JP3030217B2 - 洗面器における水飛散防止構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は洗面器或いは洗面器に
備えられた水栓からの跳ね水等による水の飛散を防止す
るための水飛散防止構造に関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
シャワー付水栓を備えた洗髪用の大型の洗面器が広く用
いられるようになってきている。一般に、この洗髪用の
大型の洗面器の側方には背の高いキャビネット（トール
キャビネット）が配設されていることが多く、このキャ
ビネットのオープン形態の棚に、シャンプーその他洗髪
に必要な物品を載せ得るようになっている。

【０００３】ところで、この種洗面器において洗髪を行
っているときに洗面器からの跳ね水や水栓からの水が周
辺に飛び散るといったことがあり、この場合、跳ね水が
キャビネットに降りかかって各種不都合を生じる問題が
あった。

【０００４】即ち、例えばキャビネットが木製の場合に
はこの跳ね水によってキャビネットが長期の間に腐敗す
る問題があり、また木材が水を吸って膨潤し、表面材の
剥がれや膨れを生じたりする。またキャビネットが樹脂
製の場合においても、キャビネット側に飛び散った水が
隙間を通って下方に流下し、下部で水が腐敗して臭気の
原因となるといった問題を生じる。

【０００５】またこのようなキャビネットが洗面器に隣
接して配置されていない場合においても、跳ね水が周辺
に飛散した場合、床が濡れる等種々の不都合を生じる。

【０００６】この問題を解決するための手段として、従
来、図５に示しているように洗面器１００の上面両サイ
ドに衝立１０２を立て、これら衝立１０２によって、跳
ね水の飛散を防止するようにしたものが提案されてい
る。（実開平４−５９７８３）。尚、図中１０４は洗面
化粧台を示している。

【０００７】しかしながらこのように洗面器１００の上
面に衝立１０２を立てた場合、衝立１０２の下端と洗面
器上面との間に隙間が生じるのを避け得ず、そしてこの
隙間を通じて跳ね水が周辺に飛び散る問題があり、また
このように衝立１０２を立てた場合、洗面器１００で洗
髪等を行っているときに腕等が衝立１０２に当ってしま
い、洗面器１００の使い勝手が悪くなるといった問題を
生じる。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本願の発明はこのような
課題を解決するためになされたものである。而して本願
の発明は、洗面器における側辺部の側方に水栓又は洗面
器からの跳ね水を受ける水受器を該側辺部に接する状態
で配設するとともに、該水受器には、該洗面器側の縁部
に鍔状のカバー片を設けて該カバー片を該洗面器の側辺
部上面に重ね合わせたことを特徴とする（請求項１）。

【０００９】本願の別の発明は、請求項１に記載の洗面
器における水飛散防止構造において、前記カバー片が横
方向に延びた上、下向きに下がる形態のカバー片とさ
れ、該カバー片が前記洗面器の側辺部の上面に重ねられ
ていることを特徴とする（請求項２）。

【００１０】本願の更に別の発明は、請求項２に記載の
洗面器における水飛散防止構造において、前記カバー片
が、前記水受器の上端より横方向に延びた上、下向きに
下がる形態のカバー片とされ、該カバー片が前記洗面器
の側辺部の上面に重ねられていることを特徴とする（請
求項３）。

【００１１】本願の更に別の発明は、請求項１〜３の何
れかに記載の洗面器における水飛散防止構造において、
前記洗面器における側辺部の側方に隣接する位置にキャ
ビネットが配設されていて、前記水受器が該キャビネッ
トに設けられており、且つ該水受器が該キャビネットの
棚板により取出可能に支持されていることを特徴とする
（請求項４）。

【００１２】

【作用及び発明の効果】上記のように請求項１及び２の
発明は、洗面器における側辺部の側方に水受器を配設す
るようになしたもので、本発明によれば、洗面器，水栓
等からの水をその水受器にて受けることができ、跳ね水
等が周辺に飛散するのを有効に防止することができる。

【００１３】請求項３の発明は、前記水受器にその上端
より横方向に延びた上、下向きに下がる形態の鍔状のカ
バー片を設けて、このカバー片を洗面器の側辺部の上面
に重ねるようにしたもので、本発明によれば洗面器と水
受器との間の隙間をそのカバー片によってカバーした状
態とすることができ、従って洗面器等からの水がその洗
面器と水受器との間の隙間を伝って下方に流下するのを
防止することができるとともに、カバー片の上面に付着
した水をかかるカバー片のガイド作用によって洗面器の
側に戻すことができる。

【００１４】請求項４の発明は、洗面器における側辺部
の側方にキャビネットを隣接して配設するとともに、そ
のキャビネットに水受器を設けるようになしたもので、
本発明によれば、キャビネットに各種物品を載せておく
ことが可能となって洗面器の使い勝手が良好となるとと
もに、水受器の取付けも簡単となる。

