JP3933356B2 - 液晶表示セル用シール材、液晶表示セルの製造方法および液晶表示素子 - Google Patents

液晶表示セル用シール材、液晶表示セルの製造方法および液晶表示素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶表示セル用シール材、その液晶表示セルの製造方法及び液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピューターをはじめ各種機器の表示パネルとして軽量、薄型の特徴を有した液晶表示パネルが広く使用されるようになった。またその使用環境も厳しくなっていると共に、液晶表示セルも大型化、均質かつ高品位な物が望まれている。
ところで、液晶表示セル用シール材とは、液晶表示素子を構成する部材として重要な透明電極や配向膜を適宜配した透明なガラス基板又は同プラスティック基板の間に液晶を封入し、それが外部に漏れないように封じ込めたセルを形成するために用いられる熱硬化性樹脂組成物を言う。
従来の1液型熱硬化性の液晶表示セル用シール材は、常態下の接着シール性、耐熱性、電気絶縁性、液晶非汚染性等は十分満足されるものの、過酷な環境下、例えば60℃〜85℃高温高湿環境下での水蒸気ガスバリヤー性が一般にかなり低い為に、同環境下での長時間使用では時間の経過と共にセル内に水分の進入が進み、結果として表示ムラや応答速度の低下などが発生する。
近年車載用途等高温高湿度下で液晶パネル等が用いられるようになってきており前述した条件下においても表示ムラや応答速度の低下などが発生しない液晶表示セル用シール材が望まれていた。
ところで、近年では特に大型液晶表示パネル製品需要の著しい伸びがあり、当該分野の生産現場ではより均質で高品質な大型液晶表示パネルを生産すべく加熱接着工程の見直しが盛んである。生産性の点からは、多段の熱プレス接着方式が重宝されていたが、パネルのより一層の信頼性確保の観点から、液晶セルの製造方法の見直しが必要となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況下、枚葉熱プレスによる一次接着方式に対応可能でかつ高温環境化での高シール信頼性が確保された液晶表示パネルを確実に製造可能な液晶表示セル用シール材が望まれていた。
より詳しくは、真空枚葉熱プレスまたは剛性枚葉熱プレス一次接着工程で貫通泡や滲み出しの発生の無い確実なシール接着を可能とすると共に、例えば60℃〜85℃の高温高湿環境下での水蒸気ガスバリヤー性が高く長時間使用しても実質的にセル内への水分の進入がなく、結果として表示ムラや応答速度の低下などが発生しない液晶表示セル材及びその製造方法が望まれていた。
【0004】
【問題を解決するための手段】
本発明者は、液晶表示セル用シール材の厚み100μmの硬化膜を通過する60℃,95%相対湿度環境下24時間水蒸気透過量で表される60℃透湿度が、30g/m2・24hrs未満である新規な液晶表示セル枠用シール材にを用いることにより高温高湿下において長期間安定して条件下においても表示ムラや応答速度の低下などが発生しないことを見出し発明を完成するに至った。
またその製造方法として、特定のエポキシ樹脂、熱活性な潜在性エポキシ硬化剤、無機質充填剤、シランカップリング剤、前記エポキシ樹脂と相溶する溶剤、ワックス、必要に応じて更にゴム状ポリマー微粒子、硬化促進剤、はギャップ出しコントロール剤をそれぞれ特定範囲とする組成物にすることにより得られることを見出したものである。
【0005】
すなわち、下記[a]〜[q]を提供するものである。
(a) 1液性の液晶表示セル用シール材において、軟化点が50℃以上の高軟化点アクリルポリマーの含有率が 0.1重量%未満であり、その液晶表示セル用シール材の厚み100μmの硬化膜を通過する60℃,95%相対湿度環境下24時間水蒸気透過量で表される60℃透湿度が、30g/m2・24hrs未満である液晶表示セル枠用シール材。
(b) (1) 一分子中にエポキシ基を平均2.3個以上持つエポキシ樹脂 22〜84.8重量%、
(2) 熱活性な潜在性エポキシ硬化剤 5〜25重量%、
(3) 無機質充填剤 5〜25重量%、
(4) シランカップリング剤 0.1〜3重量%、
(5) (1)と相溶する溶剤 5〜20重量%、
(6) ワックス 0.1〜5重量%、
からなることを特徴とする(a)記載の液晶表示セル用シール材。
(c) (1) 一分子中にエポキシ基を平均2.3個以上持つエポキシ樹脂 24〜83.7重量%、
(2) 熱活性な潜在性エポキシ硬化剤 5〜23重量%、
(3) 無機質充填剤 5〜15重量%、
(4) シランカップリング剤 0.1〜3重量%、
(5) (1)と相溶する溶剤 5〜15重量%、
(6) ワックス 0.1〜5重量%、
(7) 更に0℃以下の軟化点温度を持ちその一次粒子の平均粒子径が5μm以下からなるゴム状ポリマー微粒子 1〜10重量%、
及び
(8) 硬化促進剤 0.1〜5重量%又は(9)ギャップ出しコントロール剤の0.1〜5重量%からなることを特徴とする(a)記載の液晶表示セル用シール材。
(d) (1) 一分子中にエポキシ基を平均2.3個以上持つエポキシ樹脂 24〜83.6重量%、
(2) 熱活性な潜在性エポキシ硬化剤 5〜23重量%、
(3) 無機質充填剤 5〜15重量%、
(4) シランカップリング剤 0.1〜3重量%、
(5) (1)と相溶する溶剤 5〜15重量%、
(6) ワックス 0.1〜5重量%、
(7) 0℃以下の軟化点温度を持ちその一次粒子の平均粒子径が5μm以下からなるゴム状ポリマー微粒子 1〜10重量%、
(8) 硬化促進剤 0.1〜2.5重量%、
(9)ギャップ出しコントロール剤の0.1〜2.5重量%からなることを特徴とする(a)記載の液晶表示セル用シール材。
(e) 前記エポキシ樹脂(1)が、
(1−1)0〜50℃で液状のエポキシ樹脂と、
(1−2)0〜50℃で固形のエポキシ樹脂との混合物であり、その重量比(1−1):(1−2)が1:9〜9:1の範囲にあり、0℃〜120℃の範囲下で液体である事を特徴とする(a)〜(d)のいずれかに記載の液晶表示セル用シール材。
(f) 前記(1−1)0〜50℃で固体のエポキシ樹脂が、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリフェノールエタン型エポキシ樹脂の群から選ばれる少なくとも1種またはそれらの混合物とすることを特徴とする(e)に記載の液晶表示セル用シール材。
(g) 前記(7)のゴム状ポリマー微粒子が、シリコンゴム微粒子、アクリルゴム微粒子、ポリオレフィンゴム微粒子の群から選ばれる少なくとも1種又はそれらの混合物の微粒子であり、その軟化点が−30℃以下であり、一次粒子の平均粒子径が0.01〜3μmの範囲のである事を特徴とする(b)〜(f)のいずれかに記載の液晶表示セル用シール材。
(h) 前記(7)のゴム状ポリマー微粒子が架橋性ゴム粒子である事を特徴とする(g)記載の液晶表示セル用シール材。
(i) 前記(5)溶剤が、1atm下150〜300℃の沸点を有し、(1)と相溶性を有し、かつ(3)シランカップリング剤と反応性を有さないエーテル溶剤、アセテート溶剤の群から選ばれた少なくとも1種または2種以上であることを特徴とする(a)〜(h)のいずれかに記載の液晶表示セル用シール材。
(j) 前記(5)溶媒が、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテートから選ばれた少なくとも1種とすることを特徴とする(i)記載の液晶表示セル用シール材。
(k) 前記(6)ワックスが、60〜160℃に融点を持つ事を特徴とする(a)〜(j)にいずれか記載の液晶表示セル用シール材。
(l) 前記(6)ワックスがカルナバワックス、マイクロクリスタリンワックス、変性マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、変性フィッシャートロプッシュワックスから選ばれた少なくとも1種とする事を特徴とする(k)記載の液晶表示セル用シール材。
(m) 前記(2)熱活性な潜在性エポキシ硬化剤が、2塩基酸ジビドラジド化合物、イミダゾールアダクト体、ポリアミンアダクト体の群から選ばれた少なくとも1種とすることを特徴とする(a)〜(l)のいずれかに記載の液晶表示セル用シール材。
(n) 前記(1)エポキシ樹脂が1分子中にエポキシ基を重量平均2.5個以上有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定によるポリスチレン換算数平均分子量が7000以下であることを特徴とする(a)〜(m)のいずれかに記載の液晶表示セル用シール材。
(o) (3)無機質充填剤の少なくとも1部が、(1)エポキシ樹脂及び/又は(4)シランカップリング剤とのグラフト体であり、その繰り返し溶剤洗浄法で求めた重量増加率で表されるグラフト率が、(3)の100重量部当たり、グラフト結合した(1)エポキシ樹脂と(4)シランカップリング剤の総和で1〜50重量部であることを特徴とする(a)〜(n)にいずれか記載の液晶表示セル用シール材。
(p) (a)〜(o)にいずれか記載の液晶表示セル用シール材をガラス製またはプラスチック製の液晶セル用基板の接合シール構成部位に印刷またはディスペンス塗布し、70〜100℃で1〜20分プレキュアー後、もう一方の未塗布対象同基板との対で位置合わせを行った後、その対基板を110〜170℃で熱圧締処理し、該対基板を3〜7μmの範囲で均質な厚みに接合固定させる事を特徴とする液晶表示セルの製造方法。
(q) (p)の液晶表示セルの製造方法で得られ、該セル内に液晶材料を注入し、注入孔を2液型液晶シール材組成物で封孔させて得られた液晶表示素子。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の液晶表示セル用シール材とは、1液性の液晶表示セル用シール材において、軟化点が50℃以上の高軟化点アクリルポリマーの含有率が 0.1重量%未満であり、その液晶表示セル用シール材の厚み100μmの硬化膜を通過する60℃,95%相対湿度環境下24時間水蒸気透過量で表される60℃透湿度が、30g/m2・24hrs未満である液晶表示セル枠用シール材である。
本願発明の液晶表示セル用シール材は、上記の物性を満たすものであればいずれの方法で製造することができるが例えば、(1) 一分子中にエポキシ基を重量平均2.3個以上持つエポキシ樹脂、(2) 熱活性な潜在性エポキシ硬化剤、(3) 無機質充填剤、(4) シランカップリング剤、(5) (1)と相溶する溶剤、(6) ワックス、(7) 0℃以下の軟化点温度を持ちその一次粒子の平均粒子径が5μm以下からなるゴム状ポリマー微粒子、必要に応じて(8) 硬化促進剤、(9)ギャップ出しコントロール剤、レベリング剤、顔料、染料、可塑剤、消泡剤、その他添加剤から製造することができる。その構成成分から具体的に説明する。
【0007】
[(1)エポキシ樹脂]
本発明に用いられるエポキシ樹脂(1)とは、1分子中にエポキシ基を重量平均2.3個以上、好ましくは重量平均2.4個以上、特に好ましくは重量平均2.5個以上6個以下である。この様なエポキシ樹脂であれば、常温で液体または固体に関わらずいずれをもちいても良い。1分子中にエポキシ基を重量平均2.3個以上とすることで硬化物の耐熱性を向上させることができるので好ましい。
また1分子中にエポキシ基を重量平均2.3個以上持つエポキシ樹脂としては、単官能性エポキシ樹脂と多官能性エポキシ樹脂から選ばれた混合物または多官能エポキシ樹脂の単独または2種以上の混合物を用いることができる。
好ましくは主成分であるエポキシ樹脂(1)が(1−1)0〜50℃で液体のエポキシ樹脂と(1−2)0〜50℃下で固体のエポキシ樹脂との重量比(1−1):(1−2)で1;9〜9;1の混合組成物であり、その混合物は0℃〜120℃で液体である事が好ましく、この時(1−2)0〜50℃で固体のエポキシ樹脂が、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリフェノールエタン型エポキシ樹脂の群から選ばれる少なくとも1種又はそれらの混合物とすることが特に好ましい。
