JP2005105131A - 調光材料、調光フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 コントラストが高く、電界を印加した状態のヘーズが低く、さらに、スイッチ速度が速い調光フィルムを形成するための調光材料、前記光学および電気特性を有する調光フィルムおよびその製造方法を提供することである。
【解決手段】 置換基として重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂と光重合開始剤からなり、紫外線を照射して硬化する高分子媒体と、粒子が流動可能な状態で分散媒中に分散している偏光粒子懸濁液とを含有し、偏光粒子懸濁液中の分散媒が、高分子媒体およびその硬化物と相分離しうるものであり、かつ偏光粒子懸濁液の液滴の平均粒子径が6〜10μmであることを特徴とする調光材料。前記調光材料を透明導電性基板の上に塗布し、紫外線を照射してシリコーン樹脂を硬化させて調光層を形成し、調光層上に透明導電性基板を密着せしめることを特徴とする調光フィルムの製造方法。
【選択図】 なし。
【解決手段】 置換基として重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂と光重合開始剤からなり、紫外線を照射して硬化する高分子媒体と、粒子が流動可能な状態で分散媒中に分散している偏光粒子懸濁液とを含有し、偏光粒子懸濁液中の分散媒が、高分子媒体およびその硬化物と相分離しうるものであり、かつ偏光粒子懸濁液の液滴の平均粒子径が6〜10μmであることを特徴とする調光材料。前記調光材料を透明導電性基板の上に塗布し、紫外線を照射してシリコーン樹脂を硬化させて調光層を形成し、調光層上に透明導電性基板を密着せしめることを特徴とする調光フィルムの製造方法。
【選択図】 なし。
Description
本発明は、室内外の仕切り(パーティッション)、建築物用の窓硝子/天窓、電子産業および映像機器に使用される各種平面表示素子、各種計器板と既存の液晶表示素子の代替品、光シャッター、各種室内外広告および案内標示板、航空機用の窓硝子、自動車用の窓硝子/バックミラー/サンルーフ、眼鏡、サングラス、サンバイザー等に好適に用いられる調光材料、調光フィルムおよびその製造方法に関する。
調光フィルムは、電界印加の有無により光透過率が変化し、全体入射光量の調整が可能であり、液晶を利用したもの、エレクトロクロミズムを利用したもの、偏光粒子懸濁液を用いたものが知られている。
偏光粒子懸濁液を用いた調光フィルムは、その形態として、狭い間隔を有する2枚の透明導電性基板の間に、液体状態の偏光粒子懸濁液を注入した構造になっている。2枚の透明導電性基板の間に注入されている液状の偏光粒子懸濁液は、電界を印加していない状態(スイッチが「OFF」の状態)では、偏光粒子懸濁液中に分散されている粒子のブラウン運動により、入射光の大部分が粒子により反射、散乱または吸収され、ごく一部分だけが透過することになる。即ち、偏光粒子懸濁液に分散されている粒子の形状、性質、濃度および照射される光エネルギーの量により、透過、反射、散乱または吸収の程度が決められる。前記構造の調光フィルムに電界を印加した状態(スイッチが「ON」の状態)では、透明導電性基板を通じて偏光粒子懸濁液に電場が形成され、偏光機能を表す粒子が分極を起こし、電場につれて平行に配列し、粒子と粒子の間、あるいは粒子を通じ、光が透過し、最終的に調光フィルムは透明になる。
従来の偏光粒子懸濁液を用いた調光フィルムにおいて、フィルムマトリックスである高分子樹脂の屈折率と、粒子が分散媒中に分散している偏光粒子懸濁液との屈折率の差が0.02以内とすることにより、調光フィルムに電界を印加した状態では、高分子樹脂内に分散されている偏光粒子懸濁液の液滴または液滴の中に浮遊されている粒子が電界に平行に配列して無色透明な状態に転換され、視野角による散乱または透明性低下のほとんどない状態に入射光を透過させることができると記載されている(特許文献1参照。)。
また、従来の偏光粒子懸濁液を用いた紫外線硬化性の調光フィルムは、粒子を分散媒中に分散している偏光粒子懸濁液の小滴が紫外線の照射によって架橋されたポリマーマトリックス中に分布したフィルムであり、紫外線硬化を用いることにより、フィルムを損傷する熱に長くさらされなくて済むうえ、熱硬化よりもずっと速く遂行し得ることが記載されている(特許文献2参照。)。
さらに、従来の偏光粒子懸濁液を用いた調光フィルムにおいて、アスペクト比が1.1〜4.0の粒子を用いることにより、透明導電性基板の周辺部と中央部間に生じる電圧降下に伴う応答時間の差が解消された(全面に渡って一定の応答時間を示す。)調光フィルムが得られることが記載されている(特許文献3参照。)。
しかしながら、これらの調光フィルムは、近年要求されている電界を印加していない状態における全光線透過率と、電界を印加した状態における全光線透過率との差であるコントラストが不十分であり、また、電界を印加した状態におけるヘーズ(高角度散乱の拡散透過率)が高く、さらに、電界を印加した状態から印加していない状態へのスイッチ速度(半減時間が長い)が遅いという欠点があった。
本発明が解決しようとする課題は、コントラストが高く、電界を印加した状態におけるヘーズが低く、さらに、スイッチ速度が速い調光フィルムを形成するための調光材料、前記光学特性、電気特性を各々有する調光フィルムおよびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記実状を鑑みて鋭意検討したところ、偏光粒子懸濁液の液滴の平均粒子径を従来よりも大きくすることで、上記課題を解決出来ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、置換基として重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂と光重合開始剤からなり、紫外線を照射して硬化する高分子媒体と、粒子が流動可能な状態で分散媒中に分散している偏光粒子懸濁液とを含有し、偏光粒子懸濁液中の分散媒が、高分子媒体およびその硬化物と相分離しうるものであり、かつ偏光粒子懸濁液の液滴の平均粒子径が6〜10μmであることを特徴とする調光材料に関する。
更に本発明は、上記調光材料を用いて形成された調光フィルムであって、高分子媒体から形成された固体樹脂マトリックスと、固体樹脂マトリックス中に分散した偏光粒子懸濁液とからなる調光層を有する調光フィルムに関する。
更に本発明は、上記調光材料を透明導電性基板の上に塗布し、紫外線を照射してシリコーン樹脂を硬化させて調光層を形成し、調光層上に透明導電性基板を密着せしめることを特徴とする調光フィルムの製造方法に関する。
本発明の調光材料を調光フィルムに用いることにより、従来のそれと比較して光学特性としてコントラストが高く、電界を印加した状態におけるヘーズが低く、また、電気特性として電界を印加した状態から印加していない状態へのスイッチ速度に優れる調光フィルムが得られるという格別顕著な効果を奏する。
したがって、本発明の調光材料は、調光フィルムの形成に最適である。
したがって、本発明の調光材料は、調光フィルムの形成に最適である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の調光材料は、置換基として重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂と光重合開始剤からなり、紫外線を照射することにより硬化するものである高分子媒体と、粒子が流動可能な状態で分散媒中に分散している偏光粒子懸濁液とを含有し、偏光粒子懸濁液中の分散媒は、高分子媒体およびその硬化物と相分離し、かつ偏光粒子懸濁液の液滴の平均粒子径が6〜10μmの範囲にあるものである。
