JP4014352B2 - 液晶シール剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示セル用シール剤組成物および液晶表示セルの製造方法、液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピューターをはじめ各種機器の表示パネルとして軽量、薄型の特徴を有した液晶表示パネル(以下、液晶素子とも言う)が広く使用されるようになった。また、その使用環境も液晶表示素子が多く使われるにつれて益々厳しくなってきていると共に、液晶表示セルも大型化、均質かつ高品位なものが望まれている。
【0003】
液晶シール剤組成物とは、液晶表示素子を構成する部材として重要な透明電極や配向膜を適宜配した透明なガラス基板又は同プラスチック基板の間に液晶を封入し、それが外部に漏れないように封じ込めたセルを形成するために用いられる熱硬化性樹脂組成物を言う。
1液型熱硬化性の液晶シール剤組成物としては、例えば、溶剤を適宜含むエポキシ樹脂とヒドラジッド系潜在性エポキシ硬化剤などからなる1液型熱硬化性の液晶シール剤組成物が提案されている。該組成物群は、液晶セルのシール特性に関する基本的な性能、すなわち接着シール性、耐熱性、電気絶縁性、液晶非汚染性等は十分満足されるものの、均質かつ高品位な液晶表示セルの生産方式の一つとして重要視されてきた枚葉プレス加熱接着方式では、シール貫通泡の発生が生じがちであった。
【0004】
その一方、近年では、特に大型液晶ディスプレーの必要性が強くなり、取り扱われる液晶セル用基板の大型化への移行と共に、その大型基板に対応可能な高接着信頼性のある液晶シール剤組成物の出現が求められている。と同時に、枚葉プレス加熱接着方式による液晶表示セルの生産方式に適合可能な液晶シール剤組成物の出現も望まれている。
さらに、これまでよりも一層激しい環境下、例えば80℃多湿環境下で長時間使用可能な高品位液晶素子を製造可能な液晶シール剤組成物の要求も近年では益々強まっている実状にある。
【0005】
当該分野の生産現場では、より均質で高品質な液晶表示パネルを生産すべく、加熱接着工程の見直しが盛んである。生産性の点からは、従来から、例えば多数枚一括加熱圧締接着方式が良いとされ、広く行なわれてきた。ところが、多数枚一括加熱圧締接着方式は、片方の基板に液晶シール剤組成物が塗られた液晶セル構成用基板2枚組を多数組積層した状態で真空圧締後、加熱炉にて加熱接着工程を経て生産する方式であり、上中下の位置でセル品質に多少なりとも差がでる傾向にあることが問題であった。
それゆえ、枚葉プレス加熱接着方式、すなわち、液晶セル用透明基板2枚組を一組づつ加熱圧締接着シールする方法が新たに提案されるに至った。
【0006】
しかし、該枚葉プレス加熱接着方式では、すでに公知の1液加熱硬化型の液晶シール剤組成物では、シール貫通泡の発生、シール幅の著しい乱れ、シール部周辺部への汚染の増大(液晶表示不良発生)などの問題が生じがちであった。
そこで、枚葉プレス加熱接着方式に対応可能で、かつ高速生産性を発揮でき、80℃多湿環境下に耐えうる新規な液晶シール剤組成物が強く求められているのが実状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような社会的背景から、解決すべき課題とは、大型サイズの液晶素子用基板にも対応可能で、かつ枚葉プレス加熱接着方式で高生産性を発揮でき、80℃多湿環境下においても長時間耐えられる液晶素子を与えることが可能な液晶シール剤組成物を提供することにあり、より詳しくは、枚葉プレス適合性に富み、それを用いて得られた液晶表示セルが、耐熱性や水蒸気ガスバリヤー性に優れ、かつ寸法安定性や長時間表示安定性が確保可能である液晶シール剤組成物の提供にある。
また、合わせてその液晶シール剤組成物を用いた液晶表示セルの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、特定のエポキシ樹脂、潜在性エポキシ硬化剤、特定のゴム状ポリマー微粒子、特定の無機質充填剤、特定の高軟化点ポリマー微粒子と、必要に応じて更にシランカップリング剤、硬化促進剤、溶剤、ギャップ出しコントロール剤とをそれぞれ特定範囲で含有する組成物が、上記課題を解決することを見出し本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明の液晶シール剤組成物とは、〔1〕乃至〔14〕を提供するものである。
〔1〕エポキシ樹脂組成物であって、
(a)該組成物と同質量の純水とを混和させて得られる水溶液のイオン伝導度が1mS/m以下であり、
(b)該エポキシ樹脂組成物を50μm厚みに塗布したときの80乃至100℃/20分熱処理後の組成物のE型粘度が、80乃至100℃に於いて50乃至10000Pa・sであり、
該エポキシ樹脂組成物の硬化体が、
(c)該組成物硬化体のサーモメカニカルアナライザー(TMA)から求めた0℃乃至100℃の線膨張係数が10×10-5mm/mm/℃以下であり、
(d)該組成物硬化体のサーモメカニカルアナライザー(TMA)から求めた熱変形温度Tgが100℃以上であり、
(e)該組成物を100μ厚みの硬化体としたとき、該硬化体を通過する80℃透湿度が200g/m2・24hrs以下である液晶シール剤組成物。
【0010】
〔2〕一分子中にエポキシ基を平均1.2ケ以上持ってなるエポキシ樹脂(1)20乃至88.9質量%と、
0℃以下の軟化点温度を持ち、その一次粒子径が5μm以下からなるゴム状ポリマー微粒子(2)1乃至15質量%、
無機質充填剤(3)5乃至50質量%、
熱活性な潜在性エポキシ硬化剤(4)5乃至30質量%、
50℃以上の軟化点温度を持ち、その一次粒子径が2μm以下の高軟化点ポリマー微粒子(5)0.1乃至9.5質量%
を含有してなる〔1〕記載の液晶シール剤組成物。
【0011】
〔3〕前記組成物中にシランカップリング剤(6)0.1乃至5質量%及び硬化促進剤(7)0.1乃至10質量%を更に含有してなる〔2〕記載の液晶シール剤組成物。
〔4〕前記組成物中にエポキシ樹脂と相溶し、かつ沸点が150乃至230℃の範囲にある溶剤(8)1乃至25質量%を更に含有してなる〔2〕または〔3〕のいずれかに記載の液晶シール剤組成物。
〔5〕前記組成物中にギャップ出しコントロール剤(9)0.1乃至5質量%を更に含有してなる〔2〕乃至〔4〕のいずれかに記載の液晶シール剤組成物。
【0012】
〔6〕前記組成物10mgを不活性ガス雰囲気中、毎分5℃で等速昇温させてなる示差熱分析(DSC)の示差熱ピーク曲線から求められた最大発熱ピーク温度が135乃至180℃の範囲にある〔2〕乃至〔5〕のいずれかに記載の液晶シール剤組成物。
〔7〕前記組成物が、1液型エポキシ樹脂組成物であると共に、その液晶シール剤組成物10mgを不活性ガス雰囲気中、毎分5℃で等速昇温させてなる示差熱分析(DSC)の示差熱ピーク曲線から求められた発熱開始温度が60乃至130℃の範囲にある〔2〕乃至〔6〕のいずれかに記載の液晶シール剤組成物。
【0013】
〔8〕前記エポキシ樹脂(1)が、特に一分子中にエポキシ基を平均1.7個以上有するエポキシ樹脂であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定によるポリスチレン換算数平均分子量が7000以下である〔4〕乃至〔7〕のいずれか記載の液晶シール剤組成物。
〔9〕前記ゴム状ポリマー微粒子(2)及び高軟化点ポリマー微粒子(5)が、エポキシ樹脂中にそれぞれ粒子として分散した状態で存在する〔4〕乃至〔8〕のいずれかに記載の液晶シール剤組成物。
〔10〕前記高軟化点ポリマー微粒子(5)が、60乃至150℃の軟化点温度を持ち、一次粒子径が0.01乃至2μmの範囲で、ポリマー成分中に0.1乃至5質量%の割合でエポキシ基が導入され、かつ微架橋構造を持ったポリ(メタ)アクリレート主成分型の高軟化点ポリマー微粒子である〔4〕乃至〔9〕のいずれかに記載の液晶シール剤組成物。
【0014】
〔11〕前記無機質充填材(3)の少なくとも一部が、繰り返し溶剤洗浄法で求めた質量増加率で表されるグラフト化率で、無機質充填材の100質量部当たりエポキシ樹脂またはシランカップリング剤の1乃至50質量部がグラフト結合されている〔4〕乃至〔10〕のいずれかに記載の液晶シール剤組成物。
〔12〕前記溶剤(8)が、沸点が150乃至230℃の範囲にある、ケトン溶剤、エーテル溶剤、エステル溶剤から選ばれた少なくとも1種である〔4〕乃至〔11〕のいずれかに記載の液晶シール剤組成物。
【0015】
〔13〕〔1〕乃至〔12〕のいずれかに記載の液晶シール剤組成物をガラス製またはプラスチック製の液晶セル用基板の接合シール構成部位に印刷またはディスペンス塗布し、70乃至120℃でプレキュアー後、前記処理を実施していない基板との対で位置合わせを行った後、その対基板を100乃至200℃で熱圧締処理し、該対基板を3乃至7μmの範囲で均質な厚みに接合固定させた後、該セル内に液晶材料を注入し、注入孔を2液型液晶シール剤組成物で封孔させる液晶表示セルの製造方法。
【0016】
〔14〕〔1〕乃至〔12〕のいずれかに記載の液晶シール剤物をガラス製またはプラスチック製の液晶セル用基板の接合シール構成部位に印刷またはディスペンス塗布し、70乃至120℃でプレキュアー後、前記処理を実施していない基板との対で位置合わせを行った後、その対基板を100乃至200℃で熱圧締処理し、該対基板を3乃至7μmの範囲で均質な厚みに接合固定させて得られた該セル内に液晶材料を注入し、注入孔を2液型液晶シール剤組成物で封孔させて得られた液晶表示素子。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の液晶シール剤組成物とは、
(a)該組成物と同質量の純水とを混和させて得られる水溶液のイオン伝導度が1mS/m以下であり、
(b)該エポキシ樹脂組成物を50μm厚みに塗布したときの、80乃至100℃/20分熱処理後の組成物のE型粘度が80乃至100℃に於いて50乃至10000Pa・sであり、
また、該エポキシ樹脂組成物の硬化体が、
(c)該組成物硬化体のサーモメカニカルアナライザー(TMA)から求めた0℃乃至100℃の線膨張係数が10×10-5mm/mm/℃以下であり、
(d)該組成物硬化体のサーモメカニカルアナライザー(TMA)から求めた熱変形温度Tgが100℃以上であり、
(e)該組成物を100μ厚みの硬化体としたとき該硬化体を通過する80℃透湿度が200g/m2・24hrs以下
である組成物である。
【0018】
(b)の条件は、例えば大型液晶ディスプレー製造時の加熱接着工程、より具体的にはBステージ等におけるシール材に要求される物性であり、このBステージ化組成物のE型粘度が80乃至100℃に於いて50Pa・s以上とすることにより、例えば枚葉プレス加熱圧締接着時(以下、単に枚葉プレス又は枚葉熱プレスと呼ぶ)に貫通泡の発生が著しく抑制され、実質的に発生することがなくなる。また、80乃至100℃に於いて10000Pa・s以下とすることにより、例えば枚葉プレス加熱圧締接着時に所望するギャップ厚みコントロール性が向上し、作業効率が向上するので好ましい。
更には前記熱処理後の組成物は、80乃至100℃E型粘度が75乃至5000Pa・sの範囲であることがより好ましく、特に好ましくは100乃至1000Pa・sの範囲である。
【0019】
本発明の液晶シール剤組成物は、その10mgを不活性ガス雰囲気中、毎分5℃で等速昇温させてなる示差熱分析(DSC)の示差熱ピーク曲線から求められた最大発熱ピーク温度が135乃至180℃の範囲内であることが好ましい。135℃以上とすることにより、枚葉熱プレス接着時の低温速硬化性が確保できる。また180℃以下とすることで、必要以上に液晶セル製造条件が過酷となることを回避できる。
【0020】
本発明の液晶シール剤組成物が、1液型エポキシ樹脂組成物である場合、その液晶シール剤組成物10mgを不活性ガス雰囲気中、毎分5℃で等速昇温させてなる示差熱分析(DSC)の示差熱ピーク曲線から求められた発熱開始温度が60乃至130℃の範囲内であることが好ましい。60℃以上とすることにより液晶シール剤組成物の室温付近で取り扱う際の粘度安定性が確保できる。また130℃以下とすることで枚葉熱プレス接着時の低温速硬化性が確保できる。
【0021】
また、液晶シール剤組成物の硬化体に関わる80℃透湿度を特定範囲以下とすることにより液晶の耐久性を著しく向上することができる。すなわち、液晶シール剤組成物の100μm厚みの硬化膜を通過する80℃,95%相対湿度環境下24時間の水蒸気透過量で表される80℃透湿度が、200g/m2・24hrs以下とすることによって、液晶表示セル内に短時間内に水分の進入することを著しく抑制することができ、結果として表示ムラや応答速度の低下等を防止することができる。特に近年要求されている高温度、高湿度下においても長期間安定に動作することができる。
本発明の液晶シール剤組成物では、80℃透湿度が150g/m2・24hrs未満とすることがいっそう好ましく、特に好ましくは100g/m2・24hrs未満である。
【0022】
また、液晶シール剤組成物硬化体の熱変形温度特性(Tg特性)を特定範囲とすることにより、液晶の使用の可能範囲が広がる。特に近年要求されているより高温度下において使用することが可能となる。すなわち、硬化体のサーモメカニカルアナライザー(TMA)より求められた熱変形温度(Tg)が100℃以上とすることにより、得られる液晶表示素子が長期間、より高い表示信頼限界温度で使用可能となる。より詳しくは、得られる液晶表示素子が80℃高温環境下に長時間さらされた際の信頼性が確保出来る。熱変形温度は110℃以上であることがより好ましく、特に好ましくは115乃至180℃の範囲である。
【0023】
さらに、液晶シール剤組成物硬化体の0乃至100℃の線膨張係数を特定範囲とすることにより、得られる液晶表示素子の寸法安定性が確保出来る。液晶シール剤組成物の硬化体の該線膨張係数を、10×10-5mm/mm/℃以下とすることにより、高温度高湿度下においても長期間、表示ミダレや応答速度の低下を防止することができる。
また、本発明の液晶表示セルシール材用組成物では、硬化体のサーモメカニカルアナライザー(以下単にTMAと呼ぶ)より求めた線膨張係数が、好ましくは5×10-5mm/mm/℃未満、特に好ましくは3×10-5mm/mm/℃未満とすることが望ましい。
【0024】
本発明の液晶シール剤組成物では、その液晶シール剤組成物中の遊離イオン濃度の指標として、液晶シール剤組成物と同質量の純水とを5乃至30分間混和させてなる水溶液のイオン伝導度であらわすとき、そのイオン伝導度を1mS/m以下とする。イオン伝導度を1mS/m以下とすることにより、最終的に得られる液晶表示素子の長期間表示機能性の保持が図れる。好ましくは0.5mS/m以下、特に好ましくは0.2mS/m以下である。
【0025】
本発明の液晶シール剤組成物は、一分子中にエポキシ基を平均1.2個以上持つエポキシ樹脂(1)[以下、単にエポキシ樹脂(1)と呼ぶ。]、0℃以下の軟化点温度を持ち、その一次粒子の平均径が5μm以下であるゴム状ポリマー微粒子(2)、無機質充填剤(3)、熱活性な潜在性エポキシ硬化剤(4)[以下、単に硬化剤(4)と呼ぶ。]、50℃以下の軟化点温度を持ちその一次粒子の平均径が2μm以下である高軟化点ポリマー微粒子(5)、更に必要に応じて、シランカップリング剤(6)、硬化促進剤(7)、エポキシ樹脂と相溶しエポキシ基に対し不活性な溶剤(8)(以下、単に溶剤(8)と記す)、ギャップ出しコントロール剤(9)、その他添加剤からなるものである。
【0026】
次に、その構成成分を具体的に説明する。
(1)エポキシ樹脂
本発明に用いられるエポキシ樹脂(1)は、一分子中にエポキシ基を平均1.2個以上有するエポキシ樹脂である。好ましくは1分子中にエポキシ基を平均1.7個以上、特に好ましくは平均2個以上6個以下である。一分子中にエポキシ基を平均1.2個以上とすることにより耐熱性が向上する。エポキシ樹脂(1)は一種でも相異する樹脂の混合物であってもよく、室温で固体または液体に関わらず使用できる。
【0027】
本発明に用いるエポキシ樹脂は、所定のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂又はその混合物であれば特に制限はなく、単官能性エポキシ樹脂と多官能性エポキシ樹脂の混合物、または多官能エポキシ樹脂の単独または混合物を用いることができる。更には、それらの変性エポキシ樹脂なども好ましく使用できる。特に制約するものではないが、液晶シール剤組成物中のエポキシ樹脂は、液体クロマトグラフィーで分取し、エポキシ基当量と質量平均分子量とから該エポキシ樹脂一分子あたりの官能基数を求めることが出来る。
【0028】
