JP3009680B2 - 非水電解液二次電池 - Google Patents

非水電解液二次電池

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JP3009680B2
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浩平 山本
義久 日野
吉郎 原田
正典 中西
秀哲 名倉
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富士電気化学株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> この発明は、非水電解液二次電池に関し、特に二酸化
マンガンを正極活物質とする非水電解液二次電池に関す
るものである。
<従来の技術> この種の非水電解液二次電池では、非水系の電解液を
用い、また例えばリチウムないしリチウム合金(リチウ
ム−アルミニウム合金など)で作った負極を、セパレー
タを介して正極と組合わせる構成が一般的に採られてい
る。
正極活物質としては、従来より、三酸化モリブテン、
五酸化バナジウム、あるいはチタンやモリブテンの硫化
物、更には二酸化マンガンなどが用いられている。特に
二酸化マンガンは、資源的に豊富でそれ故安価であるこ
とから、この種の二次電池用の正極活物質としては好ま
しい物質である。
このような二酸化マンガンとしては、例えば特開昭62
−108456号公報に記載されているようなCMDを350〜430
℃で熱処理を行ったもの、特開昭62−108457号公報ある
いは特開昭63−148550号公報に記載されている通りのリ
チウムをドープしたγ,α,δ型二酸化マンガン、ある
いは特開昭63−187569号公報に開示されている通りのλ
型二酸化マンガンなどが検討されている。
<発明が解決しようとする課題> しかしながら、上記のような熱処理やリチウムのドー
プ処理を行った二酸化マンガンを使用した場合でも特性
が改善される度合いは小さく、サイクル特性と容量が共
に満足のゆく電池を得ることができない。
この発明は、サイクル特性,容量ともに良好な非水電
解液二次電池を提供することを目的とする。
<課題を解決するための手段> この発明の非水電解液二次電池は、水酸化アンモニウ
ム水溶液またはアンモニウム塩水溶液によるドープ処理
を行い、次いで200〜450℃で熱処理したγ型,β型,λ
型二酸化マンガンまたは電解二酸化マンガンを、正極活
物質として用いてなることを要旨とする。
上記の200〜450℃での熱処理時において、水酸化リチ
ウムまたはリチウム塩とともに行うようにしても良く、
更に特性向上が図れる。
この水酸化アンモニウム水溶液またはアンモニウム塩
水溶液による処理に用いる溶液濃度は数%〜30%程度と
すれば良い。また、アンモニウム塩としては、硫酸アン
モニウム,炭酸アンモニウム,硝酸アンモニウムなどを
用いることができる。塩化アンモニウムも使用できる
が、処理後に水洗いなどにより塩素を取除く必要があ
る。
一方、リチウム塩としては、硝酸リチウム,炭酸リチ
ウムなどを用いれば良い。また上記熱処理の際の水酸化
リチウムやリチウム塩などの使用量は、Mnが1に対して
Liが0.1〜1.0の比率になるモル数で、これら水酸化リチ
ウムやリチウム塩などを二酸化マンガンに混合すれば良
い。
更に、上記の熱処理における温度が200℃より低い場
合、二酸化マンガンの結晶中の水分の除去が不十分で、
この水分による性能低下が起きる虞がある。一方、処理
温度が450℃より高い場合、二酸化マンガンが分解してM
n2O3に変化する。このため、この熱処理温度は200〜450
℃とする必要がある。
<作用> 水酸化アンモニウム水溶液またはアンモニウム塩水溶
液により処理を行うことで、二酸化マンガン中にアンモ
ニウムイオンが侵入し、即ちアンモニウムイオンがドー
プされた状態となり、またこのドープによって二酸化マ
ンガンの結晶構造に歪みが生じる。
上記のアンモニウムイオンは次に200〜450℃で熱処理
した際に外部に放出されるが、この熱処理後の二酸化マ
ンガンの結晶構造が、もとの構造とは異なり、充放電に
おけるリチウムイオンなどの出入りについて構造変化が
小さく、従ってサイクル特性が良好なものになると考え
られる。
また、上記熱処理を水酸化リチウムまたはリチウム塩
と一緒に行った場合、二酸化マンガン中のアンモニウム
イオンがリチウムイオンと置換され、またリチウムイオ
ンが結晶構造中に取込まれ新たな構造が生じ、これによ
りサイクル特性が更に向上すると考えられる。
<実施例> 実施例1 硫酸アンモニウムの10%水溶液1中に電解二酸化マ
ンガン(γ型二酸化マンガン)50gを加え、第1の温度1
00℃において10時間攪拌を行い、二酸化マンガン中にア
ンモニウムイオンをドープした。
上記の処理液を濾過し、また残渣を水洗し、温度100
℃で乾燥を行い、更に第2の温度300℃で熱処理して得
た二酸化マンガンを正極活物質とし、この二酸化マンガ
ンとグラファイトとPTFEとを重量比で10:1:1の割合で混
合したものを円盤状に加圧成形して、直径15mm、厚さ0.