本発明の調光材料は、置換基として重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂と光重合開始剤からなり、紫外線を照射することにより硬化するものである高分子媒体と、粒子が流動可能な状態で分散媒中に分散している偏光粒子懸濁液とを含有し、偏光粒子懸濁液中の分散媒は、高分子媒体およびその硬化物と相分離し、かつ偏光粒子懸濁液の液滴の平均粒子径が6〜10μmの範囲にあるものである。
本発明の調光材料を用いて、2枚の透明導電性基板間等に、高分子媒体を硬化させて形成した固体樹脂マトリックス中に偏光粒子懸濁液が分散したフィルム状の調光層を挟持することにより、本発明の調光フィルムが得られる。即ち、本発明の調光フィルムの調光層では、液状の偏光粒子懸濁液が、固体樹脂マトリックス中に微細な液滴の形態で分散され、前記懸濁液の液滴の平均粒子径は、前記したように6〜10μmの範囲にあるものである。
このような調光フィルムに電界を印加すると、固体樹脂マトリックス中に分散されている偏光粒子懸濁液の液滴中に浮遊分散し電気的双極子モーメントをもつ粒子が、電界に対し平行に配列することにより、液滴が透明な状態に転換され、視野角による散乱または透明性の低下のほとんどない状態で入射光を透過させる。このように調光層をフィルム化することによって、従来技術による調光硝子の問題点、即ち、2枚の透明導電性基板の間への液状の偏光粒子懸濁液の注入の困難性、製品の上下間の水圧差による下部の膨張現象、風圧などの外部環境による基板間隔の変化による局部的な色相変化、透明導電性基板の間の密封材の破壊による調光材料の漏洩が解決される。
また、液晶を用いないことから、紫外線照射による色相変化および可変能力の低下、大型製品特有の透明導電性基板の周辺部と中央部間に生ずる電圧降下に伴う応答時間差も解消される。
高分子媒体および分散媒(偏光粒子懸濁液中の分散媒をいう。)としては、高分子媒体およびその硬化物と分散媒とが、少なくともフィルム化したときに互いに相分離しうるものを用いる。互いに非相溶または部分相溶性の高分子媒体と分散媒とを組み合わせて用いることが好ましい。
本発明において用いられる高分子媒体は、(A)置換基として重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂、及び(B)光重合開始剤からなり、紫外線を照射することにより硬化するものである。具体的には、例えば、特公昭53−36515号公報、特公昭57−52371号公報、特公昭58−53656号公報、特公昭61−17863号公報等に記載の組成物が挙げられる。
これらのシリコーン樹脂は、分散媒と非相溶性かつ同等の屈折率を有し、さらに重合性エチレン性不飽和二重結合を有するため硬化性を有し、偏光粒子懸濁液をフィルム状に加工可能とするような機能を有する。
具体的には、例えば、両末端シラノールポリジメチルシロキサン、両末端シラノールポリジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、両末端シラノールポリジメチルジフェニルシロキサン等の両末端シラノールシロキサンポリマー、トリメチルエトキシシラン等のトリアルキルアルコキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン等の重合性エチレン性不飽和二重結合含有シラン化合物などを、無機錫系触媒である2−エチルヘキサン酸錫の存在下で、脱水縮合反応及び脱アルコール反応させて合成される。シリコーン樹脂の形態としては、無溶剤型が好ましく用いられる。
即ち、シリコーン樹脂の合成に溶剤を用いた場合には、合成反応後に溶剤を除去することが好ましい。これらシリコーン樹脂のサイズ排除クロマトグラフィー(以下、SECと略記する。)によって得られるポリスチレン換算の重量平均分子量は、10,000〜100,000であることが好ましく、20,000〜50,000であることがより好ましい。(3−アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン等の重合性エチレン性不飽和二重結合含有シラン化合物の使用量は、原料シロキサンおよびシラン化合物総量の2〜30質量%とすることが好ましく、5〜18質量%とすることがより好ましい。
紫外線に露光するとラジカル重合を活性化する光重合開始剤としては、J.Photochem. Sci. Technol, 2, 283(1977)に記載されているように、例えば、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤やα−ヒドロキシケトン系光重合開始剤があり、具体的には、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製 Irgacure 819)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製 Darocur 1173)、(1−ヒドロキシシクロヘキシル)フェニルケトン等が挙げられる。
また、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製 Darocur 1173)と、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製 Irgacure 819)との組み合わせのように前記光重合開始剤を2種以上併用して使用することもできる。
光重合開始剤の使用量は、前記シリコーン樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部であることが好ましく、0.2〜2質量部であることがより好ましい。
また、高分子媒体中には、ジブチル錫ジラウレート等の着色防止剤等を必要に応じて添加してもよい。
前記の組み合わせに用いられる、偏光粒子懸濁液中の分散媒としては、メルカプト脂肪酸エステルを有する(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーであることが好ましい。具体的には、偏光粒子懸濁液中で分散媒の役割を果たし、また、粒子に選択的に付着被覆し、高分子媒体との相分離の際に粒子が相分離された液滴相に移動するように作用し、電気導電性がなく、高分子媒体とは親和性がなく、調光フィルムとした際に高分子媒体から形成される固体樹脂マトリックスと屈折率が近似した液状共重合体を使用することが好ましい。さらに、(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーは、粒子の高分子型分散安定剤を部分的に溶解することができ、粒子を凝集させずに流動可能とする機能を有する。
