JP5712787B2 - 調光フィルムの硬化率の測定方法、調光フィルムの製造方法、及び調光フィルム - Google Patents
調光フィルムの硬化率の測定方法、調光フィルムの製造方法、及び調光フィルム Download PDFInfo
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Description
即ち、光調整懸濁液に分散されている光調整粒子の形状、性質、濃度及び照射される光エネルギーの量により、透過、反射、散乱又は吸収の程度が決められる。
したがって、本発明は以下のとおりである。
近赤外光を調光フィルムに透過させたときに干渉縞が生ずる場合、下記式(I)を満たす前記透明導電性樹脂基材を2枚備えた第二の調光フィルムを用いて近赤外分光スペクトルを測定する、調光フィルム中の樹脂マトリックスの硬化率の測定方法。
式(I):
前記近赤外光の照射領域における表面粗さの最大高さ(Ry)≧前記干渉縞の波長λ×1/2
前記第一の調光フィルムに近赤外光を透過したときに干渉縞が発生する場合、下記式(I)を満たす前記透明導電性樹脂基材を2枚備えた第二の調光フィルムを作製する工程と、
前記第二の調光フィルムに近赤外光を透過させて近赤外分光スペクトルを測定し、前記第二の調光フィルム中の前記樹脂マトリックスの硬化率を測定する工程と、
前記測定により得られた前記硬化率を、予め求めておいた前記高分子媒体の硬化条件と硬化率との関係に当てはめて、予め定めた硬化率の範囲内となる前記高分子媒体の硬化条件を導き出す工程と、
前記導き出された硬化条件で前記高分子媒体を硬化した樹脂マトリックスと、前記樹脂マトリックス中に分散された光調整懸濁液と、を含む調光層を、2枚の透明導電性樹脂基材で挟持した第三の調光フィルムを作製する工程と、
を有する調光フィルムの製造方法。
式(I):
前記近赤外光の照射領域における表面粗さの最大高さ(Ry)≧前記干渉縞の波長λ×1/2
また本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
更に本明細書において、(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を意味し、(メタ)アクリレートは、アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味し、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一方を意味する。
まず始めに、測定対象である調光フィルムについて説明し、次に、調光フィルムの調光層における樹脂マトリックスの硬化率の測定方法を説明する。そして、この硬化率の測定方法を用いた調光フィルムの製造方法について説明する。
本発明の調光フィルムは、2枚の透明導電性樹脂基材(以下「基材」と称する場合がある)と、前記2枚の基材に挟持された調光層と、を有する。前記調光層は、樹脂マトリックスと、前記樹脂マトリックス中に分散した光調整懸濁液と、を含む。
透明導電性樹脂基材としては、一般的に、透明樹脂基材に、光透過率が80%以上の透明導電膜(ITO、SnO2、In2O3、有機導電膜等の膜)がコーティングされている表面抵抗値が3〜3000Ωの透明導電性樹脂基材を使用することができる。なお、透明樹脂基材の光透過率はJIS K7105の全光線透過率の測定法に準拠して測定することができる。また、透明樹脂基材としては、例えば、高分子フィルム等を使用することができる。
本発明の調光フィルムは、調光層と基材との密着性を向上させるためのプライマー層を備えていてもよい。プライマー層は、調光層に対向する基材の表面に設けられる。プライマー層は一方の基材のみに設けられていても、2枚の基材ともに設けられていてもよい。
本発明における調光層は、樹脂マトリックスと該樹脂マトリックス中に分散した光調整懸濁液とを含む調光材料を用いて形成される。なお、樹脂マトリックスは高分子媒体の硬化物であり、光調整懸濁液は光調整粒子が流動可能な状態で分散媒中に分散したものである。高分子媒体及び分散媒(光調整懸濁液中の分散媒)としては、高分子媒体及びその硬化物と分散媒とが、少なくともフィルム化したときに互いに相分離しうるものを用いる。互いに非相溶又は部分相溶性の高分子媒体と分散媒とを組み合わせて用いることが好ましい。
