JP3022945B2 - 積層ポリエステルフィルムおよび蒸着フィルム - Google Patents

積層ポリエステルフィルムおよび蒸着フィルム

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JP3022945B2 JP5336306A JP33630693A JP3022945B2 JP 3022945 B2 JP3022945 B2 JP 3022945B2 JP 5336306 A JP5336306 A JP 5336306A JP 33630693 A JP33630693 A JP 33630693A JP 3022945 B2 JP3022945 B2 JP 3022945B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は主に積層ポリエステルフ
ィルムに関し、詳しくはアルミニウムなどの金属との接
着性に優れた均一なプライマー層を有し、蒸着フィルム
のベースフィルムに好適に用いられる積層ポリエステル
フィルムおよびこの積層ポリエステルフィルムをベース
フィルムとする蒸着フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】蒸着フィルムを、ポリエステルフィルム
をベースフィルムとして製造することは知られている。
このポリエステルベースフィルムには、アルミニウムな
どの金属との接着性を付与する目的でプライマー層が塗
布される。このプライマー層には金属との接着性および
その表面に斑のない均一性が要求される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、アル
ミニウムなどの金属との接着性に優れ、表面の全体にわ
たって均一で斑のないプライマー層を有し、蒸着フィル
ムのベースフィルムとして好適に用いることのできる積
層ポリエステルフィルムを提供することである。本発明
の他の目的は、上記積層ポリエステルフィルムをベース
フィルムとする蒸着フィルムを提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明によれば第1に、ポリエステルフィルムの
片面または両面に、(A)ガラス転移点が40〜80℃
であり、基−SO3M(ここで、Mは−SO3と同当量の
金属原子、アンモニウム基、第4級アミンまたは第4級
ホスホニウム基を示す)を有するジカルボン酸成分が全
ジカルボン酸成分の8〜20モル%を占める共重合ポリ
エステル、(B)ガラス転移点が25〜70℃のアクリ
ル系樹脂、(C)滑剤としての微粒子および(D)エチ
レンオキシド・プロピレンオキシド共重合体を主成分と
してなるプライマー層が存在することを特徴とする積層
ポリエステルフィルムが提供される。さらに本発明によ
れば第2に、上記の積層ポリエステルフィルムのプライ
マー層上に金属蒸着膜が存在することを特徴とする蒸着
フィルムが提供される。
【0005】以下、本発明を詳述するが、それにより本
発明の別の目的、構成並びに利点および効果が明らかと
なろう。
【0006】本発明において、プライマー層が設けられ
るポリエステルフィルムのポリエステルの好ましい例と
してポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,
6−ナフタレンジカルボキシレートを挙げることができ
る。また他の例としてポリブチレン−2,6−ナフタレ
ンジカルボキシレート、テレフタル酸−2,6−ナフタ
レンジカルボン酸−エチレングリコール共重合ポリエス
テル、テレフタル酸−2,6−ナフタレンジカルボン酸
−1,4−ブタンジオール−エチレングリコール共重合
ポリエステルを挙げることができる。
【0007】上記ポリエステルの固有粘度(オルソクロ
ロフェノール溶媒、35℃で測定)は0.4〜0.9dl
/gであることが好ましい。
【0008】 本発明においては、上記ポリエステルか
らなるフィルムの片面あるいは両面にプライマー層が存
在する。このプライマー層は、(A)共重合ポリエステ
ル、(B)アクリル樹脂、(C)滑剤としての微粒子
よび(D)エチレンオキシド・プロピレンオキシド共重
合体を主成分とする。
【0009】上記共重合ポリエステルは基−SO3
(ここで、Mは−SO3と同当量の金属原子、アンモニ
ウム基、第4級アミンまたは第4級ホスホニウム基を示
す)を有するジカルボ酸成分を全ジカルボン酸成分の8
〜20モル%、好ましくは9〜16モル%を占める。基
−SO3Mの含有量が上記の範囲であることにより、本
発明の積層ポリエステルフィルムの接着性が優れる結果
となる。
【0010】上記の基−SO3Mにおいて、Mはリチウ
ム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属原子、マ
グネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属原子が
好ましく、特にナトリウムおよびカリウムが好ましい。
また、Mとしてアンモニウム基、テトラエチルアンモニ
ウム基、テトラブチルホスホニウム基も好ましい。
【0011】基−SO3Mを含むジカルボン酸成分とし
て下記式(1)〜(5)
【化1】
【0012】で表わされる化合物を挙げることができ
る。これらは単独で、あるいは二種以上を併用して共重
合ポリエステルに含まれ得る。
【0013】共重合ポリエステルを構成する他のジカル
ボン酸成分としては、テレフタル酸、フタル酸、イソフ
タル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル
ケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン
