JP2004162060A - シリコーン樹脂の精製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 シリコーン樹脂が本来持っている電気的、光学的特性を損なうことなく、粗製シリコーン樹脂に含まれる低分子量不純物を選択的かつ十分に除去できる重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂の精製方法を提供する。
【解決手段】 炭化水素系溶媒に相溶する有機溶媒を用いずに、重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂を含む粗製シリコーン樹脂を前記炭化水素系溶媒に溶解させ、次いでそこにオクタノール/水分配係数(LogPow)が−0.5〜−1.2の有機溶媒を加えて攪拌静置後、形成された二つの液層のうち、炭化水素系溶媒層を分離、脱溶媒することを特徴とする、重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂の精製方法。
【選択図】 なし。

Description

本発明は、重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂の精製方法に関する。
従来のシリコーン樹脂の精製方法としては、例えば、不純物を多く含有するシリコーン樹脂を、良溶媒としてエーテル系の溶媒であるテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等に溶解させて溶液とした後、貧溶媒としてアルコール系の溶媒であるメタノール、エタノール等を前記溶液に徐々に滴下してシリコーン樹脂を再沈殿させて、形成された上下二つの液層のうち、シリコーン樹脂を多く含有する良溶媒層(下層)を分離、脱溶媒することにより、不純物が除去されたシリコーン樹脂を得る方法(溶解再沈法と称す。)が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、調光材料用シリコーン樹脂の精製方法としては、前記した溶解再沈法の原理を利用し、まず低分子量不純物を含んだ粗製シリコーン樹脂にヘプタンとエタノールを加えて均一な溶液とした後、メタノールを加えて攪拌静置後、油状のシリコーン樹脂を沈殿させて、形成された上下二つの液層のうち、シリコーン樹脂を多く含有する下層(ヘプタンとエタノールを含有する)を分離、脱溶媒することにより、低分子量不純物が除去された重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂を得る方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、上記の精製方法は未反応原料とシリコーン樹脂との混合物からのシリコーン樹脂の精製には適しているものの、シリコーン樹脂中の低分子量不純物を十分に除去できないという欠点があった。即ち、特許文献2の方法によれば、ヘプタンとエタノールとが相溶しているうえ、メタノールとエタノールとも相溶するため、形成される上下二つの液層界面が不明瞭となり、しかも必要とされる高分子領域のシリコーン樹脂が確実に沈殿を起こさずに浮遊する。仮に下層のみを選択できてもそこには低分子領域のシリコーン樹脂がより多く含有しており、下層を濾過してもその全体が濾紙を通過するため、高分子領域のみを選択的に得ることができなかった。
特開平6−56998号公報(第7−8頁)。 米国特許第6301040B1号明細書(第5−7欄)。
本発明が解決しようとする課題は、シリコーン樹脂が本来持っている電気的、光学的特性を損なうことなく、粗製シリコーン樹脂に含まれる低分子量不純物を選択的かつ十分に除去できる重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂の精製方法を提供することにある。
本発明者らは、前記実状に鑑みて鋭意検討した結果、重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂を沈殿させて、粗製シリコーン樹脂中の低分子量不純物を除去する方法において、従来の炭化水素系溶媒に相溶する有機溶媒を用いずにオクタノール/水分配係数(LogPow)が−0.5〜−1.2の有機溶媒を加えることにより、前記課題を解決出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、炭化水素系溶媒に相溶する有機溶媒を用いずに、重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂を含む粗製シリコーン樹脂を前記炭化水素系溶媒に溶解させ、次いでそこにオクタノール/水分配係数(LogPow)が−0.5〜−1.2の有機溶媒を加えて攪拌静置後、形成された二つの液層のうち、炭化水素系溶媒層を分離、脱溶媒することを特徴とする、重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂の精製方法に関する。
本発明の精製方法によれば、炭化水素系溶媒に相溶する有機溶媒を用いずに、重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂を含む粗製シリコーン樹脂を前記炭化水素系溶媒に溶解させ、次いでそこにオクタノール/水分配係数(LogPow)が−0.5〜−1.2の有機溶媒を加えて攪拌静置後、形成された二つの液層のうち、前記シリコーン樹脂を多く含有する炭化水素系溶媒層を分離、脱溶媒することにより、従来の溶解再沈法の原理に基づく重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂の精製方法では達成できなかった、シリコーン樹脂そのものの歩留まりを低下させることなく、低分子量不純物を選択的かつ十分に除去出来るという格別顕著な効果を奏する。