エポキシ樹脂(1)では(1−1)0〜50℃の温度範囲で液体のエポキシ樹脂と(1−2)0〜50℃の温度範囲で固形のエポキシ樹脂との混合重量比率を(1−1):(1−2)で表し、(30:70)〜(95:5)の範囲とする事が良く、特に好ましいは(40:60)〜(80:20)である。
又、エポキシ樹脂(1)としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下の記載では単にGPCと呼ぶ)により求められた、ポリスチレン換算数平均分子量が7000以下のものが好ましく、150〜3000の範囲がより好ましく、350〜2000の範囲にあるものが最も好ましい。
GPCによるポリスチレン換算数平均分子量が7000以下であることが、液晶表示セル用シール材の粘度を好適な範囲とすることができ、塗布作業性が向上するので好ましい。又ポリスチレン換算数平均分子量を7000以下とすることにより、得られる硬化体の架橋密度を高く保つことができ、シール信頼性が一層向上し好ましい。
エポキシ樹脂(1)の含有量は液晶表示セル用シール材組成物中、22〜84.8重量%であり、好ましくは30〜70重量%である。
【0008】
<単官能性エポキシ樹脂>
本願発明に用いられる単官能性エポキシ樹脂としては、例えば、脂肪族モノグリシジルエーテル化合物、脂肪族モノグリシジルエーテル化合物、芳香族モノグリシジルエーテル化合物、脂肪族モノグリシジルエステル化合物、芳香族モノグリシジルエステル化合物、脂環式モノグリシジルエステル化合物、窒素元素含有モノグリシジルエーテル化合物、モノグリシジルプロピルポリシロキサン化合物、モノグリシジルアルカン、等が挙げられる。これら以外の単官能性エポキシ樹脂を用いても良いことは言うまでもない。
【0009】
(脂肪族モノグリシジルエーテル化合物)
例えば炭素数が1〜6の整数で表されるアルキル基又はアルケニル基を有するポリアルキレンモノアルキルエーテル類とエピクロルヒドリンとの反応で得られた脂肪族モノグリシジルエーテル化合物や、脂肪族アルコール類とエピクロルヒドリンとの反応で得られた脂肪族モノグリシジルエーテル化合物等が挙げられる。
炭素数が1〜6の整数で表されるアルキル基又はアルケニル基を有するポリアルキレンモノアルキルエーテル類としては、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ピロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジピロピレングリコールモノアルキルエーテル、トリピロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリピロピレングリコールモノアルキルエーテル等が挙げられる。
脂肪族アルコールとしては例えばn−ブタノール、イソブタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ジメチロールプロパンモノアルキルエーテル、メチロールプロパンジアルキルエーテル、グリセリンジアルキルエーテル、ジメチロールプロパンモノアルキルエステル、メチロールプロパンジアルキルエステル、グリセリンジアルキルエステル等が挙げられる。
【0010】
(芳香族モノグリシジルエーテル化合物)
例えば芳香族アルコール類とエピクロルヒドリンとの反応で得られた芳香族モノグリシジルエーテル化合物が等が挙げられる。
反応の用いられる芳香族アルコール類としては、フェノール、メチルフェノール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、n−ブチルフェノール、ベンジルアルコール、t−ブチルフェノール、キシレノール、ナフトール等が挙げられる。
【0011】
(脂肪族又は芳香族モノグリシジルエステル化合物)
例えば、脂肪族ジカルボン酸モノアルキルエステルまたは芳香族ジカルボン酸モノアルキルエステルとエピクロルヒドリンとの反応で得られた脂肪族モノグリシジルエステル化合物または芳香族モノグリシジルエステル化合物等が挙げられる。
【0012】
<多官能性エポキシ樹脂>
多官能性エポキシ樹脂としては、通常1分子中に重量平均2〜6個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であるが、本願発明の効果を阻害しない範囲であればそれ以上のエポキシ基を有する樹脂を用いることもできる。多官能性エポキシ樹脂としては例えば、脂肪族多価グリシジルエーテル化合物、芳香族多価グリシジルエーテル化合物、トリフェノール型多価グリシジルエーテル化合物、ハイドロキノン型多価グリシジルエーテル化合物、レゾルシノール型多価グリシジルエーテル化合物、脂肪族多価グリシジルエステル化合物、芳香族多価グリシジルエステル化合物、脂肪族多価グリシジルエーテルエステル化合物、芳香族多価グリシジルエーテルエステル化合物、脂環式多価グリシジルエーテル化合物、脂肪族多価グリシジルアミン化合物、芳香族多価グリシジルアミン化合物、ヒダントイン型多価グリシジル化合物、ビフェニル型多価グリシジル化合物、ノボラック型多価グリシジルエーテル化合物、エポキシ化ジエン重合体等が挙げられる。なおこれら以外の多官能性エポキシ樹脂でも用いることができることは言うまでもない。
【0013】
(脂肪族多価グリシジルエーテル化合物)
例えば、ポリアルキレングリコール類又は多価アルコール類とエピクロルヒドリンとの反応で得られた脂肪族多価グリシジルエーテル化合物等が挙げられる。
反応に用いられるポリアルキレングリコール類としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ピロピレングリコール、ジピロピレングリコール、トリピロピレングリコール、ポリピロピレングリコール等が挙げられる。
反応に用いられる多価アルコール類としては、ジメチロールプロパン、トリメチロールプロパン、スピログリコール、グリセリン等が挙げられる。
【0014】
(芳香族多価グリシジルエーテル化合物)
例えば、芳香族ジオール類とエピクロルヒドリンとの反応で得られた芳香族多価グリシジルエーテル化合物等が挙げられる。
反応に用いられる芳香族ジオールとしては例えばビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、ビスフェノールAD等が挙げられる。
【0015】
(トリフェノール型多価グリシジルエーテル化合物)
例えば、トリフェノール類とエピクロルヒドリンとの反応で得られたトリフェノール型多価グリシジルエーテル化合物が挙げられる。
反応に用いられるトリフェノール類としてはトリフェノールメタン、トリフェノールエタン等が挙げられる。
【0016】
(ハイドロキノン型多価グリシジルエーテル化合物)
例えば、ハイドロキノンとエピクロルヒドリンとの反応で得られたハイドロキノン型多価グリシジルエーテル化合物等が挙げられる。
【0017】
(レゾルシノール型多価グリシジルエーテル化合物)
例えば、レゾルシノールとエピクロルヒドリンとの反応で得られたレゾルシノール型多価グリシジルエーテル化合物等が挙げられる。
【0018】
(脂肪族多価グリシジルエステル化合物)
例えば、アジピン酸等で代表される脂肪族ジカルボン酸とエピクロルヒドリンとの反応で得られた肪族多価グリシジルエステル化合物等が挙げられる。
【0019】
(芳香族多価グリシジルエステル化合物)
例えば、芳香族ジカルボン酸とエピクロルヒドリンとの反応で得られた芳香族多価グリシジルエステル化合物等が挙げられる。
反応に用いられる芳香族ジカルボン酸としては例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
【0020】
(脂肪族又は芳香族多価グリシジルエーテルエステル化合物)
ヒドロキシジカルボン酸化合物とエピクロルヒドリンとの反応で得られた脂肪族多価グリシジルエーテルエステル化合物または芳香族多価グリシジルエーテルエステル化合物等が挙げられる。
【0021】
(脂環式多価グリシジルエーテル化合物)
例えば、ジシクロペンタジエン型多価グリシジルエーテル化合物等で代表される脂環式多価グリシジルエーテル化合物等が挙げられる。
【0022】
(脂肪族多価グリシジルアミン化合物)
例えば、ポリエチレンジアミン等で代表される脂肪族ジアミンとエピクロルヒドリンとの反応で得られた脂肪族多価グリシジルアミン化合物等が挙げられる。
【0023】
(芳香族多価グリシジルアミン化合物)
例えば、ジアミノジフェニルメタン、アニリン、メタキシリレンジアミン等で代表される芳香族ジアミンとエピクロルヒドリンとの反応で得られた芳香族多価グリシジルアミン化合物等が挙げられる。
【0024】
(ヒダントイン型多価グリシジル化合物)
例えば、ヒダントインならびにその誘導体とエピクロルヒドリンとの反応で得られたヒダントイン型多価グリシジル化合物等が挙げられる。
【0025】
(ノボラック型多価グリシジルエーテル化合物)
例えば、フェノール、クレゾール、ナフトール等で代表される芳香族アルコール類とホルムアルデヒドとから誘導されるノボラック樹脂とエピクロルヒドリンとの反応で得られたノボラック型多価グリシジルエーテル化合物等が挙げられる。
【0026】
(エポキシ化ジエン重合体)
例えば、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化ポリイソプレン等が挙げられる。
【0027】
[(2)熱活性な潜在性エポキシ硬化剤]
本発明の液晶表示セル用シール材組成物で用いる、熱活性な潜在性エポキシ硬化剤(2)とは、50℃以上の温度条件下において、エポキシ樹脂の硬化反応を開始させる作用を付与できる化合物であり、通常取り扱う温度範囲においては硬化剤として作用しないので熱活性な潜在性エポキシ硬化剤と呼称される。
熱活性な潜在性エポキシ硬化剤(2)は本発明の液晶表示セル用シール材中に占める割合として5〜30重量%である。5重量%以上でエポキシ樹脂(1)の硬化性が良好であり、信頼性の高い液晶表示セル用シール材組成物が得られるので好ましく、また30重量%以下とすることが硬化剤の未反応物の残留を抑制することができると共に硬化物の架橋密度ならびに液晶セルシール接着信頼性を良好に保つことができ好ましい。
熱活性な潜在硬化剤として作用するものであればいずれでも使用することができるが、例えば、4,4−ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド及びその誘導体、2塩基酸ジビドラジッド化合物、イミダゾール誘導体、イミダゾール化合物と芳香族多価カルボン酸との錯体、イミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体またはその変性誘導体、芳香族アリルエーテル化合物、脂環式又は芳香族ジアミンとエステルの付加重合物、ポリアミン化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体またはその変性誘導体、アミン化合物とジイソシアナート化合物との付加体またはその変性誘導体、尿素またはチオ尿素とエポキシ樹脂との付加物、尿素またはチオ尿素化合物とジイソシアナート化合物との付加物、三フッ化ホウ素ーアミンコンプレックス、ビニルエーテルブロックカルボン酸化合物、芳香族アリルエーテル化合物、N,N−ジアルキル尿素誘導体、N,N−ジアルキルチオ尿素誘導体、メラミン、グアナミン、脂環式ジアミンとエステルの付加重合物等が挙げられる。これらの熱活性な潜在エポキシ硬化剤は単独でも複数を併用してもよい。
これらの化合物の具体的な例を以下に示す。
<2塩基酸ジヒドラジド化合物>
(2塩基酸ジヒドラジド化合物)
例えば、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、デカンニ酸ジヒドラジド、ドデカンニ酸ジヒドラジド等で代表される炭素数6〜20の整数で表される飽和脂肪酸骨格からなる2塩基酸ジビドラジド類、オレイン酸ジヒドラジド等で代表される炭素数6〜20の整数で表される不飽和脂肪酸骨格からなる2塩基酸ジビドラジド類、イソフタル酸ジヒドラジド等で代表される芳香族2塩基酸ジヒドラジド類、バリンヒダントイン骨格を有するジヒドラジド等を例示出来る。特に好ましいものとして、炭素数12〜20の整数で表される飽和脂肪酸骨格及び/または不飽和脂肪酸骨格からなる2塩基酸ジビドラジドまたはバリンヒダントイン骨格を有するジヒドラジドが挙げられる。
