JP3004706U - 配管接続に於ける絶縁ボルト用スリーブ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 施工の省力化と確実な絶縁施工を行うことの
できる配管接続に於ける絶縁ボルト用スリーブを提供す
る。 【構成】 ポリテトラフロロエチレン或いはエチレンテ
トラフロロエチレンよりなる絶縁チューブの一端にフレ
ア部が形成され、このフレア部の外側に高強度耐熱材よ
りなる絶縁ワッシャが一体に設けられ、絶縁ワッシャに
前記絶縁チューブの内径と同じ内径で絶縁ワッシャと同
じ外径の金属ワッシャが一体に設けられてなる配管接続
に於ける絶縁ボルト用スリーブ。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、配管、特に高温配管の施工に於いて、ステンレス鋼管と材質の異な る炭素鋼鋼管等とフランジ接続する場合、ステンレス鋼が異種金属と接触した時 に起こるガルバニック腐食を防ぐ為の絶縁ボルト用スリーブに関するものである 。

【０００２】

【従来の技術】

上記のガルバニック腐食を防ぐ為には、絶縁手段が必要であり、その代表的な 手段としては、現在図７に示すように一方の管１の固定フランジ２と他方の管３ のルーズフランジ４を締付けるボルト５に、金属ワッシャ６，絶縁ワッシャ７， 絶縁チューブ８を組付け、絶縁ボルトとして広く一般に使用されている。 しかし、この絶縁手段は、組立時に使用する部品が個々に分れている為、組立 作業に手間がかかり、さらに組立時のうっかりミスにより絶縁ワッシャ７，絶縁 チューブ８の組み忘れが生じ、本来の目的である絶縁処理材及び接合材としての 役目を果さなくなるという欠点があった。

【０００３】 また、これらの欠点を改良する手段として、最近図８に示すように絶縁ワッシ ャ７と絶縁チューブ８を樹脂等の絶縁材で一体化したものが製品として出廻って いるが、これにも以下に述べるような欠点がある。 ボルト５の頭と絶縁ワッシャ７との間に金属ワッシャ６を入れ忘れると、ボ ルト５を締付ける際、ボルト５の頭で直かに絶縁ワッシャ７を締付ける為、樹 脂製の絶縁ワッシャ７は座ぐられて損傷してしまい、本来の絶縁処理材として の役目を果たせなくなる恐れがある。 樹脂製の絶縁ワッシャ７が、長期使用において永久歪を起こし、ボルト５の 締付力低下による漏水の恐れがある。 管内使用温度の比較的高い温水配管などに対し、樹脂の特性として軟化し易 く、コールドフロー現象となって漏水する恐れがあり、また、コールドフロー 現象を抑える為、増締め作業など定期的に行う保守，点検作業が短期間に必要 となる恐れがある。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

そこで本考案は、上記従来技術の欠点を解決し、施工の省力化と確実な絶縁施 工を行うことのできる配管接続に於ける絶縁ボルト用スリーブを提供しようとす るものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するための本考案の配管接続に於ける絶縁ボルト用スリーブは 、ポリテトラフロロエチレン或いはエチレンテトラフロロエチレンよりなる絶縁 チューブの一端にフレア部が形成され、このフレア部の外側に高強度耐熱材より なる絶縁ワッシャが一体に設けられ、絶縁ワッシャに前記絶縁チューブの内径と 同じ内径で絶縁ワッシャと同じ外径の金属ワッシャが一体に設けられてなるもの である。

【０００６】 この絶縁ボルト用スリーブに於いて、絶縁チューブの一端に形成されたフレア 部は、絶縁ワッシャの外側面内周側に形成した溝に嵌着され、絶縁ワッシャに、 金属ワッシャが接着されている場合がある。 また、絶縁チューブの一端に形成されたフレア部の内側面に、フレア部よりも 大径の薄い絶縁ワッシャが配され、フレア部の外周側に、前記絶縁ワッシャと同 じ外径でフレア部と同じ厚さの絶縁ワッシャが配されて、絶縁ワッシャ同士が接 着され、フレア部外周側の絶縁ワッシャに、金属ワッシャが接着されている場合 がある。

