JPH0446362Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本考案はマグネトロンに係り、より詳しくはマ
グネトロンの出力部構成に関する。

(ロ) 従来の技術 第３図は、実公昭58−910号公報に示されてい
る従来マグネトロンの本体をあらわす一部断面図
である。

１は真空容器であるマグネトロン本体を構成す
る陽極円筒、２……は陽極円筒１の内側にその中
心に向つてロウ付などによつて突設された複数枚
のベインで、陽極円筒１と共に共振空胴を形成し
ている。３は陽極円筒１の中心にベイン２……と
の間に作用空間４を構成して配された陰極フイラ
メントで、リード線５並びに上下に配されたエン
ドハツト６，７によつて立設されている。８，９
は陽極円筒１の上下周縁にアーク熔接などによつ
て固定され、作用空間４に永久磁石（図示せず）
の磁束を集中させるための磁性材料からなる磁極
片、１０は前記ベイン２……の一枚に一端を固着
され、磁極片８の孔１１を貫通して陽極円筒１よ
り上方に突出しているアンテナ導線、１２は磁極
片８に固着された銅板や鋼板などからなる封着用
金属、１３はその下方端部が封着用金属１２にロ
ウ付されているセラミツクなどからなる出力側絶
縁筒体、１４は出力側絶縁筒体１３の上端に気密
に固着された銅などからなる排気管で、その先端
でアンテナ導線１０の他端を固着している。１５
は排気管１４と嵌合した有底円筒状のアンテナキ
ヤツプである。

第４図は、第３図に示した従来マグネトロン本
体において、封着用金属１２に出力側絶縁筒体１
３をロウ付固着した部分の詳細を示す図である。
１６は出力側絶縁筒体１３の下端内面に施された
メタライズ層で、ロウ付時にロウ材が流れて凸部
１６ａなどが形成される。１７はロウ材、１２ａ
は封着用金属１２の先端、つまり出力側絶縁筒体
１３とロウ付される側の先端を延在して上方に折
曲し、ロウ付部を覆つてなるカバー部である。す
なわちカバー部１２ａはロウ付部のメタライズ層
１６における凸部１６ａとアンテナ導線１０との
間で生じる大きなマイクロ波電圧差で発生する電
界集中による放電を防止するもので、結果として
放電に起因する不良、つまり、放電による出力側
絶縁筒体１３の局部加熱によつて引き起こされる
真空不良、例えば出力側絶縁筒体のヒビ割れやガ
ス放出などの欠点を防止する働きがある。

(ハ) 考案が解決しようとする問題点 しかしながらこのような従来構成においては、
カバー部１２ａが封着用金属１２の先端を直接折
曲して構成している関係上、カバー部１２ａの材
料も厚いことから折曲工程も困難であり、アンテ
ナ導線１０との間隔も接近せざるを得ず、従つて
アンテナ導線との間の静電容量成分も無視できな
くなつてマグネトロンの周波数特性に悪影響をお
よぼすなどの問題点があつた。また封着用金属と
出力側絶縁筒体とのロウ付部における熱膨張係数
の差により、出力側絶縁筒体が割れる恐れやロウ
付部の亀裂の発生などが懸念され、この点でも問
題を残していた。

そこで本考案の目的とするところは、アンテナ
導線とロウ付部との間の放電防止対策として、マ
グネトロンの周波数特性に悪影響を与えないよう
な構成を採ることにある。

(ニ) 問題点を解決するための手段 本考案は上記問題点を解決するために、陽極円
筒と、該陽極円筒に内設され共振空胴を形成する
複数枚のベインと、一端を上記ベインに固着され
上記陽極円筒より突出しているアンテナ導線と、
上記陽極円筒に封着用金属を介してロウ付により
気密に固着され上記アンテナ導線を囲むごとく配
置された出力側絶縁筒体とを備え、上記封着用金
属の出力側絶縁筒体とのロウ付部にはわん曲部が
形成され、さらに上記封着用金属における上記出
力側絶縁筒体にロウ付固着される側の端縁には、
上記ロウ付部を覆うごとき環状金属薄板を固着し
てなることを特徴としたものであり、また上記環
状金属薄板は、少なくとも封着用金属よりも薄い
材料を用いたことを特徴とするものである。

