JP2012032715A - 調光性構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】光線透過率の経時安定性に優れる調光性構造体を提供する。
【解決手段】調光性構造体20を、2つの透明導電性樹脂基材4と、前記2つの透明導電性樹脂基材4に挟持された、樹脂マトリックス2及び樹脂マトリックス2中に分散した光調整懸濁液3を含む調光層1と、透明導電性樹脂基材4の少なくとも一方における調光層1が設けられた面とは反対の面側に設けられた透明体13と、調光層1よりも光の入射側に設けられた可視光透過率が70%以上である熱反射フィルム14と、を備えて構成する。
【選択図】図4

Description

本発明は、調光性構造体に関する。
狭い間隔を有する2枚の透明導電性基板の間に、液体状態の光調整懸濁液を注入した構造の調光ガラスが知られている(例えば、特許文献1参照)。この調光ガラスにおいては、2枚の透明導電性基板の間に注入されている液状の光調整懸濁液に電界を印加していない状態では、光調整懸濁液中に分散されている光調整粒子のブラウン運動により、入射光の大部分が光調整粒子により反射、散乱又は吸収され、ごく一部分だけが透過することになる。
一方で、光調整懸濁液に電界を印加すると、光調整粒子が分極を起こして電場に対して平行に配列された結果、光を透過して透明になる。
このような構成の調光ガラスについて、種々の性能を改善する目的で液状の光調整懸濁液の代わりに、フィルム状の光調整層を用いる調光フィルムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
米国特許第1,955,923号明細書 特開2002−189123号公報
上記調光フィルムはガラスなどと一体化された形態で製品化される。この調光フィルムは、日射調整やプライバシー性確保のために屋外に面した窓用に用いられることが多いが、耐光性が十分とは言い難く、電圧の印加時と無印加時の光線透過の差(コントラスト)が経時に伴って低下してしまう場合があった。
本発明は、耐光性、及びコントラストの経時安定性に優れる調光性構造体を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、調光フィルムに可視光透過率が70%以上の熱反射フィルムを設けることで上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、次の発明を提供するものである。
<1> 2つの透明導電性樹脂基材と、
前記2つの透明導電性樹脂基材に挟持された、樹脂マトリックス及び前記樹脂マトリックス中に分散した光調整懸濁液を含む調光層と、
前記透明導電性樹脂基材の少なくとも一方における前記調光層が設けられた面とは反対の面側に設けられた透明体と、
前記調光層よりも光の入射側に設けられ、可視光透過率が70%以上である熱反射フィルムと、
を備える調光性構造体。
<2> 前記透明体は、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリオレフィン樹脂から選ばれる少なくとも1種である前記<1>に記載の調光性構造体。
<3> 前記熱反射フィルムは、金属を含まないフィルムである前記<1>または<2>に記載の調光性構造体。
<4> 前記熱反射フィルムの遮蔽係数が、0.8以下である前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の調光性構造体。
<5> 2つの透明導電性樹脂基材と、樹脂マトリックス及び前記樹脂マトリックス中に分散した光調整懸濁液を含み前記2つの透明導電性樹脂基材に挟持された調光層と、を有する調光フィルムを準備する工程と、
前記調光フィルムの少なくとも一方の外面側に透明体を付設して調光性積層体を作製する工程と、
前記調光性積層体における少なくとも光入射側の面に、可視光透過率が70%以上である熱反射フィルムを設ける工程と、
を有する調光性構造体の製造方法。
<6> 2つの透明導電性樹脂基材と、樹脂マトリックス及び前記樹脂マトリックス中に分散した光調整懸濁液を含み前記2つの透明導電性樹脂基材に挟持された調光層と、を有する調光フィルムを準備する工程と、
前記調光フィルムにおける少なくとも光入射側の面に、可視光透過率が70%以上である熱反射フィルムを設けた調光熱反射フィルムを作製する工程と、
前記調光熱反射フィルムの少なくとも一方の外面側に透明体を設ける工程と、
を有する調光性構造体の製造方法。
<7> 2つの透明導電性樹脂基材と、樹脂マトリックス及び前記樹脂マトリックス中に分散した光調整懸濁液を含み前記2つの透明導電性樹脂基材に挟持された調光層と、を有する調光フィルムを準備する工程と、
透明体の少なくとも一方の面に、可視光透過率が70%以上である熱反射フィルムを有する熱反射基板を準備する工程と、
前記調光フィルムにおける少なくとも光入射側の面に、熱反射基板を設ける工程と、
を有する調光性構造体の製造方法。
<8> 2つの透明導電性樹脂基材と樹脂マトリックス及び前記樹脂マトリックス中に分散した光調整懸濁液を含み前記2つの透明導電性樹脂基材に挟持された調光層とを有する調光フィルムと、前記調光フィルムにおける前記透明導電性樹脂基材の少なくとも一方の外面側に設けた透明体と、を有する調光性積層体を準備する工程と、
前記調光性積層体の外面側で且つ光入射側の面に、可視光透過率が70%以上である熱反射フィルムを設ける工程と、
を有する調光性構造体の製造方法。
本発明によれば、耐光性、及びコントラストの経時安定性に優れる調光性構造体が提供される。
本発明にかかる調光フィルムの一態様を示す概略断面図である。 図2(a)は、図1の調光フィルムの電界が印加されていない場合の作動を説明するための概略断面図であり、図2(b)は、電界が印加されていないときの液状の光調整懸濁液の液滴3の様子を示す図である。 図3(a)は、図1の調光フィルムの電界が印加されている場合の作動を説明するための概略断面図であり、図3(b)は、電界が印加されているときの液状の光調整懸濁液の液滴3の様子を示す図である。 本発明の調光性構造体の一例を示す概略断面図である。 本発明の調光性構造体の一例を示す概略断面図である。 本発明の調光性構造体の一例を示す概略断面図である。 本発明の調光性構造体の一例を示す概略断面図である。 本発明の調光性構造体の一例を示す概略断面図である。 本発明の調光性構造体の一例を示す概略断面図である。 本発明の調光性構造体の一例を示す概略断面図である。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
また本発明における(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及びそれに対応するメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート及びそれに対応するメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基及びそれに対応するメタクリロイル基を意味する。
本発明の調光性構造体は、2つの透明導電性樹脂基材と、樹脂マトリックス及び前記樹脂マトリックス中に分散した光調整懸濁液を含み前記2つの透明導電性樹脂基材に挟持された調光層と、前記透明導電性樹脂基材の少なくとも一方における前記調光層が設けられた面とは反対の面側に設けられた透明体と、可視光透過率が70%以上であり前記調光層よりも光の入射側に設けられた熱反射フィルムと、を備える。かかる構成であることで、耐光性に優れ、電圧の印加時と無印加時の光線透過の差(コントラスト)が長期間に渡って安定化する。
本発明に用いる熱反射フィルムは可視光透過率が70%以上であることから、電圧を印加したときの光透過率が高くなって、電圧の印加時と無印加時における光線透過の差(コントラスト)が経時の如何によらず優れたものとなる。
また、本発明における熱反射フィルムとは、熱線を反射するフィルムをいい、熱線として具体的には赤外線をいう。更に具体的には、本発明における熱反射フィルムは、赤外線の遮蔽係数が0.8以下であることが好ましく、0.7以下がより好ましい。
したがって、熱反射フィルムの付設によって調光層への赤外線の入射が低減される。また、透明導電性樹脂基材及び調光層を有する調光性フィルムの光入射側に上記熱反射フィルムを設けることで、熱反射フィルムが熱線(赤外線)を反射して、結果として調光性構造体の温度上昇が抑えられる。従来の調光性フィルムにおいて、赤外線自身によるものか、赤外線の入射に起因した温度上昇によるものかの詳細は不明であるが、赤外線によって経時的にコントラストが低下していたことを明らかにし、この知見を基に本発明では熱反射フィルムを付設することで調光層への赤外線の入射を低減し、経時的な光入射によるコントラストの低下を抑えている。
以下、各層構成について適宜図を参照しながら説明する。
<調光層>
本発明における調光層1は、図2(a)(b)に示すように、樹脂マトリックス2と、樹脂マトリックス2中に分散した光調整懸濁液の液滴3とを含む。なお、樹脂マトリックス2は高分子媒体からなり、光調整懸濁液は光調整粒子10が流動可能な状態で分散媒9中に分散したものである。調光層1は、光調整懸濁液及び高分子媒体を混合し、光調整懸濁液が高分子媒体中に液滴状態で分散した混合液である調光材料から作製される。
樹脂マトリックス(高分子媒体)2及び分散媒9(光調整懸濁液中の分散媒)としては、高分子媒体及びその硬化物と分散媒9とが、少なくともフィルム化したときに互いに相分離しうるものを用いる。すなわち、互いに非相溶又は部分相溶性の高分子媒体と分散媒9とを組み合わせて用いることが好ましい。