【0028】
<イミダゾール誘導体>
例えば、2−メチルイソシアヌール酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌール酸付加物、2−n−ペンタデシルイミダゾール等が挙げられる。
【0029】
<イミダゾール化合物と芳香族多価カルボン酸との錯体>
例えば、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾールトリメリテートや1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾールトリメリテート等が挙げられる。
【0030】
<芳香族アリルエーテル化合物>
例えば1,6−ジナフトールのアリルエーテル化合物等が挙げられる。
【0031】
<脂環式又は芳香族ジアミンとエステルの付加重合物>
本願発明の熱活性な潜在エポキシ硬化剤に用いる脂環式ジアミンとエステルの付加重合物とは、脂環式ジアミンまたは芳香族ジアミンの1モル当量に対し、炭素数1〜6の整数で表されるアルキル基を持つアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルの群から選ばれる少なくとも1種またはその混合物を0.75〜1.2モル当量付加重縮合させて得られたものである。
【0032】
(脂環式又は芳香族ジアミン)
付加重縮合に用いる脂環式又は芳香族ジアミンとして特に限定はないが例えば、例えば、ビス(アミノシクロヘキシル)メタン、イソフォロンジアミン、キシリレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テラオキサスピロ[5,5]ウンデセン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、シアノエチル化変性脂環式ジアミン、エポキシアダクト変性脂環式ジアミン等が挙げられる。これらは単独で使用しても複数を併用して使用してもよい。
【0033】
これらの化合物のうち好適な例を以下に示す。
ビス(アミノシクロヘキシル)メタンとしては、4,4’−ビス(アミノシクロヘキシル)メタン、2,4’−ビス(アミノシクロヘキシル)メタン、2,2’−ビス(アミノシクロヘキシル)メタンなどの異性体が好ましい。
ビス(アミノシクロヘキシル)メタンとしては特に4,4’−ビス(アミノシクロヘキシル)メタンが好ましい。
キシリレンジアミンにはo−キシリレンジアミンとm−キシリレンジアミンとp−キシリレンジアミンの異性体があり、それらの単独または混合物であって良いが、m−キシリレンジアミンが特に好ましい。
ビス(アミノメチル)シクロヘキサンには1,2−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンと1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンと1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの異性体があり、それらの単独または混合物であって良いが、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンが特に好ましい。
ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタンとは別名:ノルボルナンジアミンとも呼ばれ、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン(別名;2,5−ノルボルナンジアミン)と2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン(別名;2,6−ノルボルナンジアミン)の異性体があり、それらの単独または混合物であって良いが、耐侯性を向上させる目的にはビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタンを単独で用いることが好ましい。
またシアノエチル化変性脂環式ジアミン、エポキシアダクト変性脂環式ジアミン、ポリアミン化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体、アミン化合物とジイソシアナート化合物との付加体等の脂環式ジアミン誘導体も好ましい。以下にそれらの誘導体について詳しく説明する。
【0034】
(シアノエチル化変性脂環式ジアミン)
シアノエチル化変性脂環式ジアミンとは、脂環式ジアミンとアクリロニトリルとの付加生成物の事であり、通常脂環式ジアミン1モル当量に対しアクリロニトリル2モル以内、好ましくは0.01〜1.5モルの範囲内で、特に好ましくは0.25〜1モルを付加して得られた生成物である。
この付加反応に用いられる脂環式または芳香族ジアミンとしては特に限定はないが、通常前述のビス(アミノシクロヘキシル)メタン、イソフォロンジアミン、キシリレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テラオキサスピロ[5,5]ウンデセン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン等が用いられる。
【0035】
シアノエチル化変性脂環式ジアミンのより具体例な例としては例えば、シアノエチル化変性4,4’−ビス(アミノシクロヘキシル)メタン、シアノエチル化変性2,4’−ビス(アミノシクロヘキシル)メタン、シアノエチル化変性2,2’−ビス(アミノシクロヘキシル)メタン、シアノエチル化変性イソフォロンジアミン、シアノエチル化変性o−キシリレンジアミン、シアノエチル化変性m−キシリレンジアミン、シアノエチル化変性p−キシリレンジアミン、シアノエチル化変性3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テラオキサスピロ[5,5]ウンデセン、シアノエチル化変性1,2−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、シアノエチル化変性1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、シアノエチル化変性1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、シアノエチル化変性2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、シアノエチル化変性2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタンが挙げられる。
特に好ましいシアノエチル化変性脂環式ジアミンとしてはシアノエチル化変性ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタンが挙げられる。
(イミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体またはその変性誘導体)
本発明に用いるイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体としては活性水素基を持つ既に公知のイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体であればいずれでも用いることができる。
イミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体の変性誘導体の具体例としては、例えば特公昭52−3828号公報で開示されている様な、多官能エポキシ化合物と、イミダゾール化合物と、前記多官能エポキシ化合物の重量を量にして2倍の量を越さない量のフェノールノボラック樹脂との反応生成物よりなり、多価エポキシ化合物中のエポキシ基対イミダゾール化合物の分子の比が(0.8:1)〜(2.2:1)の範囲である70〜150℃の軟化点温度を示す潜在性エポキシ硬化剤組成物が例示出来る。また、特開昭54−123200号公報に開示されている様なエポキシ樹脂とイミダゾール化合物とを反応させ、さらにヒドロキシスチレン樹脂を反応させて得られた潜在性エポキシ硬化剤組成物が、また更には、特開昭56−127625号公報に開示されている様なエポキシ樹脂とイミダゾール化合物を反応させ更にポリアルケニルフェノール化合物とを作用させてなる潜在性エポキシ硬化剤組成物が、また特開平8−73567号公報に開示されている様なエポキシ樹脂と分子中に一級のアミノ基を持たない窒素塩基を有する化合物(イミダゾール化合物を含む)とGPCによるポリスチレン換算の平均分子量が2000〜10000のフェノール−ホルムアルデヒド樹脂との固溶体からなる潜在性エポキシ硬化剤組成物等がそれぞれ例示出来る。
イミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体の変性誘導体の具体例としては、融点が70〜150℃であるものを選定使用することがおおいに好ましい。
(ポリアミン化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体)
ポリアミン化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体としては、特に制約するものでは無いが、既に公知のポリアミン化合物とエポキシ樹脂とから誘導される固溶体物質で代表される。より、具体例としては例えば特開平8−12855公報で開示されている様なエポキシ樹脂とポリアミンとの付加反応物に酸性水酸基を2個以上有する化合物を反応させて得られる低温硬化性の潜在性エポキシ硬化剤が挙げられる。酸性水酸基を2個以上有する化合物としてはフェノール樹脂、ポリフェノール樹脂、ポリカルボン酸等がある。
【0036】
(アミン化合物とジイソシアナート化合物との付加体またはその変性誘導体)
アミン化合物とジイソシアナート化合物との付加体としては、既に公知の第1〜第2級アミン化合物とジイソシアナートとを反応させて得られる固溶体物質で代表される。またアミン化合物とジイソシアナート化合物との付加体の変性誘導体としては例えば、特開平3−296525号公報で開示されている様な、N,N−ジアルキルアミノアルキルアミンと、環状アミンと、ジイソシアナートとを加熱反応させてなる固溶体物質が例示出来る。また、特開平3−70736号公報で開示されている様な、軟化点60℃以上、3級アミノ基を持つ粉末状アミンの粒子表面に均一にジイソシアナート化合物を接触させて得られる潜在性エポキシ硬化剤等が例示出来る。より具体的には富士化成工業社製品・商品名「フジキュアーFXR−1000,同FXR−1030」が市販されており、好ましい具体例である。
【0037】
[(3)無機質充填剤]
本発明で用いる無機質充填剤(3)には、通常無機充填剤として使用可能なのものであればいずれでもよい。具体的には例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸ジルコニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛、二酸化珪素、チタン酸カリウム、カオリン、タルク、アスベスト粉、石英粉、雲母、ガラス繊維等が挙げられる。
632.8nm波長のレーザー法粒子径測定器により求めた重量加積曲線上の99重量%粒子径値が5μm以下にあるものが好ましく、また重量加積曲線上の50重量%値で示される重量平均粒子径値が0.005〜1μmの範囲とする事がより好ましい。
一般的には重量加積曲線上の99重量%粒子径値が5μm以下である無機質充填剤を用いると液晶パネルのギャップ幅の寸法安定性が一層向上し好ましい。
