JP5849496B2 - 調光フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、調光機能を有する調光フィルムに関する。
光調整懸濁液を含む調光硝子は、エドウィン・ランド(Edwin.Land)により最初に発明されたもので、その形態は、狭い間隔を有する2枚の透明導電性基材の間に、液体状態の光調整懸濁液を注入した構造になっている(例えば、特許文献1参照)。エドウィン・ランドの発明によると、2枚の透明導電性基材の間に注入されている液状の光調整懸濁液は、電界を印加していない状態では懸濁液中に分散されている光調整粒子のブラウン運動により、入射光の大部分が光調整粒子により反射、散乱又は吸収され、ごく一部分だけが透過することになる。また該調光硝子に電界を印加すると、透明導電性基板を通じて光調整懸濁液に電界が形成され、光調整機能を表す光調整粒子が分極を起こし、電場に対して平行に配列され、光調整粒子と光調整粒子の間を光が透過し、最終的に調光硝子は透明になる。
即ち、光調整懸濁液に分散されている光調整粒子の形状、性質、濃度及び照射される光エネルギーの量により、透過、反射、散乱又は吸収の程度が決められる。前記構造の調光硝子を用いた調光窓に電界を印加すると、透明導電性基材を通じて光調整懸濁液に電場が形成され、光調整機能を表す光調整粒子が分極を起こし、電場に対して平行に配列され、光調整粒子と光調整粒子の間を光が透過し、最終的に調光硝子は透明になる。しかし、このような初期の調光装置は、実用上、光調整懸濁液内での光調整粒子の凝集、自重による沈降、熱による色相変化、光学密度の変化、紫外線照射による劣化、基材の間隔維持及びその間隔内への光調整懸濁液の注入が困難等であるために、実用化が難しかった。
これを改善する方法として、液状の光調整懸濁液を硬化性の高分子樹脂の溶液と混合し、重合による相分離法、溶媒揮発による相分離法、又は温度による相分離法等を利用してフィルムを製造する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
米国特許第1,955,923号明細書 特開2002−189123号公報
しかし、硬化して樹脂マトリックスとなる高分子樹脂は、透明導電性樹脂基材との密着性を考慮に入れた分子設計にはなっていないため、表面にITO等の導電性薄膜が成膜されたPETフィルム等の透明導電性樹脂基材と調光層との密着性が不十分で、剥がれが生じる場合があった。
上記課題に対して、これまでの本発明者らの検討により、特定のプライマー層を透明導電性樹脂基材と調光層との間に設けることによって、密着性の向上が図れることを見出した。更なる検討の結果、プライマー層を設けた場合には、プライマー層のタック性を小さくする必要があることを新たに見出した。ここで、プライマー層のタック性とは、調光フィルムの製造時に使用する金属ロールとプライマー層とのタック性をいう。調光フィルムを製造する際、一方のプライマー層付き透明導電性樹脂基材をロール・トゥ・ロールでテンションを掛けつつ、他方の調光材料が塗工されている透明導電性樹脂基材をラミネートする。このとき、両者が正確に重なるように、プライマー層付き透明導電性樹脂基材を幅方向(基材の長尺方向と垂直方向)に微調整する。その際にプライマー層のタック性が大きいと、金属ロールとプライマー層とのスベリが悪く、プライマー層付き透明導電性樹脂基材の位置の微調整が困難となり、生産性が低下することが明らかとなった。
したがって、本発明は、調光層及び透明導電性樹脂基材間の優れた密着性と、プライマー層の低タック性とを両立可能な調光フィルムを提供することを課題とする。
本発明者等は、鋭意検討した結果、調光層及び透明導電性樹脂基材の間に特定構成のプライマー層を設けることにより上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、2つの透明導電性樹脂基材と、前記2つの透明導電性樹脂基材に挟持され、樹脂マトリックス及び前記樹脂マトリックス中に分散した光調整懸濁液を含む調光層と、前記透明導電性樹脂基材と前記調光層との間に設けられ、有機バインダー樹脂及び二酸化ケイ素粒子を含み、平均膜厚が48〜64nmであるプライマー層と、を備える調光フィルムである。
前記二酸化ケイ素粒子の平均粒径は、100nm以下であることが好ましい。
また前記二酸化ケイ素粒子の含有率は、前記プライマー層中に0.5〜95質量%であることが好ましい。
さらに、前記二酸化ケイ素粒子は、表面無処理物であることが好ましい。
前記プライマー層は、重合性モノマー及び重合性オリゴマーから選ばれる少なくとも1種である重合性化合物と、前記二酸化ケイ素粒子とを含む前駆体層の熱硬化物又は光硬化物であることが好ましく、前記有機バインダー樹脂は(メタ)アクリレートに由来する構成単位を有するポリマーを含むことが好ましい。
本発明によれば、調光層及び透明導電性基材間の優れた密着性と、プライマー層の低タック性とを両立可能な調光フィルムを提供することができる。
本発明にかかる調光フィルムの一態様を示す概略断面図である。 図2(a)は、図1の調光フィルムの電界が印加されていない場合の作動を説明するための概略断面図であり、図2(b)は、電界が印加されていないときの液状の光調整懸濁液の液滴3の様子を示す図である。 図3(a)は、図1の調光フィルムの電界が印加されている場合の作動を説明するための概略断面図であり、図3(b)は、電界が印加されているときの液状の光調整懸濁液の液滴3の様子を示す図である。 本発明にかかる調光フィルムの端部の状態の一例を説明するための概略断面図である。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
さらに本明細書において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
さらに本明細書において、(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を意味し、(メタ)アクリレートは、アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味し、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一方を意味する。
本発明の調光フィルムは、樹脂マトリックス及び樹脂マトリックス中に分散した光調整懸濁液を含む調光層が、2つの透明導電性樹脂基材間に挟持された調光フィルムであり、調光層及び透明導電性樹脂基材の間に特定の構成を有するプライマー層が設けられている。
これにより、調光層及び透明導電性基材間の密着性に優れる。また、プライマー層のタック性や転写性が抑制されるため、調光フィルムの製造時における作業性や生産性が向上する。
まず始めに、調光フィルムについて説明し、次に調光フィルムの製造方法について説明する。
<調光フィルム>
本発明の調光フィルムは、2枚の透明導電性樹脂基材(以下「基材」と称する場合がある)と、前記2枚の基材に挟持された調光層とを有する。前記調光層は、樹脂マトリックス(以下「樹脂マトリックス」と称する場合がある)と、前記樹脂マトリックス中に分散した光調整懸濁液とを含む。
前記調光層は、一般に調光材料を用いて形成することが可能である。調光材料は、エネルギー線を照射することにより硬化して樹脂マトリックスを構成可能な高分子媒体と、光調整粒子が流動可能な状態で分散媒中に分散した光調整懸濁液とを含有する。光調整懸濁液に含まれる光調整粒子は、棒状又は針状であることが好ましい。
前記2枚の透明導電性樹脂基材の間に前記調光材料を付与した後に、調光材料中の高分子媒体を硬化させることにより、この高分子媒体が硬化した樹脂マトリックス中に光調整懸濁液が分散した調光層が形成される。
このように、調光フィルムの調光層では、液状の光調整懸濁液が、高分子媒体が硬化した固体状の樹脂マトリックス内に微細な液滴の形態で分散されている。したがって、前記光調整懸濁液中の前記高分子媒体は、高分子媒体及びその硬化物と相分離しうるものであることが好ましい。
ここで、図1に、本発明の調光フィルムの一態様を構造概略図として示す。図1に示す調光フィルムでは、透明導電膜5aがコーティングされた透明樹脂基材5bからなる透明導電性樹脂基材4の2枚の間に、調光層1が挟持されている。調光層1と透明導電性樹脂基材4の間にはプライマー層6が設けられている。
調光層1は、高分子媒体を硬化させたフィルム状の樹脂マトリックス2と、樹脂マトリックス2内に液滴3の形態で分散されている液状の光調整懸濁液と、を含む。光調整懸濁液の液滴3には、光調整粒子10が分散媒9の中に分散されている(図2参照)。
調光フィルムは、スイッチ8の切り換えにより、電源7と2枚の透明導電膜5aの接続、非接続を行う。
図2(a)は、図1に示した調光フィルムの作動を説明するための概略断面図であり、スイッチ8が切られ、電界が印加されていない状態を示す。この状態では、液滴3中に分散している光調整粒子10は、図2(b)に示すようにブラウン運動により、それぞれランダムな方向を向いている。そのため、入射光11は光調整粒子10に吸収、散乱又は反射され、透過が抑制される。
一方、図3(a)は、図1の調光フィルムの電界が印加されている状態の作動を説明するための概略断面図である。図3(a)に示すように、スイッチ8を接続して電界を印加すると、電気的双極子モーメントをもつ光調整粒子10が、印加された電界によって形成される電場と平行に配列する。そのため入射光11は配列した光調整粒子10間を通過するようになる。このようにして、液滴3が入射光に対して透明な状態に転換され、視野角度による散乱、又は透明性低下が殆どない状態で入射光を透過させる。透明な状態における光透過率の増進と、着色された状態における鮮明度の増進のためには、液滴3の形態で分散されている液状の光調整懸濁液の屈折率と、樹脂マトリックス2の屈折率を一致させることが好ましい。
〔透明導電性樹脂基材〕
透明導電性樹脂基材としては、一般的に、透明樹脂基材に、光透過率が80%以上の透明導電膜(ITO、SnO、In、有機導電膜等の膜)がコーティングされてなる表面抵抗値が3〜3000Ωの透明導電性樹脂基材を使用することができる。
なお、透明樹脂基材及び透明導電膜の光透過率はJIS K7105の全光線透過率の測定法に準拠して測定することができる。また、透明樹脂基材としては、例えば、高分子フィルム等を使用することができる。
上記高分子フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系フィルム、ポリプロピレン等のポリオレフィン系フィルム、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂系のフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリカーボネートフィルム等の樹脂フィルムが挙げられる。ポリエチレンテレフタレートフィルムが、透明性に優れ、成形性、接着性、加工性等に優れるので好ましい。
透明樹脂基材にコーティングされる透明導電膜の厚みは、10nm〜5,000nmであることが好ましい。また透明樹脂基材の厚みは特に制限はない。例えば、高分子フィルムの場合には10μm〜200μmが好ましい。
調光層を挟持する2枚の透明樹脂基材間の間隔が狭い場合には、異物質の混入等により発生する短絡現象を防止するために、透明導電膜の上に数nm〜1μm程度の厚さの透明絶縁層が形成されている透明樹脂導電性樹脂基材を使用してもよい。また、本発明の調光フィルムを反射型の調光窓に利用する場合(例えば、自動車用リアビューミラー等)は、反射体であるアルミニウム、金、又は銀のような導電性金属の薄膜を電極として直接用いてもよい。
〔プライマー層〕
本発明の調光フィルムは、調光層と基材との間にプライマー層を備えている。これにより調光層がプライマー層を介して基材と接着していることで調光層と基材との密着性を向上させことができる。プライマー層は調光層に対向する基材の表面に設けられる。プライマー層は調光層を挟持する2枚の基材の一方の基材のみに設けられていても、2枚の基材ともに設けられていてもよい。
前記プライマー層は、有機バインダー樹脂の少なくとも1種と、二酸化ケイ素粒子の少なくとも1種とを含み、必要に応じてその他の成分を含んで構成される。