また、本発明の精製方法により得られた重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂は、優れた電気的特性、光学的特性を有するので、例えば、調光材料用として好適に使用することが出来るという格別顕著な効果を奏する。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明における精製後のシリコーン樹脂としては、例えば、直鎖状、分岐状あるいは三次元的網状構造を有するオルガノポリシロキサンが挙げられる。この様なシリコーン樹脂としては、具体的には、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、ジメチルジフェニルポリシロキサン、重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有する前記各シリコーン樹脂等が挙げられる。前記シリコーン樹脂は、分子内有機残基とケイ素とのモル比によって性質が変化し、モル比が大きいほど柔軟となり弾性に富む。また、モル比が同じもの同士の対比では分子内有機残基の炭素原子数が多いほど柔軟なシリコーン樹脂となる。分子内有機残基がメチル基、或いはメチル基以外のアルキル基および/またはアリール基で置換したものが耐熱性、耐湿性が良好であり、電気的性能、光学的性能に優れる。例えば、調光材料用においては、重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂を使用することが好ましい。ここで、調光材料とは、後記する偏光粒子、液状アクリル樹脂である分散樹脂、重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂(媒体樹脂)、光重合開始剤から構成され、エマルション化した状態(乳濁液)のものである。
本発明で使用できる精製後の重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂の分子量は、例えば、3,000〜200,000の範囲のものである。
本発明において重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂としては、3−アクリロキシプロピル基の様な光重合開始剤の存在下で紫外線を照射すると硬化する性質を有するシリコーン樹脂が挙げられる。この様なシリコーン樹脂は、例えば、後記する調光材料においては媒体樹脂となる。この用途に好適なシリコーン樹脂は、(1)メチル基、エチル基等のアルキル基、(2)フェニル基、アルキルフェニル基等のアリール基及び(3)アクリロキシプロピル基等の重合可能な基、を各々分子内有機残基として有する直鎖状ポリシロキサンが挙げられる。
調光材料に好適な前記シリコーン樹脂の分子量は、後記するサイズ排除クロマトグラフィー(以下、SECと略記する。)によってピークトップ分子量がその数平均分子量で5,000〜100,000の範囲のものであり、硬化する前は室温下で流動性を有し、さらに後記する分散樹脂とは混じり合わない性質を有する。シリコーン樹脂の屈折率は分子内有機残基であるアルキル基とアリール基の比率で調節可能であり、アルキル基の比率が大きくなるほど屈折率は低くなる。
また、前記シリコーン樹脂を調光材料用として用いる場合には、調光材料を用いて製造される調光パネルが電界を印加した時に透明に見える様にするため、分散樹脂と前記シリコーン樹脂との屈折率の差が0.01以内が好ましく、なかでも0.001以内となる様に各々を選択することがより好ましい。
本発明において重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂を含む粗製シリコーン樹脂としては、前記したオルガノポリシロキサンが精製の対象となるが、その様なものとしては従来公知のシリコーン樹脂の製造方法により製造した精製前のシリコーン樹脂が挙げられる。尚、本発明における重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂を含む粗製シリコーン樹脂としては、後記する炭化水素系溶媒溶液とするのが好ましい。
重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂の製造方法としては、例えば、次の様な方法がある。(1)原料である直鎖状の両末端シラノール基ジメチルジフェニルシロキサンコポリマー、両末端シラノール基ジメチルポリシロキサンの存在または不存在、ならびにエチレン性不飽和二重結合を分子内に有するジアルキルジメトキシシラン類を重合触媒存在下、炭化水素系溶媒中で共沸により脱水縮合して高分子量化し、所定の重合度に到達した後、末端封止剤を添加し末端を封止する方法。
(2−1)原料であるジアルコキシジアルキルシラン類、エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するジアルキルジメトキシシラン類、ならびにジアリールシランジオールから、プレポリマー化触媒存在下で一旦プレポリマーを製造してから、(1)と同様の操作を行う方法。(2−2)原料であるジアルコキシジアルキルシラン類、エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するジアルキルジメトキシシラン類から、プレポリマー化触媒存在下で一旦プレポリマーを製造してから、直鎖状の両末端シラノール基ジメチルジフェニルシロキサンコポリマーを加えてから、(1)と同様の操作を行う方法がある。尚、反応の進行度は脱水量、溶液粘度、SEC或いは近赤外によりモニターすることが可能である。