本発明において用いられる高分子媒体は、(A)エチレン性不飽和結合を有する置換基を持つ樹脂及び(B)光重合開始剤を含み、紫外線、可視光線、電子線等のエネルギー線を照射することにより硬化するものが挙げられる。高分子媒体はエネルギー線が照射されることにより硬化し、樹脂マトリックスを形成する。
本発明に係る光調整懸濁液は、分散媒9中に光調整粒子10が流動可能に分散されてなる。
光調整懸濁液中の分散媒としては、上記高分子媒体及びその硬化物である樹脂マトリックスと相分離するものが用いられる。好ましくは、光調整粒子を流動可能な状態で分散させる役割を果たし、また、光調整粒子に選択的に付着被覆し、高分子媒体との相分離の際に光調整粒子が相分離された液滴相に移動するように作用する分散媒が好ましい。また、電気導電性がなく、高分子媒体とは親和性がなく、調光フィルムとした際に高分子媒体から形成される樹脂マトリックスとの屈折率が近似した分散媒が好ましい。このような性質を有する分散媒として、液状共重合体を使用する。
分散媒の屈折率は、前記高分子媒体から形成される樹脂マトリックスの屈折率と近似していることが好ましく、具体的には、1.467〜1.477であることが好ましく、1.469〜1.475であることがより好ましく、1.470〜1.474であることが更に好ましい。
光調整粒子としては、例えば、光調整粒子の前駆体であるピラジン−2,3−ジカルボン酸・2水和物、ピラジン−2,5−ジカルボン酸・2水和物、ピリジン−2,5−ジカルボン酸・1水和物からなる群の中から選ばれた1つの物質とヨウ素とヨウ化物とを反応させて作ったポリヨウ化物の針状小結晶が好ましく用いられる。光調整粒子は、高分子媒体、又は高分子媒体中の樹脂成分(即ち上記の(A)エチレン性不飽和結合を有する置換基をもつ樹脂等)と親和力がなく、また光調整粒子の分散性を高めることができる高分子分散剤の存在下で調製される。使用しうる高分子分散剤としては、例えば、ニトロセルロース等が挙げられる。ヨウ化物としては、ヨウ化カルシウム等が挙げられる。
CaI2(C6H4N2O4)・XH2O (X:1〜2)
CaIa(C6H4N2O4)b・cH2O (a:3〜7、b:1〜2、c:1〜3)
で表されるものが挙げられる。これらのポリヨウ化物は針状結晶であることが好ましい。
本発明は、高分子媒体の硬化物である樹脂マトリックスと前記樹脂マトリックス中に分散された光調整懸濁液とを含む調光層を、2枚の透明導電性樹脂基材(以下「基材」と称する場合がある)で挟持してなる調光フィルムにおける、前記樹脂マトリックスの硬化率を測定する方法に関する。
また、干渉縞の波長を測定するための測定試料を「第一の測定試料」と称し、2枚の基材Ryを備える測定試料を「第二の測定試料」と称する。
以下、本発明の調光フィルムの硬化率の測定方法を詳細に説明する。
まず、高分子媒体の硬化物である樹脂マトリックスと前記樹脂マトリックス中に分散された光調整懸濁液とを含む調光層を、2枚の透明導電性樹脂基材で挟持した調光フィルムである第一の測定試料を作製する。調光フィルムの作製方法の詳細については後述する。基材には上述のプライマーを備えていてもよい。
上記作製した測定試料に近赤外光を入射して分光スペクトルを測定する。硬化率の測定は6170cm−1付近に現れる炭素−炭素二重結合に結合する炭素−水素結合の伸縮振動の第一倍音の吸収ピークの増減から行うのが好ましい。近赤外分光スペクトルの測定には、例えば、FT/IR−6000(日本分光(株)製、InGaAs検出器、分解能4cm−1)などを用いることができる。
前記本発明の硬化率の測定方法を用いることで、製造管理に優れた調光フィルムの製造方法を提供することができる。更に、この硬化率の測定方法を用いることで、耐熱性に優れた調光フィルムを提供することができる。
次いで、光調整懸濁液及び高分子媒体を混合し、光調整懸濁液が高分子媒体中に液滴状態で分散した混合液(調光材料)とする。調光材料は、前記高分子媒体100質量部に対して、前記光調整懸濁液を通常1〜100質量部、好ましくは6〜70質量部、より好ましくは6〜60質量部含有する。