前記プライマー層の平均膜厚は30nm〜75nmである。プライマー層の平均膜厚が30nm未満では調光層と透明導電性樹脂基材の間の密着性が十分に得られない場合がある。また75nmを超えるとプライマー層のタック性及び転写性が大きくなる場合がある。前記プライマー層の平均膜厚は30nm〜75nmであるが、35nm〜75nmであることが好ましく、40nm〜75nmであることがより好ましい。プライマー層の平均膜厚が前記範囲であることで、調光層と透明導電性樹脂基材の間の密着強度がより向上し、プライマー層のタック性及び転写性をより効果的に抑制することができる。さらに透明導電膜の抵抗率の上昇を抑制することができ、材料費の低減も図れる。
尚、プライマー層の平均膜厚は紫外・可視光線の反射率分光法、X線反射率測定、エリプソメトリー等によって測定可能である。本発明においては、紫外・可視光線の反射率分光法を用いてプライマー層の膜厚を5点測定し、その算術平均値として平均膜厚が測定される。
(二酸化ケイ素粒子)
前記プライマー層は、二酸化ケイ素粒子の少なくとも1種を含む。二酸化ケイ素以外の金属酸化物粒子(例えば、酸化ジルコニウム)では、平均膜厚が30nm〜75nmのプライマー層を形成した場合に、十分なタック性の抑制効果を得られない場合がある。
前記二酸化ケイ素粒子の粒子形状としては、略球状、扁平状、角のある形状及び鱗片状等が挙げられる。タック性の抑制効果の点から、略球状又は角のある形状であることが好ましい。
前記二酸化ケイ素粒子の平均粒径は特に制限されない。調光フィルムのヘイズの上昇を抑制する観点から、平均粒径が100nm以下であることが好ましく、10nm以上100nm以下であることがより好ましく、10nm以上50nm以下であることがさらに好ましく、20nm以上50nm以下であることが特に好ましい。
平均粒径が100nm以下であると、ヘイズを効果的に抑制できる。また10nm以上であると、タック性がより効果的に抑制される。
二酸化ケイ素粒子の平均粒子径は、BET法による比表面積測定装置より測定した比表面積より、下記式を用いて算出された粒径を意味する。
平均粒径(nm)=6000/(密度[g/cm]×比表面積[m/g])
また前記二酸化ケイ素粒子における二酸化ケイ素の純度は特に制限されない。例えば99.8質量%以上であることが好ましく、99.9質量%以上であることがより好ましい。
前記二酸化ケイ素粒子の粒子表面の状態は特に制限されず、表面処理剤で表面処理された状態であっても、表面無処理状態であってもよい。表面処理剤としては特に制限されず、通常用いられる二酸化ケイ素の表面処理剤から適宜選択することができる。例えば、アルキル基含有ケイ素化合物、フルオロアルキル基含有ケイ素化合物、(メタ)アクリロイル基含有ケイ素化合物等のケイ素化合物を挙げることができる。
前記二酸化ケイ素粒子は、表面無処理物であることが好ましい。すなわち通常使用される表面処理剤で表面処理されていない二酸化ケイ素粒子であることが好ましい。これにより、タック性をより効果的に抑制し、調光層と基材との密着強度をより向上させることができる。
これは例えば以下のように考えることができる。表面無処理物である二酸化ケイ素粒子は、表面処理された二酸化ケイ素粒子に比べて有機バインダー樹脂との相溶性がやや低下する傾向があるため、プライマー層表面により多く存在する傾向がある。そのため二酸化ケイ素粒子の含有量を減じた場合でも、タック性が上昇することをより効果的に抑制することができると考えることができる。
前記二酸化ケイ素粒子は、市販品から適宜選択して用いてもよく、また二酸化ケイ素粒子を通常行なわれる粉砕処理等により、所望の平均粒径として用いてもよい。
前記プライマー層における二酸化ケイ素粒子の含有率は特に制限されず、所望の特性に応じて適宜選択することができる。例えば、調光フィルムのヘイズ上昇抑制の観点から、プライマー層の全固形分中に0.5〜95質量%とすることができ、0.5〜75質量%であることが好ましく、0.5〜50質量%であることがさらに好ましく、0.5〜35質量%であることが特に好ましい。
尚、プライマー層の全固形分とはプライマー層を構成する成分から、揮発性の成分を除去した残分を意味する。
前記プライマー層において、前記二酸化ケイ素粒子の平均粒径とプライマー層の平均膜厚との比は特に制限されない。タック性抑制及び調光層と基材との密着性の観点から、プライマー層の平均膜厚に対する二酸化ケイ素粒子の平均粒径の比(平均粒径/平均膜厚)として0.2〜2.5であることが好ましく、0.2〜1.5であることがより好ましく、0.2〜1.0であることがさらに好ましい。
また前記プライマー層は、タック性抑制及び調光層と基材との密着性の観点から、平均粒径が10nm〜50nmの二酸化ケイ素粒子の含有率が0.5〜50質量%であって、平均膜厚が35nm〜75nmであることが好ましく、平均粒径が20nm〜50nmで表面無処理物である二酸化ケイ素粒子の含有率が0.5〜35質量%であって、平均膜厚が40nm〜75nmであることがより好ましい。
(有機バインダー樹脂)
前記有機バインダー樹脂としては、前記二酸化ケイ素粒子とともにプライマー層を構成し得るものであれば特に制限されないが、成膜性が良好なものであることが好ましい。ここで成膜性が良好であるとは、プライマー層から前記二酸化ケイ素粒子が析出したり、相分離が発生したりし難いことを意味する。すなわち、二酸化ケイ素粒子との相互作用により、二酸化ケイ素粒子の分散安定性が良好である樹脂であることが好ましい。
本発明においてプライマー層は、密着性とタック性の観点から、重合性モノマー及び重合性オリゴマーから選ばれる少なくとも1種である重合性化合物と、前記二酸化ケイ素粒子とを含む前駆体層を、熱又は光で硬化させてなるものであることが好ましく、前記重合性化合物は(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含むことが好ましい。
前記重合性モノマー及び重合性オリゴマーとしては、以下のような(メタ)アクリレート(以下、「特定(メタ)アクリレート」ともいう)を挙げることができる。
例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ノナエチレングリコールジメタクリレート、テトラデカエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジメタクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物のジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ノナエチレングリコールジアクリレート、テトラデカエチレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物のジアクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物のジアクリレート、トリメチロールプロパンアクリル酸安息香酸エステル、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチルロールプロパントリアクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、フェニルグリシジルエーテルアクリレートウレタンプレポリマー等を挙げることができる。これらは、1種単独であるいは2種以上を混合して用いてもよい。なお、本発明における特定(メタ)アクリレートはこれらの例に限定されるものではない。
これらの(メタ)アクリレートの市販品としては、ライトエステルEG、ライトエステル2EG、ライトエステル3EG、ライトエステル4EG、ライトエステル9EG、ライトエステル14EG、ライトエステル1,4BG、ライトエステルNP、ライトエステル1,6HX、ライトエステル1,9ND、ライトエステル1.10DC、ライトエステルDCP−M、ライトエステルBP−2EMK、ライトエステルBP−4EM、ライトエステルBP−6EM、ライトエステルTMP、ライトアクリレート3EG−A、ライトアクリレート4EG−A、ライトアクリレート9EG−A、ライトアクリレート14EG−A、ライトアクリレートPTMGA−250、ライトアクリレートNP−A、ライトアクリレートMPD−A、ライトアクリレート1,6HX−A、ライトアクリレートBEPG−A、ライトアクリレート1,9ND−A、ライトアクリレートMOD−A、ライトアクリレートDCP−A、ライトアクリレートBP−4EA、ライトアクリレートBP−4PA、ライトアクリレートBA−134、ライトアクリレートBP−10EA、ライトアクリレートHPP−A、ライトアクリレートTMP−A、ライトアクリレートTMP−3EO−A、ライトアクリレートTMP−6EO−3A、ライトアクリレートPE−4A、ライトアクリレートDPE−6A、AT−600、AH−600(以上、共栄社化学(株)製)、アロニックスM−215、アロニックスM−220、アロニックスM−225、アロニックスM−270、アロニックスM−240、アロニックスM−310、アロニックスM−321、アロニックスM−350、アロニックスM−360、アロニックスM−370、アロニックスM−315、アロニックスM−325、アロニックスM−327(以上、東亞合成(株)製)、等が挙げられる。
前記重合性化合物を、熱又は光で硬化させる方法としては特に制限はなく、通常用いられる熱硬化方法及び光硬化方法を適宜選択して適用することができる。具体的には、熱重合開始剤あるいは光重合開始剤を用いて硬化させる方法を挙げることができる。
本発明に用いられる熱重合開始剤としては、熱により分解してラジカルを生成して重合性化合物の重合を開始し得るものであれば特に制限されない。例えば、有機過酸化物、アゾニトリル等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
有機過酸化物には、アルキルパーオキシド、アリールパーオキシド、アシルパーオキシド、アロイルパーオキシド、ケトンパーオキシド、パーオキシカボネート、パーオキシカーボキシレート等が含まれる。
アルキルパーオキシドとしては、ジイソプロピルパーオキシド、ジターシャリーブチルパーオキシド、ジターシャリーアミルパーオキシド、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ターシャリーアミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ターシャリーブチルヒドロ−パーオキシド等が挙げられる。アリールパーオキシドとしては、ジクミルパーオキシド、クミルヒドロパーオキシド等が挙げられ、アシルパーオキシドとしては、ジラウロイルパーオキシド等が挙げられる。アロイルパーオキシドとしては、ジベンゾイルパーオキシド等が挙げられる。ケトンパーオキシドとしては、メチルエチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド等を挙げることができる。
また、アゾニトリルとしては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソプロピルニトリル等が挙げられる。
光重合開始剤としては、光照射により分解してラジカルを発生して重合性化合物の重合を開始し得るものであれば特に制限されない。例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記有機バインダー樹脂を構成する重合性化合物として、前記特定(メタ)アクリレートに代えて、又はそれらと組み合わせて、以下に示す(a)〜(c)の前記特定(メタ)アクリレートとは異なる材料を用いることも可能である。
(a)分子内に水酸基を有する(メタ)アクリレートを含有する材料。
(b)ペンタエリスリトール骨格を有するウレタンアクリレートを含有する材料。
(c)分子内に1つ以上の重合性基を有するリン酸エステルを含有する材料。
(a)分子内に水酸基を有する(メタ)アクリレートを含有する材料
プライマー層形成に用いる分子内に水酸基を有する(メタ)アクリレートの具体的な例としては、(式1)〜(式8)で表される化合物が挙げられるが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。尚、(式1)〜(式8)にはアクリロイル基を有する化合物のみを挙げるが、アクリロイル基に代えてメタクリロイル基を有する化合物も同様に挙げることができる。
水酸基を有する(メタ)アクリレートは、さらには水酸基とペンタエリスリトール骨格とを有する(メタ)アクリレートであることがより好ましい。なお、「水酸基とペンタエリスリトール骨格とを有する(メタ)アクリレート」とは、(メタ)アクリレート分子内に水酸基があればペンタエリスリトールの水酸基は全て置換されていても構わないが、好ましくはペンタエリスリトールの少なくとも一つの水酸基が無置換であるものを示す。