前記重合触媒としては、2−エチルヘキサン酸スズ(II)、ジブチルスズ(IV)ジラウレート等のスズ化合物、チタン(IV)テトラブトキシド等のチタン化合物等公知慣用の触媒が挙げられ、何れを用いてもよい。
前記末端封止剤としては、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン等公知慣用の末端封止剤が挙げられ、何れを用いてもよい。また、末端封止反応時の圧力は、常圧、加圧の何れでもよい。なかでも、溶媒、末端封止剤を還流させる必要がなく、反応温度を保つために外部から加える熱量が少なくて済む点で加圧の方が好ましい。
本発明において重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂を製造する際、仕込み総原料の濃度は25〜55質量%の範囲にあることが好ましい。上記範囲より濃度が低い場合、反応あたりの得量が少なくなって生産性が低下する可能性がある。また、上記範囲より濃度が高い場合、反応中にゲル状物を生じる可能性がある。
例えば、前記した様な方法で重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂を製造した場合、重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂を含む粗製シリコーン樹脂中の低分子量不純物が含まれ、その中には低分子量のシリコーン樹脂も含まれる。前記粗製シリコーン樹脂中の低分子量不純物としては、具体的には、原料の両末端シラノール基ジメチルジフェニルシロキサンコポリマーにもともと含まれていた残留モノマー(環状シロキサンモノマー)、未反応原料、ジアルキルジメトキシシラン類の低縮合物、末端封止剤同士で縮合したヘキサメチルジシロキサン等が挙げられる。また、低分子量のシリコーン樹脂としては、本発明の精製された重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂と分子の構成比は同一であり、その分子量は後記するSECによってピークトップ分子量がその数平均分子量で2,000以下のシリコーン樹脂オリゴマーである。これらを例えば、調光材料用に使用した場合には、電気的特性、光学的特性の性能低下を招く可能性があり、なかでも前記低分子量のシリコーン樹脂に起因するところが大きく、これを可能な限り除去する必要がある。
本発明においては、炭化水素系溶媒に相溶する有機溶媒を用いずに、重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂を含む粗製シリコーン樹脂を前記炭化水素系溶媒に溶解させ、次いでそこにオクタノール/水分配係数(LogPow)が−0.5〜−1.2の有機溶媒を加えて攪拌静置後、形成された上下二つの液層のうち、炭化水素系溶媒層(上層)を分離、脱溶媒することにより、シリコーン樹脂が本来持っている電気的、光学的特性を損なうことなく、粗製シリコーン樹脂に含まれる低分子量不純物が十分に除去された重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂を得ることが出来る。
本発明における重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂を含む粗製シリコーン樹脂は、炭化水素系溶媒溶液として使用することができる。炭化水素系溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の直鎖アルカン、2,2,4−トリメチルペンタン、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン等の分岐アルカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の環状アルカン、ジイソブチレン等のアルケンが挙げられる。炭化水素系溶媒としては、後記する特定有機溶媒と相溶しないものを選択して用いることが好ましい。なかでも、引火点が低すぎず、比重が高すぎず、沸点が高すぎない点でヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタンがより好ましい。
本発明において重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂を含む粗製シリコーン樹脂は、親水性をパラメーターとするオクタノール/水分配係数(LogPow)が−0.5〜−1.2の有機溶媒を加えて攪拌静置する。尚、各種有機溶媒のオクタノール/水分配係数(LogPow)は、C.Hansch,A.Leo, D.Hoekman著,「Exploring QSAR」,American Chemical Society(米国),1995 ISBN 0−8412−2992−9に記載されている。本発明の重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂の精製方法においては、この分配係数値を使用する。
