JP3018298B2 - 親展はがき製造用紙,その使用方法および製造方法 - Google Patents

親展はがき製造用紙,その使用方法および製造方法

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JP3018298B2
JP3018298B2 JP2287082A JP28708290A JP3018298B2 JP 3018298 B2 JP3018298 B2 JP 3018298B2 JP 2287082 A JP2287082 A JP 2287082A JP 28708290 A JP28708290 A JP 28708290A JP 3018298 B2 JP3018298 B2 JP 3018298B2
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克己 鷲尾
裕 大坪
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王子化工株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、「親展はがき」を製造するための用紙に
関するものである。別の観点から見れば、この発明は、
情報を記載した紙の表面を不透明な被覆材料で被覆した
後に、その被覆材料をわずかな力で剥離することがで
き、かつ、不透明材料を剥離する時に情報が不透明材料
に転写されない様な情報伝達用紙に関する。
〔従来の技術〕
近年、プライバシー保護の観点から、公的機関や金融
機関等の通知、ダイレクトメール等の通信には封書を使
用したり、はがきを利用する場合には、はがきに記載さ
れている情報部分を再接着不可能なシールでマスク(隠
蔽)し、全体の寸法や重量が通常はがきの規格になるよ
うにして通常はがきの郵便料金で送付し、受信人がシー
ルを剥離して貼合面(剥離面)に記載されている情報を
読み取れるようにしたものがある(特開昭64−77587号
公報参照)。しかし、このシールマスキングは製造工程
の繁雑化により、製造コストが増加するという欠点を有
していた。
また、従来から熱接着によるはがきとして、はがき2
枚相当の大きさの紙基材の片面に熱接着性樹脂が塗工さ
れており、反対面の左右にそれぞれ宛名、必要情報をコ
ンピューターのアウトプットで印字した後、左右の真中
を熱接着性樹脂塗工面を内側にして折り曲げ熱接着して
一枚のはがきとして使用できるものがある。
しかし、この方法は年金支払通知、保険料支払期日通
知など個人の秘密に属する情報が表に出るため好ましく
ないが、情報通知がコンピューターで処理できる点で極
めて生産性に優れたはがきである。
また、上記熱接着によるはがきの熱接着面にも情報を
書き込み、いったん熱接着した後に熱接着面を剥がして
情報を読むことのできる親展はがきが開発された(特開
平2−125791)。この公報に記載されている発明は、ポ
リエチレン繊維とパルプ繊維とを混抄した親展はがき原
紙であって、表面に印刷が可能であると同時に加熱圧着
性を有し、しかも圧着後容易に剥離することができ、そ
の剥離の際に印刷面を損ねることがないという特徴を有
している。
〔発明の目的〕
本発明は、上記のような親展はがき製造用紙としての
機能をもった紙を提供するものであるが、上記混抄紙の
欠点としては一般的には、抄造ロットを大きくしないと
経済性が極めて悪いので、小ロットの場合にも加工可能
な方法に係るものであり、いったん抄造された紙を任意
に選んで、二次加工として熱接着性樹脂水性エマルジョ
ンを塗工含浸した親展はがき製造用紙、およびそれに関
連する発明に関するものである。
〔問題点を解決する手段〕
(断面構造) この発明の親展はがき製造用紙は、紙の少なくとも一
つの面の表面に熱接着性樹脂の層をもち、かつ、その表
面ではパルプ繊維が一部露出し、表面にごく近い紙層内
(以下、「表層」という。)に同じ熱接着性樹脂をパル
プと混在させたことを特徴とする。
表面に露出したパルプ繊維は、熱接着性樹脂塗工後に