尚、ペンタエリスリトール骨格については、下記(b)材料の段落で説明する。
本発明において用いられる分子内に水酸基を有する(メタ)アクリレートは、公知の方法で合成することが出来る。例えば、エポキシエステルの場合、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸とを不活性ガス中でエステル化触媒と重合禁止剤の存在下に反応させることにより得ることができる。
不活性ガスとしては窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素等が挙げられる。これらは単独又は併用して使用することができる。
エステル化触媒としては、トリエチルアミン、ピリジン誘導体、イミダゾール誘導体等の三級窒素を含有する化合物、トリメチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のリン化合物、又はテトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルアミン等のアミン塩等が用いられる。エステル化触媒の添加量は例えば、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸の総質量に対して0.000001〜20質量%、好ましくは0.001〜1質量%である。
重合禁止剤としてはハイドロキノン、ターシャリーブチルハイドロキノン等のそれ自体公知の重合禁止剤が用いられる。重合禁止剤の使用量は例えば、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸の総質量に対して0.000001〜0.1質量%の範囲から選択される。
エポキシエステルの例としては、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート(商品名:アロニックスM−5700、東亞合成(株)製、あるいは、商品名:エポキシエステルM−600A、共栄社化学(株)製)、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート(商品名:ライトエステルG−201P、共栄社化学(株)製)、グリセリンジグリシジルエーテルアクリル酸付加物(商品名:エポキシエステル80MFA、共栄社化学(株)製)等が挙げられる。
また、水酸基と、ペンタエリスリトール骨格とを有する(メタ)アクリレートは、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトール等と、アクリル酸又はメタクリル酸を空気中でエステル化触媒と重合禁止剤の存在下に反応させることにより得られる。ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールに対してアクリル酸あるいはメタクリル酸を縮合させる反応方法としては、特公平5−86972号公報、特開昭63−68642号公報に記載された公知の方法が適用できる。
分子内に水酸基を有する(メタ)アクリレートの市販品としては、特にライトエステルHOP、ライトエステルHOA、ライトエステルHOP−A、ライトエステルHOB、ライトエステルHO−MPP、ライトエステルP−1M、ライトエステルP−2M、ライトエステルG−101P、ライトエステルG−201P、ライトエステルHOB−A、エポキシエステルM−600A、ライトエステルHO−HH、ライトアクリレートHOA−HH、HOA−MPL、HOA−MPE、ライトアクリレートP−1A、ライトアクリレートPE−3A、エポキシエステル40EM、エポキシエステル70PA、エポキシエステル200PA、エポキシエステル80MFA、エポキシエステル3002M、エポキシエステル3002A、エポキシエステル3000MK、エポキシエステル3000A(以上、共栄社化学(株)製)、アロニックスM−215、アロニックスM−305、アロニックスM−306、アロニックスM−451、アロニックスM−403、アロニックスM−400、アロニックスM402、アロニックスM−404、アロニックスM−406(以上、東亞合成(株)製)、PM−21(日本化薬(株)製)、ホスマーPP、ホスマーPE、ホスマーM(以上、ユニケミカル(株)製)等が挙げられる。
(b)ペンタエリスリトール骨格を有するウレタンアクリレートを含有する材料
ここで、「ペンタエリスリトール骨格」とは、下記式(I)に示す部分構造を意味する。尚、式(I)中の「*」は、他の基との結合部位を意味する。
「ペンタエリスリトール骨格を有するウレタンアクリレート」とは、具体的には、ウレタンアクリレート分子内に存在するペンタエリスリトールの水酸基の少なくとも1つの水素がカルバモイル基で置換され、且つ少なくとも1つの水酸基が(メタ)アクリル酸でエステル化された構造を有する。このとき、カルバモイル基及び(メタ)アクリロイル基は置換基をさらに有していてもよい。なお、カルバモイル基で置換される水酸基と、(メタ)アクリル酸でエステル化される水酸基とが、下記式(I)で示される同一のペンタエリスリトール骨格に結合する水酸基である必要はない。
また、本発明におけるペンタエリスリトール骨格を有するウレタンアクリレートは、2つのペンタエリスリトール骨格が酸素を介して連結したジペンタエリスリトール骨格を有することも好ましい。その場合も、ペンタエリスリトールの水酸基の少なくとも1つの水素がカルバモイル基で置換され、且つ少なくとも1つの水酸基が(メタ)アクリル酸でエステル化されたものである。このとき、カルバモイル基及び(メタ)アクリロイル基は置換基をさらに有していてもよい。
ペンタエリスリトール骨格を有するウレタンアクリレートはさらには、IPDI(イソホロンジイソシアネート、すなわち、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート)骨格も同時に有することがより好ましい。また、このウレタンアクリレートはさらに分子内に水酸基をさらに有することが好ましい。
ここで、「IPDI骨格」とは、下記式(II)に示す構造を示す。
尚、式(II)中の「*」は、他の基との結合部位を意味する。
以下に、ペンタエリスリトール骨格を有するウレタンアクリレートの具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。尚、(式9)〜(式12)にはアクリロイル基を有する化合物のみを挙げるが、アクリロイル基に代えてメタクリロイル基を有する化合物も同様に挙げることができる。
なお、(式13)〜(式15)においてそれぞれのRは、互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、アクリロイル基、又はメタクリロイル基を表すが、Rのうち少なくとも1つは水素原子であることが好ましい。
ペンタエリスリトール骨格を有するウレタンアクリレートは公知の方法で合成することが出来る。例えば、一般的にウレタンアクリレートは、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基と、水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基とを公知の方法で反応させて得られることから、ペンタエリスリトール骨格を有するウレタンアクリレートも同様に、例えば、以下の製法1〜製法4のいずれかで製造することが可能である。
(製法1):ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物及びペンタエリスリトール骨格含有(メタ)アクリレートを一括して仕込んで反応させる方法。
(製法2):ポリオール化合物及びポリイソシアネート化合物を反応させ、次いでペンタエリスリトール骨格含有(メタ)アクリレートを反応させる方法。
(製法3):ポリイソシアネート化合物及びペンタエリスリトール骨格含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いでポリオール化合物を反応させる方法。
(製法4):ポリイソシアネート化合物及びペンタエリスリトール骨格含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いでポリオール化合物を反応させ、最後にまたペンタエリスリトール骨格含有(メタ)アクリレートを反応させる方法。
これらの反応には触媒を用いてもよく、例えば、ラウリル酸ジブチル錫等の錫系の触媒、三級アミン系触媒等が用いられる。
上記製法1〜製法4において用いられるペンタエリスリトール骨格含有(メタ)アクリレートとしては、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記製法1〜製法4において用いられるポリイソシアネート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート[すなわち、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート]、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
ペンタエリスリトール骨格を有するウレタンアクリレートとして、ペンタエリスリトール骨格を有するウレタンアクリレートを含む市販品を用いることもできる。市販品としては、UA−306H、UA−306I、UA−306T、UA−510H(共栄社化学(株)製)、HA−7903−11(日立化成工業(株)製)等が挙げられる。
ペンタエリスリトール骨格とIPDI骨格の両方を有するウレタンアクリレートは、上記製法1〜製法4のうち、ポリイソシアネート化合物としてイソホロンジイソシアネートを用いることにより得ることができる。
また、市販品を用いることもでき、ペンタエリスリトール骨格とIPDI骨格の両方を有するウレタンアクリレートを含む市販品として、具体的には下記を例示できる。
UVHC3000(フィラー非含有、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ合同会社製)、UVHC7000(フィラー非含有、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ合同会社製)等が挙げられる。
(c)分子内に1つ以上の重合性基を有するリン酸エステルを含有する材料
分子内に1つ以上の重合性基を有するリン酸エステルとしては、好ましくは分子内に1つ以上の重合性基を有するリン酸モノエステルあるいはリン酸ジエステルが挙げられる。分子内に1つ以上の重合性基を有するリン酸エステルは、通常、エステル部分に重合性基を有し、好ましくは1つのエステル部分に1つの重合性基を有する。分子内の重合性基の数は1個又は2個であることが好ましい。また、リン酸エステルは、好ましくは、分子内に(ポリ)エチレンオキサイド、(ポリ)プロピレンオキサイド等の(ポリ)アルキレンオキサイド構造を有する。
重合性基として、熱、エネルギー線の照射等により重合する基が好ましく、例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基等のエチレン性不飽和二重結合を有する基が挙げられる。
より具体的には、分子内に1つ以上の重合性基を有するリン酸エステルは、分子内に(メタ)アクリロイルオキシ基を有するリン酸モノエステルあるいはリン酸ジエステルであることが好ましい。
(メタ)アクリロイルオキシ基を有するリン酸モノエステルあるいはリン酸ジエステルの例としては、下記(式16)又は(式17)で表される化合物が挙げられる。
式16中、Rは炭素数1〜4個の直鎖もしくは分岐アルキレン基を示す。mは1以上の整数であり、好ましくは1〜10の整数であり、より好ましくは1〜6の整数である。nは1又は2である。Xはアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を示す。2以上のR又はXが含まれる場合、それぞれのR又はXは同一でも異なっていてもよい。
式17中、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜6個の直鎖もしくは分岐アルキレン基を示す。l及びmはそれぞれ独立に1以上の整数である。nは1又は2である。Xはアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を示す。2以上のR、R又はXが含まれる場合、それぞれのR、R又はXは同一でも異なっていてもよい。
