JP2005300962A - 調光材料、調光フィルムおよび調光ガラスならびにその製造方法 - Google Patents

調光材料、調光フィルムおよび調光ガラスならびにその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005300962A
JP2005300962A JP2004117766A JP2004117766A JP2005300962A JP 2005300962 A JP2005300962 A JP 2005300962A JP 2004117766 A JP2004117766 A JP 2004117766A JP 2004117766 A JP2004117766 A JP 2004117766A JP 2005300962 A JP2005300962 A JP 2005300962A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light control
light
particle suspension
particles
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004117766A
Other languages
English (en)
Inventor
Seiji Funakura
省二 船倉
Kikuyo Yamamoto
紀久代 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd filed Critical Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority to JP2004117766A priority Critical patent/JP2005300962A/ja
Publication of JP2005300962A publication Critical patent/JP2005300962A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Eyeglasses (AREA)
  • Optical Elements Other Than Lenses (AREA)

Abstract

【課題】 本発明が解決しようとする課題は、電界を印加した状態におけるヘーズが低く、さらにコントラストも高い調光フィルム、調光ガラスを形成する調光材料を提供する。
【解決手段】 置換基として重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂と、光重合開始剤からなり、紫外線を照射することにより硬化する高分子媒体と、粒子が流動可能な状態で分散媒中に分散した偏光粒子懸濁液とを含有し、偏光粒子懸濁液中の分散媒が、高分子媒体およびその硬化物と相分離しうるものであり、その分散媒の屈折率に対する屈折率差が、+0.0021から+0.0080の範囲にあるシリコーン樹脂を用いることを特徴とする調光材料。
【選択図】 なし。