情報を印刷、複写、印字或いは筆記することができるよ
うにするためのものであり、表面にごく近い紙層内のパ
ルプ繊維と混在する熱接着性樹脂は、親展はがきとした
後に接着面を剥離する際、紙の接着面の表面強度を高め
る。その結果として剥離が容易になり、かつ、綺麗に剥
離できる。したがって、この発明の要点は、親展はがき
製造用紙基材を用い、上記構造を作るために熱接着性樹
脂を水性エマルジョンの中から選択することと、その塗
工方法および使用方法にある。
(紙基材) 一枚の紙を折り曲げ、あるいは2枚の紙を貼り合わせ
て一枚のはがきにするため、紙の厚さ、米坪厚には制限
があり、また、筆記されることが前提であるからサイズ
剤を使用し、紙表面はインキのにじみのないよう考慮す
る必要がある。
しかし、はがき以外に利用する場合には、紙の厚さ、
米坪量に制限はない。
また、熱接着性樹脂エマルジョン塗工面は本発明の趣
旨から見て、顔料接着剤でカバーされている紙表面に作
ることは不向きであるが、片面コート紙で非顔料コート
面を熱接着性樹脂エマルジョン塗工面とすれば顔料コー
ト面が外側になった美麗なはがきとなる。
(熱接着性樹脂水性エマルジョン) この発明の親展はがき製造用紙を製造するための要点
である熱接着性樹脂エマルジョンは一般に市販されてい
る不織布、繊維、紙加工用熱接着性樹脂エマルジョン例
えばポリエチレン樹脂、アクリル系共重合樹脂、酢酸ビ
ニル樹脂、エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニ
ル/酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン等の中から、あ
るいはこれらを混合したものの中から選択することがで
きる。
選択にあたって、それぞれの熱接着性樹脂エマルジョ
ンを紙基材の表面に塗工、表層部分に含浸、乾燥した
後、塗工面を内側置折り合せ熱接着する場合、100℃〜1
60℃の温度で熱接着できる樹脂エマルジョンを選択する
ことが最も重要である。
熱接着温度が160℃以上の熱接着性樹脂では、かりに
隠蔽しようとする情報が静電複写されたものである場合
には、熱接着時にトナーが溶融し、ユーザーが熱接着さ
れたものを剥がした場合、相手側の樹脂エマルジョン塗
工面に裏写りの形で転移してしまうおそれがある。
一方、熱接着温度が100℃以下の熱接着性樹脂を選ぶ
と、樹脂を塗工して本発明の親展はがき製造用紙を造る
場合、紙基材に塗工、乾燥後に巻取として連続生産する
ことが通例であるから、紙基材の塗工面と紙基材の裏面
が強く巻取られた巻取内でブロッキングが発生したり、
この巻取が平判断裁されて親展はがき製造用紙として積
重ねて保管される場合、雰囲気が高温になるとブロッキ
ングを起こす恐れがある。
実施例で用いられた樹脂エマルジョンのアクリル系共
重合樹脂は、Tgが17℃であり、かつ、エマルジョンポリ
マーとしての粒子径も0.2μmであり、また、エチレン
−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョンの場合は、粒子径
は0.09〜0.1μmであった。
一般にエマルジョンポリマーの粒径は通常0.1〜0.5μ
mであるが、接着剤樹脂エマルジョンの選定の条件とし
て、紙の表層への含浸が必要であることを考慮すると、
この粒径も小さいものが選択されていることも要点の一
つと考えられる。
(紙基材の表面及び表面にごく近い紙層内(表層)への
塗工含浸) 本発明の第2要点は、先に選択された接着剤樹脂エマ
ルジョンを如何に紙基材の表層部分に一部含浸させて定
着させるかにある。
熱接着性樹脂水性エマルジョンを紙基材表面に塗工
し、表面層へ含浸し、乾燥させて親展はがき製造用紙に
した場合、熱接着性樹脂エマルジョン塗工含浸面に印
刷、複写等ができるようにしておく必要があるので、塗
工含浸した表面は紙基材を構成するパルプ繊維の一部を
露出させておく必要がある。
一般に、はがき用等印字されることが前提となってい
る紙基材には、インキのにじみを防ぐためにサイズ剤処
理されており、僅かに撥水性が付与されているが、本発