例えば、メルカプト脂肪酸エステルを連鎖移動剤として重合時に添加した、メルカプト脂肪酸エステルおよび置換基としてフルオロ基、水酸基、アルキル基の3つすべてを有する(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー、あるいは前記3つの置換基のうちいずれか2つの置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーが好ましい。具体的には、アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル/アクリル酸ブチル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/オクチルメルカプトプロピオネート共重合体、アクリル酸3,5,5−トリメチルヘキシル/アクリル酸2−ヒドロキシプロピル/フマール酸/オクチルメルカプトプロピオネート共重合体、アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル/オクチルメルカプトプロピオネート共重合体、アクリル酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル/オクチルメルカプトプロピオネート共重合体、アクリル酸1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル/オクチルメルカプトプロピオネート共重合体、アクリル酸1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル/オクチルメルカプトプロピオネート共重合体、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル/オクチルメルカプトプロピオネート共重合体、メタクリル酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル/オクチルメルカプトプロピオネート共重合体、メタクリル酸1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル/オクチルメルカプトプロピオネート共重合体、メタクリル酸1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル/オクチルメルカプトプロピオネート共重合体、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸テトラデシル、メタクリル酸ヘキサデシルのいずれか/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/オクチルメルカプトプロピオネート共重合体等が挙げられる。
また、前記連鎖移動剤(分子量の調整)であるメルカプト脂肪酸エステルとしては、例えば、n−オクチルメルカプトプロピオネートや2−エチルヘキシルメルカプトプロピオネート等が挙げられる。その他の連鎖移動剤として、例えば、ブタンチオール、ヘキサンチオール、ドデカンチオール等のチオール類が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーは、SECで測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜10,000であることが好ましく、2,000〜5,000であることがより好ましい。
これらの(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーの原料となるフルオロ基含有モノマーの使用量は、原料であるモノマー総量の0〜12モル%であることが好ましく、0〜8モル%であることがより好ましい。フルオロ基含有モノマーの使用量が12モル%を超える場合には、屈折率が大きくなり、光透過率が低下する傾向にある。また、前記したオリゴマーの原料となる水酸基含有モノマーの使用量は、0.5〜22.0モル%であることが好ましく、1〜8モル%であることがより好ましい。水酸基含有モノマーの使用量が22.0モル%を超える場合には、屈折率が大きくなり、光透過性が低下する傾向にある。さらに、前記したオリゴマーの原料となるアルキル基含有モノマーの使用量は、0〜90モル%であることが好ましい。アルキル基含有モノマーの使用量が90モル%を超える場合には、屈折率が小さくなり、光透過性が低下する傾向にある。
前記重合時における重合開始剤として、例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジt−ブチルパーオキサイド等の重合開始剤を使用することもできる。
さらに、分散媒には、屈折率の調整、流動性やスイッチ速度の向上を目的として、例えば、フタル酸系、トリメリット酸系、アジピン酸系、スベリン酸系、ポリエステル系等の相溶性の可塑剤を使用することもできる。
本発明に使用される偏光粒子懸濁液は、分散媒中に後記するアスペクト比が1.1〜10.0である粒子が流動可能な状態に分散したものである。
調光材料に含まれる粒子としては、例えば、高分子媒体、または高分子媒体中の樹脂成分、即ち、前記の置換基として重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂と親和力がなく、また粒子の分散性を高めることができる高分子型分散安定剤の存在下で、粒子の前駆体と沃素と沃化物とを反応させて作ったポリ過沃化物の分子間化合物針状小結晶粒子が用いられる。
高分子型分散安定剤としては、例えば、ニトロセルロース、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、または、分子間化合物との親和性の高い部分(A)と溶媒との親和性の高い部分(B)からなるA−B型ブロックコポリマーが挙げられる。これらの高分子型分散安定剤は単独で使用しても併用してもよい。高分子型分散安定剤の量は、質量換算で、沃素と、沃化物と、粒子の前駆体との合計量に対して50〜200質量%とすることが好ましい。
粒子の前駆体としては、複素環中に窒素原子を含んでいる化合物(含窒素複素環式化合物)が好ましい。例えば、無水グリシン(2,5−ピペラジンジオン)、5,6−ジヒドロウラシル、ウラゾール、サクシンイミド、グリコールウリル(アセチレン尿素)、ヒダントイン、無水アラニン(3,6−ジメチル−2,5−ピペラジンジオン)、3−メトキシ−2−(1H)ピリドン、キナルジン酸、3,6−ジメチル−ピラジン−2,5−ジカルボン酸、ピラジン−2,3−ジカルボン酸、ピラジン−2,5−ジカルボン酸、ピラジン酸(2−カルボキシピラジン)、4−ヒドロキシキナルジン酸、4−メトキシキナルジン酸、ピリジン−2−カルボン酸、ピリジン−2,5−ジカルボン酸、ピコリン酸、2−ヒドロキシピリジン、バルビツル酸、8−ヒドロキシキノリン、シクロロイシン、および2,2’−ジピリジル等が挙げられる。なかでも、ピラジン−2,3−ジカルボン酸・2水和物、ピラジン−2,5−ジカルボン酸・2水和物、ピリジン−2,5−ジカルボン酸・1水和物が好ましい。
沃化物としては、例えば、沃化カルシウム、沃化マグネシウム、沃化ストロンチウム、沃化バリウム等のアルカリ土類金属沃化物が挙げられる。これらの沃化物は大気中で潮解するため、減圧下加熱乾燥により結晶水を除き、かつ、乾燥剤の入った密閉容器中で保存された、できるだけ低水分量のものを選択して用いることが好ましい。沃化物としては、粒子の前駆体と分子間化合物を形成しやすい点から、沃化カルシウムが好ましい。
沃素と沃化物との反応により得られる過沃化物と、粒子の前駆体との分子間化合物は、例えば、モル比で前者:後者=1:1〜3であり、前者:後者=1:2が好ましい。尚、沃素としては、元素状分子沃素が好ましい。
前記過沃化物は、モル数換算で沃化物1モル当たり、沃素1〜3モルとなるような仕込み比率で反応させて得ることができる。反応の終点は、沃素の消費量により決定することができる。一般的には、この反応は温度5〜90℃において、3分〜5時間である。
本発明における分子間化合物は、従来技術にある様に、沃素と、沃化物と、粒子の前駆体とを溶媒中で反応させることにより得られる。しかしながら、調光材料として適切な粒子径を有するような前記分子間化合物を高収率で製造する際には、原料の仕込み方法に留意する必要がある。