図6において、ステップ11では、上記方法により近赤外分光スペクトルにより硬化率を測定するための第二の測定試料を作製する。第二の測定試料は、近赤外分光の照射領域における両方の基材の表面粗さ(最大高さRy)が上記式(I)を満たすものである。表面粗さの最大高さRyは、干渉縞が観察される第一の測定試料から求める。なお、第一の測定試料において干渉縞が観察されない場合には、第一の測定試料を用いて近赤外分光スペクトルを測定する。
本発明の調光フィルムの製造方法により得られる調光フィルムは、電場の形成により任意に光透過率を調節できる。この調光フィルムは、電場が形成されていない場合にも、光の散乱のない鮮明な着色状態を維持し、電場が形成されると透明な状態に転換される。この能力は、20万回以上の可逆的反復特性を示す。
しかし、本発明においては、液晶ではなく、光調整粒子が光調整懸濁液内に分散されている液状の光調整懸濁液を使用するため、液晶を利用した調光フィルムとは異なり、電界が印加されていない場合にも光が散乱せず、鮮明度が優れて視野角の制限のない着色状態を表す。そして、光調整粒子の含量、液滴形態や層厚を調節したり、又は電界強度を調節したりすることにより、光可変度を任意に調節できる。
ヨウ素(JIS試薬特級、和光純薬工業(株)製)と酢酸イソペンチル(試薬特級、和光純薬工業(株)製)から8.5質量%ヨウ素の酢酸イソペンチル溶液(以下「ヨウ素溶液」と称する)を調製した。またニトロセルロース1/4LIG(商品名:ベルジュラックNC社製)と酢酸イソペンチルから20.0質量%硝酸セルロースの酢酸イソペンチル溶液(以下「硝酸セルロース溶液」と称する)を調製した。更に、ヨウ化カルシウム水和物(化学用、和光純薬工業(株)製)を加熱乾燥して無水化した後、酢酸イソペンチルに溶解させ、20.9質量%ヨウ化カルシウム溶液を調整した。
前記の「光調整粒子の製造例」で得た光調整粒子45.5gを、光調整懸濁液の分散媒としてのアクリル酸ブチル(和光特級、和光純薬工業(株)製)/メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル(工業用、共栄社化学工業(株)製)/アクリル酸2−ヒドロキシエチル(和光1級、和光純薬工業(株)製)の共重合体(モノマーモル比:18/1.5/0.5、重量平均分子量:3,800、屈折率1.4719)50gに加え、撹拌機により30分間混合した。次いで酢酸イソアミルを、ロータリーエバポレーターを用いて133Paの真空で80℃、3時間減圧除去し、光調整粒子の沈降及び凝集現象のない安定な液状の光調整懸濁液を製造した。
ディーンスタークトラップ、冷却管、撹拌機、加熱装置を備えた四つ口フラスコに、(3−アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン(商品名:KBM−5102、信越化学工業(株)製)15.0g、蒸留水1.9g、酢酸(和光純薬工業(株)製)0.04g、質量比でエタノール/メタノール=9/1の混合溶媒8.9gを仕込み、65℃に昇温して5時間反応させた。反応溶液を40℃以下まで冷却した後、100Paに減圧して70℃まで昇温して2時間、脱溶工程を行った。その後、室温まで冷却してアルコキシシランの一部をシラノールへ変換した化合物14.0gを得た。また、シラノールへの変換率は54.5%であった。
また、NMRの水素積分比から、この樹脂の3−アクリロキシプロピルメチルシロキサン繰り返し単位数は、1.9質量%であった。なお、エチレン性不飽和結合濃度は下記の方法により測定した。
3−アクリロキシプロピルメチルシロキサン繰り返し単位数を、NMRの水素積分比から算出した。NMRチャートにおいて、エチレン性不飽和結合の水素の6ppm近傍の積分値、フェニル基の水素の7.5ppm近傍の積分値、及びメチル基の水素の0.1ppm近傍の積分値を使用した。測定溶媒はCDCl3とした。
上記「エネルギー線硬化型シリコーン系樹脂の製造例」で得たエネルギー線硬化型ポリシロキサン系樹脂7.0g、光重合開始剤としてのビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(商品名:イルガキュア819、BASFジャパン(株)製)0.2g、前記「光調整懸濁液の製造例」で得た光調整懸濁液3.0gを添加し、1分間機械的に混合し、調光材料を製造した。