特に好ましいエポキシ樹脂(1)としては、その単体または複数種の混合物に於いて同質量の純水と30分間接触混合させ分離抽出された抽出水のイオン伝導度で2mS/m以下、より好ましくは1mS/m以下、特に好ましくは0.5mS/m以下であるものが好ましい。
該抽出水のイオン伝導度が2mS/m以下であれば、最終的に得られる本発明の液晶シール剤組成物の硬化体が液晶接触時に於いて、液晶相に遊離イオンの移行を著しく抑制または実質的に回避できるからである。異なる種類のエポキシ樹脂を2種以上用いる場合にはその混合物中の遊離イオンの総和含有量としての指標として、前記した要件を満たせば良い。
【0029】
エポキシ樹脂(1)は0乃至50℃の温度範囲で液体のエポキシ樹脂(1−1)と0乃至50℃の温度範囲で固形のエポキシ樹脂(1−2)との混合物であることが好ましい。また該混合物は0℃乃至120℃で液体となることが好ましい。
【0030】
混合物中の0乃至50℃の温度範囲で固形のエポキシ樹脂(1−2)は、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリフェノールエタン型エポキシ樹脂の群から選ばれる少なくとも一つの樹脂又はその混合物とすることが特に好ましい。
【0031】
エポキシ樹脂(1)では0乃至50℃の温度範囲で液体のエポキシ樹脂(1−1)と0乃至50℃の温度範囲で固形のエポキシ樹脂(1−2)との混合質量比率を(1−1):(1−2)で表して、(5:95)乃至(70:30)の範囲とすることが良く、より好ましくは(10:90)乃至(40:60)である。
【0032】
また、エポキシ樹脂(1)としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、単にGPCという)により求められた、ポリスチレン換算質量平均分子量が7000以下のものが好ましく、150乃至3000の範囲がより好ましく、350乃至2000の範囲にあるものが最も好ましい。
GPCによるポリスチレン換算質量平均分子量が7000以下であると、80乃至100℃/20分熱処理後の組成物のE型粘度が、80乃至100℃に於いて50乃至10000Pa・sとすることができ、枚葉プレス加熱圧締接着適性が一層向上できる。また、ポリスチレン換算質量平均分子量を150以上とすることにより、得られる硬化体の架橋密度を高く保つことができ、耐熱シール信頼性が確保できことからより好ましい。
【0033】
エポキシ樹脂(1)の含有量は液晶シール剤組成物中、20乃至88.9質量%であり、好ましくは30乃至70質量%である。
【0034】
また、下記のエポキシ樹脂では、前記の要件を満たすように直接合成したもの、精製または高純度化したもの等を用いてもよい。精製方法としては、同質量の純水と10ないし30分間混合させて得られる抽出水のイオン伝導度を所定の範囲になるように精製できるものであればいずれの方法でも用いることができるが、例えば、水洗浄−溶剤抽出精製法や限外ロ過法や蒸留精製法などが挙げられる。
【0035】
<単官能性エポキシ樹脂>
本発明に用いられる単官能性エポキシ樹脂としては、例えば、脂肪族モノグリシジルエーテル化合物、脂環族モノグリシジルエーテル化合物、芳香族モノグリシジルエーテル化合物、脂肪族モノグリシジルエステル化合物、芳香族モノグリシジルエステル化合物、脂環族モノグリシジルエステル化合物、窒素元素含有モノグリシジルエーテル化合物、モノグリシジルプロピルポリシロキサン化合物、モノグリシジルアルカン等が挙げられる。これら以外の単官能性エポキシ樹脂を用いても良いことは言うまでもない。
【0036】
(脂肪族モノグリシジルエーテル化合物)
例えば、炭素数が1〜6のアルキル基を有するポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル類とエピクロルヒドリンとの反応で得られる脂肪族モノグリシジルエーテル化合物や、脂肪族アルコール類とエピクロルヒドリンとの反応で得られる脂肪族モノグリシジルエーテル化合物等が挙げられる。
炭素数が1〜6のアルキル基を有するポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル類としては、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等が挙げられる。
【0037】
脂肪族アルコールとしては、例えばn−ブタノール、イソブタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ジメチロールプロパンモノアルキルエーテル、トリメチロールプロパンジアルキルエーテル、グリセリンジアルキルエーテル、ジメチロールプロパンモノアルキルエステル、トリメチロールプロパンジアルキルエステル、グリセリンジアルキルエステル等が挙げられる。
【0038】
(脂環族モノグリシジルエーテル化合物)
例えば、炭素数が6〜9の飽和環式アルキル基を有する脂環族アルコール類とエピクロルヒドリンとの反応で得られた脂環族モノグリシジルエーテル化合物等が挙げられる。
反応に用いられる脂環族アルコール類としては、シクロヘキサノール等が挙げられる。
【0039】
(芳香族モノグリシジルエーテル化合物)
例えば、芳香族アルコール類とエピクロルヒドリンとの反応で得られた芳香族モノグリシジルエーテル化合物等が挙げられる。
反応に用いられる芳香族アルコール類としては、フェノール、メチルフェノール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、n−ブチルフェノール、ベンジルアルコール、t−ブチルフェノール、キシレノール、ナフトール等が挙げられる。
【0040】
(脂肪族又は芳香族モノグリシジルエステル化合物)
例えば、脂肪族ジカルボン酸モノアルキルエステルまたは芳香族ジカルボン酸モノアルキルエステルとエピクロルヒドリンとの反応で得られた脂肪族モノグリシジルエステル化合物または芳香族モノグリシジルエステル化合物等が挙げられる。
【0041】
<多官能性エポキシ樹脂>
多官能性エポキシ樹脂としては、通常一分子中に平均2乃至6個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であるが、本発明の効果を阻害しない範囲であればそれ以上のエポキシ基を有する樹脂を用いることもできる。
多官能性エポキシ樹脂としては、例えば脂肪族多価グリシジルエーテル化合物、芳香族多価グリシジルエーテル化合物、トリスフェノール型多価グリシジルエーテル化合物、ハイドロキノン型多価グリシジルエーテル化合物、レゾルシノール型多価グリシジルエーテル化合物、脂肪族多価グリシジルエステル化合物、芳香族多価グリシジルエステル化合物、脂肪族多価グリシジルエーテルエステル化合物、芳香族多価グリシジルエーテルエステル化合物、脂環族多価グリシジルエーテル化合物、脂肪族多価グリシジルアミン化合物、芳香族多価グリシジルアミン化合物、ヒダントイン型多価グリシジル化合物、ビフェニル型多価グリシジル化合物、ノボラック型多価グリシジルエーテル化合物、エポキシ化ジエン重合体等が挙げられる。なお、これら以外の多官能性エポキシ樹脂や変性エポキシ樹脂も用いることができることは言うまでもない。以上の化合物、樹脂、変性樹脂は、それぞれ単独で用いても複数を併用してもよい。
【0042】
(脂肪族多価グリシジルエーテル化合物)
例えば、ポリアルキレングリコール類又は多価アルコール類とエピクロルヒドリンとの反応で得られた脂肪族多価グリシジルエーテル化合物等が挙げられる。
反応に用いられるポリアルキレングリコール類としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
反応に用いられる多価アルコール類としては、ジメチロールプロパン、トリメチロールプロパン、スピログリコール、グリセリン等が挙げられる。
【0043】
(芳香族多価グリシジルエーテル化合物)
例えば、芳香族ジオール類とエピクロルヒドリンとの反応で得られた芳香族多価グリシジルエーテル化合物等が挙げられる。
反応に用いられる芳香族ジオールとしては例えばビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、ビスフェノールAD等が挙げられる。
【0044】
(トリスフェノール型多価グリシジルエーテル化合物)
例えば、トリスフェノール類とエピクロルヒドリンとの反応で得られたトリスフェノール型多価グリシジルエーテル化合物が挙げられる。
反応に用いられるトリスフェノール類としては、4,4′,4″−メチリデントリスフェノール、4,4′,4″−メチリデントリス(2−メチルフェノール)、4,4′−[(2−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,3,6−トリメチルフェノール]、4,4′,4″−エチリデントリスフェノール、4,4′−[(2−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2−メチルフェノール]、4,4′−[(2−ヒドロキシフェニル)エチレン]ビス[2−メチルフェノール]、4,4′−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2−メチルフェノール]、4,4′−[(4−ヒドロキシフェニル)エチレン]ビス[2−メチルフェノール]、4,4′−[(2−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,6−ジメチルフェノール]、4,4′−[(2−ヒドロキシフェニル)エチレン]ビス[2,6−ジメチルフェノール]、4,4′−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,6−ジメチルフェノール]、4,4′−[(4−ヒドロキシフェニル)エチレン]ビス[2,6−ジメチルフェノール]、4,4′−[(2−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[3,5−ジメチルフェノール]、4,4′−[(2−ヒドロキシフェニル)エチレン]ビス[3,5−ジメチルフェノール]、4,4′−[(3−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,3,6−トリメチルフェノール]、4,4′−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,3,6−トリメチルフェノール]、4,4′−[(2−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2−シクロヘキシル−5−メチルフェノール]、4,4′−[(3−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2−シクロヘキシル−5−メチルフェノール]、4,4′−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2−シクロヘキシル−5−メチルフェノール]、4,4′−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェノールエチリデン]ビスフェノール、4,4′−[(3,4−ジヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2−メチルフェノール]、4,4′−[(3,4−ジヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,6−ジメチルフェノール]、4,4′−[(3,4−ジヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,3,6−トリメチルフェノール]、4−[ビス(3−シクロヘキシル4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)メチル]−1,2−ベンゼンジオール等が挙げられる。
【0045】
(ハイドロキノン型多価グリシジルエーテル化合物)
例えば、ハイドロキノンとエピクロルヒドリンとの反応で得られたハイドロキノン型多価グリシジルエーテル化合物等が挙げられる。
(レゾルシノール型多価グリシジルエーテル化合物)
例えば、レゾルシノールとエピクロルヒドリンとの反応で得られたレゾルシノール型多価グリシジルエーテル化合物等が挙げられる。
【0046】
(脂肪族多価グリシジルエステル化合物)
例えば、アジピン酸等で代表される脂肪族ジカルボン酸とエピクロルヒドリンとの反応で得られた肪族多価グリシジルエステル化合物等が挙げられる。
(芳香族多価グリシジルエステル化合物)
例えば、芳香族多価カルボン酸とエピクロルヒドリンとの反応で得られた芳香族多価グリシジルエステル化合物等が挙げられる。
反応に用いられる芳香族多価カルボン酸としては例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
【0047】
(脂肪族又は芳香族多価グリシジルエーテルエステル化合物)
例えば、ヒドロキシジカルボン酸化合物とエピクロルヒドリンとの反応で得られた脂肪族多価グリシジルエーテルエステル化合物または芳香族多価グリシジルエーテルエステル化合物等が挙げられる。
(脂環族多価グリシジルエーテル化合物)
例えば、ジシクロペンタジエン型多価グリシジルエーテル化合物等で代表される脂環族多価グリシジルエーテル化合物等が挙げられる。
(脂肪族多価グリシジルアミン化合物)
例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン等で代表される脂肪族多価アミンとエピクロルヒドリンとの反応で得られた脂肪族多価グリシジルアミン化合物等が挙げられる。
【0048】
(芳香族多価グリシジルアミン化合物)
例えば、ジアミノジフェニルメタン、アニリン、メタキシリレンジアミン等で代表される芳香族ジアミンとエピクロルヒドリンとの反応で得られた芳香族多価グリシジルアミン化合物等が挙げられる。
(ヒダントイン型多価グリシジル化合物)
例えば、ヒダントインならびにその誘導体とエピクロルヒドリンとの反応で得られたヒダントイン型多価グリシジル化合物等が挙げられる。
【0049】
(ノボラック型多価グリシジルエーテル化合物)
例えば、フェノール、クレゾール、ナフトール等で代表される芳香族アルコール類とホルムアルデヒドとから誘導されるノボラック樹脂と、エピクロルヒドリンとの反応で得られるノボラック型多価グリシジルエーテル化合物等が挙げられる。また、フェノールとp−キシリレンジクロライドとから誘導されるフェノール核とパラキシレン核がメチレン結合で結合して成る変性フェノール樹脂と、エピクロルヒドリンとの反応で得られる変性フェノールノボラック樹脂も代表例として挙げられる。
(エポキシ化ジエン重合体)
例えば、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化ポリイソプレン等が挙げられる。
【0050】
<変性エポキシ樹脂>
前記の少なくとも1種または2種以上からなるエポキシ樹脂と、アミン化合物、メルカプト化合物、カルボキシル化合物から選ばれた1種または2種以上との付加誘導体組成物が代表的である。なお、該付加誘導体組成物は、それ自体では相分離構造を持たない室温で液体または固体のものが好ましい。
変性エポキシ樹脂製造時に適宜用いられるアミン化合物、メルカプト化合物、カルボキシル化合物について以下にそれぞれ具体例を挙げる。
【0051】
<アミン化合物>
例えば、脂肪族アミン類、脂環族アミン類、芳香族アミン類、ポリアミド類、ポリアミドアミン類、シアナミド類、アミノ基含有低分子ポリシロキサン類、アミノ基含有の低分子ブタジエン−アクリロニトリコポリマー類、アミノ基含有低分子アクリル化合物等が代表的な例として挙げられる。
【0052】
(脂肪族アミン類)
脂肪族アミン単量体であれば、特に限定するものではないが、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジプロピレントリアミン、ポリエチレングリコールモノアミン、ポリエチレングリコールジアミン、ポリプロピレングリコールモノアミン、ポリプロピレングリコールジアミン等で代表される。
【0053】
(脂環族アミン類)
脂環族アミン単量体であれば、特に限定するものではないが、例えば、イソフォロンジアミン、シクロヘキシルジアミン、ノルボルナンジアミン、ピペリジン、ビスアミノプロピルテトラオキサスピロウンデカン等やそれらの変性ポリアミン類が代表的である。
【0054】
(芳香族アミン類)
芳香族アミン単量体であれば、特に限定するものではないが、例えば、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン等やそれらの変性ポリアミン類が代表的である。