式17で表される化合物において、lは好ましくは1〜10の整数であり、より好ましくは1〜5の整数である。mは好ましくは1〜5の整数であり、より好ましくは1〜2の整数である。
分子内に1つ以上の重合性基を有するリン酸エステルとして、具体的には、日本化薬(株)製のPM−21(下記式c−1)、共栄社(株)製のP−2M(下記式c−2)、P−1M(下記式c−3)、ユニケミカル(株)製のホスマーPE(下記式c−4)、ホスマーPP(下記式c−5)等が挙げられる。

これらの(メタ)アクリロイルオキシ基を有するリン酸モノエステルあるいはリン酸ジエステルは1種単独でも2種以上を混合して用いられてもよく、他の(メタ)アクリレート等と混合して用いられてもよい。
プライマー層中に含まれる有機バインダー樹脂の含有率は特に制限されない。調光層と基材との密着性の観点から、プライマー層の全固形分中に25質量%以上99.5質量%以下であることが好ましく、50質量%以上99.5質量%以下であることがより好ましい。
さらにプライマー層中に含まれる二酸化ケイ素粒子と有機バインダー樹脂の含有比率は特に制限されない。例えば、調光層及び基材の密着性とタック性の観点から、二酸化ケイ素粒子に対する有機バインダー樹脂の含有比率(有機バインダー樹脂/二酸化ケイ素粒子)として、1〜100であることが好ましく、2〜20であることがより好ましい。
プライマー層を有する透明導電性樹脂基材は、透明導電性樹脂基材のプライマー処理(プライマー層の形成)ことで得ることができる。
本発明における透明導電性樹脂基材のプライマー処理(プライマー層の形成)は、例えば、プライマー層を形成する材料を、バーコーター法、マイヤーバーコーター法、アプリケーター法、ドクターブレード法、ロールコーター法、ダイコーター法、コンマコーター法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法等を単独又は組み合わせて用いて、透明導電性樹脂基材に塗布することにより行うことができる。
前記プライマー層を形成する材料は、有機バインダー樹脂又はその前駆体である重合性モノマー及び重合性オリゴマーから選ばれる少なくとも1種の重合性化合物と、二酸化ケイ素粒子とを含み、必要に応じてその他の成分を含んで構成される。
前記プライマー層を形成する材料を塗布する際は、必要に応じて適当な溶剤で希釈して得られるプライマー層を形成する材料の分散物を用いてもよい。溶剤を用いた場合には、透明導電性樹脂基材上に塗布した後に乾燥工程を設けることが好ましい。尚、プライマー層となる塗膜は必要に応じて透明導電性樹脂基材の片面のみ(透明導電膜側)に形成してもよいし、含浸法やディップコート法によって両面に形成してもよい。
プライマー層形成に用いる溶剤としては、プライマー層を形成する材料を溶解あるいは分散可能であり、乾燥等により除去されてプライマー層を形成できるものであればよい。具体的にはイソプロピルアルコール、エタノール、メタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエタノール、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、アニソール、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘプタン、シクロヘキサン、エチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチルジグリコール、ジメチルジグリコール、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル等を用いることができ、これらの混合溶媒でもよい。
前記プライマー層は、重合性モノマー及び重合性オリゴマーから選ばれる少なくとも1種である重合性化合物と、前記二酸化ケイ素粒子とを含む前駆体層を、熱又は光で硬化させてなるものであることが好ましく、前記重合性化合物は(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含むことが好ましい。前記前駆体層は例えば、既述のようにプライマー層を形成する材料を透明導電性樹脂基材上に塗布した後に乾燥することで形成することができる。また、前記重合性化合物を熱又は光で硬化させる条件は特に制限されず、通常用いられる条件から適宜選択することができる。
〔調光層〕
本発明における調光層は、樹脂マトリックスと該樹脂マトリックス中に分散した光調整懸濁液とを含む調光材料を用いて形成される。なお、樹脂マトリックスは高分子媒体の硬化物であり、光調整懸濁液は光調整粒子が流動可能な状態で分散媒中に分散したものである。高分子媒体及び分散媒(光調整懸濁液中の分散媒)としては、高分子媒体及びその硬化物と分散媒とが、少なくともフィルム化したときに互いに相分離しうるものを用いる。互いに非相溶又は部分相溶性の高分子媒体と分散媒とを組み合わせて用いることが好ましい。
(高分子媒体)
本発明において用いられる高分子媒体としては、(A)(メタ)アクリロイル基を有する樹脂及び(B)光重合開始剤を含み、紫外線、可視光線、電子線等のエネルギー線を照射することにより硬化するものが挙げられる。
(A)(メタ)アクリロイル基を有する樹脂としては、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等が合成容易性、調光性能、耐久性等の点から好ましい。これらの樹脂は、置換基として、(メタ)アクリロイル基に加えて、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を有することが、調光性能、耐久性等の点から好ましい。
前記ポリシロキサン系樹脂の具体例としては、例えば、特公昭53−36515号公報、特公昭57−52371号公報、特公昭58−53656号公報、特公昭61−17863号公報等に記載の樹脂を挙げることができる。
前記ポリシロキサン系樹脂は、例えば、両末端シラノールポリジメチルシロキサン、両末端シラノールポリジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、両末端シラノールポリジメチルジフェニルシロキサン等の両末端シラノールシロキサンポリマー、トリメチルエトキシシラン等のトリアルキルアルコキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基含有シラン化合物等を、2−エチルヘキサン錫等の有機錫系触媒の存在下で、脱水素縮合反応及び脱アルコール反応させて合成される。またポリシロキサン系樹脂の形態としては、無溶剤型が好ましく用いられる。すなわち、ポリシロキサン系樹脂の合成に溶剤を用いた場合には、合成反応後に溶剤を除去することが好ましい。
本発明における(メタ)アクリロイル基含有ポリシロキサン系樹脂中の(メタ)アクリロイル基を含有する繰り返し単位数は、繰り返し単位数全体の1.3質量%〜5.0質量%であることが好ましく、1.5質量%〜4.5質量%であることがより好ましい。
本発明の(メタ)アクリロイル基含有ポリシロキサン系樹脂中の(メタ)アクリロイル基を含有する繰り返し単位数を、繰り返し単位数全体の1.3〜5.0質量%とするためには、ポリシロキサン系樹脂の製造方法において、(メタ)アクリロイル基含有シラノール化合物をポリシロキサン系樹脂の縮合原料の総量(シラノール基含有シロキサン系モノマー及び/又はオリゴマー、(メタ)アクリロイル基含有シラノール化合物及び必要により添加するエンドキャップ剤の合計総量)の2.3質量%〜6.9質量%とすることにより達成可能である。
前記(メタ)アクリロイル基含有ポリシロキサン樹脂の重量平均分子量は、35,000〜60,000であることが好ましく、37,000〜58,000であることがさらに好ましく、40,000〜55,000であることがより好ましい。
(メタ)アクリロイル基含有ポリシロキサン樹脂の重量平均分子量を上記範囲とするには、例えば、重合工程においてGPCで分子量の測定を行いながら35,000〜60,000になった時点で反応を停止すればよい。
前記アクリル系樹脂は、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレン等の主鎖形成用モノマーと、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸イソシアネートエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリロイル基導入用官能基含有モノマー等とを共重合して、プレポリマーを一旦合成し、次いで、このプレポリマーの(メタ)アクリロイル基導入用官能基と反応させるべく(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸イソシアネートエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸等のモノマーを前記プレポリマーに付加反応させることにより得ることができる。
また、前記ポリエステル樹脂は、特に制限はなく、公知の方法で容易に製造できるものが挙げられる。
尚、(A)(メタ)アクリロイル基を有する樹脂の(メタ)アクリロイル基濃度は、NMRの水素の積分強度比から求められる。また、仕込み原料の樹脂への転化率がわかる場合は、計算によっても求められる。
高分子媒体に用いる、(B)光重合開始剤としては、光照射により分解してラジカルを発生して重合性化合物の重合を開始し得るものであればよい。具体的には、既述のプライマー層における光重合開始剤と同様のものを挙げることができる。
(B)光重合開始剤の含有量は、上記の(A)樹脂100質量部に対して0.1質量部〜20質量部であることが好ましく、0.2質量部〜10質量部であることがより好ましい。
また、上記の(A)(メタ)アクリロイル基を有する樹脂の他に、有機溶剤可溶型樹脂又は熱可塑性樹脂、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜100,000のポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等も高分子媒体の構成材料として併用することができる。
また、高分子媒体中には、ジブチル錫ジラウレート等の着色防止剤等の添加物を必要に応じて添加してもよい。さらに、高分子媒体には、溶剤が含まれていてもよく、溶剤としては、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘプタン、シクロヘキサン、エチルアセテート、エタノール、メタノール、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル等を用いることができる。
(光調整懸濁液)
本発明に係る光調整懸濁液は、図2又は図3に示すように分散媒9中に光調整粒子10が流動可能に分散されてなる。
(分散媒)
光調整懸濁液中の分散媒としては、上記高分子媒体及びその硬化物である樹脂マトリックスと相分離するものが用いられる。好ましくは、光調整粒子を流動可能な状態で分散させる役割を果たし、また、光調整粒子に選択的に付着被覆し、高分子媒体との相分離の際に光調整粒子が相分離された液滴相に移動するように作用する分散媒が好ましい。また、導電性がなく、高分子媒体とは親和性がなく、調光フィルムとした際に高分子媒体から形成される樹脂マトリックスとの屈折率が近似した分散媒が好ましい。このような性質を有する分散媒として、液状共重合体を使用する。
分散媒としては、例えば、フルオロ基及び水酸基の少なくとも一方を有する(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーが好ましく、フルオロ基及び水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーがより好ましい。このような共重合体を使用すると、フルオロ基、水酸基のどちらか1つのモノマー単位は光調整粒子に親和性があり、残りのモノマー単位は高分子媒体中で光調整懸濁液が液滴として安定に維持するために働くことから、光調整懸濁液内に光調整粒子が分散しやすく、相分離の際に光調整粒子が相分離される液滴内に誘導されやすい。