本発明においては、従来とは異なる方法、即ち、沃素と沃化物とを溶媒に均一に溶解させてから、この混合物と粒子の前駆体とを混合して反応を行う。
前記沃素と沃化物とを溶媒に均一に溶解させるためのより具体的な手段としては、例えば以下のような方法がある。(1)両者及び溶媒を混合し、加熱して溶解させる。(2)
両者及び溶媒の少なくとも一つを加熱してから、残りを混合し、加熱して溶解させる。(3)両者及び溶媒を混合し、超音波振動を与えて溶解させる。(4)両者及び溶媒を混合し、それら混合物同士を混合装置にて衝突混合により溶解させる。(5)沃化物を溶媒に溶解後、昇華させた沃素を微細ノズルからゆっくり放出するようにしてバブリングして溶解させる。
両者及び溶媒の少なくとも一つを加熱してから、残りを混合し、加熱して溶解させる。(3)両者及び溶媒を混合し、超音波振動を与えて溶解させる。(4)両者及び溶媒を混合し、それら混合物同士を混合装置にて衝突混合により溶解させる。(5)沃化物を溶媒に溶解後、昇華させた沃素を微細ノズルからゆっくり放出するようにしてバブリングして溶解させる。
前記具体的手段の中でも、特別な装置を必要とせず、しかも手間もより少なく、より短時間で沃素、沃化物を溶媒に充分に溶解させることができる点で、前記(2)の方法が好ましい。なかでも、溶媒及び沃化物を加熱溶解してから沃素を混合し、加熱溶解させることが特に好ましい。温度30〜80℃、なかでも、40〜60℃となるようにして沃化物、沃素を溶解することが、次工程の粒子の前駆体によるキレート化反応へ速やかに移行することができる点で特に好ましい。混合物の温度が一様に一定となるよう、攪拌を行うことが好ましい。この過沃化物生成反応に要する時間は、温度30〜80℃で5分〜3時間の範囲から選択することができ、温度40〜60℃の場合には15分〜2時間とすることが好ましい。
前記混合物を調製する際の溶媒は、沃素、沃化物、及び前記した高分子型分散安定剤をより溶解しやすく、かつ前記した粒子の前駆体及び最終生成物たる分子間化合物がより溶解しにくいものを選択して用いることが好ましい。この際の溶媒としては、有機溶剤を必須として用いることがより好ましい。溶媒の量は、質量換算で、沃素と沃化物と粒子の前駆体の合計量に対して10〜20倍量とすることが好ましい。
前記有機溶剤としては、公知慣用のものがいずれ使用できる。例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、酢酸ベンジル等の酢酸エステル系有機溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のモノアルコール系有機溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系有機溶剤等が挙げられる。
調光材料の偏光粒子として用いる分子間化合物を得る場合には、反応を円滑に進めたり、粒子径を制御するために、水を併用することが好ましい。水の量は、質量換算で、沃素と沃化物と粒子の前駆体の合計量に対して1〜20質量%とすることが好ましい。
また、水を併用する場合には、水と有機溶剤の親和性を高めるために、前記モノアルコール系有機溶剤を必須として用いることが好ましい。前記した高分子型分散安定剤がモノアルコール系有機溶剤に溶解しない場合には、他の有機溶剤を用いることが好ましい。しかしながら、この際のモノアルコール系有機溶剤の添加量は、質量換算で、沃素と沃化物と粒子の前駆体の合計量に対して1〜150質量%とすることが好ましい。
粒子の前駆体及び前記過沃化物と粒子の前駆体との反応によって生成する分子間化合物を溶解または沈降させることなく混合物中に安定に分散させるために、前記した高分子型分散安定剤を併用することが好ましい。
こうして得られたキレート化前の過沃化物からなる一次生成物と、粒子の前駆体とを混合して反応させることで、目的の分子間化合物を得ることができる。即ち、粒子の前駆体は、前記分子間化合物の配位子となるものである。このような粒子の前駆体としては、前記過沃化物と分子間化合物を形成しやすい点から、前記した複素環中に窒素原子を含んでいる化合物(含窒素複素環式化合物)が好ましい。
粒子の前駆体は、それの配位子としての配位座数にもよるが、一次生成物たる過沃化物1モル当たり、1〜3モルとなるように仕込むことが好ましい。
この際の反応は、温度30〜80℃で5分〜10時間の範囲から選択することができ、攪拌によりこの反応をより促進することができる。この際の反応溶媒として、粒子の前駆体が溶解しないものを選択して用いた場合には、反応混合物の経時サンプリングの顕微鏡観察により、粒子の前駆体が存在しないことを確認できた時点をこの反応の終点と判断することが可能となる。一般的には、この反応は温度が40〜60℃の場合には30分〜5時間である。
尚、この際の反応中または反応後には、必要ならば超音波振動を与えることもできる。この超音波振動により、反応をより促進して分子間化合物の収率をより高めたり、凝集したまたは凝集しかけている分子間化合物の粒子をできるだけ細かい粒子に解すことができる。
溶媒種とその使用量、高分子型分散安定剤種とその使用量等を適正化することで、分子間化合物のみが反応混合物に溶解しなくなるようにすることができる。このような適正化された条件で得られた反応混合物は、高純度で粒度分布の幅が非常に狭い分子間化合物の粒子の分散体である。しかしながら、必要に応じて未反応溶解物や微粒、未反応固形物や粗粒を除くことによって、純度をさらに向上し、かつ、粒度分布をさらに狭めることができる。未反応固形物や粗粒は、分散体の遠心分離により除去することができる。未反応溶解物や微粒は、分散体から必要な粒子のみ遠心沈降させることによって上澄みとして除去することができる。遠心沈降した粒子は、粒子を溶解せず、高分子型分散安定剤を溶解する溶媒に再分散させることによって分散体に戻すことができる。このような分子間化合物粒子の分散体から溶媒を乾燥除去することにより、乾燥状態の分子間化合物を得ることもできる。
前記したような好適な条件を結合することにより、平均粒子径が200〜500μm、アスペクト比が1.1〜10.0の分子間化合物粒子を高収率で得ることができる。
こうして得られた分子間化合物は、従来と同様に各種の用途に使用することができるが、本発明でもある調光材料の偏光粒子(以下、粒子と略記する。)として用いることが好ましい。
前記反応混合物は粒子の分散体であり、これをそのまま調光材料とすることができる。この調光材料から調光フィルムを得るには、例えば、前記反応混合物を、粒子が溶解せず、高分子型分散安定剤を溶解する溶媒で希釈して電気特性測定用のセルに注入する。前記セルとしては、例えば、35milの間隔で平行に配置された2枚の後記する透明導電性基板の端部をシールし、基板に電極を付けたものが使用できる。調光材料を注入されたセルは粒子の色による濃紺色を示すが、前記したように交流電圧を印加すると粒子が電場に平行に配列することにより、セルは透明となる。
適切な粒子径を有する分子間化合物は、例えば、その粒子としての光学特性値および電気特性値として、前記セルに周波数10kHz、350Vの交流電圧を印加したときのコントラストと減衰時間を評価の指標とすることができる。ここで、コントラストは、電圧印加前吸光度を電圧印加後吸光度で除したものである。減衰時間は、電圧印加終了後の吸光度が90%回復するまでに要した時間(ミリ秒)である。尚、本発明においては、コントラストが1.6〜1.9、減衰時間が5〜9ミリ秒の範囲に入るような分子間化合物が調光材料の粒子として好ましい。
