JP5266767B2 - 調光材料、調光フィルム、及び調光材料の製造方法 - Google Patents

調光材料、調光フィルム、及び調光材料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、調光材料、調光フィルム、及び調光材料の製造方法に関する。
調光フィルムは、電界の印加の大きさにより光透過率が変化し、光の透過量を調整することが可能なフィルムである。調光フィルムとして、例えば、電界に対して応答性を有する光調整粒子を利用した調光フィルムが知られている。この調光フィルムにおいては、光調整粒子が分散した光調整懸濁液の微細な液滴が、紫外線照射によって硬化した樹脂マトリックス中に分散している。光調整懸濁液が分散した樹脂マトリックスは、調光層として、透明導電性基板により挟持されている。光調整粒子は、好ましくは針状又は棒状である。この調光フィルム中で、光調整粒子は、電界が印加されていない状態では、ブラウン運動により光を吸収、散乱又は反射するため、フィルムへの入射光はフィルムを透過できない。しかし、電界が印加された状態では、光調整粒子の分極により、光調整粒子が電界に対して平行な方向に配列するため、フィルムに入射した光はフィルムを透過するようになる。このように、調光フィルムでは、光調整粒子の電界への応答により、光の透過量を調整している(例えば、特許文献1参照)。
この調光フィルムに用いる光調整粒子は、ヘラパタイトまたはポリハライド粒子が一般的であるが、これらの微粒子は耐熱性や耐水性、またフィルム中での繰り返し動作安定性などに課題があり、商業利用するまでには至っていなかった。そこで、新たな前駆体化合物を合成し、光調整粒子の耐熱性を向上させる技術が提案された(例えば、特許文献2〜4参照)。
一方、光調整粒子の合成には、ニトロセルロースが不可欠である。しかしながら、ニトロセルロースは、調光フィルムの熱的安定性に影響を及ぼすことが知られており(例えば、特許文献5参照)、熱的安定性の観点からは、遠心分離や透析などの手段によってニトロセルロースを除去する必要がある。
ところが、ニトロセルロースは、合成後、光調整粒子間の凝集を防止する保護コロイドの役割を果たしているため、調光特性の発現には必要であるとも考えられている。従って、光調整粒子と共存するニトロセルロースの含有量を、これら両者の要求を満たす量とすることが求められている。
ニトロセルロース含有量の評価に関しては、既に、ニトロセルロースが特徴的な赤外吸収をもつことに着目し、火薬中に含まれるニトロセルロース量を火薬の赤外吸収スペクトルから評価する方法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
特開昭53−144893号公報 特開平5−17473号公報 特許第3448354号公報 特表2002−520646号公報 特開平3−181918号公報 原田宗政、三井利幸著、分析化学(日本)、47巻、1998年、p.867−871
そこで、本発明は、上記を鑑みて、ニトロセルロースの含有量が調整された、優れた耐熱性と調光特性を持つ調光材料、及び調光フィルムを提供することを目的とする。また、本発明は、ニトロセルロースの含有量が調製された、優れた耐熱性と調光特性とを持つ調光材料を得るための製造方法を提供することを目的とする。
本発明の発明者らは、従来、評価することが困難であった調光材料中のニトロセルロースの含有量を、赤外吸収スペクトルによって評価することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、エネルギー線が照射されると硬化する高分子媒体と、前記高分子媒体中に分散した光調整懸濁液とを含有する調光材料であって、前記光調整懸濁液が、光調整粒子、ニトロセルロース、並びに前記高分子媒体及びその硬化物と相分離する分散媒を含有し、光調整粒子及びニトロセルロース混合物の赤外吸収スペクトルにおいて、波数780〜800cm−1のピーク強度に対する波数800〜850cm−1のピーク強度の比率が、0.2〜0.6となる割合で光調整粒子及びニトロセルロースを含有する調光材料に関する。
また、本発明は、上記調光材料を用いて形成された調光フィルムに関する。
さらに、本発明は、エネルギー線が照射されると硬化する高分子媒体と、前記高分子媒体中に分散した光調整懸濁液とを含有する調光材料の製造方法であって、前記光調整懸濁液が、光調整粒子、ニトロセルロース、並びに前記高分子媒体及びその硬化物と相分離する分散媒を含有し、赤外吸収スペクトルによって、前記光調整粒子の含有量に対するニトロセルロースの含有量の比率を測定する工程を含む調光材料の製造方法に関する。
本発明において、赤外吸収スペクトルを用いて光調整粒子に対するニトロセルロースの含有量を規定することにより、優れた熱安定性と調光特性をもつ調光材料、及び調光フィルムを提供することが可能となった。また、調光材料の製造工程において、赤外吸収スペクトルによるニトロセルロースの含有量の評価を行うことによって、優れた熱安定性と調光特性をもつ調光材料を容易に製造することが可能となった。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明の調光材料は、調光フィルムを得るために用いられる材料である。本発明の調光材料は、エネルギー線が照射されることにより硬化する高分子媒体と、高分子媒体中に分散した光調整懸濁液とを含有する。光調整懸濁液は、光調整粒子、ニトロセルロース、及び分散媒を含有しており、分散媒は、高分子媒体及びその硬化物と相分離する材料から選択される。本発明の調光フィルムにおいては、エネルギー線により硬化した調光材料からなる調光層が、2枚の透明導電性基板などの基板により挟持されている。調光層では、液状の光調整懸濁液が、高分子媒体を硬化させてなる固体状の樹脂マトリックス中に、微細な液滴の形態で分散されている。光調整粒子としては、針状または棒状の粒子が好ましい。