本発明における調光層1は、樹脂マトリックス(高分子媒体)2の100質量部に対して、光調整懸濁液3を通常1〜100質量部、好ましくは6〜70質量部、より好ましくは6〜60質量部含有する。
(高分子媒体)
本発明において用いられる高分子媒体としては、(A)エチレン性不飽和結合を有する置換基を持つ樹脂及び(B)光重合開始剤を含み、紫外線、可視光線、電子線等のエネルギー線を照射することにより硬化するものが挙げられる。
(A)エチレン性不飽和結合を有する樹脂としては、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等が合成容易性、調光性能、耐久性等の点から好ましい。
これらの樹脂は、置換基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、及びシクロヘキシル基等のアルキル基、並びに、フェニル基及びナフチル基等のアリール基から選ばれる少なくとも1種を有することが、調光性能、耐久性等の点から好ましい。
前記シリコーン系樹脂の具体例としては、例えば、特公昭53−36515号公報、特公昭57−52371号公報、特公昭58−53656号公報、特公昭61−17863号公報等に記載の樹脂を挙げることができる。
前記シリコーン系樹脂は、例えば、両末端シラノールポリジメチルシロキサン、両末端シラノールポリジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、両末端シラノールポリジメチルジフェニルシロキサン等の両末端シラノールシロキサンポリマー;トリメチルエトキシシラン等のトリアルキルアルコキシシラン;(3−アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン等のエチレン性不飽和結合含有シラン化合物等を、2−エチルヘキサン錫等の有機錫系触媒の存在下で、脱水素縮合反応及び脱アルコール反応させて合成される。シリコーン系樹脂の形態としては、無溶剤型が好ましく用いられる。すなわち、シリコーン系樹脂の合成に溶剤を用いた場合には、合成反応後に溶剤を除去することが好ましい。
なお、シリコーン系樹脂の製造時の各種原料の仕込み配合において、(3−アクリロキシプロピル)メトキシシラン等のエチレン性不飽和結合含有シラン化合物の配合量は、原料シロキサン及びシラン化合物総量の19〜50質量%とすることが好ましく、25〜40質量%とすることがより好ましい。
エチレン性不飽和結合含有シラン化合物の配合量が、19質量%以上であることで、最終的に得られる樹脂のエチレン性不飽和結合濃度が所望の濃度より低くなるすぎること抑制できる。また50質量%以下であることで、得られる樹脂のエチレン性不飽和結合濃度が所望の濃度より高くなりすぎることを抑制できる。
前記アクリル系樹脂の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレン等の主鎖形成モノマーと、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸イソシアネートエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル等のエチレン性不飽和結合導入用官能基含有モノマー等とを共重合して、プレポリマーを一旦合成し、次いで、このプレポリマーの官能基と反応させるべく(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸イソシアネートエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸等のエチレン性不飽和結合導入用モノマーを前記プレポリマーに付加反応させることにより得ることができる。
また、前記ポリエステル樹脂としては特に制限はなく、通常用いられるポリエステル樹脂から適宜選択することができる。
ポリエステル樹脂にエチレン性不飽和結合を有する置換基を導入する方法としては、前記アクリル系樹脂と同様にエチレン性不飽和結合導入用モノマーを前記ポリエステル樹脂に付加反応させることを挙げることができる。
これら(A)エチレン性不飽和結合を有する樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって得られるポリスチレン換算の重量平均分子量は、20,000〜100,000であることが好ましく、30,000〜80,000であることがより好ましい。
エチレン性不飽和結合を有する樹脂のエチレン性不飽和結合の含有量は、好ましくは0.3モル/kg〜0.5モル/kgとされる。この含有量が0.3モル/kg以上であることで、調光フィルム端部の処理を容易に行うことができ、相対する透明電極間がショートしにくくなり、電気的信頼性が向上する傾向がある。一方この濃度が0.5モル/kg以下であることで硬化した高分子媒体が、光調整懸濁液の液滴を構成する分散媒に、より溶け込みにくくなり、光調整粒子の動きが容易になり、調光性能がより向上する傾向がある。
(A)エチレン性不飽和結合を有する樹脂のエチレン性不飽和結合濃度は、例えば、H−NMRの水素の積分強度比から求められる。また、仕込み原料の樹脂への転化率がわかる場合は、計算によって求めることもできる。
高分子媒体に用いる(B)光重合開始剤としては、J.Photochem.Sci.Technol.,2、283(1977)等に記載される化合物を特に制限無く用いることができる。具体的には2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、(1−ヒドロキシシクロヘキシル)フェニルケトン等を使用することができる。
(B)光重合開始剤の使用量は、上記の(A)樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部であることが好ましく、0.2〜10質量部であることがより好ましい。
また、上記の(A)エチレン性不飽和結合を有する置換基をもつ樹脂の他に、有機溶剤可溶型樹脂又は熱可塑性樹脂、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜10,0000のポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等も高分子媒体の構成材料として併用することができる。
また、高分子媒体中には、ジブチル錫ジラウレート等の着色防止剤等の添加物を必要に応じて添加してもよい。さらに、高分子媒体には溶剤が含まれていてもよく、溶剤としては、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘプタン、シクロヘキサン、エチルアセテート、エタノール、メタノール、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル等を用いることができる。
(光調整懸濁液)
本発明に使用される光調整懸濁液(液滴)3は、分散媒9中に光調整粒子10が流動可能に分散したものである。
−分散媒−
光調整懸濁液3中の分散媒9としては、光調整懸濁液3中で分散媒9の役割を果たし、また光調整粒子10に選択的に付着被覆し、高分子媒体との相分離の際に光調整粒子10が相分離された液滴相に移動するように作用し、電気導電性がなく、高分子媒体とは親和性がない液状共重合体を使用することが好ましい。
液状共重合体としては例えば、フルオロ基及び水酸基の少なくとも一方を有する(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーが好ましく、フルオロ基及び水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーがより好ましい。このような液状共重合体を使用すると、フルオロ基、水酸基のどちらか1つのモノマー単位は光調整粒子に向き、残りのモノマー単位は高分子媒体中で光調整懸濁液が液滴として安定に維持するために働くことから、光調整懸濁液内に光調整粒子が非常に均質に分散され、相分離の際に光調整粒子が相分離される液滴内に効率よく誘導される。
このようなフルオロ基及び水酸基の少なくとも一方を有する(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーとしては、フルオロ基含有モノマー及び水酸基含有モノマーの少なくとも1種を用いて共重合させたものが挙げられる。
具体的には、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、アクリル酸3,5,5−トリメチルヘキシル/アクリル酸2−ヒドロキシプロピル/フマール酸共重合体、アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、アクリル酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、アクリル酸1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、アクリル酸1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリル酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリル酸1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリル酸1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体等が挙げられる。