ITO(インジウム錫の酸化物)の透明導電膜(厚み300Å)がコーティングされているPETフィルム(300R、東洋紡績(株)製、厚み125μm、表面電気抵抗値200〜700Ω)からなる透明導電性樹脂基材を2枚準備した。2枚の透明導電性樹脂基材の上には、それぞれプライマー層を形成した。プライマー層は、以下の方法により形成した。
得られたプライマー層の厚みは、73nmであった。プライマー層の膜厚は、瞬間分光光度計F−20(フィルメトリクス(株)製)を用いて測定した。
<干渉縞の波長の測定>
上記得られた調光フィルムに対して入射角が0°となるようにして近赤外光を入射し、8000〜4000cm−1の領域の近赤外分光スペクトルを観察した。測定はFT/IR−6000(日本分光(株)製、InGaAs検出器、分解能4cm−1)を用いた。しかしながら、干渉縞が発生し、内部標準である6050cm−1付近に観測されるピーク、及び6170cm−1付近に観測されるC=C結合由来の第一倍音の吸収ピークを確認することができなかった。干渉縞の波長は、0.26μmであった。
<硬化率の測定>
上記得られた調光フィルムのPETフィルムの表面を、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)の染み込んだ綿棒に200gの荷重を掛けて10往復させてPETフィルムを溶解させた。溶解させた部分の表面粗さの最大高さ(Ry)を、触針式段差・表面形状測定装置(AMBiOS社製、XP−2)を用いて測定したところ、2.5μmであった。
また、上記と同様にHFIPの染み込んだ綿棒で表面を溶解させたPETフィルムで未硬化の調光材料を挟んで、同様に近赤外分光スペクトルを測定した。
次いで、電圧印加用の通電をとるため、この調光フィルムの端部から調光層の一部を除去し、端部の透明導電膜を露出させた(図4参照)。この調光フィルムに交流電圧を印加して、分光式色差計SZ−Σ90(日本電色工業(株)製)を使用し、A光源、視野角2度で測定したY値(%)を光透過率として測定した。
さらに、110℃で2時間保管した後後の調光フィルムについて、上記光透過率の測定と同様の方法で光透過率を測定し、耐熱性(%)を次式から求めた。その結果、本調光フィルムの耐熱性は95.4%と良好であった。
耐熱性=(耐熱試験後のΔT)/(耐熱試験前のΔT)×100
実施例1と同様に作製した調光フィルムのPETフィルムの表面を、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)の染み込んだ綿棒に200gの荷重を掛けて10往復させてPETフィルムを溶解させた。調光フィルムの法線に対して近赤外光の入射角が30°となるようにして、この溶解させた部分に近赤外光を入射し、近赤外分光スペクトルを測定した。このときの各ピーク面積から、上記方法により算出した硬化率は、94.4%であり、耐熱性は95.4%であった。
った。
調光フィルムの法線に対する赤外線の入射角度を45°としたことを除いては、実施例2と同様にして硬化率と耐熱性を測定した。このときの硬化率は94.4%であり、耐熱性は95.4%であった。また、近赤外光の入射角を45°とした実施例3の方が、入射角0°の実施例1に比べて、干渉縞の発生が抑えられていた。
調光フィルムの法線に対する赤外線の入射角度を60°としたことを除いては、実施例2と同様にして硬化率と耐熱性を測定した。このときの硬化率は94.3%であり、耐熱性は95.4%であった。
また、近赤外光の入射角を60°とした実施例4の方が、入射角0°の実施例1に比べて、干渉縞の発生が抑えられていた。
調光フィルム硬化のための紫外線の照射量を5000mJ/cm2としたことを除いては、実施例2と同様にして硬化率と耐熱性を測定した。このときのRyは2.4μmであり、硬化率は95.4%であり、耐熱性は97.3%であった。
調光フィルム硬化のための紫外線の照射量を3500mJ/cm2としたことを除いては、実施例2と同様にして硬化率と耐熱性を測定した。このときのRyは2.7μmであり、硬化率は89.4%であり、耐熱性は93.5%であった。
調光フィルム硬化のための紫外線の照射量を3000mJ/cm2としたことを除いては、実施例2と同様にして硬化率と耐熱性を測定した。このときRyは2.3μmであり、硬化率は85.1%であり、耐熱性は91.8%であった。