このような調光フィルムは、電界が印加されていない状態では、液滴中に流動状態で浮遊分散されている光調整粒子のブラウン運動により、光を吸収、散乱又は反射するため、フィルムに入射した光はフィルムをほとんど透過できない。しかし、調光フィルムに電界が印加されると、光調整粒子が電気的双極子モーメントを持つことから、光調整粒子が電界に対して平行な方向に配列するため、フィルムに入射した光を透過させるようになる。このように、光調整粒子が印加された電界に応答することにより、光の透過量を調整することが可能となる。
本発明において、光調整粒子の長径は、200〜500nmが好ましく、250〜450nmがより好ましく、300〜400nmがさらに好ましい。また、光調整粒子の短径は30〜90nmが好ましく、40〜70nmがより好ましく、50〜70nmがさらに好ましい。
本発明における光調整粒子の長径と短径は、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡等の電子顕微鏡で光調整粒子を撮影し、撮影した画像より任意に50個の光調整粒子を抽出し、各光調整粒子の長径と短径を、それぞれ平均値として算出することができる。ここで、長径とは、上記撮影した画像により二次元視野内に投影された光調整粒子について、最も長い径の長さとする。また、短径とは、上記長径に直交する最も長い径の長さとする。
本発明における光調整粒子としてはヘラパタイトまたはポリハライド粒子が好ましい。ポリハライド粒子としては、ピラジン−2,3−ジカルボン酸・2水和物、ピラジン−2,5−ジカルボン酸・2水和物、ピリジン−2,5−ジカルボン酸・1水和物からなる群の中から選ばれた1つの物質と、ヨウ素又はヨウ化物とを有機溶媒中で反応させて作製したポリヨウ化物が挙げられる。ヨウ化物として、例えば、ヨウ化カルシウムを用いることができる。このようにして得られるポリハライド粒子としては、例えば、下記一般式
CaI(C)・XHO (X:1〜2)
CaI(C・cHO (a:3〜7、b:1〜2、c:1〜3)
で表されるものが挙げられる。これらのポリハライド粒子は針状結晶であることが好ましい。
また、光調整粒子としては、例えば、米国特許第2,041,138号明細書(E.H.Land)、米国特許第2,306,108号明細書(Landら)、米国特許第2,375,963号明細書(Thomas)、米国特許第4,270,841号明細書(R.L.Saxe)及び英国特許第433,455号明細書等に開示されている化合物も用いることができる。これらに開示されている化合物は、ピラジンカルボン酸、又はピリジンカルボン酸の1つを選択して、ヨウ素、塩素又は臭素と反応させることにより、ポリヨウ化物、ポリ塩化物又はポリ臭化物等のポリハロゲン化物とすることによって作製される。これらのポリハロゲン化物は、ハロゲン原子が無機質又は有機質と反応した錯化合物で、これらの詳しい製法は、例えば、サックスの米国特許第4,422,963号明細書に開示されている。
ここで光調整粒子を合成する過程において、均一な大きさの粒子を形成するため、及び、光調整懸濁液内での粒子の分散性を向上させるため、本発明においては、ニトロセルロースを使用する。ニトロセルロースを用いることにより、光調整懸濁液が固体状の樹脂マトリックス内に微細な液滴の形態で分散される際に、光調整粒子が微細な液滴内へ容易に分散、浮遊し、電界に対する応答性が向上する傾向にある。ニトロセルロースと共に、ポリアクリル酸などの分散性を向上させるための高分子物質を併用することも可能である。
しかし、ニトロセルロースは常温で徐々に分解して、酸化窒素やこれが酸化した二酸化窒素等を発生し、さらにこれら酸化物が水と反応して硝酸等を生成することが知られている。また、硝酸等の酸性物は、光調整粒子やニトロセルロース等を加水分解により劣化させると考えられ、耐熱性等を低下させる大きな原因の一つと推定される。即ち、ニトロセルロースは光調整粒子を合成するため、また、光調整粒子の凝集を防ぎ、調光特性を発現するために不可欠であるが、調光フィルム劣化の原因物質ともなっている。そのため、通常、光調整粒子合成後、調光特性に必要な量以上のニトロセルロースは遠心分離などの手段により光調整粒子から分離除去される。
一般的に、光調整粒子は、合成後に溶媒を留去し乾燥して固体状態としてしまうと、有機溶媒や高分子媒体等の分散媒中に再分散させることが難しいため、合成後の粒子は有機溶媒中に分散させた分散液の状態で保存することが好ましい。光調整懸濁液は、この分散液を用いて作製することができる。
この分散液は、光調整粒子を合成後、遠心分離により粗大粒子を除き、さらに上澄み液を除去し、その後有機溶媒を加えて調製される。この操作は合成後の未反応物やニトロセロースを除去するまで繰り返し行うことができる。しかしながら、分散液を用いて光調整懸濁液を調製することを考慮すると、この分散液を調製する段階で、分散液中のニトロセルロースの残存量を適切な量に調整しておくことが好ましい。