これらの(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜20,000であることが好ましく、2,000〜1,0000であることがより好ましい。
これらの(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーの原料となるフルオロ基含有モノマーの使用量は、原料であるモノマー総量の6〜12モル%であることが好ましく、より効果的には7〜8モル%である。フルオロ基含有モノマーの使用量が12モル%以下であることで、屈折率が大きくなりすぎることを抑制し、光透過率が低下することを抑制できる。
また、これらの(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーの原料となる水酸基含有モノマーの使用量は0.5〜22.0モル%であることが好ましく、より効果的には1〜8モル%である。水酸基含有モノマーの使用量が22.0モル%以下であることで、屈折率が大きくなりすぎることを抑制し、光透過率が低下することを抑制できる。
本発明における高分子媒体の屈折率と分散媒9の屈折率は近似していることが好ましい。具体的には、本発明における高分子媒体と分散媒9との屈折率の差は、好ましくは0.005以下、より好ましくは0.003以下である。
−光調整粒子−
光調整粒子10としては、例えば、高分子媒体、又は高分子媒体中の樹脂成分、即ち上記の(A)エチレン性不飽和結合を有する置換基をもつ樹脂等との親和性が低いものが好ましい。また光調整粒子10の分散性を高めることができる高分子分散剤の存在下で、光調整粒子10の前駆体であるピラジン−2,3−ジカルボン酸・2水和物、ピラジン−2,5−ジカルボン酸・2水和物、ピリジン−2,5−ジカルボン酸・1水和物からなる群の中から選ばれた1つの物質と、ヨウ素及びヨウ化物とを反応させて作ったポリヨウ化物の針状小結晶が、好ましく用いられる。
使用しうる高分子分散剤としては、例えば、ニトロセルロース等が挙げられる。ヨウ化物としては、ヨウ化カルシウム等が挙げられる。
このようにして得られるポリヨウ化物としては、例えば、下記一般式
CaI(C)・xHO (x:1〜2)
CaI(C・cHO (a:3〜7、b:1〜2、c:1〜3)
のいずれかで表されるものが挙げられる。これらのポリヨウ化物は針状結晶であることが好ましい。
また、光調整懸濁液3に用いる光調整粒子10として、米国特許第2、041、138号明細書(E.H.Land)、米国特許第2,306,108号明細書(Landら)、米国特許第2,375,963号明細書(Thomas)、米国特許第4,270,841号明細書(R.L.Saxe)及び英国特許第433,455号明細書に開示されている光調整粒子も、使用することができる。これらの特許によって公知とされたポリヨウ化物の結晶は、ピラジンカルボン酸およびピリジンカルボン酸の1つを選択して、ヨウ素、塩素又は臭素と反応させることにより、ポリヨウ化物、ポリ塩化物又はポリ臭化物等のポリハロゲン化物とすることによって作製されている。これらのポリハロゲン化物は、ハロゲン原子が無機質又は有機質と反応した錯化合物で、これらの詳しい製法は、例えば、サックスの米国特許第4,422,963号明細書に開示されている。
サックスが開示しているように、光調整粒子を合成する過程において、均一な大きさの光調整粒子を形成させるため、及び、特定の分散媒内での光調整粒子の分散性を向上させるため、上述したように高分子分散剤としてニトロセルロースのような高分子物質を使用することが好ましい。しかしながら、ニトロセルロースを用いると、ニトロセルロースで被覆された結晶が得られ、このような結晶を光調整粒子として用いる場合、光調整粒子は相分離の時に分離される液滴内に浮遊せず、樹脂マトリックス内に残存することがある。
これを防ぐためには、高分子媒体の(A)エチレン性不飽和結合を有する置換基を持つ樹脂として、エチレン性不飽和結合を有する置換基を持つシリコーン系樹脂を用いることが好ましい。高分子媒体としてシリコーン系樹脂を用いた場合には、フィルム製造の際に光調整粒子10が相分離により形成された微細な液滴内へ容易に分散、浮遊し、その結果、より優れた可変能力を得ることができる。
上記の光調整粒子の他、例えば、炭素繊維等の無機繊維、τ型無金属フタロシアニン、金属フタロシアニン等のフタロシアニン化合物等を使用することもできる。フタロシアニン化合物において、中心金属としては、銅、ニッケル、鉄、コバルト、クロム、チタン、ベリリウム、モリブデン、タングステン、アルミニウム、クロム等が挙げられる。
本発明において、光調整粒子10の大きさは1μm以下であることが好ましく、0.1〜1μmであることがより好ましく、0.1〜0.5μmであることがさらに好ましい。光調整粒子の大きさが1μmを超える場合には、光散乱を生じたり、電界が印加された場合に光調整懸濁液中での配向運動が低下したりする等、透明性が低下する問題が発生することがある。なお、光調整粒子の大きさは、サブミクロン粒子アナライザ(例えば、製品名:N4MD(ベックマン・コールタ社製)で測定した光子相関分光分析法による体積平均粒径の値とする。
本発明に使用される光調整懸濁液3は、光調整粒子10の1〜70質量%及び分散媒9の30〜99質量%からなることが好ましく、光調整粒子10の4〜50質量%及び分散媒9の50〜96質量%からなることがより好ましい。
<プライマー層>
2つの透明導電性樹脂基材4とそれらに挟持された調光層1の接着性を改善するために、図1に示すように、必要に応じてプライマー層6を、透明導電性樹脂基材4と調光層1の間に設けることが好ましい。
プライマー層6は、例えば、ウレタン(メタ)アクリレートの少なくとも1種を、熱重合開始剤又は光重合開始剤によって硬化させて形成することができ、必要に応じて酸化物微粒子(フィラー)を含んでいてもよい。
本発明におけるプライマー層材料として、例えばペンタエリスリトール骨格を含有するウレタン(メタ)アクリレートについて説明する。ペンタエリスリトール骨格を含有するウレタン(メタ)アクリレートの例としては、(式1)〜(式7)のいずれかで表される化合物が挙げられる。
なお、(式5)〜(式7)におけるRは、下記に示される水素原子または(メタ)アクリロイル基であり、それぞれのRは全て同じでも異なっていてもよく、また少なくとも1つ以上が水素原子であることが好ましい。
前記プライマー層6には、上記の中でもイソホロンジイソシアネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートの少なくとも1種を用いることが好ましい。
本発明において用いられるペンタエリスリトール骨格を含有するウレタン(メタ)アクリレートは、下記の方法により得ることができる。
ペンタエリスリトール骨格を含有するウレタン(メタ)アクリレートは公知の方法で合成することができる。例えば、一般的にウレタン(メタ)アクリレートは、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基と、水酸基含有(メタ)アクリレートとを公知の方法で反応させて得られることから、ペンタエリスリトール骨格を含有するウレタンアクリレートも同様に、例えば、以下の製法1〜製法4のいずれかで製造することが可能である。
(製法1):ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物及びペンタエリスリトール骨格含有(メタ)アクリレートを一括して仕込んで反応させる方法。
(製法2):ポリオール化合物及びポリイソシアネート化合物を反応させ、次いでペンタエリスリトール骨格含有(メタ)アクリレートを反応させる方法。
(製法3):ポリイソシアネート化合物及びペンタエリスリトール骨格含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いでポリオール化合物を反応させる方法。
(製法4):ポリイソシアネート化合物及びペンタエリスリトール骨格含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いでポリオール化合物を反応させ、最後にまたペンタエリスリトール骨格含有(メタ)アクリレートを反応させる方法。
また、これらの製法には触媒を用いてもよく、例えば、ラウリル酸ジブチル錫等の錫系の触媒、三級アミン系触媒等が用いられる。
上記製法1〜製法4において用いられるペンタエリスリトール骨格含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記製法1〜製法4において用いられるポリイソシアネート化合物としては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート)、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
ペンタエリスリトール骨格を含有するウレタン(メタ)アクリレートとしては、ペンタエリスリトール骨格を含有するウレタン(メタ)アクリレートを含む市販品を用いることもでき、例えば、UA−306H、UA−306I、UA−306T、UA−510H(共栄社化学(株)製)等が挙げられる。