このようなフルオロ基及び水酸基の少なくとも1種を有する(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーとしては、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、アクリル酸3,5,5−トリメチルヘキシル/アクリル酸2−ヒドロキシプロピル/フマール酸共重合体、アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、アクリル酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、アクリル酸1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、アクリル酸1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリル酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリル酸1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリル酸1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリル酸ブチル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリル酸ヘキシル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリル酸オクチル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリル酸デシル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリル酸ウンデシル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリル酸ドデシル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリル酸トリデシル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリル酸テトラデシル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリル酸ヘキサデシル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、及びメタクリル酸オクタデシル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体等が挙げられる。
これらの(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が、1,000〜20,000であることが好ましく、2,000〜10,000であることがより好ましい。
これらの(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーの原料となるフルオロ基含有モノマーの使用量は、原料であるモノマー総質量の6質量%〜12質量%であることが好ましく、より効果的には7質量%〜8質量%である。フルオロ基含有モノマーの使用量が12質量%以下の場合には、屈折率の上昇が抑えられ、光透過率に優れる傾向がある。
また、これらの(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーの原料となる、水酸基含有モノマーの使用量は、原料であるモノマー総質量の0.5質量%〜22.0質量%であることが好ましく、より効果的には1質量%〜8質量%である。水酸基含有モノマーの使用量が22.0質量%以下の場合には、屈折率の上昇が抑えられ、光透過率に優れる傾向がある。
分散媒の屈折率は、前記高分子媒体から形成される樹脂マトリックスの屈折率と近似していることが好ましく、具体的には、1.467〜1.477であることが好ましく、1.469〜1.475であることがより好ましく、1.470〜1.474であることが更に好ましい。
(光調整粒子)
光調整粒子としては、例えば、光調整粒子の前駆体であるピラジン−2,3−ジカルボン酸・2水和物、ピラジン−2,5−ジカルボン酸・2水和物、ピリジン−2,5−ジカルボン酸・1水和物からなる群の中から選ばれた1つの物質とヨウ素とヨウ化物とを反応させて作ったポリヨウ化物の針状小結晶が好ましく用いられる。光調整粒子は、高分子媒体、又は高分子媒体中の樹脂成分(即ち上記の(A)(メタ)アクリロイル基を有する置換基をもつ樹脂等と親和力がなく、また光調整粒子の分散性を高めることができる高分子分散剤の存在下で調製される。使用しうる高分子分散剤としては、例えば、ニトロセルロース等が挙げられる。ヨウ化物としては、ヨウ化カルシウム等が挙げられる。
このようにして得られるポリヨウ化物としては、例えば、下記一般式
CaI(C)・xHO (x:1〜2)
CaI(C・cHO (a:3〜7、b:1〜2、c:1〜3)
で表されるものが挙げられる。これらのポリヨウ化物は針状結晶であることが好ましい。
また、調光フィルム用光調整懸濁液に用いる光調整粒子として米国特許第2,041,138号明細書(E.H.Land)、米国特許第2,306,108号明細書(Landら)、米国特許第2,375,963号明細書(Thomas)、米国特許第4,270,841号明細書(R.L.Saxe)及び英国特許第433,455号明細書に開示されている光調整粒子も、使用することができる。これらの特許によって公知とされたポリヨウ化物の結晶は、ピラジンカルボン酸、又はピリジンカルボン酸の1つを選択して、ヨウ素、塩素又は臭素と反応させることにより、ポリヨウ化物、ポリ塩化物又はポリ臭化物等のポリハロゲン化物とすることによって作製されている。これらのポリハロゲン化物は、ハロゲン原子が無機質又は有機質と反応した錯化合物で、これらの詳しい製法は、例えば、サックスの米国特許第4,422,963号明細書に開示されている。
サックスが開示しているように、光調整粒子を合成する過程において、均一な大きさの光調整粒子を形成させるため、及び、特定の分散媒内での光調整粒子の分散性を向上させるため、上述したように高分子分散剤としてニトロセルロースのような高分子物質を使用することが好ましい。しかしながら、ニトロセルロースを用いると、ニトロセルロースで被覆された結晶が得られ、このような結晶を光調整粒子として用いる場合、光調整粒子は相分離の時に分離される液滴内に浮遊せず、樹脂マトリックス内に残存することがある。これを防ぐためには、高分子媒体の(A)(メタ)アクリロイル基を有する樹脂として、(メタ)アクリロイル基を有するポリシロキサン系樹脂を用いることが好ましい。
(メタ)アクリロイル基を有するポリシロキサン系樹脂を用いた場合には、フィルム製造の際に光調整粒子が相分離により形成された微細な液滴内へ容易に分散、浮遊し、その結果、より優れた可変能力を得ることができる。
光調整粒子の粒子サイズは、調光フィルムとしたときの印加電圧に対する応答時間と、光調整懸濁液中の凝集及び沈殿との関係から、以下のサイズが好ましい。
光調整粒子の平均長径は、225nm〜625nmが好ましく、250nm〜550nmがより好ましく、300nm〜500nmがさらに好ましい。
光調整粒子の短径に対する長径の比率、すなわちアスペクト比の平均値は3〜8が好ましく、3.3〜7がより好ましく、3.6〜6が更に好ましい。
本発明における光調整粒子の長径と短径は、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡等の電子顕微鏡で光調整粒子を撮影し、撮影した画像より任意に50個の光調整粒子を抽出し、各光調整粒子の長径と短径を平均値として算出することができる。ここで、長径とは、上記撮影した画像により二次元視野内に投影された光調整粒子について、最も長い部分の長さとする。また、短径とは、上記長径に直交する最も長い部分の長さとする。
また、本発明における光調整粒子の粒子径を評価する方法として、光子相関法や動的光散乱法の原理を用いた粒度分布計を用いることができる。この方法では直接粒子の大きさや形状を計測するのではなく、粒子を球状と仮定して相当径を評価することになり、SEM観察とは異なる値となる。特に、シスメックス株式会社製ゼータサイザーナノシリーズを用い、Z averageとして出力される相当径を粒子径とした場合に、光調整粒子の平均粒子径(以下、「粒度分布測定により求められる平均粒子径」ともいう)は135nm〜220nmが好ましく、140nm〜210nmがより好ましく、145nm〜205nmが更に好ましい。
このZ average値は例えば光相関法や動的光散乱法に基づいた、違う粒度分布計の測定値、具体的には上述の透過型電子顕微鏡等の電子顕微鏡で測定される光調整粒子の長径、短径とよい相関を示すことが知られおり、粒子径を評価する指標として適当である。
本発明における光調整粒子は、光調整懸濁液の全質量中に、1質量%〜15質量%含有することが好ましく、2質量%〜10質量%含有することがより好ましい。1質量%以上の場合には、調光フィルムとした際の遮光効果が大きくなり好適である。また、15質量%以下の場合には、調光フィルム製造の際にエネルギー線によるシロキサン樹脂の硬化の阻害が抑えられる。
また、本発明における分散媒は、光調整懸濁液の全質量中に、30質量%〜99質量%含有することが好ましく、50質量%〜96質量%含有することがより好ましい。30質量%以上の場合には遮光効果が大きくなり、99質量%以下の場合には、シロキサン樹脂の硬化の阻害が抑制される。
また、調光材料は、光調整懸濁液を、高分子媒体100質量部に対して、1質量部〜100質量部含有することが好ましく、4質量部〜70質量部含有することがより好ましく、6質量部〜60質量部含有することがさらに好ましく、8質量部〜50質量部含有することが特に好ましい。光調整懸濁液の含有量が1質量%以上の場合には、遮光効果に優れ、100質量%以下の場合にはシロキサン樹脂の硬化の阻害が抑えられる。
本発明における高分子媒体の屈折率と分散媒の屈折率は近似していることが好ましい。具体的には、本発明における高分子媒体と分散媒との屈折率の差は、好ましくは0.005以下、より好ましくは0.003以下である。高分子媒体の屈折率と分散媒の屈折率との差が0.005以下の場合には、調光フィルムの濁度が低くなり、透明性に優れた調光フィルムとなる。
<調光フィルムの作製方法>
調光フィルムを得るためには、まず、液状の光調整懸濁液を、高分子媒体と均質に混合し、光調整懸濁液が高分子媒体中に液滴状態で分散した混合液からなる調光材料を調製する。
具体的には、以下のようにして調光材料を調製する。光調整粒子を溶媒に分散した液と光調整懸濁液の分散媒とを混合し、ロータリーエバポレーター等で溶媒を留去し、光調整懸濁液を作製する。
次いで、光調整懸濁液及び高分子媒体を混合し、光調整懸濁液が高分子媒体中に液滴状態で分散した混合液(調光材料)とする。調光材料は、前記高分子媒体100質量部に対して、前記光調整懸濁液を通常1質量部〜100質量部、好ましくは6質量部〜70質量部、より好ましくは6質量部〜60質量部含有する。
この調光材料を、前記透明導電性樹脂基材の透明導電層上に一定な厚さで塗布し、調光層を形成する。調光材料の塗布には、例えば、バーコーター、アプリケーター、ドクターブレード、ロールコーター、ダイコーター、コンマコーター等の公知の塗工手段を用いることができる。調光材料は、基材上に設けたプライマー層面に塗布してもよく、又は、一方にプライマー層を有さない基材を用いる場合には、基材に直接塗布することもできる。なお、塗布する際は、必要に応じて、適当な溶剤で希釈してもよい。溶剤を用いた場合には、透明導電性樹脂基材上に塗布した後に乾燥を要する。
調光材料の塗布に用いる溶剤としては、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘプタン、シクロヘキサン、エチルアセテート、エタノール、メタノール、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル等を用いることができる。液状の光調整懸濁液が、固体の樹脂マトリックス中に微細な液滴形態で分散されているフィルムを形成するためには、調光材料をホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等で混合して高分子媒体中に光調整懸濁液を微細に分散させる方法、高分子媒体中の樹脂成分の重合による相分離法、溶媒揮発による相分離法、又は温度による相分離法等を利用することができる。