ニトロセルロースの量を評価する方法として、本発明では、光調整粒子及びニトロセルロースを含む混合物の赤外吸収スペクトルを観察する方法を用いる。赤外吸収スペクトルの観察は、光調整懸濁液中に含まれる光調整粒子とニトロセルロースの割合と同じ割合で、光調整粒子とニトロセルロースを含有する混合物に対して行うことができる。したがって、例えば、光調整懸濁液の他、光調整懸濁液の調製に用いられる分散液や、光調整懸濁液を含む調光材料に対して行うことも可能である。ただし、調光材料や光調整懸濁液に含まれる他の成分に起因するピークの影響を考慮すると、分散液の段階で評価を行うことが好ましい。分散液中のニトロセルロース量を評価する具体的な方法としては、分散液中の有機溶媒を蒸発させて得られる固体の赤外吸収スペクトルを観察する方法が挙げられる。
一般に同一薄膜試料中に化合物1、2が存在し、それぞれに帰属するピークが重なりなく観察される場合(図1(a))は、Beer−Lambert(ベール−ランバート)の法則(式1)がそれぞれのピークで成り立つ(式2)。図1(a)中、Aは化合物1のピーク強度を、Aは化合物2のピーク強度を示す。そして、AとAの吸光度(ピーク強度)の比率は、式3で示すように化合物1と化合物2の重量比と比例関係にあることが分かる。
Figure 0005266767
また、化合物1のピークが部分的に化合物2のピークに重なっている場合(図1(b))も、式4、5から、やはりAとAの吸光度(ピーク強度)の比率は、化合物の重量比と比例関係にある。図1(b)中、Aは化合物2に起因するピーク強度、A’1は化合物1に起因するピーク強度、Aは化合物1及び化合物2に起因するピーク強度、及び、Aは化合物2に起因するピーク強度を示す。
Figure 0005266767
ただし、式4に示すように、厳密に両者の固有ピークの大きさを決定できず、A’1とAの割合を特定することができないことが多いため、化合物1と化合物2の正確な重量比を求めることは困難となる。しかし、AとAのピーク強度の比率をもって、化合物2に対する化合物1の量を相対的に評価することは可能である。そこで、本発明においては、特定のピークに着目し、化合物2に対する1の割合を算出する。
この手法は光調整粒子及びニトロセルロースにも適応でき、その際、波数800〜850cm−1に表れるピークをニトロセルロースに起因するピークとして、波数780〜800cm−1に表れるピークを光調整粒子に起因するピークとして着目することが好ましい。この場合、波数800〜850cm−1には光調整粒子に起因するピークも存在するものの、図1(b)について説明したとおり、ピークが重なる場合であっても、相対的な評価が可能となる。
本発明において光調整懸濁液は、光調整粒子とニトロセルロースとを、波数780〜800cm−1に表れるピーク強度に対する波数800〜850cm−1に表れるピーク強度の比率が0.2〜0.6、好ましくは0.2〜0.5となる割合で含有している。
具体的には、光調整粒子とニトロセルロースの割合は、分散液を乾燥して得られた固体の赤外吸収を観察し、縦軸を吸光度とした場合、波数780〜800cm−1にある吸収のピーク高さと波数800〜850cm−1にある吸収のピーク高さの比率が、1:0.2〜1:0.6の範囲内にあることが好ましい。さらに耐熱性を向上させるには1:0.2〜1:0.5の範囲にあることが好ましい。
測定される固体を得る方法は、KRS−5もしくはSiウエハー上に分散液を塗布して放置し、自然乾燥させる方法が好ましい。また、780〜800cm−1と800〜850cm−1で観測される吸光度は、測定精度を向上させるために、0.1〜1.0の範囲内となるような条件で測定を行うことが好ましい。
光調整粒子とニトロセルロースの割合を上記範囲とするためには、光調整粒子を合成後、分散液から光調整粒子又はニトロセルロースを、例えば遠心分離により除去する方法が挙げられる。または、分散液に光調整粒子又はニトロセルロースを加える方法が挙げられる。
次に、本発明において、エネルギー線を照射することにより硬化する高分子媒体としては、例えば、紫外線、可視光線、電子線等のエネルギー線により硬化する高分子化合物、及び光重合開始剤を含む高分子組成物が挙げられる。高分子組成物としては、例えば、エチレン性不飽和結合を有する置換基をもつ高分子化合物及び光重合開始剤を含む高分子組成物が挙げられる。
上記エチレン性不飽和結合を有する置換基をもつ高分子化合物としては、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等が合成容易性、調光性能、耐久性等の点から好ましい。これらの樹脂は、置換基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を有することが、調光性能、耐久性等の点から好ましい。
シリコーン系樹脂として、具体的には、例えば、特公昭53−36515号公報、特公昭57−52371号公報、特公昭58−53656号公報、特公昭61−17863号公報等に記載の高分子化合物を挙げることができる。
また、上記シリコーン系樹脂は、例えば、両末端シラノールポリジメチルシロキサン、両末端シラノールポリジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、両末端シラノールポリジメチルジフェニルシロキサン等の両末端シラノールシロキサンポリマー、トリメチルエトキシシラン等のトリアルキルアルコキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン等のエチレン性不飽和結合含有シラン化合物などを、有機錫系触媒である2−エチルヘキサン錫の存在下で、脱水素縮合反応及び脱アルコール反応させて合成される。樹脂の形態としては、無溶剤型が好ましい。すなわち、樹脂の合成に溶剤を用いた場合には、合成反応後に溶剤を除去することが好ましい。(3−アクリロキシプロピル)メトキシシラン等のエチレン性不飽和結合含有シラン化合物の使用量は、原料シロキサン及びシラン化合物総量の2〜30重量%とすることが好ましく、5〜18重量%とすることがより好ましい。