【０００７】 さらに、絶縁チューブの一端に形成されたフレア部は、絶縁ワッシャの外側面 内周側に形成した溝に嵌着され、絶縁ワッシャの外側面に絶縁チューブと同じ内 径で前記絶縁ワッシャと同じ外径の薄い絶縁ワッシャが接着され、この絶縁ワッ シャに金属ワッシャが接着されてなる場合がある。 さらにまた、絶縁チューブの一端に形成されたフレア部は、絶縁ワッシャの内 側面内周側に形成した溝に嵌着され、絶縁ワッシャの内側面に絶縁チューブの外 径と同じ内径で前記絶縁ワッシャと同じ外径の薄い絶縁ワッシャが接着され、前 記フレア部が嵌着された絶縁ワッシャの外側面に金属ワッシャが接着されている 場合がある。 前記絶縁ワッシャの高強度耐熱材としては、シリコン耐熱マイカ板が好ましい 。

【０００８】

【作用】

上記のように構成された本考案の配管接続に於ける絶縁ボルト用スリーブは、 材質の異なる鋼管同士をフランジ接続する際、締付用ボルトの外周に金属ワッシ ャがボルトの頭に当接するように嵌装の上、一方のルーズフランジのボルト挿通 孔と他方の固定フランジのボルト挿通孔とに挿通し、他方の固定フランジのボル ト挿通孔及び絶縁ボルト用スリーブより突出した締付用ボルトの外周に通常の絶 縁ワッシャと金属ワッシャを嵌装の上、ナットを螺締して両フランジを締付け固 定する。

【０００９】 こうして材質の異なる鋼管同士をフランジ接続することにより、絶縁ワッシャ は締付用ボルトの頭部で座ぐられることが無くて損傷することが無いので、絶縁 ボルト用スリーブは絶縁機能を発揮できる。即ち、ステンレス鋼管と炭素鋼鋼管 とをフランジ接続しても、ステンレス鋼と異種金属とが接触しないように絶縁で きるので、接触面から電気化学的に作用されて生じるガルバニック腐食を防止で きる。 また、本考案の配管接続に於ける絶縁ボルト用スリーブは、金属ワッシャ，絶 縁ワッシャ，絶縁チューブが一体となったものであるから、締付用ボルトへの組 込みが簡素化できて、作業効率が大幅に向上する。

【００１０】

【実施例】

本考案の配管接続に於ける絶縁ボルト用スリーブの一実施例を図１によって説 明すると、ポリテトラフロロエチレンよりなる絶縁チューブ１０の一端（図では 右端）外側にフレア部１１が一体に形成され、このフレア部１１の外側にシリコ ン耐熱マイカ板から作成した絶縁ワッシャ１２が一体に設けられ、即ち、本例で はフレア部１１が絶縁ワッシャ１２の外側面内周側に形成した溝１３に嵌着され てフレア部１１と絶縁ワッシャ１２の外側面が面一になされ、絶縁ワッシャ１２ の外側面に亜鉛メッキした炭素鋼鋼板よりなる金属ワッシャ１４が耐熱性と接着 強度に優れた樹脂系接着剤にて接着されている。

【００１１】 このように構成された実施例の絶縁ボルト用スリーブ１５は、ステンレス鋼管 と材質の異なる炭素鋼鋼管とフランジ接続する際、図２に示すように締付用ボル ト１６の外周に金属ワッシャ１４がボルト１６の頭に当接するように嵌装の上、 図３に示すように一方の炭素鋼鋼管１７のルーズフランジ１８のボルト挿通孔１ ９と他方のステンレス鋼管２０の固定フランジ２１のボルト挿通孔２２とに挿通 し、他方の固定フランジ２１及び絶縁ボルト用スリーブ１５より突出した締付用 ボルト１６の外周に通常の絶縁ワッシャ２３と金属ワッシャ２４を嵌装の上、ナ ット２５を螺締してルーズフランジ１８，固定フランジ２１を締付け固定する。

【００１２】 このようにして炭素鋼鋼管１７とステンレス鋼管２０とをフランジ接続するこ とにより、絶縁ワッシャ１２は締付用ボルト１６の頭部で座ぐられることが無く て損傷することが無いので、絶縁ボルト用スリーブ１５は絶縁機能を発揮できる 。即ち、ステンレス鋼管２０と炭素鋼鋼管とをフランジ接続してもステンレス鋼 と炭素鋼とが接触しないように絶縁できるので、接触面から電気化学的に作用さ れて生じるガルバニック腐食を防止できる。また、この絶縁ボルト用スリーブ１ ５は、前述の如く金属ワッシャ１４，絶縁ワッシャ１２，絶縁チューブ１０が一 体となったものであるから、締付用ボルト１６への組込みが簡素化できて、作業 効率が大幅に向上する。