Description

本発明は、室内外の仕切り(パーティッション)、建築物用の窓硝子/天窓、電子産業および映像機器に使用される各種平面表示素子、各種計器板と既存の液晶表示素子の代替品、光シャッター、各種室内外広告および案内標示板、航空機/鉄道車両/船舶用の窓硝子、自動車用の窓硝子/バックミラー/サンルーフ、眼鏡、サングラス、サンバイザー等の用途に使用する調光材料、調光フィルムおよび調光ガラスならびにその製造方法に関する。
調光フィルム、調光ガラスは、電界印加の有無により光透過率が変化し、全体入射光量の調整が可能であり、液晶を利用したもの、エレクトロクロミズムを利用したもの、偏光粒子懸濁液を用いたものが知られている。
偏光粒子懸濁液を用いた調光フィルム、調光ガラスは、その形態として、狭い間隔を有する2枚の透明導電性基板の間に、液体状態の偏光粒子懸濁液を注入した構造になっている。2枚の透明導電性基板の間に注入されている液状の偏光粒子懸濁液は、電界を印加していない状態(スイッチが「OFF」の状態)では、偏光粒子懸濁液中に分散されている粒子のブラウン運動により、入射光の大部分が粒子により反射、散乱または吸収され、ごく一部分だけが透過することになる。即ち、偏光粒子懸濁液に分散されている粒子の形状、性質、濃度および照射される光エネルギーの量により、透過、反射、散乱または吸収の程度が決められる。前記構造の調光フィルム、調光ガラスに電界を印加した状態(スイッチが「ON」の状態)では、透明導電性基板を通じて偏光粒子懸濁液に電場が形成され、偏光機能を表す粒子が分極を起こし、電場につれて平行に配列し、粒子と粒子の間、あるいは粒子を通じ、光が透過し、最終的に調光フィルム、調光ガラスは透明になる。
特許文献1には、従来の偏光粒子懸濁液を用いた調光フィルムにおいて、フィルムマトリックスである高分子樹脂の屈折率と、粒子が分散媒中に分散している偏光粒子懸濁液との屈折率の差を±0.02以内とすることにより、調光フィルムに電界を印加した状態では、高分子樹脂内に分散されている偏光粒子懸濁液の液滴または液滴の中に浮遊されている粒子が電界に平行に配列して無色透明な状態に転換され、視野角による散乱または透明性低下のほとんどない状態に入射光を透過させることができると記載されている。しかしながら、電界を印加した状態におけるヘーズが具体的に記載されておらず、それを示唆する記載もない。ましてや、本願発明の偏光粒子懸濁液の分散媒の屈折率に対する屈折率差が+0.0021から+0.0080の範囲にある高分子樹脂を用いた場合のヘーズも具体的に記載されておらず、それを示唆する記載もない。
特許文献2には、従来の偏光粒子懸濁液を用いた紫外線硬化性の調光フィルムは、粒子を分散媒中に分散している偏光粒子懸濁液の小滴が紫外線の照射によって架橋されたポリマーマトリックス中に分布したフィルムであり、紫外線硬化を用いることにより、フィルムを損傷する熱に長くさらされなくて済むうえ、熱硬化よりもずっと速く遂行し得ることが記載されている。また、電界を印加した状態におけるヘーズ(高角度散乱の拡散透過率)が7.3%であることが記載されている。しかしながら、前記ヘーズが、本願発明の偏光粒子懸濁液の分散媒の屈折率に対する屈折率差+0.0021から+0.0080の範囲にある高分子樹脂を用いた場合に対応するものであるか不明であり、それを示唆する記載もない。
特許文献3には、従来の偏光粒子懸濁液を用いた調光フィルムにおいて、フィルムマトリックスである高分子樹脂の屈折率と、粒子が分散媒中に分散している偏光粒子懸濁液の屈折率の差を±0.002以内とすることにより、電場による偏光粒子の可変能力の低下が低減し、紫外線に対する耐久性が優れ、さらに熱的安定性にも優れた調光フィルムが得られることが記載されている。しかしながら、電界を印加した状態におけるヘーズが具体的に記載されておらず、それを示唆する記載もない。
特許文献4には、従来の偏光粒子懸濁液を用いた調光フィルムにおいて、フィルムマトリックスである高分子樹脂の屈折率と、粒子が分散媒中に分散している偏光粒子懸濁液の屈折率が1.455〜1.463であり、その差を±0.005以内とすることにより、応答速度とコントラストを向上させた調光フィルムが得られることが記載されている。しかしながら、電界を印加した状態におけるヘーズが具体的に記載されておらず、それを示唆する記載もない。ましてや、本願発明に対応する偏光粒子懸濁液の分散媒の屈折率に対する屈折率差が+0.0021から+0.0050の範囲にある高分子樹脂を用いた場合のヘーズも具体的に記載されておらず、それを示唆する記載もない。
非特許文献1には、液晶小滴を用いた調光フィルムにおいて、電界を印加した状態におけるヘーズが6〜10%であることが記載されている。しかしながら、前記ヘーズが、本願発明の偏光粒子懸濁液の分散媒の屈折率に対する屈折率差+0.0021から+0.0080の範囲にある高分子樹脂を用いた場合に対応するものであるか不明であり、それを示唆する記載もない。
以上のことから、これらの調光フィルムは、近年要求度の高いヘーズが高く、またコントラストも低く、光学特性面でいずれも不十分であり、前記ヘーズとコントラストの両方の光学特性を十分に満足する調光フィルムならびにそれを形成する調光材料が得られていないという欠点があった。
特開平6−129168号公報(第3頁段落番号0012〜第4頁段落番号0014、第4頁段落番号0015〜0017)。 特開平11−218789号公報(第3頁段落番号0004、第10頁段落番号0046)。 特開2002−189123号公報(第3頁段落番号0007、第6頁段落番号0027)。 米国特許第6416827号明細書(コラム5 第8〜14行、コラム10 第65行〜コラム11 第14行)。 "UMU world 商品紹介 ウムフィルム性能データ表"、[online]、日本板ガラスウムプロダクツ株式会社、[平成15年10月14日検索]、インターネット<URL:http://www.nsg.co.jp/umu/product/film/f_data.html>。
本発明が解決しようとする課題は、電界を印加した状態におけるヘーズが低く、さらにコントラストも高い調光フィルム、調光ガラスを形成する調光材料を提供することにある。
本発明者らは、上記実状を鑑みて鋭意検討したところ、高分子媒体として、偏光粒子懸濁液の分散媒の屈折率に対する屈折率差が+0.0021から+0.0080の範囲にあるシリコーン樹脂を用いることで、上記課題を解決出来ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、置換基として重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂と、光重合開始剤からなり、紫外線を照射することにより硬化する高分子媒体と、粒子が流動可能な状態で分散媒中に分散した偏光粒子懸濁液とを含有し、偏光粒子懸濁液中の分散媒が、高分子媒体およびその硬化物と相分離しうるものであり、その分散媒の屈折率に対する屈折率差が、+0.0021から+0.0080の範囲にあるシリコーン樹脂を用いることを特徴とする調光材料に関する。
更に本発明は、上記調光材料を用いて形成された調光フィルム、調光ガラスであって、高分子媒体から形成された固体樹脂マトリックスと、固体樹脂マトリックス中に分散した偏光粒子懸濁液とからなる調光層を有する調光フィルム、調光ガラスに関する。
更に本発明は、上記調光材料を透明導電性基板の上に塗布し、紫外線を照射してシリコーン樹脂を硬化させて調光層を形成し、調光層上に透明導電性基板を密着せしめることを特徴とする調光フィルム、調光ガラスの製造方法に関する。
本発明の調光材料を調光フィルム、調光ガラスに用いることにより、従来のそれと比較して、電界を印加した状態において、低ヘーズ、かつ、高コントラストの光学特性に優れる調光フィルム、調光ガラスが得られるという格別顕著な効果を奏する。
したがって、本発明の調光材料は、調光フィルム、調光ガラスの形成に最適である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の調光材料は、置換基として重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂と光重合開始剤からなり、紫外線を照射することにより硬化するものである高分子媒体と、粒子が流動可能な状態で分散媒中に分散している偏光粒子懸濁液とを含有し、偏光粒子懸濁液中の分散媒が、高分子媒体およびその硬化物と相分離しうるものであり、その分散媒の屈折率に対する屈折率差が、+0.0021から+0.0080の範囲にあるシリコーン樹脂を用いるものである。
本発明の調光材料を用いて、2枚の透明導電性基板間等に、高分子媒体を硬化させて形成した固体樹脂マトリックス中に偏光粒子懸濁液が分散したフィルム状の調光層を挟持することにより、本発明の調光フィルム、調光ガラスが得られる。即ち、本発明の調光フィルム、調光ガラスの調光層では、液状の偏光粒子懸濁液が、固体樹脂マトリックス中に微細な液滴の形態で分散され、前記懸濁液の液滴の平均粒子径は、後記する1〜10μmの範囲にあるものである。
このような調光フィルム、調光ガラスに電界を印加すると、固体樹脂マトリックス中に分散されている偏光粒子懸濁液の液滴中に浮遊分散し電気的双極子モーメントをもつ粒子が、電界に対し平行に配列することにより、液滴が透明な状態に転換され、視野角による散乱または透明性の低下のほとんどない状態で入射光を透過させる。このように調光層をフィルム化することによって、背景技術による調光ガラスの問題点、即ち、2枚の透明導電性基板の間への液状の偏光粒子懸濁液の注入の困難性、製品の上下間の水圧差による下部の膨張現象、風圧などの外部環境による基板間隔の変化による局部的な色相変化、透明導電性基板の間の密封材の破壊による調光材料の漏洩が解決される。
また、液晶を用いないことから、紫外線照射による色相変化および可変能力の低下、大型製品特有の透明導電性基板の周辺部と中央部間に生ずる電圧降下に伴う応答時間差も解消される。
高分子媒体および分散媒(偏光粒子懸濁液中の分散媒をいう。)としては、高分子媒体およびその硬化物と分散媒とが、少なくともフィルム化したときに互いに相分離しうるものを用いる。互いに非相溶または部分相溶性の高分子媒体と分散媒とを組み合わせて用いることが好ましい。
本発明において用いられる高分子媒体は、(A)置換基として重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂および(B)光重合開始剤からなり、紫外線を照射することにより硬化するものである。具体的には、例えば、特公昭53−36515号公報、特公昭57−52371号公報、特公昭58−53656号公報、特公昭61−17863号公報等に記載の組成物が挙げられる。
これらのシリコーン樹脂は、分散媒と非相溶性かつ同等の屈折率を有し、さらに置換基として重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するため硬化性を有し、偏光粒子懸濁液をフィルム状に加工可能とするような機能を有する。