前記アクリル系樹脂は、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレン等の主鎖形成モノマーと、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸イソシアナトエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル等のエチレン性不飽和結合導入用官能基含有モノマーなどを共重合して、プレポリマーを一旦合成し、次いで、このプレポリマーの官能基と反応させるべく(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸イソシアナトエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸等のモノマーを前記プレポリマーに付加反応させることにより得ることができる。
また、前記ポリエステル樹脂は、公知の方法で容易に製造できる。
これらエチレン性不飽和結合を有する置換基をもつ高分子化合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって得られるポリスチレン換算の重量平均分子量は、20,000〜100,000であることが好ましく、30,000〜80,000であることがより好ましい。
上記エチレン性不飽和結合を有する置換基をもつ高分子化合物を用いる場合、エネルギー線に露光するとラジカル重合を活性化する光重合開始剤を用いることができる。具体的には2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、(1−ヒドロキシシクロヘキシル)フェニルケトン等を用いることができる。
これらの光重合開始剤の使用量は、上記エチレン性不飽和結合を有する置換基をもつ高分子化合物100重量部に対して0.05〜20重量部であることが好ましく、0.1〜5重量部であることがより好ましい。また、上記エチレン性不飽和結合を有する置換基をもつ高分子化合物の他に、エチレン性不飽和結合を有する置換基をもたない有機溶剤可溶型樹脂又は熱可塑性樹脂、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜100,000のポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等も併用することができる。
また、高分子媒体中には、ジブチル錫ジラウレート等の着色防止剤等の添加物を必要に応じて添加してもよい。さらに、高分子媒体には、必要に応じ、溶剤が含まれていてもよい。
本発明において、光調整懸濁液中の分散媒としては、上記高分子媒体及びその硬化物である樹脂マトリックスと相分離するものが用いられる。好ましくは、光調整粒子を流動可能な状態で分散させる役割を果たし、また、光調整粒子に選択的に付着被覆し、高分子媒体との相分離の際に光調整粒子が相分離された液滴相に移動するように作用し、電気導電性がなく、高分子媒体とは親和性がなく、調光フィルムとした際に高分子媒体から形成される樹脂マトリックスとの屈折率が近似した液状共重合体を使用する。例えば、フルオロ基及び/又は水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーが好ましく、フルオロ基及び水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーがより好ましい。このような共重合体を使用すると、フルオロ基、水酸基のどちらか1つのモノマー単位は光調整粒子に向き、残りのモノマー単位は高分子媒体中で光調整懸濁液が液滴として安定に維持するために働くことから、光調整懸濁液内に光調整粒子が分散しやすく、相分離の際に光調整粒子が相分離される液滴内に誘導されやすい。このようなフルオロ基及び/又は水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーとしては、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、アクリル酸3,5,5−トリメチルヘキシル/アクリル酸2−ヒドロキシプロピル/フマール酸共重合体、アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、アクリル酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、アクリル酸1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、アクリル酸1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリル酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリル酸1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリル酸1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体等が挙げられる。また、これらの(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーはフルオロ基及び水酸基の両方を有することがより好ましい。