ペンタエリスリトール骨格とイソホロンジイソシアネート骨格(以下、「IPDI骨格」と略称することがある)の両方を含有するウレタン(メタ)アクリレートは、上記製法1〜製法4のうち、ポリイソシアネート化合物としてイソホロンジイソシアネートを用いることにより得ることができる。
また、市販品を用いることもでき、ペンタエリスリトール骨格とIPDI骨格の両方を含有するウレタンアクリレートを含む市販品として、具体的には下記に例示できる。
AY42−151(フィラーとしてSiO微粒子含有、東レ・ダウコーニング(株)製)、UVHC3000(フィラー非含有、モメンンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ合同会社製)、UVHC7000(フィラー非含有、モメンンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ合同会社製)等が挙げられる。
プライマー層6を形成するための材料としては、上記IPDI骨格を含有するウレタン(メタ)アクリレートに加えて、水酸基を有する(メタ)アクリレートを混合して併用してもよい。より好ましくは、水酸基を有する(メタ)アクリレートとしてペンタエリスリトール骨格を有する(メタ)アクリレートを併用することである。水酸基を有する(メタ)アクリレートは、具体的には、下記(式8)〜(式15)のいずれかで表される化合物が挙げられる。
上記の分子内に水酸基を有する(メタ)アクリレートは、公知の方法で合成することができる。例えば、(式8)、(式9)のようなエポキシエステルの場合、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸とを、不活性ガス中でエステル化触媒と重合禁止剤との存在下に反応させることにより得ることができる。
不活性ガスとしては窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素等が挙げられる。これらは単独または併用して使用することができる。
エステル化触媒としては、トリエチルアミン、ピリジン誘導体、イミダゾール誘導体等の三級窒素を含有する化合物、トリメチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のリン化合物、またはテトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルアミン塩等のアミン塩等が用いられる。添加量はエポキシ化合物に対して通常0.000001〜20質量%、好ましくは0.001〜1質量%である。
重合禁止剤としてはハイドロキノン、ターシャリーブチルハイドロキノン等の公知の重合禁止剤が用いられる。使用量は通常0.000001〜0.1質量%の範囲から選択される。
エポキシエステルの例としては、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート(商品名:アロニックスM−5700、東亞合成(株)製、あるいは商品名:エポキシエステルM−600A、共栄社化学(株)製)、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート(商品名:ライトエステルG−201P、共栄社化学(株)製)、グリセリンジグリシジルエーテルアクリル酸付加物(商品名:エポキシエステル80MFA、共栄社化学(株)製)等が挙げられる。
また、(式10)〜(式15)のような水酸基とペンタエリスリトール骨格とを有する(メタ)アクリレートの場合、ペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトール等とアクリル酸またはメタクリル酸を空気中でエステル化触媒と重合禁止剤の存在下に反応させることにより得られる。ペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトールに対してアクリル酸あるいはメタクリル酸を縮合させる反応方法としては、特公平5−86972号公報、特開昭63−68642号公報等に記載された公知のものが適用できる。
プライマー層6の形成に用いるペンタエリスリトール骨格を含有するウレタン(メタ)アクリレート、より好ましくはIPDI骨格をさらに含有するウレタン(メタ)アクリレートは、必要により水酸基を有する(メタ)アクリレートを併用して、熱重合開始剤あるいは光重合開始剤を用いて硬化させて薄膜として用いることが好ましい。熱硬化法および光硬化法には特に制限はなく、通常の各硬化法を適用することができる。
本発明に用いられる熱重合開始剤としては、熱により分解してラジカルを生成して重合性化合物の重合を開始し得るものであればよく、有用なラジカル開始剤は既知の開始剤であり、有機過酸化物、アゾニトリル等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
有機過酸化物には、アルキルパーオキシド、アリールパーオキシド、アシルパーオキシド、アロイルパーオキシド、ケトンパーオキシド、パーオキシカボネート、パーオキシカーボキシレート等が挙げられる。
アゾニトリルとしては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソプロピルニトリル等が挙げられる。
光重合開始剤としては、光照射により分解してラジカルを発生して重合性化合物の重合を開始し得るものであればよく、例えばアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
プライマー層6は、さらに酸化物微粒子の少なくとも1種を含有していることが好ましい。
プライマー層6に含有されてもよい酸化物の例としては、SiO、ITO、ZrO、TiO、Bi、Al、Y、CeO、ZnO、CuO、SnO、コバルトブルー等が挙げられる。より好ましくは、SiO、ITO、ZrOから選ばれる少なくとも1種である。
プライマー層6に酸化物微粒子をフィラーとして添加すると、高い硬度のプライマー層6を得ることが可能となり、調光フィルムを剥がして駆動用電極を取り出す際に、下地透明導電膜に傷が付きにくくなる効果がある。
また、プライマー層6に酸化物微粒子を添加することにより、プライマー層6の表面エネルギーを調節してさらに密着性向上効果を得ることが可能となる場合がある。
酸化物微粒子の好ましい粒径としては、調光フィルムのヘイズ上昇抑制の点から50nm以下である。
本発明において、平均粒径とはBET法による比表面積測定装置より測定した比表面積より、下記式を用いて算出された平均粒径である。
平均粒径(nm)=6,000/(密度[g/cm]×比表面積[m/g])
上記範囲の平均粒径を有する酸化物微粒子は、市販品から適宜選択すればよい。
なお、酸化物微粒子のプライマー層6における好ましい含有量は、調光フィルムのヘイズ上昇抑制の点からプライマー層6の材料全体に対して30質量%以下である。
本発明において、プライマー層6の膜厚は、500nm以下であることが好ましく、さらに1nm〜500nmの膜厚であることがより好ましい。より好ましくは10nm〜500nm、さらに好ましくは10nm〜500nm、特に好ましくは10nm〜100nmである。
膜厚が1nm以上であることで充分な接着強度が得られる傾向があり、膜厚が500nm以下であることでプライマー層6のタックが強くなり過ぎることを抑制し、プライマー層6を塗工してロールに巻き取った後に、プライマー層6が基材フィルム裏面に転写する、あるいは調光フィルム製造時にラミネートする側の基材フィルムの位置合わせが困難になるといった不具合の発生を抑制できる。
尚、プライマー層6の膜厚は紫外・可視光線の反射率分光法、X線反射率測定、エリプソメトリー等によって測定可能である。
前記プライマー層6は、例えば、透明導電性樹脂基材4上にプライマー層6を形成することで設けることができる。透明導電性樹脂基材4上にプライマー層6を形成する方法としては、例えば、プライマー層6を形成する材料を、バーコーター法、マイヤーバーコーター法、アプリケーター法、ドクターブレード法、ロールコーター法、ダイコーター法、コンマコーター法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法等を単独または組み合わせて用いて、透明導電性樹脂基材4に塗布することにより行うことができる。
なお、塗布する際はプライマー層6を形成する材料を必要に応じて適当な溶剤で希釈し、プライマー層6を形成する材料の溶液を調製してこれを用いてもよい。溶剤を用いた場合には、透明導電性樹脂基材4上に塗布した後、乾燥を要する。尚、プライマー層6となる塗膜は必要に応じて透明導電性樹脂基材4の片面のみに形成してもよいし、両面に形成してもよい。
プライマー層6の形成に用いる溶剤としては、プライマー層6を形成する材料を溶解可能で、塗布層を形成後に乾燥等により除去できるものであればよい。例えば、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエタノール、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、アニソール、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘプタン、シクロヘキサン、エチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチルジグリコール、ジメチルジグリコール、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル等を用いることができ、これらの混合溶剤でもよい。