具体的には、例えば、両末端シラノールポリジメチルシロキサン、両末端シラノールポリジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、両末端シラノールポリジメチルジフェニルシロキサン等の両末端シラノールシロキサンポリマー、トリメチルエトキシシラン等のトリアルキルアルコキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン等の重合性エチレン性不飽和二重結合含有シラン化合物などを、無機錫系触媒である2−エチルヘキサン酸錫の存在下で、脱水縮合反応及び脱アルコール反応させて合成される。シリコーン樹脂の形態としては、無溶剤型が好ましく用いられる。
即ち、シリコーン樹脂の合成に溶剤を用いた場合には、合成反応後に溶剤を除去することが好ましい。これらシリコーン樹脂のサイズ排除クロマトグラフィー(以下、SECと略記する。)によって得られるポリスチレン換算の重量平均分子量は、10,000〜100,000であることが好ましく、20,000〜50,000であることがより好ましい。(3−アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン等の重合性エチレン性不飽和二重結合含有シラン化合物の使用量は、質量換算で、原料シロキサンおよびシラン化合物総量に対して2〜30%とすることが好ましく、なかでも5〜18%とすることがより好ましい。
紫外線に露光するとラジカル重合を活性化する光重合開始剤としては、J.Photochem. Sci. Technol, 2, 283(1977)に記載されているように、例えば、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤やα−ヒドロキシケトン系光重合開始剤があり、具体的には、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製 Irgacure 819)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製 Darocur 1173)、(1−ヒドロキシシクロヘキシル)フェニルケトン等が挙げられる。
また、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製 Darocur 1173)と、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製 Irgacure 819)との組み合わせのように前記光重合開始剤を2種以上併用して使用することもできる。
光重合開始剤の使用量は、質量換算で、前記シリコーン樹脂100部に対して0.05〜20部であることが好ましく、なかでも0.1〜1部であることがより好ましい。
また、高分子媒体中には、ジブチル錫ジラウレート等の着色防止剤等を必要に応じて添加してもよい。
前記の組み合わせに用いられる、偏光粒子懸濁液中の分散媒としては、メルカプト脂肪酸エステルを有する(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーであることが好ましい。具体的には、偏光粒子懸濁液中で分散媒の役割を果たし、また、粒子に選択的に付着被覆し、高分子媒体との相分離の際に粒子が相分離された液滴相に移動するように作用し、電気導電性がなく、高分子媒体とは親和性がなく、調光フィルム、調光ガラスとした際に高分子媒体から形成される固体樹脂マトリックスと屈折率が近似した液状共重合体を使用することが好ましい。さらに、(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーは、粒子の高分子型分散安定剤を部分的に溶解することができ、粒子を凝集させずに流動可能とする機能を有する。
例えば、メルカプト脂肪酸エステルを連鎖移動剤として重合時に添加した、メルカプト脂肪酸エステルおよび置換基としてフルオロ基、水酸基、アルキル基の3つすべてを有する(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー、あるいは前記3つの置換基のうちいずれか2つの置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーが好ましい。具体的には、アクリル酸ブチル/アクリル酸ヘプタフルオロブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル/n−オクチルメルカプトプロピオナート共重合体、アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル/アクリル酸ブチル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/オクチルメルカプトプロピオネート共重合体、アクリル酸3,5,5−トリメチルヘキシル/アクリル酸2−ヒドロキシプロピル/フマール酸/オクチルメルカプトプロピオネート共重合体、アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル/オクチルメルカプトプロピオネート共重合体、アクリル酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル/オクチルメルカプトプロピオネート共重合体、アクリル酸1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル/オクチルメルカプトプロピオネート共重合体、アクリル酸1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル/オクチルメルカプトプロピオネート共重合体、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル/オクチルメルカプトプロピオネート共重合体、メタクリル酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル/オクチルメルカプトプロピオネート共重合体、メタクリル酸1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル/オクチルメルカプトプロピオネート共重合体、メタクリル酸1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル/オクチルメルカプトプロピオネート共重合体、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸テトラデシル、メタクリル酸ヘキサデシルのいずれか/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/オクチルメルカプトプロピオネート共重合体等が挙げられる。
また、前記連鎖移動剤(分子量の調整)であるメルカプト脂肪酸エステルとしては、例えば、n−オクチルメルカプトプロピオネートや2−エチルヘキシルメルカプトプロピオネート等が挙げられる。その他の連鎖移動剤として、例えば、ブタンチオール、ヘキサンチオール、ドデカンチオール等のチオール類が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーは、SECで測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜10,000であることが好ましく、2,000〜5,000であることがより好ましい。
これらの(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーの原料となるフルオロ基含有モノマーの使用量は、原料であるモノマー総量の0〜12モル%であることが好ましく、0〜8モル%であることがより好ましい。フルオロ基含有モノマーの使用量が12モル%を超える場合には、屈折率が小さくなり、光透過率が低下する傾向にある。また、前記したオリゴマーの原料となる水酸基含有モノマーの使用量は、0.5〜22.0モル%であることが好ましく、1〜8モル%であることがより好ましい。水酸基含有モノマーの使用量が22.0モル%を超える場合には、屈折率が大きくなり、光透過性が低下する傾向にある。さらに、前記したオリゴマーの原料となるアルキル基含有モノマーの使用量は、0〜90モル%であることが好ましい。アルキル基含有モノマーの使用量が90モル%を超える場合には、屈折率が小さくなり、光透過性が低下する傾向にある。
前記重合時における重合開始剤として、例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジt−ブチルパーオキサイド等の重合開始剤を使用することもできる。
さらに、分散媒には、屈折率の調整、流動性やスイッチ速度の向上を目的として、例えば、フタル酸系、トリメリット酸系、アジピン酸系、スベリン酸系、ポリエステル系等の相溶性の可塑剤を使用することもできる。具体的には、トリメリット酸系可塑剤としては、トリメリット酸トリエチルが挙げられる。またスベリン酸系可塑剤としては、パーフルオロスベリン酸ジメチルが挙げられる。
本発明に使用される偏光粒子懸濁液は、分散媒中に後記するアスペクト比が1.1〜10.0の粒子が流動可能な状態に分散したものである。
調光材料に含まれる粒子としては、例えば、高分子媒体、または高分子媒体中の樹脂成分、即ち、前記の置換基として重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂と親和力がなく、また粒子の分散性を高めることができる高分子型分散安定剤の存在下で、粒子の前駆体と沃素と沃化物とを結合させて作ったポリ過沃化物の分子間化合物針状小結晶粒子が用いられる。
高分子型分散安定剤としては、例えば、ニトロセルロース、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、または、分子間化合物との親和性の高い部分(A)と溶媒との親和性の高い部分(B)からなるA−B型ブロックコポリマーが挙げられる。これらの高分子型分散安定剤は単独で使用しても併用してもよい。高分子型分散安定剤の量は、質量換算で、沃素と、沃化物と、粒子の前駆体の合計量に対して1〜200%相当量とすることが好ましく、なかでも20〜150%相当量とすることがより好ましい。
粒子の前駆体としては、複素環中に窒素原子を含んでいる化合物(含窒素複素環式化合物)が好ましい。例えば、無水グリシン(2,5−ピペラジンジオン)、5,6−ジヒドロウラシル、ウラゾール、サクシンイミド、グリコールウリル(アセチレン尿素)、ヒダントイン、無水アラニン(3,6−ジメチル−2,5−ピペラジンジオン)、3−メトキシ−2−(1H)ピリドン、キナルジン酸、3,6−ジメチル−ピラジン−2,5−ジカルボン酸、ピラジン−2,3−ジカルボン酸、ピラジン−2,5−ジカルボン酸、ピラジン酸(2−カルボキシピラジン)、4−ヒドロキシキナルジン酸、4−メトキシキナルジン酸、ピリジン−2−カルボン酸、ピリジン−2,5−ジカルボン酸、ピコリン酸、2−ヒドロキシピリジン、バルビツル酸、8−ヒドロキシキノリン、シクロロイシンおよび2,2’−ジピリジル等が挙げられる。なかでも、ピラジン−2,3−ジカルボン酸・2水和物、ピラジン−2,5−ジカルボン酸・2水和物、ピリジン−2,5−ジカルボン酸・1水和物が好ましい。
沃素としては、溶媒に迅速に溶解させるため、結晶化度の低いものが好ましい。また沃化物としては、例えば、沃化カルシウム、沃化マグネシウム、沃化ストロンチウム、沃化バリウム等のアルカリ土類金属沃化物が挙げられる。なかでも、粒子の前駆体と分子間化合物を形成しやすい点から、沃化カルシウムが好ましい。沃化カルシウムは大気中で潮解するため、減圧下加熱乾燥により結晶水を除き、且つ、乾燥剤の入った密閉容器中で保存された、含水率ができるだけ低いものを選択して用いることが好ましい。