6mmのペレットを作製した。
そして、第1図の通り、上記のペレットを正極1と
し、また負極2にはリチウム−アルミニウム合金を用い
て、直径20mm,高さ1.6mmの、本発明の偏平形リチウム二
次電池(電池a)を作製した。
また、硫酸アンモニウムに代えて炭酸アンモニウムを
用い且つ上記第1の温度を60℃とした他は同様にして本
発明の偏平形リチウム二次電池(電池b)を、更に硫酸
アンモニウムに代えて水酸化アンモニウムを用い且つ第
1の温度を30℃とした他は同様にして本発明の偏平形リ
チウム二次電池(電池c)を、それぞれ作製した。
その他、硫酸アンモニウム水溶液等による処理をする
ことなく、電解二酸化マンガンを温度300℃で熱処理し
て得た二酸化マンガンを正極活物質に用いた他は同様に
して、比較用の偏平形リチウム二次電池(電池h)を作
製した。
一方、硫酸アンモニウムの10%水溶液1中に、電解
二酸化マンガン50gを加え、第1の温度100℃において10
時間攪拌を行い、またこの処理液を濾過・水洗した後、
温度100℃で乾燥を行った。この二酸化マンガンに、LiO
HをMn:Liが2:1の割合になるモル比で加え、これらの混
合物を第2の温度300℃で熱処理した。そして、このよ
うにして得た二酸化マンガンを正極活物質とし、その他
は同様にして本発明の偏平形リチウム二次電池(電池
A)を作製した。
また、硫酸アンモニウムに代えて炭酸アンモニウムを
用い且つ第1の温度を60℃とした他は同様にして本発明
の偏平形リチウム二次電池(電池B)を、更に硫酸アン
モニウムに代えて水酸化アンモニウムを用い且つ第1の
温度を30℃とした他は同様にして本発明の偏平形リチウ
ム二次電池(電池C)をそれぞれ作製した。
その他、硫酸アンモニウム水溶液等による処理をしな
い電解二酸化マンガンにLiOHをMn:Liが2:1の割合になる
モル比で加え、これらの混合物を第2の温度300℃で熱
処理して得た二酸化マンガンを正極活物質に用いた他は
同様にして比較用の偏平形リチウム二次電池(電池H)
を作製した。
以上の電池を、電流1mAで端子電圧2.5Vまで放電した
後、同じく電流1mAで端子電圧3.8Vまで充電するという
充放電サイクルを繰返し、各電池の容量のサイクル変化
を調べた。結果は第2図に示した通りである。なお、第
2図において、容量比率とは、上記電池Aの第1回目の
サイクルでの放電容量を100とした場合の値である。
実施例2 次に、以下の〜のようにして、各種の二酸化マン
ガンを得た。
硝酸マンガンを空気中で温度190℃で加熱分解した後
に粉末にしたものを希硝酸中で煮沸し、更にこれを温度
450℃で熱処理して、β型の二酸化マンガンを作った。
硫酸マンガン溶液に過マンガン酸カリウム及び硝酸カ
リウムを加えてできる沈澱を水洗いして、α型二酸化マ
ンガンを作った。
水酸過マンガンアルカリ分散液の空気酸化により得ら
れたδ型二酸化マンガンを硝酸アンモニウム水溶液に浸
漬し、またオートクレーブで温度150℃で処理を行い、
α型二酸化マンガンを作った。
Mn2O3とLi2CO3をモル比2:1で混合したものを温度850
℃で熱処理し、次いで希硫酸中に分散した後に水洗いし
て、λ型二酸化マンガンを作った。
そして、上記で得た二酸化マンガン50gを硫酸アン
モニウムの10%水溶液1中に加え、第1の温度100℃
において10時間攪拌を行ってアンモニウムイオンをドー
プし、またこの処理液を濾過・水洗後、100℃で乾燥を
行い、更に第2の温度300℃で熱処理して得た二酸化マ
ンガンを正極活物質とし、その他は上記電池aと同様に
して、本発明の偏平形リチウム二次電池(電池d)を作
製した。
また、の二酸化マンガンに代えて上記〜で得た
二酸化マンガンを用いた他は同様にして、本発明の偏平
形リチウム二次電池(電池e〜g)をそれぞれ作製し
た。
一方、硫酸アンモニウムの10%水溶液1中に、上記
の二酸化マンガン50gを加え、第1の温度100℃におい
