JP3019138U - 大梁の上面にコッターを製作するための型枠構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 型枠を取り除いた後のボルトの切断作業を不
要にすると共に、複数の型枠を一個ずつセットする作業
を不要にして作業性の大幅な向上を図ることができ、し
かもコッター凹凸部の仕上がり精度を良好に確保するこ
とができる大梁の上面にコッターを製作するための型枠
構造を提供する。 【構成】 大梁の主筋２ａ，２ｂを間に挟んで上下に配
置された一対の取付プレート３，４をボルト１２及び長
ナット１３によって主筋２ａ，２ｂに固定する。取付プ
レート３の上方に大梁の上面に製作されるコッターの形
状に対応する凹部１７及び凸部１８を有するコッター型
枠１６を配置する。コッター型枠１６の凹部１７底面の
ボルト穴１８に外側からボルト１９を挿入してその先端
部１９ａを該底面より下方に位置する長ナット１３にね
じ込む。これにより、型枠１６が長ナット１３を介して
取付プレート３に着脱自在に固定される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、下面にコッター凹凸部を有するプレキャストコンクリート耐震壁（ 以下、ＰＣ耐震壁と略称する。）を大梁上面に接合するに際し、該大梁上面に該 ＰＣ耐震壁の下面のコッター形状に対応するコッターを製作するための型枠構造 に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来のこの種の型枠構造としては、大梁の主筋に長ボルトの下端を溶接し、大 梁上面に形成されるコッターの凹部に対応する形状の木片をコッター型枠として これを前記長ボルトに取り付けてナットで締め付け固定したものが知られている 。そして、かかる木片を所定の間隔で複数固定した状態でコンクリートを打設し 、該コンクリートの硬化後ナットを緩めて長ボルトから木片を取り除き、これに より大梁上面にコッターの凹凸部を製作している。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、かかる型枠構造においては、コンクリート硬化後に木片を取り 除くと、コンクリート表面に長ボルトが突出する。このため、木片を取り除いた 後に該長ボルトを切断する作業が必要となってその作業が非常に面倒である。ま た、コッター凹部は大梁上面に複数形成されるため該凹部の数に応じた木片を一 個ずつセットする必要が生じてその作業が非常に面倒である。さらに、木片セッ ト時の位置精度等に限界があるため製作されたコッターの凹凸部の仕上がり精度 を十分に確保することができないという問題もある。

【０００４】 本考案はかかる不都合を解消するためになされたものであり、型枠を取り除い た後のボルトの切断作業を不要にすると共に、複数の型枠を一個ずつセットする 作業を不要にして作業性の大幅な向上を図ることができ、しかもコッター凹凸部 の仕上がり精度を良好に確保することができる大梁の上面にコッターを製作する ための型枠構造を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

かかる目的を達成するために、請求項１に係る大梁の上面にコッターを製作す るための型枠構造は、大梁の主筋を間に挟んで上下に配置された一対の取付プレ ートと、該一対の取付プレートを前記主筋に固定する固定部材と、前記一対の取 付プレートの上方に配置され、前記大梁の上面に製作されるコッターの形状に対 応する凹凸部を有するコッター型枠と、該コッター型枠の前記凹部の底面に外側 から螺着され、前記コッター型枠を前記取付プレートに着脱自在に取り付けるね じ部材とを備えたことを特徴とする。

【０００６】 請求項２に係る大梁の上面にコッターを製作するための型枠構造は、前記コッ ター型枠が金属製であることを特徴とする。 請求項３に係る大梁の上面にコッターを製作するための型枠構造は、前記コッ ター型枠の前記凹部を受け止める支持プレートを備え、該支持プレートを昇降自 在に設けたことを特徴とする。

【０００７】

【作用】

請求項１の考案では、コッターの形状に対応する凹凸部を有する型枠を用いる ことにより、従来のような複数の木片を一個ずつセットする作業を不要にすると 共に、凹凸部を複数形成することにより該型枠を一回セットするだけで凹部の正 確な位置決めを同時に行うことを可能にする。