沃素と沃化物との結合により得られる過沃化物と、粒子の前駆体との分子間化合物は、例えば、モル比で前者:後者=1:1〜3であり、前者:後者=1:2が好ましい。尚、沃素としては、元素状分子沃素が好ましい。
前記過沃化物は、モル数換算で沃化物1モル当たり、沃素1〜6モルとなるような仕込み比率で結合させて得ることができる。結合の終点は、沃素の消費量により決定することができる。一般的には、この結合は温度5〜90℃において、3分間〜5時間を要するものである。
本発明における分子間化合物は、背景技術にある様に、沃素と、沃化物と、粒子の前駆体とを溶媒中で結合させることにより得られる。しかしながら、調光材料として光学特性に優れた前記分子間化合物を生産性高く得る場合には、原料の仕込み方法に留意する必要がある。
本発明においては、従来とは異なる方法、即ち、沃素と沃化物とを溶媒に均一に溶解させてから、この混合物と粒子の前駆体とを混合して結合させる。
前記沃素と沃化物とを溶媒に均一に溶解させるための具体的な手段としては、例えば以下のような方法がある。(1)両者および溶媒を混合し、加熱して溶解させる。(2)両者および溶媒の少なくとも一つを加熱してから、残りを混合し、加熱して溶解させる。(3)両者および溶媒を混合し、超音波振動を与えるか、あるいは超音波振動を与えながら溶解させる。(4)両者および溶媒を混合し、それら混合物同士を混合装置にて衝突混合により溶解させる。(5)沃化物を溶媒に溶解後、昇華させた沃素を微細ノズルからゆっくり放出するようにしてバブリングして溶解させる。
前記具体的手段の中でも、特別な装置を必要とせず、しかも手間もより少なく、より短時間で沃素、沃化物を溶媒に充分に溶解させることができる点で、前記(2)の方法が好ましい。なかでも、溶媒及び沃化物を加熱溶解してから沃素を混合し、加熱溶解させることがより好ましい。温度が30〜80℃、なかでも、40〜60℃となるようにして沃化物、沃素を溶解することが、次工程の粒子の前駆体との結合へ速やかに移行することができる点でより好ましい。また、混合物の温度が一様に一定となるように攪拌を行うことが好ましい。この過沃化物形成に要する時間は、温度が30〜80℃で5分間〜3時間の範囲から選択することができ、なかでも、温度が40〜60℃で15分間〜2時間とすることが好ましい。
前記混合物を調製する際の溶媒は、沃素、沃化物および前記した高分子型分散安定剤をより溶解しやすく、かつ前記した粒子の前駆体および最終生成物たる分子間化合物がより溶解しにくいものを選択して用いることが好ましい。この際の溶媒としては、有機溶媒を必須として用いることがより好ましい。溶媒の量は、質量換算で、沃素と沃化物と前記した粒子の前駆体の合計量に対して7〜20倍量とすることが好ましい。
前記有機溶媒としては、公知慣用のものがいずれ使用できる。例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、酢酸ベンジル等の酢酸エステル系有機溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のモノアルコール系有機溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系有機溶媒等が挙げられる。
調光材料の偏光粒子として用いる分子間化合物を得る場合には、結合を円滑に進め、且つ、粒子径を制御するために、水を併用することが好ましい。水の量は、質量換算で、沃素と沃化物と粒子の前駆体の合計量に対して1〜20%相当量とすることが好ましい。
また、水を併用する場合には、水と有機溶媒の親和性を高めるために、前記モノアルコール系有機溶媒を必須として用いることが好ましい。前記した高分子型分散安定剤がモノアルコール系有機溶媒に溶解しない場合には、他の有機溶媒を併用することが好ましい。しかしながら、この際のモノアルコール系有機溶媒の添加量は、質量換算で、沃素と沃化物と粒子の前駆体の合計量に対して1〜150%相当量とすることが好ましい。
粒子の前駆体および前記過沃化物と粒子の前駆体との結合によって形成する分子間化合物を溶解または沈降させることなく混合物中に安定に分散させるために、前記した高分子型分散安定剤を併用することが好ましい。
こうして得られた過沃化物からなる一次生成物と、粒子の前駆体とを混合して結合させることで、目的の分子間化合物を得ることができる。このような粒子の前駆体としては、前記過沃化物と分子間化合物を形成しやすい点から、前記した複素環中に窒素原子を含んでいる化合物(含窒素複素環式化合物)が好ましい。
粒子の前駆体は、一次生成物たる過沃化物1モル当たり、1〜4モルとなるように仕込むことが好ましく、なかでも2モルとなるように仕込むことがより好ましい。
この際の結合は、温度が30〜80℃で5分間〜10時間の範囲から選択することができ、攪拌によりこの結合をより促進することができる。この際の溶媒として、粒子の前駆体が溶解しないものを選択して用いた場合には、混合物の経時サンプリングの顕微鏡観察により、粒子の前駆体が存在しないことを確認できた点をこの結合の終点と判断することが可能となる。一般的には、この結合は温度が40〜60℃の場合には30分間〜5時間を要するものである。
尚、この際の結合中または結合後の混合物には、必要ならば超音波振動を与えることもできる。この超音波振動により、結合をより促進して分子間化合物の収率をより高め、且つ、凝集したまたは凝集しかけている偏光粒子をより細かく解すことができ、その結果、調光材料に適用した際により優れた光学特性を示すことができる。
溶媒種とその使用量、高分子型分散安定剤種とその使用量等を適正化することで、分子間化合物のみが反応混合物に溶解しなくなるようにすることができる。このような適正化された条件で得られた混合物は、高純度で粒度分布の幅が非常に狭い分子間化合物の粒子の分散体である。しかしながら、必要に応じて未結合溶解物や微粒、未結合固形物や粗粒を除くことによって、純度をさらに向上し、かつ、粒度分布をさらに狭めることができる。未結合固形物や粗粒は、分散体の遠心分離により除去することができる。未結合溶解物や微粒は、分散体から必要な粒子のみ遠心沈降させることによって上澄みとして除去することができる。遠心沈降した粒子は、粒子を溶解せず、高分子型分散安定剤を溶解する溶媒に再分散させることによって分散体に戻すことができる。このようにして得られた分子間化合物の分散体は、それを調光材料として用いた場合に非常に優れた光学特性を示すことができる。前記分子間化合物粒子の分散体から溶媒を乾燥除去することにより、乾燥状態の分子間化合物を得ることもできる。
前記したような好適な条件を結合することにより、粒子の大きさ(平均粒子径)が長径で0.1〜1μm、好ましくは0.2〜0.5μm、かつ、粒子のアスペクト比が1.1〜10.0、好ましくは2.0〜7.0の棒状の分子間化合物粒子を生産性高く得ることができる。尚、粒子の大きさおよびそのアスペクト比は、透過型電子顕微鏡の測定値により算出することができる。具体的には、前者は無作為に選んだ50個の同粒子の長径の平均値、後者は無作為に選んだ50個の同粒子の長径と短径の比の平均値としてそれぞれ算出することができる。
前記粒子の大きさが1μmを超える場合には、光散乱が生じたり、電界が印加された場合に偏光粒子懸濁液中での配向運動が低下する等、透明性が低下する問題が発生することがある。また、前記アスペクト比が1.1未満、あるいは10.0を超える場合には、電界が印加された場合に偏光粒子懸濁液中での配向運動が低下する。さらに、50個全ての粒子のアスペクト比が前記好適範囲内にあることが好ましい。
こうして得られた分子間化合物は、従来と同様に各種の用途に使用することができるが、なかでも本発明の調光材料の偏光粒子(以下、粒子と略記する。)として用いることが好ましい。
前記混合物は粒子の分散体であり、これをそのまま調光材料とすることができる。この調光材料から本発明の調光フィルムを得るには、例えば、粒子を溶解せず、高分子型分散安定剤を溶解する溶媒で前記混合物を希釈して電気特性測定用のセルに注入する。前記セルとしては、例えば、35milの間隔で平行に配置された2枚の後記する透明導電性基板の端部をシールし、基板に電極を付けたものが使用できる。調光材料を注入されたセルは粒子の色による濃紺色を示すが、交流電圧を印加すると粒子が電場に平行に配列することにより、セルは透明となる。
調光材料として、偏光粒子懸濁液の分散媒の屈折率に対する屈折率差が特定範囲にあるシリコーン樹脂を用いた本発明の分子間化合物は、例えば、その粒子としての光学特性値および電気特性値として、前記セルに周波数10kHz、350Vの交流電圧を印加したときのコントラストと半減時間を評価の指標とすることができる。ここで、コントラストは、電圧印加前の吸光度を電圧印加後の吸光度で除したもの(−)である。また、半減時間は、電圧印加状態から電圧印加でない状態にした時の650nmの波長領域での透過率変化が1/2になるのに要した時間(秒)である。尚、本発明においては、コントラストが1.4〜2.5(−)、半減時間が3(秒)以下になるような分子間化合物が調光材料の粒子として好ましい。
調光材料としては、前記したように偏光粒子分散体をそのまま用いることもできるが、液状のままでは加工が困難であるために、フィルム状に加工可能な分散体とすることが好ましい。この様な分散体としては、前記の粒子を液状(メタ)アクリル樹脂に分散させた懸濁液(偏光粒子懸濁液)を液状シリコーン樹脂に乳化させたもの(偏光粒子乳濁液)が挙げられる。
このようにして得られる反応混合物(ポリ過沃化物)の分子間化合物としては、例えば、一般式xC6424・CaI2・yI2・zH2O (x:1〜4、y:1〜6、z:2〜10)で表されると推定される。
また、調光硝子用偏光粒子懸濁液に用いる粒子として、例えば、米国特許第2,041,138号明細書(E. H. Land)、米国特許第2,306,108号明細書(Land等)、米国特許第2,375,963号明細書(Thomas)、米国特許第4,270,841号明細書(R. L. Saxe)、および英国特許第433,455号明細書に記載された粒子を使用することもできる。これらの特許によって公知化されたポリ沃化物の結晶は、ピラジンカルボン酸、ピリジンカルボン酸の内の1つを選択して、沃素と結合させることにより、ポリ沃化物、ポリ塩化物、またはポリ臭化物等のポリハロゲン化物とすることによって作製される。これらのポリハロゲン化物は、ハロゲン原子が無機質または有機質と結合した分子間化合物で、これらの詳しい製造方法は、例えば、サックスの米国特許第4,422,963号明細書に記載されている。
粒子の合成工程において、均一な大きさの粒子を形成させ、さらに特定の懸濁媒体内での粒子の分散性を向上させるために、ニトロセルロースのような高分子物質を使用することが好ましい。本発明においては、置換基として重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂を硬化性高分子媒体として用いることにより、調光フィルム、調光ガラスを製造する際に粒子が相分離により形成された微細な液滴内へ容易に分散、浮遊し、その結果、優れた光可変能力(光可変度)を得ることができる。