調光フィルム硬化のための紫外線の照射量を2500mJ/cm2としたことを除いては、実施例2と同様にして硬化率と耐熱性を測定した。このときのRyは2.5μmであり、硬化率は82.9%であり、耐熱性は91.8%であった。
また、本発明の調光フィルムの硬化率の測定方法によって得られた硬化率が75〜100%の実施例5〜8の調光フィルムは、耐熱性に優れていることが分かる。
2枚のKBr板で上記調光材料を挟み、4000〜400cm−1の領域の赤外分光スペクトルを測定した。測定はFTS−6000(BIORAD製、MCT検出器、分解能4cm−1)を用いた。また、上記で製造した調光フィルムを透明導電性樹脂基材から剥がし、2枚のKBr板で挟んで、同様に赤外分光スペクトルを測定した。C=C伸縮振動の指紋領域である1618cm−1及び1636cm−1付近には硬化前後で明瞭なピークは観測されず、硬化率の算出は不可能であった。
ガラス製マイクロチューブに調光材料を入れ、3500cm−1〜50cm−1の領域でラマン分光スペクトルを測定した。測定はRFS100(BRUKER製、Nd・YAGレーザー(1064nm))を用いて、レーザー出力300mW、積算回数512回で行った。ほぼ全波数領域でわたって特徴の少ないブロードな散乱ピークが観測されたのみで、硬化率の算出は不可能であった。
調光フィルム硬化のための紫外線の照射量を2000mJ/cm2としたことを除いては、実施例2と同様にして硬化率と耐熱性を測定した。このときのRyは2.5μmであり、硬化率は73.3%であり、耐熱性は86.4%であった。
調光フィルム硬化のための紫外線の照射量を1500mJ/cm2としたことを除いては、実施例2と同様にして硬化率と耐熱性を測定した。このときのRyは2.7μmであり、硬化率は68.8%であり、耐熱性は81.2%であった。
KBM−5102のメトキシ基をシラノールに変換せずにそのままシロキサン樹脂合成に用いたことを除いては、実施例1と同様にしてポリシロキサン樹脂を合成し、3−アクリロキシプロピルメチルシロキサン繰り返し単位数が0.8質量%、重量平均分子量45,000、粘度13,500のポリシロキサン樹脂180.5gを得た。このポリシロキサン樹脂を用いて作製した調光フィルムの硬化率は93.4%であったが、耐熱性は75.2%であった。また、このときのRyは2.3μmであった。
仕込み原料を、X−21−3114を48.0g、X−21−3193Bを171.0g、KBM−5102のメトキシ基をシラノールに変換したもの6.0g、KBM−31を109.0gとしたことを除いては実施例1と同様にしてポリシロキサン樹脂を合成し、重量平均分子量66,600、粘度27,600のポリシロキサン樹脂159.4gを得た。
このときの、ポリシロキサンの繰り返し単位の原料シロキサン及びシラン化合物総量に対するKBM−5102のメトキシ基をシラノールに変換したものの割合は、2.3質量%であった。また、NMRの水素積分比からこの樹脂の3−アクリロキシプロピルメチルシロキサン繰り返し単位数は、1.2質量%であった。
また、このポリシロキサン樹脂を用いて作製した調光フィルムの硬化率は92.9%であったが、耐熱性は83.4%であった。また、このときのRyは2.6μmであった。
仕込み原料を、X−21−3114を46.0g、X−21−3193Bを164.0g、KBM−5102のメトキシ基をシラノールに変換したもの47.0g、KBM−31を105.0gとしたことを除いては実施例1と同様にしてポリシロキサン樹脂を合成し、重量平均分子量48,700、粘度9,100のポリシロキサン樹脂169.7gを得た。
このときの、ポリシロキサンの繰り返し単位の原料シロキサン及びシラン化合物総量に対するKBM−5102のメトキシ基をシラノールに変換したものの割合は、18.4質量%であった。また、NMRの水素積分比からこの樹脂の3−アクリロキシプロピルメチルシロキサン繰り返し単位数は、7.6質量%であった。
また、このポリシロキサン樹脂を用いて作製した調光フィルムの硬化率は94.4%であったが、耐熱性は21.2%であった。また、このときのRyは2.4μmであった。
2 樹脂マトリックス
3 液滴
4 透明導電性樹脂基材
5a 透明導電膜