調光材料としては、前記のように反応混合物をそのまま用いることもできるが、液状のままでは加工が困難であるために、フィルム状に加工可能な分散体とすることが好ましい。
このようにして得られる反応混合物(ポリ過沃化物)の分子間化合物としては、例えば、一般式CaIx(C6H4N2O4)y・ZH2O (x:3〜7、y:1〜2、Z:1〜3)で表されると推定される。
また、調光硝子用偏光粒子懸濁液に用いる粒子として、例えば、米国特許第2,041,138号明細書(E. H. Land)、米国特許第2,306,108号明細書(Landら)、米国特許第2,375,963号明細書(Thomas)、米国特許第4,270,841号明細書(R. L. Saxe)、および英国特許第433,455号明細書に記載された粒子を使用することもできる。これらの特許によって公知化されたポリ沃化物の結晶は、ピラジンカルボン酸、ピリジンカルボン酸の内の1つを選択して、沃素と反応させることにより、ポリ沃化物、ポリ塩化物、またはポリ臭化物等のポリハロゲン化物とすることによって作製される。これらのポリハロゲン化物は、ハロゲン原子が無機質又は有機質と反応した分子間化合物で、これらの詳しい製造方法は、例えば、サックスの米国特許第4,422,963号明細書に記載されている。
粒子の合成工程において、均一な大きさの粒子を形成させ、さらに特定の懸濁媒体内での粒子の分散性を向上させるために、ニトロセルロースのような高分子物質を使用することが好ましい。本発明においては、置換基として重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂を硬化性高分子媒体として用いることにより、調光フィルムを製造する際に粒子が相分離により形成された微細な液滴内へ容易に分散、浮遊し、その結果、優れた光可変能力(光可変度)を得ることができる。
前記粒子の他、例えば、炭素繊維等の無機繊維、カーボンナノチューブ、無金属フタロシアニンや金属フタロシアニン等のフタロシアニン化合物等を使用することもできる。金属フタロシアニン化合物において、中心金属としては、銅、ニッケル、鉄、コバルト、クロム、チタン、ベリリウム、モリブデン、タングステン、アルミニウム、クロム等が挙げられる。
本発明において、粒子のアスペクト比は透過型電子顕微鏡の測定値で、無作為に選んだ50個の同粒子の長径と短径の比の平均値として求めることができる。本発明における粒子のアスペクト比は1.1〜10.0であることが好ましく、なかでも2.0〜7.0であることがより好ましい。アスペクト比が1.1未満、または10.0を超える場合は、電界が印加された場合に偏光粒子懸濁液中での配向運動が低下する。また、50個全ての粒子のアスペクト比が前記範囲内にあることが好ましい。
本発明において、粒子の大きさは、長径で1μm以下であることが好ましく、0.1〜1μmであることがより好ましく、0.2〜0.5μmであることが最も好ましい。粒子の大きさが1μmを超える場合には、光散乱が生じたり、電界が印加された場合に偏光粒子懸濁液中での配向運動が低下するなど、透明性が低下する問題が発生することがある。
本発明に使用される偏光粒子懸濁液は、粒子1〜70質量%、分散媒30〜99質量%から構成されることが好ましく、粒子4〜50質量%、分散媒50〜96質量%から構成されることがより好ましい。尚、偏光粒子懸濁液には、前記シリコーン樹脂の光硬化を促進するための光開始剤及び/または紫外線吸収剤あるいは酸化防止剤、可塑剤を添加してもよい。
本発明の調光材料は、高分子媒体100質量部に対して、偏光粒子懸濁液を通常1〜100質量部、好ましくは20〜70質量部、より好ましくは40〜65質量部を含有する。
本発明の調光フィルムは、本発明の調光材料を用いて形成された調光フィルムであって、高分子媒体から形成された固体樹脂マトリックスと、固体樹脂マトリックス中に分散した偏光粒子懸濁液とからなる調光層を有するものである。調光層としては、通常、2枚の透明導電性基板に挟持されたものである。
本発明の調光フィルムとしては、例えば、本発明の調光材料を混合し、その混合液をバーコーター、アプリケーター、ドクターブレード、ロールコーター、ダイコーター、コンマコーター等の公知慣用の塗工手段を用いて、透明導電性基板等の基材に塗布することにより得られる。尚、塗布する際は、必要に応じて、適当な公知慣用の有機溶剤で希釈してもよい。有機溶剤を使用する場合には、基材上に塗布した後に乾燥を行う必要がある。有機溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘプタン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エタノール、メタノール、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル等を使用することができる。
液状の偏光粒子懸濁液が、固体高分子マトリックス中に微細な液滴形態で分散された調光フィルムを形成する方法としては、本発明の調光材料を公知慣用の攪拌機、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等で攪拌混合して、高分子媒体中に偏光粒子懸濁液を微細に分散させる方法、高分子媒体中のシリコーン樹脂成分の架橋による相分離方法、溶媒揮発による相分離方法、または温度による相分離方法等を利用することができる。
本発明においては、液晶ではなく、粒子が偏光粒子懸濁液内に分散されている液状の偏光粒子懸濁液を使用するため、液晶を利用したフィルム形態の調光硝子とは異なり、電界が印加されていない場合にも光が散乱せず、鮮明度に優れ、視野角に制限のない着色状態を示すことができる。そして、粒子の含有量、液滴の形態や膜厚を調節したり、または電界強度を調節することにより、光可変度を任意に調節できる。
本発明の調光フィルムの製造方法としては、まず、液状の偏光粒子懸濁液を、置換基として重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂(またはその溶液)、光重合開始剤を含む高分子媒体と均質に混合し、偏光粒子懸濁液がシリコーン樹脂、またはその溶液中に液滴の状態で分散した混合液とする。この混合液を透明導電性基板の上に一定の厚さで塗布し、必要に応じて、減圧下で溶剤を乾燥除去した後、高圧水銀灯等を用いて紫外線を照射して、シリコーン樹脂を硬化させる。その結果、硬化シリコーン樹脂から形成された固体樹脂マトリックス中に、液状の偏光粒子懸濁液が液滴状に分散されているフィルムが得られる。高分子媒体と液状の偏光粒子懸濁液との混合比率を種々変えることにより、フィルムの光透過率を調節することができる。このようにして形成されたフィルム状の調光層の上に他の透明導電性基板を密着せしめることにより、本発明の調光フィルムを好適に製造することができる。尚、2枚の透明導電性基板の両方の上に調光層を形成し、それを調光層同士が密着するようにして積層してもよい。ここで、調光層の厚みとしては、特に制限されないが、5〜1,000μmが好ましく、10〜200μmがより好ましい。
固体樹脂マトリックス中に分散されている偏光粒子懸濁液の液滴の大きさ(平均粒子径)は、光学顕微鏡(オリンパス(株)社製 生物顕微鏡 BX−60)を用いて、20倍対物レンズで視野画像をデジタルデータとしてコンピュータに取り込み、画像処理インテグレーションソフトウェア(MITANI CORPORATION製 Win Roof)を使用することにより算出することができる。さらに、その粒度分布も算出することができる。