これらの(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜20,000であることが好ましく、2,000〜10,000であることがより好ましい。これらの(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーの原料となるフルオロ基含有モノマーの使用量は、原料であるモノマー総量の6〜12モル%であることが好ましく、7〜8モル%であることがより好ましい。フルオロ基含有モノマーの使用量が12モル%を超えると、屈折率が大きくなり、光透過率が低下する傾向がある。また、これらの(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーの原料となる、水酸基含有モノマーの使用量は0.5〜22.0モル%であることが好ましく、1〜8モル%であることがより好ましい。水酸基含有モノマーの使用量が22.0モル%を超えると、屈折率が大きくなり、光透過性が低下する傾向がある。
本発明における光調整懸濁液は、光調整懸濁液の全重量に対し、光調整粒子を1〜70重量%含有することが好ましく、4〜50重量%含有することがより好ましい。また、光調整懸濁液の全重量に対し、分散媒を30〜99重量%含有することが好ましく、50〜96重量%含有することがより好ましい。
また、調光材料は、光調整懸濁液を、高分子媒体100重量部に対して、1〜100重量部含有することが好ましく、4〜70重量部含有することがより好ましく、6〜60重量部含有することがさらに好ましく、8〜50重量部含有することが特に好ましい。
次に、本発明の調光材料の製造方法について説明する。本発明の調光材料の製造方法は、エネルギー線が照射されると硬化する高分子媒体と、前記高分子媒体中に分散した光調整懸濁液とを含有する調光材料の製造方法であって、前記光調整懸濁液が、光調整粒子、ニトロセルロース、並びに前記高分子媒体及びその硬化物と相分離する分散媒を含有し、赤外吸収スペクトルによって、前記光調整粒子の含有量に対するニトロセルロースの含有量の比率を測定する工程を含んでいる。赤外吸収スペクトルによる測定は、上述のとおり、光調整懸濁液を調製に用いられる分散液、光調整懸濁液、調光材料などについて行うことができる。測定方法の詳細は、上述のとおりである。本発明の製造方法により、光調整粒子の含有量に対するニトロセルロースの含有量を任意の割合に調整することが可能となる。
次に、本発明の調光フィルムは、高分子媒体から形成された樹脂マトリックスと、樹脂マトリックス中に分散した光調整懸濁液を含む調光層を有してなる。また、本発明の調光フィルムは、前記調光層が、好ましくは2枚の透明導電性基板間に挟持されてなることによって形成される。
本発明の調光フィルムは、例えば、本発明の調光材料を透明導電性基板の上に塗布し、エネルギー線を照射して高分子媒体を硬化させて調光層を形成し、調光層上に透明導電性基板を密着せしめることによって製造することができる。
具体的には、まず、光調整懸濁液及び高分子媒体を混合し、光調整懸濁液が高分子媒体中に液滴状態で分散した混合液(調光材料)とする。この混合液を透明導電性基板上に一定の厚さで塗布し、必要に応じて溶剤を乾燥除去した後、メタルハライドランプ、高圧水銀灯等を用いてエネルギー線を照射し、上記高分子媒体を硬化させる。その結果、硬化した上記高分子媒体を含む樹脂マトリックス中に、液状光調整懸濁液が液滴状に分散されているフィルムが得られる。この際、高分子媒体と光調整懸濁液との混合比率を様々に変えることにより、フィルムの光透過率を調節することができる。このようにして形成された調光層の上に他の透明導電性基板を密着せしめることにより、調光フィルムが得られる。他の透明導電性基板は、エネルギー線照射前に調光層に密着させてもよいし、エネルギー線照射時に調光層に密着させてもよい。また、2枚の透明導電性基板の両方の上に調光層を形成し、それを調光層同士が密着するようにして積層してもよい。調光層の厚みは、5〜1,000μmが好ましく、20〜100μmがより好ましい。
上記光調整懸濁液が高分子媒体中に液滴状態で分散した調光材料を得る方法としては、例えば、光調整懸濁液及び高分子媒体をホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等で混合して光調整懸濁液を微細に分散させる方法、高分子媒体中の高分子化合物成分の重合による相分離法、高分子媒体が溶媒を含む場合には溶媒揮発による相分離法、温度による相分離法等を利用することができる。
また、上記調光材料を透明導電性基板上に一定な厚さで塗布する方法としては、バーコーター、アプリケーター、ドクターブレード、ロールコーター、ダイコーター、コンマコーター等の塗工手段を用いて、透明導電性基板等の基板に塗布することができる。なお、塗布する際は、必要に応じて、適当な溶剤で希釈してもよい。溶剤を用いた場合には、基材上に塗布した後に乾燥を要する。溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘプタン、シクロヘキサン、エチルアセテート、エタノール、メタノール、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル等を用いることができる。