調光材料を塗布した後、又は必要に応じて調光材料に含有される溶剤を乾燥除去した後、高圧水銀灯等を用いて紫外線を照射し高分子媒体を硬化させる。その結果、硬化した高分子媒体からなる樹脂マトリックス中に、光調整懸濁液が液滴状に分散されている調光層が形成される。高分子媒体と光調整懸濁液との混合比率を様々に変えることにより、調光層の光透過率を調節することができる。
樹脂マトリックス中に分散されている光調整懸濁液の液滴の大きさ(平均液滴径)は、通常0.5μm〜100μm、好ましくは0.5μm〜20μm、より好ましいくは1μm〜5μmである。液滴の大きさは、光調整懸濁液を構成している各成分の濃度、光調整懸濁液及び高分子媒体の粘度、光調整懸濁液中の分散媒の高分子媒体に対する相溶性等により決められる。
平均液滴径は、例えば、SEMを用いて、調光フィルムの一方の面方向から写真等の画像を撮影し、任意に選択した複数の液滴直径を測定し、その平均値として算出することができる。また、調光フィルムの光学顕微鏡での視野画像をデジタルデータとしてコンピュータに取り込み、画像処理インテグレーションソフトウェアを使用し算出することも可能である。
このようにして形成された調光層の上に、もう一方の透明導電性樹脂基材を密着させることにより、調光フィルムが得られる。
又は、前記調光材料を、基材上に一定な厚さで塗布し、必要に応じて調光材料中の溶剤を乾燥除去した後、もう一方の基材でラミネートした後に、紫外線を照射して高分子媒体を硬化させてもよい。
更には、2枚の透明導電性樹脂基材の両方の透明導電層上に調光層を形成し、その調光層同士が密着するようにして積層してもよい。
調光層の厚みは、5μm〜1,000μmが好ましく、20μm〜100μmがより好ましい。
<調光フィルムによる調光>
本発明の調光フィルムの製造方法により得られる調光フィルムは、電場の形成により任意に光透過率を調節できる。この調光フィルムは、電場が形成されていない場合には、光の散乱のない鮮明な着色状態を維持し、電場が形成されると透明な状態に転換される。この能力は、20万回以上の可逆的反復特性を示す。
調光フィルムを作動させるための使用電源は交流で、10ボルト〜100ボルト(実効値)、30Hz〜500kHzの周波数範囲とすることができる。本発明の調光フィルムは、電界に対する応答時間を、消色時には1秒〜50秒以内、着色時には1秒〜100秒以内とすることができる。
また、紫外線耐久性は、750W紫外線等を利用した紫外線照射試験の結果、250時間が経過した後にも安定な可変特性を示し、−50℃〜90℃で長時間放置した場合にも、初期の可変特性を維持することが可能である。
従来技術である液晶を使用した調光フィルムの製造において、水を用いたエマルションによる方法を使用すると、液晶が水分と反応して光調整特性を失うことが多く、同一の特性のフィルムを製造しにくいという課題がある。
しかし、本発明においては、液晶ではなく、光調整粒子が光調整懸濁液内に分散されている液状の光調整懸濁液を使用するため、液晶を利用した調光フィルムとは異なり、電界が印加されていない場合にも光が散乱せず、鮮明度が優れて視野角の制限のない着色状態を示す。そして、光調整粒子の含量、液滴形態や層厚を調節したり、又は電界強度を調節したりすることにより、光可変度を任意に調節できる。
また、本発明の調光フィルムは、液晶を用いないことから、紫外線露光による色調変化及び可変能力の低下、大型製品特有の透明導電性樹脂基材の周辺部と中央部間に生ずる電圧降下に伴う応答時間差も解消される。
図2に示すように、本発明による調光フィルムに電界が印加されていないときには、光調整懸濁液内の光調整粒子のブラウン運動のため、光調整粒子の光吸収、2色性効果による鮮明な着色状態を示す。しかし、図3に示すように、電界が印加されると、液滴又は液滴連結体の中の光調整粒子が電場に平行に配列され、透明な状態に転換される。
また、本発明の調光フィルムはフィルム状態であるので、液状の光調整懸濁液をそのまま使用する従来技術による調光硝子の問題点が解消される。即ち、2枚の透明導電性樹脂基材の間への液状の懸濁液の注入の困難性、製品の上下間の水圧差による下部の膨張現象、風圧等の外部環境による基材間隔の変化による局部的な色相変化、透明導電性樹脂基材の間の密封材の破壊による調光材料の漏洩が解決される。
また、液晶を利用した従来技術による調光窓の場合には、液晶が紫外線により容易に劣化し、またネマチック液晶の熱的特性によりその使用温度の範囲も狭い。更に、光学特性面においても、電界が印加されていない場合には光散乱による乳白色の半透明な状態を示し、電界が印加される場合にも、完全には鮮明化せず、乳濁状態が残存する課題がある。従って、このような調光窓では、既存の液晶表示素子で動作原理として利用されている光の遮断及び透過による表示機能が不可能である。しかし、本発明による調光フィルムを使用すれば、このような課題が解決できる。
本発明の調光フィルムは、例えば、室内外の仕切り(パーティッション)、建築物用の窓硝子/天窓、電子産業及び映像機器に使用される各種平面表示素子、各種計器板と既存の液晶表示素子の代替品、光シャッター、各種室内外広告及び案内標示板、航空機/鉄道車両/船舶用の窓硝子、自動車用の窓硝子/バックミラー/サンルーフ、眼鏡、サングラス、サンバイザー等の用途に好適に使用することができる。
適用法としては、本発明の調光フィルムを直接使用することも可能であるが、用途によっては、例えば、本発明の調光フィルムを2枚の基材に挟持させて使用したり、基材の片面に貼り付けて使用したりしてもよい。前記基材としては、例えば、ガラスや、上記透明樹脂基材と同様の高分子フィルム等を使用することができる。
以下、本発明の実施例及びその比較例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<光調整粒子の製造例>
ヨウ素(JIS試薬特級、和光純薬工業(株)製)と酢酸イソペンチル(試薬特級、和光純薬工業(株)製)から8.5質量%ヨウ素の酢酸イソペンチル溶液(以下「ヨウ素溶液」と称する)を調製した。またニトロセルロース1/4LIG(商品名:ベルジュラックNC社製)と酢酸イソペンチルから20.0質量%硝酸セルロースの酢酸イソペンチル溶液(以下「硝酸セルロース溶液」と称する)を調製した。更に、ヨウ化カルシウム水和物(化学用、和光純薬工業(株)製)を加熱乾燥して無水化した後、酢酸イソペンチルに溶解させ、20.9質量%ヨウ化カルシウム溶液を調整した。
300mlの四口フラスコに撹拌機と冷却管を備え、前記ヨウ素溶液の65.6g、前記硝酸セルロース溶液の82.93gを加え、水浴温度を35〜40℃として四口フラスコを加熱した。四口フラスコ内容物の温度が35〜40℃となった後、脱水メタノール(試薬特級、和光純薬工業(株)製)を7.41g、精製水(和光純薬工業(株)製)を0.525g加えて撹拌した。そこに、ヨウ化カルシウム溶液を15.6g、次いでピラジン−2,5−ジカルボン酸(日化テクノサービス(株)製)を3.70g加えた。水浴温度を42〜44℃として4時間撹拌した後、放冷し、光調整粒子を含む合成液を得た。
得られた光調整粒子は、粒度分布測定(サブミクロン粒子アナライザ(製品名:N4MD、ベックマン・コールタ社製)で測定)で求められる平均粒子径が185nm、SEM観察による平均長径は310nm、平均アスペクト比は4.4であった。なお、SEMによる観察では、100個の光調整粒子から、長径及びアスペクト比の平均値を求めた。
また、得られた合成液を9260Gで5時間遠心分離後、傾斜して上澄み液を除き、底部に残存した沈殿にこの沈殿の質量の5倍の酢酸イソペンチルを加え、超音波で沈殿を分散し、液全体の質量を測定した。この分散した液を1g金属プレートに秤量し、120℃1時間で乾燥後、再び質量を測定し、不揮発分比率を求めた。この不揮発分比と液全体の質量から全不揮発分量、すなわち沈殿収量4.15gを求めた。
<光調整懸濁液の製造例>
前記の(光調整粒子の製造例)で得た光調整粒子45.5gを、光調整懸濁液の分散媒としてのアクリル酸ブチル(和光特級、和光純薬工業(株)製)/メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル(工業用、共栄社化学工業(株)製)/アクリル酸2−ヒドロキシエチル(和光1級、和光純薬工業(株)製)の共重合体(モノマーモル比:18/1.5/0.5、重量平均分子量:3,800、屈折率1.4719)50gに加え、撹拌機により30分間混合した。次いで酢酸イソアミルを、ロータリーエバポレーターを用いて133Paの真空で80℃、3時間減圧除去し、光調整粒子の沈降及び凝集現象のない安定な液状の光調整懸濁液を製造した。
(エネルギー線硬化型ポリシロキサン系樹脂の製造例)
ディーンスタークトラップ、冷却管、撹拌機、加熱装置を備えた四つ口フラスコに、(3−アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン(商品名:KBM−5102、信越化学工業(株)製)15.0g、蒸留水1.9g、酢酸(和光純薬工業(株)製)0.04g、質量比でエタノール/メタノール=9/1の混合溶媒8.9gを仕込み、65℃に昇温して5時間反応させた。反応溶液を40℃以下まで冷却した後、100Paに減圧して70℃まで昇温して2時間、脱溶工程を行った。その後、室温まで冷却してアルコキシシランの一部をシラノールへ変換した化合物14.0gを得た。また、シラノールへの変換率は54.5%であった。
アルコキシシランのシラノールへの変換率は、赤外分光測定における水酸基由来のピーク(3435cm−1付近)の強度(A)とアルコキシ基由来のピーク(2835cm−1付近)の強度(B)から変換率=A/(A+B)×100により求められる。ジメトキシシランをシラノールに変換後の赤外分光測定より、(A)がAbs=0.250、(B)がAbs=0.211であったことから、変換率は54.5%と算出した。
ディーンスタークトラップ、冷却管、撹拌機、加熱装置を備えた四つ口フラスコに、両末端シラノールポリジメチルシロキサン(商品名:X−21−3114、信越化学工業(株)製)48.0g、両末端シラノールポリジメチルジフェニルシロキサン(商品名:X−21−3193B、信越化学工業(株)製)170.0g、前記KBM−5102のメトキシ基をシラノールに変換したもの9.0g、ビス(2−エチルヘキサン酸)錫(商品名:KCS−405T、城北化学工業(株)製)0.01gを仕込み、ヘプタン中100℃で5時間還流し、反応を行った。温度を50℃まで冷却し、トリメチルエトキシシラン(商品名:KBM−31、信越化学工業(株)製)109.0gを添加し、再び85℃において2時間還流してエンドキャップ反応させた。
次いで温度を75℃に冷却してリン酸ジエチル(別名:エチルアシッドホスフェート)(商品名:JP−502、城北化学工業(株)製)0.01g(脱水縮合触媒ビス(2−エチルヘキサン酸)錫と同質量)を添加し20分攪拌した後、30℃まで冷却した。次いでメタノールを210g、エタノールを90g添加し20分攪拌した。12時間静置した後アルコール層を除去し、100Paに減圧して115℃に昇温し5時間、脱溶を行い、重量平均分子量46,700、粘度16,000mPa・s、屈折率1.4744のポリシロキサン樹脂148.8gを得た。
このとき、ポリシロキサンの繰り返し単位の原料シロキサン及びシラン化合物総量に対するKBM−5102のメトキシ基をシラノールに変換したものの割合は、4.2質量%であった。
また、NMRの水素積分比から、この樹脂の3−アクリロキシプロピルメチルシロキサン繰り返し単位数は、1.9質量%であった。なお、エチレン性不飽和結合濃度は下記の方法により測定した。
−エチレン性不飽和結合濃度の測定方法−
3−アクリロキシプロピルメチルシロキサン繰り返し単位数を、NMRの水素積分比から算出した。NMRチャートにおいて、エチレン性不飽和結合の水素の6ppm近傍の積分値、フェニル基の水素の7.5ppm近傍の積分値、及びメチル基の水素の0.1ppm近傍の積分値を使用した。測定溶媒はCDClとした。
上記で製造した樹脂において、NMRの水素積分比から算出した(ジフェニルシロキサンのメチル基由来1H):(ジメチルシロキサンのフェニル基由来1H):(3−アクリロキシプロピルメチルシロキサンのビニル基に結合する1H)=10.00:27.89:0.61、であった。各繰り返し単位に含まれる水素数は、ジフェニルシロキサンが10個、ジメチルシロキサンが6個、3−アクリロキシプロピルメチルシロキサンのビニル基に結合する水素が3個であるから、全体の中の3−アクリロキシプロピルメチルシロキサン繰り返し単位数は1.9質量%と算出した。
<調光材料の製造例>