前記粒子の他、例えば、炭素繊維等の無機繊維、カーボンナノチューブ、無金属フタロシアニンや金属フタロシアニン等のフタロシアニン化合物等を使用することもできる。金属フタロシアニン化合物において、中心金属としては、銅、ニッケル、鉄、コバルト、クロム、チタン、ベリリウム、モリブデン、タングステン、アルミニウム、クロム等が挙げられる。
本発明に使用される偏光粒子懸濁液は、質量換算で、粒子1〜70%、分散媒30〜99%から構成されることが好ましく、なかでも粒子4〜50%、分散媒50〜96%から構成されることがより好ましい。尚、偏光粒子懸濁液には、前記シリコーン樹脂の光硬化を促進するための光開始剤および/または紫外線吸収剤、あるいは酸化防止剤、可塑剤(1〜80%)を添加してもよい。
本発明の調光材料としては、質量換算で、高分子媒体100部に対して、偏光粒子懸濁液を通常1〜100部、好ましくは20〜70部、より好ましくは40〜65部を含有するものである。
本発明の調光フィルム、調光ガラスは、調光材料を用いて形成された調光フィルム、調光ガラスであって、高分子媒体から形成された固体樹脂マトリックスと、固体樹脂マトリックス中に分散した偏光粒子懸濁液とからなる調光層を有するものである。調光層としては、通常、2枚の透明導電性基板に挟持されたものである。
本発明の調光フィルム、調光ガラスとしては、例えば、調光材料を混合し、その混合液をバーコーター、アプリケーター、ドクターブレード、ロールコーター、ダイコーター、コンマコーター等の公知慣用の塗工手段を用いて、透明導電性基板等の基材に塗布することにより得ることができる。尚、塗布する際は、必要に応じて、適当な公知慣用の有機溶媒で希釈してもよい。有機溶媒を使用する場合には、基材上に塗布した後に乾燥を行う必要がある。有機溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘプタン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エタノール、メタノール、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル等を使用することができる。
液状の偏光粒子懸濁液が、固体高分子マトリックス中に微細な液滴形態で分散された調光フィルム、調光ガラスを形成する方法としては、本発明の調光材料を公知慣用の攪拌機、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等で攪拌混合して、高分子媒体中に偏光粒子懸濁液を微細に分散させる方法、高分子媒体中のシリコーン樹脂成分の架橋による相分離方法、溶媒揮発による相分離方法、または温度による相分離方法等を利用することができる。
本発明においては、液晶ではなく、粒子が偏光粒子懸濁液内に分散されている液状の偏光粒子懸濁液を使用するため、液晶を利用したフィルム形態の調光ガラスとは異なり、電界が印加されていない場合にも光が散乱せず、鮮明度に優れ、視野角に制限のない着色状態を示すことができる。そして、粒子の含有量、液滴の形態や膜厚を調節したり、または電界強度を調節することにより、光可変度を任意に調節できる。
本発明の調光フィルム、調光ガラスの製造方法としては、まず、液状の偏光粒子懸濁液を、置換基として重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂(またはその溶液で、分散媒の屈折率に対する屈折率差が、+0.0021から+0.0080の範囲にあるもの)、光重合開始剤を含む高分子媒体と均質に混合し、偏光粒子懸濁液がシリコーン樹脂、またはその溶液中に液滴の状態で分散した混合液とする。この混合液を透明導電性基板の上に一定の厚さで塗布し、必要に応じて、減圧下で溶剤を乾燥除去した後、高圧水銀灯等を用いて紫外線を照射して、シリコーン樹脂を硬化させる。その結果、硬化シリコーン樹脂から形成された固体樹脂マトリックス中に、液状の偏光粒子懸濁液が液滴状に分散されているフィルム、ガラスが得られる。高分子媒体と液状の偏光粒子懸濁液との混合比率を種々変えるか、またはフィルムの膜厚を変えることにより、フィルム、ガラスの光透過率を調節することができる。このようにして形成されたフィルム状の調光層の上に他の透明導電性基板を密着せしめることにより、本発明の調光フィルム、調光ガラスを好適に製造することができる。尚、2枚の透明導電性基板の両方の上に調光層を形成し、それを調光層同士が密着するようにして積層してもよい。ここで、調光層の厚みとしては、特に制限されないが、5〜1,000μmが好ましく、10〜200μmがより好ましい。
固体樹脂マトリックス中に分散されている偏光粒子懸濁液の液滴の大きさ(平均粒子径)は、光学顕微鏡((株)キーエンス社製 デジタルHDマイクロスコープ)を用いて、1000倍で視野画像をデジタルデータとしてコンピュータに取り込み、画像処理インテグレーションソフトウェア(MITANI CORPORATION製 Win Roof)を使用することにより算出することができる。この操作を1種の調光材料について複数回のサンプリングを行い、前記特定範囲の粒子径の粒子数の測定を行い、それらの測定結果を平均する方法で算出する。さらに、その粒度分布も算出することができる。
偏光粒子懸濁液の液滴の平均粒子径は1〜10μmであることが好ましい。液滴の大きさは、偏光粒子懸濁液を構成している各成分の濃度、偏光粒子懸濁液および高分子媒体の粘度、偏光粒子懸濁液中の分散媒の高分子媒体に対する相溶性等により決定される。液滴の平均粒子径が上記範囲以外の場合には、ここで得られた調光材料を用いた調光フィルム、調光ガラスの光学特性は劣ることになる。
前記した調光フィルム、調光ガラスの製造方法によれば、電界の印加により任意に光透過率が調節できる調光フィルム、調光ガラスが得られる。この調光フィルム、調光ガラスは、電界が印加されていない場合にも、光の散乱のない鮮明な着色状態を維持し、電界が印加されると透明な状態に転換される。この光可変能力は、20万回以上の可逆的な反復特性を示す。
使用電源は交流で、10〜220ボルト(実効値)、30Hz〜500kHzの周波数の範囲で作動することができる。電界に対する半減時間は、消色時(電界を印加した状態)には1〜50秒以内であり、着色時(電界を印加していない状態)には0.01〜5秒以内である。紫外線の耐久性は、750Wの紫外線等を利用した紫外線照射試験の結果、250時間が経過した後にも安定な光可変特性を示し、初期の光可変特性を十分に維持することがわかった。
本発明の調光材料を用いて調光フィルム、調光ガラスを製造する際に使用される透明導電性基板としては、一般的には、透過率が80%以上の透明導電膜(ITO、SnO2、In23等の膜)がコーティングされている表面抵抗値が3〜600Ω/sqの透明基板(例えば、ガラスまたはポリエチレンテレフタレート等の高分子フィルム)を使用することができる。透明導電膜の厚みは、10〜5,000nmであることが好ましく、透明基板の厚みは特に制限はない。硝子の場合には、1〜15mmが好ましく、高分子フィルムの場合には10〜1000μmが好ましい。基板の間隔が狭く、異物質の混入等により発生する短絡現象を防止するために、透明導電層の上に200〜1,000オングストローム(Å)程度の厚さの透明絶縁層が形成されている基板を使用してもよい。また、反射型の調光窓の場合(例えば、自動車用の窓硝子/バックミラー等)は、反射体であるアルミニウム、金、または銀のような導電性金属の薄膜を電極として直接用いてもよい。
本発明の調光フィルム、調光ガラスに電界が印加されていないときには、偏光粒子懸濁液内の粒子がブラウン運動のため、粒子の光吸収、2色性の効果による鮮明な着色状態を示す。しかしながら、電界が印加されると、液滴または液滴の中の粒子が電場に平行に配列し、固体樹脂マトリックスと屈折率の差が、+0.0021から+0.0080の範囲にある分散媒を使用した場合に透明な状態に転換し、視野角による散乱および透明性の低下は起こりにくくなる。また、フィルム状態であるため、前記したような従来の調光ガラス、液晶を利用した調光窓の各種問題点、および紫外線露光による色調変化、可変能力の低下、大型製品特有の透明導電性基板の周辺部と中央部間に生ずる電圧降下に伴う応答時間(速度)差、さらに光学特性面の問題点が解消される。
本発明の調光フィルム、調光ガラスは、光学特性としてのヘーズ、コントラストおよび電気特性としての半減時間により評価することができる。
ヘーズは、JIS K 7136に基づく前記Haze−Gard Dual計を用いた、電界を印加した状態(100V、周波数400Hz)における広角度散乱の拡散透過率(%)で表し、ヘーズの数値が低いほど光学特性は良好である。本発明の調光フィルム、調光ガラスにおいては、分散媒の屈折率に対する屈折率差を+0.0021から+0.0080の範囲にあるシリコーン樹脂を用いることにより、電界を印加した状態におけるヘーズが従来公知のそれと比べて4%以下となり、光散乱が少なく、透明性に優れたものとなる。具体的には、屈折率差が、+0.0021の時は3.22%、+0.0060の時は1.70%、+0.0080の時は3.80%となる。ちなみに、同一測定条件のもとで上記範囲外のシリコーン樹脂を用いると、例えば、屈折率差が−0.0045の時は24.0%、−0.0016の時は13.2%、+0.0010の時は5.80%となる。
コントラストは、BYK−Gardner社製 Haze−Gard Dual計を用いた、JIS K 7361−1に基づくD65光源における電界を印加していない状態と、印加した状態(100V、周波数400Hz)における全光線透過率(%)との差により算出することができ、コントラストの数値が高いほど光学特性は良好である。
また、半減時間は、まず、大塚電子(株)製の瞬間マルチ測光システム(MCPD−3000)を用いて、電界を印加していない状態、あるいは印加した状態(100V、周波数400Hz)での650nmにおける透過率(%)を測定し、電界を印加した状態から印加していない状態にした時の前記透過率変化が1/2になるのに要した時間(秒)で表し、半減時間が短いほどスイッチ速度(応答速度)は速く、電気特性は良好である。
本発明の調光フィルム、調光ガラスを利用した製品は、室内外の仕切り(パーティッション)、建築物用の窓硝子/天窓、電子産業および映像機器に使用される各種平面表示素子、各種計器板と既存の液晶表示素子の代替品、光シャッター、各種室内外広告および案内標示板、航空機/鉄道車両/船舶用の窓硝子、自動車用の窓硝子/バックミラー/サンルーフ、眼鏡、サングラス、サンバイザー等の用途に好適に使用することができる。
以下、製造例、実施例、比較例により本発明を詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(製造例1) 偏光粒子の製造