上記透明導電性基板としては、例えば、ITO、SnO、In等の透明導電膜がコーティングされている透明基板を用いることができる。透明導電膜の光透過率は80%以上であることが好ましく、透明導電膜の厚みは、10〜5,000nmであることが好ましい。なお、光透過率はJIS K7105の全光線透過率の測定法に準拠して測定することができる。また、透明基板としては、例えば、ガラス、高分子フィルム等を使用することができる。
上記ガラスとしては、可視光線等に透明な基板を意味し、二酸化ケイ素を主成分とする一般的なガラスの他、種々の組成の無機材料のガラス、透明なアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の有機材料を用いた樹脂ガラスも用いることができる。
上記高分子フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム、ポリプロピレン等のポリオレフィン系フィルム、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂系のフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリカーボネートフィルムなどの樹脂フィルムが挙げられるが、ポリエチレンテレフタレートフィルムが、透明性に優れ、成形性、接着性、加工性等に優れるので好ましい。透明基板の厚さに特に制限はないが、例えば、ガラスの場合には1〜15mmが好ましく、高分子フィルムの場合には10〜200μmが好ましい。
上記透明導電性基板の表面抵抗値は3〜600Ωであることが好ましい。また、透明導電性基板同士の間隔を狭くして調光フィルムを作製する際は、異物質の混入等により発生する短絡現象を防止するために、透明導電膜の上に200〜1,000Åの厚さの透明絶縁層が形成されている基板を使用してもよい。また、自動車用リアビューミラー等の反射型の調光窓を作製する場合、反射体であるアルミニウム、金、又は銀のような導電性金属の薄膜を電極として直接用いてもよい。
上記の方法によれば、電場の形成により任意に光透過率が調節できる調光フィルムを作製することができる。
上記調光フィルムにおいて、樹脂マトリックス中に分散されている光調整懸濁液の液滴の大きさ(平均液滴径)は、光調整粒子の凝集と沈積を防止する観点で、0.5〜50μmであることが好ましく、1〜10μmであることがより好ましい。平均液滴径は、例えば、光学顕微鏡を用いて、調光フィルムの一方の面方向から写真等の画像を撮影し、任意に選択した複数の液滴直径(液滴の最長の径)を測定し、その平均値として算出することができる。また、上記調光フィルムの光学顕微鏡での視野画像をデジタルデータとしてコンピュータに取り込み、画像処理インテグレーションソフトウェアを使用し算出することも可能である。液滴の大きさは、光調整懸濁液を構成している各成分の濃度、光調整懸濁液及び高分子媒体の粘度、光調整懸濁液中の分散媒の高分子媒体に対する相溶性等により決められる。
また、液状の光調整懸濁液の屈折率と、エネルギー線を照射することにより硬化する高分子媒体の屈折率は近似していることが透明状態における透過率の向上と、着色状態における鮮明度の向上の点で好ましい。
調光性能を発揮させる条件は特に制限はないが、通常、使用電源は交流で、10〜220ボルト(実効値)、30Hz〜500kHzの周波数の範囲で作動させることができる。
本発明の調光フィルムは、例えば、室内外の仕切り(パーティッション)、建築物用の窓硝子/天窓、電子産業および映像機器に使用される各種平面表示素子、各種計器板と既存の液晶表示素子の代替品、光シャッター、各種室内外広告および案内標示板、航空機/鉄道車両/船舶用の窓硝子、自動車用の窓硝子/バックミラー/サンルーフ、眼鏡、サングラス、サンバイザー等の用途に好適に使用することができる。
適用法としては、本発明の調光フィルムを直接使用することも可能であるが、用途によっては、例えば、本発明の調光フィルムを2枚の基材に挟持させて使用したり、基材の片面に貼り付けて使用したりしてもよい。前記基材としては、上記透明基板と同様に、例えば、ガラス、高分子フィルム等を使用することができる。
本発明の調光フィルムの構造及び動作を図面により更に詳しく説明する。
図2は、本発明の一態様の調光フィルムの構造概略図で、調光層1が、透明導電膜5がコーティングされている2枚の透明基板6からなる透明導電性基板4の間に挟まれている。スイッチ8の切り換えにより、電源7と2枚の透明導電膜5の接続、非接続を行う。調光層1は、エネルギー線を照射することにより硬化する高分子媒体を硬化させたフィルム状の樹脂マトリックス2と、樹脂マトリックス2内に液滴3の形態で分散されている液状の光調整懸濁液からなる。
図3は、図2に示した調光フィルムの作動を説明するための図面で、スイッチ8が切られ、電界が印加されていない場合を示す。この場合には、液状の光調整懸濁液の液滴3を構成している分散媒9の中に分散している光調整粒子10のブラウン運動により、入射光11は光調整粒子10に吸収、散乱又は反射され、透過できない。しかし、図4に示すように、スイッチ8を接続して電界を印加すると、光調整粒子10が印加された電界によって形成される電場と平行に配列するため、入射光11は配列した光調整粒子10間を通過するようになる。このようにして、散乱及び透明性の低下のない光透過機能が付与される。