(ポリアミド類)
ポリアミド類であればいずれでも良く、特に制約はないが、例えば前記の脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族アミン等から選ばれた1種または2種以上の多価アミン化合物とジカルボン酸化合物等との脱水縮合誘導体等で代表される。
【0055】
(ポリアミドアミン類)
ポリアミドアミン類であればいずれでも良く、特に制約はないが、例えば前記の脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族アミン等から選ばれた1種または2種以上のアミンとジカルボン酸化合物およびアミノカルボン酸化合物との脱水縮合誘導体等で代表される。
(シアナミド類)
シアナミド類であればいずれでも良く、特に制約はないが、例えば、ジシアンジアミド等で代表される。
【0056】
(アミノ基含有低分子ポリシロキサン類)
アミノ基含有低分子ポリシロキサン類であればいずれでも良く、特に制約はないが、例えば、アミン当量が2000以下の両末端アミノ基含有ポリシロキサン等で代表される。
(アミノ基含有の低分子ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー類)
アミノ基含有低分子ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー類であればいずれでも良く、特に制約はないが、例えば、アミン当量が2000以下でかつアクリロニトリル換算含有量で16乃至30質量%からなる両末端アミノ基含有ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー等で代表される。
【0057】
(アミノ基含有低分子アクリル化合物)
アミノ基含有低分子アクリル化合物であればいずれでも良く、特に制約はないが、例えば、アミン当量が2000以下でかつ親和性の指標であるSP値(ソルビリティーパラメーター)が8.5乃至10の多価アミノ基含有アクリル化合物等で代表される。
【0058】
<メルカプト化合物>
メルカプト化合物であればいずれでも良く、特に制約はない。例えば、三井化学製品であるMR−6,MR−7等やその他メルカプト当量が2000以下の両末端メルカプト基含有ポリシロキサン等を例示できる。
【0059】
<カルボキシル化合物>
カルボン酸単量体及び/又はポリカルボン酸化合物であればいずれでも良く、特に制約はないが、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、アジピン酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、フタル酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、ハイミック酸、無水ナジック酸、無水グルタル酸等で代表される炭素数20以下のカルボン酸単量体、及びそのものとジヒドロキシ化合物とから誘導された酸末端ポリエステル等が代表的な例として挙げられる。
【0060】
また、別の例としては、酸価が5乃至100mgKOH/gの両末端カルボキシル基含有ポリシロキサンや同両末端カルボキシル基含有のブタジエン−アクリロニトリルコポリマーや同末端カルボキシ基含有低分子アクリル化合物なども包含される。
【0061】
ところで、本発明の液晶シール剤組成物では、エポキシ樹脂(1)単独の80℃E型粘度として、0.3Pa・sを下回らないことが好ましい。より好ましくは1Pa・s以上、特に好ましくは、5乃至1000Pa・sの範囲である。エポキシ樹脂(1)単独の80℃E型粘度として0.3Pa・sを上回ることにより、枚葉熱プレス適性が向上する。
【0062】
(2)0℃以下の軟化点温度を持ちその一次粒子径が5μm以下からなるゴム状ポリマー微粒子
本発明の液晶シール剤組成物においては、捩り振子法と言われるTorsinal Braid Analyzer(以下、単にTBAという。)で求めた軟化点温度で、0℃以下の軟化点温度を持ち、電子顕微鏡観察から求めた一次粒子の平均粒子径が5μm以下のゴム状ポリマー微粒子(2)(以下、単にゴム状ポリマー微粒子と呼ぶ。)を1乃至15質量%含有する。
ゴム状ポリマー微粒子の一次粒子の平均粒子径としては、0.01乃至5μmがより好ましく、0.01乃至3μmとすることがさらに好ましく、0.05乃至2μmが特に好ましい。
【0063】
本発明の液晶シール剤組成物中にゴム状ポリマー微粒子1質量%以上の使用で、本発明の液晶シール剤組成物を用いて製造される液晶表示素子自体の残留歪みの緩和効果等が導かれ、結果として接着信頼性を向上出来るので、好ましい。また、これを15質量%以下とすることで硬化体に必要な耐熱剛性が確保出来、好ましい。より好ましくは、3乃至12.5質量%の範囲で含有させるのがよい。特に、ゴム状ポリマー微粒子(2)を液晶シール剤組成物中に占める割合で5乃至10質量%とすることがさらに好ましい。
【0064】
また、ゴム状ポリマー微粒子(2)の軟化点温度を0℃以下とすることで、低温下での接着信頼性がより向上する傾向があり好ましい。更に、ゴム状ポリマー微粒子(2)の一次粒子径を5μm以下とすることにより、液晶セルのギャップを薄くすることができ、高価な液晶の使用量を抑制することができると共に液晶表示応答速度をも向上させることができる。
【0065】
好ましいゴム状ポリマー微粒子(2)としては、−30℃以下の軟化点温度を持ち、その一次粒子径が0.01乃至3μmの範囲のシリコンゴム微粒子及び/またはアクリルゴム微粒子またはポリオレフィンゴム微粒子が挙げられ、更に好ましくはそのゴム状ポリマー微粒子が架橋性ゴム粒子であることが好ましい。
これらのゴム状ポリマー微粒子は、軟化点温度が0℃以下であれば公知の以下のようなゴム状ポリマーを適宜選定して使用できる。
【0066】
例えば、アクリルゴム系のゴム状ポリマー、シリコンゴム系のゴム状ポリマー、共役ジエンゴム系のゴム状ポリマー、オレフィンゴム系ゴム状ポリマー、ポリエステルゴム系ゴム状ポリマー、ウレタンゴム系ゴム状ポリマー、複合化ゴムやエポキシ基と反応する官能基を有するゴム状ポリマーが例示できる。特に、これらのゴム状ポリマーは、エポキシ基と反応する官能基を有することが好ましい。これら液晶シール剤組成物に用いるゴム状ポリマー微粒子(2)は単独で使用しても複数を併用してもよい。
これらゴム状ポリマー微粒子の具体例を以下に示す。
【0067】
<アクリルゴム系のゴム状ポリマー微粒子>
アクリルゴム系のゴム状ポリマー微粒子の具体的な例としては、例えば、コア部がアクリルゴムからなるコア/シェル型エマルションを乾燥して得られる粒子を用いる方法、また、エポキシ樹脂中でアクリル系モノマーを非水分散重合させてなる樹脂組成物として用いる方法、更には、エポキシ基と反応する官能基を導入してなるアクリルゴムポリマー溶液を別個に調製後、エポキシ樹脂中に投入または滴下して、機械的に混合し、脱溶剤またはグラフト化させてアクリルゴム微粒子をエポキシ樹脂中に安定的に分散させてなる樹脂組成物として用いる方法などがある。
【0068】
<シリコンゴム系のゴム状ポリマー微粒子>
シリコンゴム系のゴム状ポリマー微粒子の具体的な例としては、例えば、粉末状のシリコンゴム微粒子を用いる方法、エポキシ樹脂に二重結合を導入してその二重結合と反応可能な片末端アクリレート基を持つシリコンマクロモノマーを反応させた後、ビニルシリコンとハイドロジェンシリコンとを仕込み分散重合させてなる樹脂組成物として用いる方法がある。また、エポキシ樹脂中で両末端にエポキシ基と反応しうる官能基を導入された分子量1万乃至30万の反応性シリコンオイルを作用させてなる樹脂組成物として用いる方法などがある。その他のシリコン系ゴム状ポリマーも、特に制約はなく、用いることができる。
【0069】
<共役ジエンゴム系のゴム状ポリマー微粒子>
共役ジエンゴム系のゴム状ポリマー微粒子の具体的な例としては、例えば、1,3−ブタジエン、1、3−ペンタジエン、イソプレン、1、3−ヘキサジエン、クロロプレン等のモノマーを重合または共重合して得られる共役ジエンゴム状ポリマー微粒子等が例示できる。これらに、特に制約はなく、市販品をそのまま使用して良い。より具体的な共役ジエンゴムの例としては、ブタジエンとアクリロニトリルとの共重合体、末端にカルボキシル基を有するブタジエンとアクリロニトリルとの共重合体、末端にアミノ基を有するブタジエンとアクリロニトリルとの共重合体等がある。
【0070】
<オレフィンゴム系ゴム状ポリマー微粒子>
オレフィンゴム系ゴム状ポリマー微粒子の具体的な例としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン等の単独非晶質重合体または共重合可能な他のモノマーとの共重合体やターポリマーからなる微粒子、またはその組成物が例示できる。また、オレフィンゴムラテックス等の形で市販されている物をエポキシ樹脂中で脱水処理し、オレフィンゴムをエポキシ樹脂中に分散安定化させてなる樹脂組成物として使用する方法も良い例である。
【0071】
<ポリエステルゴム系ゴム状ポリマー微粒子>
ポリエステルゴム系ゴム状ポリマー微粒子とは、ポリマー骨格にポリエステル結合が含有されているゴム状ポリマーからなる微粒子のことであり、特に制約はない。具体的なポリエステルゴムの例を挙げれば、例えば、液状ポリシロキサンジオール、液状ポリオレフィンジオール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等から選ばれた少なくとも1種のジオール成分と、必要に応じてトリオール以上の多価アルコール化合物の共存下に、アジピン酸、マレイン酸、コハク酸、フタル酸等から選ばれた少なくとも1種の2塩基酸とから誘導された低軟化点ポリエステルゴム、また、前記2塩基酸の代わりに酸無水物を用いた低軟化点ポリエステルゴム、またはヒドロキシ多価カルボン酸等から誘導された低軟化点ポリエステルゴムが例示できる。
【0072】
<ウレタンゴム系ゴム状ポリマー微粒子>
ウレタンゴム系ゴム状ポリマー微粒子とは、ゴム状ポリマー骨格にウレタン結合及び/または尿素結合が含有されているゴム状ポリマーからなる微粒子のことであり、特に制約はない。具体的なウレタンゴムの例を挙げれば、例えば、液状ポリシロキサンジオール、液状ポリオレフィンジオール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等から選ばれた少なくとも1種からなるジオール成分と、必要に応じてトリオール以上の多価アルコール化合物の共存下に、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソフォロンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ノルボルナンジイソシアナート等で代表されるのジイソシアナート化合物とを作用させて得られるゴム状ポリウレタン、更には、例えば液状ポリシロキサンジアミン(前記のアミノ基含有低分子ポリシロキサン)、液状ポリオレフィンジアミン、ポリプロピレングリコールジアミン等から選ばれた少なくとも1種の長鎖ジアミン成分と、必要に応じてトリアミン以上の多価アミン化合物の共存下に、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソフォロンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ノルボルナンジイソシアナート等で代表されるジイソシアナート化合物とを作用させて得られるゴム状ポリウレタン等を例示出来る。
【0073】
<複合化ゴム粒子>
複合化ゴム粒子としては、例えば前記のアクリル系、シリコン系、共役ジエン系、オレフィン系、ポリエステル系、ウレタン系の2種以上からなるグラフトポリマー及び/またはブロックポリマーまたはコアシェルポリマー、複層ポリマー等からなる微粒子が例示できる。
【0074】
<エポキシ基と反応する官能基を有するゴム状ポリマー>
エポキシ基と反応する官能基を有するゴム状ポリマーとしては、例えば前記のアクリル系、シリコン系、共役ジエン系、オレフィン系、ポリエステル系、ウレタン系の粒子にエポキシ基と反応する官能基を導入してなるものが代表的な例である。
エポキシ基と反応しうる官能基としては、例えば、メルカプト基、アミノ基、イミノ基、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、ヒドロキシル基等が挙げられる。
【0075】
ゴム状ポリマーには、これらの官能基のうち少なくとも1種を好ましくは、0.01乃至25質量%、さらには0.1乃至10質量%導入されているものがより好ましい。
それらの官能基の導入方法には、特に限定はなく、官能基含有モノマーと主鎖ポリマーを構成するモノマーとのランダム共重合法、交互共重合法、縮合重合法、付加重合法、コア−シェル重合法による導入、イオン吸着導入法、膨潤含浸導入法、ゴム状粒子を形成するポリマーへグラフト重合する方法等いずれの方法でもよい。
このなかでも共重合法やグラフト重合方法とすることで、少ない量で効率良くゴム状ポリマー微粒子表面近傍に必要な官能基を導入出来るので好ましい。
【0076】
このエポキシ基と反応する官能基を有するゴム状ポリマーでは、エポキシ基と反応する官能基を有する単量体に由来する構造がゴム状ポリマー中に占める重量割合で0.1乃至25質量%であることが好ましい。
エポキシ基と反応する官能基を有する単量体に由来する繰り返し構造の含有量を0.1質量%以上、25質量%以下とすることで得られる液晶シール剤組成物の接着性が著しく向上するので好ましい。
【0077】
本発明の液晶シール剤組成物では、ゴム状ポリマー微粒子(2)がエポキシ樹脂中に粒子として形状を保持するものが好ましい。エポキシ樹脂中に粒子として存在していることを判別する方法としては、特に制約はないが、例えば濁りの全く無いエポキシ樹脂(1)とゴム状ポリマー微粒子(2)との混合物を作り、同組成物を光学顕微鏡で観察して、ゴム状ポリマー微粒子の存在を確認する方法、または同組成物にポリメルカプタン系室温硬化剤またはポリアミン系室温硬化剤などの必要量を添加して得た硬化体の微小切断面をオスミウム酸染色増感して、透過型電子顕微鏡(TEM)観察又は走査型電子顕微鏡(SEM)観察する方法、硬化体のミクロ層を赤外吸収スペクトル顕微鏡(以下、単に顕微IRと呼ぶ)測定して判別する方法等が適宜採用できる。
【0078】
また、本発明の液晶シール剤組成物中にゴム状ポリマー微粒子(2)が微粒子として存在していることを判定する方法には、特に限定制約はないが、例えばそのものの熱硬化物を得た後、その微小切断面をオスミウム酸染色増感して、TEM又はSEM観察する方法、同様にして得た硬化体破断面のSEM観察と同時に元素分布解析結果像と比較して判別する方法、さらに、硬化体表面を公知の方法で選択性を持たせてエッチィング後にTEM又はSEM観察する方法、硬化体のミクロ層を顕微IR測定して判別する方法、硬化体のミクロ層を熱線照射し分解発生してくるガス種成分から種別と共にその粒子径を判別する方法等が適宜採用できる。
【0079】
また、調整済みの液晶シール剤組成物中に含まれるゴム状ポリマー微粒子(2)の添加配合量を測定する方法としては、特に限定はないが、例えばその液晶シール剤組成物の赤外線吸収スペクトル(IR)をとり、ゴム状ポリマー微粒子に特定されて現れる吸収スペクトルの検量線から求める方法、IR分析から特定されたゴム状ポリマー微粒子種を知り、そのゴム状ポリマー微粒子種で発現することが明らかな作用効果の指標量としてのTBA測定による低温域の弾性率減衰率量〔G″〕から求める方法、熱分解ガスクロマトグラフィー法、元素分析法、硬化体の複数のTEM又はSEM写真からゴム状ポリマー微粒子占有体積を求め比重換算して求める方法、加熱分解ガス成分分析から求める方法等を適宜採用して良い。
【0080】
そして本発明の液晶シール剤組成物中では、ゴム状ポリマー微粒子(2)がエポキシ樹脂(1)と予めグラフトしていても良く、グラフトしていなくても良い。
【0081】
(3)無機質充填剤
本発明で用いる無機質充填剤(3)としては、通常電子材料分野で無機充填剤として使用可能なのものであればいずれでもよい。
具体的には、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸ジルコニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛、二酸化珪素、チタン酸カリウム、カオリン、タルク、アスベスト粉、石英粉、雲母、ガラス繊維等が挙げられる。
【0082】