て10時間攪拌を行ってアンモニウムイオンをドープし、
またこの処理液を濾過・水洗後、100℃で乾燥を行い、
得られた二酸化マンガンにLiOHをMn:Liが2:1の割合にな
るモル比で加え、更にこれらの混合物を第2の温度300
℃で熱処理した。そして、こうして得た二酸化マンガン
を正極活物質とし、その他は同様にして本発明の偏平形
リチウム二次電池(電池D)と作製した。
また、の二酸化マンガンに代えて上記〜で得た
二酸化マンガンを用いた他は同様にして、偏平形リチウ
ム二次電池(電池E〜G)をそれぞれ作製した。
更に、上記〜で得られた二酸化マンガンをそのま
ま正極活物質として用いた他は同様にして、比較用の偏
平形リチウム二次電池(電池〜)をそれぞれ作製し
た。
これらの電池を、上記と同じ条件で充放電させ、各電
池の第50サイクル目における容量を調べた。結果は第1
表に示した通りである。尚、表において容量比率は、上
記電池Aの第1回目のサイクルでの放電容量を100とし
た場合の値である。
実施例3 上記実施例1で用いた電池a,Aにおける熱処理温度
(第2の温度)を100〜500℃の間で適宜変えて作った二
酸化マンガンをそれぞれ正極活物質とした他は同様にし
て、各種の偏平形リチウム二次電池を作製した。これら
を電池を、上記と同じ充放電条件でサイクルを繰返し、
各電池の第10サイクル目における容量をそれぞれ調べ
た。結果は第3図に示した通りである。尚、容量比率
は、電池Aの第1回目のサイクルでの放電容量を100と
した場合の値である。
以上はリチウム合金を負極活物質とする偏平形電池に
適用した例であるが,この他,例えばリチウムやナトリ
ウムなどの軽金属を負極活物質に用いた場合、あるいは
筒形電池などに適用した場合にも同様な効果が得られる
ことは明らかである。
<発明の効果> 以上のように、本願発明によれば、サイクル特性,並
びに電池容量がともに良好な、非水電解液二次電池を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例の電池の断面図、第2図は実施例で説明
した各電池における容量比率のサイクル変化を示したグ
ラフ、第3図は二酸化マンガンの熱処理温度に対する電
池の容量比率の変化を示したグラフである。 1……正極、2……負極、3……セパレータ、4……正
極缶、5……負極端子板、6……絶縁ガスケット。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原田 吉郎 東京都港区新橋5丁目36番11号 富士電 気化学株式会社内 (72)発明者 中西 正典 東京都港区新橋5丁目36番11号 富士電 気化学株式会社内 (72)発明者 名倉 秀哲 東京都港区新橋5丁目36番11号 富士電 気化学株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−148550(JP,A) 特開 昭62−108457(JP,A) 特開 平1−151159(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水酸化アンモニウム水溶液またはアンモニ
    ウム塩水溶液によるドープ処理を行い、次いで200〜450
    ℃で熱処理したγ型,β型,λ型二酸化マンガンまたは
    電解二酸化マンガンを、正極活物質として用いてなるこ
    とを特徴とする非水電解液二次電池。
  2. 【請求項2】水酸化アンモニウム水溶液またはアンモニ
    ウム塩水溶液によるドープ処理を行い、次いで水酸化リ
    チウムまたはリチウム塩とともに200〜450℃で熱処理し
    たγ型,β型,λ型二酸化マンガンまたは電解二酸化マ
    ンガンを、正極活物質として用いてなることを特徴とす
    る非水電解液二次電池。
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