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
(光調整粒子の製造例)
光調整粒子を製造するために、撹拌機及び冷却管を装着した500mlの四つ口フラスコに、ニトロセルロース1/4LIG(商品名、ベルジュラックNC社製、分子量250000)15重量%の酢酸イソアミル(試薬特級、和光純薬工業(株)製)希釈溶液87.54g、酢酸イソアミル44.96g、脱水CaI(水分量0.3%)(化学用、和光純薬工業(株)製)4.5g、無水メタノール(有機合成用、和光純薬工業(株)製)2.0g及び精製水(精製水、和光純薬工業(株)製)を0.45g添加量した溶液に、沃素(JIS試薬特級、和光純薬工業(株)製)4.5gを溶解し、光調整粒子の基板形成物質であるピラジン−2,5−ジカルボン酸2水和物(日化テクノサービス(株)製)3gを添加した。45℃で3時間撹拌して反応を終了させた後、超音波分散機で2時間分散させた。
次に、反応溶液から一定の大きさの光調整粒子を取り出すために、遠心分離機を用いて粒子を分離した。反応溶液を750Gの速度で10分間遠心分離して沈殿物を取り除き、更に7390Gで2時間遠心分離して、浮遊物を取り除き、沈殿物を回収した。沈殿物9gに酢酸イソアミル88gを加え、分散させ、光調整粒子の酢酸イソアミル分散液を得た。分散液0.05gを赤外吸収スペクトル測定用にサンプリングした。
ポリ瓶に5mlの酢酸イソペンチル及び光調整粒子の酢酸イソアミル分散液(上記沈殿物9gを酢酸イソアミル88gに分散した分散液)を0.1ml入れ5分間超音波分散した。その後、超音波分散をしながら5×10mmのアルミ断片を液中に10秒間浸し光調整粒子をアルミ断片上にコーティングし、取り出し、風乾燥した。この光調整粒子がコーティングされたアルミ断片表面を走査型電子顕微鏡で撮影し、撮影した画像より任意に50個の光調整粒子を抽出し、光調整粒子の長径と短径を測定した。光調整粒子の長径は410nm、短径は70nmであった。
(紫外線硬化型シリコーン樹脂の製造例)
ディーンスタークトラップ、冷却管、撹拌機、加熱装置を備えた四つ口フラスコに、両末端シラノールポリジメチルシロキサン(信越化学工業(株)製)11.75g、両末端シラノールポリジメチルジフェニルシロキサン(信越化学工業(株)製)31g、(3−アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン(信越化学工業(株)製)4g、2−エチルヘキサン錫(和光純薬工業(株)製)0.6gを仕込み、ヘプタン中で100℃で3時間リフラックスし、反応を行った。
次いで、トリメチルエトキシシラン(信越化学工業(株)製)10.6gを添加し、2時間リフラックスし、脱アルコール反応させ、ヘプタンをロータリーエバポレーターを用いて60Paの真空で80℃、3時間減圧除去し、重量平均分子量40,000、屈折率1.468の紫外線硬化型シリコーン樹脂(エチレン性不飽和結合を有する置換基をもつシリコーン樹脂)を得た。
(実施例1)
(光調整懸濁液の製造例)
前記の(光調整粒子の製造例)で得た光調整粒子の酢酸イソアミル分散液25.00g(不揮発成分7.40%)を、光調整懸濁液の分散媒としてのアクリル酸ブチル(和光特級、和光純薬工業(株)製)/メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル(工業用、共栄社化学工業(株)製)/アクリル酸2−ヒドロキシエチル(和光1級、和光純薬工業(株)製)共重合体(モノマーモル比:18/1.5/0.5、重量平均分子量:2,200、屈折率1.468)32.42gに加え、撹拌機により30分間混合した。次いでロータリーエバポレーターを用いて80℃で60Paの真空下で3時間減圧し酢酸イソアミルを除去し光調整懸濁液を製造した。
この光調整懸濁液14.11gとトリメリット酸デシル6.90g(花王(株)製、可塑剤)を混合し、得られた混合物のうち14.95gを(紫外線硬化型シリコーン樹脂の製造例)で得た紫外線硬化型シリコーン樹脂25.00g、光重合開始剤としてのビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャルティ・ケミカルス(株)製)0.2gと混合して、1分間機械的に混合し、調光材料を製造した。
(比較例1)
前記で得た光調整粒子の酢酸イソアミル分散液15.00gを、ニトロセルロース1/4LIG4.73重量%の酢酸イソペンチル希釈溶液6.00gに混合し、0.05gを赤外吸収スペクトル測定用にサンプリングした後、光調整懸濁液の分散媒としてのアクリル酸ブチル/メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体(モノマーモル比:18/1.5/0.5、重量平均分子量:2,200、屈折率1.468)24.42gに加え、撹拌機により30分間混合した。次いでロータリーエバポレーターを用いて80℃で60Paの真空下で3時間減圧し酢酸イソアミルを除去し光調整懸濁液を製造した。
この光調整懸濁液14.12gとトリメリット酸デシル6.90gを混合し、得られた混合物のうち14.97gを(紫外線硬化型シリコーン樹脂の製造例)で得た紫外線硬化型シリコーン樹脂25.00g、光重合開始剤としてのビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド0.2gと混合して、1分間機械的に混合し、調光材料を製造した。
(比較例2)