5b 透明樹脂基材
6 プライマー層
7 電源
8 スイッチ
9 分散媒
10 光調整粒子
11 入射光
12 調光層を除去して露出した透明導電膜の表面
13 透明導電膜に電圧印加する導線
Claims (11)
- 高分子媒体の硬化物である樹脂マトリックスと前記樹脂マトリックス中に分散された光調整懸濁液とを含む調光層を2枚の透明導電性樹脂基材で挟持してなる調光フィルムにおける、前記樹脂マトリックスの硬化率を、近赤外分光スペクトルにより測定する方法であり、
近赤外光を調光フィルムに透過させたときに干渉縞が生ずる場合、下記式(I)を満たす前記透明導電性樹脂基材を2枚備えた第二の調光フィルムを用いて近赤外分光スペクトルを測定する、調光フィルム中の樹脂マトリックスの硬化率の測定方法。
式(I):
前記近赤外光の照射領域における表面粗さの最大高さ(Ry)≧前記干渉縞の波長λ×1/2 - 前記透明導電性樹脂基材を溶解可能な溶剤によって、前記近赤外光が照射される領域の前記2枚の透明導電性樹脂基材の表面を溶解して、前記式(I)を満たすように前記透明導電性樹脂基材の表面を加工する請求項1に記載の調光フィルムの硬化率の測定方法。
- 前記2枚の透明導電性樹脂基材がポリエチレンテレフタレートで構成される場合、前記溶剤がヘキサフルオロイソプロパノールである請求項2に記載の調光フィルムの硬化率の測定方法。
- 前記近赤外光を、前記調光フィルムの面に対して30〜60°で入射する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の調光フィルムの硬化率の測定方法。
- 高分子媒体の硬化物である樹脂マトリックスと前記樹脂マトリックス中に分散された光調整懸濁液とを含む調光層を、2枚の透明導電性樹脂基材で挟持する第一の調光フィルムを作製する工程と、
前記第一の調光フィルムに近赤外光を透過したときに干渉縞が発生する場合、下記式(I)を満たす前記透明導電性樹脂基材を2枚備えた第二の調光フィルムを作製する工程と、
前記第二の調光フィルムに近赤外光を透過させて近赤外分光スペクトルを測定し、前記第二の調光フィルム中の前記樹脂マトリックスの硬化率を測定する工程と、
前記測定により得られた前記硬化率を、予め求めておいた前記高分子媒体の硬化条件と硬化率との関係に当てはめて、予め定めた硬化率の範囲内となる前記高分子媒体の硬化条件を導き出す工程と、
前記導き出された硬化条件で前記高分子媒体を硬化した樹脂マトリックスと、前記樹脂マトリックス中に分散された光調整懸濁液と、を含む調光層を、2枚の透明導電性樹脂基材で挟持した第三の調光フィルムを作製する工程と、
を有する調光フィルムの製造方法。
式(I):
前記近赤外光の照射領域における表面粗さの最大高さ(Ry)≧前記干渉縞の波長λ×1/2 - 前記第二の調光フィルムを作製する工程において、前記透明導電性樹脂基材を溶解可能な溶剤により、前記第一の調光フィルムの2枚の透明導電性樹脂基材の表面における前記近赤外光が照射される領域を溶解して、前記式(I)を満たすように前記透明導電性樹脂基材の表面を加工する請求項5に記載の調光フィルムの製造方法。
- 前記2枚の透明導電性樹脂基材がポリエチレンテレフタレートで構成される場合、前記溶剤がヘキサフルオロイソプロパノールである請求項6に記載の調光フィルムの製造方法。
- 前記硬化率を測定する工程において、前記近赤外光を前記第二の調光フィルムの面に対して30〜60°で入射する請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載の調光フィルムの製造方法。
- 前記予め定めた硬化率が、75〜100%である請求項5〜請求項8のいずれか1項に記載の調光フィルムの製造方法。
- 前記高分子媒体が(メタ)アクリロイル基を有するポリシロキサン構造を有し、前記(メタ)アクリロイル基を有する繰り返し単位数が、繰り返し単位数全体の1.3〜5.0質量%である請求項5〜請求項9のいずれか1項に記載の調光フィルムの製造方法。
- 前記高分子媒体の重量平均分子量が35,000〜60,000である請求項5〜請求項10のいずれか1項に記載の調光フィルムの製造方法。
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