシ樹脂を液晶表示用シール材
として用いたものとして特公平64-5630号、特公平4-506
3号公報等があるが、これらに記載されたエポキシ樹脂
を液晶シール材として用いた場合には硬化物の耐熱性、
耐湿性が不十分であるため液晶表示素子としての信頼性
が低い。具体的には、特公平4-5063号公報記載のシリコ
ーンゴム等を配合した場合、低分子量のシリコーン成分
が熱時にブリードして、ACFの接着不良を起こした
り、高温高湿の環境下に液晶表示パネルを暴露しておい
た場合、シール部の接着力低下等により剥がれが生じて
適正ギャップの保持が困難になり、表示不良等が発生し
たりすることがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の液晶
シール材に比べ、液晶表示素子の信頼性を向上させる液
晶表示素子用シール材及びそれを用いた液晶表示素子を
提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、エポキシ樹
脂、硬化剤、無機充填材を主成分とする1液型接着剤組
成物において、硬化剤の一部として、分子中に酸無水物
基を有する液状ポリブタジエン樹脂を必須成分とするこ
とを特徴とする液晶表示素子用シール材組成物である。
【0006】本発明で必須成分として使用される分子中
に酸無水物基を有する液状ポリブタジエン樹脂は、幹構
造が適当な柔軟性を有しているため、エポキシ樹脂の可
とう化、耐熱衝撃性の向上に効果があることは周知であ
る。これを液晶シール材用の硬化剤の一部として配合し
た場合にも優れた特性が得られることを見いだし本発明
に至った。
【0007】
【発明の実施の形態】液晶表示素子のシール材に要求さ
れる特性としては、先ず第一に2枚のガラス基板間に挟
まれた液晶が種々の条件下で外に漏れ出さないこと、そ
して第二に外界から、例えば水分等が侵入し表示異常を
起こさないこと、があげられる。いずれの要求特性に対
しても、シール材としては種々の条件下でのガラスに対
する良好な接着性が求められる。特に2枚のガラス基板
間のギャップが数μm程度と狭い為にシール材及び接着
部における温度変化等に起因するガラス基板との熱膨張
係数の差によって発生する応力を、剥離、クラックの発
生を起こすことなく吸収することが重要となる。このよ
うな観点から、従来の液晶表示素子用シール材はもっぱ
らシリコーン成分のような弾性率を低下させる成分を加
えることが行われてきた(例えば、特公平4-5063号、特
開平6-73164号、特開平6-75231号公報)。しかしなが
ら、このような弾性率を低下させる成分を加えることに
よりシール材硬化物自体の耐湿熱性を低下させてガラス
との接着不良を起こしたり、シール材硬化物から低分子
量成分が液晶内に溶出したり、又それに伴って、他の周
辺材料のガラスへの接着を阻害したりすることになるた
め、根本的な解決にならない。つまり耐湿熱性を有した
まま応力に対する靱性を付与し、シール材硬化物から外
的環境によって溶出するような低分子量成分を無くする
ことが最善の策となる。本発明者らは、硬化剤の一部と
して分子中に酸無水物基を有する液状ポリブタジエン樹
脂を用いることにより、このような可とう化成分を架橋
構造に取り込み、シール材硬化物から溶出する低分子量
成分を無くすことが可能であることを見いだした。
【0008】このような点から本発明者らが鋭意検討し
た結果、硬化剤の一部として分子中に酸無水物基を有す
る液状ポリブタジエン樹脂を必須成分とすることで、液
晶表示素子用シール材として十分に高い耐湿熱性を有
し、且つ液晶表示素子の製造プロセスや使用条件で考え
られ得る温度条件、温度変化等により発生する応力に十
分耐え得る靱性を有することを見いだした。
【0009】又、エポキシ樹脂として用いられるものは
特に限定されないが、例えばビスフェノールA型エポキ
シ樹脂、アルキル置換ビスフェノールA型エポキシ樹
脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、アルキル置換ビ
スフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エ
ポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノ
ールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック
型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレ
ン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹
脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキ
シ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂等がある。
【0010】又、硬化剤としては、分子中に酸無水物基
を有する液状ポリブタジエン樹脂の他に使用されるもの
としては特に限定されず、エポキシ樹脂用硬化剤として
一般に使用されるアミン系硬化剤、イミダゾール系硬化
剤、ジシアンジアミド、ヒドラジッド系硬化剤、酸無水
物系硬化剤、フェノール系硬化剤等が使用可能であり、
更に保存性を向上させるためにこれらのマイクロカプセ
ル化硬化剤、アダクト型硬化剤等が使用可能であり、更
にこれらに硬化促進剤を併用することもできる。硬化促
進剤としては、リン系化合物、イミダゾール系化合物、
尿素系化合物、二塩基酸化合物、DBU塩等が一般に使
用される。
【0011】又、無機充填材としては、例えば、各種金
属の炭酸塩、硫酸塩、アルミナ、シリカ、酸化チタン、
チタン酸カリウム等があげられ、これらの中で種々の点
からアルミナ、シリカを一種または二種以上併用して使
用されることが好ましい。更に無機充填材の添加量とし
ては、印刷性等の作業性の点から全組成物のうち3〜5