明に使用される紙基材も当然サイズ剤処理されている紙
基材が前提である。かかる紙基材に樹脂エマルジョンを
塗工しても、撥水性のため樹脂エマルジョンが表層へ含
浸する量は少量であり、熱接着に必要な接着剤樹脂はほ
とんど表面に層を作ってしまうことになる。
本発明者はこの点に着目して鋭意検討の結果、接着剤
樹脂エマルジョンに低級アルコール、中でもイソプロピ
ルアルコールを接着剤樹脂エマルジョン塗工液に5〜20
重量%含有させることによって、サイズ度がいくらか違
った紙を紙基材としてほとんどカバーして良好な結果が
得られた。
また、界面活性剤を使用する場合には、界面活性剤を
接着剤樹脂エマルジョンに対し、0.5〜2%補強する必
要がある。
熱接着性樹脂エマルジョンの塗工量には、更に重要な
要点がある。
一般に感圧性接着剤を用いた粘着ラベル等の粘着剤固
形分塗工量は20g/m2程度であり、従来の熱接着によるは
がきの場合、片面の熱接着性樹脂塗工量は固形分で6〜
7g/m2、貼合両面で12〜14g/m2以上必要である。本発明
の場合も充分な接着機能を発揮させるためには貼合せた
状態で12〜14g/m2以上、片面で6〜7g/m2が目安とな
る。しかし、実際の塗工量設定は、下記の熱接着面の剥
離力が得られるように調節する。なお、14〜15g/m2以上
塗工し、塗工層が紙基材を完全に被覆するようになる
と、熱接着後に剥離した場合、印字面が損なわれる恐れ
がある。
(剥離力) 熱接着面の剥離力は、50g/15mm以上であって200g/15m
m以下の範囲が好ましい。剥離力が50g/15mm以下では軽
い衝撃で熱接着性樹脂が剥離するおそれがあり、また剥
離力が200g/15mm以上では印刷や印字が裏移りするおそ
れがある。また、紙基材の層間剥離強度が200g/15mm以
下の場合には、熱接着面の剥離力を紙基材の層間剥離強
度以下に調節する必要がある。さもなければ、剥離の際
に紙基材の層間剥離が発生するおそれがある。
(熱接着操作) 片面塗工品は一枚の製造用紙の樹脂塗工面を内側にし
て折るか、又は2片の製造用紙の樹脂塗工面同士を合わ
せて熱ロール等で熱圧着をする。両面に塗工した場合に
は、その製造用紙をびょうぶ折り等に折り畳んで熱接着
することが可能となる。この発明品は、樹脂(塗工面)
同士の軟化により接着する機能があり、樹脂面と未処理
の紙表面とでは熱接着不可か、極めて弱い力でしか熱接
着しないため、実用にならない。
実 施 例 実施例1 自己架橋型アクリル系共重合樹脂エマルジョン(ヨド
ゾール4100 カネボウNSC製 不揮発分60%)100重量部
にイソプロピルアルコール40%水溶液90重量部を混合し
た液を調整した。この液を坪量75g/m2の上質紙(ステキ
ヒトサイズ度14秒)の片面に、乾燥重量で8.5g/m2にな
るようにメイヤーバーで塗工して親展はがき製造用紙を
製造した。
実施例2 自己架橋型アクリル系共重合樹脂エマルジョン(ヨド
ゾール4100 カネボウNSC製 不揮発分60%)100重量部
にイソプロピルアルコール10%水溶液90重量部を混合し
た液を調整した。この液を坪量123.5g/m2の上質紙(ス
テキヒトサイズ度30秒)の片面に、乾燥重量で6.5g/m2
になるようにメイヤーバーで塗工して親展はがき製造用
紙を製造した。
実施例3 自己架橋型アクリル系共重合樹脂エマルジョン(ヨド
ゾール4100 カネボウNSC製 不揮発分60%)100重量部
にイソプロピルアルコール20%水溶液100重量部を混合
した液を調整した。この液を坪量90g/m2の上質紙(ステ
キヒトサイズ度47秒)の片面に、乾燥重量で7.0g/m2
なるように塗工して親展はがき製造用紙を製造した。
実施例4 ポリエチレン樹脂エマルジョン(ザイクセン N 製
鉄化学製 不揮発分25%)100重量部にイソプロピルア
ルコール20%水溶液50重量部を混合した液を調整した。
この液を実施例1で用いた上質紙に乾燥重量で3.8g/m2
になるように塗工して親展はがき製造用紙を製造した。
実施例5 エチレン−酢酸ビニル系特殊共重合(自己架橋型)樹