【００１３】 本考案の配管接続に於ける絶縁ボルト用スリーブの他の実施例を図４〜図６に 夫々示す。 図４に示す絶縁ボルト用スリーブ２６は、前記実施例と同じ絶縁チューブ１０ の一端外側にフレア部１１が一体に形成され、このフレア部１１の内側面にフレ ア部１１よりも大径の絶縁ワッシャ１２ａが配され、フレア部１１の外周側に、 前記絶縁ワッシャ１２ａと同じ外径でフレア部１１と同じ厚さの同材質の絶縁ワ ッシャ１２ｂが配されて、絶縁ワッシャ１２ａ，１２ｂ同士が樹脂系接着剤にて 接着され、フレア部１１の外周側に絶縁ワッシャ１２ｂの外側面に金属ワッシャ １４が接着されてなるものである。

【００１４】 図５に示す絶縁ボルト用スリーブ２７は、絶縁チューブ１０の一端外側にフレ ア部１１が一体に形成され、このフレア部１１が絶縁ワッシャ１２の外側面内周 側に形成した溝１３に嵌着されて、フレア部１１と絶縁ワッシャ１２の外側面が 面一になされ、絶縁ワッシャ１２の外側面に前記チューブ１０と同じ内径で前記 絶縁ワッシャ１２と同じ外径の薄い絶縁ワッシャ１２ｃが樹脂系接着剤にて接着 され、この絶縁ワッシャ１２ｃの外側面に金属ワッシャ１４が接着されてなるも のである。

【００１５】 図６に示す絶縁ボルト用スリーブ２８は、絶縁チューブ１０の一端外側にフレ ア部１１が一体に形成され、このフレア部１１が絶縁ワッシャ１２′の内側面内 周側に形成した溝１３′に嵌着され、絶縁ワッシャ１２′の内側面に絶縁チュー ブ１０の外径と同じ内径で前記絶縁ワッシャ１２と同じ外径の薄い絶縁ワッシャ １２ａが配され、絶縁ワッシャ１２′，１２ａが樹脂系接着剤にて接着され、前 記フレア部１１が嵌着された絶縁ワッシャ１２′の外側面に金属ワッシャ１４が 接着されてなるものである。

【００１６】 これら図４〜図６に示す各実施例の絶縁ボルト用スリーブ２６，２７，２８も 図２と同様に締付用ボルト１６へ嵌装され、図３と同様に異なる鋼管同士をフラ ンジ接続するのに用いられ、絶縁機能を発揮でき、且つ作業効率を向上できる。 尚、上記各実施例の絶縁ボルト用スリーブ１５，２６，２７，２８に於ける絶 縁チューブ１０は、ポリテトラフロロエチレンよりなるが、エチレンテトラフロ ロエチレンよりなるものでも良い。また絶縁ワッシャ１２，１２′，１２ａ，１ ２ｂ，１２ｃは、シリコン耐熱マイカ板から作成されているが、これに限るもの ではない。さらに金属ワッシャ１４は、亜鉛メッキした炭素鋼からなるが、これ に限るものではない。

【００１７】

【考案の効果】

以上の通り本考案の配管接続に於ける絶縁ボルト用スリーブは、金属ワッシャ ，絶縁ワッシャ，絶縁チューブが一体となっているので、材質の異なる鋼管同士 をフランジ接続する際、締付用ボルトへの組込みが簡素化されて作業効率が大幅 に向上し、また締付用ボルトにナットを締付けて材質の異なる鋼管同士をフラン ジ接続した際、絶縁ボルト用スリーブの絶縁ワッシャが座ぐられることが無くて 損傷することが無いので、絶縁ボルト用スリーブは絶縁機能を発揮できる。 さらに、本考案の絶縁ボルト用スリーブは、締付用ボルトに嵌装するだけで組 込みできるので、締付用ボルトの材質や長さを選らばず、即応性に富む。 また、本考案の絶縁ボルト用スリーブに於ける絶縁ワッシャは、高強度耐熱材 よりなるので、高温下でも圧縮強度が変化することが無く、施工後締付用ボルト 自体に締付け緩みが生ぜず、接続部が漏水するようなことが無い。 また、本考案の絶縁ボルト用スリーブに於ける絶縁チューブは、ポリテトラフ ロロエチレン，エチレンテトラフロロエチレンなどからなるので、耐熱性に優れ 、接合材として軟化する心配が無い。 さらに、本考案の絶縁ボルト用スリーブに於ける絶縁ワッシャ，絶縁チューブ は、共に絶縁性能に優れるので、材質の異なる鋼管同士の接続におけるガルバニ ック腐食に対する絶縁処理が的確にできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の配管接続に於ける絶縁ボルト用スリー
ブの一実施例を示す縦断面図である。