<透明導電性樹脂基材>
駆動用電極として使用される透明導電性樹脂基材4としては、一般的に、透明樹脂基材5bに、光透過率が80%以上の透明導電膜(ITO、SnO、In)5aがコーティングされている表面抵抗値が3〜3,000Ωの透明導電性樹脂基材4を使用することができる。なお、本発明において「透明」とは、光透過率が50%以上をいう。光透過率はJIS K7105の全光線透過率の測定法に準拠して測定することができる。
透明樹脂基材5bとしては、例えば、高分子フィルム等を使用することができる。上記高分子フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム、ポリプロピレン等のポリオレフィン系フィルム、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂系のフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリカーボネートフィルム等の樹脂フィルムが挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルムが、透明性に優れ、成形性、接着性、加工性等に優れることから好ましい。
透明樹脂基材5bにコーティングされる透明導電膜5aの厚みは、10nm〜5,000nmであることが好ましい。
また透明樹脂基材5bの厚みは特に制限はないが、例えば、高分子フィルムの場合には10μm〜200μmが好ましい。透明樹脂基材5bの間隔が狭く、異物質の混入等により発生する短絡を防止するために、透明導電膜5aの上に数nm〜1μm程度の厚さの透明絶縁層がさらに形成されている透明樹脂導電性基材を使用してもよい。
また、本発明における調光フィルムを反射型の調光窓に利用する場合(例えば、自動車用リアビューミラー等)は、反射体であるアルミニウム、金、又は銀のような導電性金属の薄膜を駆動用電極として直接用いてもよい。
<調光フィルム>
本発明に係る調光フィルム12は、前記透明導電性樹脂基材4の2枚によって前記調光層1を挟持してなり、更に、透明導電性樹脂基材4と調光層1の間にプライマー層6を備えていてもよい。つまり、調光層1は、調光層との密着性を向上させるためのプライマー層6を有する2枚の透明導電性樹脂基材4に挟持されているか、あるいはプライマー層6を有する透明導電性樹脂基材4とプライマー層6を有さない透明導電性樹脂基材4の2枚の透明導電性樹脂基材4に挟持されていてもよい。
図1は、本発明に係る調光フィルム12の一態様を示す構造概略図である。調光フィルム12は、透明導電膜5aがコーティングされている2枚の透明樹脂基材5bからなる透明導電性樹脂基材4の間に、調光層1を挟持する。調光層1と透明導電性樹脂基材4の間にはプライマー層6が設けられている。
調光層1は、調光材料を用いて形成することが可能であり、調光材料は、高分子媒体から形成された樹脂マトリックスと、樹脂マトリックス中に分散した光調整懸濁液とからなる。
調光フィルム12を得るためには、まず、液状の光調整懸濁液を、高分子媒体と均質に混合し、光調整懸濁液が高分子媒体中に液滴状態で分散した混合液からなる調光材料を得る。
具体的には、以下の通りである。光調整粒子を溶媒に分散した液と光調整懸濁液の分散媒を混合し、ロータリーエバポレーター等で溶媒を留去し、光調整懸濁液を作製する。
次いで、光調整懸濁液及び高分子媒体を混合し、光調整懸濁液が高分子媒体中に液滴状態で分散した混合液(調光材料)とする。
この調光材料を、プライマー層6を有する透明導電性樹脂基材4上に一定な厚さで塗布した後、高圧水銀灯等を用いて紫外線を照射し高分子媒体を硬化させる。その結果、硬化高分子媒体からなる樹脂マトリックス2中に、光調整懸濁液が液滴状に分散されている調光層1が形成される。高分子媒体と光調整懸濁液との混合比率を様々に変えることにより、調光層1の光透過率を調節することができる。このようにして形成された調光層1の上にもう一方のプライマー層6を有する透明導電性樹脂基材4を密着させることにより、調光フィルム12が得られる。
あるいは、この調光材料を、プライマー層6を有する透明導電性樹脂基材4上に一定な厚さで塗布した後、もう一方のプライマー層6を有する透明導電性樹脂基材4でラミネートした後に紫外線を照射し、高分子媒体を硬化させてもよい。プライマー層6を有する透明導電性樹脂基材は、一方の透明導電性樹脂基材のみでもよい。
さらに2枚の透明導電性樹脂基材4上にそれぞれ調光層1を形成し、これらを調光層1同士が密着するようにして積層してもよい。
調光層1の厚みは、5μm〜1,000μmが好ましく、20μm〜100μmがより好ましい。
樹脂マトリックス中に分散されている光調整懸濁液の液滴3の大きさ(平均液滴径)は、通常0.5μm〜100μm、好ましくは0.5μm〜20μm、より好ましくは1μm〜5μmである。液滴3の大きさは、光調整懸濁液を構成している各成分の濃度、光調整懸濁液及び高分子媒体の粘度、光調整懸濁液中の分散媒の高分子媒体に対する相溶性等により決められる。
平均液滴径は、例えば、SEMを用いて、調光フィルム12の一方の面方向から写真等の画像を撮影し、任意に選択した複数の液滴直径を測定し、その平均値として算出することができる。また、調光フィルム12の光学顕微鏡での視野画像をデジタルデータとしてコンピュータに取り込み、画像処理インテグレーションソフトウェアを使用し算出することも可能である。
また調光層1となる調光材料の塗布には、例えば、バーコーター、アプリケーター、ドクターブレード、ロールコーター、ダイコーター、コンマコーター等の公知の塗工手段を用いることができる。調光材料を、透明導電性樹脂基材4上に設けたプライマー層6面に塗布し、あるいは、一方にプライマー層6を有さない透明導電性樹脂基材を用いる場合には、透明導電性樹脂基材4に直接塗布することもできる。なお、塗布する際は、調光材料を必要に応じて、適当な溶剤で希釈してもよい。溶剤を用いた場合には、透明導電性樹脂基材4上に塗布した後に乾燥することが好ましい。
調光材料の塗布に用いる溶剤としては、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘプタン、シクロヘキサン、エチルアセテート、エタノール、メタノール、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル等を用いることができる。
また液状の光調整懸濁液が、固体の樹脂マトリックス中に微細な液滴形態で分散されている調光層1を形成するためには、調光材料をホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等で混合して高分子媒体中に光調整懸濁液を微細に分散させる方法、高分子媒体中の樹脂成分の重合による相分離法、溶剤揮発による相分離法、又は温度による相分離法等を利用することができる。
上記の方法によれば、電場の形成により任意に光透過率が調節できる調光フィルム12が提供される。この調光フィルム12は、電場が形成されていない場合に、光の散乱のない鮮明な着色状態を維持し、電場が形成されると透明な状態に転換される。この能力は、20万回以上の可逆的反復特性を示す。透明な状態においての光透過率増進と、着色された状態における鮮明度の増進のためには、液状の光調整懸濁液(液滴)3の屈折率と、樹脂マトリックス2の屈折率を一致させることが好ましい。
調光フィルム12を作動させるための使用電源は交流で、10〜100ボルト(実効値)、30Hz〜500kHzの周波数範囲とすることができる。調光フィルム12は、電界に対する応答時間を、消色時には1〜50秒以内、着色時には1〜100秒以内とすることができる。
従来技術である液晶を使用した調光フィルムの製造における、水を用いたエマルションによる方法を使用すると、液晶が水分と反応して光調整特性を失うことが多く、同一の特性のフィルムを製造しにくいという問題がある。
本発明においては、液晶ではなく、光調整粒子10が光調整懸濁液内に分散されている液状の光調整懸濁液を使用するため、液晶を利用した調光フィルムとは異なり、電界が印加されていない場合にも光が散乱せず、鮮明度に優れて視野角の制限のない着色状態を表す。そして、光調整粒子10の含量、液滴形態や膜厚を調節したり、又は電界強度を調節したりすることにより、光可変度を任意に調節できる。また、本発明に係る調光フィルム12は、液晶を用いないことから、紫外線露光による色調変化及び可変能力の低下、大型製品特有の透明導電性樹脂基材4の周辺部と中央部間に生ずる電圧降下に伴う応答時間差も解消される。
本発明による調光フィルム12に電界が印加されていないときには、光調整懸濁液内の光調整粒子10のブラウン運動のため、光調整粒子10の光吸収、2色性効果による鮮明な着色状態を示す。しかし、電界が印加されると、液滴3又は液滴連結体の中の光調整粒子10が電場に平行に配列され、透明な状態に転換される。
調光層1がフィルム状態であるがため、液状の光調整懸濁液をそのまま使用する従来技術による調光硝子の問題点、即ち、2枚の透明導電性樹脂基材4の間への液状の懸濁液の注入の困難性、製品の上下間の水圧差による下部の膨張現象、風圧等の外部環境による基材間隔の変化による局部的な色相変化、透明導電性樹脂基材4の間の密封材の破壊による調光材料の漏洩が解決される。