偏光粒子懸濁液の液滴の平均粒子径は6〜10μmであることが好ましい。液滴の大きさは、偏光粒子懸濁液を構成している各成分の濃度、偏光粒子懸濁液および高分子媒体の粘度、偏光粒子懸濁液中の分散媒の高分子媒体に対する相溶性等により決定される。液滴の平均粒子径が上記範囲以外の場合には、ここで得られた調光材料を用いた調光フィルムの光学特性、および電気特性は劣ることになる。
また、平均粒子径が5μm未満の偏光粒子懸濁液の液滴の個数割合は、全液滴数の50%以下であることが好ましい。ここで、個数割合とは、前記光学顕微鏡で数えられた全液滴数に対する個数含有割合を意味する。前記個数割合において、全液滴数の50%を超える場合には、ここで得られた調光材料を用いた調光フィルムの光学特性、および電気特性は劣ることになる。
本発明の調光材料を構成している偏光粒子懸濁液の液滴の平均粒子径およびその個数割合は、液滴を前記した20倍対物レンズの光学顕微鏡で観察し、視野中の全液滴および全液滴中の粒子径が10μmを超える粒子の個数、粒子径が5μm〜10μmの粒子の個数、粒子径が5μm未満の粒子の個数を計測することで求めることができる。この操作を1種の調光材料について複数回のサンプリングを行い、前記特定範囲の粒子径の粒子数の測定を行い、それらの測定結果を平均する方法で算出する。
前記した調光フィルムの製造方法によれば、電場の形成により任意に光透過率が調節できる調光フィルムが得られる。この調光フィルムは、電場が形成されていない場合にも、光の散乱のない鮮明な着色状態を維持し、電場が形成されると透明な状態に転換される。この光可変能力は、20万回以上の可逆的な反復特性を示す。透明な状態においての光透過率の増進と、着色された状態における鮮明度の増進は、液状の偏光粒子懸濁液の屈折率と、置換基として重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂との屈折率を一致させることにより達成される。
使用電源は交流で、10〜220ボルト(実効値)、30Hz〜500kHzの周波数の範囲で作動することができる。電界に対する半減時間は、消色時(電界を印加した状態)には1〜50秒以内であり、着色時(電界を印加していない状態)には0.01〜5秒以内である。紫外線の耐久性は、750Wの紫外線等を利用した紫外線照射試験の結果、250時間が経過した後にも安定な光可変特性を示し、初期の光可変特性を十分に維持することがわかった。
本発明の調光材料を用いて調光フィルムを製造する際に使用される透明導電性基板としては、一般的には、透過率が80%以上の透明導電膜(ITO、SnO2、In2O3等の膜)がコーティングされている表面抵抗値が3〜600Ω/sqの透明基板(例えば、硝子またはポリエチレンテレフタレート等の高分子フィルム)を使用することができる。透明導電膜の厚みは、10〜5,000nmであることが好ましく、透明基板の厚みは特に制限はない。硝子の場合には、1〜15mmが好ましく、高分子フィルムの場合には10〜1000μmが好ましい。基板の間隔が狭く、異物質の混入等により発生する短絡現象を防止するために、透明導電層の上に200〜1,000オングストローム(Å)程度の厚さの透明絶縁層が形成されている基板を使用してもよい。また、反射型の調光窓の場合(例えば、自動車用の窓硝子/バックミラー等)は、反射体であるアルミニウム、金、または銀のような導電性金属の薄膜を電極として直接用いてもよい。
本発明の調光フィルムに電界が印加されていないときには、偏光粒子懸濁液内の粒子のブラウン運動のため、粒子の光吸収、2色性の効果による鮮明な着色状態を示す。しかし、電界が印加されると、液滴または液滴の中の粒子が電場に平行に配列し、固体樹脂マトリックスと屈折率の差が0.01以下である分散媒を使用した場合に透明な状態に転換し、視野角による散乱および透明性の低下は起こりにくくなる。尚、固体樹脂マトリックスと屈折率の差は、0.01以下が好ましく、0.001以下がより好ましい。また、フィルム状態であるため、前記したような従来の調光硝子、液晶を利用した従来の調光窓の各問題点、および紫外線露光による色調変化、可変能力の低下、大型製品特有の透明導電性基板の周辺部と中央部間に生ずる電圧降下に伴う応答時間差、さらに光学特性面の問題点が解消される。
本発明の調光フィルムは、光学特性としてのコントラスト、ヘーズ、および電気特性としての半減時間により評価することができる。コントラストは、BYK−Gardner社製 Haze−Gard Dual計を用いた、JIS K 7361−1に基づくD65光源における電界を印加していない状態と、印加した状態(100V、周波数400Hz)における全光線透過率(%)との差により算出することができ、コントラストの数値が高いほど光学特性は良好である。ヘーズは、JIS K 7136に基づく前記Haze−Gard Dual計を用いた、電界を印加した状態(100V、周波数400Hz)における広角度散乱の拡散透過率(%)で表し、ヘーズの数値が低いほど光学特性は良好である。半減時間は、まず、大塚電子(株)製の瞬間マルチ測光システム(MCPD−3000)を用いて、電界を印加していない状態、あるいは印加した状態(100V、周波数400Hz)での650nmにおける透過率(%)を測定し、電界を印加した状態から印加していない状態にした時の前記透過率変化が1/2になるのに要した時間(秒)で表し、半減時間が短いほどスイッチ速度は速く、電気特性は良好である。
本発明の調光フィルムを利用した製品は、室内外の仕切り(パーティッション)、建築物用の窓硝子/天窓、電子産業および映像機器に使用される各種平面表示素子、各種計器板と既存の液晶表示素子の代替品、光シャッター、各種室内外広告および案内標示板、航空機用の窓硝子、自動車用の窓硝子/バックミラー/サンルーフ、眼鏡、サングラス、サンバイザー等の用途に好適に使用することができる。
以下、製造例、実施例、比較例により本発明を詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。尚、偏光粒子懸濁液の液滴の粒度分布における割合(個数%)は光学顕微鏡で観察される個数基準である。
(製造例1) [偏光粒子の製造]
9.91%のニトロセルロース(旭化成工業(株)製 1/8SS:1/4SS=79:21)を溶解した265gの酢酸イソアミル溶液に沃化カルシウム5.30g、メタノール4.00g、純水所要量(1.61gからニトロセルロースの酢酸イソアミル溶液、沃化カルシウム、メタノール中の水分を差し引いた量)を加え、45℃に保持した湯浴に漬けて15分間撹拌することによって沃化カルシウムを完全に溶解した。次に沃素9.00gを加え、同温度で30分間撹拌することによって沃素を完全に溶解し、カルシウム過沃化物を得た。この溶液に、ピラジン−2,5−ジカルボン酸2水和物6.00gを投入し、同温度で攪拌を3時間継続して分子間化合物(調光材料の偏光粒子)を含む反応混合物を得た。この反応混合物を超音波分散機で2時間分散した。このとき、反応混合物の色相は、茶色から暗紺色に変化した。次に、反応混合物から一定な大きさの偏光粒子を取り出すために、遠心分離機を用いて粒子を分離した。反応混合物を750Gの速度で10分間遠心分離して沈殿物を取り除き、さらに7400Gで2時間遠心分離して浮遊物を取り除き、偏光粒子を回収した。この偏光粒子の長径は0.3μm、アスペクト比は5.0であった。
また、前記分散液を酢酸イソアミルで希釈して、35milの間隔で平行に配置された2枚の透明導電性基板の端部をシールし、基板に電極接続部を付けたセルに入れ、このセルに周波数10kHz、350Vの交流電圧を印加したときの、コントラストは1.8、減衰時間は5ミリ秒であった。