好ましくは、無機質充填剤中の湿式分解物の原子吸光分析法で求めたアルカリ金属の総和含有量が50ppm以下、より好ましくは30ppm以下、特に好ましくは15ppm以下であるものがよい。そうすることで本発明の液晶シール剤組成物硬化体が液晶接触時に於いて、液晶相に対し不必要に遊離イオンの移行を回避できる。アルカリ金属の総和含有量を50ppm以下とする為の精製方法には特に制約はなく、例えば製造原料の段階で水溶液化しイオン交換精製法等の公知の方法で行って良い。
【0083】
また、無機質充填剤(3)は、632.8nm波長のレーザー法粒子径測定器により求めた重量加積曲線上の99質量%粒子径値が、5μm以下にあるものが好ましく、また重量加積曲線上の50質量%値で示される重量平均粒子径値が、0.005乃至1μmの範囲であることがより好ましい。
一般的には、重量加積曲線上の99質量%粒子径値が5μm以下である無機質充填剤を用いると、液晶パネルのギャップ幅の寸法安定性が一層向上し、好ましい。
【0084】
本発明の液晶シール剤組成物では、無機質充填剤(3)の含有割合は5乃至50質量%である。より好ましくは5乃至30質量%の範囲で、5乃至15質量%の範囲が特に好ましい。5質量%以上とすることでスクリーン印刷またはディスペンサー塗布時の塗布形状保持性が保持できる。また、50質量%以下とすることで液晶シール剤組成物の粘性を適正化でき、かつ塗布作業性を確保できる。
【0085】
また、無機質充填剤(3)は、特に制約するものではないが、予めエポキシ樹脂(1)やシランカップリング剤(6)でグラフト化変性させたのち使用することが好ましい。
グラフト化変性は、無機充填剤(3)の一部または全部に対してグラフト化変性されていてよい。その際、グラフト化率は、繰り返し溶剤洗浄法で求めた質量増加率で表すと、通常無機質充填剤(3)の100質量部当たりエポキシ樹脂(1)、シランカップリング剤(6)のいずれか又は双方が1乃至50質量部が化学的に結合されていることが好ましい。
【0086】
液晶シール剤組成物中の無機質充填剤(3)の含有割合を測定する方法には、特に制約はないが、例えば、元素分析より求める方法、または蛍光X線解析より求める方法、熱分解残渣量で求める方法など任意であって良い。
【0087】
(4)熱活性な潜在性エポキシ硬化剤
本発明において使用される潜在性エポキシ硬化剤(4)としては、50℃以上の加熱によってエポキシ樹脂に硬化反応作用を付与できる化合物を選定使用できる。
特に制限するものではないが、例えばジシアンジアミド及びその誘導体、アジピン酸ジヒドラジドやイソフタル酸ジヒドラジッドのようなジビドラジッド化合物、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、2−n−ペンタデシルイミダゾールのようなイミダゾール誘導体、2−メチルイミダゾールや2−エチル−4−メチルイミダゾール等で代表されるイミダゾール化合物と芳香族酸無水物との錯体、イミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体や更にそれらの変性誘導体、尿素及び/またはチオ尿素化合物とエポキシ樹脂またはジイソシアナート化合物との付加物、三フッ化ホウ素−アミンコンプレックス、ビニルエーテルブロックカルボン酸化合物、1,6−ジナフトールのアリルエーテル化合物で代表される芳香族アリルエーテル化合物、N,N−ジアルキル尿素誘導体、N,N−ジアルキルチオ尿素誘導体、メラミン、グアナミン等が挙げられる。
【0088】
熱活性な潜在性エポキシ硬化剤(4)は、本発明の液晶シール剤組成物中に占める割合として5乃至30質量%とする。5質量%以上とすることで、本発明の液晶シール剤組成物の硬化を必要時間内に高められる。また、30質量%以下とすることで未反応硬化剤の存在を低いレベルとすることが出来る。
液晶シール剤組成物中の熱活性な潜在性エポキシ硬化剤の含有量を測定する方法としては、赤外吸収スペクトルより求める方法、官能基分析による方法、固体NMR分析法等が好ましく挙げられる。
【0089】
(5)50℃以上の軟化点温度を持ちその一次粒子径が2μm以下の高軟化点ポリマー微粒子 (以下、単に高軟化点ポリマー微粒子と呼ぶ)
本発明の液晶シール剤組成物では、組成物中に占める割合として高軟化点ポリマー微粒子(5)を0.1乃至9.5質量%の範囲で含有させる。0.1質量%以上の使用により、枚葉熱プレスによる一次接着工程で貫通泡や滲み出しの発生の無いシール接着特性を向上出来ることから好ましい。また9.5質量%以下の使用により、ギャップ出し性作業性を十分確保できるので好ましい。
【0090】
高軟化点ポリマー微粒子(5)とは、TBAから求めた軟化点温度で50℃以上の軟化点温度を持ち、かつ電子顕微鏡観察による一次粒子の平均粒子径が2μm以下の高軟化点ポリマー微粒子(5)(以下、単に高軟化点ポリマー微粒子と呼ぶ。)である。
高軟化点ポリマー微粒子(5)の一次粒子の平均粒子径は、2μm以下とすることでギャップ出し作業性が確保できる。一次粒子の平均粒子径は、0.01乃至1μmの範囲とすることがより好ましく、0.2乃至0.5μmの範囲とすることが最も好ましい。
【0091】
高軟化点ポリマー微粒子(5)は、架橋型、非架橋型いずれでも使用することができるが、架橋型がより好ましく、特に微架橋構造を持つ高軟化点ポリマー微粒子が最も好ましい。
微架橋構造を持つ高軟化点ポリマー微粒子は、ポリマーを製造する際に架橋性モノマーを全モノマー中に0.1乃至50質量%の範囲、好ましくは1乃至10質量%の範囲、最も好ましくは1乃至3質量%にすることにより製造することができる。
【0092】
微架橋度の指標の一つとして、ゲル分率がある。これは、10gの高軟化点ポリマー微粒子を50gのメチルカルビトール溶剤中に分散し、25℃において1時間攪拌した後に濾過して、濾液量とその濾液中のポリマー含有量(溶解量)を求め、
ゲル分率(%)=(溶解量/10g)×100
とする指標である。
このゲル分率指標で0乃至50%の範囲が好ましく、0乃至5%であることが更に好ましい。
【0093】
高軟化点ポリマー微粒子は、化学構造式から算出される親和性を表す指数SP値(ソルビリティーパラメーター)で9乃至11の範囲にあるものが好ましく9.3乃至10.5の範囲に有るものが更に好ましい。
【0094】
高軟化点ポリマー微粒子(5)の具体的な例としては、例えば、0.1乃至50質量%の架橋性モノマーを共重合させてなる微架橋型のポリメタクリル酸メチルエステル主成分型ポリマー、アイオノマー構造を0.1乃至50質量%の範囲で持つポリメタクリル酸メチルエステルポリマーが例示できる。また、高軟化点ポリマー微粒子(5)は、60乃至150℃の軟化点温度を持ちその一次粒子径が0.01乃至2μmの範囲にあるものが良い。
この高軟化点ポリマー微粒子では、その粒子表面にエポキシ基、アミノ基、イミノ基、メルカプト基、カルボキシル基等の1種の官能基が導入されていることがより一層好ましい。
【0095】
ところで、本発明の液晶シール剤組成物では、前記のゴム状ポリマー微粒子(2)と高軟化点ポリマー微粒子(5)とが予め複合化されていても良く、例えば、ゴム状ポリマー微粒子(2)がコア相をなし高軟化点ポリマー微粒子(5)がシェル相を形成してなるいわゆる(2)と(5)のコアシェル型複合微粒子(A)とする態様を包含するものである。また、その逆の高軟化点ポリマー微粒子(5)をコア相とし、ゴム状ポリマー微粒子(2)をシェル相とするコアシェル型複合微粒子(B)を用いてもよい。複合化して用いる場合は、前者のコアシェル型複合微粒子(A)を使用することが好ましい。
【0096】
コア相としてゴム状ポリマー微粒子(2)を内包するコアシェル型複合微粒子(A)では、コア:シェルの質量比が(1:0.3)乃至(1:2)の範囲にあることが好ましい。コアシェル型高軟化点ポリマー微粒子(A)の具体例としては例えば日本ゼオン社製品・商品名「ゼオンF−351」が容易に入手出来、好ましく使用出来る。
【0097】
液晶シール剤組成物中の高軟化点ポリマー微粒子(5)の割合を求める方法としては、特に制約するものではないが、例えば、熱分解ガスクロマト法、核磁気共鳴スペクトル(NMR)法等がある。
【0098】
本発明の液晶シール剤組成物では(1)乃至(5)からなる組成物の100重量部に対してシランカップリング剤(6)を0.1乃至5質量部及び硬化促進剤(7)を0.1乃至10質量部含有させても良い。その際用いることが出来るシランカップリング剤(6)、硬化促進剤(7)について以下に記述する。
【0099】
(6)シランカップリング剤
シランカップリング剤(6)は、特に制限はなく、いずれでも用いることができるが、好ましい例としては、トリアルコキシシラン化合物またはメチルジアルコキシシラン化合物等を挙げることができる。それらの具体例としては、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノエチル−γ−イミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−アミノエチル−γ−イミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノエチル−γ−イミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、イソシアナートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン等が例示出来る。なかでもグリシジルシランが特に好ましい。
【0100】
シランカップリング剤(6)の併用割合は前記の範囲とすることが好ましく、(1)乃至(5)からなる組成物中0.1質量%以上の使用でガラス基板に対する接着性向上が期待できる。また5質量%以下とすることで非滲み出し性と接着信頼性とのバランスが確保出来好ましい。より好ましくは0.5乃至3質量%で使用することが望ましい。
液晶シール剤組成物中のシランカップリング剤(6)の割合を求める方法としては、特に制約するものではないが、例えば、熱分解ガスクロマト法、核磁気共鳴スペクトル(NMR)法、加水分解発生ガス定量法等がある。
【0101】
(7)硬化促進剤
本発明の液晶シール剤組成物に、必要に応じて併用できる硬化促進剤(7)としては、例えば、1,1−ジアルキル尿素誘導体、イミダゾール誘導体またはその塩、ポリアミン化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体またはその塩、アミン化合物とジイソシアナート化合物との付加体またはその塩、アミン化合物とジイソシアナート化合物との付加体またはその変性誘導体、トリスジメチルアミノメチルフェノールまたはその塩、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7やその塩、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5やその塩、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7やその塩、トリフェニルフォスフィン等が挙げられる。
中でも室温活性が低く、貯蔵安定性に富むものが好ましく、その点で1,1−ジアルキル尿素誘導体が好ましい。
【0102】
硬化促進剤(7)は、組成物中0.1乃至10質量%であることが好ましい。0.1質量%以上であれば潜在性エポキシ硬化剤(4)の硬化活性を加熱硬化時に十分引き出すことが出来る。また10質量%以内で使用すれば得られる液晶シール剤組成物の25℃保存安定性を向上できる。
【0103】
好ましくは、硬化促進剤の湿式分解物の原子吸光分析法で求めたアルカリ金属の含有量の総和が50ppm以下、より好ましくは30ppm以下、特に好ましくは15ppm以下とすることが望ましい。そうすることで、本発明の液晶シール剤組成物硬化体が液晶接触時に於いて、液晶相に対し実質的に遊離イオンが移行するのを回避できる。アルカリ金属の総和含有量を50ppm以下とする為の精製方法には特に制約はなく、例えば溶剤抽出精製法等の公知の方法で行って良い。
【0104】
(1、1−ジアルキル尿素誘導体)
例えば、3−(p-クロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素、3−(o,p−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素、2,4−[ビス(1,1−ジメチル尿素)]トルエン、2,6−[ビス(1,1−ジメチル尿素)]トルエン 等が代表例である。
【0105】
(イミダゾール誘導体またはその塩)
イミダゾール誘導体としては、例えば、2−メチルイソシアヌール酸付加物、2−n−ペンタデシルイミダゾール、N−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、イミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト等があり、それらの1種または2種以上使用することができる。
【0106】
イミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体とは、活性水素基を持つイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体を意味し、以下に例示する。
イミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体の具体例としては、例えばエポキシ樹脂とイミダゾール化合物とを作用させ、更にエポキシ樹脂の含有質量に対し2倍の量を越さない量のフェノールノボラック樹脂を反応させた生成物よりなり、エポキシ化合物中のエポキシ基当量対イミダゾール化合物の分子当量の比が(0.8:1)乃至(2.2:1)の範囲である、70乃至150℃の軟化点温度を示すアダクト体が例示出来る。また別の具体例としては、エポキシ樹脂とイミダゾール化合物とを反応させ、さらにヒドロキシスチレン樹脂を反応させて得られたアダクト体が好ましい例として挙げられる。更にまた、エポキシ樹脂と分子中に一級のアミノ基を持たない窒素塩基を有する化合物(イミダゾール化合物を含む)とGPC測定によるポリスチレン換算の質量平均分子量が2000乃至10000のフェノール−ホルムアルデヒド樹脂とのアダクト体が例示出来る。
イミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体としては、融点が70乃至150℃であるものを選定使用することが特に好ましい。
【0107】
(ポリアミン化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体)
ポリアミン化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体としては、特に制限するものではないが、公知のポリアミン化合物とエポキシ樹脂とから誘導されるアダクト体で代表される。
より具体例としては、例えばエポキシ樹脂とポリアミンとの付加反応物に酸性水酸基を2個以上有する化合物を反応させて得られるアダクト体が挙げられる。酸性水酸基を2個以上有する化合物としてはフェノール樹脂、変性フェノール樹脂、ポリカルボン酸等がある。
【0108】
(アミン化合物とジイソシアナート化合物との付加体またはその変性誘導体)
アミン化合物とジイソシアナート化合物との付加体としては、公知の第1乃至第2級アミン化合物とジイソシアナートとを反応させて得られる物質で代表される。また、アミン化合物とジイソシアナート化合物との付加体の変性誘導体としては、例えば、N,N−ジアルキルアミノアルキルアミンと、環状アミンと、ジイソシアナートとを加熱反応させてなる物質が例示出来る。また、該物質の軟化点60℃以上で、かつ3級アミノ基を持つ粉末状物質の粒子表面に均一にジイソシアナート化合物を接触させて得られる組成物等が例示出来る。
【0109】
(トリスジメチルアミノメチルフェノール塩)
トリスジメチルアミノメチルフェノール塩には、例えばトリスジメチルアミノメチルフェノールオクチル酸塩、トリスジメチルアミノメチルフェノールオレイン酸、トリスジメチルアミノメチルフェノール蟻酸塩等が挙げられる。
【0110】
(1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7塩)
1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7塩(以下、単にDBU塩と呼ぶ)には、例えばDBUフェノール塩、DBU多価フェノール化合物塩、DBUポリフェノール塩、DBUオクチル酸塩、DBUオレイン酸塩、DBU蟻酸塩等が代表的な例である。
【0111】
(1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5塩)