また、液晶を利用した従来技術による調光窓の場合には、液晶が紫外線により容易に劣化し、またネマチック液晶の熱的特性によりその使用温度の範囲も狭い。更に、光学特性面においても、電界が印加されていない場合には光散乱による乳白色の半透明な状態を示し、電界が印加される場合にも、完全には鮮明化せず、乳濁状態が残存する問題点がある。従って、このような調光窓では、既存の液晶表示素子で動作原理として利用されている光の遮断及び透過による表示機能が不可能である。しかし、本発明に係る調光フィルム12を使用すれば、このような問題点が解決できる。
本発明における調光フィルム12は、調光層1と透明導電性樹脂基材4との密着性が強く、製造過程あるいはフィルム製造後の加工過程等で調光層が透明導電性樹脂基材4から剥がれるといった問題が生じることのない優れた調光フィルムである。
本発明における調光フィルム12の構造及び動作を図面により更に詳しく説明すると、下記の通りである。
図1に示す調光フィルム12では、スイッチ8の切り換えにより、電源7と2枚の透明導電膜5aの接続、非接続を行う。調光層1は、高分子媒体としての前記(A)エチレン性不飽和結合を有する置換基をもつ樹脂を紫外線硬化させたフィルム状の樹脂マトリックス2と、樹脂マトリックス2内に液滴3の形態で分散されている液状の光調整懸濁液からなる。
図2(a)は、図1に示した調光フィルム12の作動を説明するための図面で、スイッチ8により、電源7の接続が切られ、電界が印加されていない場合を示す。図2(b)は、電界が印加されていないときの液状の光調整懸濁液の液滴3の様子を示す図である。電界が印加されていない場合には、液状の光調整懸濁液の液滴3を構成している分散媒9の中に分散している光調整粒子10のブラウン運動により、入射光11は光調整粒子10に吸収、散乱又は反射され、透過が抑制される。
一方、図3(a)に示すように、スイッチ8により電源7を接続して、電界を印加すると、図3(b)に示すように、光調整粒子10が印加された電界によって形成される電場と略平行に配列するため、入射光は配列した光調整粒子10間を通過するようになる。このようにして、散乱及び透明性の低下のない光透過機能が付与される。
<調光性構造体>
本発明の調光性構造体20は、上記調光フィルム12と、少なくとも1枚の透明体13と、可視光透過率が70%以上である少なくとも1枚の熱反射フィルム14とを備え、熱反射フィルム14は、調光層1よりも光の入射側に設けられている。
本発明の調光性構造体20は、上記調光フィルム12を備えるため、電界が印加されていない場合にも光が散乱せず、鮮明度に優れて視野角の制限のない着色状態を表し、電界が印加されると、透明な状態に転換される。また、光調整粒子10の含量等を調節したりすることにより光可変度を任意に調節できる。また、液晶を用いないことから、紫外線露光による色調変化及び可変能力の低下、大型製品特有の透明導電性樹脂基材4の周辺部と中央部間に生ずる電圧降下に伴う応答時間差も解消される。更に、液晶を用いないことから、熱的特性にも優れその使用温度の範囲が広い。
上述のように、本発明の調光性構造体20は液晶を用いる調光フィルムに比べて、紫外線露光や熱的特性に優れている。
更に、本発明の調光性構造体20は光の入射側に熱反射フィルム14を備えるため、耐光性に更に優れ、且つ電圧の印加時と無印加時の光線透過の差(コントラスト)の経時安定性にも優れる。
本発明の調光性構造体20について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付することとし、重複する説明は省略する。
図4は、本発明の調光性構造体20の一例を示す模式断面図であり、図5は、本発明の調光性構造体20の他の一例を示す模式断面図である。
図4に示す調光性構造体20では、樹脂マトリックス2および樹脂マトリックス2内に液滴3の形態で分散されている液状の光調整懸濁液を含む調光層1を挟持するように透明導電性樹脂基材4が配置され、透明導電性樹脂基材4と調光層1との間にプライマー層6が設けられて、調光フィルム12を形成する。2枚の透明導電性樹脂基材4の外側表面には、それぞれ透明体13が配置されている。更に、2枚の透明体13の外側表面にそれぞれ熱反射フィルム14が付設されている。
図5に示す調光性構造体では、調光層1を挟持するように透明導電性樹脂基材4が配置され、透明導電性樹脂基材4と調光層1との間にプライマー層6を設けて調光フィルム12を形成する点では上記図4の調光性構造体と同様であるが、2枚の透明導電性樹脂基材4の外側表面にはそれぞれ熱反射フィルム14が付設され、更にその熱反射フィルム14の外側表面に透明体13がそれぞれ配置される。
本発明の調光性構造体では、図4及び図5に示すように透明体13を2枚配置してもよいが、1枚のみであってもよい。調光フィルム12の両面を2枚の透明体13で挟持する場合には、外部から調光層1への水分の浸入などを抑えることができるので、耐久性の観点から好ましい形態である。
また、図4及び図5に示すように、本発明の調光性構造体は2枚の熱反射フィルムを有してもよいが、調光層1への赤外線の入射を抑えるという観点からは、少なくとも調光層1よりも光の入射側に熱反射フィルムを設ければよい。このような形態の調光性構造体の一例を図6〜図10に示す。
図6に示す調光性構造体では、調光フィルム12の外側表面には、それぞれ透明体13が配置されている。更に、2枚の透明体13のうち光の入射側に配置された透明体13の外側表面に熱反射フィルム14が付設されている。
図7に示す調光性構造体では、調光フィルム12のうち光の入射側の外側表面に透明体13が配置されている。更に、その透明体13の外側表面に熱反射フィルム14が付設されている。
図8に示す調光性構造体では、調光フィルム12のうち光の入射側ではない外側表面に透明体13が配置され、光の入射側には熱反射フィルム14が付設されている。
図9に示す調光性構造体では、調光フィルム12のうち光の入射側の外側表面に熱反射フィルム14が付設され、この積層体を2枚の透明体13で挟持する。
図10に示す調光性構造体では、調光フィルム12のうち光の入射側の外側表面に熱反射フィルム14が付設され、更にその熱反射フィルム14の外側表面に透明体13を配置する。
図示しないが、熱反射フィルム14を2枚用い、透明体13を1枚用いる調光性構造体であってもよく、この場合の透明体13は光の入射側に配置しても、入射側でない面に配置してもよい。また、熱反射フィルム14と透明体13の配置順序は特に制限されず、調光フィルム12に近い側に熱反射フィルム14を設けても、或いは透明体13を設けてもよい。
以下、調光性構造体を構成する部材について説明する。
(熱反射フィルム)
本発明に係る熱反射フィルム14は、可視光透過率が70%以上であり、80%以上が好ましい。また、上述の通り、本発明における熱反射フィルムとは、熱線を反射するフィルムをいい、熱線として具体的には赤外線をいう。更に具体的には、本発明における熱反射フィルムは、赤外線の遮蔽係数が0.8以下であることが好ましく、0.7以下がより好ましい。遮蔽係数が小さいものほど、熱遮蔽効果が高いことを意味する。
なお、この可視光透過率、遮蔽係数は、透明フロートガラス(6mm厚)にフィルムを貼った状態でJIS A5759に従い測定したものである。
可視光透過率や赤外線の遮蔽係数が上記範囲を満たすものであれば、本発明の熱反射フィルムは特に制限されず、例えば、屈折率の異なる材料を多層に積層した多層型熱反射フィルムや、基材となる透明フィルムに染料を添加したものや、透明フィルムにクロム、インコネル、ステンレス鋼、亜鉛、銀、銅、アルミニウムなどを蒸着したものであってもよい。これらの熱反射フィルムの中でも、可視光透過率の観点から、多層型熱反射フィルムを用いることが好ましい。
本発明に用いられる多層型熱反射フィルムは、屈折率の異なる材料を多層に積層することで、その用いる材質、積層方法によって反射、透過する光の波長を制御するものである。これらの技術については、例えば特開2006−205729号公報、特開2008−162289号公報、特開2009−143236号公報、特開2010−12789号公報、特開2010−20336号公報、特表2008−528313号公報、特開2009−509814号公報に記載されたものが適用できる。
これらの例とすれば、多層型熱反射フィルムとして使用し得る市販品としては、住友スリーエム(株)製 Scothtint Nano90S,Scothtint Nano80S,Scothtint Nano70S,Scothtint Nano40Sなどがある。
上記多層型熱反射フィルムを用いた合わせガラス用中間膜として、ソルーシア・ジャパン(株)製SaflexSRFなどがあり、これらを熱反射フィルムの代わりに用いて合わせガラスとして調光性構造体を作製してもよい。
(透明体)
本発明に用いられる透明体13としては、可視光透過率が通常50%以上であれば特に限定はなく、無機材料または有機材料を用いることができる。
無機材料としては一般建築用のソーダ石灰ガラスや鉛ガラス、硼珪酸ガラスソーダライムガラス等、その他用途において各種組成のガラスが、また熱反射ガラスや熱吸収ガラス、強化ガラス、倍強化ガラス、半強化ガラスなどの機能ガラスも使用できる。
有機材料としては、透明樹脂であるポリアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、PETやPENなどのポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフッ素樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などを用いることができる。