上記「エネルギー線硬化型シリコーン系樹脂の製造例」で得たエネルギー線硬化型ポリシロキサン系樹脂7.0g、光重合開始剤としてのビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(商品名:イルガキュア819、BASFジャパン(株)製)0.2g、前記「光調整懸濁液の製造例」で得た光調整懸濁液3.0gを添加し、1分間機械的に混合し、調光材料を製造した。
[実施例1]
(プライマー層形成用塗布液の調製)
ペンタエリスリトール骨格を有するUVHC7000(商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ合同会社製)を1.5質量%、表面無処理SiO粒子(商品名:SIRPGM15WT%−E24、CIKナノテック(株)製、平均粒径:20nm)を0.15質量%、1−メトキシ−2−プロパノール/イソプロピルアルコール=7/3(質量比)の混合溶媒を98.35質量%の割合となるように混合し、プライマー層形成用塗布液を調製した。プライマー層形成用塗布液の固形分量に対する表面無処理SiO粒子の含有量は9.1質量%である。
(プライマー層付き透明導電性樹脂基材の製造)
ITO(インジウム錫の酸化物)の透明導電膜(厚み30nm)がコーティングされている表面抵抗率200〜700Ω/□のPETフィルム(300R、東洋紡績(株)製、厚み125μm)からなる透明導電性樹脂基材を準備した。この透明導電性樹脂基材の透明導電膜上に、前記プライマー層形成用塗布液を、マイクログラビア法(メッシュ#150)を用いて、全面塗布して、50℃/30秒、60℃/30秒、70℃/1分乾燥した後、UV照射4000mJ/cm(メタルハライドランプ)で光硬化してプライマー層を形成した。得られたプライマー層の平均膜厚は、74nmであった。このプライマー層付き透明導電性樹脂基材を2枚作製した。
なお、プライマー層の厚みは、瞬間分光光度計F−20(フィルメトリクス(株)製)を用いて測定した。この時、F−20の膜厚測定レシピにおいて、ITOの屈折率と膜厚をそれぞれ1.7523及び23.5nmに固定し、プライマー層の膜厚と屈折率をフィッティングする設定で測定を行った。
(調光フィルムの製造)
前記(プライマー層付き透明導電性樹脂基材の製造)で得たプライマー層付き透明導電性樹脂基材の上に、前記(調整材料の製造例)で得た調光材料を全面塗布して塗布層を形成した。次いでその塗布層上に、もう一枚のプライマー層付き透明導電性樹脂基材をプライマー層が調光材料の塗布層に対向するように積層して密着させた。
次いでメタルハライドランプを用いて4000mJ/cmの紫外線を前記積層した透明導電性樹脂基材のポリエステルフィルム側から照射して、塗布層を紫外線硬化させた。これにより、紫外線硬化した樹脂マトリックス内に光調整懸濁液が球形の液滴として分散形成された調光層が形成された。光調整懸濁液の液滴の大きさ(平均液滴径)は、3μmであった。光調整懸濁液の液滴の大きさは以下の方法で測定した。
−光調整懸濁液の液滴の大きさの測定方法−
調光フィルムの一方の面方向からSEM写真を撮影し、任意に選択した複数の液滴直径を測定し、その平均値として算出した。
また、形成された調光層の厚みは90μmであった。2つの透明導電性樹脂基材に調光層が挟まれた調光フィルムの総厚みは340μmであった。
(試験体の作製)
図4に示すように、透明導電膜5aの一部を露出させてタップ領域12を形成するために、上記で得られた調光フィルムの端部から調光層1及びプライマー層6の一部を除去する。露出した透明導電膜5aに導線13を接続して電圧印加用の通電をとった試験体を作製した。
<評価方法>
上記で得られた試験体について、以下のような評価を行なった。評価結果を表1に示す。
−調光性能の評価−
分光式色差計SZ−Σ90(日本電色工業(株)製)を使用し、A光源、視野角2度で測定したY値(%)を光透過率とした。なお、試験体の電界印加時と未印加時の光透過率を測定した。
前記試験体の光透過率は、交流電圧を印加しない場合(未印加時)は1.0%であった。また、50Hzの交流電圧100V(実効値)の電圧を印加したときの調光フィルムの光透過率は48%であった。電界印加時と電界未印加時の光透過率の比が48と大きく、良好な調光性能を示した。
−調光層の粘着強度の測定方法−
小型卓上試験器(精密万能試験器)、EZ−S((株)島津製作所製)を使用し、試験体の調光層から透明導電性樹脂基材を、90°ピール、ロード加重50N、引き上げスピード50mm/minで引き剥がすように行い、初期の粘着強度を測定した。
−転写性の評価方法−
プライマー層とITO/PETのPET面を重ね合わせて約1kgの重りを乗せた状態で1週間保管し、プライマー層がITO/PETのPET面に転写しているかを、目視で確認し、下記基準により評価した。
A:転写の割合がプライマー塗工面積全体の5%以下
B:転写の割合がプライマー塗工面積全体の5〜30%
C:転写の割合がプライマー塗工面積全体の30%以上
−タックの評価方法−
上記同様の方法で、プライマー層付き透明導電性樹脂基材を2枚準備し、一方の透明導電性樹脂基材のプライマー層の上に上記調光材料を塗工し、調光材料の塗布層を形成した。そして、他の一方の透明導電性樹脂基材のプライマー層が前記塗布層に対向するように配置して、ロール・トゥ・ロールにより張力をかけながらラミネートした。このとき金属ロール(SUS製、ハードクロムめっき)がプライマー層に接した状態において、2枚の透明導電性樹脂基材の配置位置が正確に重なるように、プライマー層付き透明導電性樹脂基材の位置を幅方向に微調整した。この微調整の難易をタックの評価として下記基準により評価した。
AA:2m/min以上のフィルム搬送速度でも容易に位置合わせ可能
A:1m/min以上、2m/min未満の搬送速度で位置合わせ可能
B:1m/min以上、2m/min未満の搬送速度でも位置合わせには困難を伴った。
C:搬送速度に関わらず位置合わせ困難
−剥離モードの評価方法−
上記粘着強度の測定後の調光フィルムにおいて、透明導電性樹脂基材を引き剥がした。このとき、調光フィルムからの透明導電性樹脂基材の剥離の様子を観察し、以下の基準により評価して、初期の剥離モードとした。
A:引き剥がしたときに調光層内部で破壊が起き、2枚の透明導電性樹脂基材の両方に調光層が残っている(凝集破壊)。
B:上記凝集破壊と下記界面剥離が混在している。
C:引き剥がしたときに調光層自体は破壊されず、片方の透明導電性樹脂基材のみに調光層が残り、他方の透明導電性樹脂基材は調光層から剥がれる(界面剥離)。
−耐熱性試験−
また上記で得られた試験体について以下のようにして耐熱性試験を行なった。
110℃のオーブンに2時間保管した。オーブンから試験体を取り出した後、室温で30分放置した。耐熱性試験を行なった試験体について、上記と同様にして調光層の粘着強度を測定し、耐熱試験後の粘着強度とした。またそのときの剥離モードを上記と同様に評価し、耐熱試験後の剥離モードとした。
[実施例2]
ペンタエリスリトール骨格を有するUVHC3000(商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ合同会社製)を1.5質量%、表面無処理SiO粒子(商品名:SIRPGM15WT%−E24、CIKナノテック(株)製、平均粒径:20nm)を0.15質量%、1−メトキシ−2−プロパノール/イソプロピルアルコール=7/3(質量比)の混合溶媒を98.35質量%の割合となるように混合し、プライマー層形成用塗布液を調製した。プライマー層形成用塗布液の固形分量に対する表面無処理SiO粒子の含有量は9.1質量%である。
(試験体の作製及び評価)
実施例1と同様にして、但し、プライマー層形成用塗布液を上記のものに代え、さらにプライマー層硬化のためのUV照射を6000mJ/cmとして試験体を作製し、得られた試験体の評価を実施例1と同様の方法で行った。調光フィルムのプライマー層の平均膜厚は、72nmであった。
[実施例3]
ペンタエリスリトール骨格を有するウレタンアクリレートを含むHA7903−11(商品名、日立化成工業(株)製)を1.5質量%、表面無処理SiO粒子(商品名:SIRPGM15WT%−E24、CIKナノテック(株)製、平均粒径:20nm)を0.15質量%、1−メトキシ−2−プロパノール/イソプロピルアルコール=7/3(質量比)の混合溶媒を98.35質量%の割合となるように混合した分散液を調整した。この分散液に、光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)をHA7903−11に対して4質量%になるように添加し、プライマー層形成用塗布液を調製した。プライマー層形成用塗布液の固形分量(溶剤と光重合開始剤を除く総量)に対する表面無処理SiO粒子の含有量は9.1質量%である。
(試験体の作製及び評価)
実施例1と同様にして、但し、プライマー層形成用塗布液を上記のものに代え、さらにプライマー層硬化のためのUV照射を4000mJ/cmとして試験体を作製し、得られた試験体の評価を実施例1と同様の方法で行った。調光フィルムのプライマー層の平均膜厚は、73nmであった。
[実施例4]
ペンタエリスリトール骨格を有するUVHC7000(商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ合同会社製)を1.0質量%、表面無処理SiO粒子(商品名:SIRPGM15WT%−E24、CIKナノテック(株)製、平均粒径:20nm)を0.1質量%、1−メトキシ−2−プロパノール/イソプロピルアルコール=7/3(質量比)の混合溶媒を98.9質量%の割合となるように混合し、プライマー層形成用塗布液を調製した。プライマー層形成用塗布液の固形分量に対する表面無処理SiO粒子の含有量は9.1質量%である。
(試験体の作製及び評価)
実施例1と同様にして、但し、プライマー層形成用塗布液を上記のものに代え、さらにプライマー層硬化のためのUV照射を4000mJ/cmとして試験体を作製し、得られた試験体の評価を実施例1と同様の方法で行った。調光フィルムのプライマー層の平均膜厚は、48nmであった。
[実施例5]
ペンタエリスリトール骨格を有するUVHC3000(商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ合同会社製)を1.0質量%、表面無処理SiO粒子(商品名:SIRPGM15WT%−E24、CIKナノテック(株)製、平均粒径:20nm)を0.1質量%、1−メトキシ−2−プロパノール/イソプロピルアルコール=7/3(質量比)の混合溶媒を98.9質量%の割合となるように混合し、プライマー層形成用塗布液を調製した。プライマー層形成用塗布液の固形分量に対する表面無処理SiO粒子の含有量は9.1質量%である。
(試験体の作製及び評価)
実施例1と同様にして、但し、プライマー層形成用塗布液を上記のものに代え、さらにプライマー層硬化のためのUV照射を6000mJ/cmとして試験体を作製し、得られた試験体の評価を実施例1と同様の方法で行った。調光フィルムのプライマー層の平均膜厚は、43nmであった。
[実施例6]
ペンタエリスリトール骨格を有するウレタンアクリレートを含むHA7903−11(商品名、日立化成工業(株)製)を1.0質量%、表面無処理SiO粒子(商品名:SIRPGM15WT%−E24、CIKナノテック(株)製、平均粒径:20nm)を0.1質量%、1−メトキシ−2−プロパノール/イソプロピルアルコール=7/3(質量比)の混合溶媒を98.9質量%の割合となるように混合した分散液を調整した。この分散液に、光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)をHA7903−11に対して4質量%になるように添加し、プライマー層形成用塗布液を調製した。プライマー層形成用塗布液の固形分量(溶剤と光重合開始剤を除く総量)に対する表面無処理SiO粒子の含有量は9.1質量%である。
(試験体の作製及び評価)
実施例1と同様にして、但し、プライマー層形成用塗布液を上記のものに代え、さらにプライマー層硬化のためのUV照射を4000mJ/cmとして試験体を作製し、得られた試験体の評価を実施例1と同様の方法で行った。調光フィルムのプライマー層の平均膜厚は、44nmであった。
[実施例7]
(プライマー層形成用塗布液の調製)