1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5塩(以下、単にDBN塩と呼ぶ)には、例えばDBNフェノール塩、DBN多価フェノール化合物塩、DBNポリフェノール塩、DBNオクチル酸塩、DBNオレイン酸塩、DBN蟻酸塩、DBNパラトルエンスルフォン酸塩等が代表的な例である。
【0112】
(6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7塩)
6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7塩(以下、単にDB塩と呼ぶ)には、例えばDBフェノール塩、DB多価フェノール化合物塩、DBポリフェノール塩、DBオクチル酸塩、DBオレイン酸塩、DB蟻酸塩、DBパラトルエンスルフォン酸塩等が代表的な例である。
【0113】
本発明の液晶シール剤組成物おいて、硬化促進剤(7)として特に好ましい例は、3−(p−クロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素、3−(o,p−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素、2,4−[ビス(1,1−ジメチル尿素)]トルエン、2,6−[ビス(1,1−ジメチル尿素)]トルエンから選ばれた1種である。
【0114】
(8)溶剤
本発明の液晶シール剤組成物では、(1)乃至(5)または(1)乃至(7)を含有させてなる組成物のいずれかの組成物中、必要に応じて更にエポキシ樹脂と相溶し、かつ沸点が150乃至230℃の範囲にあるエポキシ基に対し不活性な溶剤(8)を1乃至25質量%を使用しても良い。1質量%以上使用すると被着体に対する濡れ性が向上し好ましい。また25質量%以下の使用により塗布作業性を確保できて好ましい。
【0115】
その溶剤(8)としては、沸点が150乃至230℃の範囲、好ましくは160乃至200℃にある高沸点溶剤から選ぶことが好ましい。
特に制約するものではないが、溶剤(8)の具体的な例をあげると、例えば、シクロヘキサノンの如きケトン溶剤、エーテル溶剤、アセテート溶剤が好ましい例である。
【0116】
エーテル溶剤のより具体的な例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジフェニルエーテルが挙げられる。
【0117】
またアセテート溶剤として好ましくは、例えばエチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノメチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジアセテート等で代表される。
【0118】
特に好ましい溶剤(8)としては、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテートから選ばれた少なくとも1種である。
【0119】
(9)ギャップ出しコントロール剤
ギャップ出しコントロール剤(9)とは、液晶表示素子のギャップ幅を、例えば3乃至7μm等の所定の幅で任意に、かつ正確に調節することができる物質のことである。このようなものであれば有機質または無機質のいずれかを問わない。
ギャップ出しコントロール剤(9)は、必要に応じて本発明の液晶表示セルシール材用組成物中0.1乃至5質量%の割合で適宜含有させることが好ましい。より好ましくは0.5乃至2.5質量%の範囲である。
【0120】
ギャップ出しコントロール剤(9)としては例えば、エポキシ樹脂(1)又は必要に応じて用いる溶剤(8)などによって変形や溶解、膨潤されない真球状、サッカーボール状粒子、棒状繊維等の上下左右対象の無機質粒子または熱硬化性のポリマー粒子が挙げられる。
ギャップ出しコントロール剤の無機質粒子の例としては、真球シリカ粒子、真球アルミナ粒子、ガラス短繊維、金属短繊維、金属粉等が挙げられる。
また、有機質のギャップ出しコントロール剤としては、熱硬化性のポリスチレン真球状粒子や、その他フェノール樹脂系熱硬化粒子、ベンゾグアナミン樹脂系熱硬化粒子等が挙げられる。
無機質粒子は、ギャップ精度を高精度で制御可能であるので特に好ましい。
【0121】
(10)その他添加剤
必要に応じて更に、レベリング剤、顔料、染料、可塑剤、消泡剤の使用が可能である。
【0122】
液晶シール剤組成物の調製方法
本発明の液晶シール剤組成物の調整は、一分子中にエポキシ基を平均1.2個以上持つエポキシ樹脂(1)、0℃以下の軟化点温度を持ちその一次粒子の平均粒子径が5μm以下であるゴム状ポリマー微粒子(2)、無機質充填剤(3)、潜在性エポキシ硬化剤(4)、50℃以上の軟化点温度を持ちその一次粒子の平均粒子径が2μm以下である高軟化点ポリマー微粒子(5)、更に必要に応じてシランカップリング剤(6)、硬化促進剤(7)、溶剤(8)、ギャップ出しコントロール剤(9)、その他添加剤等を適宜添加し、混合すれば良く、特に限定はない。
混合には、例えば、双腕式攪拌機、ロール混練機、2軸押出機、ボールミル混練機等公知の混練機械を用いて行って良く、最終的に真空脱泡処理後にガラス瓶やポリ容器に密封充填され、貯蔵、輸送される。
【0123】
液晶シール剤組成物の物性
液晶シール剤組成物の硬化前の粘度としては、特に限定はないが、E型粘度計による25℃粘度が1乃至1000Pa・sの範囲が好ましく、5乃至500Pa・sの範囲がより好ましく、10乃至200Pa・sの範囲が最も好ましい。本発明の液晶シール剤組成物は、予め加熱養生等の方法でこの範囲に粘度調整して製造される。
また、E型粘度計のローター番号を同一とする、例えば、5rpm粘度値と0.5rpm粘度値との比(0.5rpm粘度値/5rpm粘度値)であらわされるチクソ指数には、特に制約はないが、好ましくは1乃至10の範囲であることが好ましい。
【0124】
液晶表示セルの製造方法
本発明の液晶表示セルの製造方法は、本発明の液晶シール剤組成物をガラス製またはプラスチック製の液晶セル用基板の接合シール構成部位に印刷またはディスペンス塗布し、80乃至100℃でプレキュアー後、前記処理を実施していない基板との対で位置合わせを行った後、その対基板を110乃至200℃で熱圧締処理して、該対基板を例えば、3乃至7μm等所定の範囲で均質な厚みに接合固定させる液晶表示セルの製造方法である。
その際、溶剤を含有してなる液晶シール剤組成物を完全硬化させて接着シールするには事前にプレキュアーが必要である。プレキュアー条件には特に制約はないが、含有する溶剤分の少なくとも95質量%が脱溶剤でき、かつ含有する潜在性エポキシ硬化剤の熱活性温度以下の加熱乾燥温度を選択することが好ましい。
一般的なプレキュアー条件としては、温度が80℃乃至100℃の範囲、乾燥時間として5乃至60分である。高温化するほど短時間乾燥にすることが好ましい。100℃を超えたプレキュアーであっても脱溶剤化は可能であるが、硬化反応の進行でギャップ幅の精度が低下する傾向にあり注意が必要である。
【0125】
用いられる液晶セル用基板としては、例えば、ガラス基板、プラスチック基板が挙げられる。前記の基板群では、当然のこととして酸化インジウムで代表される透明電極やポリイミド等で代表される配向膜、その他無機質イオン遮蔽膜等が必要部に施工されてなるいわゆる液晶セル構成用ガラス基板または同プラスチック基板が用いられる。
基板に液晶シール剤組成物を塗布する方法には、特に限定はなく、例えばスクリーン印刷塗布方法またはディスペンサー塗布方法などで行って良い。塗布後は、必要に応じてプレ乾燥した後、張り合わせ、加熱圧締接着シールする方法で接合する。その際の加熱硬化条件としては、特に制約するものではないが、およそ100乃至200℃で24乃至0.5時間とすれば良い。
【0126】
また、熱圧締・接着工程を枚葉熱プレスでもって実施する際は、仮接着性を確保出来る条件として、特に制約するものではないが、好ましくは110乃至200℃で2乃至10分程度接合後、圧を開放して取り出し、引き続き同温度下に調整された加熱オーブン中で完全硬化養生させるなどの2段または複数の加熱工程や養生工程を経て接着する。
ここで、枚葉熱プレスとは、一セット枚づつ接合する仕様の熱プレス機を意味し、真空下に熱を加えることが出来る枚葉熱プレス機器である真空枚葉熱プレス、または、大気圧下で熱板を介して強制的に加熱圧締接着するタイプの剛体枚葉熱ブレスとが知られている。いずれの枚葉熱プレス方式であってもよい。
また、前記の熱圧締・接着工程を枚葉熱プレス等とは別に多段熱プレスで行っても何ら問題ない。
【0127】
液晶表示素子
本発明の液晶表示素子は、本発明の液晶シール剤組成物をガラス製またはプラスチック製の液晶セル用基板の接合シール構成部位に印刷またはディスペンス塗布し、70乃至120℃でプレキュアー後、前記処理を実施していない基板との対で位置合わせを行った後、その対基板を100乃至200℃で熱圧締処理し、該対基板を例えば、3乃至7μm等所定の範囲で均質な厚みに接合固定させて得られる該セル内に、液晶材料を注入し、注入孔を2液型液晶シール剤組成物で封孔させて得られる液晶表示素子である。
該2液型液晶シール剤組成物としては、本発明の効果を阻害しないものであれば、特に限定はなく、いずれでも用いることができる。例えばエポキシ樹脂とポリアミド硬化剤からなる2液型液晶シール剤組成物、エポキシ樹脂とポリチオール硬化剤からなる2液液晶シール剤組成物、エポキシ樹脂とポリアミン硬化剤とからなる2液型液晶シール剤組成物等を例示できる。
液晶材料にも制約はなく、例えば、ネマチック液晶や強誘電液晶等が好適である。
【0128】
本発明で用いられる液晶表示素子としては、例えば、エム シャツト(M Schadt)とダブリユ ヘルフリッヒ(W Helfrich)らが提唱したTN型(Twisted Nematic)の液晶素子あるいはSTN型(Super Twisted Nematic)の液晶素子、または、クラーク(NA Clark)とラガウェル(S T Lagerwall)により提唱された強誘電型液晶素子、また薄膜トランジスター(TFT)を各画素に設けた液晶表示素子等が好ましい例として挙げられる。
【0129】
【実施例】
以下、代表的な実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。例中の%、部とはそれぞれ質量%、質量部(重量部)を意味する。
また、例中用いた原材料種(略記号)は以下の通りである。
【0130】
試験方法
(貯蔵安定性試験)
液晶シール剤組成物100部をポリエチレン製容器に入れ、密封してのち、密封時の20℃粘度値を100とし、−10℃/30日経過後の同粘度値の変化率で表す。
○:変化率10%未満の変化率で、貯蔵安定性が良好
△:変化率11乃至50%の変化率であって、貯蔵安定性がやや問題
×:変化率50%を超え、貯蔵安定性不良
【0131】
(塗付作業性試験)
氷点下以下のポリエチレン製容器に密封保存された液晶シール剤組成物を取り出し、2時間かけて室温25℃に戻した。その時点の25℃粘度値を100とし、25℃で12時間放置後の粘度変化率で表す。
○:変化率15%未満で、塗付作業性は良好
△:変化率16乃至50%であって、塗付作業性にやや欠ける
×:変化率50%を超え、塗付作業適性に著しく欠ける
【0132】
(Bステージ化組成物の80乃至100℃E型粘度特性)
各例の液晶シール剤組成物を平滑な離型フィルム上に厚さ10乃至50μ厚みで塗布し、各例中のBステージ化条件で得られたBステージ化組成物塊0.6部をすばやく採取し、E型粘度計にて、40℃から1℃/2分の等速で昇温させ、120℃までの(温度)−(0.5rpm回転粘度)粘度曲線を求める。その温度−粘度曲線から、80乃至100℃粘度を読み取る。
×(−):粘度が50Pa・s未満
△:50乃至100Pa・s
○:101乃至500Pa・s
◎:501乃至10000Pa・s
×(+):10000Pa・sを越える
【0133】
(透湿度特性)
各例の液晶シール剤組成物を平滑な離型フィルム上に厚さ70乃至120μ厚みで塗布し、80℃で20分熱処理後、更に150℃で90分熱硬化させて得られた硬化膜を切り出し、日本工業規格(JIS)の防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)JIS−Z−0208に準じた透湿度試験を実施し、80℃時の24時間で透湿した膜厚100μ当たりの水蒸気量(単位;g/m2・24hrs)を求めた。
○:透湿度特性が200g/m2・24hrsを下回り、液晶シール剤組成物が低透湿性に優れる
×:透湿度特性が351g/ m2・24hrsを超え、液晶シール剤組成物が低透湿性に欠ける
△:透湿度特性が201乃至350g/m2・24hrs
【0134】
(硬化体の線膨張係数)
各例の液晶シール剤組成物を平滑な離型フィルム上に厚さ70乃至120μ厚みで塗布し、80℃で20分熱処理後、更に150℃で90分熱硬化させて得られた硬化膜の小片(15mm角)を切り出し、該硬化体を0℃から180℃まで毎分5℃で等速昇温下にTMA測定した。0℃から80℃の歪み量を80で割って1℃当たりの線膨張係数を求める。
【0135】
(硬化体の熱変形温度Tg)
各例の液晶シール剤組成物を平滑な離型フィルム上に厚さ70乃至120μ厚みで塗布し、80℃で20分熱処理後、更に150℃で90分熱硬化させて得られた硬化膜の小片(15mm角)を切り出し、該硬化体を40℃から180℃まで毎分5℃で等速昇温下にTMA測定した。歪み量変曲点をその硬化体の熱変形温度(Tg)とする。
【0136】
(硬化体の吸水率)
各例の液晶シール剤組成物を平滑な離型フィルム上に厚さ70乃至120μ厚みで塗布し、80℃で20分熱処理後、更に150℃で90分熱硬化させて得られた硬化膜を100mm角に切り出し、該硬化体を煮沸水に3時間浸漬後の重量増加量を求め、その値を元の質量で割った値に100を乗じた値を吸水率とする。
吸水率(%)=(煮沸水浸漬後の質量増加量/試験前の質量)×100
で示す。
【0137】
(遊離イオン濃度)
各例の液晶シール剤組成物100質量部と同質量の純水とを室温下に10分攪拌接触させてなる組成物のイオン伝導度を測定した。
◎:伝導度が2mS/m以下
△:伝導度が2.1乃至9.9mS/m
×:伝導度が10mS/m以上
【0138】
(接合シール試験)
各例に示された条件下の枚葉プレス硬化工程を経て製造された液晶表示用セルを20倍拡大鏡で拡大して肉眼で観察し、シールラインの乱れの有無、および貫通泡の発生によるシール不良箇所の有無を測定する。
【0139】
(セルの耐熱くさび引き剥がし試験)
各例に示された条件下の枚葉プレス硬化工程を経て製造された液晶表示用セルに60℃環境下でくさびを打ち込み、その時の剥離状態で液晶シール剤組成物の接着力を表す。
◎:基板の破壊または接着シール剤の凝集破壊であり、耐熱接着性に優れる
○:液晶シール剤組成物の凝集破壊を一部伴う界面破壊であり、耐熱接着性は良好
×:界面剥離を伴う破壊が認められ、耐熱接着力に問題がある
【0140】
(液晶シール剤組成物の非滲みだし性)
各例に示された条件下の枚葉プレス硬化工程を経て製造された液晶表示用セルに対し、液晶封入口から液晶のしきい値電圧が1.38ボルト,液晶のΔεが12.4であるRC4087[チッソ(株)製]液晶材料を真空法で封入した後、その封入口をストラクトボンドES−302[三井化学(株)製]で封口し、フロント側に偏向板を貼り付け、リヤ側には反射板つき偏向板を取り付けた。その後、該ユニットに駆動回路等を実装させて液晶パネルを作製した。その液晶パネルのシール材近傍の液晶表示機能が駆動初期から正常に機能するか否かで非滲み出し性の評価判定を行った。該判定方法は、次の記号で示す。
○:シール際まで液晶表示機能が発揮出来ており、非滲み出し性が確保されている
△:シール際の近傍の1mm以内が正常に液晶表示されない場合でやや非滲み出し性に欠ける
×:シール際の近傍1.1mmを超えて表示機能の異常があり、非滲み出し性に著しく欠け
【0141】
(シール機能耐久性試験)
各例に示された条件下の枚葉プレス硬化工程を経て製造された液晶表示用セルに対し、液晶封入口からRC4087[チッソ(株)製]液晶を注入し、その封入口をストラクトボンドES−302[三井化学(株)製]で封口し、液晶パネルを作製した。その液晶パネルを、65℃/RH95%の雰囲気下に250時間、同500時間それぞれ放置後に取り出し、フロント側に偏向板を貼り付け、リヤ側には反射板つき偏向板をそれぞれ取り付けた。その後、該ユニットに駆動回路等を実装させて表示機能の変化を観察した。
◎:表示ムラの発生が見られない
○:表示ムラがセル周辺部のシール際からの距離で500μm以内に僅かに見られる
×:表示ムラがシール際500μ以上に及び、著しく表示機能の低下が発生した
【0142】
使用原材料等
1.エポキシ樹脂(1)
