JP3030057B2 - マグネトロン - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （イ）産業上の利用分野 本発明は、金属容器のセラミックス部材とのロウ付け
部付近の構造を改良したマグネトロンに関する。

（ロ）従来の技術 第６図は、特開昭56−132747号公報等に示される、従
来のマグネトロンの陰極付近の構造を示す。

30はフィラメント、31はこのフィラメントの上端を支
持するトップハット、32は上記フィラメント30の下端を
支持するエンドハットで、これらフィラメント30、トッ
プハット31及びエンドハット32により陰極33を構成して
いる。34は上記トップハット31を支持する支持棒となる
トップリード、35は上記エンドハット32を支持する支持
棒となるエンドリード、36はこれら各リード34、35を貫
通孔37に挿入して支持するセラミックス製の陰極ステム
部材、38は上記貫通孔37を覆って両リード34、35の周縁
を陰極ステム部材36に気密接続する封止金具、39は筒状
金属容器で、この容器には上記陰極ステム部材36がロウ
付け固定されている。

この場合、上記陰極ステム部材36と筒状金属容器39と
は熱膨張係数にかなりの差があり、上記ロウ付け時の温
度変化に伴って陰極ステム部材36に熱応力が作用し、陰
極ステム部材36にかなりのストレスがたまり、陰極ステ
ム部材36が割れてしまう。

そこで、上記筒状金属容器39として、上記陰極ステム
部材36の材料であるセラミックスと熱膨張係数が同等の
コバールや42％Ni−Fe合金などを使用することが考えら
れるが、このような材料は割高である。

また、上記筒状金属容器39の上記陰極ステム部材36と
のロウ付け部40を、切削加工を施して鋭く尖った形状に
すると、ロウ付け部40が伸縮し易くなり、上記陰極ステ
ム部材36にストレスがたまりにくくなるが、このような
切削加工は割高である。

或いは、上記陰極ステム部材36にストレスがたまりに
くくすべく、上記筒状金属容器39のロウ付け部40を第７
図の如くプレス加工によりＶ字状に鋭く尖った形状にす
ることが考えられる。この場合、陰極ステム部材36に割
高な材料を使用する必要がなく、またロウ付け部に割高
な切削加工を施す必要がない。しかし乍ら、このような
Ｖ字形状においては、ロウ付け部40は十分に伸縮し易い
状態とはならず、陰極ステム部材36にストレスがたまる
のを一層解消するのが望まれる。

（ハ）発明が解決しようとする課題 本発明は、コスト高を招くことなく、筒状金属容器に
ロウ付け固定のセラミックス部材が、ロウ付け時に割れ
ないようにしたマグネトロンを提供するものである。

（ニ）課題を解決するための手段 本発明のマグネトロンにおいては、陽極筒体の開口に
配設されたポールピースを覆う筒状金属容器と、この金
属容器にロウ付け固定されたセラミックス部材とを備
え、上記金属容器のロウ付け部をＶ形状とする。

そして、上記金属容器においてロウ付け部より内側部
分に切り欠きを設ける。

或いは、上記金属容器において上記ロウ付け部を、内
側部分の平面部を切り落として無くす。

（ホ）作 用 金属容器のＶ形状ロウ付け部より内側部分に切り欠き
があるから、或いは、このロウ付け部は内側部分の平面
部が切り落とされて無くされたＶ形状に形成されている
から、ロウ付け部はＶ形状であっても十分に伸縮し易
く、金属容器にロウ付け固定されるセラミックス部材に
ストレスがたまりにくい。

（ヘ）実施例 第１図は本発明の一実施例のマグネトロンの構造を示
す。

１は内周面に同面から中心に向かう複数のベイン２が
配設された陽極筒体、３は上記ベイン２の先端で囲まれ
る空間に配設された陰極で、この陰極は、フィラメント
４と、このフィラメントの両端を支持するモリブデン製
のトップハット５及びエンドハット６とから構成されて
いる。