【０００８】 また、ねじ部材をコッター型枠の凹部の底面に外側から螺着して該コッター型 枠を取付プレートに着脱自在に取り付けることにより、コンクリート硬化後にね じ部材を緩めてコッター型枠を取り外した際に、コンクリート表面にボルトが突 出しないようにして従来のようなボルト切断作業を不要にする。 請求項２の考案では、請求項１の考案に加えて、コッター型枠を金属製とする ことにより、コッター型枠の再利用を可能とする。

【０００９】 請求項３の考案では、請求項１又は２の考案に加えて、コッター型枠の凹部を 受け止める支持プレートを昇降自在に設けることにより、コッター型枠のレベル 調整を可能にする。

【００１０】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を図１及び図２を参照して説明する。図１は本考案の 一実施例である大梁の上面にコッターを製作するための型枠構造の要部断面図、 図２は図１の−線断面図である。 図１及び図２に従って構成を説明すると、該型枠構造は、ＰＣ耐震壁１の上部 に現場打ちされる大梁（図示せず）の主筋２ａ，２ｂを間に挟んで上下に配置さ れた金属製の一対の取付プレート３，４を備える。尚、図１において符号２０は あばら筋、２１はスラブ、２２は床配筋を示す。

【００１１】 取付プレート３，４は、共に図１において左右方向に長い長方形状をなしてい る。上側の取付プレート３の左右端部にはボルト穴５，６がそれぞれ形成されて おり、該ボルト穴５，６は主筋２ａ，２ｂより外側に配置されている。取付プレ ート３の上面中央部にはナット７が溶接等によって固定されており、該取付プレ ート３のナット７に対応する位置にはボルト穴８が形成されている。

【００１２】 一方、下側の取付プレート４の左右端部には、取付プレート３のボルト穴５， ６に対応してボルト穴９，１０がそれぞれ形成されている。また、取付プレート ４の下面中央部にはナット１１が溶接等によって取付プレート３のナット９と同 心に固定されており、該取付プレート４のナット１１に対応する位置にはボルト 穴１１ａが形成されている。

【００１３】 ボルト穴９，１０には、取付プレート４の下方からそれぞれボルト（固定部材 ）１２が挿入される。各ボルト１２の先端部は取付プレート３のボルト穴５，６ から上方に突出しており、該突出端部１２ａには長ナット（固定部材）１３が螺 合されている。かかる螺合により、取付プレート３，４が主筋２ａ，２ｂに強固 に締め付け固定される。固定状態においては、ボルト１２の突出端部１２ａの長 ナット１３へのねじ込み量は該長ナット１３の軸方向の長さの１／３程度とされ ている。

【００１４】 また、取付プレート３，４に固定されたナット７，１１には、スタッド１４が 螺合されている。スタッド１４は上下端部がそれぞれナット７，１１から突出し ており、ナット７側（上端側）の突出端部１４ａには略正方形状をなす金属製の 支持プレート１５が固定されている。そして、支持プレート１５を正逆方向に回 すことにより、スタッド１４とナット７，１１とのねじ作用で該支持プレート１ ５が昇降するようになっている。支持プレート１５には、金属製のコッター型枠 １６が載置される。

【００１５】 コッター型枠１６は、例えば板金に曲げ加工や溶接等を施して形成されたもの であり、図１及び図２に示すように、大梁の上面に製作されるコッターの凹凸形 状に対応する凹部１７と凸部１８とを複数有する。コッター型枠１６の凹部１７ は、上述した支持プレート１５に載置されるようになっている。かかる載置に際 しては、支持プレート１５を正又は逆に回してコッター型枠１６のレベルを調整 する。また、凹部１７の底面には、ボルト穴１８が長ナット１３の位置に対応し て二箇所形成されている。ボルト穴１８に外側からボルト（ねじ部材）１９を挿 入して先端部１９ａを長ナット１３にねじ込むことにより、コッター型枠１６が 長ナット１３を介して取付プレート３に強固に固定される。固定状態においては 、ボルト１９の先端部１９ａの長ナット１３へのねじ込み量は長ナット１３の軸 方向の長さの１／３程度とされている。