前記オクタノール/水分配係数(LogPow)が−0.5〜−1.2の有機溶媒(以下、特定有機溶媒と略記する。)としては、例えば、メタノール(−0.76)、ジメチルホルムアミド(−1.01)等が挙げられる。なかでも、重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂が本来持っている電気的特性、光学的特性を損なうことなく、重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂を含む粗製シリコーン樹脂に含まれる低分子量不純物(低分子量のシリコーン樹脂を含む)の選択抽出能力が高く、その低分子量不純物を選択的かつ十分な除去が容易な点でメタノールを使用することが好ましい。
このメタノールは、精製された重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂の溶解度が極端に低いので、この精製により、本来必要とされるシリコーン樹脂がメタノールに溶解することなく、さらに調光パネル用としてのシリコーン樹脂の歩留まりをより高めることが出来る。尚、この特定有機溶媒には、予めヘプタン等の炭化水素系溶媒を飽和させておくことが好ましい。この場合、洗浄時に上層に分配された炭化水素系溶媒層の容量が減少しないため、繰り返し洗浄する度に炭化水素系溶媒を注ぎ足す必要がないので効果が高い。
前記した様に、重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂を含む粗製シリコーン樹脂を前記炭化水素系溶媒に溶解させ、次いでそこに特定有機溶媒を加えて攪拌静置することにより、重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂の炭化水素系溶媒溶液(上層)と、低分子量不純物の特定有機溶媒溶液(下層)とに効率よく完全に二層分離することが可能となる。これは、低分子量不純物は特定有機溶媒層に移行するが、シリコーン樹脂成分は特定有機溶媒層に移行できない性質を利用している。尚、特定有機溶媒とそれ以外の有機溶媒で洗浄するよりも、特定有機溶媒のみで洗浄する方が、それ以外の有機溶媒が洗浄効果を損なわない質量換算で10%以下の範囲においては有機溶媒の回収効率が高い点でより好ましい。尚、上記精製方法においては、従来技術の溶解再沈法とは異なり、例えば、エタノールの様な炭化水素系溶媒に相溶する有機溶媒を用いずに行う。エタノールを用いることにより、油状のシリコーン樹脂が沈殿し、形成された上下二つの液層(完全に二層分離せず)のうち、シリコーン樹脂を多く含有する下層(ヘプタンとエタノールとメタノールを含有する)を分離、脱溶媒することにより、重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂が得られるが、該シリコーン樹脂は低分子量不純物が十分に除去できず、電気的特性、光学的特性に劣り、例えば、調光材料用として好適に使用することは難しい。
洗浄1回当たりの特定有機溶媒の使用量は、重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂を含む粗製シリコーン樹脂に対して質量換算で0.5〜5倍量が好ましく、なかでも1〜3倍量がより好ましい。前記溶媒の使用量が0.5倍量未満の場合には、不純物イオンを除去しにくく、また、5倍量を超える場合には前記溶媒が無駄となる。
特定有機溶媒の純度は、99.0%以上のものが好ましく、なかでも99.8%以上のものがより好ましい。
洗浄回数は、1〜20回が好ましく、なかでも3〜12回がより好ましい。
精製後の重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂中の低分子量不純物は、質量換算で5%以下となる様にすることが好ましい。前記シリコーン樹脂中の低分子量不純物の含有量が5%以下の場合、該シリコーン樹脂を例えば、調光材料として使用する際に前記シリコーン樹脂中の低分子量不純物が調光パネルの機能発現部の1つである分散樹脂層に徐々に移行して、経時的な変色を示す可能性も極めて低く出来るので好ましい。ここで、前記低分子量不純物の中でも低分子量のシリコーン樹脂である場合にはその効果が顕著である。尚、調光パネルの機能発現部は、前記した様に偏光粒子、液状アクリル樹脂である分散樹脂、置換基として重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂(媒体樹脂)、光重合開始剤から構成され、エマルション化した状態(乳濁液)のものである。
特定有機溶媒を加えて形成された上下二つの液層のうち、下層にある特定有機溶媒層を分離、脱溶媒することにより除去された低分子量不純物中のシリコーン樹脂成分は質量換算で20%以下であることが好ましい。
前記した精製後の重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂中の低分子量不純物、前記特定有機溶媒層を分離、脱溶媒することにより除去された低分子量不純物中の重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂成分は、それぞれ東ソー(株)製HPLC(HLC−8020GPC、溶離液;テトラヒドロフラン(THF)、カラム;東ソー(株)製 TSKGel G5000HXL、G3000HXL、G2000HXL、G1000HXLの4本をこの順序に直列に接続して、測定温度;40℃、サンプル濃度;0.1(w/v%)、流量;0.8〜1ml/分、屈折率検出器)を用いてSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)により測定(標準ポリスチレン換算の数平均分子量による、面積%により評価)を行い、算出することが出来る。