これら透明体13の形状はフィルムからシートで提供され、その厚さは通常50μm〜20mmとすることができる。厚さは薄いと柔軟性に富み取り扱いが容易であるが、水蒸気透過性が大きくなり防湿性に劣る。また厚さが厚いと水蒸気透過性が上がり防湿性が増すが製品重量の増加、透過率の低下などの問題が生じるため、用途に応じて適宜選択することができる。
これら透明体13は調光フィルム12に付設して積層体(以下「調光性積層体」と称する場合がある)を構成する。透明体13と調光フィルム12とは、必要に応じて接着してもよい。接着方法としては合わせガラス用の中間膜、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリウレタンシートを用いる方法、ポリウレタン樹脂やアクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの液状熱硬化性樹脂の硬化により接着する方法、粘着材としてアクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂などを介して圧着する方法がある。
(調光性構造体の製造方法)
本発明の調光性構造体は、上記構成を有すればいずれの方法で製造してもよい。例えば、以下の方法が挙げられる。
−第一の製造方法−
調光性構造体の第一の製造方法として、調光フィルム12を準備する工程と、調光フィルム12の少なくとも一方の外面側に透明体13を付設した積層体(この積層体を「調光性積層体」と称する)を作製する工程と、調光性積層体における少なくとも光入射側の面に、可視光透過率が70%以上である熱反射フィルム14を設ける工程と、を有する製造方法が挙げられる。
この方法では、調光フィルム12は、上記方法によって作製したものであっても、調達したものであってもよい。また、透明体13は調光フィルム12の少なくとも一方の外面側に設ければよく、光入射面側であっても、光入射面ではない側であってもよく、或いは両面に付設してもよい。
更に、熱反射フィルム14は、透明体13よりも調光フィルム12から遠い側に設けても、近い側に設けてもよい。即ち、調光フィルム12に、まず少なくとも光入射側の面に熱反射フィルム14を付設したのち(調光フィルム12に熱反射フィルム14を付設した積層体を「調光熱反射フィルム」と称する)、調光熱反射フィルムの少なくとも一方の外面側に透明体13を設けてもよい。
−第二の製造方法−
調光性構造体の第二の製造方法としては、調光フィルム12を準備し、これとは別途、透明体13の少なくとも一方の面に可視光透過率が70%以上である熱反射フィルム14を付設した積層体(この積層体を「熱反射基板」と称する)を準備し、先の調光フィルム12における少なくとも光入射側の面に、熱反射基板を配置する製造方法が挙げられる。
この方法では、調光フィルム12は、上記方法によって作製したものであっても、調達したものであってもよい。また、熱反射基板を準備する工程では、透明体13に熱反射フィルム14を付設して準備してもよいし、調達してもよい。更に、熱反射基板における透明体13及び熱反射フィルム14のいずれが調光フィルム12に近い側となるように配置してもよい。
熱反射基板は、調光フィルム12における少なくとも光入射側の面に配置すればよく、調光フィルム12の両面に設けてもよい。
−第三の製造方法−
調光性構造体の第三の製造方法としては、調光フィルム12における透明導電性樹脂基材4の少なくとも一方の外面側に透明体13を有する調光性積層体を準備する工程と、調光性積層体の外面側に、可視光透過率が70%以上である熱反射フィルム14を設ける工程と、を有する製造方法が挙げられる。
この方法では、第一の製造方法のように、調光性積層体は調光フィルム12に透明体13を配置して作製してもよいし、調達して準備したものであってもよい。また、熱反射フィルム14は、調光性積層体における少なくとも光入射側の面に配置すればよく、調光性積層体の両面に設けてもよい。
−第四の製造方法−
また、上記第一から第三の製造方法において、透明体13がアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリオレフィン樹脂(ポリシクロオレフィン(水添化ポリノルボルネンや水添化ジシクロペンタジエンなど)樹脂を含む)から選ばれる少なくとも1種で構成されたものであって、2枚の透明体13を用いる場合には、調光フィルム12又は調光熱反射フィルムを2枚の透明体13で両面から挟持した状態で加熱加圧して、透明体13によりラミネートして調光性構造体を製造してもよい。
このように、透明体13でラミネートすることにより、調光層の周囲が透明体13によって包囲されるため、外部から調光層1への水分の浸入などを抑えることができ、耐久性に優れる。
(用途)
本発明の調光性構造体は、例えば、室内外の仕切り(パーティション)、建築物用の窓硝子/天窓、電子産業および映像機器に使用される各種平面表示素子、各種計器板と既存の液晶表示素子の代替品、光シャッター、各種室内外広告および案内標示板、航空機/鉄道車両/船舶用の窓硝子、自動車用の窓硝子/バックミラー/サンルーフ、眼鏡、サングラス、サンバイザー等の用途に好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(光調整粒子の製造例)
撹拌機及び冷却管を装着した500mlの四つ口フラスコに、ニトロセルロース1/4LIG(商品名、ベルジュラックNC社製)15質量%の酢酸イソアミル(試薬特級、和光純薬工業(株)製)希釈溶液87.54g、酢酸イソアミル44.96g、脱水CaI(化学用、和光純薬工業(株)製)4.5g、無水エタノール(有機合成用、和光純薬工業(株)製)2.0g、精製水(精製水、和光純薬工業(株)製)0.6gの溶液に、ヨウ素(JIS試薬特級、和光純薬工業(株)製)4.5gを溶解し、光調整粒子の基盤形成物質であるピラジン−2、5−ジカルボン酸2水和物(PolyCarbon Industries製)3gを添加した。45℃で3時間撹拌して反応を終了させた後、超音波分散機で2時間分散させた。このとき、混合液の色相は、茶色から暗紺色に変化した。
次に、反応溶混合液から所定の大きさの光調整粒子を取り出すために、遠心分離機を用いて光調整粒子を分離した。反応溶混合液を750Gの速度で10分間遠心分離して沈殿物を取り除き、更に7390Gで2時間遠心分離して、浮遊物を取り除き、沈殿物粒子を回収した。この沈殿物粒子は、サブミクロン粒子アナライザ(製品名:N4MD、ベックマン・コールタ社製)で測定した体積平均粒径が0.36μmを有する針状結晶であった。この沈殿物粒子を光調整粒子とした。
(光調整懸濁液の製造例)
前記の(光調整粒子の製造例)で得た光調整粒子45.5gを、光調整懸濁液の分散媒としてのアクリル酸ブチル(和光特級、和光純薬工業(株)製)/メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル(工業用、共栄社化学工業(株)製)/アクリル酸2−ヒドロキシエチル(和光1級、和光純薬工業(株)製)共重合体(モノマーモル比:18/1.5/0.5、重量平均分子量:2,000、屈折率1.4719)50gに加え、撹拌機により30分間混合した。次いで酢酸イソアミルをロータリーエバポレーターで133Paの真空で80℃、3時間減圧除去し、光調整粒子の沈降及び凝集現象のない安定な液状の光調整懸濁液を製造した。
(エネルギー線硬化型シリコーン系樹脂の製造例)
ディーンスタークトラップ、冷却管、撹拌機、加熱装置を備えた四つ口フラスコに、両末端シラノールポリジメチルシロキサン(試薬、チッソ(株)製)17.8g、両末端シラノールポリジメチルジフェニルシロキサン(試薬、チッソ(株)製)62.2g、(3−アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン(試薬、チッソ(株)製)20g、2−エチルヘキサン錫(和光純薬工業(株)製)0.1gを仕込み、外温を100℃としたヘプタン中で3時間還流し、反応を行った。
次いで、トリメチルエトキシシラン(試薬、チッソ(株)製)25gを添加し、さらに2時間還流し、脱アルコール反応させた後、ヘプタンをロータリーエバポレーターを用いて100Paの真空で80℃、4時間減圧除去し、重量平均分子量35000、屈折率1.4745のエネルギー線硬化型シリコーン系樹脂を得た。H−NMRの水素積分比からこの樹脂のエチレン性不飽和結合濃度は、0.31モル/kgであった。なお、エチレン性不飽和結合濃度は下記の方法により測定した。
[エチレン性不飽和結合濃度の測定方法]
エチレン性不飽和結合濃度(モル/kg)は、H−NMRの水素積分比から算出した(エチレン性不飽和結合の水素の6ppm近傍の積分値、フェニル基の水素の7.5ppm近傍の積分値、及びメチル基の水素の0.1ppm近傍の積分値を使用)。測定溶媒はCDClとした。上記で製造した樹脂においては、NMRの水素積分比から算出した質量比率がメチル基:フェニル基:エチレン性不飽和結合基=11:6.4:1、全体の中のエチレン性不飽和結合基の割合は5.4%、各々の分子量から1分子あたりのエチレン性不飽和結合基の数は9.35、よって、1kgあたりのモル数は0.31モル/kgと算出した。
(調光材料の製造例)
前記(エネルギー線硬化型シリコーン系樹脂の製造例)で得たエネルギー線硬化型シリコーン系樹脂10g、光重合開始剤としてのビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(チバ・ジャパン(株)製)0.2g、着色防止剤としてのジブチル錫ジラウレート0.3gに、前記(光調整懸濁液の製造例)で得た光調整懸濁液2.5gを添加し、1分間機械的に混合し、調光材料を製造した。