【図２】図１の絶縁ボルト用スリーブを締付用ボルトの
外周に嵌装した状態を示す図である。

【図３】図２の絶縁ボルト用スリーブを外周に嵌装した
締付用ボルトにて材質の異なる鋼管同士をフランジ接続
した状態を示す図である。

【図４】本考案の配管接続に於ける絶縁ボルト用スリー
ブの他の実施例を示す縦断面図である。

【図５】本考案の配管接続に於ける絶縁ボルト用スリー
ブのさらに他の実施例を示す縦断面図である。

【図６】本考案の配管接続に於ける絶縁ボルト用スリー
ブのさらに他の実施例を示す縦断面図である。

【図７】材質の異なる鋼管同士のフランジ接続に於ける
ガルバニック腐食を防ぐ為の従来の絶縁手段を示す図で
ある。

【図８】図７の絶縁手段の従来の改良例を示す図であ
る。

【符号の説明】

１０ 絶縁チューブ １１ フレア部 １２，１２′，１２ａ，１２ｂ，１２ｃ 絶縁ワッシャ １３，１３′ 溝 １４ 金属ワッシャ １５，２６，２７，２８ 絶縁ボルト用スリーブ

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ポリテトラフロロエチレン或いはエチレ
   ンテトラフロロエチレンよりなる絶縁チューブの一端に
   フレア部が一体に形成され、このフレア部の外側に高強
   度耐熱材よりなる絶縁ワッシャが一体に設けられ、絶縁
   ワッシャに前記絶縁チューブの内径と同じ内径で絶縁ワ
   ッシャと同じ外径の金属ワッシャが一体に設けられてな
   る配管接続に於ける絶縁ボルト用スリーブ。
2. 【請求項２】 絶縁チューブの一端に形成されたフレア
   部が、絶縁ワッシャの外側面内周側に形成した溝に嵌着
   され、絶縁ワッシャに金属ワッシャが接着されてなる請
   求項１記載の配管接続に於ける絶縁ボルト用スリーブ。
3. 【請求項３】 絶縁チューブの一端に形成されたフレア
   部の内側面に、フレア部よりも大径の薄い絶縁ワッシャ
   が配され、フレア部の外周側に、前記絶縁ワッシャと同
   じ外径でフレア部と同じ厚さの絶縁ワッシャが配され
   て、絶縁ワッシャ同士が接着され、フレア部外周側の絶
   縁ワッシャに金属ワッシャが接着されてなる請求項１記
   載の配管接続に於ける絶縁ボルト用スリーブ。
4. 【請求項４】 絶縁チューブの一端に形成されたフレア
   部が、絶縁ワッシャの外側面内周側に形成した溝に嵌着
   され、絶縁ワッシャの外側面に絶縁チューブと同じ内径
   で前記絶縁ワッシャと同じ外径の薄い絶縁ワッシャが接
   着され、この絶縁ワッシャに金属ワッシャが接着されて
   なる請求項１記載の配管接続に於ける絶縁ボルト用スリ
   ーブ。
5. 【請求項５】 絶縁チューブの一端に形成されたフレア
   部が、絶縁ワッシャの内側面内周側に形成した溝に嵌着
   され、絶縁ワッシャの内側面に絶縁チューブの外径と同
   じ内径で前記絶縁ワッシャと同じ外径の薄い絶縁ワッシ
   ャが接着され、前記フレア部が嵌着された絶縁ワッシャ
   の外側面に金属ワッシャが接着されてなる請求項１記載
   の配管接続に於ける絶縁ボルト用スリーブ。