0重量%とすることが好ましい。
【0012】又、シール材組成物の粘度調整、各成分の
均一混合の目的で必要に応じて溶剤を添加してもよい。
使用される溶剤についても特に限定はないが、例えばn
−ヘキサン、n−デカン、シクロヘキサン等の炭化水素
系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化
水素系溶剤、ブチルアセテート、ベンジルアセテート等
のエステル系溶剤、メチルセロソルブ、ブチルセロソル
ブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチル
カルビトール、メチルセロソルブアセテート、エチレン
グリコール、ジエチレングリコール、ジグライム等の多
価アルコール系及びその誘導体等が一種あるいは二種以
上併用されて使用される。溶剤の添加量は印刷性等の点
から全成分のうち2〜50重量%とすることが好まし
い。
【0013】又、本発明において必須成分である前記の
エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填材の他にカップリング
剤、消泡剤、レベリング剤等を添加してもよい。本発明
の液晶表示素子用シール材組成物を調整する際は、各成
分を均一に混合させるために3本ロール等を用いて十分
に混練することが好ましい。
【0014】本発明の液晶表示素子用シール材組成物を
用いて液晶表示素子を製造する方法としては、一般に以
下のような方法がある。まず、液晶配向層を形成したガ
ラス基板の一方に、スクリーン印刷等の工程によりシー
ルパターンを形成し、乾燥機等で予備乾燥させた後、も
う一方の基板を貼り合わせ、必要に応じて加圧して、更
に乾燥炉等で加熱硬化させる。予備乾燥は通常50〜1
20℃で5〜60分、加熱硬化は通常100〜200℃
で15〜180分程度が適当である。又、二枚の基板の
ギャップを保持するために、シール材に所定の直径の球
状、ロッド状スペーサーを含有させてもよい。貼りあわ
せた基板に液晶を注入し、UV硬化樹脂等で注入口を封
じて液晶表示素子とする。
【0015】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明するが、本発明
はこれらの実施例によって何ら限定されるものではな
い。
【0016】(実施例1)エポキシ樹脂として、ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、
エピコート828)80重量部、ビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、エピコート10
01)20重量部、硬化剤としてアジピン酸ジヒドラジ
ド(大塚化学社製)10重量部、無水マレイン酸基を有
する液状ポリブタジエン樹脂(日本石油化学社製、M−
1000−80)3重量部、無機充填材として無定型シ
リカ(日本アエロジル社製、アエロジルR−972)5
重量部、球状シリカ(アドマテックス社製、SO−C
4)20重量部、溶剤としてエチルカルビトール13重
量部を攪拌混合し、更に3本ロールにて十分に混練して
接着剤組成物を得た。
【0017】次に、この接着剤組成物に直径5μmの球
状シリカスペーサーを1%混合し、以下の要領で液晶セ
ルを作製した。 (スクリーン印刷)300メッシュの版を用いて配向膜
を形成させたITO付きガラス基板上(一辺3cmの正方
形)に線幅0.3mmの正方形のパターンをスクリーン印
刷した。 (予備乾燥)熱風乾燥機中、90℃/30分予備乾燥し
た。 (貼りあわせ/加熱硬化)配向膜を形成させたITO付
きガラス基板を、配向方向がシール材を印刷した基板の
配向処理方向に対して90度になるように貼りあわせ、
1kg/cm2の圧力をかけた状態で熱風乾燥機中170℃/
120分加熱硬化させた。 (液晶注入/封口)フッ素系液晶(メルク社製、ZLI
−4792)を注入し、注入口をアクリル系UV硬化樹
脂で封口した。
【0018】評価は以下に示す項目を行った。 (1)加熱硬化後の接着力(ナイフによるガラス基板の
引き剥がし) (2)プレッシャークッカーテスト(PCTと以下略
す)後の接着力(液晶セルを125℃/100%RH/
2.3気圧の条件下で24時間処理を行った後同様の引
き剥がしを行った。) (3)PCTによる表示ムラの有無(上記のPCT処理
を施した液晶セルに±3Vの矩形波を印加し、表示のム
ラを評価) 評価の結果は表1に示すとおりである。
【0019】(実施例2)エポキシ樹脂として、ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、
エピコート828)40重量部、ビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、エピコート10
01)30重量部、o-クレゾールノボラック型エポキシ
樹脂(住友化学社製、ESCN−195LB)10重量
部、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(油化シェルエポ
キシ社製、エピコート604)20重量部、硬化剤とし
てジシアンジアミド15重量部、無水マレイン酸基を有
する液状ポリブタジエン樹脂(日本石油化学社製、M−
2000−80)5重量部、無機充填材として無定型シ
リカ(日本アエロジル社製、アエロジルR−972)5
重量部、アルミナ(昭和電工社製、UA−5055)2
0重量部、溶剤としてメチルカルビトール20重量部を
攪拌混合し、更に3本ロールにて十分に混練して接着剤
組成物を得た。この接着剤組成物に直径5μmの球状シ
リカスペーサーを1%混合し、実施例1の要領で液晶セ
ルを作製した。評価の結果は表1に示す通りである。
【0020】(実施例3)エポキシ樹脂としてジシクロ
ペンタジエン型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業社