前記で得た光調整粒子の酢酸イソアミル分散液10.03gを、ニトロセルロース1/4LIG4.73重量%の酢酸イソペンチル希釈溶液10.00gに混合し、0.05gを赤外吸収スペクトル測定用にサンプリングした後、光調整懸濁液の分散媒としてのアクリル酸ブチル/メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体(モノマーモル比:18/1.5/0.5、重量平均分子量:2,200、屈折率1.468)21.30gに加え、撹拌機により30分間混合した。次いでロータリーエバポレーターを用いて80℃で60Paの真空下で3時間減圧し酢酸イソアミルを除去し光調整懸濁液を製造した。
この光調整懸濁液14.10gとトリメリット酸デシル6.90gを混合し、得られた混合物のうち15.03gを(紫外線硬化型シリコーン樹脂の製造例)で得た紫外線硬化型シリコーン樹脂25.00g、光重合開始剤としてのビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド0.2gと混合して、1分間機械的に混合し、調光材料を製造した。
(フィルム作製方法)
実施例1及び比較例1、2で得られた調光材料を、ITO(インジウム錫の酸化物)の透明導電膜(厚み300Å)がコーティングされている表面電気抵抗値が200〜300Ω/Sqのポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名300R,東洋紡績(株)製,厚み125μm)をロールから引き出し、その上に乾燥膜厚が45μmになるように自動塗工機(テスタ工業(株)製)を用い、ベーカ式アプリケータ(目盛14)で塗布し、塗布層上に前記と同じポリエチレンテレフタレートフィルムをラミネートした。ついで、照度160W/cmのメタルハライドランプを用いてUV−Aで4,000mJ/cmの紫外線を照射し、光調整懸濁液が球形の液滴として紫外線硬化したシリコーン樹脂内に分散形成された調光層を持つ調光フィルムを製造した。
(初期光透過率)
得られた調光フィルムの電界印加時の光透過率を測定した。電界印加時は、400Hzの交流電圧(実効値)100Vの印加時である。なお、調光フィルムの光透過率は、分光式色差計(SZ−Σ90、日本電色工業(株)製)を使用し、A光源、視野角2度で測定したY値(%)を光透過率とした(表1)。
(耐熱性試験)
得られたフィルムを95℃、110℃設定の乾燥機に入れ2時間放置後、再び光透過率を測定して耐熱性を評価した(表1)。
(赤外吸収スペクトル測定)
サンプルリングした分散液をSiウエハー上に滴下し30分間放置し自然乾燥した。そのSiウエハーを装置Perkin Elmer Spectrum One FT−IR Spectrometerにセットし赤外吸収スペクトルを測定した(図5)。ピークはそれぞれ吸収度のもっとも大きい値とし、比率を算出した(表1)。
Figure 0005266767
光調整粒子の一般的な製造方法においては、ニトロセルロースを用いて光調整粒子を合成した後、遠心分離により粗大粒子や未反応物を除いたり、光調整粒子を回収したりする処理が行われるために、光調整懸濁液中に含まれるニトロセルロースの量を評価することが困難であった。本発明の調光材料の製造方法によれば、光調整懸濁液中のニトロセルロースの含有量を適切な範囲に調整することが可能であり、それにより得られる調光材料は、耐熱性及び調光特性に優れている。
赤外吸収スペクトル概念図である。 本発明の調光フィルムの一態様を示す断面構造概略図である。 図2の調光フィルムの電界が印加されていない場合の作動を説明するための概略図である。 図2の調光フィルムの電界が印加されている場合の作動を説明するための概略図である。 実施例及び比較例で用いた分散液の赤外吸収スペクトルである。
符号の説明
1 調光層
2 樹脂マトリックス
3 液滴
4 透明導電性基板
5 導電性薄膜(透明導電膜)
6 透明基板
7 電源
8 スイッチ
9 分散媒
10 光調整粒子
11 入射光

Claims (3)

  1. エネルギー線が照射されると硬化する高分子媒体と、前記高分子媒体中に分散した光調整懸濁液とを含有する調光材料の製造方法であって、
    前記光調整懸濁液が、光調整粒子、ニトロセルロース、並びに前記高分子媒体及びその硬化物と相分離する分散媒を含有し、
    前記光調整粒子及び前記ニトロセルロースを含有する分散液を得る工程、
    前記分散液を使用し、赤外吸収スペクトルによって、光調整粒子の含有量に対するニトロセルロースの含有量の比率を測定する工程
    前記分散液及び前記分散媒を混合し、光調整懸濁液を得る工程、及び、
    前記光調整懸濁液及び前記高分子媒体を混合する工程を含む調光材料の製造方法。
  2. 光調整粒子の含有量に対するニトロセルロースの含有量の比率を調整する工程をさらに含む請求項1に記載の調光材料の製造方法。
  3. 前記分散液が、前記光調整粒子及び前記ニトロセルロースを酢酸イソアミルに分散させた酢酸イソアミル分散液であり、前記酢酸イソアミル分散液をSiウエハ上に滴下し、自然乾燥させ、前記Siウエハ上の自然乾燥させた前記イソアミル分散液の赤外吸収スペクトルを測定した場合の値として、波数780〜800cm −1 のピーク強度に対する波数800〜850cm −1 のピーク強度の比率が0.2〜0.6となる割合で光調整粒子及びニトロセルロースを含有する請求項1又は2に記載の調光材料の製造方法。
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