9.91%のニトロセルロース(旭化成工業(株)製LIG1/8:LIG1/4=79:21)を溶解した265gの酢酸イソアミル溶液に沃化カルシウム5.30g、メタノール4.00g、純水所要量(1.61gからニトロセルロースの酢酸イソアミル溶液、沃化カルシウム、メタノール中の水分を差し引いた量)を加え、45℃に保持した湯浴に漬けて15分間撹拌することによって沃化カルシウムを完全に溶解した。次に沃素9.00gを加え、同温度で30分間撹拌することによって沃素を完全に溶解し、カルシウム過沃化物を得た。この溶液に、ピラジン−2,5−ジカルボン酸2水和物6.00gを投入し、同温度で攪拌を継続したところ、混合物の色相は1分から2分後に茶色から暗緑色に変化した。さらに攪拌を3時間継続して分子間化合物の分散体を得た。この分散体を超音波分散機で2時間分散した。この分散液を酢酸イソアミルで希釈して、35milの間隔で平行に配置された2枚の透明導電性基板の端部をシールし、基板に電極接続部を付けたセルに入れ、このセルに周波数10kHz、350Vの交流電圧を印加したときの、コントラストは1.8(−)、減衰時間は5(ミリ秒)であった。得られた偏光粒子の透過型電子顕微鏡写真より、平均長径は0.35(μm)、平均アスペクト比は5.0(−)であった。
(製造例2) (メタ)アクリル酸エステルオリゴマーの製造
ジムロート冷却管、温度センサ、窒素導入管、攪拌装置を取り付けた2lのセパラブルフラスコにアクリル酸ブチル(和光特級、和光純薬工業(株)製)119.4g、アクリル酸ヘプタフルオロブチル(工業用、共栄社化学工業(株)製)9.2g、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(和光1級、和光純薬工業(株)製)13.75g、n−オクチルメルカプトプロピオナート11.19gおよびトルエン675mlを投入し、窒素をバブリングさせた後、加熱攪拌を開始した。102℃にて、パーブチルO 1.32gのトルエン溶液200mlを加えた。程なくして反応が開始し、内温が113℃にまで上昇した。引き続き窒素フロー下、3時間還流の後冷却し、120℃で4時間エバポレートした。アクリル酸ブチル/アクリル酸ヘプタフルオロブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル/n−オクチルメルカプトプロピオナート共重合体淡黄色油状物143.3gを得た。
(製造例3) 偏光粒子懸濁液の製造
製造例2で得た分散媒であるアクリル酸ブチル/アクリル酸ヘプタフルオロブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル/n−オクチルメルカプトプロピオナート(モノマーモル比:78/6/9/7、重量平均分子量:2,000)25gに、トリメリット酸トリエチル17gとパーフルオロスベリン酸ジメチル8gと製造例1で得た偏光粒子45.5gを加え、攪拌機により30分間混合した。次いで、酢酸イソアミルをロータリーエバポレーターにて1330Paの真空で70℃、3時間減圧除去し、粒子沈降および凝集現象のない安定な液状の偏光粒子懸濁液を得た。なお、分散媒の屈折率は25℃で1.4630(−)であった。
(製造例4) 紫外線硬化型シリコーン樹脂の製造
攪拌装置、温度センサー、ディーンスタークトラップのついた1lの4口フラスコに未精製両末端シラノール基ジメチルジフェニルシロキサンコポリマー129g、3−アクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン10g、ヘプタン400mlを投入し、75分間加熱還流を行った。留出水は0.2mlであった。一旦90℃に冷却し、2−エチルヘキサン酸スズ(II)33mgを少量のヘプタンに溶解した溶液に加え、再び105分間加熱還流し脱水を行った。留出水は0.8mlであった。次いで、ディーンスタークトラップの冷却管上部より、メトキシトリメチルシラン60mlを注意深く加えた。2時間還流を継続後、冷却・部分的に脱溶剤を行い、無色透明油状の粗シリコーン樹脂158gを得た。該粗シリコーン樹脂を280gのメタノールで4回洗浄し、脱溶剤を行うと、無色透明油状のシリコーン樹脂83gを得た。また、すべてのメタノール層をまとめて脱溶剤を行うと、淡黄色液体の低分子量不純物37gを得た。該シリコーン樹脂、低分子量不純物を各々東ソー(株)製HPLC(HLC−8020GPC、溶離液;THF、カラム;東ソー(株)製 TSKGel G5000HXL、G3000HXL、G2000HXL、G1000HXLを直列に接続、測定温度;40℃、サンプル濃度;0.1(w/v%)、屈折率検出器使用)を用いてサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定(標準ポリスチレン換算の分子量による、面積%により評価)を行った。その結果、精製後のシリコーン樹脂中の低分子量不純物は0.4%であった。洗浄により除去された低分子量不純物中のシリコーン樹脂成分は検出されなかった。なお、シリコーン樹脂の屈折率は25℃で1.4690(−)であり、分散媒との屈折率差は+0.0060(−)であった。
(実施例1)
(調光材料、調光ガラスの製造)
製造例4で得た屈折率1.4690(−)の紫外線硬化型シリコーン樹脂10g、光重合開始剤としてのビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製 Irgacure 819)0.02gを混合し、これに製造例3で得た偏光粒子懸濁液4.0gを添加し、1分間機械的に混合し、調光材料を得た。この調光材料をITO(インジウム錫の酸化物)の透明導電膜(厚み300Å)がコーティングされている表面電気抵抗値が100Ω/sqの硝子板からなる透明導電性基板の上に2milのドクターブレードで塗布し、その硝子板を脱気し、真空中で2枚目の前記ITO硝子板で挟んだ。真空から徐々に大気圧に戻した後、UVランプ(365nmで80mW/cm2)に30秒間さらして、偏光粒子懸濁液が球形の液滴として紫外線硬化したシリコーン樹脂内に分散形成されたフィルム状の調光層が挟まれた調光ガラスを得た。調光ガラス中の偏光粒子懸濁液の液滴の大きさは、光学顕微鏡による測定で平均粒子径が6(μm)、電界を印加していない状態における全光線透過率は2.6(%)、電界を印加した状態における全光線透過率は67.0(%)であり、そのコントラストは64.4(%)であった。また、ヘーズは1.7(%)、650nmの波長領域で電界を印加していない状態における透過率は0.7(%)、印加した状態における透過率は69.6(%)であった。さらに、半減時間は1.5(秒)であった。
(実施例2)
(調光材料、調光ガラスの製造)
製造例4で得た屈折率が1.4690(−)の紫外線硬化型シリコーン樹脂を屈折率が1.4671(−)で分散媒との屈折率差が+0.0080(−)である紫外線硬化型シリコーン樹脂に代えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、調光材料、調光ガラスを得た。調光ガラス中の偏光粒子懸濁液の液滴の大きさは、光学顕微鏡による測定で平均粒子径が6(μm)、電界を印加していない状態における全光線透過率は2.7(%)、電界を印加した状態における全光線透過率は63.0(%)であり、そのコントラストは60.3(%)であった。また、ヘーズは3.8(%)、650nmの波長領域で電界を印加していない状態における透過率は0.6(%)、印加した状態における透過率は65.0(%)であった。さらに、半減時間は1.7(秒)であった。
(比較例1)
(調光材料、調光ガラスの製造)
製造例4で得た屈折率が1.4690(−)の紫外線硬化型シリコーン樹脂を屈折率が1.4673で分散媒との屈折率差が+0.0100(−)である紫外線硬化型シリコーン樹脂に代えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、調光材料、調光ガラスを得た。調光ガラス中の偏光粒子懸濁液の液滴の大きさは、光学顕微鏡による測定で平均粒子径が6(μm)、電界を印加していない状態における全光線透過率は2.4(%)、電界を印加した状態における全光線透過率は59.7(%)であり、そのコントラストは57.3(%)であった。また、ヘーズは5.9(%)、650nmの波長領域で電界を印加していない状態における透過率は0.8(%)、印加した状態における透過率は55.1(%)であった。さらに、半減時間は1.8(秒)であった。
(試験例)
調光ガラス中の偏光粒子懸濁液の液滴の平均粒子径、粒度分布の測定光学顕微鏡((株)キーエンス社製 デジタルHDマイクロスコープ)を用いて、1000倍で視野画像をデジタルデータとしてコンピュータに取り込み、画像処理インテグレーションソフトウェア(MITANI CORPORATION製 Win Roof)を用いて平均粒子径の測定を行った。
(調光ガラスの光学特性および電気特性の評価)
(全光線透過率の測定)
BYK−Gardner社製 Haze−Gard Dual計を用いて、JIS K 7361−1に基づいてD65光源における電界を印加していない状態と、印加した状態(100V、周波数400Hz)における全光線透過率(%)の測定を行った。
(コントラストの測定)
コントラストは、前記全光線透過率の測定結果より、電界を印加していない状態における全光線透過率と、電界を印加した状態における全光線透過率との差(%)により算出し、この数値が高いほど光学特性は良好である。
(ヘーズ)
本発明におけるヘーズは、JIS K 7136に基づいてBYK−Gardner社製 Haze−Gard Dual計を用いて、電界を印加した状態(100V、周波数400Hz)における広角度散乱の拡散透過率(%)を意味し、この数値が低いほど光学特性は良好である。
(650nmの波長領域での透過率の測定)
大塚電子(株)製の瞬間マルチ測光システム(MCPD−3000)を用いて、電界を印加していない状態、あるいは印加した状態(100V、周波数400Hz)での650nmにおける透過率(%)の測定を行った。
(半減時間)
電界を印加した状態から印加していない状態にした時の上記透過率変化が1/2になるのに要した時間(秒)であり、半減時間が短い方ほどスイッチ速度(応答速度)は速く、電気特性は良好である。
(偏光粒子の光学特性および電気特性の評価)
電気特性は、分子間化合物を含む混合物の一部を超音波分散機で2時間分散し、この分散液を酢酸イソアミルで希釈して、35milの間隔で平行に配置された2枚の透明導電性基板の端部をシールし、基板に電極接続部を付けた専用のセルに入れ、このセルに周波数10kHz、350Vの交流電圧を印加したときの、コントラストおよび減衰時間で評価した。尚、コントラストがより高く、減衰時間がより短い粒子が、光学特性および電気特性に優れ、調光材料の形成に適している。
(コントラストの測定)
コントラストは、電界を印加していない状態における吸光度を、電界を印加した状態における吸光度で除したもの(%)であり、コントラストの数値が高いほど光学特性は良好である。
(減衰時間)
電界を印加した状態にした後の吸光度が90%まで回復するのに要した時間(ミリ秒)であり、減衰時間が短いほどスイッチ速度(応答速度)は速く、電気特性は良好である。
上記の実施例1、2および比較例1の調光ガラスのヘーズ、コントラストに関する測定結果を表1に示す。
表1
Figure 2005300962
表1の結果から明らかなように、分散媒の屈折率に対する屈折率差が+0.0021から+0.0080の範囲にあるシリコーン樹脂を用いた実施例1、2の調光ガラスは、その屈折率差が前記範囲外である比較例1のものに比べて、ヘーズが低く、さらにコントラストも高いので光学特性により優れていることが判った。なかでもヘーズについては、4%以下であり、従来のものに比べてその数値は低く、光散乱が少ない、透明性により優れたものであった。
したがって、本発明の調光材料は、調光ガラスの形成に最適である。