本発明の精製方法により得られた重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂は、シリコーン樹脂が本来持っている電気的特性、光学的特性を損なうことなく、例えば、該シリコーン樹脂を調光材料に使用して製造された調光パネルとして十分に使用可能なレベルまで低分子量不純物、なかでも低分子量のシリコーン樹脂を選択的かつ十分に除去することが出来、調光材料以外の用途にも十分に展開することが可能である。
本発明の精製方法により得られた重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂は、より具体的には、室内外の仕切り(パーティション)、建築物用の窓硝子/天窓、電子産業及び映像機器に使用される各種平面表示素子、各種計器板と既存の液晶表示素子の代替品、光シャッター、各種室内外広告及び案内表示板、航空機用の窓硝子、自動車用の窓硝子/バックミラー/サンルーフ、眼鏡、サングラス、サンバイザー等の調光パネル(フィルム)として好適に用いられる調光材料として使用することが出来る。
偏光粒子懸濁液(以下、懸濁液と略記する。)を含む調光材料は、狭い間隔を有する2枚の透明導電性基板の間に、液体状態の懸濁液を注入した構造になっている。2枚の透明導電性基板の間に注入されている液状の懸濁液は、電界を印加していない状態では懸濁液中に分散されている偏光粒子のブラウン運動により、入射光の大部分が偏光粒子により反射、散乱又は吸収され、ごく一部分だけが透過する(着色状態)。一方、前記構造の調光材料を用いて製造した調光パネルに電界を印加すると、透明導電性基板を通じて懸濁液に電場が形成され、偏光粒子が分極を起こし、電場につれて平行に配列され、粒子と粒子の間、或は粒子を通じて光が透過し、最終的に調光パネルは透明になる。即ち、懸濁液に分散されている偏光粒子の形状、性質、濃度及び照射される光エネルギーの量により、透過、反射、散乱又は吸収の程度が決められる。尚、上記懸濁液は、偏光粒子をその粒子が流動可能となる様に分散媒中に分散したものである。
偏光粒子としては、アルカリ土類金属過沃化物と含窒素複素環式化合物(粒子の前駆体)との分子間化合物(ポリ過沃化物の針状小結晶粒子)が挙げられ、例えば、沃素と沃化カルシウムからなる過沃化物とピラジン−ジカルボン酸とから構成された分子間化合物があり、一般式 CaIx(C)y・ZHO(x:3〜7、y:1〜2、Z:1〜3)で表される。この様な分子間化合物は、沃素と、アルカリ土類金属沃化物と、含窒素複素環式化合物とを溶媒中で反応させることにより得られる。
分散樹脂としては、調光材料において粒子を分散させた液滴を形成する樹脂であり、例えば、アルキル(メタ)アクリレートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを重合させてなる組成物等を使用することができる。前記重合時における重合開始剤として、例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジt−ブチルパーオキサイド等の重合開始剤を使用することもできる。また、分子量の調整として、例えば、n−オクチルメルカプトプロピオネートや2−エチルヘキシルメルカプトプロピオネート等の連鎖移動剤を使用することもできる。
さらに、分散樹脂には、屈折率の調整、流動性やスイッチング特性を向上させる目的で、例えば、フタル酸系、トリメリット酸系、アジピン酸系、スベリン酸系、ポリエステル系等の相溶性の可塑剤を使用することもできる。
紫外線に露光するとラジカル重合を活性化する光重合開始剤としては、例えば、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤やα−ヒドロキシケトン系光重合開始剤があり、具体的には、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製 Irgacure 819)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製 Darocur 1173)、(1−ヒドロキシシクロヘキシル)フェニルケトン等が挙げられる。
前記偏光粒子、分散樹脂、光重合開始剤、本発明の精製方法により得られた重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂(媒体樹脂)を機能発現部とする調光パネルは、前記した様に電界が印加されていない場合には着色状態を維持し、電界が印加されると透明な状態に転換される。この光可変特性は、例えば、20万回以上の可逆的な反復特性を示すことが可能となる。該特性は、透明な状態においての光透過率の増進と、着色された状態における鮮明度の増進は、液状の偏光粒子懸濁液の屈折率と、本発明の重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂との屈折率を一致させることにより達成される。さらに紫外線の耐久性に関しても、紫外線照射試験の結果から、例えば、250時間経過した後にも安定な光可変特性を示し、初期の光可変特性を十分に維持することがわかった。
前記調光パネルは、光学的特性としてのコントラスト、ヘーズ、および電気的特性としての半減時間に優れたものである。