【００１５】加えてこの発明では、キャビネットの棚板
によって水受器を取出可能に支持するようにしており、
このようにすれば水受器を簡単にキャビネットに設ける
ことができる。また水受器は取出可能とされているの
で、水受器に溜った水を洗面器に流し込む等して容易に
処理することができる。

【００１６】洗髪用の洗面器の場合、洗髪に際して水が
周辺に飛び散りやすいという特徴があり、従って上記請
求項１〜４の発明はかかる洗髪用の洗面器に適用して特
に効果が大きい。

【００１７】またこれら請求項１〜４の発明は、何れも
水受器にて跳ね水等を受けるようにしたものであり、従
って図５に示す従来の衝立による水飛散防止に比べて、
衝立が洗面器使用に当って邪魔になるといったことがな
く、洗面器の使い勝手が良好である利点を有する。

【００１８】

【実施例】次に本発明の実施例を図面に基づいて詳しく
説明する。図１において、１０は洗面化粧台１２におけ
る洗髪用の大型の洗面器であって、ベースキャビネット
１３の上に配置されている。この洗面器１０の奥部の上
面には、シャワー付きの洗髪用の水栓１４が設けられて
いる。尚１６はこの洗髪用水栓１４における操作ハンド
ルである。

【００１９】１８はミラーキャビネットにおけるミラー
であって、同図に示しているようにその前面側の下端部
が、洗面器１０における後端の立上り形状のバックガー
ド２０に一部被さるように垂下している。図中２２はそ
の垂下部を表している。

【００２０】洗面器１０の側方には、背の高いキャビネ
ット（トールキャビネット）２４が配設されている。キ
ャビネット２４は、洗面器１０よりも上側の部分の前面
（洗面器１０側の面）が開放形状（開口形状）とされて
おり、同部に物品載置用の棚２６が複数段に設けられて
いる。

【００２１】このキャビネット２４には、また、水受器
としての水受タンク２８が設けられている。水受タンク
２８は、図２に示しているように平面形状が矩形状のも
ので所定の深さを有しており、その上端が洗面器１０に
おける上面の高さに対応する高さ位置となるように、キ
ャビネット２４の支持板３０上に載置されている。

【００２２】水受タンク２８の上端開口の周縁部には細
幅のフランジ３２が設けられており、このフランジ３２
がキャビネット２４における一対の側板３４及び背板３
６に実質上当接させられている。即ちこのフランジ３２
によって、それら側板３４，背板３６と水受タンク２８
との間の隙間に水が浸入するのが防止されている。

【００２３】この水受タンク２８には、また、洗面器１
０側の上端部においてカバー片３８が設けられている。
カバー片３８は、水受タンク２８の略全長（図２中左右
方向長さ）に亘って設けられている。このカバー片３８
は、略水平に延びる水平部４０と、その先端より下向き
に下がるガイド部４２とを有しており、またミラー１８
側の端部が一部、切欠部４４とされているとともに、反
対側の端部が前方に突出する突出部４６とされている。

【００２４】この突出部４６は、洗面器１０の前端部が
キャビネット２４よりも前方側に突き出していることに
基づいて設けられたものであり、また反対側の端部の切
欠４４は、バックガード２０ないしミラー１８との干渉
を避けるべく設けられている。

【００２５】ここでガイド部４２は、カバー片３８の上
面に付着した水を洗面器１０のボール部４８に導くため
のもので、このガイド部４２及び水平部４０を含むカバ
ー片３８全体が、洗面器１０の側辺部の上面に重ねられ
ている。

【００２６】本例においては、洗面器１０の側方且つ洗
面器１０の側辺部に接して水受タンク２８を配設してい
るため、水栓１４使用時、特に洗髪を行う場合等におい
て洗面器１０，水栓１４からの跳ね水等を水受タンク２
８にて受けることができ、跳ね水等が周囲に飛散するの
を有効に防止することができる。

【００２７】またこの水受タンク２８はカバー片３８を
有しており、このカバー片３８が洗面器１０の側辺部上
面に重ねられて洗面器１０と水受タンク２８との間の隙
間がカバーされているため、それらの隙間から水が流下
するのを防止できるとともに、カバー片３８のガイド作
用によりその上面に付着した水を洗面器１０側に戻すこ
とができる。

【００２８】更に本例においては洗面器１０の側方にキ
ャビネット２４を隣接して配設しているため、そこに各
種物品を載置できて洗面器１０の使い勝手が良好である
とともに、そのキャビネット２４に水受タンク２８を設
けているため、水受タンク２８の取付けを簡単に行うこ
とができる。

【００２９】また水受タンク２８はキャビネット２４の
支持板３０上に取出可能に載置されているため、水受タ
ンク２８に溜った水を洗面器１０に流し込む等してその
処理を行う際にもこれを簡単に行うことができる。