脂エマルジョン(ポリゾールEVAEF−210 昭和高分子製
不揮発分45%)100重量部にイソプロピルアルコール3
0%水溶液80重量部を混合した。この液を実施例1で用
いた上質紙に乾燥重量で5.0g/m2になるように塗工して
親展はがき製造用紙を製造した。
実施例6 自己架橋型アクリル系共重合樹脂エマルジョン(ヨド
ゾール4100 カネボウNSC製 不揮発分60%)100重量部
に湿潤剤(ノプコ 2272R−SN サンノプコ製)2%水
溶液140重量部を混合した液を調整した。この液を実施
例1の上質紙の片面に、乾燥重量で8.5g/m2になるよう
にメイヤーバーで塗工して親展はがき製造用紙を製造し
た。
実施例7 実施例2の上質紙の片面に、顔料とバインダーから成
る塗工層を乾燥重量で10g/m2塗工した紙の非塗工面に、
実施例2と同様にエマルジョン樹脂を塗工して親展はが
き製造用紙を製造した。
比較例 天然繊維と合成繊維を混抄した市販のヒート シール
紙を比較例とした。
これらの実施例の親展はがき製造用紙及び比較例の熱
接着紙サンプルをそれぞれパーソナルコンピューターの
プリンター(PC−PR201H、日本電気製)及びRI−III型
印刷試験機(明製作所製)で印字あるいは印刷し、ヒー
トシーラー(テスター産業 製)により130℃〜180℃、
2kg/cm2で1秒間熱接着した。
第1表に熱接着した親展はがき製造用紙及びヒートシ
ール紙サンプルの評価結果を示した。その結果、実施例
は比較品より低温で熱接着でき、かつ、印字あるいは印
刷が裏移りすることなく良好な剥離性を示した。
*1 熱接着後に東洋ボールドウイン製テンシロン万能
引張試験機により引っ張り速度300nm/分でT字ピールで
測定。
*2 印字部分を熱接着後に剥離し、裏移りの有無を目
視観察で判定。
*3 印字後に印字部分をティッシュペーパーでこすっ
た時の、印字が汚れなくなるまでの時間を目視観察で判
定。
*4 紙用オフセットインキ(TKマークV 東洋インキ
製)で、印刷面のインキ量が3cc/m2になるようにして印
刷した後の、裏移りしなくなるまでの時間を目視観察で
判定。
〔発明の効果〕
本発明品は紙基材と塗工液の種類の選択に幅があるの
で、現在上市されている親展用はがきに比べ、紙の風合
いや色の選択の幅が拡大された。
また、片面塗工品は樹脂塗工面の反対側に、顔料とバ
インダーを主体とする塗工面を塗工し、この面を外側に
折ることにより美麗な印刷の仕上りを有するはがきを作
成することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B42D 15/02 501 D21H 27/00 D21H 1/34

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性で低融点の樹脂の樹脂を紙の少な
    くとも一つの面の表面に存在させ、かつ、その表面に近
    い紙層内に含浸させたことを特徴とする親展はがき製造
    用紙。
  2. 【請求項2】熱可塑性で低融点の樹脂が、その水性エマ
    ルジョンを紙に塗工乾燥後の皮膜の溶融温度が100〜160
    ℃の範囲になるものであることを特徴とする請求項1に
    記載の親展はがき製造用紙。
  3. 【請求項3】熱接着後の剥離力が、50g/15mm〜200g/15m
    mであることを特徴とする請求項1に記載の親展はがき
    製造用紙。
  4. 【請求項4】100℃〜160℃の範囲内の温度において熱接
    着することを特徴とする請求項1に記載の親展はがき製
    造紙の使用方法。
  5. 【請求項5】熱可塑性で低融点の樹脂の水性エマルジョ
    ンを、水と低級アルコールとの混合液、又は水と界面活
    性剤との混合溶液で希釈し、その希釈液を紙に塗工し、
    乾燥させることを特徴とする請求項1に記載の親展はが
    き製造用紙の製造方法。
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