ここでコントラストは、BYK−Gardner社製 Haze−Gard Dual計を用いた、JIS K 7361−1に基づくD65光源における電界を印加していない状態と、印加した状態(100V、周波数400Hz)における全光線透過率(%)との差により算出することができ、コントラストの数値が高いほど光学的特性は良好である。
ヘーズは、JIS K 7136に基づく前記Haze−Gard Dual計を用いた、電界を印加した状態(100V、周波数400Hz)における広角度散乱の拡散透過率(%)で表し、ヘーズの数値が低いほど光学的特性は良好である。
半減時間は、まず、大塚電子(株)製の瞬間マルチ測光システム(MCPD−3000)を用いて、電界を印加していない状態、あるいは印加した状態(100V、周波数400Hz)での650nmにおける透過率(%)を測定し、電界を印加した状態から印加していない状態にした時の前記透過率変化が1/2になるのに要した時間(秒)で表し、半減時間が短いほどスイッチ速度は速く、電気的特性は良好である。
以下、製造例、実施例、比較例により本発明を詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(製造例1)[原料ならびに原料の予備精製]
以下の実施例で使用している未精製両末端シラノール基ジメチルジフェニルシロキサンコポリマーは、United Chemical Technologies, Inc.社製「ジメチルジフェニルシロキサンコポリマー、末端シラノール(商品名:PS084)」を使用した。該未精製コポリマーには質量換算で約25〜30%の低分子量不純物が含まれる。低分子量不純物を予め除去し、精製する方法(予備精製)は、該未精製コポリマーを薄膜蒸留装置を使用してまず10,000Paで、続いて0.2Paで脱揮を行い、低分子量不純物を揮発させて除去を行った。
(製造例2)[プレポリマー法による粗シリコーン樹脂の合成(1)]
攪拌装置及び下部に抜き出しコックのついた5lの2口フラスコにジメトキシジメチルシラン1228g、ジフェニルシランジオール352g、3−アクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン96g、0.1質量%水酸化カリウム水溶液480gを仕込み、室温下で5時間攪拌を行った。10質量%酢酸水溶液10mlとヘプタン1500mlを加えた後、5分間攪拌を行ってから静置を行った。この時点で液は二層に分離した。下部コック部より下層を抜き出した後、フラスコ内に残ったヘプタン層を500mlの水で3回洗浄を行った。得られたヘプタン溶液を、攪拌装置、温度センサー、ディーンスタークトラップのついた3lの4口フラスコに移し、攪拌下で40分間加熱還流し脱水を行った。留出水は9.7mlであった。冷却後、2−エチルヘキサン酸スズ(II)0.48gを少量のヘプタンに溶解した溶液に加え、再び2時間加熱還流し脱水を行った。留出水は30分毎に23.6ml、9.6ml、4.6ml、2.2mlであった。次いで、ディーンスタークトラップの冷却管上部より、メトキシトリメチルシラン200mlを注意深く加えた。30分間還流を継続した後、冷却・脱溶媒を行い、無色透明油状の重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂を含む粗製シリコーン樹脂1080gが得られた。
(製造例3)[プレポリマー法による粗シリコーン樹脂の合成(2)]
攪拌装置のついた500mlの4口フラスコにジメトキシジメチルシラン45.4g、3−アクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン16.0g、0.1質量%水酸化カリウム水溶液32.6gを加え室温下で2時間攪拌を行った。一晩放置後、10質量%酢酸水溶液1ml、水50g、ヘプタン150ml、未精製両末端シラノール基ジメチルジフェニルシロキサンコポリマー152gを投入し、5分間攪拌を行い、次いで静置を行った。この時点で液は二層に分離した。上層を取り出した後、50mlの水で3回洗浄を行った。得られた上層を攪拌装置、温度センサー、ディーンスタークトラップのついた500mlの4口フラスコに移し、攪拌下40分間加熱還流し脱水を行った。留出水は1.4mlであった。冷却後、2−エチルヘキサン酸スズ(II)18.3mgを少量のヘプタンに溶解した溶液に加え、再び1.5時間加熱還流し脱水を行った。留出水は30分毎に1.6ml、0.6ml、0.3mlであった。次いで、ディーンスタークトラップの冷却管上部より、メトキシトリメチルシラン20mlを注意深く加えた。30分間還流を継続した後、冷却・脱溶媒を行い、無色透明油状の重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂を含む粗製シリコーン樹脂182.8gが得られた。
前記製造例2で得られた粗製シリコーン樹脂4.05gをヘプタン16.0gに溶解し、メタノール8.10gを加えた。この液を振り混ぜた後に静置、次いで上下2つの液層を分離することで洗浄を行った。上層はシリコーン樹脂が分配されたヘプタン層であり、下層は低分子量不純物が分配したメタノール層であり、静置後、下層のメタノール層を排出することで洗浄を行った。同2〜8回目の洗浄は、ヘプタン層にメタノール8.10gとヘプタンは洗浄の回数毎に1.3g、3.3g、3.1g、3.1g、2.9g、3.1g、3.3gの計20.1gを加え、1回目の洗浄と同様の操作を行った。ヘプタンは最初に粗製シリコーン樹脂をヘプタンに溶解したときと同じ容量にするために加えた。ヘプタン層を脱溶媒すると、無色透明油状の重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂3.65gが得られた。