【００３０】図３はミラーキャビネットの他の形態例を
示している。このミラーキャビネット５０は、正面の主
ミラー５２と、上部の照明器具５４と、主ミラー５２の
側方に配置された袖ミラー５６とを有している。袖ミラ
ー５６は、主ミラー５２の側方に配置された収納ボック
ス５８の前面に取り付けられており、かかる収納ボック
ス５８の扉を兼ねている。

【００３１】これら主ミラー５２，収納ボックス５８及
び袖ミラー５６の直ぐ下側には、棚部６０が設けられて
いる。棚部６０は、ミラーキャビネット５０の実質上全
幅に亘る長さを有している。

【００３２】この棚部６０は、図４に示しているように
上下の長い周壁板６２と、左右の短い周壁板６４とを有
するボックス形態のもので、その前面の開口部が前板６
６によって閉鎖されている。そしてこの前板６６に、コ
ンセント６８と照明器具５４等のスイッチ７０とが取り
付けられている。

【００３３】一方上記収納ボックス５８は、図４に示し
ているように縦の側板７２と底板７４と上板（図示省
略）とを有しており、それらがバックプレート７６の背
面からのビス８０の打込みによって、かかるバックプレ
ート７６に取り付けられている。尚、一方の側板７２、
即ちミラーキャビネット５０の端に位置する側板７２
は、下端部が底板７４よりも下側に突き出しており、そ
の突出し部分が垂下部７８とされている。

【００３４】上記棚部６０は、その右側の側面がこの垂
下部７８の内面に当接させられている。ここで垂下部７
８を設けているのは、棚部６０と収納ボックス５８との
境目が、ミラーキャビネット５０の右側面に表れないよ
うにするためである。

【００３５】棚部６０は、図４に示しているようにバッ
クプレート７６の背面からの周壁板６２，６４へのビス
８０の打込みによって、バックプレート７６に固定され
ている。またこれとともに、収納ボックス５８の底板７
４を貫通して棚部６０の上側の周壁板６２にねじ込まれ
たビス８０によって、収納ボックス５８に対しても固定
されている。

【００３６】即ち、棚部６０は右側の端部が、バックプ
レート７６よりも一定距離前側の位置において、収納ボ
ックス５８によって吊持されている。これにより、棚部
６０の前部が、物品を載置したときの重量等により垂れ
下がり変形するのが有効に防止される。

【００３７】尚、何らかの原因によって棚部６０を交換
する必要が生じた場合において、本例の化粧キャビネッ
ト５０の場合、ビス８０を抜き取ることによって、棚部
６０全体を簡単に新規のものと取り替えることができ
る。

【００３８】以上本発明の実施例を詳述したがこれはあ
くまで一例示である。例えば本発明においては上記形態
の水受タンク２８に代えて他の様々な形態の水受器を用
いることも可能であるし、また本発明はミラーキャビネ
ットを備えていない洗面台等の洗面器に適用することも
可能であるなど、その主旨を逸脱しない範囲において、
種々変更を加えた形態で構成可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の、洗面器における水飛散防止構造の一
実施例を示す図である。

【図２】図１における水受タンクの斜視図である。

【図３】ミラーキャビネットの他の形態例を示す図であ
る。

【図４】図３のミラーキャビネットの構成を説明する斜
視図である。

【図５】従来の洗面器における水飛散防止構造の一例を
示す図である。

【符号の説明】

１０ 洗面器 １４ 洗髪用水栓 ２４ キャビネット ２８ 水受タンク ３８ カバー片

フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A47K 1/00 - 1/14 E03C 1/181

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 洗面器における側辺部の側方に水栓又は
   洗面器からの跳ね水を受ける水受器を該側辺部に接する
   状態で配設するとともに、該水受器には、該洗面器側の
   縁部に鍔状のカバー片を設けて該カバー片を該洗面器の
   側辺部上面に重ね合わせたことを特徴とする洗面器にお
   ける水飛散防止構造。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の洗面器における水飛散
   防止構造において、前記カバー片が横方向に延びた上、
   下向きに下がる形態のカバー片とされ、該カバー片が前
   記洗面器の側辺部の上面に重ねられていることを特徴と
   する洗面器における水飛散防止構造。
3. 【請求項３】 請求項２に記載の洗面器における水飛散
   防止構造において、前記カバー片が、前記水受器の上端
   より横方向に延びた上、下向きに下がる形態のカバー片
   とされ、該カバー片が前記洗面器の側辺部の上面に重ね
   られていることを特徴とする洗面器における水飛散防止
   構造。
4. 【請求項４】 請求項１〜３の何れかに記載の洗面器に
   おける水飛散防止構造において、前記洗面器における側
   辺部の側方に隣接する位置にキャビネットが配設されて
   いて、前記水受器が該キャビネットに設けられており、
   且つ該水受器が該キャビネットの棚板により取出可能に
   支持されていることを特徴とする洗面器における水飛散
   防止構造。