単官能性エポキシ樹脂としては、同質量の純水と1時間接触混合させ、分離抽出された抽出水のイオン伝導度(以下、単に抽出水のイオン伝導度と呼ぶ)で0.015mS/mまで精製して成る2−エチルヘキシルモノグリシジルエーテル(略記号;2EHG)、抽出水のイオン伝導度で0.012mS/mまで精製したt−ブチルフェノールモノグリシジルエーテル(略記号;t−BPMG)を用意した。
【0143】
2官能性以上の多価エポキシ樹脂としては以下のものを用いた。
2官能性脂肪族エポキシ樹脂として抽出水のイオン伝導度で0.02mS/mまで精製した1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルを、2官能性ビスフェノールA型エポキシ樹脂として三井化学製品・商品名「エポミックR−140P」(平均分子量370)、油化シェル製品・商品名「エピコート1007」(平均分子量4000)を、また2官能性ビスフェノールF型エポキシ樹脂として大日本インキ製品・商品名「エピクロン830−S」(平均分子量約350乃至370)を、2官能性水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂として東都化成製品・商品名「エポトートST−1000」(平均分子量400乃至440)を使用した。
3官能性ノボラックエポキシ樹脂としては東都化成製品・商品名「エポトートYDCN」(GPCによるポリスチレン換算質量平均分子量約1000)を、4官能性アミノエポキシ樹脂として東都化成製品・商品名「エポトートYH−434」( GPCによるポリスチレン換算質量平均分子量約460)を使用した。
変性エポキシ樹脂については例中で説明する。
【0144】
2.無機質充填剤(3)
略称;無定型シリカ−1として、日本アエロジル工業製品・商品名「アエロジル#200」(電子顕微鏡観察法で求めた一次平均粒子サイズ0.08μm)を、また略称;無定型シリカ−2として信越化学製品・商品名「MU−120」(電子顕微鏡観察法で求めた一次平均粒子サイズ0.07μm)を、略称;無定型アルミナとして昭和電工製品・商品名「UA−5105」を、酸化チタンとして石原産業製品・商品名「CR−EL」(632.8nm波長のレーザー照射式粒子径分布測定法により求めた重量加積曲線の50%粒子径を一次平均粒子サイズとする平均サイズで1μm)をそれぞれ使用した。
【0145】
また、グラフト化変性アルミナ−1として以下のものを使用した。
グラフト化変性アルミナ−1とは、632.8nm波長のレーザー照射式粒度分布測定法により求めた重量加積曲線から求めた50%平均粒子径で0.1μm、かつ重量加積曲線から求めた99.5%粒子径が2μmの無定型のγ−アルミナを用意した。そしてその無定型γ−アルミナ1kgに対し、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製品・商品名KBM403)30.3gの割合で100℃雰囲気下に噴霧処理し、更に80℃で48時間グラフト化熟成させて得たものである。なお、グラフト化変性アルミナ−1の10部をトルエン溶剤100部で5回洗浄後の乾燥試料を磁性ルツボ中で焼くと有機分として1.7%の加熱減量があったことら、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとしておよそ2.4%がグラフト化していることが判明した。
【0146】
また、グラフト化変性アルミナ−2として以下のものを使用した。
グラフト化変性アルミナ−2とは、632.8nm波長のレーザー照射式粒度分布測定法により求めた重量加積曲線から求めた50%平均粒子径で0.1μm、かつ重量加積曲線から求めた99.5%粒子径が2μmの無定型のγ−アルミナを用意した。そしてその無定型γ−アルミナ1kgに対し、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製品・商品名KBM403)30.3gの割合でアセトン溶剤存在下に湿潤後、80℃真空乾燥器で乾燥し、更に大気圧下80℃で48時間グラフト化熟成させて得たものである。なお、グラフト化変性アルミナ−2の10部をトルエン溶剤100部で5回洗浄後の乾燥試料を磁性ルツボ中で焼くと有機分として1.7%の加熱減量があったことから、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとしておよそ2.5%がグラフト化していることが判明した。
【0147】
3.潜在性エポキシ硬化剤(4)
632.8nm波長のレーザー照射式粒度分布測定法により求めた重量加積曲線から求めた50%平均粒子径で1.1μm、かつ重量加積曲線から求めた99.5%粒子径が4.5μmの粉砕分級してなるアジピン酸ジヒドラジッド(大塚化学製)[以下、単に略称として;ADHと表示する]、アミンアダクト体−1として富士化成工業製品・商品名フジキュアーFXR−1030を[以下、単に略称;AD1と表示]、アミンアダクト体−2として三井化学製品・Cat−Z−15を[以下、単に略称;AD2と表示]をそれぞれ使用した。
【0148】
4.硬化促進剤(7)
純度99.7%からなる3−P−クロロフェニル−1,1−ジメチル尿素(以下の記載では促進剤Uと略称する)を用意し、それを微粉砕機で最大粒子径が4μm以下(632.8nm波長のレーザー照射式粒子径分布測定法により求めた重量加積曲線の99.9%最大粒子径で4μm以下)のものを用いた。
【0149】
5.カップリング剤(6)
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製品;商品名KBM403)、イソシアナートプロピルトリエトキシシラン(日本ユニカー社製品;Y−9030)を選定使用。
【0150】
6.ゴム状ポリマー微粒子(2)
ゴム状ポリマー微粒子は、以下に示す合成例1乃至合成例2で調製したそれぞれの組成物を用いた。
(合成例1)
ゴム状ポリマー微粒子(微架橋型アクリルゴム微粒子;S1と略称)含有エポキシ樹脂組成物(a)の合成
攪拌機、気体導入管、温度計、冷却管を備えた2000mlの四つ口フラスコ中に、2官能性エポキシ樹脂としてビスフェノールF型エポキシ樹脂(エピクロン830S・大日本インキ化学工業(株)製)600g、アクリル酸12g、ジメチルエタノールアミン1g、トルエン50gを加え、空気を導入しながら110℃で5時間反応させ二重結合を導入した。次に、ブチルアクリレート350g、グリシジルメタクリレート20g、ジビニルベンゼン1g、アゾビスジメチルバレロニトリル1g及びアゾビスイソブチロニトリル2gを加え、反応系内に窒素を導入しながら70℃で3時間反応させ、更に90℃で1時間反応させた。次いで、110℃の減圧下で脱トルエンを行い、該組成物を光硬化触媒の存在下に低温で速硬化させ、その硬化物の破断面モルフォロジーを電子顕微鏡で観察して分散ゴム粒子径を測定する方法で得た平均粒子径が0.05μmの微架橋型アクリルゴム微粒子(S1)が均一に分散したエポキシ樹脂組成物(a)を得た。
なお、モノマー仕込み量と残存モノマーとから算出される微架橋型アクリルゴム微粒子(S1)含有量は、37.9質量%と判明した。
また、エポキシ樹脂組成物(a)をTBAにかけて求めた微架橋型アクリルゴム微粒子(S1)の軟化点温度は、−42℃を示した。
【0151】
(合成例2)
シリコン系のゴム状ポリマー微粒子(架橋型シリコンゴム微粒子;S2)含有エポキシ樹脂組成物(b)の合成
攪拌機、気体導入管、温度計、冷却管を備えた2000mlの四つ口フラスコを用意し、2官能性エポキシ樹脂としてビスフェノールF型エポキシ樹脂(エピクロン830S・大日本インキ化学工業(株)製)600g、アクリル酸12g、ジメチルエタノールアミン1g、トルエン50gを加え、空気を導入しながら110℃で5時間反応させ二重結合を導入した。次に、ヒドロキシアクリレート5g、ブチルアクリレート10g、アゾビスイソブチロニトリル1gを加え70℃で3時間反応させ、更に90℃で1時間反応させた。次いで、110℃の減圧下で脱トルエンを行った。次に、分子中にメトキシ基を有するシリコン中間体70g、ジブチルスズジラウレート0.3gを加え150℃で1時間反応を行い、生成メタノールを除去するため、更に1時間反応を続行した。このグラフト体に常温硬化型2液タイプのシリコンゴムを質量比1/1で混合したものを300g加え2時間反応させ、架橋型シリコンゴム微粒子が均一に分散したS2含有エポキシ樹脂組成物(b)を得た。
【0152】
該組成物(b)は、これを光硬化触媒の存在下に低温で速硬化させ、その硬化物の破断面モルフォロジーを電子顕微鏡で観察して分散ゴム粒子径を測定する方法で得た平均粒子径値が、1.5μmである架橋型シリコンゴム微粒子(S2)が均一に分散したエポキシ樹脂組成物(b)と判明した。また、仕込み量から算出される微架橋型シリコンゴム微粒子(S2)含有量は、30.0%である。
また、エポキシ樹脂組成物(b)をTBAにかけて求めた微架橋型シリコンゴム微粒子(S2)の軟化点温度は、−65℃を示した。
【0153】
7. 高軟化点ポリマー微粒子(5)
高軟化点ポリマー微粒子(5)は以下に示す合成例3乃至合成例5によって調整したそれぞれの組成物を用いた。
(合成例3)
高軟化点ポリマー微粒子(P1)の合成
攪拌機、気体導入管、温度計、還流冷却管を備えた2000mlの四つ口フラスコにイオン交換水420.5g、イタコン酸10g、界面活性剤としてアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウムである「ペレックスSS−L」(株)花王製品2.6gを加え、窒素を導入しながら70℃まで昇温させた。同温度に達した段階で、過硫酸カリウム1.2gをイオン交換水10gに溶解させた開始剤水溶液11.2gを加え、さらにn−ブチルアクリレート5gとメチルメタクリレート5gとヒドロキシエチルメタクリレート0.5gからなる混合液を一括添加し、70℃で20分間シード重合を行った。そのあと同温度雰囲気下に、メチルメタクリレート339gとグリシジルメタクリレート20gとn−ブチルアクリレート40gと1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート2gとの混合モノマー液を、イオン交換水160gに前記の「ペレックスSS−L」1.8g含有する水溶液で、機械的に乳化させた乳化液を約4時間かけて連続滴下した。滴下終了後、更に同温度下に1時間残モノマー重合を完結させて、固形分39.9質量%のエマルション溶液(Em−1)を得た。なお、引き続き該(Em−1)溶液を純水を用いた限外濾過装置に48時間かけて水溶性成分を除去精製した。48時間限外濾過精製時の(Em−1)のイオン伝導度は0.03mS/mであった。
【0154】
その限外ロ過処理後の(Em−1)エマルション溶液の1,000gを噴霧乾燥器にかけて、0.1%以下の水分含有量からなる高軟化点ポリマー微粒子(P1)粉末を388g得た。
なお、(Em−1)を電子顕微鏡にかけて分散粒子の一次平均粒子サイズを求めた結果、170nm(0.17μm)であった。
高軟化点ポリマー微粒子(P1)の微架橋度指数は、全モノマー中に占める架橋性モノマーの含有比率で表し、0.5質量%の微架橋度を持つものである。
高軟化点ポリマー微粒子(P1)のゲル分率は、99.9%であった。
また、その熱溶融フィルムを用いたTBA測定から、高軟化点ポリマー微粒子(P1)の軟化点温度は、80℃であった。
【0155】
(合成例4)
高軟化点ポリマー微粒子(P2)の合成
攪拌機、気体導入管、温度計、還流冷却管を備えた2000mlの四つ口フラスコにイオン交換水420.5g、14%アンモニア水1.5g、ステアリルメタクリレート0.07モル%と質量平均分子量が230のポリエチレングリコールモノメチルエーテルモノメタクリレート0.1モル%、アクリル酸0.85モル%からなる質量平均分子量3,100の水溶性ポリマーの50質量%水溶液6gを加え、窒素を導入しながら70℃まで昇温させた。同温度に達した段階で、4,4′−アゾビス(4−シアノ琥珀酸)1gを60℃のイオン交換水10gに溶解させた開始剤水溶液11gを加え、さらにn−ブチルアクリレート2.5gとメチルメタクリレート2.5gとヒドロキシエチルメタクリレート0.3gからなる混合液を一括添加し、70℃で20分間シード重合を行った。そのあと同温度雰囲気下に、アクリロニトリル5gとスチレン1gとメチルメタクリレート332gとグリシジルメタクリレート40gとn−ブチルアクリレート20gと1,4−テトラメチレンジオールジメタクリレート3gとの混合モノマー液を、イオン交換水160gに前記のアンモニア水で中和してなる水溶性ポリマーの50質量%水溶液3.5gを含有する水溶液で、機械的に乳化させた乳化液を約4時間かけて連続滴下した。滴下終了後、更に同温度下に1時間残モノマー重合を完結させて、固形分39.2重量%のエマルション溶液(Em−2)を得た。
その(Em−2)エマルション溶液の1,000gを純水を用いた限外ロ過装置に24時間かけて水溶性成分を除去精製した。24時間後の(Em−2)のイオン伝導度は、0.02S/mであった。
【0156】
その限外ロ過処理後の(Em−2)エマルション溶液を噴霧乾燥器にかけて、0.1%以下の水分含有量からなる軟化点76℃の高軟化点ポリマー微粒子(P2)粉末380gを得た。
なお、(Em−2)をレーザー照射型粒子径測定器にかけて分散粒子の一次平均粒子サイズを求めた結果、290nm(0.29μm)であった。
高軟化点ポリマー微粒子(P2)の微架橋度指数は、全モノマー中に占める架橋性モノマーの含有比率で表し、0.7質量%の微架橋度を持つものである。
高軟化点ポリマー微粒子(P2)のメチルカルビトール溶解法からのゲル分率は99.8%であった。
【0157】
(合成例5)
高軟化点ポリマー微粒子(P3)の合成
攪拌機、気体導入管、温度計、還流冷却管を備えた2000mlの四つ口フラスコにイオン交換水420.5g、イタコン酸10g、界面活性剤としてアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウムである「ペレックスSS−L」(株)花王製品0.5gとノニオン性の反応性界面活性剤として商品名「アクアロンRN−20」第一工業製薬社製品2gを加え、窒素を導入しながら70℃まで昇温させた。同温度に達した段階で、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]1gをイオン交換水の10gに溶解させた開始剤水溶液11gを加え、さらにn−ブチルアクリレート10gとメチルメタクリレート10gとヒドロキシエチルメタクリレート1gからなる混合液を一括添加し、70℃で30分間シード重合を行った。そのあと同温度雰囲気下に、メチルメタクリレート339gとグリシジルメタクリレート20gとn−ブチルアクリレート40gと1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート2gとの混合モノマー液をイオン交換水160gに前記の「ペレックスSS−L」0.5gと「アクアロンRN−20」の1.5gとを含有する水溶液で、機械的に乳化させた乳化液を約4時間かけて連続滴下した。滴下終了後、更に同温度下に1時間残モノマー重合を完結させて、固形分39.5質量%のエマルション溶液(Em−3)を得た。
【0158】
その(Em−3)エマルション溶液の1,000gを純水を用いた限外ロ過装置に72時間かけて水溶性成分を除去精製した。72時間後の(Em−3)のイオン伝導度は、0.04S/mであった。
その限外ロ過処理後の(Em−3)エマルション溶液を凍結乾燥器にかけて、0.14%の水分含有量からなる軟化点83℃の高軟化点ポリマー微粒子(P3)粉末390gを得た。
なお、P3を電子顕微鏡観察で一次分散粒子の最大粒子サイズを求めた結果、1.1μmであった。
【0159】
8.低軟化点ポリマー微粒子
比較の為の低軟化点ポリマー微粒子として以下に示す比較合成例1にて調製した組成物を用いた。
(比較合成例1)
低軟化点ポリマー微粒子(Q1)の合成
攪拌機、気体導入管、温度計、還流冷却管を備えた2000mlの四つ口フラスコにイオン交換水420.5g、イタコン酸10g、界面活性剤としてアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウムである「ペレックスSS−L」(株)花王製品2.5gを加え、窒素を導入しながら70℃まで昇温させた。同温度に達した段階で、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]1gをイオン交換水10gに溶解させた開始剤水溶液11gを加え、さらにn−ブチルアクリレート10gとメチルメタクリレート10gとヒドロキシエチルメタクリレート1gからなる混合液を一括添加し、70℃で30分間シード重合を行った。そのあと同温度雰囲気下に、メチルメタクリレート210gとグリシジルメタクリレート17gとn−ブチルアクリレート150gと1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート5gとの混合モノマー液をイオン交換水160gに前記の「ペレックスSS−L」2gを含有する水溶液で、機械的に乳化させた乳化液を約4時間かけて連続滴下した。滴下終了後、更に同温度下に1時間残モノマー重合を完結させて、固形分39.5質量%のエマルション溶液(Em−4)を得た。