また、すべてのメタノール層をまとめて脱溶媒すると、低分子量不純物を含む無色透明の液体0.31gが得られた。該シリコーン樹脂、低分子量不純物を含む液体をそれぞれ東ソー(株)製HPLC(HLC−8020GPC、溶離液;テトラヒドロフラン(THF)、カラム;東ソー(株)製 TSKGel G5000HXL、G3000HXL、G2000HXL、G1000HXLの4本をこの順序に直列に接続して、測定温度;40℃、サンプル濃度;0.1(w/v%)、流量;0.8〜1ml/分、屈折率検出器)を用いてSEC〔サイズ排除クロマトグラフィー〕で測定(標準ポリスチレン換算の数平均分子量による、面積%により評価)を行った。結果は、精製後の重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂中の低分子量不純物、洗浄により除去された低分子量不純物中の重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂成分はいずれも検出されなかった。
前記製造例3で得られた粗製シリコーン樹脂2.00gにヘプタン8.00gを加え、溶解した。この溶液を実施例1と同様に4.00gのヘプタン飽和メタノールで12回洗浄を行った。ヘプタン層を脱溶媒すると、無色透明油状のシリコーン樹脂1.48gが得られた。また、すべてのメタノール層をまとめて脱溶媒すると、低分子量不純物を含む淡黄色の液体0.37gが得られた。該シリコーン樹脂、低分子量不純物を含む液体をそれぞれ実施例1と同様にしてSECで測定を行った結果、精製後の重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂中の低分子量不純物は3.6%(低分子量のシリコーン樹脂成分を含む)であった。洗浄により除去された低分子量不純物中の重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂成分は8.0%であった。
攪拌装置、温度センサー、ディーンスタークトラップのついた1lの4口フラスコに未精製両末端シラノール基ジメチルジフェニルシロキサンコポリマー129g、3−アクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン10g、ヘプタン400mlを投入し、75分間加熱還流を行った。留出水は0.2mlであった。一旦90℃に冷却し、2−エチルヘキサン酸スズ(II)33mgを少量のヘプタンに溶解した溶液に加え、再び105分間加熱還流し脱水を行った。留出水は0.8mlであった。次いで、ディーンスタークトラップの冷却管上部より、メトキシトリメチルシラン60mlを注意深く加えた。2時間還流を継続後、冷却・部分的に脱溶媒を行い、無色透明油状の粗製シリコーン樹脂158gが得られた。該粗製シリコーン樹脂を280gを実施例1と同様にメタノールで4回洗浄し、脱溶媒を行うと、無色透明油状のシリコーン樹脂83gが得られた。またすべてのメタノール層をまとめて脱溶媒を行うと、淡黄色液体の低分子量不純物37gが得られた。該シリコーン樹脂、低分子量不純物を各々実施例1と同様にしてSECで測定を行った結果、精製後の重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂中の低分子量不純物は0.4%(低分子量のシリコーン樹脂成分を含む)であった。洗浄により除去された低分子量不純物中の重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂成分は検出されなかった。
攪拌装置、温度センサー、ディーンスタークトラップのついた1lの4口フラスコに予備精製された両末端シラノール基ジメチルジフェニルシロキサンコポリマー90g、3−アクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン10g、ヘプタン400mlを投入し、45分間加熱還流を行った。留出水は微量であった。一旦90℃に冷却し、2−エチルヘキサン酸スズ(II)30mgを少量のヘプタンに溶解した溶液に加え、再び105分間加熱還流し脱水を行った。留出水は0.8mlであった。次いで、ディーンスタークトラップの冷却管上部より、メトキシトリメチルシラン60mlを注意深く加えた。2時間還流を継続した後に冷却し、2l分液ロートに移した。ヘプタン300mlを追加し、200gのメタノールを実施例1と同様に4回洗浄を行った。2〜4回目の洗浄は、メタノールの他にヘプタンは洗浄回数毎に100ml、200ml、100mlの計400mlを加えて行った。ヘプタン層を脱溶媒すると、無色透明油状物の重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂91gが得られた。また、すべてのメタノール層をまとめて脱溶媒すると、淡黄色液体の低分子量不純物12gが得られた。該シリコーン樹脂、低分子量不純物を各々実施例1と同様にしてSECで測定を行った結果、精製後の重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂中の低分子量不純物は2.3%(低分子量のシリコーン樹脂成分を含む)であった。洗浄により除去された低分子量不純物中の重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂成分は検出されなかった。
(比較例1)