分子内に水酸基を含有するグリセリンジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物(商品名:エポキシエステル80MFA、共栄社化学(株)製)を1.5質量%、表面無処理SiO粒子(商品名:SIRPGM15WT%−E24、CIKナノテック(株)製、平均粒径:20nm)を0.15質量%、1−メトキシ−2−プロパノール/イソプロピルアルコール=7/3(質量比)の混合溶媒を98.35質量%の割合となるように混合した分散液を調製した。この分散液に、光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)をエポキシエステル80MFAに対して4質量%になるように添加し、プライマー層形成用塗布液を調製した。プライマー層形成用塗布液の固形分量(溶剤と光重合開始剤を除く総量)に対する表面無処理SiO粒子の含有量は9.1質量%である。
(試験体の作製及び評価)
実施例1と同様にして、但し、プライマー層形成用塗布液を上記のものに代え、さらにプライマー層硬化のためのUV照射を4000mJ/cmとして試験体を作製し、得られた試験体の評価を実施例1と同様の方法で行った。調光フィルムのプライマー層の平均膜厚は、64nmであった。
[実施例8]
(プライマー層形成用塗布液の調製)
分子内に水酸基を含有するトリアクリレートを主成分とするアクリレート混合物(商品名:アロニックスM−305、東亞合成(株)製)を1.5質量%、表面無処理SiO粒子(商品名:SIRPGM15WT%−E24、CIKナノテック(株)製、平均粒径:20nm)を0.15質量%、1−メトキシ−2−プロパノール/イソプロピルアルコール=7/3(質量比)の混合溶媒を98.35質量%の割合となるように混合した分散液を調整した。この分散液に、光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)をアロニックスM−305に対して4質量%になるように添加し、プライマー層形成用塗布液を調製した。プライマー層形成用塗布液の固形分量(溶剤と光重合開始剤を除く総量)に対する表面無処理SiO粒子の含有量は9.1質量%である。
(試験体の作製及び評価)
実施例1と同様にして、但し、プライマー層形成用塗布液を上記のものに代え、さらにプライマー層硬化のためのUV照射を4000mJ/cmとして試験体を作製し、得られた試験体の評価を実施例1と同様の方法で行った。調光フィルムのプライマー層の平均膜厚は、72nmであった。
[実施例9]
ペンタエリスリトール骨格を有するUVHC7000(商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ合同会社製)を0.5質量%、表面無処理SiO粒子(商品名:SIRPGM15WT%−E24、CIKナノテック(株)製、平均粒径:20nm)を0.05質量%、1−メトキシ−2−プロパノール/イソプロピルアルコール=7/3(質量比)の混合溶媒を99.45量%の割合となるように混合し、プライマー層形成用塗布液を調製した。プライマー層形成用塗布液の固形分量に対する表面無処理SiO粒子の含有量は9.1質量%である。
(試験体の作製及び評価)
実施例1と同様にして、但し、プライマー層形成用塗布液を上記のものに代え、さらにプライマー層硬化のためのUV照射を4000mJ/cmとして試験体を作製し、得られた試験体の評価を実施例1と同様の方法で行った。調光フィルムのプライマー層の平均膜厚は、32nmであった。
[実施例10]
ペンタエリスリトール骨格を有するUVHC3000(商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ合同会社製)を0.5質量%、表面無処理SiO粒子(商品名:SIRPGM15WT%−E24、CIKナノテック(株)製、平均粒径:20nm)を0.05質量%、1−メトキシ−2−プロパノール/イソプロピルアルコール=7/3(質量比)の混合溶媒を99.45質量%の割合となるように混合し、プライマー層形成用塗布液を調製した。プライマー層形成用塗布液の固形分量に対する表面無処理SiO粒子の含有量は9.1質量%である。
(試験体の作製及び評価)
実施例1と同様にして、但し、プライマー層形成用塗布液を上記のものに代え、さらにプライマー層硬化のためのUV照射を6000mJ/cmとして試験体を作製し、得られた試験体の評価を実施例1と同様の方法で行った。調光フィルムのプライマー層の平均膜厚は、31nmであった。
[実施例11]
ペンタエリスリトール骨格を有するウレタンアクリレートを含むHA7903−11(商品名、日立化成工業(株)製)を0.5質量%、表面無処理SiO粒子(商品名:SIRPGM15WT%−E24、CIKナノテック(株)製、平均粒径:20nm)を0.05質量%、1−メトキシ−2−プロパノール/イソプロピルアルコール=7/3(質量比)の混合溶媒を99.45質量%の割合となるように混合した分散液を調整した。この分散液に、光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)をHA7903−11に対して4質量%になるように添加し、プライマー層形成用塗布液を調製した。プライマー層形成用塗布液の固形分量(溶剤と光重合開始剤を除く総量)に対する表面無処理SiO粒子の含有量は9.1質量%である。
(試験体の作製及び評価)
実施例1と同様にして、但し、プライマー層形成用塗布液を上記のものに代え、さらにプライマー層硬化のためのUV照射を4000mJ/cmとして試験体を作製し、得られた試験体の評価を実施例1と同様の方法で行った。調光フィルムのプライマー層の平均膜厚は、33nmであった。
[比較例1]
ペンタエリスリトール骨格を有するUVHC3000(商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ合同会社製)を1.0質量%、3,3,3−トリフルオロプロピルアルコキシ(メトキシ又はエトキシ)シランにより表面処理されたZrO粒子(商品名:ZRMIBK15WT%−F76、CIKナノテック(株)製、平均粒径:20nm)を0.1質量%、1−メトキシ−2−プロパノール/イソプロピルアルコール=7/3(質量比)の混合溶媒を98.9質量%の割合となるように混合し、プライマー層形成用塗布液を調製した。プライマー層形成用塗布液の固形分量に対する表面処理されたZrO粒子の含有量は9.1質量%である。
(試験体の作製及び評価)
実施例1と同様にして、但し、プライマー層形成用塗布液を上記のものに代え、さらにプライマー層硬化のためのUV照射を4000mJ/cmとして試験体を作製し、得られた試験体の評価を実施例1と同様の方法で行った。調光フィルムのプライマー層の平均膜厚は、41nmであった。
[比較例2]
分子内に水酸基を含有するグリセリンジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物(商品名:エポキシエステル80MFA、共栄社化学(株)製)を1.0質量%、3,3,3−トリフルオロプロピルアルコキシ(メトキシ又はエトキシ)シランにより表面処理されたZrO粒子(商品名:ZRMIBK15WT%−F76、CIKナノテック(株)製、平均粒径:20nm)を0.1質量%、1−メトキシ−2−プロパノール/イソプロピルアルコール=7/3(質量比)の混合溶媒を98.9質量%の割合となるように混合した分散液を調整した。この分散液に、光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)をエポキシエステル80MFAに対して4質量%になるように添加し、プライマー層形成用塗布液を調製した。プライマー層形成用塗布液の固形分量(溶剤と光重合開始剤を除く総量)に対する表面処理されたZrO粒子の含有量は9.1質量%である。
(試験体の作製及び評価)
実施例1と同様にして、但し、プライマー層形成用塗布液を上記のものに代え、さらにプライマー層硬化のためのUV照射を4000mJ/cmとして試験体を作製し、得られた試験体の評価を実施例1と同様の方法で行った。調光フィルムのプライマー層の平均膜厚は、40nmであった。
[比較例3]
分子内に水酸基を含有するトリアクリレートを主成分とするアクリレート混合物(商品名:アロニックスM−305、東亞合成(株)製)を1.0質量%、3,3,3−トリフルオロプロピルアルコキシ(メトキシ又はエトキシ)シランにより表面処理されたZrO粒子(商品名:ZRMIBK15WT%−F76、CIKナノテック(株)製、平均粒径:20nm)を0.1質量%、1−メトキシ−2−プロパノール/イソプロピルアルコール=7/3(質量比)の混合溶媒を98.9質量%の割合となるように混合した分散液を調整した。この分散液に、光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)をエポキシエステルM−305に対して4質量%になるように添加し、プライマー層形成用塗布液を調製した。プライマー層形成用塗布液の固形分量(溶剤と光重合開始剤を除く総量)に対する表面処理されたZrO粒子の含有量は9.1質量%である。
(試験体の作製及び評価)
実施例1と同様にして、但し、プライマー層形成用塗布液を上記のものに代え、さらにプライマー層硬化のためのUV照射を4000mJ/cmとして試験体を作製し、得られた試験体の評価を実施例1と同様の方法で行った。調光フィルムのプライマー層の平均膜厚は、43nmであった。
[比較例4]
実施例1において、調光フィルムのプライマー層の平均膜厚が、22nmとなるようにプライマー層形成用塗布液を塗布したこと以外は、実施例1と同様にして試験体を作製して評価した。
[比較例5]
実施例1において、調光フィルムのプライマー層の平均膜厚が、21nmとなるようにプライマー層形成用塗布液を塗布したこと以外は、実施例1と同様にして試験体を作製して評価した。
[比較例6]
実施例1において、調光フィルムのプライマー層の平均膜厚が、19nmとなるようにプライマー層形成用塗布液を塗布したこと以外は、実施例1と同様にして試験体を作製して評価した。
[比較例7]
実施例1において、調光フィルムのプライマー層の平均膜厚が、90nmとなるようにプライマー層形成用塗布液を塗布したこと以外は、実施例1と同様にして試験体を作製して評価した。

表1に示すとおり、プライマー層にZrOを金属酸化物粒子として含む比較例1〜3は、耐熱試験後の粘着強度が大きく低下した。
これに対し、プライマー層に二酸化ケイ素粒子を含む実施例1〜11では、プライマー層の平均膜厚が30nm〜70nmの薄膜領域である場合に、プライマー層の粘着強度は充分な強度を保ち、低タック性と両立できていることが分かる。またプライマー層の平均膜厚が30nm未満では十分な粘着強度が得られないことが分かる。さらにプライマー層の平均膜厚が70nmを超えるとタック性が悪化することが分かる。
1 調光層
2 樹脂マトリックス
3 液滴
4 透明導電性樹脂基材
5a 透明導電膜
5b 透明樹脂基材
6 プライマー層
7 電源
8 スイッチ
9 分散媒
10 光調整粒子
11 入射光
12 タップ領域
13 導線

Claims (6)

  1. 2つの透明導電性樹脂基材と、
    前記2つの透明導電性樹脂基材に挟持され、樹脂マトリックス及び前記樹脂マトリックス中に分散した光調整懸濁液を含む調光層と、
    前記透明導電性樹脂基材と前記調光層との間に設けられ、有機バインダー樹脂及び二酸化ケイ素粒子を含有し、平均膜厚が48nm〜64nmであるプライマー層と、
    を備える調光フィルム。
  2. 前記二酸化ケイ素粒子は、平均粒径が100nm以下である請求項1に記載の調光フィルム。
  3. 前記二酸化ケイ素粒子の含有率は、前記プライマー層中に0.5質量%〜95質量%である請求項1又は請求項2に記載の調光フィルム。
  4. 前記二酸化ケイ素粒子は、表面無処理物である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の調光フィルム。
  5. 前記プライマー層は、重合性モノマー及び重合性オリゴマーから選ばれる少なくとも1種である重合性化合物と、前記二酸化ケイ素粒子とを含む前駆体層の硬化物である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の調光フィルム。
  6. 前記プライマー層の有機バインダー樹脂は、(メタ)アクリレートに由来する構成単位を有するポリマーを含む請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の調光フィルム。
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