また、前記分散液を酢酸イソアミルで希釈して、35milの間隔で平行に配置された2枚の透明導電性基板の端部をシールし、基板に電極接続部を付けたセルに入れ、このセルに周波数10kHz、350Vの交流電圧を印加したときの、コントラストは1.8、減衰時間は5ミリ秒であった。
(製造例2) [(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーの製造]
ジムロート冷却管、温度センサ、窒素導入管、攪拌装置を取り付けた2lのセパラブルフラスコにアクリル酸ブチル(和光特級、和光純薬工業(株)製)157.1g、アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル(工業用、共栄社化学工業(株)製)32.2g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(和光1級、和光純薬工業(株)製)4.73g、n−オクチルメルカプトプロピオナート11.19g及びトルエン950mlを投入し、窒素をバブリングさせた後、加熱攪拌を開始した。102℃にて、パーブチルO 1.32gのトルエン溶液200mlを加えた。程なくして反応が開始し、内温が113℃にまで上昇した。引き続き窒素フロー下、3時間還流の後冷却し、120℃で4時間エバポレートした。アクリル酸ブチル/アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/n−オクチルメルカプトプロピオナート共重合体淡黄色油状物168.1gを得た。
(製造例3) [(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーの製造]
製造例2のn−オクチルメルカプトプロピオナート11.19gを、ヘキサンチオール6.06gに代えた以外は、製造例2と同様の操作を行い、アクリル酸ブチル/アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/ヘキサンチオール共重合体淡黄色油状物145.1gを得た。
(製造例4) [偏光粒子懸濁液の製造]
製造例2で得た分散媒であるアクリル酸ブチル/アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/n−オクチルメルカプトプロピオナート(モノマーモル比:12.2/1.8/3.6/0.5、重量平均分子量:2,000)50gに製造例1で得た偏光粒子45.5gを加え、攪拌機により30分間混合した。次いで、酢酸イソアミルをロータリーエバポレーターにて1330Paの真空で70℃、3時間減圧除去し、粒子沈降および凝集現象のない安定な液状の偏光粒子懸濁液を得た。
(製造例5) [偏光粒子懸濁液の製造]
製造例2で得た分散媒であるアクリル酸ブチル/アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/n−オクチルメルカプトプロピオナートを、製造例3のアクリル酸ブチル/アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/ヘキサンチオール(モノマーモル比:12.2/1.8/3.6/0.5、重量平均分子量:2,000)に代えた以外は、製造例4と同様の操作を行い、粒子沈降および凝集現象のない安定な液状の偏光粒子懸濁液を得た。
(製造例6) [紫外線硬化型シリコーン樹脂の製造]
攪拌装置、温度センサー、ディーンスタークトラップのついた1lの4口フラスコに未精製両末端シラノール基ジメチルジフェニルシロキサンコポリマー129g、3−アクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン10g、ヘプタン400mlを投入し、75分間加熱還流を行った。留出水は0.2mlであった。一旦90℃に冷却し、2−エチルヘキサン酸スズ(II)33mgを少量のヘプタンに溶解した溶液に加え、再び105分間加熱還流し脱水を行った。留出水は0.8mlであった。次いで、ディーンスタークトラップの冷却管上部より、メトキシトリメチルシラン60mlを注意深く加えた。2時間還流を継続後、冷却・部分的に脱溶剤を行い、無色透明油状の粗シリコーン樹脂158を得た。該粗シリコーン樹脂を280gのメタノールで4回洗浄し、脱溶剤を行うと、無色透明油状のシリコーン樹脂83gを得た。また、すべてのメタノール層をまとめて脱溶剤を行うと、淡黄色液体の低分子量不純物37gを得た。該シリコーン樹脂、低分子量不純物を各々東ソー(株)製HPLC(HLC−8020GPC、溶離液;THF、カラム;東ソー(株)製 TSKGel G5000HXL、G3000HXL、G2000HXL、G1000HXLを直列に接続、測定温度;40℃、サンプル濃度;0.1(w/v%)、屈折率検出器使用)を用いてサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定(標準ポリスチレン換算の分子量による、面積%により評価)を行った。その結果、精製後のシリコーン樹脂中の低分子量不純物は0.4%であった。洗浄により除去された低分子量不純物中のシリコーン樹脂成分は検出されなかった。
[調光材料、調光フィルムの製造]
製造例6で得た紫外線硬化型シリコーン樹脂10g、光重合開始剤としてのビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製 Irgacure 819)/2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製 Darocur 1173)=1/9の混合液0.2gを混合し、これに製造例4で得た偏光粒子懸濁液4.0gを添加し、1分間機械的に混合し、調光材料を得た。この調光材料をITO(インジウム錫の酸化物)の透明導電膜(厚み300Å)がコーティングされている表面電気抵抗値が100Ω/sqの硝子板からなる透明導電性基板の上に2milのドクターブレードで塗布し、その硝子板を脱気し、真空中で2枚目の前記ITO硝子板で挟んだ。真空から徐々に大気圧に戻した後、UVランプ(365nmで80mW/cm2)に30秒間さらして、偏光粒子懸濁液が球形の液滴として紫外線硬化したシリコーン樹脂内に分散形成されたフィルム状の調光層が挟まれた調光フィルムを得た。
調光フィルム中の偏光粒子懸濁液の液滴の大きさは、光学顕微鏡による測定で平均粒子径が6μm、平均粒子径が5μm未満の偏光粒子懸濁液の液滴の個数割合は、全液滴数の41%であった。電界を印加していない状態における全光線透過率は1.8%、電界を印加した状態における全光線透過率は58.2%であり、そのコントラストは56.4%であった。また、ヘーズは7.4%、650nmの波長領域で電界を印加していない状態における透過率は0.4%、印加した状態における透過率は55.6%であった。さらに、半減時間は1.5秒であった。
(比較例1) [調光材料、調光フィルムの製造]
製造例4で得た偏光粒子懸濁液を、製造例5で得た偏光粒子懸濁液に代えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、調光材料、調光フィルムを得た。調光フィルム中の偏光粒子懸濁液の液滴の大きさは、光学顕微鏡による測定で平均粒子径が3μm、平均粒子径が5μm未満の偏光粒子懸濁液の液滴の個数割合は、全液滴数の87%であった。電界を印加していない状態における全光線透過率は3.8%、電界を印加した状態における全光線透過率は48.2%であり、そのコントラストは44.2%であった。また、ヘーズは8.4%、650nmの波長領域での電界を印加していない状態における透過率は0.7%、印加した状態における透過率は41.3%であった。さらに、半減時間は2.5秒であった。