本発明の液晶表示セル用シール材では無機質充填剤(3)の含有割合として5〜25重量%である。5重量%未満ではスクリーン印刷またはディスペンサー塗布時の塗布形状保持性が劣る傾向にある。また、25重量%以上であると組成物の流動性が欠け、スクリーン印刷時のカスレ又はディスペンサー詰まりを多発するからである。5〜20重量%の範囲が好ましく、5〜15重量%の範囲が特に好ましい。
また、無機質充填剤(3)はエポキシ樹脂(1)やシランカップリング剤(6)にグラフト化することが好ましい。
グラフト化は無機充填剤(3)の一部でも全てグラフト化してもよい。グラフト化率は、繰り返し溶剤洗浄法で求めた重量増加率で表され、通常無機質充填剤(3)の100重量部当たりエポキシ樹脂(1)、シランカップリング剤(6)のいずれか又は双方が1〜50重量部グラフトにより結合されていることが好ましい。
【0038】
[(5)溶剤]
本願発明に用いられる溶剤(5)としては、エポキシ樹脂(1)と相溶性を有するものであればいずれでも用いることができる。
沸点が100℃以上300℃未満の範囲にあるものが好ましく、160〜230℃の範囲にあるものがより好ましい。このような沸点範囲を選択することにより、取り扱い中の粘度安定性が確保される上に短時間のプレ乾燥で容易に脱溶剤化が可能となる。
またこの溶剤(5)はエポキシ樹脂(1)と相溶性を有し、かつ(3)シランカップリング剤と反応性を有さないエーテル溶剤、アセテート溶剤の群から選ばれた少なくとも1種または2種以上であることが好ましい。
本発明の液晶表示セル用シール材中の含有量は、5〜20重量%の範囲である。
溶剤(5)の具体的な例としては、例えば、シクロヘキサノンの如きケトン溶剤、エーテル溶剤、アセテート溶剤が好ましいれいである。
エーテル溶剤としてより具体的な例として、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジフェニルエーテルが挙げられる。
またアセテート溶剤として好ましくは、例えば、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノメチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、等で代表される。
特に好ましい溶剤(5)としては、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテートから選ばれた少なくとも1種とすることが良い。
【0039】
[(6)ワックス]
本発明の液晶表示セル用シール材組成物は、ワックス(6)を0.1〜5重量%含有する。
液晶表示セル用シール材中にワックスを0.1重量%に満たない組成物では60〜85℃、相対湿度95%以上の高温高湿環境下でその硬化物の透湿度が30g/m2,24時間を超える傾向にあり、耐久性に富む液晶表示セルを確保出来ない傾向にあるからであり、5重量%以上では、ガラス基盤との接着性が阻害され長期シール性が確保しづらくなる傾向にあるからである。
又本発明の液晶表示セル用シール材中ワックス(6)を1〜3重量%とすることが更に好ましい。
ワックス(6)としては特に限定はなくいずれのワックスでも使用することができる。例えば、動物系天然ワックス、植物系天然ワックス、鉱物系天然ワックス、石油系ワックス、合成炭化水素系ワックス、変性ワックス、水素化ワックス等が挙げられる。
このなかでも、融点が70℃以上150℃以下のワックスが好ましく、カルナバワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、変性フィッシャートロプッシュワックスが特に好ましい。
又ワックス(6)は、本発明の液晶表示セル用シール材組成物中、即ち硬化前には、独立した一次粒子として存在していることが好ましく、その一次粒子の平均粒子径は、0.01〜5μmの範囲にあることが好ましく、0.01〜3μmの範囲にあることが更に好ましい。
以下にワックス(6)のより具体的な例を示す。
(動物系天然ワックス)
例えば、蜜ロウ、鯨ロウ、セラックロウ等が挙げられる。
(植物系天然ワックス)
例えば、カルナバワックス、オリキュリーワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ケーンワックス等が挙げられる。
(鉱物系天然ワックス)
例えば、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等が挙げられる。
(石油系ワックス)
例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
(合成炭化水素系ワックス)
例えば、フィッシャートロプッシュワックス及びその誘導体、ポリエチレンワックス及びその誘導体、ポリプロピレンワックス及びその誘導体等が挙げられる。
(変性ワックス)
例えば、酸化ワックス、モンタンワックス、酸変性ワックス等が挙げられる。
(水素化ワックス)
例えば、ステアリン酸アミドワックス等のアミドワックス、ポリエステルワックス、オパールワックス等が挙げられる。
【0040】
[(7)ゴム状ポリマー微粒子]
本発明の液晶表示セル用シール材においては、捩り振子法と言われるTorsinal Braid Analyzer(以下単にTBAと呼ぶ。)で求めた軟化点温度で、0℃以下の軟化点温度を持ち電子顕微鏡観察から求めた一次粒子の平均粒子径が5μm以下のゴム状ポリマー微粒子(7)(以下の記載では単にゴム状ポリマー微粒子と呼ぶ事がある。)を1〜10重量%含有させる事が肝要である。
一次粒子の平均粒子径は0.01〜5μmが好ましく、0.05〜2μmがより好ましい。
液晶表示セル用シール材中に占めるゴム状ポリマー微粒子(7)が1重量%以下とすると、プレッシャークッカーテストに於いて対象基板からのシール材の剥離現象が多発する傾向にある。また、液晶表示セル用シール材中に占めるゴム状ポリマー微粒子(7)を10重量%以上とすると、硬化体の耐熱性が低下しプレッシャークッカーテストなどで熱クリープしてセル基盤のズレやギャップ変動を伴いやすい傾向にある。
【0041】
特に、ゴム状ポリマー微粒子(7)を液晶表示セル用シール材中に占める割合で3〜8重量%とする事がより好ましい。
ゴム状ポリマー微粒子(7)の軟化点温度が0℃以下とすることで、接着性がより向上し好ましく、またゴム状ポリマー微粒子(7)の一次粒子径が5μm以下とすることにより、液晶セルのギャップを薄くすることができ、高価な液晶の使用量を抑制することができると共に液晶表示応答速度をも向上することができる。
【0042】
特に好ましい(7)としては、−30℃以下の軟化点温度を持ちその一次粒子径が0.01〜3μmの範囲のシリコンゴム微粒子、及び/またはアクリルゴム微粒子またはポリオレフィンゴム微粒子である事が挙げられ、更に好ましくはその(7)が架橋性ゴム粒子である事が良い。
これらのゴム状ポリマー微粒子(7)は軟化点温度が0℃以下であれば既に公知の以下のゴム状ポリマーを適宜選定使用できる。例えばアクリルゴム系のゴム状ポリマー、シリコンゴム系のゴム状ポリマー、共役ジエンゴム系のゴム状ポリマー、オレフィンゴム系ゴム状ポリマー、ポリエステルゴム系ゴム状ポリマー、ウレタンゴム系ゴム状ポリマー、複合化ゴムやエポキシ基と反応する官能基を有するゴム状ポリマーが例示できる。特にこれらのゴム状ポリマーはエポキシ基と反応する官能基を有することが好ましい。
これら液晶表示セル用シール材に用いるゴム状ポリマー微粒子は単独でも複数を併用してもよい。
これらゴム状ポリマー微粒子(7)の具体例を以下に示す。
【0043】
<アクリルゴム系のゴム状ポリマー微粒子>
アクリルゴム系のゴム状ポリマー微粒子の具体的な例としては、例えば、コア部がアクリルゴムからなるコア/シェル型エマルションを乾燥して得られる粒子を用いる方法、また、エポキシ樹脂中でアクリル系モノマーを非水分散重合させてなる樹脂組成物を用いる方法、また更には、エポキシ基と反応する官能基を導入してなるアクリルゴムポリマー溶液を別個に調整後、エポキシ樹脂中に投入または滴下して、機械的に混合し、脱溶剤またはグラフト化させてアクリルゴム微粒子をエポキシ樹脂中に安定的に分散させてなる樹脂組成物を用いる方法などがある。
【0044】
<シリコンゴム系のゴム状ポリマー微粒子>
シリコンゴム系のゴム状ポリマー微粒子の具体的な例としては、例えば、粉末状のシリコンゴム微粒子を用いる方法、また、エポキシ樹脂に二重結合を導入してその二重結合と反応可能な片末端アクリレート基を持つシリコンマクロモノマーを反応させた後、ビニルシリコンとハイドロジェンシリコンとを仕込分散重合させてなる樹脂組成物を用いる方法がある。
【0045】
<共役ジエンゴム系のゴム状ポリマー微粒子>
共役ジエンゴム系のゴム状ポリマー微粒子の具体的な例としては、例えば、1,3−ブタジエン、1、3−ペンタジエン、イソプレン、1、3−ヘキサジエン、クロロプレン等のモノマーを重合または共重合して得られた共役ジエンゴム状ポリマー微粒子が例示でき、すでに公知の物として良く、特に制約はない。市販品をそのまま使用して良い。より具体的な共役ジエンゴムの例としてはブタジエンとアクリロニトリルとの共重合体、末端にカルボキシル基を有するブタジエンとアクリロニトリルとの共重合体、末端にアミノ基を有するブタジエンとアクリロニトリルとの共重合体等がある。
【0046】
<オレフィンゴム系ゴム状ポリマー微粒子>
オレフィンゴム系ゴム状ポリマー微粒子の具体的な例としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン等の単独非晶質重合体または共重合可能な他のモノマーとの共重合体やターポリマーからなる微粒子またはその組成物が例示できる。オレフィンゴムラテックス等の形で市販されている物を入手し、エポキシ樹脂中で脱水処理し、オレフィンゴムをエポキシ樹脂中に分散安定化させてなる樹脂組成物として使用する方法も良い例である。
【0047】
<ポリエステルゴム系ゴム状ポリマー微粒子>
ポリエステルゴム系ゴム状ポリマー微粒子とはポリマー骨格にポリエステル結合が含有されているゴム状ポリマーからなる微粒子の事であり、特に制約はない。具体的な ポリエステルゴムの例を挙げれば、例えば、液状ポリシロキサンジオール、液状ポリオレフィンジオール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等から選ばれた少なくとも1種のジオール成分と、必要に応じてトリオール以上の多価アルコール化合物の共存下に、アジピン酸、マレイン酸、コハク酸、フタル酸等から選ばれた少なくとも1種の2塩基酸とから誘導された低軟化点ポリエステル樹脂、また、前記2塩基酸の代わりに酸無水物を用いた低軟化点ポリエステル樹脂、または、ヒドロキシ多価カルボン酸等から誘導させた低軟化点ポリエステル樹脂が例示できる。
【0048】
<ウレタンゴム系ゴム状ポリマー微粒子>
ウレタンゴム系ゴム状ポリマー微粒子とはゴム状ポリマー骨格にウレタン結合及び/または尿素結合が含有されているゴム状ポリマーからなる微粒子の事であり、特に制約はない。具体的なウレタンゴムの例を挙げれば、例えば、液状ポリシロキサンジオール、液状ポリオレフィンジオール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等から選ばれた少なくとも1種からなるジオール成分と、必要に応じてトリオール以上の多価アルコール化合物の共存下に、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソフォロンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ノルボルナンジイソシアナート等で代表されるすでに公知のジイソシアナート化合物とを作用させて得られるゴム状ポリウレタン、また更には、例えば、液状ポリシロキサンジアミン、液状ポリオレフィンジアミン、ポリプロピレングリコールジアミン等から選ばれた少なくとも1種の長鎖ジアミン成分と、必要に応じてトリアミン以上の多価アミン化合物の共存下に、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソフォロンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ノルボルナンジイソシアナート等で代表されるすでに公知のジイソシアナート化合物とを作用させて得られるゴム状ポリウレタン等を例示出来る。