７、８は上記陽極筒体１の両端開口に配設された鉄等
の磁性材料からなるポールピース、９、10はこれらポー
ルピース７、８を覆い上記陽極筒体１に気密接合する筒
状金属容器、11は一端を上記ベイン２に接続した出力導
体、12はノンメタライズのセラミックス製の絶縁筒体部
材13を介して上記金属容器９に接合された出力部で、こ
の出力部は陽極筒体１及び金属容器９、10内の排気を行
う際の排気案内となるとともにチップオフにより上記出
力導体11を挟持している。14は上記出力部12を覆うギャ
ップである。

15は上記陰極３のトップハット５を支持する支持棒と
なるモリブデン製のトップリード、16は上記陰極３のエ
ンドハット６を支持する支持棒となるモリブデン製のエ
ンドリード、17は上記金属容器10に接合されるノンメタ
ライズのセラミックス製の陰極ステム部材で、この陰極
ステム部材は上記両リード15、16を支持している。

18は上記陽極筒体１の外周に装着された放熱フィン、
19は永久磁石、20はこの永久磁石を磁気的に結合するヨ
ーク、21はシールドボックスである。

第２図ａ、ｂは上記陰極ステム部材17が接合される上
記筒状金属容器10の拡大構造を示し、第３図は両者の接
合付近の構造を示す。

上記陰極ステム部材17は具体的には上記金属容器10に
Ti含有活性金属ロウにてロウ付け固定されており、上記
陰極ステム部材17がロウ付けされた上記金属容器10のロ
ウ付け部22は、プレス加工によりＶ形状に形成されてい
る。そして、上記金属容器10のＶ形状ロウ付け部22より
内側部分には平面部23が形成されており、且つこの平面
部には多数の切り欠き24が形成されている。この平面部
23はプレス加工精度を向上するためにある。

このように切り欠き24が存在すると、上記ロウ付け部
22はＶ形状であっても十分に伸縮し、金属容器10にロウ
付け固定される上記陰極ステム部材17に、ロウ付け時に
ストレスがたまらず、陰極ステム部材17は不所望に割れ
ることがない。

そして、Ｖ形状のロウ付け部22は割安なプレス加工に
より形成できるのである。

第４図ａ、ｂは本発明他の実施例における筒状金属容
器10の拡大構造を示し、第５図はその接合付近の構造を
示す。

この場合、上記陰極ステム部材17がロウ付けされた上
記金属容器10のロウ付け部22は、同様にプレス加工によ
りＶ形状に形成されているも、上記金属容器10のＶ形状
ロウ付け部22より内側部分は完全に切り落とされてい
る。

この時もロウ付け部22の十分な伸縮が得られ、上記陰
極ステム部材17は、ロウ付け時にストレスがたまらず、
不所望に割れることがない。

尚、上記各実施例においては、陰極ステム部材17と筒
状金属容器10との接合部の構造について詳述したが、絶
縁筒体部材13と金属容器９との接合部にも同様の構造が
当てはまる。

（ト）発明の効果 本発明によれば、コスト高を招くことなく、筒状金属
容器にロウ付け固定のセラミックス部材が、ロウ付け時
に割れるのを抑制でき、実用的なマグネトロンを提供す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明一実施例の断面図、第２図ａ、ｂは各々
同筒状金属容器の斜視図及び下面図、第３図は同要部断
面図、第４図ａ、ｂは各々本発明他の実施例の筒状金属
容器の斜視図及び断面図、第５図は同要部断面図、第６
図は従来例の要部断面図、第７図は他の従来例の要部断
面図である。 １……陽極筒体、７、８……ポールピース、９、10……
筒状金属容器、13……絶縁筒体部材、17……陰極ステム
部材、22……ロウ付け部、24……切り欠き。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】陽極筒体の開口に配設されたポールピース
   を覆う筒状金属容器と、この金属容器にロウ付け固定さ
   れたセラミックス部材とを備え、上記金属容器のロウ付
   け部をＶ形状とし、且つ上記金属容器において上記ロウ
   付け部より内側部分に切り欠きを設けたことを特徴とす
   るマグネトロン。
2. 【請求項２】陽極筒体の開口に配設されたポールピース
   を覆う筒状金属容器と、この金属容器にロウ付け固定さ
   れたセラミックス部材とを備え、上記金属容器のロウ付
   け部を、内側部分の平面部を切り落として無くしたＶ形
   状としたことを特徴とするマグネトロン。