(試験例)
(調光フィルム中の偏光粒子懸濁液の液滴の平均粒子径、粒度分布の測定)
光学顕微鏡(オリンパス(株)社製 生物顕微鏡BX−60)を用いて、20倍対物レンズで視野画像をデジタルデータとしてコンピュータに取り込み、画像処理インテグレーションソフトウェア(MITANI CORPORATION製 Win Roof)を用いて平均粒子径、粒度分布の測定を行った。
光学顕微鏡(オリンパス(株)社製 生物顕微鏡BX−60)を用いて、20倍対物レンズで視野画像をデジタルデータとしてコンピュータに取り込み、画像処理インテグレーションソフトウェア(MITANI CORPORATION製 Win Roof)を用いて平均粒子径、粒度分布の測定を行った。
(調光フィルムの光学特性および電気特性の評価)
(全光線透過率の測定)
BYK−Gardner社製 Haze−Gard Dual計を用いて、JIS K 7361−1に基づいてD65光源における電界を印加していない状態と、印加した状態(100V、周波数400Hz)における全光線透過率(%)の測定を行った。
BYK−Gardner社製 Haze−Gard Dual計を用いて、JIS K 7361−1に基づいてD65光源における電界を印加していない状態と、印加した状態(100V、周波数400Hz)における全光線透過率(%)の測定を行った。
(コントラストの測定)
コントラストは、前記全光線透過率の測定結果より、電界を印加していない状態における全光線透過率と、電界を印加した状態における全光線透過率との差(%)により算出し、この数値が高いほど光学特性は良好である。
コントラストは、前記全光線透過率の測定結果より、電界を印加していない状態における全光線透過率と、電界を印加した状態における全光線透過率との差(%)により算出し、この数値が高いほど光学特性は良好である。
(ヘーズ)
本発明におけるヘーズは、JIS K 7136に基づいてBYK−Gardner社製 Haze−Gard Dual計を用いて、電界を印加した状態(100V、周波数400Hz)における広角度散乱の拡散透過率(%)を意味し、この数値が低いほど光学特性は良好である。
本発明におけるヘーズは、JIS K 7136に基づいてBYK−Gardner社製 Haze−Gard Dual計を用いて、電界を印加した状態(100V、周波数400Hz)における広角度散乱の拡散透過率(%)を意味し、この数値が低いほど光学特性は良好である。
(650nmの波長領域での透過率の測定)
大塚電子(株)製の瞬間マルチ測光システム(MCPD−3000)を用いて、電界を印加していない状態、あるいは印加した状態(100V、周波数400Hz)での650nmにおける透過率(%)の測定を行った。
大塚電子(株)製の瞬間マルチ測光システム(MCPD−3000)を用いて、電界を印加していない状態、あるいは印加した状態(100V、周波数400Hz)での650nmにおける透過率(%)の測定を行った。
(半減時間)
電界を印加した状態から印加していない状態にした時の上記透過率変化が1/2になるのに要した時間(秒)であり、半減時間が短い方ほどスイッチ速度は速く、電気特性は良好である。
電界を印加した状態から印加していない状態にした時の上記透過率変化が1/2になるのに要した時間(秒)であり、半減時間が短い方ほどスイッチ速度は速く、電気特性は良好である。
(偏光粒子の光学特性および電気特性の評価)
電気特性は、分子間化合物を含む混合物の一部を超音波分散機で2時間分散し、この分散液を酢酸イソアミルで希釈して、35milの間隔で平行に配置された2枚の透明導電性基板の端部をシールし、基板に電極接続部を付けた専用のセルに入れ、このセルに周波数10kHz、350Vの交流電圧を印加したときの、コントラストおよび減衰時間で評価した。尚、コントラストがより高く、減衰時間がより短い粒子が、光学特性および電気特性に優れ、調光材料として適している。
電気特性は、分子間化合物を含む混合物の一部を超音波分散機で2時間分散し、この分散液を酢酸イソアミルで希釈して、35milの間隔で平行に配置された2枚の透明導電性基板の端部をシールし、基板に電極接続部を付けた専用のセルに入れ、このセルに周波数10kHz、350Vの交流電圧を印加したときの、コントラストおよび減衰時間で評価した。尚、コントラストがより高く、減衰時間がより短い粒子が、光学特性および電気特性に優れ、調光材料として適している。
(コントラストの測定)
コントラストは、電界を印加していない状態における吸光度を、電界を印加した状態における吸光度で除したもの(%)であり、コントラストの数値が高いほど光学特性は良好である。
コントラストは、電界を印加していない状態における吸光度を、電界を印加した状態における吸光度で除したもの(%)であり、コントラストの数値が高いほど光学特性は良好である。
(減衰時間)
電界を印加した状態にした後の吸光度が90%まで回復するのに要した時間(ミリ秒)であり、減衰時間が短いほどスイッチ速度は速く、電気特性は良好である。
電界を印加した状態にした後の吸光度が90%まで回復するのに要した時間(ミリ秒)であり、減衰時間が短いほどスイッチ速度は速く、電気特性は良好である。
上記の実施例1、および比較例1の調光フィルムのコントラスト、ヘーズ、半減時間に関する測定結果を表1に示す。
表1
表1の結果から明らかなように、偏光粒子懸濁液の液滴の平均粒子径が6〜10μmと大きい実施例1は、前記平均粒子径が小さい比較例1に比べて、調光材料としてこれを用いた調光フィルムは、光学特性として高コントラスト、低ヘーズ、さらに、電気特性としてスイッチ速度に優れることが判った。
Claims (6)
- 置換基として重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂と光重合開始剤からなり、紫外線を照射して硬化する高分子媒体と、粒子が流動可能な状態で分散媒中に分散している偏光粒子懸濁液とを含有し、偏光粒子懸濁液中の分散媒が、高分子媒体およびその硬化物と相分離しうるものであり、かつ偏光粒子懸濁液の液滴の平均粒子径が6〜10μmであることを特徴とする調光材料。
- 平均粒子径が5μm未満の偏光粒子懸濁液の液滴の個数割合が、全液滴数の50%以下である請求項1記載の調光材料。
- 偏光粒子懸濁液中の分散媒が、メルカプト脂肪酸エステルを有する(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーである請求項1または2記載の調光材料。
- 請求項1、2または3記載の調光材料を用いて形成された調光フィルムであって、高分子媒体から形成された固体樹脂マトリックスと、固体樹脂マトリックス中に分散した偏光粒子懸濁液とからなる調光層を有する調光フィルム。
- 調光層が、2枚の透明導電性基板間に挟持されてなる請求項4記載の調光フィルム。
- 請求項1記載の調光材料を透明導電性基板の上に塗布し、紫外線を照射してシリコーン樹脂を硬化させて調光層を形成し、調光層上に透明導電性基板を密着せしめることを特徴とする調光フィルムの製造方法。
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- 2003-09-30 JP JP2003340346A patent/JP2005105131A/ja active Pending
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