【0160】
その(Em−4)エマルション溶液の1,000gを純水を用いた限外ロ過装置に48時間かけて水溶性成分を除去精製した。48時間後の(Em−4)のイオン伝導度は、0.03S/mであった。
その限外ロ過処理後の(Em−4)エマルション溶液を凍結乾燥器にかけて、0.14%の水分含有量からなる軟化点温度が約45℃の低軟化点ポリマー微粒子(Q1)粉末387gを得た。
なお、Q1を電子顕微鏡観察で一次分散粒子の最大粒子サイズを求めた結果、0.2μmであった。
【0161】
実施例1
ノボラックエポキシ樹脂として「エポトートYDCN」30部をメチルカルビトール20部で溶解した液に、更に、ビスフェノールF型エポキシ樹脂として「エピクロン830S」60部、平均粒子径が0.05μmの微架橋型アクリルゴム微粒子(S1)が均一に分散したエポキシ樹脂組成物(a)46部、潜在性エポキシ硬化剤としてADH15部、促進剤−U0.2部、酸化チタン「CR−EL」2部、無定型シリカ−2の1部、グラフト化変性アルミナ−1の10.8部、高軟化点ポリマー微粒子(P1)10部、シランカップリング剤KBM403の5部とを加え、ダルトンミキサーで予備混合し、次に、3本ロールで固体原料が5μm以下になるまで混練し、混練物を真空脱泡処理して液晶シール剤組成物(E1)を得た。
液晶シール剤組成物(E1)は、一分子中に平均2.5ケのエポキシ基を有するエポキシ樹脂からなり、その含有量として59.3%、ゴム状ポリマー微粒子含有量8.7%、無機質充填剤含有量6.9%、高軟化点ポリマー微粒子含有量5%、シランカップリング剤含有量2.5%、潜在性エポキシ硬化剤含有量7.5%、促進剤含有量0.1%、溶剤含有量10%とからなる。
なお、E型粘度計による25℃初期粘度が35〜45Pa・sであった。
液晶シール剤組成物(E1)の貯蔵安定性試験結果、塗付作業性試験結果、透湿度特性、Bステージ後の粘度特性、熱変形温度測定結果、線膨張係数測定結果、遊離イオン濃度測定結果はそれぞれ表1に示した。
(E1)のDSCによる開始温度は113.5℃で、Top温度は162℃であった。
【0162】
液晶シール剤組成物(E1)100部に対し、5μmのガラス短繊維スペーサー5部を配合し、十分混合して得た真空脱気組成物を、まず、透明電極と配向膜処理された液晶セル用ガラス基板(以下の記載では、単にITO基板と呼ぶ)に、1基板当たり1インチサイズ上下左右各1の合計4セルからなるパターンをディスペンサー塗布し、シール剤塗布幅約0.7mm、シール剤塗布厚み約22〜25μmからなるITO基板を得た。その後、80℃熱風乾燥器で20分乾燥し、対になるべき別のITO基板を乗せ、位置合わせ後に、プレス圧0.03MPa/cm2,170℃/6分、常陽工学製の剛体枚葉熱プレスにて一次接合シール試験を10回繰り返し実施した。
その結果、シール貫通泡の発生によるシール不良箇所やシールラインの乱れは1サンプルも無く、所望の5±0.1μmセルギャップ厚みを持つ液晶表示用セル基板がすべてのロットで製造可能であった。その内の5セルを更に150℃の真空乾燥機にて90分放置して完全硬化させたセルを得た。次いで、2セルは個々に切断後、セルの耐熱くさび引き剥がし試験、120℃/3時間プレッシャークッカー試験後のセルのくさび引き剥がし試験、また更に、得られた3セルを用いて行ったシール機能耐久性試験の結果を表−1に示した。
【0163】
実施例2
実施例1に於いて、高軟化点ポリマー微粒子(P1)に替えて高軟化点ポリマー微粒子(P2)を同部とした以外は、同様にして液晶シール剤組成物(E2)を得た。
液晶シール剤組成物(E2)は、一分子中に平均2.5ケのエポキシ基を有するエポキシ樹脂からなり、その含有量として59.3%、ゴム状ポリマー微粒子含有量8.7%、無機質充填剤含有量6.9%、高軟化点ポリマー微粒子含有量5%、シランカップリング剤含有量2.5%、潜在性エポキシ硬化剤含有量7.5%、促進剤含有量0.1%、溶剤含有量10%とからなる。
なお、E型粘度計による25℃初期粘度が30乃至40Pa・sであった。
液晶シール剤組成物(E2)の貯蔵安定性試験結果、塗付作業性試験結果、透湿度特性、Bステージ後の粘度特性、熱変形温度測定結果、線膨張係数測定結果、遊離イオン濃度測定結果をそれぞれ表1に示した。
(E2)のDSCによる開始温度は115℃で、Top温度は160℃であった。
【0164】
液晶シール剤組成物(E2)100部に対し、5μmの球状シリカスペーサー3部を配合し、十分混合して得た真空脱気組成物を、まず、透明電極と配向膜処理されたITO基板に、1基板当たり1インチサイズ上下左右各1の合計4セルからなるパターンをディスペンサー塗布し、シール剤塗布幅約0.65mm、シール剤塗布厚み約20乃至22μmからなるITO基板を得た。その後、80℃熱風乾燥器で20分乾燥し、対になるべき別のITO基板を乗せ、位置合わせ後に、プレス圧0.05MPa/cm2,150℃/15分、常陽工学製の剛体枚葉熱プレスにて一次接合シール試験を10回繰り返し実施した。
その結果、シール貫通泡の発生によるシール不良箇所やシールラインの乱れは1サンプルも無く、所望の5±0.1μmセルギャップ厚みを持つ液晶表示用セル基板がすべてのロットで製造可能であった。その内の5セルを更に150℃の真空乾燥機にて90分放置して完全硬化させたセルを得た。次いで、2セルは個々に切断後、セルの耐熱くさび引き剥がし試験、120℃/3時間プレッシャークッカー試験後のセルのくさび引き剥がし試験、得られたセルのシール貫通不良箇所の有無やシールラインの直線性を拡大鏡で観察し、それらの結果を表1に記載した。また更に、得られた3セルを用いて行ったシール機能耐久性試験の結果を表−1に示した。
【0165】
実施例3
エピコートEP−100410部とエピコートEP−1001の23部とを、予め非反応性の溶剤としてブチルセロソルブとエチルセロソルブの重量比1:1からなる混合溶剤20部に溶解し、その液に、ビスフェノールF型エポキシ樹脂として「エピクロン830S」40部、アミノエポキシ樹脂として「エポトートYH−434」16部、平均粒子径が1.5μmの微架橋型シリコンゴム微粒子(S2)が均一に分散したエポキシ樹脂組成物(b)42部、潜在性エポキシ硬化剤としてADH13部、促進剤−U1.6部、酸化チタン「CR−EL」1部、無定型シリカ−2の1部、グラフト化変性アルミナ−2の15.4部、高軟化点ポリマー微粒子(P3)16部、KBM403の1部とを加え、ダルトンミキサーで予備混合し、次に、3本ロールで固体原料が5μm以下になるまで混練し、混練物を真空脱泡処理して液晶シール剤組成物(E3)を得た。
液晶シール剤組成物(E3)は、一分子中に平均2.2ケのエポキシ基を有するエポキシ樹脂からなり、その含有量として59.2%、ゴム状ポリマー微粒子含有量6.3%、無機質充填剤含有量8.7%、高軟化点ポリマー微粒子含有量8%、シランカップリング剤含有量0.5%、潜在性エポキシ硬化剤含有量6.5%、促進剤含有量0.8%、溶剤含有量10%とからなる。
なお、E型粘度計による25℃初期粘度が55乃至60Pa・sであった。
液晶シール剤組成物(E3)の貯蔵安定性試験結果、塗付作業性試験結果、透湿度特性、Bステージ後の粘度特性、熱変形温度測定結果、線膨張係数測定結果、遊離イオン濃度測定結果をそれぞれ表1に示した。
(E3)のDSCによる開始温度は107℃で、Top温度は156℃であった。
【0166】
液晶シール剤組成物(E3)100部に対し、5μmの球状シリカスペーサー3部を配合し、十分混合して得た真空脱気組成物を、まず、透明電極と配向膜処理されたITO基板に、1基板当たり1インチサイズ上下左右各1の合計4セルからなるパターンをスクリーン印刷し、シール剤塗布幅約1mm、シール剤塗布厚み約20乃至22μmからなるITO基板を得た。その後、80℃熱風乾燥器で20分乾燥し、対になるべき別のITO基板を乗せ、位置合わせ後に、プレス圧0.05MPa/cm2,150℃/20分の真空枚葉プレス機にて一次接合シール試験を10回繰り返し実施した。
その結果、シール貫通泡の発生によるシール不良箇所やシールラインの乱れは1サンプルも無く、所望の5±0.1μmセルギャップ厚みを持つ液晶表示用セル基板がすべてのロットで製造可能であった。その内の5セルを更に150℃の真空乾燥機にて60分放置して完全硬化させたセルを得た。次いで、2セルは個々に切断後、セルの耐熱くさび引き剥がし試験、120℃/3時間プレッシャークッカー試験後のセルのくさび引き剥がし試験、得られたセルのシール貫通不良箇所の有無やシールラインの直線性を拡大鏡で観察し、それらの結果を表1に記載した。
また更に、得られた3セルを用いて行ったシール機能耐久性試験の結果を表−1に示した。
【0167】
実施例4
実施例3に於いて、ブチルセロソルブとエチルセロソルブからなる混合溶剤20部に替えて、反応性希釈剤として、t−BPMG10部と1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル10部とした以外は、同様にして液晶シール剤組成物(E4)を調製した。
液晶シール剤組成物(E4)は、一分子中に平均2.1ケのエポキシ基を有するエポキシ樹脂からなり、その含有量として69.2%、ゴム状ポリマー微粒子含有量6.3%、無機質充填剤含有量8.7%、高軟化点ポリマー微粒子含有量8%、シランカップリング剤含有量0.5%、潜在性エポキシ硬化剤含有量6.5%、促進剤含有量0.8%、無溶剤型からなる。
なお、E型粘度計による25℃初期粘度が60乃至70Pa・sであった。
液晶シール剤組成物(E4)の貯蔵安定性試験結果、塗付作業性試験結果、透湿度特性、Bステージ後の粘度特性、熱変形温度測定結果、線膨張係数測定結果、遊離イオン濃度測定結果をそれぞれ表1に示した。
(E4)のDSCによる開始温度は106.5℃で、Top温度は157℃であった。
【0168】
液晶シール剤組成物(E4)の100部に対し、5μmの球状シリカスペーサー3部を配合し、十分混合して得た真空脱気組成物を、まず、透明電極と配向膜処理されたITO基板に、1基板当たり1インチサイズ上下左右各1の合計4セルからなるパターンをデセィスペンサー塗布し、シール剤塗布幅約0.75mm、シール剤塗布厚み約28乃至32μmからなるITO基板を得た。その後、100℃熱風乾燥器で10分熱処理後、対になるべき別のITO基板を乗せ、位置合わせ後に、プレス圧0.05MPa/cm2,180℃/6分、常陽工学製の剛体枚葉熱プレス機による一次接合シール試験を10回繰り返し実施した。
その結果、シール貫通泡の発生によるシール不良は1サンプルも無く、所望の5±0.1μmセルギャップ厚みを持つ液晶表示用セル基板がすべてのロットで製造可能であった。
次いで、その内の5セルを更に150℃の真空乾燥機にて60分放置して完全硬化させたセルを得た。次いで、2セルは個々に切断後、セルの耐熱くさび引き剥がし試験、120℃/3時間プレッシャークッカー試験後のセルのくさび引き剥がし試験、得られたセルのシール貫通不良箇所の有無やシールラインの直線性を拡大鏡で観察し、それらの結果を表1に記載した。
また更に、得られた3セルを用いて行ったシール機能耐久性試験の結果を表−1に示した。
【0169】
実施例5
ノボラックエポキシ樹脂として「エポトートYDCN−702P」22部を2−EHG30部と1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル10部に溶解した液に、更に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂として「エポミックR−140P」42部、平均粒子径が0.05μmの微架橋型アクリルゴム微粒子(S1)が均一に分散したエポキシ樹脂組成物(a)40部、潜在性エポキシ硬化剤としてAD1の8部、Cat−Z−15の6部、アジピン酸2部、無定型シリカ−2の3部、グラフト化変性アルミナ−2の18部、高軟化点ポリマー微粒子(P2)7部、シランカップリング剤KBM403の1部、同Y−9030の3部とを加え、ダルトンミキサーで予備混合し、次に、3本ロールで固体原料が5μm以下になるまで混練し、混練物を真空脱泡処理して液晶シール剤組成物(E5)を得た。
液晶シール剤組成物(E5)は、一分子中に平均1.9ケのエポキシ基を有するエポキシ樹脂からなり、その含有量として64.6%、ゴム状ポリマー微粒子含有量7.4%、無機質充填剤含有量10.5%、高軟化点ポリマー微粒子含有量3.5%、シランカップリング剤含有量2%、潜在性エポキシ硬化剤含有量11%、硬化促進剤であるアジピン酸含有量1%、無溶剤型からなる。
なお、E型粘度計による25℃初期粘度が約17乃至22Pa・sであった。液晶シール剤組成物(E5)の貯蔵安定性試験結果、塗付作業性試験結果、透湿度特性、Bステージ後の粘度特性、熱変形温度測定結果、線膨張係数測定結果、遊離イオン濃度測定結果をそれぞれ表1に示した。
(E5)のDSCによる開始温度は70.5℃で、Top温度は136.5℃であった。
【0170】
液晶シール剤組成物(E5)100部に対し、5μmのガラス短繊維スペーサー5部を配合し、十分混合して得た真空脱気組成物を、まず、透明電極と配向膜処理された液晶セル用ポリエチレンテレフタレートプラスチック基板(以下の記載では、単にITOプラスチック基板と呼ぶ)に、1基板当たり1インチサイズ上下左右各1の合計4セルからなるパターンをスクリーン印刷し、シール剤塗布幅約1.5mm、シール剤塗布厚み約25乃至28μmからなるITOプラスチック基板を得た。その後、100℃熱風乾燥器で20分熱処理後、対になるべき別のITOプラスチック基板を乗せ、位置合わせ後に、プレス圧0.01MPa/cm2,120℃/30分、常陽工学製の剛体枚葉熱プレス機で一次接合シール試験を10回繰り返し実施した。
その結果、シ-ル貫通泡の発生によるシール不良は1サンプルも無く、所望の5±0.1μmセルギャップ厚みを持つ液晶表示用セル基板がすべてのロットで製造可能であった。
次いで、その内の5セルを更に120℃の真空乾燥機にて120分放置して完全硬化させたセルを得た。次いで、2セルは個々に切断後、セルの耐熱くさび引き剥がし試験、80℃温水浸漬5時間後のセルのくさび引き剥がし試験、得られたセルのシール貫通不良箇所の有無やシールラインの直線性を拡大鏡で観察し、それらの結果を表1に記載した。
また更に、得られた3セルを用いて行ったシール機能耐久性試験の結果を表−1に示した。
【0171】
実施例6
ノボラックエポキシ樹脂として「エポトートYDCN」42部とエピクロン830Sの133部と溶剤としてジエチレングリコールモノメチルエーテル31.76部とを予め500ml容積の反応フラスコに仕込み、攪拌下に、アミン価が800の両末端一級アミノ基を持つポリプロピレングリコール160部を加え、120℃で1時間反応させて変性エポキシ樹脂を得た。その変性エポキシ樹脂組成物66.45部と、平均粒子径が0.05μmの微架橋型アクリルゴム微粒子(S1)が均一に分散したエポキシ樹脂組成物(a)42.3部、潜在性エポキシ硬化剤としてADHの13.89部、グラフト化変性アルミナ−2の36.25部、高軟化点ポリマー微粒子(P1)16.31部と、ジエチレングリコールモノメチルエーテル24.79部を加え、ダルトンミキサーで予備混合し、次に、3本ロールで固体原料が5μm以下になるまで混練し、混練物を真空脱泡処理して液晶シール剤組成物(B1)を得た。
液晶シール剤組成物(B1)は、変性エポキシ樹脂の含有量として43.48%、溶剤含有量15.27%、ゴム状ポリマー微粒子含有量8.02%、無機質充填剤含有量18.12%、高軟化点ポリマー微粒子含有量8.16%、潜在性エポキシ硬化剤含有量6.95%とからなる。
液晶シール剤組成物(B1)と同質量の純水とを混和させて得られる水溶液のイオン伝導度は、0.3mS/m以下であった。
【0172】
また、該エポキシ樹脂組成物(B1)を離型フィムル上に50μm厚みに塗布し、100℃/20分熱処理後の組成物のE型粘度は0.5rpm回転粘度で約2500Pa・s/80℃であり、5rpm回転粘度で約450Pa・s/80℃であり、また0.5rpm回転粘度で2100Pa・s/100℃を示した。また、該エポキシ樹脂組成物(B1)の硬化体のTMAから求めた0℃乃至100℃の線膨張係数は、4.9×10-5mm/mm/℃、Tgが128℃、80℃透湿度が147g/m2・24hrsであった。