【００１６】 そして、コッター型枠１６を固定した状態でコンクリートを打設し、該コンク リートの硬化後ボルト１９を緩めてコッター型枠１６を取り外すことにより大梁 上面にコッターの凹凸部が製作される。 かかる構成の型枠構造においては、大梁の上面に製作されるコッターの凹凸形 状に対応する凹部１７と凸部１８とを複数有する型枠１６を用いているので、従 来のような複数の木片を一個ずつセットする作業が不要になって作業性の向上を 図ることができると共に、型枠１６を一回セットするだけで凹部１８及び凸部１ ９の正確な位置決めがなされるのでコッター凹凸部の仕上がり精度の向上を図る ことができる。

【００１７】 また、ボルト１９をコッター型枠１６の凹部１７底面のボルト穴１８に外側か らボルト１９を挿入して先端部１９ａを該底面より下方に位置する長ナット１３ にねじ込むことにより、コッター型枠１６を長ナット１３を介して取付プレート ３に着脱自在に固定しているので、コンクリート硬化後にボルト１９を緩めてコ ッター型枠１６を取り外した際に、従来のようにコンクリート表面にボルトが突 出することがない。この結果、従来のように突出したボルトの切断作業が不要に なって作業性の向上を図ることができる。

【００１８】 さらに、金属製のコッター型枠１６を用いているので、脱型後に該コッター型 枠１６を洗浄して再利用することができ、該コッター型枠１６を有効に利用する ことができる。 尚、上記実施例では、ボルト１９を長ナット１３にねじ込んでコッター型枠１ ６を固定しているが、必ずしもこのようにする必要はなく、例えば、取付プレー ト３に雌ねじ部（図示せず）を形成して該雌ねじ部にボルト１９をねじ込むこと によりコッター型枠１６を取付プレート３に直接固定してもよい。

【００１９】

【考案の効果】

上記の説明から明らかなように、請求項１の考案によれば、大梁の上面に製作 されるコッターの凹凸形状に対応する凹凸部有する型枠を用いているので、従来 のような複数の木片を一個ずつセットする作業が不要になって作業性の向上を図 ることができると共に、該型枠を一回セットするだけで凹凸部の正確な位置決め がなされるのでコッター凹凸部の仕上がり精度の向上を図ることができるという 効果が得られる。

【００２０】 また、コッター型枠を取り外した際に、コンクリート表面にボルトが突出しな いので、従来のようなボルト切断作業が不要になって作業性の向上を図ることが できるという効果が得られる。 請求項２の考案によれば、請求項１の考案に加えて、コッター型枠を金属製と することにより、コッター型枠の再利用が可能になって該コッター型枠を有効に 利用することができるという効果が得られる。

【００２１】 請求項３の考案によれば、請求項１又は２の考案に加えて、コッター型枠の凹 部を受け止める支持プレートを昇降自在に設けることにより、コッター型枠のレ ベル調整ができるので、コッター凹凸部の精度のより向上を図ることができると いう効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例である大梁の上面にコッター
を製作するための型枠構造の要部断面図である。

【図２】図１の−線断面図である。

【符号の説明】

２ａ，２ｂ…主筋 ３，４…取付プレート １２…ボルト（固定部材） １３…長ナット（固定部材） １５…支持プレート １６…コッター型枠 １７…凹部 １８…凸部 １９…ボルト（ねじ部材）

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 大梁の主筋を間に挟んで上下に配置され
   た一対の取付プレートと、該一対の取付プレートを前記
   主筋に固定する固定部材と、前記一対の取付プレートの
   上方に配置され、前記大梁の上面に製作されるコッター
   の形状に対応する凹凸部を有するコッター型枠と、該コ
   ッター型枠の前記凹部の底面に外側から螺着され、前記
   コッター型枠を前記取付プレートに着脱自在に取り付け
   るねじ部材とを備えたことを特徴とする大梁の上面にコ
   ッターを製作するための型枠構造。
2. 【請求項２】 前記コッター型枠が金属製であることを
   特徴とする請求項１記載の大梁の上面にコッターを製作
   するための型枠構造。
3. 【請求項３】 前記コッター型枠の前記凹部を受け止め
   る支持プレートを備え、該支持プレートを昇降自在に設
   けたことを特徴とする請求項１又は２記載の大梁の上面
   にコッターを製作するための型枠構造。