【0049】
<複合化ゴム粒子>
複合化ゴム粒子としては例えば前記したアクリル系、シリコン系、共役ジエン系、オレフィン系、ポリエステル系、ウレタン系の2種以上からなるグラフトポリマー及び/またはブロックポリマーまたはコアシェルポリマー、複層ポリマー等からなる微粒子が例示できる。
【0050】
<エポキシ基と反応する官能基を有するゴム状ポリマー>
エポキシ基と反応する官能基を有するゴム状ポリマーとしては例えば前記したアクリル系、シリコン系、共役ジエン系、オレフィン系、ポリエステル系、ウレタン系の粒子にエポキシ基と反応する官能基を導入してなるものが代表的な例である。
そのエポキシ基と反応する官能基を有するゴム状ポリマーでは、エポキシ基と反応する官能基を有する単量体に由来する構造がゴム状ポリマー中に占める重量割合で0.1〜25重量%であることが好ましい。
エポキシ基と反応する官能基を有する単量体に由来する繰り返し構造の含有量を0.1重量%以上25重量%以下とすることで得られる液晶表示セル用シール材組成物の接着性が著しく向上するので好ましい。
エポキシ基と反応しうる官能基としては、例えば、メルカプト基、アミノ基、イミノ基、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、ヒドロキシル基等が挙げられる。
ゴム状ポリマーにはこれらの官能基のうち少なくとも1種を0.01〜25重量%が好ましく、0.1〜10重量%導入されているものが更に好ましい。
それらの官能基の導入方法には特に限定は無く、官能基含有モノマーと主鎖ポリマーを構成するモノマーとのランダム共重合法、交互共重合法、縮合重合法、付加重合法、コア−シェル重合法による導入方法、イオン吸着導入法、膨潤含浸導入法、ゴム状粒子を形成するポリマーへグラフト重合する方法等いずれの方法でもよい。
このなかでも共重合したり、グラフト重合方法することで、少ない量で効率良くゴム状ポリマー微粒子表面近傍に必要な官能基を配置導入出来るので好ましい。
本願発明の液晶表示セル用シール材では、エポキシ樹脂(1)が液状又は液状エポキシを含有する場合にはゴム状ポリマー微粒子(7)がエポキシ樹脂(1)中に粒子として形状を保持するものが好ましい。
そして本発明の液晶表示セル用シール材中では、ゴム状ポリマー微粒子(7)がエポキシ樹脂(1)と事前にグラフトしていても良く、グラフトしていなくても良い。
【0051】
[(8)硬化促進剤]
本発明の液晶表示セル用シール材組成物は必要に応じて、硬化促進剤(8)の0.1〜5重量%を含有させることができる。
その硬化促進剤(8)としては潜在性エポキシ硬化剤(2)と共に併用使用する事で低温硬化性が付与出来る物質が好ましい。
例えば、3−p−クロロフェニル1,1−ジメチル尿素、p−フェニル−ジ(1,1−ジメチル尿素)等で代表される尿素誘導体、 N−シアノエチル―2メチルイミダゾール、N―シアノエチル―2−エチル−4−メチルイミダゾール等で代表されるイミダゾール化合物またはその塩、脂肪族アミンまたはその塩、脂環式アミンまたはその塩、トリスジメチルアミノメチルフェノールやジアザビシクロウンデセン等で代表される芳香族アミン化合物またはその塩、多価カルボン酸またはその塩、液状ポリアミド、液状ポリアミンアミド等が挙げられる。
前記した中から室温活性は低く、貯蔵安定性に富むものが好ましく、その意味では尿素誘導体が好ましい。
【0052】
[(9)ギャップ出しコントロール剤]
本願発明のギャップ出しコントロール剤(9)とは、液晶表示素子のギャップ幅を3〜7μmの幅で任意かつ正確に調節することができる化合物であり、このようなものであればいずれでも使用することができる。
ギャップ出しコントロール剤(9)は必要に応じて液晶表示セル用シール材組成物中に0.1〜5重量%含有させることができる。
好ましくは0.5〜2.5重量%である。
ギャップ出しコントロール剤(9)としては例えば、エポキシ樹脂(1)又は必要に応じて用いる溶剤(10)などによって変形や溶解、膨潤されない真球状、サッカーボール状粒子、棒状繊維等の上下左右対象の無機質粒子または熱硬化性のポリマー粒子が挙げられる。
ギャップ出しコントロール剤(9)の無機質粒子の例としては、真球シリカ粒子、真球アルミナ粒子、ガラス短繊維、金属短繊維、金属粉等が挙げられる。
ギャップ出しコントロール剤(9)としては例えば、エポキシ樹脂(1)又は必要に応じて用いる溶剤(10)などによって変形や溶解、膨潤されない真球状、サッカーボール状粒子、棒状繊維等の上下左右対象の無機質粒子または熱硬化性のポリマー粒子が挙げられる。
ギャップ出しコントロール剤(9)の無機質粒子の例としては、真球シリカ粒子、真球アルミナ粒子、ガラス短繊維、金属短繊維、金属粉等が挙げられる。
熱硬化性のポリマー粒子としては、熱硬化性のポリスチレン真球状粒子や、その他、フェノール樹脂系熱硬化粒子、ベンゾグアナミン樹脂系熱硬化粒子等が挙げられる。
無機質粒子はギャップ精度を高精度で制御可能であるので特に好ましい例である。
【0053】
[その他添加剤]
必要に応じて更に、レベリング剤、顔料、染料、可塑剤、消泡剤の使用が可能である。
【0054】
[液晶表示セル用シール材組成物の調整方法]
本願発明の液晶表示セル用シール材組成物の調整は、(1) 一分子中にエポキシ基を平均2.3個以上持つエポキシ樹脂、(2) 熱活性な潜在性エポキシ硬化剤、(3) 無機質充填剤、(4) シランカップリング剤、(5) (1)と相溶する溶剤、(6) ワックス、(7) 0℃以下の軟化点温度を持ちその一次粒子の平均粒子径が5μm以下からなるゴム状ポリマー微粒子、必要に応じて(8) 硬化促進剤、(9)ギャップ出しコントロール剤、レベリング剤、顔料、染料、可塑剤、消泡剤、その他添加剤等を適宜添加し、混合すれば良く特に限定はない。
なお本願発明の液晶表示セル用シール材組成物は、エポキシ樹脂(1)と相溶する溶媒を含有しており、この場合軟化点が50℃以上の高軟化点アクリルポリマーを0.1重量未満含有していてもよい。
【0055】
(軟化点が50℃以上の高軟化点アクリルポリマー)
軟化点が50℃以上の高軟化点アクリルポリマーとはTBAから求めた軟化点温度で50℃以上の軟化点温度を持つアクリルポリマーである。
具体的には、ポリメチルメタクリレート樹脂や塩化ビニル樹脂及びポリスチレン等に代表される高軟化点ポリマーが挙げられる。
【0056】
[液晶表示セル用シール材組成物の物性]
液晶表示セル用シール材組成物の硬化前の粘度としては特に限定はないが、B型粘度計による25℃粘度が1〜1000Pa・sの範囲が好ましく、5〜500Pa・sの範囲がより好ましく、10〜200Pa・sの範囲が最も好ましい。本発明の液晶表示セル用シール材組成物は事前に加熱養生等の方法で前記した範囲の粘度特性を示す様に調製してもよい。
【0057】
またB型粘度計のローター番号を同一とする毎分10回転のズリ速度から求められた10rpm粘度値と1回転ズリ速度の時の1rpm粘度値の比(10rpm粘度値/1rpm粘度値)であらわされるチクソ指数には、特に制約は無いが、好ましくは1〜3の範囲である事がよい。
【0058】
[液晶表示セルの製造方法]
本発明の液晶表示セルの製造方法とは、本発明の液晶表示セル用シール材をガラス製またはプラスチック製の液晶セル用基板の接合シール構成部位に印刷またはディスペンス塗布し、70〜100℃で1〜20分プレキュアー後、もう一方の未塗布対象同基板との対で位置合わせを行った後、その対基板を110〜170℃で熱圧締処理し、該対基板を3〜7μmの範囲で均質な厚みに接合固定させる事を特徴とする液晶表示セルの製造方法である。
その際、溶剤(5)を含有してなる液晶表示セル用シール材を完全硬化させて接着シールする際には事前にプレキュアーが必要である。プレキュアー条件には特に制約はないが、含有する溶剤分を100としてその少なくとも95重量%が脱溶剤化でき、かつ含有する潜在性エポキシ硬化剤の熱活性温度以下の加熱乾燥温度を選択する事が肝要である。
一般的なプレキュアー条件としては温度が60℃〜120℃の範囲、乾燥時間として5〜60分である。高温化するほど短時間乾燥にする事が好ましい。120℃を超えたプレキュアーであっても脱溶剤化は可能であるが、硬化反応の進行でギャップ幅の精度が低下する傾向にあり注意が必要である。
用いられる液晶セル用基板としては、例えば、ガラス基板、プラスチック基板が挙げらる。前記した基板群では当然の事として酸化インジウムで代表される透明電極やポリイミド等で代表される配向膜その他無機質イオン遮蔽膜等が必要部に施工されてなるいわゆる液晶セル構成用ガラス基盤または同プラスチッツク基盤が用いられる。
基板に液晶表示セル用シール材を塗布する方法には特に限定はなく、例えばスクリーン印刷塗布方法またはディスペンサー塗布方法などで行って良い。また、塗布後は、必要に応じてプレ乾燥して後、張り合わせ、加熱圧締接着シールする方法で接合するが、その際の加熱硬化条件としては特に制約するものではないが、およそ110〜170℃で24〜0.5時間として良い。
また、熱圧締・接着工程を枚葉熱プレスでもって実施する際は、仮接着性を確保出来る条件、特に制約するものでは無いが、好ましくは110〜180℃で2〜10分程度接合後、圧を開放、取り出し、引き続き同温度下に調整された加熱オーブン中で完全硬化養生させるなどの2段または複数の加熱工程や養生工程を経て製造されて良い。
ここで、枚葉熱プレスとは、一セット枚づづ接合する仕様の熱プレス機を意味し、真空下に熱を加える事が出来る枚葉熱プレス機器を真空枚葉熱プレス、または、大気圧下で熱板を介して強制的に加熱圧締接着するタイプの剛体枚葉熱ブレスとが知られている。いずれの枚葉熱プレス方式であってもよい。
また前記した熱圧締・接着工程を前記枚葉熱プレス等とは別に多段熱プレスとする事であっても何ら問題ない。
【0059】
[液晶表示素子]
また本願発明の液晶表示素子とは、本願発明の液晶表示セル用シール材をガラス製またはプラスチック製の液晶セル用基板の接合シール構成部位に印刷またはディスペンス塗布し、70〜100℃で1〜20分プレキュアー後、もう一方の未塗布対象同基板との対で位置合わせを行った後、その対基板を110〜170℃で熱圧締処理し、該対基板を3〜7μmの範囲で均質な厚みに接合固定させる事で得られ、該セル内に液晶材料を注入し、注入孔を2液型液晶シール材組成物で封孔させて得られた液晶表示素子である。
2液型液晶シール材組成物としては既に公知のものを使用して良く特に限定はない。例えばエポキシ樹脂とポリアミド硬化剤からなる2液型液晶シール材組成物、エポキシ樹脂とポリチオール硬化剤からなる2液液晶シール材組成物、エポキシ樹脂とポリアミン硬化剤とからなる2液型液晶シール材組成物等を例示できる。
液晶材料にも制約は無く例えばネマチック液晶や強誘電液晶等が好適である。
本願発明で得られた液晶表示素子としては、例えば、エム シャツト(M Schadt)とダブリユ ヘルフリッヒ(W Helfrich)らが提唱したTN型(Twisted Nematic)の液晶素子あるいはSTN型( Super Twisted Nematic )の液晶素子、または、クラーク(N A Clark)とラガウェル(S T Lagerwall)により提唱された強誘電型液晶素子、また薄膜トランジスター(TFT)を各画素に設けた液晶表示素子等が好ましい例として挙げられる。
【0060】
【実施例】
以下に代表的な実施例により本発明を詳細に説明するがこれに限定されたものではない。例中記載の%、部とはそれぞれ重量%、重量部を意味する。
また、例中用いた原材料種(略記号)は以下の通りである。
【0061】
[試験方法]
(貯蔵安定性試験)
液晶表示セル用シール材組成物100部をポリエチレン製容器に入れ、密封してのち、密封時の20℃粘度値を100とし−10℃/30日経過後の同粘度値の変化率で表す。10%未満の変化率であった場合貯蔵安定性が良好の意味で記号○で、また11〜50%の変化率であった場合を貯蔵安定性がやや問題の意味で記号△で、50%を超える変化があった場合を貯蔵安定性不良の意味で記号×で例中に記載した。