酸、アンスラセンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン
酸、アジピン酸、セバチン酸などの脂肪族ジカルボン
酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸などの脂環
族ジカルボン酸、その他ダイマー酸などを挙げることが
できる。これらは二種以上共重合ポリエステル(a)中
に含まれ得る。共重合ポリエステル(a)は、酸成分と
してさらに上記のジカルボン酸と共にマレイン酸、フマ
ール酸、イタコン酸などを含むことができる。
【0014】共重合ポリエステルを構成するグリコール
成分として、エチレングリコール、トリメチレングリコ
ール、テトラメチレングリコール(1,4−ブタンジオ
ール)、ペンタメチレングリコール、ネオペンチレング
リコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレング
リコールなどの炭素数2〜10のアルキレングリコー
ル、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジオー
ル、ジエチレングリコールジプロピレングリコールなど
のジアルキレングリコール、ハイドロキノン、レゾルシ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、1,4−ジヒドロキシジメチルベンゼンの如き芳香
環を有するジオール、ポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールな
どの如きポリアルキレングリコール(ポリオキシアルキ
レンレングリコール)、その他ビスフェノールA/アル
キレンオキシド付加物、ハイドロキノン/アルキレンオ
キシド付加物などを挙げることができる。
【0015】共重合ポリエステルは前述のジカルボン酸
成分およびグリコール成分以外にp−ヒドロキシ安息香
酸、p−(β−ヒドロキシエトキシ)安息香酸などのヒ
ドロキシカルボン酸成分を少量含むことができる。
【0016】さらに共重合ポリエステルは、前述のジカ
ルボン酸成分、グリコール成分およびヒドロキシカルボ
ン酸成分以外に、架橋が実質的に生起しない範囲の少量
の割合で、多官能性成分を含むことができる。多官能性
成分としてはトリメリット酸、ジメチロールプロピオン
酸、グリセリン、トリメチロールプロパンなどを挙げる
ことができる。
【0017】共重合ポリエステルの数平均分子量は40
00〜27000であることが好ましい。
【0018】また共重合ポリエステルのガラス転移点は
40〜80℃であり、好ましくは45〜75℃である。
共重合ポリエステルのガラス転移点が上記範囲であるこ
とにより、本発明の積層ポリエステルフィルムがブロッ
キング性に優れ、かつ透明性を維持することが可能とな
る。
【0019】このような共重合ポリエステル(a)はそ
れ自体公知の方法で製造することができる。例えば、前
記の基−SO3Mを含むジカルボン酸、その他のジカル
ボン酸およびグリコールを出発原料としてエステル化反
応、あるいはエステル交換反応を行い引き続き重縮合反
応を行うことにより容易に得ることができる。所望のガ
ラス転移点を有する共重合ポリエステルは、あらかじめ
予備実験により酸成分組成およびグリコール成分組成と
ガラス転移点との関係を知ることができるので、その知
見に基づいて容易に製造することができる。
【0020】プライマー層を構成する(B)アクリル系
樹脂のガラス転移点は、25〜70℃、好ましくは40
〜66℃である。ガラス転移点が上記範囲であることに
より、本発明の積層フィルムは接着性に優れる共に耐ブ
ロッキング性および透明性が維持され得る。
【0021】上記アクリル系樹脂としては、メタクリル
酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アク
リル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、N−メチロー
ルアクリルアミド、グリシジルメタクリレート、アクリ
ロニトリル、β−ヒドロキシエチルアクリレート、アク
リル酸アンモニウムなどのアクリル系モノマーの重合体
あるいは共重合体、さらには、上記のモノマーとスチレ
ンで例示される少量割合のビニルモノマーとの共重合体
を挙げることができる。なお、アクリル系樹脂は非架橋
である。
【0022】このアクリル系樹脂は、プライマー塗液を
水性塗液として調製することの容易さから、水溶性のも
のであることが好ましい。
【0023】本発明における(C)滑剤としての微粒子
は平均粒径0.01〜1μmのものが好ましい。そして
架橋アクリル系樹脂、架橋ポリスチレン系樹脂、架橋メ
ラミン樹脂で例示される有機系微粒子;酸化珪素、酸化
チタン、タルク、カオリン、酸化アルミニウム、カーボ
ン、炭化珪素で例示される無機系微粒子を本発明におけ
る(C)微粒子として用いることができる。
【0024】(A)共重合ポリエステル、(B)アクリ
ル系樹脂および(C)微粒子の割合は、これらの合計量
を基準として、共重合ポリエステルが20〜80重量
%、アクリル系樹脂は10〜50重量%、微粒子は5〜
25重量%であることが好ましい。上記範囲であること
により本発明の積層ポリエステルフィルムは接着性に優
れることが可能となり、滑り性および透明性が維持され
得る。
【0025】本発明の積層ポリエステルフィルムのプラ
イマー層は、上記成分の他に本発明の目的の達成を阻害
しない範囲で他の樹脂、界面活性剤、帯電防止剤、滑り
性付与剤および紫外線吸収剤を含むことができる。
【0026】本発明の積層ポリエステルフィルムの厚み
は10〜150μmであることが好ましく、プライマー
層の厚みは0.01〜0.3μmであることが好ましい。