Claims (6)

  1. 置換基として重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂と、光重合開始剤からなり、紫外線を照射することにより硬化する高分子媒体と、粒子が流動可能な状態で分散媒中に分散した偏光粒子懸濁液とを含有し、偏光粒子懸濁液中の分散媒が、高分子媒体およびその硬化物と相分離しうるものであり、その分散媒の屈折率に対する屈折率差が、+0.0021から+0.0080の範囲にあるシリコーン樹脂を用いることを特徴とする調光材料。
  2. 偏光粒子懸濁液の液滴の平均粒子径が1〜10μmであることを特徴とする請求項1に記載の調光材料。
  3. 請求項1または2に記載の調光材料を用いて形成された調光フィルム、調光ガラスであって、高分子媒体から形成された固体樹脂マトリックスと、固体樹脂マトリックス中に分散した偏光粒子懸濁液とからなる調光層を有する調光フィルム、調光ガラス。
  4. 調光層が、2枚の透明導電性基板間に挟持されてなる請求項3に記載の調光フィルム、調光ガラス。
  5. 電界を印加した状態におけるヘーズが4%以下である請求項3または4に記載の調光フィルム、調光ガラス。
  6. 請求項1または2に記載の調光材料を透明導電性基板上に塗布し、紫外線を照射してシリコーン樹脂を硬化させて調光層を形成し、調光層上に透明導電性基板を密着せしめることを特徴とする調光フィルム、調光ガラスの製造方法。
JP2004117766A 2004-04-13 2004-04-13 調光材料、調光フィルムおよび調光ガラスならびにその製造方法 Pending JP2005300962A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004117766A JP2005300962A (ja) 2004-04-13 2004-04-13 調光材料、調光フィルムおよび調光ガラスならびにその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004117766A JP2005300962A (ja) 2004-04-13 2004-04-13 調光材料、調光フィルムおよび調光ガラスならびにその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005300962A true JP2005300962A (ja) 2005-10-27