【0062】
(塗付作業性試験)
氷点下以下のポリエチレン製容器に密封保存された液晶表示セル用シール材組成物を取り出し、2時間かけて室温25℃に戻した。その時点の25℃粘度値を100とし25℃で12時間放置後の粘度変化率で表し、15%未満の変化率である場合を塗付作業性は良好として記号○で、また16〜50%の変化率であった場合を塗付作業性にやや欠けるとして記号△で、50%を超える変化がある場合を塗付作業適性に著しく欠けるの意味で記号×で例中に記載した。
【0063】
(透湿度特性)
各例の液晶表示セル用シール材組成物を平滑な離型フィルム上に厚さ70〜150μ厚みで塗布し、150℃で90分硬化させて得られた硬化膜を切り出し、日本工業規格(JIS)の防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)JIS−Z−0208に準じた透湿度試験を実施し、60℃時の24時間で透湿した膜厚100μ当たりの水蒸気量(単位;g/m2・24hrs)を求めた。その結果、透湿度特性が30g/m2・24hrs未満である場合を記号○で、また、透湿度特性が51g/ m2・24hrsを超える場合を記号×で記載した。また透湿度特性が30以上〜50以下 g/m2・24hrsである場合を記号△で例中に表示した。
【0064】
(接合シール試験)
各例に示された条件下の枚葉プレス硬化工程を経て製造された液晶表示用セルを拡大鏡を介して肉眼で観察し、シールラインの乱れの有無、および貫通泡の発生によるシール不良箇所の有無を測定した。
【0065】
(セルの耐熱くさび引き剥がし試験)
各例に示された条件下の枚葉プレス硬化工程を経て製造された液晶表示用セルに60℃環境下でくさびを打ち込みその時の剥離状態で液晶表示セル用シール材組成物の接着力を表す。その結果、基板の破壊である場合は耐熱接着性に優れる意味で記号◎で、また、液晶表示セル用シール材組成物の凝集破壊を一部伴う場合を耐熱接着性は良好の意味で記号○で、また界面剥離を伴う破壊が認められた場合は耐熱接着力に問題があるとして記号×で例中に表示した。
【0066】
(液晶表示セル用シール材組成物の非滲みだし性)
各例に示された条件下の枚葉プレス硬化工程を経て製造された液晶表示用セルに対し、液晶封入口から液晶のしきい値電圧が1.38ボルト,液晶のΔεが12.4であるRC4087[チッソ(株)]液晶材料を真空法で封入した後、その封入口をストラクトボンドES−302[三井化学(株)製]で封口し、フロント側に偏向板を貼り付け更にリヤ側には反射板つき偏向板を取り付けた。その後、該ユニットに駆動回路等を実装させて液晶パネルを作製した。その液晶パネルのシール材近傍の液晶表示機能が駆動初期から正常に機能するか否かで非滲み出し性の評価判定を行った。該判定方法は、シール際まで液晶表示機能が発揮出来ている場合を非滲み出し性が確保されているとして記号○で、シール際の近傍の1mm以内が正常に液晶表示されない場合をやや非滲み出し性に欠けるとして記号△で、またシール際の近傍1.1mmを超えて表示機能の異常を見た場合を非滲み出し性に著しく欠けるとして記号×と表示した。
【0067】
(シール機能耐久性試験)
各例に示された条件下の枚葉プレス硬化工程を経て製造された液晶表示用セルに対し、液晶封入口からRC4087[チッソ(株)]液晶を注入し、その封入口をストラクトボンドES−302[三井化学(株)製]で封口し、液晶パネルを作製した。その液晶パネルを、85℃/RH90%の雰囲気下に250時間、同500時間、同1,000時間それぞれ放置後に取り出し、フロント側に偏向板を貼り付け更にリヤ側には反射板つき偏向板をそれぞれ取り付けた。その後、該ユニットに駆動回路等を実装させて表示機能の変化を観察した。その結果、表示ムラの発生が見られない場合を記号◎で、表示ムラがセル周辺部のシール際からの距離で500μm以内に僅かに見られる場合を記号○で、表示ムラがシール際500μ以上に及び著しく表示機能の低下が発生している場合を記号×で、それぞれ例中に表示する。
【0068】
[使用原材料等]
1. エポキシ樹脂(1)
単官能性エポキシ樹脂としては2−エチルヘキシルモノグリシジルエーテル(略記号;2EHG)(試薬)、t−ブチルフェノールモノグリシジルエーテル(略記号;t−BPMG)(試薬)を選定使用した。
2官能性以上の多価エポキシ樹脂としては以下のものを代表した。
2官能性脂肪族エポキシ樹脂としては、試薬;1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルを、2官能性ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、三井化学製品・商品名「エポミックR−140P」(平均分子量370)、油化シェル製品・商品名「エピコート1001」(平均分子量900)、同・商品名「エピコート1004」(平均分子量1400)を、また2官能性ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、大日本インキ製品・商品名「エピクロン830−S」(平均分子量約350〜370)を、2官能性水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては東都化成製品・商品名「エポトートST−1000」(平均分子量400〜440)を選定使用した。
3官能性エポキシ樹脂としては、ノボラックエポキシ樹脂として東都化成製品・商品名「エポトートYDCN」(分子量約870〜1000)を、トリフェノールエタン型エポキシ樹脂では三井化学社製品「エポミックVG3101」を、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂では油化シェル社製品「エピコートTMH574」を選定使用した。
4官能性アミノエポキシ樹脂としては東都化成製品・商品名「エポトートYH−434」(平均分子量約460)を選定使用した。
【0069】
2.無機質充填剤(3)
無定型シリカ1として、日本アエロジル工業製品・商品名「アエロジル#200」(電子顕微鏡観察法で求めた一次平均粒子サイズ0.08μm)を、略称;無定型シリカ2として信越化学製品・商品名「MU−120」(電子顕微鏡観察法で求めた一次一次平均粒子サイズ0.07μm)を、略称;無定型アルミナとして昭和電工製品・商品名「UA−5105」を、酸化チタンとして石原産業製品・商品名「CR−EL」(632.8nm波長のレーザー照射式粒子径分布測定法により求めた重量加積曲線の50%粒子径を一次平均粒子サイズとする平均サイズで1μm)をそれぞれ使用した。
【0070】
またグラフト化変性アルミナとして以下のものを使用した。
そのグラフト化変性アルミナとは、632.8nm波長のレーザー照射式粒度分布測定法により求めた重量加積曲線から求めた50%平均粒子径で0.1μm、かつ99%粒子径が2μmの無定型γ−アルミナを用意した。そしてその無定型γ−アルミナの1kgに対し、γ−グリシジルプロピルトリメトキシシラン(信越化学製品・商品名KBM403)の30.3gの割合で100℃雰囲気下に噴霧処理して更に80℃で48時間グラウト化熟成させて得たものであり、例中では単にグラフト化変性アルミナと呼ぶ。
なお、グラフト化変性アルミナの10部をトルエン溶剤100部で5回の洗浄後の乾燥試料においても、その乾燥試料をルツボ中で焼くと有機分として1.7%の加熱減量があった事から、γ−グリシドキシプロピルトリメチキシシランとしておよそ2.4%がグラフト化している事が判明した。
【0071】
3.カップリング剤(4)
カップリング剤(4)には、γ−グリシジルプロピルトリメトキシシラン(信越化学製品・商品名KBM403)またはイソシアナートプロピルトリエトキシシラン(日本ユニカー製品・商品名Y−9030)を使用した。
【0072】
4.二塩基酸ジヒドラジド系の潜在性エポキシ硬化剤(2)には、アジピン酸ジヒドラジッド(大塚化学製)[略号;ADH]を、またイミダゾール−エポキシアダクト型潜在性エポキシ硬化剤(2)には、三井化学製品・商品名「Cat−Z−15」[略号;AD2]または味の素製品・商品名「アミキュアーPN−40J」を使用した。
【0073】
(合成例1)
ゴム状ポリマー微粒子(微架橋型アクリルゴム微粒子;S1と略称)含有エポキシ樹脂組成物(a)の合成
攪拌機、気体導入管、温度計、冷却管を備えた2000mlの四つ口フラスコ中に、2官能性のエポキシ樹脂としてビスフェノールF型エポキシ樹脂(エピクロン830S・大日本インキ化学工業(株)製)600g、アクリル酸12g、ジメチルエタノールアミン1g、トルエン50gを加え、空気を導入しながら110℃で5時間反応させ二重結合を導入した。次にブチルアクリレート350g、グリシジルメタクリレート20g、ジビニルベンゼン1g、アゾビスジメチルバレロニトリル1g、及びアゾビスイソブチロニトリル2gを加え反応系内に窒素を導入しながら70℃で3時間反応させ更に90℃で1時間反応させた。次いで110℃の減圧下で脱トルエンを行い、該組成物を光硬化触媒の存在化に低温で速硬化させその硬化物の破断面モルフォロジーを電子顕微鏡で観察して分散ゴム粒子径を測定する方法で得た平均粒子径が0.05μmの微架橋型アクリルゴム微粒子(S1)が均一に分散したエポキシ樹脂組成物(a)を得た。なお、モノマー仕込量と残存モノマーとから算出される微架橋型アクリルゴム微粒子(S1)含有量は37.9重量%と判明した。
【0074】
また、エポキシ樹脂組成物(a)をTBAにかけて求めた微架橋型アクリルゴム微粒子(S1)の軟化点温度は−42℃を示した。
【0075】
(合成例2)
シリコン系のゴム状ポリマー微粒子(架橋型シリコンゴム微粒子;S2)含有エポキシ樹脂組成物(b)の合成
攪拌機、気体導入管、温度計、冷却管を備えた2000mlの四つ口フラスコを用意し、2官能性のエポキシ樹脂としてビスフェノールF型エポキシ樹脂(エピクロン830S・大日本インキ化学工業(株)製)600g、アクリル酸12g、ジメチルエタノールアミン1g、トルエン50gを加え、空気を導入しながら110℃で5時間反応させ二重結合を導入した。次にヒドロキシアクリレート5g、ブチルアクリレート10g、アゾビスイソブチロニトリル1gを加え70℃で3時間反応させ更に90℃で1時間反応させた。次いで110℃の減圧下で脱トルエンを行った。次に分子中にメトキシ基を有するシリコン中間体70g、ジブチルスズジラウレート0.3gを加え150℃で1時間反応を行い、生成メタノールを除去するため更に1時間反応を続行した。このグラフト体に常温硬化型2液タイプのシリコンゴムを1/1で混合したものを300g加え2時間反応させ架橋型シリコンゴム微粒子が均一に分散したS2含有エポキシ樹脂組成物(b)を得た。
【0076】
該組成物(b)を光硬化触媒の存在化に低温で速硬化させその硬化物の破断面モルフォロジーを電子顕微鏡で観察して分散ゴム粒子径を測定する方法で得た平均粒子径値は、1.5μmの架橋型シリコンゴム微粒子(S2)が均一に分散したエポキシ樹脂組成物(b)と判明。また、仕込量から算出される微架橋型シリコンゴム微粒子(S2)含有量は30.0%である。 また、エポキシ樹脂組成物(b)をTBAにかけて求めた微架橋型シリコンゴム微粒子(S2)の軟化点温度は−65℃を示した。
【0077】
(実施例1)
固体エポキシ樹脂であるノボラックエポキシ樹脂「エポトートYDCN」の90部を液状エポキシ樹脂であるt−BPMGの15部とプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートの15部で溶解した液に、更に、平均粒子径が0.05μmの微架橋型アクリルゴム微粒子(S1)が均一に分散したエポキシ樹脂組成物(a)の46部、潜在性エポキシ硬化剤としてADHの15部、硬化促進剤として富士レジン社製品「フジキュアーFXR−1030」の3部、無定型シリカ2の1部、無定型アルミナの10部、平均粒子径が3μのカルナバワックス粉の3部、シランカップリング剤KBM403の2部とを加え、ダルトンミキサーで予備混合し、次に3本ロールで固体原料が5μm以下になるまで混練し、混練物を真空脱泡処理して液晶表示セル用シール材(E1)を得た。