また該積層ポリエステルフィルムは二層構造あるいは三
層構造をとることができる。
【0027】ポリエステルフィルムにプライマー層を設
けるには、通常共重合ポリエステルおよびアクリル系樹
脂が溶解あるいは分散し、かつ微粒子が分散した水性分
散液(塗液)をポリエステルフィルムの片面または両面
に塗布し、乾燥することにより行うことができる。
【0028】このようにして形成されたプライマー層は
均一な表面を有し、斑がない。しかも金属、特にアルミ
ニウムに対する接着力も高いので、本発明の積層ポリエ
ステルフィルムは蒸着フィルムのベースフィルムとして
優れる。
【0029】塗布前のポリエステルフィルムは未配向フ
ィルム、一軸配向フィルム、二軸配向フィルムいずれで
もよいが、一軸配向フィルムに塗布し、乾燥後あるいは
乾燥しつつさらに延伸、熱処理して二軸配向フィルムと
する方法が好ましい。塗布法はロールコーティングなど
それ自体公知の任意の方法を用いることができる。
【0030】本発明の積層ポリエステルフィルムのプラ
イマー層側に、蒸着法によりアルミニウムなどの蒸着層
を設けて容易に蒸着フィルムを得ることができる。
【0031】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に
説明する。各特性値は下記の方法によって測定した。
【0032】(1)塗布斑 プライマー塗布面にアルミニウムを蒸着して目視で斑を
観察する。 A:斑なし B:ごくわずか斑あり C:斑がよく見える
【0033】(2)接着力 プライマー塗布面にアルミニウムを蒸着してアルミニウ
ムのはがれ易さをはく離テストで調べる。
【0034】[実施例1]固有粘度が0.62dl/g
(オルソクロロフェノール溶媒中、35℃で測定)のポ
リエチレンテレフタレートの未延伸フィルムを縦方向に
3.5倍延伸した後、テレフタル酸−イソフタル酸−5
−Naスルホイソフタル酸(前記化学式(1)の化合
物:全ジカルボン酸成分の13モル%を占める)−エチ
レングリコール−ネオペンチレングリコール共重合P
(Tg=49℃)を56重量部、メタクリル酸メチル−
アクリル酸エチル−アクリル酸−メタクリルアミド−N
−メチロールアクリルアミド共重合体S(Tg=42
℃)を25重量部、架橋アクリル樹脂フィラー(40m
m径)を10重量部およびエチレンオキシド・プロピレ
ンオキシド共重合体を9重量部の割合で含む4%濃度水
性液(塗液)を上記フィルムの片面にロールコーターで
塗布した。乾燥しつつ横方向に4倍延伸し、220℃で
熱固定して25μmのフィルムをえた。プライマーの膜
厚は0.05μmであった。このフィルムの特性を表1
に示す。
【0035】[比較例1]実施例1において、プライマ
ー層を設けないこと以外は実施例1を繰り返して得たフ
ィルムの特性を表1に示す。
【0036】[実施例2〜7]実施例1において、プラ
イマー組成および膜厚を表1に記載されるように変える
こと以外は実施例1を繰り返して得たフィルムの特性を
表1に示す。
【0037】なお表1で共重合ポリエステルQおよびア
クリル樹脂Tとは以下のとおりである。 ポリエステルQ 2,6−ナフタレンジカルボン酸−イソフタル酸−5−
カリウムスルホイソフタル酸(前記式(2)の化合物:
全ジカルボン酸の11モル%を占める)−エチレングリ
コール−ビスフェノールA・エチレンオキシド付加物共
重合体(Tg=55℃) アクリル樹脂T メタクリル酸メチル−グリシジルメタクリレート−アク
リル酸ブチル−N−メトキシメチルアクリルアミド−β
−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(Tg=4
8℃)
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】本発明によれば金属、特にアルミニウム
との接着性に優れ、表面の全体にわたって均一で斑のな
いプライマー層を有する積層ポリエステルフィルムガ得
られる。このフィルムは蒸着用ベースフィルムとして優
れる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C08G 63/688 C08G 63/688 (56)参考文献 特開 平3−17135(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 C08J 7/04 - 7/06 B05D 1/00 - 7/26 C08L 67/00 - 67/08

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフィルムの片面または両面
    に、(A)ガラス転移点が40〜80℃であり、基−S
    3M(ここで、Mは−SO3と同当量の金属原子、アン
    モニウム基、第4級アミンまたは第4級ホスホニウム基
    を示す)を有するジカルボン酸成分が全ジカルボン酸成
    分の8〜20モル%を占める共重合ポリエステル、
    (B)ガラス転移点が25〜70℃のアクリル系樹脂、
    (C)滑剤としての微粒子および(D)エチレンオキシ
    ド・プロピレンオキシド共重合体を主成分としてなるプ
    ライマー層が存在することを特徴とする積層ポリエステ
    ルフィルム。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の積層ポリエステルフィ
    ルムのプライマー層上に金属蒸着膜が存在することを特
    徴とする蒸着フィルム。
  3. 【請求項3】 金属蒸着膜が、アルミニウム蒸着膜であ
    る請求項2に記載の蒸着フィルム。
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