Family

ID=35332566

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004117766A Pending JP2005300962A (ja) 2004-04-13 2004-04-13 調光材料、調光フィルムおよび調光ガラスならびにその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005300962A (ja)

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008075772A1 (ja) 2006-12-21 2008-06-26 Hitachi Chemical Co., Ltd. 調光フィルム及び調光ガラス
WO2008075773A1 (ja) 2006-12-21 2008-06-26 Hitachi Chemical Co., Ltd. 調光フィルム及び調光ガラス
WO2008102822A1 (ja) 2007-02-20 2008-08-28 Fujifilm Corporation 紫外線吸収剤を含む高分子材料
WO2008123504A1 (ja) 2007-03-30 2008-10-16 Fujifilm Corporation 紫外線吸収剤組成物
WO2009022736A1 (ja) 2007-08-16 2009-02-19 Fujifilm Corporation ヘテロ環化合物、紫外線吸収剤及びこれを含む組成物
WO2009110563A1 (ja) 2008-03-05 2009-09-11 日立化成工業株式会社 調光フィルムの製造方法及び調光フィルム
WO2009123142A1 (ja) 2008-03-31 2009-10-08 富士フイルム株式会社 紫外線吸収剤組成物
WO2009123141A1 (ja) 2008-03-31 2009-10-08 富士フイルム株式会社 紫外線吸収剤組成物
WO2009136624A1 (ja) 2008-05-09 2009-11-12 富士フイルム株式会社 紫外線吸収剤組成物
JP2013003319A (ja) * 2011-06-15 2013-01-07 Hitachi Chem Co Ltd 調光材料および調光フィルム
KR102151969B1 (ko) * 2019-12-11 2020-09-04 주식회사 지투비 투과도 가변창의 제조방법 및 그에 의해 제조된 투과도 가변창

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06129168A (ja) * 1992-01-10 1994-05-10 Hankuk Glass Ind Inc 光偏光懸濁液が高分子樹脂内に分散されている調光窓用フィルムおよびその製造方法
JPH08503314A (ja) * 1992-11-06 1996-04-09 リサーチ フロンティアーズ インコーポレイテッド ライトバルブ用の改善された透明度の光変調フィルム
JP2000231127A (ja) * 1999-02-08 2000-08-22 Fuji Xerox Co Ltd 体積変調型調光材料、体積変調型調光組成物および光学素子
JP2002189123A (ja) * 2000-12-19 2002-07-05 Hitachi Chem Co Ltd 調光材料、調光フィルム及び調光フィルムの製造方法
JP2004512565A (ja) * 2000-10-27 2004-04-22 リサーチ フロンティアーズ インコーポレイテッド Spdフィルム及びそれを含むライトバルブ

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06129168A (ja) * 1992-01-10 1994-05-10 Hankuk Glass Ind Inc 光偏光懸濁液が高分子樹脂内に分散されている調光窓用フィルムおよびその製造方法
JPH08503314A (ja) * 1992-11-06 1996-04-09 リサーチ フロンティアーズ インコーポレイテッド ライトバルブ用の改善された透明度の光変調フィルム
JP2000231127A (ja) * 1999-02-08 2000-08-22 Fuji Xerox Co Ltd 体積変調型調光材料、体積変調型調光組成物および光学素子
JP2004512565A (ja) * 2000-10-27 2004-04-22 リサーチ フロンティアーズ インコーポレイテッド Spdフィルム及びそれを含むライトバルブ
JP2002189123A (ja) * 2000-12-19 2002-07-05 Hitachi Chem Co Ltd 調光材料、調光フィルム及び調光フィルムの製造方法

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8059331B2 (en) 2006-12-21 2011-11-15 Hitachi Chemical Co., Ltd. Light control film and light control glass
WO2008075773A1 (ja) 2006-12-21 2008-06-26 Hitachi Chemical Co., Ltd. 調光フィルム及び調光ガラス
WO2008075772A1 (ja) 2006-12-21 2008-06-26 Hitachi Chemical Co., Ltd. 調光フィルム及び調光ガラス
JP5359276B2 (ja) * 2006-12-21 2013-12-04 日立化成株式会社 調光フィルム及び調光ガラス
JP2013210670A (ja) * 2006-12-21 2013-10-10 Hitachi Chemical Co Ltd 調光フィルム及び調光ガラス
US8098419B2 (en) 2006-12-21 2012-01-17 Hitachi Chemical Co., Ltd. Light control film and light control glass
WO2008102822A1 (ja) 2007-02-20 2008-08-28 Fujifilm Corporation 紫外線吸収剤を含む高分子材料
WO2008123504A1 (ja) 2007-03-30 2008-10-16 Fujifilm Corporation 紫外線吸収剤組成物
WO2009022736A1 (ja) 2007-08-16 2009-02-19 Fujifilm Corporation ヘテロ環化合物、紫外線吸収剤及びこれを含む組成物
WO2009110563A1 (ja) 2008-03-05 2009-09-11 日立化成工業株式会社 調光フィルムの製造方法及び調光フィルム
WO2009123141A1 (ja) 2008-03-31 2009-10-08 富士フイルム株式会社 紫外線吸収剤組成物
WO2009123142A1 (ja) 2008-03-31 2009-10-08 富士フイルム株式会社 紫外線吸収剤組成物
WO2009136624A1 (ja) 2008-05-09 2009-11-12 富士フイルム株式会社 紫外線吸収剤組成物
JP2013003319A (ja) * 2011-06-15 2013-01-07 Hitachi Chem Co Ltd 調光材料および調光フィルム
KR102151969B1 (ko) * 2019-12-11 2020-09-04 주식회사 지투비 투과도 가변창의 제조방법 및 그에 의해 제조된 투과도 가변창
CN114829990A (zh) * 2019-12-11 2022-07-29 吉特比 光阀的制备方法及通过该方法制备的光阀
CN114829990B (zh) * 2019-12-11 2024-05-07 吉特比 光阀的制备方法及通过该方法制备的光阀

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5768843B2 (ja) 調光フィルム
JP5359276B2 (ja) 調光フィルム及び調光ガラス
JP5600874B2 (ja) 調光フィルム
JP5233676B2 (ja) 調光フィルム及び調光ガラス
JP5104954B2 (ja) 調光フィルム
JP2008158043A (ja) 調光フィルム
JP5110157B2 (ja) 調光フィルムの製造方法及び調光フィルム
JP5152334B2 (ja) 調光フィルム
JP2005300962A (ja) 調光材料、調光フィルムおよび調光ガラスならびにその製造方法
JP2006064832A (ja) 調光材料、調光フィルムおよびその製造方法
JP5704076B2 (ja) (メタ)アクリロイル基含有ポリシロキサン樹脂の製造方法及び該方法により得られた(メタ)アクリロイル基含有ポリシロキサン樹脂を用いた調光フィルム
JP2008158042A (ja) 調光フィルム
JP2008158040A (ja) 調光材料、それを用いた調光フィルム及びその製造方法
JP2005105131A (ja) 調光材料、調光フィルムおよびその製造方法
JP2002214653A (ja) 調光材料、調光フィルム及び調光フィルムの製造方法
JP2002082364A (ja) 調光材料、調光フィルム及び調光フィルムの製造方法
JP2019139110A (ja) 調光素子
JP5842396B2 (ja) 調光材料および調光フィルム
JP2008158041A (ja) 調光材料、調光フィルム及び調光フィルムの製造方法
JP6048011B2 (ja) 調光材料及び調光フィルム
JP5266767B2 (ja) 調光材料、調光フィルム、及び調光材料の製造方法
JP2013182112A (ja) 調光フィルム及びその製造方法
JP5569412B2 (ja) 調光材料および調光フィルム
JP2004189736A (ja) 分子間化合物の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20050909

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070409

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091201

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100125

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100401