製、HPー7200)50重量部、ビスフェノールA型
エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、エピコート8
28)50重量部、無水マレイン酸基を有する液状ポリ
ブタジエン樹脂(日本石油化学社製、M−1000−2
0)10重量部、硬化剤としてアジピン酸ジヒドラジド
(大塚化学社製)10重量部、無機充填材として無定型
シリカ(日本アエロジル社製、アエロジルR−972)
5重量部、球状シリカ(アドマテックス社製、SO−C
4)20重量部、溶剤としてエチルカルビトール13重
量部を攪拌混合し、更に3本ロールにて十分に混練して
接着剤組成物を得た。この接着剤組成物に直径5μmの
球状シリカスペーサーを1%混合し、実施例1の要領で
液晶セルを作製した。評価の結果は表1に示す通りであ
る。
【0021】(実施例4)エポキシ樹脂として、ナフタ
レン型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業社製、HP
−4032)40重量部、ビスフェノールA型エポキシ
樹脂(油化シェルエポキシ社製、エピコート834)5
0重量部、o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(住
友化学社製、ESCN−195LB)10重量部、硬化
剤としてアジピン酸ジヒドラジド(大塚化学社製)8重
量部、無水マレイン酸基を有する液状ポリブタジエン樹
脂(日本石油化学社製、M−3000−20)2重量
部、無機充填材として無定型シリカ(日本アエロジル社
製、NAX50)5重量部、球状シリカ(アドマテック
ス社製、SO−C4)15重量部、溶剤としてメチルカ
ルビトール20重量部を攪拌混合し、更に3本ロールに
て十分混練して接着剤組成物を得た。この接着剤組成物
に直径5μmの球状シリカスペーサーを1%混合し、実
施例1の要領で液晶セルを作製した。評価の結果は表1
に示す通りである。
【0022】(比較例1)エポキシ樹脂として、ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、
エピコート828)80重量部、ビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、エピコート10
01)20重量部、硬化剤としてアジピン酸ジヒドラジ
ド(大塚化学社製)10重量部、無機充填材として無定
型シリカ(日本アエロジル社製、アエロジルR−97
2)5重量部、球状シリカ(アドマテックス社製、SO
−C4)20重量部、溶剤としてエチルカルビトール1
3重量部を攪拌混合し、更に3本ロールにて十分に混練
して接着剤組成物を得た。この接着剤組成物に直径5μ
mの球状シリカスペーサーを1%混合し、実施例1の要
領で液晶セルを作製した。評価の結果は表1に示す通り
である。
【0023】(比較例2)エポキシ樹脂として、ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、
エピコート828)40重量部、ビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、エピコート10
01)30重量部、o-クレゾールノボラック型エポキシ
樹脂(住友化学社製、ESCN−195LB)10重量
部、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(油化シェルエポ
キシ社製、エピコート604)20重量部、硬化剤とし
てジシアンジアミド15重量部、無機充填材として無定
型シリカ(日本アエロジル社製、アエロジルR−97
2)5重量部、アルミナ(昭和電工社製、UA−505
5)20重量部、溶剤としてメチルカルビトール20重
量部を攪拌混合し、更に3本ロールにて十分に混練して
接着剤組成物を得た。この接着剤組成物に直径5μmの
球状シリカスペーサーを1%混合し、実施例1の要領で
液晶セルを作製した。評価の結果は表1に示す通りであ
る。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】本発明の液晶表示素子用シール材は良好
な接着性を示し、かつ耐湿熱性に優れていることから、
液晶表示素子に適用することによって信頼性に優れた液
晶表示素子を提供することができる。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填材を主
    成分とする1液型接着剤組成物において、硬化剤が、分
    子中に酸無水物基を有する液状ポリブタジエン樹脂を必
    須成分として含有することを特徴とする液晶表示素子用
    シール材組成物。
  2. 【請求項2】 分子中に酸無水物基を有する液状ポリブ
    タジエン樹脂が全エポキシ樹脂に対して1重量%以上含
    まれる、請求項1記載の液晶表示素子用シール材組成
    物。
  3. 【請求項3】 前記の分子中に酸無水物基を有する液状
    ポリブタジエン樹脂が、末端にアリル基を有するポリブ
    タジエン樹脂に酸無水物基が付加した構造を有し、数平
    均分子量が700以上であることを特徴とする請求項1
    又は2記載の液晶表示素子用シール材組成物。
  4. 【請求項4】 前記の分子中に酸無水物基を有する液状
    ポリブタジエン樹脂が、無水マレイン酸基を有し、その
    付加比が主鎖のポリブタジエンに対して0.3(mol/mol)以
    上であることを特徴とする請求項1又は2記載の液晶表
    示用シール材組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1から4のいずれか1項に記載の
    液晶表示素子用シール材組成物を用いた液晶表示素子。
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