(プライマー層付き透明導電性樹脂基材の製造例)
ITO(インジウム錫の酸化物)透明導電膜(厚み30nm)がコーティングされている表面電気抵抗値が200〜400ΩのPETフィルム(300R、東洋紡績(株)製、厚み125μm)からなる透明導電性樹脂基材の透明導電膜上に、AY42−151(商品名、東レ・ダウコーニング(株))をイソプロピルアルコール:1−メトキシ−2−プロパノール=1:1混合溶剤に1.0質量%となるように溶解した溶液を、マイクログラビア法(メッシュ#150)を用いて、全面塗布して、50℃/30s、60℃/30s、70℃/1minの条件で順次乾燥後、UV照射1,000mJ/cm(メタルハライドランプ)で光硬化してプライマー層を形成した。なお、AY42−151には光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)が含有されている。プライマー層の厚みは、73nmであった。
[プライマー層膜厚の測定方法]
尚、プライマー層の膜厚は、瞬間分光光度計F−20(フィルメトリクス(株)製)を用いて測定した。
(調光フィルムの製造例)
前記(プライマー層付き透明導電性樹脂基材の製造例)で得たプライマー層付き透明導電性樹脂基材の上に、前記(調光材料の製造例)で得た調光材料を全面塗布して塗布層を形成した。次いでその塗布層上に同様にプライマー層を形成した同じ透明導電性樹脂基材を、プライマー層形成面が調光材料の塗布層に向くようにして積層して密着させた。
次いでメタルハライドランプを用いて3,000mJ/cmの紫外線を前記積層した透明導電性樹脂基材のポリエステルフィルム側から照射し、光調整懸濁液が球形の液滴として、紫外線硬化した樹脂マトリックス内に分散形成されたフィルム状の厚み90μmの調光層が、2つの透明導電性樹脂基材に挟まれた厚み340μm調光フィルムを製造した。
<実施例1>
前記(調光フィルムの製造例)で得られた調光フィルムを60mm×100mmに切断した。
他方、2枚の板ガラス(FL2、日本板硝子(株)製)65mm×145mmにそれぞれ熱反射フィルムScotchtint Nano80S(住友スリーエム(株)製の多層型熱反射フィルム、遮蔽係数:0.69、可視光透過率:82%)を貼って、熱反射基板を作製した。この熱反射基板における熱反射フィルムが調光フィルム側になるようにして、先に準備した調光フィルムに配置して2枚で挟みこみ、図5に示す構成の調光性構造体である試験体1を作製した。
(評価)
得られた試験体1を、スーパーキセノンSX75(スガ試験機(株)製)を用いて、180W/cm(300−400nm)、ブラックパネル温度63℃で1000時間照射し、耐光性試験を行った。
この耐光性試験の前後における試験体1について、コントラストの評価を行った。コントラストは、電圧無印加時、及び100V/50Hz1分間の電圧印加時におけるそれぞれの全光線透過率の差をΔTとしてヘーズメーター(日本電色工業(株)NDH−5000W)で測定した。耐光性前後におけるΔTが小さいものほど、耐光性に優れた調光性構造体と判断される。
<実施例2>
実施例1において、熱反射フィルムをScotchtint Nano90S(住友スリ-エム(株)製多層型熱反射フィルム、遮蔽係数:0.78、可視光透過率:87%)に代えた以外は、実施例1と同様に試験体2を作製し、評価した。
<比較例1>
実施例1において、熱反射フィルムをScotchtint RE35SIARX(住友スリ-エム(株)製金属蒸着系熱反射フィルム、遮蔽係数:0.39、可視光透過率:32%)に代えた以外は、実施例1と同様に試験体C1を作製し、評価した。
<比較例2>
実施例1において、熱反射フィルムをScotchtint IR65CLAR(住友スリ-エム(株)製金属蒸着系熱反射フィルム、遮蔽係数:0.61、可視光透過率:67%)に代えた以外は、実施例1と同様に試験体C2を作製し、評価した。
<比較例3>
実施例1において、熱反射フィルムをScotchtint Nano70S(住友スリ-エム(株)製多層型熱反射フィルム、遮蔽係数:0.6、可視光透過率:68%)に代えた以外は、実施例1と同様に試験体C3を作製し、評価した。
<比較例4>
実施例1において、熱反射フィルムをScotchtint Nano40S(住友スリ-エム(株)製多層型熱反射フィルム、遮蔽係数:0.5、可視光透過率:40%)に代えた以外は、実施例1と同様に試験体C4を作製し、評価した。
<比較例5>
実施例1において、熱反射フィルムをScotchtint SH2CLAR(住友スリ-エム(株)製飛散防止フィルム、遮蔽係数:0.94、可視光透過率:88%)に代えた以外は、実施例1と同様に試験体C5を作製し、評価した。
<比較例6>
実施例1において、熱反射フィルムを用いなかったこと以外は、施例1と同様に試験体C6を作製し、評価した。
以上の評価結果を表1にまとめた。
熱反射フィルムを付設しない比較例6では、耐光性試験によってΔTが著しく小さくなっており、調光フィルムとして殆ど動作しなくなっていた。
また、熱反射機能を有さないフィルムを設けた比較例5は、耐熱性試験後にΔTが半減しており、動作が悪化していた。なお、比較例5の試験体では耐光性試験後の全光線透過率が上昇していたことから、経時により調光フィルムの色が抜けていることが分かった。
比較例1〜4は、熱反射機能を有する熱反射フィルムを用いているが、この熱反射フィルムは、可視光透過率が70%未満であるため、そもそもΔTの絶対値が小さく、調光フィルム構造体としての性能に劣っている。
これに対して、本発明に該当する実施例1及び2では、可視光透過率が高くコントラスト(ΔT)の絶対値が大きい調光フィルムであっても、耐光性に優れ、耐光性試験後においてもコントラスト(ΔT)の低下が著しく抑えられていた。
1 調光層
2 樹脂マトリックス
3 液滴(光調整懸濁液)
4 透明導電性樹脂基材
5b 透明樹脂基材
5a 透明導電膜
6 プライマー層
7 電源
8 スイッチ
9 分散媒
10 光調整粒子
11 入射光
12 調光フィルム
13 透明体
14 熱反射フィルム
20 調光性構造体

Claims (8)

  1. 2つの透明導電性樹脂基材と、
    前記2つの透明導電性樹脂基材に挟持された、樹脂マトリックス及び前記樹脂マトリックス中に分散した光調整懸濁液を含む調光層と、
    前記透明導電性樹脂基材の少なくとも一方における前記調光層が設けられた面とは反対の面側に設けられた透明体と、
    前記調光層よりも光の入射側に設けられ、可視光透過率が70%以上である熱反射フィルムと、
    を備える調光性構造体。
  2. 前記透明体は、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリオレフィン樹脂から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の調光性構造体。
  3. 前記熱反射フィルムは、金属を含まないフィルムである請求項1または請求項2に記載の調光性構造体。
  4. 前記熱反射フィルムの遮蔽係数が、0.8以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の調光性構造体。
  5. 2つの透明導電性樹脂基材と、樹脂マトリックス及び前記樹脂マトリックス中に分散した光調整懸濁液を含み前記2つの透明導電性樹脂基材に挟持された調光層と、を有する調光フィルムを準備する工程と、
    前記調光フィルムの少なくとも一方の外面側に透明体を付設して調光性積層体を作製する工程と、
    前記調光性積層体における少なくとも光入射側の面に、可視光透過率が70%以上である熱反射フィルムを設ける工程と、
    を有する調光性構造体の製造方法。
  6. 2つの透明導電性樹脂基材と、樹脂マトリックス及び前記樹脂マトリックス中に分散した光調整懸濁液を含み前記2つの透明導電性樹脂基材に挟持された調光層と、を有する調光フィルムを準備する工程と、
    前記調光フィルムにおける少なくとも光入射側の面に、可視光透過率が70%以上である熱反射フィルムを設けた調光熱反射フィルムを作製する工程と、
    前記調光熱反射フィルムの少なくとも一方の外面側に透明体を設ける工程と、
    を有する調光性構造体の製造方法。
  7. 2つの透明導電性樹脂基材と、樹脂マトリックス及び前記樹脂マトリックス中に分散した光調整懸濁液を含み前記2つの透明導電性樹脂基材に挟持された調光層と、を有する調光フィルムを準備する工程と、
    透明体の少なくとも一方の面に、可視光透過率が70%以上である熱反射フィルムを有する熱反射基板を準備する工程と、
    前記調光フィルムにおける少なくとも光入射側の面に、熱反射基板を設ける工程と、
    を有する調光性構造体の製造方法。
  8. 2つの透明導電性樹脂基材と樹脂マトリックス及び前記樹脂マトリックス中に分散した光調整懸濁液を含み前記2つの透明導電性樹脂基材に挟持された調光層とを有する調光フィルムと、前記調光フィルムにおける前記透明導電性樹脂基材の少なくとも一方の外面側に設けた透明体と、を有する調光性積層体を準備する工程と、
    前記調光性積層体の外面側で且つ光入射側の面に、可視光透過率が70%以上である熱反射フィルムを設ける工程と、
    を有する調光性構造体の製造方法。
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