前記製造例2で得られた粗製シリコーン樹脂4.03gをヘプタン18ml、エタノール18mlに溶解し、均一な溶液とした。次いでメタノール18mlを加えてよく攪拌した後に5時間静置を行い、ヘプタンとエタノールとメタノールを含有する油状のシリコーン樹脂を沈殿させた。形成された上下2つの液層(界面はヘプタン層とエタノール、メタノール層とに完全に2層分離せず)のうち、前記油状のシリコーン樹脂を多く含む下層を取り出し、前記油状のシリコーン樹脂からヘプタン、エタノール、メタノールを脱溶媒し、無色透明油状物の重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂2.13gが得られた。また、ヘプタンとエタノールとメタノールを含有し、低分子量不純物を多く含む上層を脱溶媒し、無色透明油状物の低分子量不純物1.87gが得られた。該シリコーン樹脂、低分子量不純物を各々実施例1と同様にしてSECで測定を行った結果、精製後の重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂中の低分子量不純物は7.9%であった。洗浄により除去された低分子量不純物中の重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂成分は77.0%であった。本精製法では上層の方に多量のシリコーン樹脂成分が残留し、シリコーン樹脂と低分子量不純物を効率よく完全に分離することが出来なかった。
(比較例2)
末端封止剤を添加後、還流・冷却を行うまでは実施例3と同様の操作を行い粗製シリコーン樹脂溶液を得た。該溶液を攪拌下450mlのエタノールに投入した。無色透明の均一な溶液になった後、攪拌下5分間かけて450mlのメタノールを投入した。2lの分液ロートに移し、一晩静置を行い、ヘプタンとエタノールとメタノールを含有する油状のシリコーン樹脂を沈殿させた。形成された上下2つの液層(界面はヘプタン層とエタノール、メタノール層とに完全に2層分離せず)のうち、前記油状のシリコーン樹脂を多く含む下層を取り出し、前記油状のシリコーン樹脂からヘプタン、エタノール、メタノールを脱溶媒し、無色透明油状物の重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂63gが得られた。また、ヘプタンとエタノールとメタノールを含有し、低分子量不純物を多く含む上層を脱溶媒し、無色透明油状の低分子量不純物67gが得られた。該シリコーン樹脂、低分子量不純物を各々実施例1と同様にしてSECで測定を行った結果、精製後の重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂中の低分子量不純物は10.7%であった。洗浄により除去された低分子量不純物中の重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂成分は37.0%であった。本精製法では上澄み液の方に多量のシリコーン樹脂成分が残留し、シリコーン樹脂と低分子量不純物を効率よく完全に分離することが出来なかった。
上記の実施例1−4及び比較例1−2のSECでの測定結果を表1に示す。
表1
Figure 2004162060
上記表1の結果から、重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂を沈殿させて、粗製シリコーン樹脂中の低分子量不純物を除去する方法において、従来の炭化水素系溶媒に相溶する有機溶媒を用いずにオクタノール/水分配係数(LogPow)が−0.5〜−1.2の有機溶媒を加えることにより、重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂そのものの歩留まりを低下させることなく、該シリコーン樹脂中の低分子量不純物(低分子量のシリコーン樹脂成分を含む)を選択的かつ十分に除去できることが明らかである。
上記各実施例の精製された重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂を媒体樹脂として用いる以外は、従来と同様にして調光材料を調製して、調光パネルとした時の可逆的反復特性(電界を印加した状態と印加していない状態を繰り返し、経時後の電界を印加していない状態の着色濃度)を目視で観察した。その結果、電界を印加した状態と印加していない状態を20万回以上繰り返し行っても、調光パネルの初期の光可変特性(電界を印加していない状態の着色濃度)を維持することが確認出来た。

Claims (3)

  1. 炭化水素系溶媒に相溶する有機溶媒を用いずに、重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂を含む粗製シリコーン樹脂を前記炭化水素系溶媒に溶解させ、次いでそこにオクタノール/水分配係数(LogPow)が−0.5〜−1.2の有機溶媒を加えて攪拌静置後、形成された二つの液層のうち、炭化水素系溶媒層を分離、脱溶媒することを特徴とする、重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂の精製方法。
  2. 前記オクタノール/水分配係数(LogPow)が−0.5〜−1.2の有機溶媒がメタノールであって、炭化水素系溶媒がヘプタンである請求項1記載の精製方法。
  3. 重合性エチレン性不飽和二重結合を分子内に有するシリコーン樹脂の分子量が、サイズ排除クロマトグラフィーによってピークトップ分子量がその数平均分子量で5,000〜100,000の範囲である請求項1記載の精製方法。
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