液晶表示セル用シール材(E1)は、一分子中に重量平均2.55個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂からなりその含有量として66.8%、ゴム状ポリマー微粒子含有量が8.7%、無機質充填剤含有量が5.5%、シランカップリング剤含有量が1%、潜在性エポキシ硬化剤含有量7.5%、硬化促進剤含有量1.5%、ワックス含有量1.5%、溶剤7.5%とからなる。なお、E型粘度計による25℃初期粘度がおよそ60Pa・sであった。液晶表示セル用シール材(E1)の貯蔵安定性試験結果、塗付作業性試験結果、透湿度特性結果は表1に示した。
液晶表示セル用シール材(E1)の100部に対し、ガラス短繊維(5μm太さ)スペーサーの5部を配合し、十分混合して得た組成物を、まず、透明電極と配向膜処理された液晶セル用ガラス基板(以下の記載では単にITO基板と呼ぶ)に、1基板当たり1インチサイズ上下左右各1の合計4セルからなるパターンをスクリーン印刷し、幅約0.5mm、厚み約20〜22μmからなるITO基板を得た。その後、80℃熱風乾燥器で8分処理後に、対になるべき別のITO基板を乗せ、位置合わせ後に、−980ヘクトパスカル、150℃/5分の真空枚葉プレス加熱による仮接着工程と無荷重下での150℃/90分加熱本硬化工程の組み合わせによる接合シール試験を10回繰り返し実施した。その結果、シ-ル貫通泡の発生によるシール不良箇所やシールラインの乱れは1サンプルも無く、所望の液晶表示用セル基板がすべてのロットで製造可能であった。
次いで、各セルは個々に切断後、セルのくさび引き剥がし試験結果、120℃/3時間プレッシャークッカー試験後のセルのくさび引き剥がし試験結果、また更に、得られたセルの液晶表示機能の観察結果を併せて表1に記載した。得られたセルを用いて行ったシール機能耐久性試験の結果は表−1に示した。
【0078】
(実施例2)
実施例1に於いて、固形エポキシ樹脂であるクレソールノボラックエポキシ樹脂「エポトートYDCN」の90部に替えて、トリフェノールエタン型エポキシ樹脂の一種である三井化学社製品「エポミックVG3101」の90部とした以外は同様にして液晶表示セル用シール材(E2)を得た。
液晶表示セル用シール材(E2)は、一分子中に重量平均2.55個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂からなりその含有量として66.7%、ゴム状ポリマー微粒子含有量が8.7%、無機質充填剤含有量が5.5%、溶剤が7.5%、シランカップリング剤含有量が1%、潜在性エポキシ硬化剤含有量7.5%、硬化促進剤の含有量1.5%、ワックス含有量1.5%とからなる。なお、E型粘度計による25℃初期粘度が45Pa・sであった。液晶表示セル用シール材(E2)の貯蔵安定性試験結果、塗付作業性試験結果、透湿度特性結果は表1に示した。
液晶表示セル用シール材(E2)の100部に対し、粒子径5μmの球状シリカスペーサーの3部を配合し、十分混合して得た組成物を、まず、透明電極と配向膜処理された液晶セル用ガラス基板(以下の記載では単にITO基板と呼ぶ)に、1基板当たり1インチサイズ上下左右各1の合計4セルからなるパターンをスクリーン印刷し、幅約0.5mm、厚み約20〜22μmからなるITO基板を得た。その後、80℃熱風乾燥器で15分処理後に、対になるべき別のITO基板を乗せ、位置合わせ後に、最大プレス圧0.05MPa/cm2,150℃/5分の剛体枚葉プレス加熱による仮接着工程と無荷重下での150℃/90分加熱本硬化工程の組み合わせによる接合シール試験を10回繰り返し実施した。その結果、シ-ル貫通泡の発生によるシール不良は1サンプルも無く、所望の液晶表示用セル基板がすべてのロットで製造可能であった。
次いで、各セルは個々に切断後、セルのくさび引き剥がし試験結果、120℃/3時間プレッシャークッカー試験後のセルのくさび引き剥がし試験結果、得られたセルのシール貫通不良箇所の有無やシールラインの直線性を拡大鏡で観察し、それらの結果と得られたセルを用いて行ったシール機能耐久性試験の結果は表−1に示した。
【0079】
(実施例3)
エピコートEP−1004の30部とトリスフェノールメタン型エポキシ樹脂である油化シェル社製品「エピコートTMH574」の40部とを、事前に非反応性の溶剤としてブチルセロソルブとエチルセロソルブの重量比1:1からなる混合溶剤の30部に溶解し、その液に、アミノエポキシ樹脂として「エポトートYH−434」の6部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂であるエピクロン830Sの10部、平均粒子径が1.5μmの微架橋型シリコンゴム微粒子(S2)が均一に分散したエポキシ樹脂組成物(b)の42部、潜在性エポキシ硬化剤としてイソフタル酸ジヒドラジッドの14部、硬化促進剤としてN−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール6部、酸化チタン「CR−EL」の3部、グラフト化変性アルミナの12.4部、KBM403の1.6部、軟化点110℃で微粉体状のフィッシャートロプッシュワックスの5部とを加え、ダルトンミキサーで予備混合し、次に3本ロールで固体原料が5μm以下になるまで混練し、混練物を真空脱泡処理して液晶表示セル用シール材(E3)を得た。
液晶表示セル用シール材(E3)は、一分子中に重量平均2.46個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂からなりその含有量として57.3%、ゴム状ポリマー微粒子含有量が6.3%、無機質充填剤含有量が7.7%、シランカップリング剤含有量が0.8%、潜在性エポキシ硬化剤含有量7%、促進剤含有量3%、溶剤含有量15%、ワックス含有量2.5%とからなる。なお、E型粘度計による25℃初期粘度がおよそ60Pa・sであった。液晶表示セル用シール材(E3)の貯蔵安定性試験結果、、塗付作業性試験結果、透湿度特性結果は表1に示した。
液晶表示セル用シール材(E3)の100部に対し、粒子径5μmの球状シリカスペーサーの3部を配合し、十分混合して得た組成物を、まず、透明電極と配向膜処理されたITO基板に、1基板当たり1インチサイズ上下左右各1の合計4セルからなるパターンをスクリーン印刷し、幅約0.5mm、厚み約20〜22μmからなるITO基板を得た。その後、90℃熱風乾燥器で20分乾燥し、対になるべき別のITO基板を乗せ、位置合わせ後に、プレス圧0.05MPa/cm2,150℃/5分の剛体枚葉プレス加熱による仮接着工程と無荷重下での160℃/60分加熱本硬化工程の組み合わせによる接合シール試験を10回繰り返し実施した。その結果、シ-ル貫通泡の発生によるシール不良は1サンプルも無く、所望の液晶表示用セル基板がすべてのロットで製造可能であった。
次いで、各セルは個々に切断後、セルのくさび引き剥がし試験結果、120℃/3時間プレッシャークッカー試験後のセルのくさび引き剥がし試験結果、得られたセルのシール貫通不良箇所の有無やシールラインの直線性を拡大鏡で観察し、それらの結果及び得られたセルを用いて行ったシール機能耐久性試験の結果は表−1に示した。
【0080】
(実施例4)
実施例3に於いて、フィッシャートロプッシュワックスの5部に替えて、融点が85℃の酸化マイクロクリスタリンワックスの5部とした以外は全く同様にして、液晶表示セル用シール材(E4)を調製した。液晶表示セル用シール材(E4)の貯蔵安定性試験結果と塗付作業性試験結果及び透湿度特性結果は表1に示した。
液晶表示セル用シール材(E4)の100部に対し、5μmの球状シリカスペーサーの3部を配合し、十分混合して得た組成物を、まず、透明電極と配向膜処理されたITO基板に、1基板当たり1インチサイズ上下左右各1の合計4セルからなるパターンをスクリーン印刷し、幅約0.5mm、厚み約20〜22μmからなるITO基板を得た。その後、95℃熱風乾燥器で15分熱処理後、対になるべき別のITO基板を乗せ、位置合わせ後に、プレス圧0.05MPa/cm2,180℃/3分の剛体枚葉プレス加熱による仮接着工程と無荷重下での150℃/80分加熱本硬化工程の組み合わせによる接合シール試験を10回繰り返し実施した。その結果、シ-ル貫通泡の発生によるシール不良は1サンプルも無く、所望の液晶表示用セル基板がすべてのロットで製造可能であった。
次いで、各セルは個々に切断後、セルのくさび引き剥がし試験結果、120℃/3時間プレッシャークッカー試験後のセルのくさび引き剥がし試験結果、得られたセルのシール貫通不良箇所の有無やシールラインの直線性を拡大鏡で観察し、それらの結果及び得られたセルを用いて行ったシール機能耐久性試験の結果は表−1に示した。
【0081】
(実施例5)
0〜50℃で固体状のクレゾールノボラックエポキシ樹脂として「エポトートYDCN−703」の70部を、液状のアミノエポキシ樹脂である住友化学社製品「スミカエポキシELM−100」の20部とジエチレングリコールモノメチルエーテル(別名メチルカルビトール)溶剤の16部に溶解した液に、更にゴム状ポリマー微粒子含有エポキシ樹脂組成物(a)の49部、潜在性エポキシ硬化剤としてADHの8部、AD2の6部、アジピン酸の2部、グラフト化変性アルミナの23部、シランカップリング剤KBM403の1部、同Y−9030の3部、更に微粉末状のカルナバワックス2部とを加え、ダルトンミキサーで予備混合し、次に3本ロールで固体原料が5μm以下になるまで混練し、混練物を真空脱泡処理して液晶表示セル用シール材(E5)を得た。
液晶表示セル用シール材(E5)は、一分子中に重量平均2.9個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂からなりその含有量として60.2%、ゴム状ポリマー微粒子含有量が9.3%、無機質充填剤含有量が11.5%、溶剤含有量が8%、シランカップリング剤含有量が2%、潜在性エポキシ硬化剤含有量7%、硬化促進剤であるアジピン酸含有量1%、ワックス含有量1%からなる。なお、E型粘度計による25℃初期粘度が約60〜70Pa・sであった。液晶表示セル用シール材(E5)の貯蔵安定性試験結果と塗付作業性試験結果及び透湿度特性結果は表1に示した。
液晶表示セル用シール材(E5)の100部に対し、太さ5μmのガラス短繊維スペーサーの5部を配合し、十分混合して得た組成物を、まず、透明電極と配向膜処理された液晶セル用ポリエチレンテレフタレートプラスチック基板(以下の記載では単にITOプラスチック基板と呼ぶ)に、1基板当たり1インチサイズ上下左右各1の合計4セルからなるパターンをスクリーン印刷し、幅約0.5mm、厚み約20〜22μmからなるITOプラスチック基板を得た。その後85℃で20分加熱処理後、対になるべき別のITOプラスチック基板を乗せ、位置合わせ後に、プレス圧0.02MPa/cm2,110℃/180分の多段熱プレス加熱方式による接合シール試験を10回繰り返し実施した。その結果、シ-ル貫通泡の発生によるシール不良は1サンプルも無く、所望の液晶表示用セル基板がすべてのロットで製造可能であった。
次いで、各セルは個々に切断後、セルのくさび引き剥がし試験結果、80℃温水浸漬5時間後のセルのくさび引き剥がし試験結果、得られたセルのシール貫通不良箇所の有無やシールラインの直線性を拡大鏡で観察し、それらの結果を表1に記載した。また更に得られたセルを用いて行ったシール機能耐久性試験の結果は表−1に示した。
【0082】
(比較例1)
実施例1に於いて、カルナバワックスを含まない以外は同様にして液晶表示セル用シール材(F1)を調製した。液晶表示セル用シール材(F1)の貯蔵安定性試験結果と塗付作業性試験結果及び透湿度試験結果は表1に示した。