(B1)のDSCによる開始温度は128℃で、Top温度は179℃であった。
【0173】
液晶シール剤組成物(B1)100部に対し、シランカップリング剤KBM403を1部と促進剤−U2部とからなる液晶シール剤組成物(B1改)は、同質量の純水とを混和させて得られる水溶液のイオン伝導度は、0.3mS/m以下で変化はなかった。また、該エポキシ樹脂組成物(B1改)を離型フィムル上に50μm厚みに塗布し、100℃/20分熱処理後の組成物のE型粘度は0.5rpm回転粘度で約2750Pa・s/80℃であり、5rpm回転粘度で約510Pa・s/80℃であり、また0.5rpm回転粘度で2600Pa・s/100℃を示し、B1の特性よりも少し向上した。
また該エポキシ樹脂組成物(B1改)の硬化体のTMAから求めた0℃乃至100℃の線膨張係数は、5.0×10-5mm/mm/℃、Tgが124℃、80℃透湿度が145g/m2・24hrsであり、B1組成物と大差ないことが判った。
また液晶シール剤組成物(B1改)の10mgを不活性ガス雰囲気中、毎分5℃で等速昇温させてなる示差熱分析(DSC)の示差熱ピーク曲線から求められた最大発熱ピーク温度は、161℃を示し、発熱開始温度が115℃であった。
【0174】
液晶シール剤組成物(B1改)100部と、5μmの球状シリカスペーサー3部を配合し、十分混合して得た真空脱気組成物を、まず、透明電極と配向膜処理されたITO基板に、1基板当たり1インチサイズ上下左右各1の合計4セルからなるパターンをスクリーン印刷し、シール剤塗布幅約1mm、シール剤塗布厚み約20乃至22μmからなるITO基板を得た。その後、80℃熱風乾燥器で20分乾燥し、対になるべき別のITO基板を乗せ、位置合わせ後に、プレス圧0.05MPa/cm2,180℃/6分の常陽容工学製剛体枚葉プレス機にて一次接合シール試験を10回繰り返し実施した。
その結果、シール貫通泡の発生によるシール不良箇所やシールラインの乱れは1サンプルも無く、所望の5±0.1μmセルギャップ厚みを持つ液晶表示用セル基板がすべてのロットで製造可能であった。
得られたセルを80℃温水浸漬5時間後、該セルをくさび引き剥がし試験に供した結果、接着剤の完全凝集破壊であり、接着信頼性に優れていた。またシール機能耐久性試験500時間経過後の結果では、表示機能の変化を観察した。その結果、表示ムラがセル周辺部のシール際からの距離で50μm以内に僅かに見られる以外、それ以外の部位では表示次機能は良好であった。
【0175】
実施例7
ノボラックエポキシ樹脂として「エポトートYDCN」42部とエピクロン830Sの133部と溶剤としてトルエン250部とを予め500ml容積の反応フラスコに仕込み、攪拌下に、アミン価が1500の両末端一級アミノ基を持つポリジメチルシロキサン(信越シリコン社製品;X−22−161B)100部を加え、120℃で2時間反応させた後、同温度下で減圧脱溶剤処理して変性エポキシ樹脂275部を得た。その変性エポキシ樹脂組成物54.1部と、平均粒子径が0.05μmの微架橋型アクリルゴム微粒子(S1)が均一に分散したエポキシ樹脂組成物(a)37.1部、潜在性エポキシ硬化剤としてDDH20部、グラフト化変性アルミナ−2の47.4部、高軟化点ポリマー微粒子(P1)11.8部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート29.6部とを加え、ダルトンミキサーで予備混合し、次に、3本ロールで固体原料が5μm以下になるまで混練し、混練物を真空脱泡処理して液晶シール剤組成物(B2)を得た。
液晶シール剤組成物(B2)は、変性エポキシ樹脂の含有量として38.57%、溶剤含有量14.8%、ゴム状ポリマー微粒子含有量7.03%、無機質充填剤含有量23.7%、高軟化点ポリマー微粒子含有量5.9%、潜在性エポキシ硬化剤含有量10%とからなる。
【0176】
液晶シール剤組成物(B2)と同質量の純水とを10分間混和させて得られる水溶液のイオン伝導度は、0.3mS/m以下であった。また、該エポキシ樹脂組成物(B2)を離型フィムル上に50μm厚みに塗布し、100℃/20分熱処理後の組成物のE型粘度は、0.5rpm回転粘度で約850Pa・s/80℃であり、5rpm回転粘度で約150Pa・s/80℃であり、また0.5rpm回転粘度で900Pa・s/100℃を示した。
また該エポキシ樹脂組成物(B2)の硬化体のTMAから求めた0℃乃至100℃の線膨張係数は、3.6×10-5mm/mm/℃、Tgが115℃、80℃透湿度が133g/m2・24hrsであった。
【0177】
液晶シール剤組成物(B2)100部に対し、シランカップリング剤KBM403を1部と促進剤−Uの2部とからなる液晶シール剤組成物(B2改)は、同質量の純水とを10分間混和させて得られる水溶液のイオン伝導度は、0.3mS/m以下で変化はなかった。また、該エポキシ樹脂組成物(B2改)を離型フィムル上に50μm厚みに塗布し、100℃/20分熱処理後の組成物のE型粘度は、0.5rpm回転粘度で約970Pa・s/80℃であり、5rpm回転粘度で約200Pa・s/80℃であり、また0.5rpm回転粘度で1100Pa・s/100℃を示し、B2の特性よりも少し向上した。
また、該エポキシ樹脂組成物(B2改)の硬化体のTMAから求めた0℃乃至100℃の線膨張係数は、3.5×10-5mm/mm/℃、Tgが117℃、80℃透湿度が141g/m2・24hrsであり、(B2)組成物と大差ないことが判った。
【0178】
液晶シール剤組成物(B2改)100部と、5μmの球状シリカスペーサー3部を配合し、十分混合して得た真空脱気組成物を、まず、透明電極と配向膜処理されたITO基板に、1基板当たり14インチサイズの2セルからなるパターンをディスペンサー塗布し、シール剤塗布幅約1mm、シール剤塗布厚み約20〜22μmからなるITO基板を得た。その後、100℃熱風乾燥器で15分乾燥し、対になるべき別のITO基板を乗せ、位置合わせ後に、プレス圧0.05MPa/cm2,180℃/6分の常陽容工学製剛体枚葉プレス機にて一次接合シール試験を10回繰り返し実施した。
その結果、シール貫通泡の発生によるシール不良箇所やシールラインの乱れは1サンプルも無く、所望の5±0.1μmセルギャップ厚みを持つ液晶表示用セル基板がすべてのロットで製造可能であった。
得られたセルを80℃温水浸漬5時間後、該セルをくさび引き剥がし試験に供した結果、接着剤の完全凝集破壊であり、接着信頼性に優れていた。またシール機能耐久性試験500時間経過後の結果では、表示機能の変化を観察した。その結果、表示ムラがセル周辺部のシール際からの距離で50μm以内に僅かに見られる以外、それ以外の部位では表示次機能は良好であった。
【0179】
比較例1
実施例1に於いて、ビスフェノールF型エポキシ樹脂「エピクロン830S」31.6部の代わりにビスフェノールF型エポキシ樹脂として「エピクロン830」31.6部、グラフト化変性アルミナ−1の10.8部に替えて無定形アルミナ10.8部とし、かつ高軟化点ポリマー微粒子(P1)を含まない以外は、同様にして液晶シール剤組成物(F1)を調製した。
液晶シール剤組成物(F1)は、一分子中に平均2.5ケのエポキシ基を有するエポキシ樹脂からなり、その含有量として62.4%、ゴム状ポリマー微粒子含有量9.1%、無機質充填剤含有量7.3%、シランカップリング剤含有量2.6%、潜在性エポキシ硬化剤含有量7.9%、促進剤含有量0.11%、溶剤含有量10.5%とからなる。なお、E型粘度計による初期粘度が10乃至15Pa・sであった。
液晶シール剤組成物(F1)の貯蔵安定性試験結果と塗付作業性試験結果を表1に示した。
(F1)のDSCによる開始温度は115℃で、Top温度は161℃であった。
【0180】
液晶シール剤組成物(F1)100部に対し、5μmのガラス短繊維スペーサー5部を配合し、十分混合して得た真空脱気組成物を、まず、透明電極と配向膜処理されたITO基板に、1基板当たり1インチサイズ上下左右各1の合計4セルからなるパターンをディスペンサー塗布し、シール剤塗布幅約0.5mm、シール剤塗布厚み約20〜22μmからなるITO基板を得た。その後、100℃熱風乾燥器で20分乾燥し、対になるべき別のITO基板を乗せ、位置合わせ後に、プレス圧0.03MPa/cm2,170℃/6分、常陽工学製剛体枚葉熱プレス機にて一次接合シール試験を10回繰り返し実施した。
その結果、シ-ル貫通泡の発生によるシール不良箇所やシールラインの乱れが゜9/10の確率で発生した。
よって比較例1の液晶シール剤組成物は、枚葉熱プレス適正が不足していることが判明した。
なお、貫通泡の発生のない合格セルを用いたセルの耐熱くさび引き剥がし試験、80℃温水浸漬5時間後のセルのくさび引き剥がし試験、シール機能耐久性試験の結果を表−1に示した。
【0181】
比較例2
ノボラックエポキシ樹脂として「エポトートYDCN」20部をメチルカルビトール5部で溶解した液に、更に、ビスフェノールF型エポキシ樹脂として「エピクロン830」43.5部、潜在性エポキシ硬化剤としてADH7.5部、促進剤−U0.5部、無定型シリカ−2の1部、無定型アルミナ6.5部、高軟化点ポリマー微粒子(P1)15部、シランカップリング剤KBM403の1部とを加え、ダルトンミキサーで予備混合し、次に、3本ロールで固体原料が5μm以下になるまで混練し、混練物を真空脱泡処理して液晶シール剤組成物(F2)を得た。
【0182】
液晶シール剤組成物(F2)は、高軟化点ポリマー微粒子含有量が15%からなるが、E型粘度計による25℃初期粘度が200Pa・sを超えると共に、チクソ指数が5乃至6と極めて高く、その為、ディスペンサー塗付作業は、なんとか可能であったが、スクリーン印刷作業性に著しく欠け、印刷かすれを多発した。また、液晶シール剤組成物(F2)100部に対し、5μmのガラス短繊維スペーサー5部を配合し、十分混合して得た真空脱気組成物を、まず、透明電極と配向膜処理されたITO基板に、1基板当たり1インチサイズ上下左右各1の合計4セルからなるパターンをディスペンサーにて塗付し、シール剤塗布幅約0.4mm、シール剤塗布厚み約40乃至45μmからなるITO基板を得た。その後、100℃熱風乾燥器で20分乾燥した所、シール材表面はタックがほとんどない状態になった。その状態で別のITO基板を乗せ、位置合わせ後に、プレス圧0.02乃至0.05MPa/cm2,180℃/6分、常陽工学着製剛体枚葉熱プレスによる一次接合シール試験を繰り返し5回実施したが、すべてのロットでセルギャップ幅は6μm以下にならず、所望するギャップ幅5μmを達成することが全く出来なかった。シール不良箇所やシールラインの乱れの発生は見られなかったが、接着作業性として重要なギャップ幅出し作業性が著しく欠如している液晶シール剤組成物(F2)で有ることが判明した。
【0183】
比較例3
実施例1に於いて、高軟化点ポリマー微粒子(P1)に替えて低軟化点ポリマー微粒子(Q1)を同部とした以外は、同様にして液晶シール剤組成物(F3)を製造した。
その結果、液晶シール剤組成物(F3)の25℃の粘度は100Pa・sを超える初期粘度となると共に、その経時変化が激しく、12時間後には3倍を越す粘度変化を呈した。よって、液晶シール剤組成物(F3)はディスペンサー塗付やスクリーン印刷で目詰まりや吐出不良を呈し、結果として著しく塗布作業安定性に欠ける液晶シール剤組成物であった。その為、その後の接合シール試験には供しなかった。
【0184】
【表1】
【0185】
【発明の効果】
本発明の液晶シール剤組成物の硬化体は、熱変形温度が100℃以上と高く、非滲み出し性、非貫通泡性、低透湿性に優れ、低い線膨張係数特性を示す。組成物から移行する電気伝導性イオンの存在が低く抑えることもできる。
さらに該液晶シール剤組成物はシールラインの直線性、正確なギャップ幅制御性が優れる。又液晶シール剤組成物は1液型であっても上記特性に優れ、貯蔵安定性ならびに塗布作業性が良好であり、枚葉プレス加熱接着方式に適合し、かつその際の一次硬化接着信頼性が高い。
Claims (16)
- (1)一分子中にエポキシ基を平均1.2ケ以上持ってなるエポキシ樹脂(1)20乃至88.9質量%と、
(2)0℃以下の軟化点温度を持ちその一次粒子径が5μm以下からなるゴム状ポリマー微粒子(2)1乃至15質量%、
(3)無機質充填剤(3)5乃至50質量%、
(4)熱活性な潜在性エポキシ硬化剤(4)5乃至30質量%、
(5)50℃以上の軟化点温度を持ちその一次粒子径が2μm以下の高軟化点ポリマー微粒子(5)0.1乃至9.5質量%
を含有させてなることを特徴とする液晶シール剤組成物。 - 前記組成物中に、シランカップリング剤(6)0.1乃至5質量%及び硬化促進剤(7)0.1乃至10質量%を更に含有させてなることを特徴とする請求項1記載の液晶シール剤組成物。
- 前記組成物中に、エポキシ樹脂と相溶し、かつ沸点が150乃至230℃の範囲にある溶剤(8)1乃至25質量%を更に含有させてなることを特徴とする請求項1記載の液晶シール剤組成物。
- 前記組成物中に、エポキシ樹脂と相溶し、かつ沸点が150乃至230℃の範囲にある溶剤(8)1乃至25質量%を更に含有させてなることを特徴とする請求項2記載の液晶シール剤組成物。
- 前記組成物中に、ギャップ出しコントロール剤(9)0.1乃至5質量%を更に含有させてなることを特徴とする請求項1に記載の液晶シール剤組成物。
- 前記組成物中に、ギャップ出しコントロール剤(9)0.1乃至5質量%を更に含有させてなることを特徴とする請求項2に記載の液晶シール剤組成物。
- 前記組成物中に、ギャップ出しコントロール剤(9)0.1乃至5質量%を更に含有させてなることを特徴とする請求項3に記載の液晶シール剤組成物。
- 前記組成物中に、ギャップ出しコントロール剤(9)0.1乃至5質量%を更に含有させてなることを特徴とする請求項4に記載の液晶シール剤組成物。
- 前記組成物10mgを不活性ガス雰囲気中、毎分5℃で等速昇温させてなる示差熱分析(DSC)の示差熱ピーク曲線から求められた最大発熱ピーク温度が135乃至180℃の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の液晶シール剤組成物。
- 前記組成物が1液型エポキシ樹脂組成物であると共に、その液晶シール剤組成物10mgを不活性ガス雰囲気中、毎分5℃で等速昇温させてなる示差熱分析(DSC)の示差熱ピーク曲線から求められた発熱開始温度が60乃至130℃の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の液晶シール剤組成物。
- 前記エポキシ樹脂(1)が、特に一分子中にエポキシ基を平均1.7個以上有するエポキシ樹脂であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定によるポリスチレン換算数平均分子量が7000以下であることを特徴とする請求項1に記載の液晶シール剤組成物。
- 前記ゴム状ポリマー微粒子(2)及び高軟化点ポリマー微粒子(5)がエポキシ樹脂中にそれぞれ粒子として分散した状態で存在することを特徴とする請求項1に記載の液晶シール剤組成物。
- 前記高軟化点ポリマー微粒子(5)が、60乃至150℃の軟化点温度を持ち、一次粒子径が0.01乃至2μmの範囲で、ポリマー成分中に0.1乃至5質量%の割合でエポキシ基が導入され、かつ微架橋構造を持ったポリ(メタ)アクリレート主成分型の高軟化点ポリマー微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の液晶シール剤組成物。
- 前記無機質充填剤(3)の少なくとも一部が、繰り返し溶剤洗浄法で求めた質量増加率で表されるグラフト化率で、無機質充填剤(3)の100質量部当たりエポキシ樹脂(1)の1乃至50質量部がグラフト結合されていることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の液晶シール剤組成物。
- 前記無機質充填剤(3)の少なくとも一部が、繰り返し溶剤洗浄法で求めた質量増加率で表されるグラフト化率で、無機質充填剤(3)の100質量部当たりシランカップリング剤(6)の1乃至50質量部がグラフト結合されていることを特徴とする請求項2、4、6または8のいずれかに記載の液晶シール剤組成物。
- 前記溶剤(8)が、沸点が150乃至230℃の範囲にある、ケトン溶剤、エーテル溶剤、エステル溶剤から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項3、4、7または8のいずれかに記載の液晶シール剤組成物。
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