(ホ) 作用 本考案によれば、封着用金属と出力側絶縁筒体
とのロウ付部における熱膨張係数の差による応力
が軽減され、かつ上記ロウ付部のメタライズ層に
おける凸部をアンテナ導線に対し完全にカバーす
ることができる。また本考案構成によれば、環状
金属薄板とアンテナ導線とを最大限に離間させる
ことができ、アンテナ導線に対する静電容量成分
を無視し得る程少なくすることができてマグネト
ロンの周波数特性に悪影響を与えることがなくな
る。

(ヘ) 実施例 第１図及び第２図は本考案マグネトロンの一実
施例を示すもので、夫々本体の一部断面図及び要
部拡大断面図である。なお、第３図及び第４図と
同一部分には同一番号を付して説明を省略する。

１８は封着用金属１２の先端にロウ付などで固
着された銅板や鋼板などの導電材よりなる断面略
Ｌ字状の環状金属薄板で、その材厚は封着用金属
１２よりも薄いものを用いている。そしてこの環
状金属薄板１８は封着用金属１２と出力側絶縁筒
体１３とのロウ付部を覆うように配されている。
而して環状金属薄板１８は、アンテナ導線１０と
上記ロウ付部との間に発生する電界集中による放
電を確実に防止する。なお本実施例における封着
用金属１２と出力側絶縁筒体１３とのロウ付部
は、封着用金属１２をプレス加工することによつ
てわん曲部１２ｂを構成してある。このような構
成とすることによつて両者の熱膨張係数の差によ
る応力が軽減され、出力側絶縁筒体１３が割れる
恐れのない、またロウ付強度の高い、更にはロウ
材使用量の少ない優れたロウ付固着が可能とな
る。

(ト) 考案の効果 本考案は、封着用金属における出力側絶縁筒体
にロウ付固着される側の端縁に、別部品からなり
上記両部品のロウ付部を覆うごとき環状金属薄
板、特に封着用金属よりも薄板材料からなるもの
を固着して構成したから、上記両部品のロウ付部
とアンテナ導線との間に発生する放電を確実に防
止し得るのはもちろん、環状金属薄板をより出力
側絶縁筒体に接近するように折曲して配置できる
結果、環状金属薄板をアンテナ導線より離間して
配することができるため、アンテナ導線との間に
生じる静電容量成分をより小さくすることができ
てマグネトロンの周波数特性に影響を与えること
なく放電防止が図れ、また封着用金属の出力側絶
縁筒体とのロウ付部にはわん曲部が形成されてい
るために、両者の熱膨張係数の差による応力が軽
減され、出力側絶縁筒体が割れる恐れやロウ付の
亀裂の発生などを防止でき、信頼性の高いマグネ
トロンを提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案マグネトロンの本体の一実施例
を示す一部断面図、第２図は第１図における要部
拡大断面図、第３図は従来マグネトロンの本体を
示す一部断面図、第４図は第３図における要部拡
大断面図である。 １……陽極円筒、２……ベイン、１０……アン
テナ導線、１２……封着用金属、１３……出力側
絶縁筒体、１８……環状金属薄板。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 陽極円筒と、該陽極円筒に内設され共振空胴
   を形成する複数枚のベインと、一端を上記ベイ
   ンに固着され上記陽極円筒より突出しているア
   ンテナ導線と、上記陽極円筒に封着用金属を介
   してロウ付により気密に固着され上記アンテナ
   導線を囲むごとく配置された出力側絶縁筒体と
   を備え、上記封着用金属の出力側絶縁筒体との
   ロウ付部にはわん曲部が形成され、さらに上記
   封着用金属における上記出力側絶縁筒体にロウ
   付固着される側の端縁には、上記ロウ付部を覆
   うごとき環状金属薄板を固着してなることを特
   徴とするマグネトロン。 (2) 上記環状金属薄板は、少なくとも封着用金属
   よりも薄い材料を用いたことを特徴とする実用
   新案登録請求の範囲第一項記載のマグネトロ
   ン。