液晶表示セル用シール材(F1)の100部に対し、太さ5μmのガラス短繊維スペーサーの5部を配合し、十分混合して得た組成物を、まず、透明電極と配向膜処理されたITO基板に、1基板当たり1インチサイズ上下左右各1の合計4セルからなるパターンをスクリーン印刷し、幅約0.5mm、厚み約20〜22μmからなるITO基板を得た。その後、80℃熱風乾燥器で20分処理後に対になるべき別のITO基板を乗せ、位置合わせ後に、−980ヘクトパスカル、150℃/5分の真空枚葉プレス加熱による仮接着工程と更に150℃加熱オーブンによる無荷重下で90分本硬化加熱接着工程を経てなる接合シール試験を10回繰り返し実施した。その結果、シ-ル貫通泡の発生によるシール不良箇所やシールラインの乱れは全く発生しなかった。得られたセルを用いて行ったシール機能耐久性試験の結果は表−1に示した。
【0083】
(比較例2)
実施例3に於いて、フィッシャートロプッシュワックスを含まない以外は同様にして液晶表示セル用シール材(F2)を調製した。液晶表示セル用シール材(F2)の貯蔵安定性試験結果と塗付作業性試験結果及び透湿度試験結果は表1に示した。
液晶表示セル用シール材(F2)の100部に対し、太さ5μmのガラス短繊維スペーサーの5部を配合し、十分混合して得た組成物を、まず、透明電極と配向膜処理されたITO基板に、1基板当たり1インチサイズ上下左右各1の合計4セルからなるパターンをスクリーン印刷し、幅約0.5mm、厚み約20〜22μmからなるITO基板を得た。その後、80℃熱風乾燥器で20分処理後に対になるべき別のITO基板を乗せ、位置合わせ後に、プレス圧0.03MPa/cm2,180℃/3分の剛体枚葉プレス加熱による仮接着工程を経た後引き続き150℃加熱オーブン中に入れて無荷重下に90分本硬化接着工程を経てなる接合シール試験を10回繰り返し実施した。その結果、シ-ル貫通泡の発生によるシール不良箇所やシールラインの乱れは全く発生しなかった。得られたセルを用いて行ったシール機能耐久性試験の結果は表−1に示した。
【0084】
(比較例3)
実施例1に於いて、カルナバワックスの添加配合量を3部(1.5%)に替えて33部(15%)とした以外は全く同様の組成物217部を得、比較液晶表示セル用シール材(F3)とした。
液晶表示セル用シール材(F3)は、ワックス含有量が15%からなるが、LCD用ガラス基盤に50μ塗布後、80℃で15分プレキュアー後、150℃加熱オーブン中で90分硬化させた。その後取り出してセロテープ剥離すると容易にガラス界面からの剥離現象が観察された。また更に、120℃プレッシャークッカー試験に10分かけた所、硬化塗膜はガラス基盤から全て剥離しており、接着信頼性に著しく欠ける事が判明した事から、液晶表示セル用シール材に関わる貯蔵安定性試験、塗布作業性試験、透湿度特性試験、セルによるシール機能耐久性試験には供しなかった。
【0085】
(実施例6)
実施例(5)に於いてカルナバワックスの2部に替えて東洋ペトロライト社製品;製品名ペトロライトE1040(融点106℃,酸化ポリエチレンワックス系ワックス)の2部とした以外は全く同様にして液晶表示セル用シール材(E6)を調製した。
液晶表示セル用シール材(E6)の貯蔵安定性試験結果と塗付作業性試験結果及び透湿度試験結果は実験誤差以内で実施例5の結果と同じであった。
液晶表示セル用シール材(E6)の100部に対し、太さ5μmのガラス短繊維スペーサーの5部を配合し、十分混合して得た組成物を、まず、透明電極と配向膜処理されたITO基板に、1基板当たり1インチサイズ上下左右各1の合計4セルからなるパターンをスクリーン印刷し、幅約0.5mm、厚み約20〜22μmからなるITO基板を得た。その後、80℃熱風乾燥器で20分処理後に対になるべき別のITO基板を乗せ、位置合わせ後に、プレス圧0.03MPa/cm2,150℃/90分の熱プレス加熱方式による接合シール試験を10回繰り返し実施した。その結果、シ-ル貫通泡の発生によるシール不良箇所やシールラインの乱れは全く発生しなかった。得られたセルを用いて行ったシール機能耐久性試験の結果は1000時間後で○と良好であった。
【0086】
【表1】
Figure 0003933356
【0087】
【発明の効果】
本発明の液晶表示セル用シール材は、1液型で
イ.貯蔵安定性ならびに塗布作業性が良好で、
ロ.プレキュアー後の仮接着性が高く、
ハ.特に枚葉プレス加熱接着方式で非滲み出し性、シールラインの直線性、正確なギャップ幅制御性が優れ、
ニ.その硬化体は室温から高温域に於いて低透湿性に優れ、
ホ.高温時の接着耐久性に優れており、得られる液晶表示セルは高温多湿環境下での長時間表示安定性が確保することができる事が明らかである。
特に、実施例1〜実施例5で明らかな様に、本願発明の液晶表示セル用シール材で製造された液晶表示素子は、その液晶表示セル用シール材自体の硬化体の60℃透湿度が、30g/m2・24hrs未満の低透湿性機能膜物性を持つ事によりシール機能耐久性試験の結果で500時間を越え、更に1000時間後の液晶表示機能結果も良好(○)であり、高温多湿環境下に於ける液晶表示耐久性機能が保持されている作用効果が明らかである。一方、比較例1または比較例2では、液晶表示セル用シール材硬化膜物性の60℃透湿度が30g/m2・24hrsを越える組成物を用いて製造された液晶表示素子ではシール機能耐久性試験の結果で500時間を越えた表示機能の安定保持は困難な事が明らかであり、結果として液晶表示素子の寿命が短命に終わっている。
すなわち、本願発明の液晶表示セル用シール材組成物を用いて製造された液晶表示セルは高温多湿環境下での長時間表示安定性が確保できる事が特徴と言える。
本願発明の液晶表示素子では、車両等高温多湿状況において使用される設備に用いることができた。

Claims (16)

  1. 1液性の液晶表示セル用シール材において、軟化点が50℃以上の高軟化点アクリルポリマーの含有率が 0.1重量%未満であり、(1) 一分子中にエポキシ基を平均2.3個以上持つエポキシ樹脂 22〜84.8重量%、(2) 熱活性な潜在性エポキシ硬化剤 5〜25重量%、(3) 無機質充填剤 5〜25重量%、(4) シランカップリング剤 0.1〜3重量%、(5) (1)と相溶する溶剤 5〜20重量%、(6) ワックス 0.1〜5重量%からなり、その液晶表示セル用シール材の厚み100μmの硬化膜を通過する60℃,95%相対湿度環境下24時間水蒸気透過量で表される60℃透湿度が、30g/m2・24hrs未満であることを特徴とする液晶表示セル枠用シール材。
  2. (7) 更に0℃以下の軟化点温度を持ちその一次粒子の平均粒子径が5μm以下からなるゴム状ポリマー微粒子 1〜10重量%、及び(8) 硬化促進剤 0.1〜5重量%又は(9)ギャップ出しコントロール剤の0.1〜5重量%からなることを特徴とする請求項1記載の液晶表示セル用シール材。
  3. 1液性の液晶表示セル用シール材において、軟化点が50℃以上の高軟化点アクリルポリマーの含有率が 0.1重量%未満であり、(1) 一分子中にエポキシ基を平均2.3個以上持つエポキシ樹脂 24〜83.6重量%、(2) 熱活性な潜在性エポキシ硬化剤 5〜23重量%、(3) 無機質充填剤 5〜15重量%、(4) シランカップリング剤 0.1〜3重量%、(5) (1)と相溶する溶剤 5〜15重量%、(6) ワックス 0.1〜5重量%、(7) 0℃以下の軟化点温度を持ちその一次粒子の平均粒子径が5μm以下からなるゴム状ポリマー微粒子 1〜10重量%、(8) 硬化促進剤 0.1〜2.5重量%、(9)ギャップ出しコントロール剤の0.1〜2.5重量%からなり、その液晶表示セル用シール材の厚み100μmの硬化膜を通過する60℃,95%相対湿度環境下24時間水蒸気透過量で表される60℃透湿度が、30g/m2・24hrs未満であることを特徴とする液晶表示セル枠用シール材。
  4. 前記エポキシ樹脂(1)が、(1−1)0〜50℃で液状のエポキシ樹脂と、(1−2)0〜50℃で固形のエポキシ樹脂との混合物であり、その重量比(1−1):(1−2)が1:9〜9:1の範囲にあり、0℃〜120℃の範囲下で液体である事を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示セル用シール材。
  5. 前記(1−1)0〜50℃で固体のエポキシ樹脂が、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリフェノールエタン型エポキシ樹脂の群から選ばれる少なくとも1種またはそれらの混合物とすることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示セル用シール材。
  6. 前記(7)のゴム状ポリマー微粒子が、シリコンゴム微粒子、アクリルゴム微粒子、ポリオレフィンゴム微粒子の群から選ばれる少なくとも1種又はそれらの混合物の微粒子であり、その軟化点が−30℃以下であり、一次粒子の平均粒子径が0.01〜3μmの範囲のである事を特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の液晶表示セル用シール材。
  7. 前記(7)のゴム状ポリマー微粒子が架橋性ゴム粒子である事を特徴とする請求項6記載の液晶表示セル用シール材。
  8. 前記(5)溶剤が、1atm下150〜300℃の沸点を有し、(1)と相溶性を有し、かつ(3)シランカップリング剤と反応性を有さないエーテル溶剤、アセテート溶剤の群から選ばれた少なくとも1種または2種以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の液晶表示セル用シール材。
  9. 前記(5)溶媒が、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテートから選ばれた少なくとも1種とすることを特徴とする請求項8記載の液晶表示セル用シール材。
  10. 前記(6)ワックスが、60〜160℃に融点を持つ事を特徴とする請求項1〜9にいずれか記載の液晶表示セル用シール材。
  11. 前記(6)ワックスがカルナバワックス、マイクロクリスタリンワックス、変性マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、変性フィッシャートロプッシュワックスから選ばれた少なくとも1種とする事を特徴とする請求項10記載の液晶表示セル用シール材。
  12. 前記(2)熱活性な潜在性エポキシ硬化剤が、2塩基酸ジビドラジド化合物、イミダゾールアダクト体、ポリアミンアダクト体の群から選ばれた少なくとも1種とすることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の液晶表示セル用シール材。
  13. 前記(1)エポキシ樹脂が1分子中にエポキシ基を重量平均2.5個以上有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定によるポリスチレン換算数平均分子量が7000以下であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の液晶表示セル用シール材。
  14. (3)無機質充填剤の少なくとも1部が、(1)エポキシ樹脂及び/又は(4)シランカップリング剤とのグラフト体であり、その繰り返し溶剤洗浄法で求めた重量増加率で表されるグラフト率が、(3)の100重量部当たり、グラフト結合した(1)エポキシ樹脂と(4)シランカップリング剤の総和で1〜50重量部であることを特徴とする請求項1〜13にいずれか記載の液晶表示セル用シール材。
  15. 請求項1〜14にいずれか記載の液晶表示セル用シール材をガラス製またはプラスチック製の液晶セル用基板の接合シール構成部位に印刷またはディスペンス塗布し、70〜100℃で1〜20分プレキュアー後、もう一方の未塗布対象同基板との対で位置合わせを行った後、その対基板を110〜170℃で熱圧締処理し、該対基板を3〜7μmの範囲で均質な厚みに接合固定させる事を特徴とする液晶表示セルの製造方法。
  16. 請求項15の液晶表示セルの製造方法で得られ、該セル内に液晶材料を注入し、注入孔を2液型液晶シール材組成物で封孔させて得られた液晶表示素子。
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